JP6234192B2 - 樹脂製建具 - Google Patents

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本発明は、枠および框を合成樹脂製押出形材により製作して辷り出し窓や開き窓等として構成する樹脂製建具に係わり、特にグレモン錠を取付ける窓のハンドルの取付け構造および框の構造に関する。
辷り出し窓や開き窓等のように建物の開口部に設置される建具において、断熱性を高めるため、特に寒冷地等においては、枠や框を合成樹脂製押出形材により製作した樹脂製建具が賞用される。図7はこのような従来の樹脂製建具の一例を示す横断面図であり、縦辷り出し窓について示すものである。
図7において、50,51は左右の縦枠、52,53は障子の左右の縦框、54は縦框52,53および上下の横框55とで組まれた枠内に組み込まれたガラスパネルである。56は一方の縦框52の見付け面52aに取付けられたグレモン錠のハンドル、52bは縦框52のホロー部、57はこのホロー部52b内に嵌合して取付けた鋼材でなる芯材である。58はハンドル56の操作により、縦框52に設けたガイド部52cに沿って摺動する可動枠、59はこの可動枠58に取付けたロックピン、60は縦枠50に取付ける受け具であり、ロックピン59を嵌合、離脱させるロック溝を有するものである。ハンドル56の動きを可動枠58およびロックピン59に伝達する操作力伝達機構(図示せず)は、ホロー部52bに収容される。
このように縦框52の見付け面52aにハンドル56を取付けた構造の場合、ハンドル56を取付けるための幅W1が必要となるため、框の見付け面の幅が広くなる。
一方、ガラスパネル54については、近年の断熱性の向上により、樹脂製框よりも単位面積あたりの断熱性能が高くなってきている。このため、断熱性の高い樹脂製建具を実現するためには、ハンドル56を縦框52の見込み面52dに取付けることにより、縦框の見付け面の幅(W1)をできるだけ狭くし、縦框52の伝熱面積をなるべく狭くする一方、ガラスパネル54の面積をその分だけ広くすることが望まれる。すなわち断熱性をより向上させるには、特許文献1に開示されているように、ハンドル56を縦框52の見込み面52dに取付けることが望まれる。(ただし特許文献1に開示の建具は樹脂製建具ではなく、アルミニウム合金製押出形材を使用したものである。)
また、図7の構成とした場合、芯材57を収容したホロー部52bには、ハンドル56により可動枠58を操作する操作力伝達機構を設ける関係上、芯材57の一部にこの操作力伝達機構を設けるための欠除部を設ける必要があり、この欠除部を芯材57に設けると、芯材57の強度が低下するという問題点もある。
特開平9−41762号公報
上述のように、建具の断熱性を向上させるには、グレモン錠のハンドル56を特許文献1に記載のように見込み面52dに取付け、これにより縦框52の幅を狭くすることが考えられる。しかしながら、この構造によれば、建具全体の断熱性は向上するものの、縦框の強度が低下するという問題点を生じる。
本発明は、上記問題点に鑑み、グレモン錠のハンドルを框の見込み面に取付ける構造とした場合も強度の低下が防止され、もって断熱性の優れた樹脂製建具を提供することを目的とする。
請求項1の樹脂製建具は、枠および框合成樹脂製押出形材により構成された樹脂製建具において、
グレモン錠のハンドルが、框のガラスパネル装着部より室内側の見込み面に取付けられ
前記ハンドルが取付けられる框におけるハンドル操作機構収容部より室外側にホロー部が設けられ
前記ハンドル操作機構収容部と前記ホロー部との間に、前記ホロー部より見付け面の面内方向の幅が狭い狭幅部が設けられ、
前記ホロー部の見付け面の面内方向における外側部分と、前記狭幅部との間に、傾斜板部が設けられ、
前記傾斜板部は、前記狭幅部側の端部が、前記ホロー部の見付け面の面内方向の外側部分側の端部よりも見付け面の面内方向の内側となることを特徴とする。
請求項2の樹脂製建具は、請求項1に記載の樹脂製建具において、
前記ホロー部内に鋼材でなる芯材収容されていることを特徴とする。
本発明によれば、樹脂製建具において、グレモン錠のハンドルを框の見込み面に取付けたので、見付け面にハンドルを取付ける場合に比較し、框の見付け面の幅を狭くすることが可能となり、框の幅を狭くした分、ガラスパネルの面積を広くすることができるので、建具の断熱性を向上させることができる。
また、ハンドルを取付ける框におけるハンドルの操作力伝達機構収容部より室外側にホロー部を設け、このホロー部とハンドルの操作力伝達機構収容部との間に狭幅部を設け、ホロー部と狭幅部との間に傾斜板部を設けたので、この傾斜板部がかすがいのような働きをなし、框の強度を向上させることができる。このため、框の強度が向上すると共に、框の見付け面の幅を従来より狭くした構造により、強度を犠牲にすることなく、断熱性の優れた樹脂製建具を提供することが可能となる。
請求項2の発明によれば、ハンドル収容部より室外側に設けたホロー部に鋼材でなる芯材を収容したので、従来のように操作力伝達機構を設けるスペースを形成するための切除部を芯材に設ける必要がなく、芯材の強度低下を防止できる。
本発明の樹脂製建具の一実施の形態である縦辷り出し窓を示す横断面図である。 図1の縦辷り出し窓の縦断面図である。 (A)は本実施の形態の窓に用いるグレモン錠の構成を示す側面図、(B)はそのロックピンと受け具とを示す斜視図である。 本発明の樹脂製建具の他の実施の形態である横辷り出し窓を示す横断面図である。 図4の横辷り出し窓の縦断面図である。 本発明の樹脂製建具の一実施の形態である連窓を示す横断面図である。 従来の樹脂製建具の一例を示す横断面図である。
図1、図2はそれぞれ本発明の樹脂製建具の一実施の形態を示す横断面図、縦断面図である。これらの図において、1は建物の開口部に固定される窓枠、2はこの窓枠1に装着される障子であり、本実施の形態の建具は、縦辷り出し窓について示している。窓枠1は合成樹脂製押出形材でなる左右の縦枠3,4と上下の横枠5,6により構成され、各枠3〜6は同じ断面形状を有し、各端部を不図示の接合部において互いに溶着等により接合して一体化したものである。
障子2は、合成樹脂製押出形材でなる左右の縦框8,9と、上横框10と、下横框11により構成され、各框8〜11は同じ断面形状を有し、各端部を不図示の接合部において溶着等より接合し、これらで組まれた枠内にガラスパネル13を組み込んで構成したものである。本実施の形態は、図1、図2に示すように、ガラスパネル13として3枚のガラスパネルを断熱性の高いガス層の密封構造で組み合わせたトリプルパネルにより構成した例を示す。
図1、図2において、15は窓の室内側、16は室外側である。17は窓枠1における障子2の受け面に設けた気密材である。この気密材17は、縦枠3,4、上横枠5および下横枠6の各室内側部分にそれぞれ設けた気密材取付け溝3a,4a,5a,6aに嵌着して窓枠1の4周に連続させ、両端を突き合わせて取付ける。
18は障子2における窓枠1に対する当接面に設けた気密材である。この気密材18を取付けるため、縦框8,9、および横框10,11の室外側部分にそれぞれ見付け面の面内方向(図1、図2に矢印38で示す。)の外側に突出させて突出部8a,9a,10a,11aを設け、各突出部の室内側にそれぞれ気密材取付け溝8b,9b,10b,11bを設けており、気密材18は、これらの気密材取付け溝8b,9b,10b,11bに嵌着して4周に連続させ、両端を突き合わせて取付ける。
19は障子2のガラスパネル13の4周における室内側の面と框8〜11との間の気水密性を保持する気密材であり、この気密材19は、縦框8,9、および横框10,11の室内側の部分にそれぞれ設けた気密材取付け溝8c,9c,10c,11cに4周を連続させて設ける。20は障子2の框8〜11にガラスパネル13を固定する押縁であり、この押縁20は、縦框8,9、および横框10,横枠11の室外側の部分に設けた押縁取付け溝8d,9d,10d,11dに嵌着し、押縁20によりガラスパネル13の室外側の面の4周を押し付けるようにして設ける。
縦框8,9、および横框10,11は、ガラスパネル13の端部に対向する部分にそれぞれホロー部8e,9e,10e,11eを形成する。これらのホロー部8e,9e,10e,11eの見付け面の面内方向の外側の室内側には、それぞれ前記気密材18を取付ける前記気密材取付け溝8b,9b,10b,11bを設ける。
また、ガラスパネル13に対向するホロー部8e,9e,10e,11eの室外側にもさらにそれぞれホロー部8f,9f,10f,11fを形成する。左右の縦框8,9のホロー部8e,9eには、それぞれ鋼材でなる芯材22,23を、その3辺がホロー部8e,9eの内壁に沿って当接するように嵌合して収容する。
縦框8,9、および横框10,11の室内側にもそれぞれホロー部8g,9g,10g,11gを形成する。これらのホロー部8g,9g,10g,11gの室外側見付け面に、それぞれ前記気密材19を取付ける前記気密材取付け溝8c,9c,10c,11cを形成する。
前記ガラスパネル13に対向するホロー部8e,9e,10e,11eと、室内側ホロー部8g,9g,10g,11gとの間に、それぞれホロー部8e,9e,10e,11eより見付け面の面内方向の幅が狭い狭幅部8h,9h,10h,11hを形成する。
ガラスパネル13に対向するホロー部8e,9e,10e,11eの見付け面の面内方向の外側部分と、狭幅部8h,9h,10h,11hとの間に、それぞれホロー部8e,9e,10e,11e側が見付け面の面内方向の外側となるように傾斜した傾斜板部8i,9i,10i,11iを形成する。
図1において、25はグレモン錠のハンドルであり、このハンドル25は縦框8におけるガラスパネル13の装着部より室内側の見込み面8jに取付ける。26はハンドル25の上下の操作により上下動させる施錠用ロックピンであり、28は縦框8に設けたガイド部8kに沿って上下動可能に装着された可動枠であり、図3(A)に示すように、可動枠28の上下にそれぞれロックピン26が取付けられる。27はハンドル25の操作により可動枠28と共にロックピン26を上下動させる操作力伝達機構である。図1に示すように、この操作力伝達機構27は、室内側のホロー部8gに収容する。
図3(B)において、29は縦枠3に取付ける受け具であり、ロックピン26を係合、離脱させる係合溝29aを有する。グレモン錠は、ハンドル25の下方(上方)への操作により可動枠28を上動(下動)させ、可動枠28の上下に取付けたロックピン26を上げ(下げ)、これにより、縦枠3に取付けた受け具29の係合溝29aに対してロックピン26を係合、離脱させることにより、ロックとロック解除を行なうものである。
図2において、30,31はそれぞれこの障子2の上部と下部と、上下の横枠5,6との間にそれぞれ取付けられた窓枠1と障子2との連結機構であり、この窓を縦辷り出し窓として機能させるものである。この連結機構30,31の詳細な説明を省略するが、ハンドル25を把持して縦框8側を室外側に押し出すことにより、縦框9側を図1の矢印32側に示すように横枠5,6に沿って移動させると同時に、縦框8側を矢印33に示すように室外側に回動させて窓を開き、反対にハンドル25を把持して室内側に引くことにより、障子を矢印32,33の反対方向に動かして窓を閉じるものである。
上述のように、この実施の形態においては、グレモン錠のハンドル25を縦框8の見込み面8jに取付けたので、見付け面にハンドル25を取付ける場合に比較し、框の見付け面の幅W2を狭くすることが可能となり、断熱性の向上に寄与することができる。また、この実施の形態においては、縦框8、9および横框10,11を同じ断面形状に形成しているので、縦框8のみならず、縦框9および横框10,11の見付け面の幅も同様に狭くなり、全体として障子の框の室内外方向の伝熱面積が狭くなり、断熱性が優れた窓を提供することができる。
また、ハンドル25を取付ける縦框8におけるハンドルの操作力伝達機構27を収容するホロー部8gより室外側にホロー部8eを設け、ホロー部8eの縦框8の見付け面の面内方向の外側部分と、室内側の狭幅部8hとの間に傾斜板部8iを設けたので、この傾斜板部8iが縦框8のかすがいのような働きをなし、縦框8の強度を向上させることができる。他の框8〜11についても同様である。このため、框8〜11の強度が向上すると共に、框8〜11の見付け面の幅W2を従来より狭くした構造により、強度を犠牲にすることなく、断熱性の優れた樹脂製建具を提供するが可能となる。
また、ハンドル25の操作力伝達機構27を収容するホロー部8gより室外側に設けたホロー部8eに鋼材でなる芯材22を収容したので、従来のように操作機構を設けるスペースを形成するための切除部を芯材22に設ける必要がなく、芯材22の強度低下を防止でき、ひいては縦框8の強度を向上させることができる。
図4は本発明を横辷り出し窓に適用した本発明の他の実施の形態を示す横断面図、図5はその縦断面図である。図4、図5において、図1、図2と同じ符号は同じ構成部品および部分である。図4において、34,35は縦枠3,4と縦框8,9との間をそれぞれ連結する連結機構であり、この窓を横辷り出し窓として機能させるものであるが、詳細な説明を省略する。
図5において、ハンドル25による障子2のロックを解除し、障子2の下側を室外側に押し出すと、障子2の上側が縦枠3,4に沿って矢印36に示すように下降すると同時に、障子2の下側が矢印37に示すように室外側に回動することにより、窓が開かれる。また、反対の操作により、障子2が矢印36,37の反対方向に動き、窓が閉じる。
この実施の形態においても、縦框8,9および横框10,11のガラスパネル13に対向する部分に前述したホロー部8e,9e,10e,11eの室内側の一辺に傾斜板部8i,9i,10i,11iを設ける。また、図5に示すように、グレモン錠のハンドル25は下横框11の室内側見込み面11jに取付ける。また、ハンドル25の操作力伝達機構27は、下横框11の室内側ホロー部11gに収容して取付ける。また、可動枠28は、下横框11の下面に設けたガイド部11kに沿って左右に移動可能に取付け、可動枠28に取付けたロックピン26を係合、離脱させる係合溝29aを有する受け具29は、下横枠6に取付ける。
この実施の形態においても、前述した理由と同じ理由により、傾斜板部8i,9i,10i,11iを設けたことにより、框8〜11の強度を犠牲にすることなく、框8〜11の見付け面の面内方向の幅を狭くして断熱性を向上させた窓を提供することが可能となる。
図6は本発明を連窓に適用した他の実施の形態を示す横断面図である。図6において、図1、図2と同じ符号は同じ機能を発揮する部品または部分である。40は嵌め殺し窓であり、この嵌め殺し窓40は縦辷り出し窓41に並設されるもので、これらの窓40,41により連窓を構成する。42は前記上下の横枠5,6間に固定される縦枠(方立)である。この縦枠42と縦枠3および上下の横枠5,6間にガラスパネル43を装着して嵌め殺し窓40を構成する。縦枠3,42にガラスパネル43の室内側の面を当接させる気密材44と、ガラスパネル43の室外側の面に当接してガラスパネル43を固定する押縁45を設ける。
図6の実施の形態において、縦框8の見込み面8jにグレモン錠のハンドル25を取付けることは図1の実施の形態と同じであり、框8〜11の断面形状も図1、図2の実施の形態と同様であり、ハンドル25の操作力伝達機構27も同様に室内側ホロー部8g内に取付けられる。可動枠28に取付けるロックピン26を係合、離脱させる受け具29は、縦枠42に取付ける。
図6の実施の形態においても、前述した理由と同じ理由により、框8〜11の強度を犠牲にすることなく、断熱性を向上させた窓を提供することが可能となる。
以上本発明を実施の形態により説明したが、本発明は縦辷り出し窓や横辷り出し窓のみではなく、開き窓にも適用できる。また本発明を実施する場合、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、構成部材やその組み合わせについて、種々の変更、付加が可能である。
1:窓枠、2:障子、3,4:縦枠、5,6:横枠、8,9:縦框、8e,8g,9e,9g:ホロー部、8i,9i:傾斜板部、8j:見込み面、10,11:横框、10e,10g,11e,11g:ホロー部、10i,11i:傾斜板部、13:ガラスパネル、17〜19:気密材、20:押縁、22,23:芯材、25:ハンドル、26:ロックピン、27:操作力伝達機構、28:可動枠、29:受け具、40:嵌め殺し窓、41:縦辷り出し窓、42:縦枠、43:ガラスパネル

Claims (2)

  1. 枠および框合成樹脂製押出形材により構成された樹脂製建具において、
    グレモン錠のハンドルが、框のガラスパネル装着部より室内側の見込み面に取付けられ
    前記ハンドルが取付けられる框におけるハンドル操作機構収容部より室外側にホロー部が設けられ
    前記ハンドル操作機構収容部と前記ホロー部との間に、前記ホロー部より見付け面の面内方向の幅が狭い狭幅部が設けられ、
    前記ホロー部の見付け面の面内方向における外側部分と、前記狭幅部との間に、傾斜板部が設けられ、
    前記傾斜板部は、前記狭幅部側の端部が、前記ホロー部の見付け面の面内方向の外側部分側の端部よりも見付け面の面内方向の内側となることを特徴とする樹脂製建具。
  2. 請求項1に記載の樹脂製建具において、
    前記ホロー部内に鋼材でなる芯材収容されていることを特徴とする樹脂製建具。
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