JP6234120B2 - 内視鏡用処置具 - Google Patents

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Description

本発明は、内視鏡と共に用いられる処置具に関し、特に、工業用内視鏡用の内視鏡処置具に関する。
工業用内視鏡検査において、機器内の異物の回収、配管内でのアンプリングなどを行う際に、工業用内視鏡の処置具チャンネルに挿通して使用する処置具が知られている。
このような工業用内視鏡に併用される処置具は、例えば、特許文献1に記載されるような内視鏡用把持具が知られている。この従来の内視鏡用処置具である内視鏡用把持具は、複数の異物捕獲腕によって、コインなどのように扁平な形状の異物でも安定した状態で把持することができるようにしている。
特開2002−272754号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている内視鏡把持具では、小さな異物を把持して回収し易いが、ビスなどの大きな異物の回収には不向きであるという課題があった。さらに、内視鏡用処置具は、特に、長尺な挿入部を有する工業用内視鏡と併用した場合、操作性が非常に悪くなるため、特許文献1の内視鏡把持具では、把持部としての複数の異物捕獲腕との間に異物を入れ難く回収し難いという課題があった。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、工業用内視鏡検査時に工業用内視鏡に併用され、機器内の異物回収、配管内のサンプリングなどを容易に行えると共に、操作性の良い内視鏡用処置具を提供することである。
本発明における一態様の内視鏡用処置具は、処置具チャンネルに挿入されるシースと、前記シースの先端に設けられた異物回収部と、前記異物回収部に設けられ、前記シースの長手方向に進退操作され、前記シースの長手軸に直交した外径方向に延設された把持部と、前記把持部に対向するように前記異物回収部に設けられ、前記シースの長手軸に直交する外径方向に延設された固定部と、を有する、内視鏡の処置具チャンネルに挿入されて使用される内視鏡用処置具であって、前記把持部は、放射状に延設された複数のワイヤを有し、前記複数のワイヤは、前記固定部側に傾くように湾曲されて設けられている
本発明によれば、特に、工業用内視鏡検査時に工業用内視鏡に併用され、容易に機器内の異物回収、配管内のサンプリングなどを行える、操作性の良い内視鏡用処置具を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡用処置具の全体構成を示す側面図 同、異物回収部の構成を示す斜視図 同、異物回収部によって異物を回収する動作を示す側面図 同、第1の変形例の異物回収部の構成を示す斜視図 同、第2の変形例の異物回収部の構成を示す斜視図 同、第3の変形例の異物回収部の構成を示す斜視図 同、第3の変形例の異物回収部によって異物を回収するときの動作を示す側面図 本発明の第2の実施の形態に係る内視鏡用処置具の構成を概略的に示す斜視図 同、アクチュエータの動作を説明する斜視図 同、第1の変形例の内視鏡用処置具の全体構成を概略的に示した斜視図 同、第1の変形例の異物回収部の構成を示す断面図 同、第2の変形例の異物回収部の構成を示す斜視図 同、第3の変形例の異物回収部の構成を示す斜視図 同、第3の変形例の異物回収部の構成を示す断面図 本発明の第3の実施の形態に係る異物回収部の構成を示す斜視図 同、異物回収部の構成を示す断面図 同、変形例の内視鏡用処置具の構成を概略的に示す平面図 同、変形例の挿入管部の構成を示す断面図 第1の参考例の異物回収部の構成を示す斜視図 第2の参考例の異物回収部の構成を示す斜視図 第3の参考例の異物回収部の構成を示す斜視図 第4の参考例の異物回収部の構成を示す斜視図
以下、図を用いて本発明について説明する。
なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(第1の実施の形態)
先ず、本発明の第1の実施の形態について、図面に基づいて、以下に説明する。
図1は、内視鏡用処置具の全体構成を示す側面図、図2は異物回収部の構成を示す斜視図、図3は異物回収部によって異物を回収する動作を示す側面図、図4は第1の変形例の異物回収部の構成を示す斜視図、図5は第2の変形例の異物回収部の構成を示す斜視図、図6は第3の変形例の異物回収部の構成を示す斜視図、図7は第3の変形例の異物回収部によって異物を回収するときの動作を示す側面図である。
図1は、工業用内視鏡検査時に図示しない工業用内視鏡(以下、単に内視鏡と略記する)の処置具チャンネルに挿入されて使用される内視鏡用処置具1である。この内視鏡用処置具1は、先端から順に、異物回収部2と、この異物回収部2に連設された可撓性を有したチューブ体のシースである挿入管部3と、この挿入管部3の基端部が接続されたハウジング部4と、を有して主に構成されている。
ハウジング部4は、可動操作可能な操作ハンドル5と固定ハンドル6を有したハンドル部7と、が配設されている。なお、操作ハンドル5は、挿入管部3内に挿通された操作ワイヤ8に接続されている。そして、操作ハンドル5は、固定ハンドル6側に回動操作されることで、操作ワイヤ8を手元側となる基端側へ牽引する。
異物回収部2は、図2に示すように、操作ワイヤ8の先端に設けられた先端把持部10と、挿入管部3の先端に設けられた拡張固定部11と、を有して構成されている。
先端把持部10は、操作ワイヤ8に固定された砲弾形状の固定部12と、この固定部12の長手軸方向に対して直交する方向、即ち、操作ワイヤ8、挿入管部3などの長手軸回りの外方となる外径方向に向けて放射状に複数、ここでは4つの把持ワイヤ13が延設されている。
これら4つの把持ワイヤ13は、金属性ワイヤ、グラスファイバまたはカーボンファイバなどから形成されており、手元側の拡張固定部11側となる基端(後方)側に傾くように湾曲されている。なお、把持ワイヤ13は、4つに限定されることなく、複数であれば幾つでもよい。
拡張固定部11は、挿入管部3の先端部分に外挿固定された円管部14と、この円管部14の先端外周部から、円管部14の長手軸回り、即ち、操作ワイヤ8、挿入管部3などの長手軸回りの外方に向けて放射状に複数、ここでは4つの矩形状の把持片15が延設されている。
4つの把持片15は、合成樹脂、ゴムなどから円管部14と一体形成されており、先端把持部10側となる先端(前方)側に弾性(バネ性)を有して傾くように設けられている。なお、把持片15は、4つに限定されることなく、複数であれば幾つでもよい。
そして、異物回収部2は、ハンドル部7の操作ハンドル5の操作に応じた操作ワイヤ8の牽引弛緩操作によって、先端把持部10が拡張固定部11に近接または離反するように進退移動する。
このように構成された異物回収部2は、先端把持部10の4つの把持ワイヤ13と拡張固定部11の4つの把持片15が対向するように設けられている。そして、進退移動する先端把持部10の4つの把持ワイヤ13のほうが、拡張固定部11の4つの把持片15よりも径方向に大きくなるように設定されている。
これは、進退移動時に回収した異物の取りこぼしを少なくするためである。また、把持ワイヤ13が傾斜した形状になっており、把持ワイヤ13に取り込んだ異物は、中央に集まるように移動する。取り込んだ異物を確実に把持するために把持片15は、ワイヤ13より周方向が幅広い形状となっている。
以上に説明した本実施の形態の内視鏡用処置具1は、ハンドル部7の操作ハンドル5の操作によって、図3に示すように、先端把持部10が拡張固定部11に近接するように操作ワイヤ8が牽引される。
これにより内視鏡用処置具1は、機器内の異物100を先端把持部10の4つの把持ワイヤ13のいずれかによって引掛けるように手前側に移動させることで、拡張固定部11の4つの把持片15のいずれかに異物100が当接されて、把持ワイヤ13と把持片15とによって異物100を挟み込むように挟持(把持)して容易に回収することができる。
即ち、内視鏡用処置具1は、異物回収部2の長手軸回りの位置に関係なく、異物100を放射状に設けられた4つの把持ワイヤ13と4つの把持片15のいずれかで把持して回収することができる。
さらに、異物100が当接された把持片15は、弾性(バネ性)を有しているため、基端側に押し込まれることで、異物100を先端方向へ付勢するようにする。これにより、異物100を把持ワイヤ13と把持片15とによって挟持したときに、異物100が外れ難く確実に回収することができる。
なお、内視鏡用処置具1は、手元側に設けられる拡張固定部11の4つの把持片15を透明にすることで、内視鏡による視野の妨げを防止する構成としてもよい。また、内視鏡用処置具1は、先端側に設けられる先端把持部10の4つの把持ワイヤ13が所定の間隔で放射状に設けられた構成であるため、内視鏡による前方(先端)側の視野の妨げも防止される。
以上に説明したように、本実施の形態の内視鏡用処置具1は、工業用内視鏡検査時に内視鏡に併用され、機器内の異物100の回収などを容易に行えると共に、非常に操作性の良い構成にすることである。なお、内視鏡用処置具1は、操作性が良いため、配管内のサンプリングなども容易に行える構成となる。
(第1の変形例)
なお、内視鏡用処置具1は、図4に示すように、先端把持部10が拡張固定部11に離反した状態のときに、これら先端把持部10と拡張固定部11の間で露出するように操作ワイヤ8に円柱状の磁石16を設けてもよい。
このように操作ワイヤ8に磁石16を設けることで、金属性の異物(100)を磁石16に引き付けて吸着させることで、より異物(100)の回収などを容易に行える構成となる。
(第2の変形例)
また、内視鏡用処置具1は、拡張固定部11の4つの把持片15が矩形状に限定されることなく、図5に示すように、延設端部が鋭角な爪形状としてもよい。このように4つの把持片15を爪形状とすることで、より異物(100)の保持性が向上する。
(第3の変形例)
さらに、内視鏡用処置具1は、図6に示すように、拡張固定部11に4つの把持片15から基端側に蛇腹管17を設けて、長手方向の軸に沿って伸縮する構成としてもよい。
これにより、拡張固定部11は、4つの把持片15による先端(前方)側への弾性(バネ性)に加え、蛇腹管17が手元側となる基端(後方)側に押し込まれることで、縮んだ時に生じる反発力によって、異物100が先端方向へ付勢される。
このような構成とすることで、内視鏡用処置具1は、異物100を把持ワイヤ13と把持片15とによって挟持したときに、異物100が外れ難く、より確実に回収することができる。
ところで、蛇腹管17は、図7に示すように、内部に空間17aが形成された2重構造として、空間17a内にエア(CO2などを含む)を供給することで、先端側に伸長する構成としてもよい。
なお、この構成の挿入管部3は、エアを蛇腹管17の空間17a内に供給するため、この空間17aに連通するルーメン3aを有したマルチルーメンチューブとなっている。なお、挿入管部3は、図示しないが、基端部分にCO2エアカートリッジなどが接続される構成となっている。
このような構成により、内視鏡用処置具1は、エアが空間17a内に供給された蛇腹管17が先端側へ移動することで、異物100を把持ワイヤ13と把持片15とによって挟持したときに、異物100が外れ難く、より確実に回収することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について、図面に基づいて以下に説明する。なお、第1の実施の形態にて記載した各構成要素に関し、同一構成のものについては同じ符号を用いて、それらの詳細な説明を省略する。
図8は、内視鏡用処置具の構成を概略的に示す斜視図、図9はアクチュエータの動作を説明する斜視図、図10は第1の変形例の内視鏡用処置具の全体構成を概略的に示した斜視図、図11は第1の変形例の異物回収部の構成を示す断面図、図12は第2の変形例の異物回収部の構成を示す斜視図、図13は第3の変形例の異物回収部の構成を示す斜視図、図14は第3の変形例の異物回収部の構成を示す断面図である。
本実施の形態の内視鏡用処置具1は、図8に示すように、異物回収部2の先端把持部10を拡張固定部11に近接または離反するように進退移動させる操作ワイヤ8を牽引弛緩するためのアクチュエータ20が挿入管部3内に設けられた構成となっている。
このアクチュエータ20は、操作ワイヤ8に先端が接続され、基端からエア(CO2などを含む)を供給するためのチューブ21が接続されている。このチューブ21には、操作バルブ22を介してボンベ23からエアが供給される。
なお、ここでのアクチュエータ20は、PET製、ポリアミド素線、ステンレス線などの繊維により形成された網内に伸縮性を有するゴムチューブが設けられた、所謂、McKibben(マッキベン)型ソフトアクチュエータが用いられている。このアクチュエータ20は、図9に示すように、操作バルブ22によるエアの吸気(供給)による加圧または排気による減圧よって、ゴムチューブを膨縮することで、このゴムチューブを覆う繊維網によって、伸縮することで長手方向の長さを可変することができる。
このように、本実施の形態の内視鏡用処置具1は、第1の実施の形態のようにハンドル部7の操作ハンドル5の操作によって操作ワイヤ8を牽引弛緩する構成とは異なり、アクチュエータ20によって操作ワイヤ8の牽引弛緩を行う構成となっている。
なお、アクチュエータ20は、高出力な収縮性能が得られる。そのため、内視鏡用処置具1は、工業用内視鏡の長尺な挿入部に合わせて挿入管部3が長尺な構成としても、特に、操作ワイヤ8を確実に牽引することができるため、異物回収部2の先端把持部10を拡張固定部11に近接するように移動させることができる。特に、挿入部が長尺になると、先端の把持部を牽引し難くなるとともに、先端の把持部を回転させて向きを変えることが難しくなるため、より効果がある。
なお、以上のように構成された内視鏡用処置具1でも、第1の実施の形態と同様の作用効果を備えた構成となる。
さらに、ボンベ23からエアを供給して、異物回収部2の先端把持部10を拡張固定部11に近接または離反するように進退移動させる構成は、以下に記載の態様としてもよい。
(第1の変形例)
ここでの内視鏡用処置具1は、例えば、図10および図11に示すように、異物回収部2の先端把持部10の固定部12がロッド25の先端に接続されている。
このロッド25は、拡張固定部11の円管部14の先端開口を気密封止する円盤状のシール部材26の中央に形成された孔部に進退自在に挿通されており、挿入管部3内に収容された基端に円柱状のゴムなどから形成されたピストンリング27が設けられている。
シール部材26の中央に形成された孔部には、ロッド25の外周部と接触するOリング26aが設けられており、ロッド25との気密が保持されている。
ここでの挿入管部3は、マルチルーメンチューブであって、中央に形成された孔部である第1のエアダクト3bと、外周部側に形成された孔部である第2のエアダクト3cとが形成されている。
これら第1、第2のエアダクト3b,3cは、挿入管部3の先端開口で連通している。なお、ピストンリング27は、第1のエアダクト3bに接触しており、気密保持された状態で進退自在に設けられている。
また、挿入管部3は、基端部分が4方弁構造の操作部30に接続されている。この操作部30は、操作ボタン31と、2つのチューブ接続口金32,33が設けられている。
2つのチューブ接続口金32,33は、一方にエア供給チューブ34が接続され、他方に排気チューブ35が接続されている。なお、エア供給チューブ34は、ボンベ23が接続されている。
操作部30は、操作ボタン31によって、エア供給チューブ34を介してボンベ23からのエアを挿入管部3の第1のエアダクト3bまたは第2のエアダクト3cに供給すると共に、エアが供給されていない第1のエアダクト3bまたは第2のエアダクト3cを排気チューブ35と連通するように切替操作できる構成となっている。
以上のように構成された内視鏡用処置具1は、挿入管部3の第1のエアダクト3bにエアが供給されると、そのエアによる加圧によってピストンリング27を先端(前方)側に移動させることで、ロッド25に接続された先端把持部10を拡張固定部11に離反するように送り出す。
これに合わせて、ピストンリング27よりも先端側の第1のエアダクト3bおよび第2のエアダクト3c内の空気が操作部30を介して排気チューブ35から排気される。
また、内視鏡用処置具1は、挿入管部3の第2のエアダクト3cにエアが供給されると、先端側で第2のエアダクト3cに連通している第1のエアダクト3bにエアが入り、そのエアによる加圧によってピストンリング27を手元側となる基端(後方)側に移動させることで、ロッド25に接続された先端把持部10を拡張固定部11に近接するように移動させる。
このような構成としても、内視鏡用処置具は、第1の実施の形態と同様の作用効果を備えた構成となる。
(第2の変形例)
ここでの内視鏡用処置具1は、例えば、図12に示すように、第1の変形例の別形態を示し、挿入管部3の先端部分にピストンリング27を収容するシリンダ28を設けて、挿入管部3内にシリンダ28の内部にエアを給排するための内シース36を設けた構成となっている。
詳述すると、ここでの挿入管部3は、外シースを構成し、この挿入管部3の先端開口を封止するシール部材26の背面側に筒状のシリンダ28が挿入管部3の内周面と所定の隙間を有するように設けられている。
このシリンダ28の基端部には、チューブ状の可撓性を有した内シース36の先端が外装するように接続されている。
なお、シリンダ28は、内部の孔部28aと連通すると共に、挿入管部3の内部に連通する連通孔28bが先端側の外周に形成されている。シリンダ28の孔部28a内には、ピストンリング27が収容されている。
なお、ここでの操作部30(図11参照)は、操作ボタン31によって、エア供給チューブ34を介してボンベ23からのエアを挿入管部3内または内シース36内に供給すると共に、エアが供給されていない挿入管部3または内シース36を排気チューブ35と連通するように切替操作できる構成となっている。
以上のように構成された内視鏡用処置具1は、挿入管部3の内シース36にエアが供給されると、そのエアがシリンダ28の孔部28aに供給されて、そのエアによる加圧によってピストンリング27を先端(前方)側に移動させることで、ロッド25に接続された先端把持部10を拡張固定部11に離反するように送り出す。
これに合わせて、ピストンリング27よりも先端側のシリンダ28の孔部28aおよび挿入管部3内の空気が操作部30を介して排気チューブ35から排気される。このとき、ピストンリング27よりも先端側の孔部28aのエアは、連通孔28bから挿入管部3内に流れる。
また、内視鏡用処置具1は、挿入管部3内にエアが供給されると、シリンダ28の先端側で連通孔28bからピストンリング27よりも先端側の孔部28aにエアが送り込まれ、そのエアによる加圧によってピストンリング27を手元側となる基端(後方)側に移動させることで、ロッド25に接続された先端把持部10を拡張固定部11に近接するように移動させる。
このような構成としても、内視鏡用処置具は、第1の実施の形態と同様の作用効果を備えた構成となる。
(第3の変形例)
ここでの内視鏡用処置具1は、例えば、図13および図14に示すように、挿入管部3の先端に設けられる異物回収部2の構成において、上述の実施の形態において、先端(前方)側に設けられた先端把持部10を固定された先端固定部10aとし、手元側となる基端(後方)側に設けられる拡張固定部11を前後に可動する基端把持部11aとした構成となっている。
詳述すると、異物回収部2は、挿入管部3の先端部分に接続された管状部材40と、この管状部材40の先端に固定された先端固定部10aと、管状部材40の軸方向に沿って進退自在に設けられた基端把持部11aと、を有している。
先端固定部10aは、円環部41を有し、この円環部41の外周部から軸方向に対して直交する方向、即ち、管状部材40、挿入管部3などの長手軸回りの外方に向けて放射状に複数、ここでは4つの固定爪部42が延設されている。
なお、円環部41の内部には、開口部を塞ぐように略円柱状の磁石45が設けられている。この先端固定部10aは、挿入管部3の先端に嵌合されている。
基端把持部11aは、管状部材40内に収容された把持部材44を有し、この把持部材44の外周部から移動する軸方向に対して直交する方向、即ち、管状部材40、挿入管部3などの長手軸回りの外方に向けて放射状に複数、ここでは4つの把持爪部43が延設されている。
これら4つの把持爪部43は、管状部材40に形成された複数、ここでは4つのスリット40aから管状部材40から突出するように延設されている。
把持部材44は、先端側の中央部分に磁石46が設けられ、基端側に管状部材40内に収容された内シース47が接続されている。この内シース47は、把持部材44によって先端開口部が閉塞されている。
なお、先端固定部10aに設けられた磁石45と基端把持部11aに設けられた磁石46は、互いが反発するように設けられている。
以上のように構成された内視鏡用処置具1は、挿入管部3にエアが供給されると、そのエアが基端把持部11aに接続された内シース47に供給されて、そのエアによる加圧によって内シース47と共に基端把持部11aを先端(前方)側に移動させることで、基端把持部11aを先端固定部10aに近接するように先端側に移動させる。
また、内視鏡用処置具1は、挿入管部3内へのエアの供給を停止すると、磁石45,46の反発力によって、基端把持部11aを先端固定部10aから離反するように基端側へ移動させる。
ここでの内視鏡用処置具1は、異物回収部2の基端把持部11aを先端固定部10aに近接するように先端側に移動させることで、放射状に設けられた4つの固定爪部42と4つの把持爪部43のいずれかで異物100を把持して回収することができる。
このような構成としても、内視鏡用処置具は、第1の実施の形態と同様の作用効果を備えた構成となる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について、図面に基づいて以下に説明する。なお、第1および第2の実施の形態にて記載した各構成要素に関し、同一構成のものについては同じ符号を用いて、それらの詳細な説明を省略する。
図15は、異物回収部の構成を示す斜視図、図16は異物回収部の構成を示す断面図、図17は変形例の内視鏡用処置具の構成を概略的に示す平面図、図18は変形例の挿入管部の構成を示す断面図である。
本実施の形態の内視鏡用処置具1は、図15および図16に示すように、異物回収部2の先端把持部10および拡張固定部11をカップ状とした構成となっている。
詳述すると、異物回収部2の先端把持部10は、操作ワイヤ8の先端に設けられた口金53に固定された球冠状の先端カップ51を有している。
また、異物回収部2の拡張固定部11は、挿入管部3の先端に接続された管状部材54の先端に固定された球冠状の基端カップ52を有している。この管状部材54は、先端に外向フランジ54aが形成され、この外向フランジ54aに基端カップ52が固着されている。
これら先端カップ51および基端カップ52は、開口部側が対向するように配置され、合成樹脂、ゴムなどから形成されている。これら先端カップ51および基端カップ52は、操作ワイヤ8の長手軸方向に対して直交する方向、即ち、口金53、管状部材54、挿入管部3などの長手軸回りの外方に向けて放射状に肉厚部が延設するように設けられている。
このように構成された内視鏡用処置具1は、操作ワイヤ8の牽引弛緩操作によって、先端把持部10の先端カップ51が進退移動することで、拡張固定部11の基端カップ52に近接または離反するように操作される。
したがって、本実施の形態の内視鏡用処置具1は、異物回収部2の先端把持部10を拡張固定部11に近接するように手元側となる基端側に移動させることで、先端カップ51と基端カップ52の開口部が閉じられて密閉された状態となり、これら先端カップ51と基端カップ52により形成された球体内に異物100を収容して回収することができる。
(変形例)
なお、上述の内視鏡用処置具1は、図17に示すように、挿入管部3に連通する吸引チューブ55を接続して、この吸引チューブ55に吸引ポンプ56を接続することで、先端把持部10の先端カップ51と拡張固定部11の基端カップ52が密閉されて球状になった時に、吸引ポンプ56を駆動して、挿入管部3を介して先端カップ51と基端カップ52の空間内に収容された異物(100)を手元側に回収する構成としてもよい。
さらに、挿入管部3は、図18に示すように、操作ワイヤ8が挿通される孔部57と、吸引用の吸引管路58と、を有するマルチルーメンチューブとすることが好ましい。
以上に記載の内視鏡用処置具1は、操作ワイヤ8を牽引弛緩するための構成に関して、第1の実施の形態および第2の実施の形態に記載したいずれかの構成を適用できるものである。
(参考例)
以上に記載した本発明の内視鏡用処置具1において、異物回収部2の種々の形態について記載する。ここでも、内視鏡用処置具1は、操作ワイヤ8を牽引弛緩するための構成に関して、第1の実施の形態および第2の実施の形態に記載したいずれかの構成を適用できるものである。
図19は、第1の参考例の異物回収部の構成を示す斜視図、図20は第2の参考例の異物回収部の構成を示す斜視図、図21は第3の参考例の異物回収部の構成を示す斜視図、図22は第4の参考例の異物回収部の構成を示す斜視図である。
(第1の参考例)
内視鏡用処置具1の異物回収部2は、図19に示すように、先端把持部10が複数、ここでは3つの板状部材61を有して構成されている。これら3つの板状部材61は、細長な矩形板体であって、ステンレスなどの金属から形成されており、任意の形状に変形可能な構成となっている。
ここでの内視鏡用処置具1は、先端把持部10の3つの板状部材61が外方側に展開するように任意の形状に変形され、異物回収部2の先端把持部10を拡張固定部11に近接するように手元側となる基端側に移動させることで、3つの板状部材61と4つの把持片15のいずれかによって異物(100)を挟持して回収することができる。
板状部材61は、板状部材61と把持片15で挟持して異物100を回収するために手前側に湾曲した形状になっている。また、板状部材61をさらに牽引して挿入管部3の内部に引き入れることで板状部材61の先端が開いた状態から閉じた状態になり、先端側で異物を把持するために先端が逆側(内側)に曲がった形状になっている。
(第2の参考例)
ここでの内視鏡用処置具1の異物回収部2は、図20に示すように、先端把持部10がワイヤ、針金などを螺旋状に形成した螺旋部62を有して構成されている。
ここでの内視鏡用処置具1も、異物回収部2の先端把持部10を拡張固定部11に近接するように手元側となる基端側に移動させることで、螺旋部62と4つの把持片15のいずれかによって異物(100)を挟持して回収することができる。
(第3の参考例)
ここでの内視鏡用処置具1は、図21に示すように、従来構成の把持部70を備えた把持鉗子形態に異物回収部2を設けた構成となっている。ここでの先端把持部10は、把持鉗子における把持部70の後方側のシース71に設けられている。この先端把持部10は、シース71の長手軸回りの外方に向けて放射状に複数、ここでは4つの把持爪部63が設けられている。また、シース71には、拡張固定部11が設けられた外シース(不図示)が外挿されている。
ここでの内視鏡用処置具1は、外シース(不図示)に対してシース71を手元側にスライドさせて、異物回収部2の先端把持部10を拡張固定部11に近接するように手元側となる基端側に移動させることで、4つの把持爪部63と4つの把持片15のいずれかによって異物(100)を挟持して回収することができる。
この内視鏡用処置具1は、前方の異物(100)に関しては、先端側の把持部70で回収し、これとは別に手元側の異物回収部2によって、他の異物(100)も一度に回収することができる。
(第4の参考例)
ここでの内視鏡用処置具1は、図22に示すように、先端把持部10が複数、ここでは3つのワイヤ64を有し、これら3つのワイヤ64のそれぞれの中途部分に円柱状の突起部65を固定した構成となっている。これら3つのワイヤ64は、挿入管部3などの長手軸回りの外方に向けて放射状に展開するように形成されている。
ここでの内視鏡用処置具1も、異物回収部2の先端把持部10を拡張固定部11に近接するように手元側となる基端側に移動させることで、3つのワイヤ64と4つの把持片15のいずれかによって異物(100)を挟持して回収することができる。
さらに、この内視鏡用処置具1では、先端把持部10が基端側に移動すると、拡張固定部11の円管部14に収容されるにつれて、3つのワイヤ64が内方側に閉じるため、これら3つのワイヤ64の前方側で異物(100)を挟むようにして、さらに、3つのワイヤ64に設けられた突起部65によって挟んだ異物(100)を係止して回収することもできる。
上述の実施の形態に記載した発明は、その実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
1…内視鏡用処置具
2…異物回収部
3…挿入管部
3a…ルーメン
3b,3c…エアダクト
4…ハウジング部
5…操作ハンドル
6…固定ハンドル
7…ハンドル部
8…操作ワイヤ
10,10a…先端固定部
11…拡張固定部
11a…基端把持部
12…固定部
13…把持ワイヤ
14…円管部
15…把持片
16…磁石
17…蛇腹管
17a…空間
20…アクチュエータ
21…チューブ
22…操作バルブ
23…ボンベ
25…ロッド
26…シール部材
26a…リング
27…ピストンリング
28…シリンダ
28a…孔部
28b…連通孔
30…操作部
31…操作ボタン
32,33…チューブ接続口金
34…エア供給チューブ
35…排気チューブ
36…内シース
40…管状部材
40a…スリット
41…円環部
42…固定爪部
43…把持爪部
44…把持部材
45,46…磁石
47…内シース
51…先端カップ
52…基端カップ
53…口金
54…管状部材
54a…外向フランジ
55…吸引チューブ
56…吸引ポンプ
57…孔部
58…吸引管路
61…板状部材
62…螺旋部
63…把持爪部
64…ワイヤ
65…突起部
70…把持部
71…シース
100…異物

Claims (7)

  1. 処置具チャンネルに挿入されるシースと、
    前記シースの先端に設けられた異物回収部と、
    前記異物回収部に設けられ、前記シースの長手方向に進退操作され、前記シースの長手軸に直交した外径方向に延設された把持部と、
    前記把持部に対向するように前記異物回収部に設けられ、前記シースの長手軸に直交する外径方向に延設された固定部と、
    を有する、内視鏡の処置具チャンネルに挿入されて使用される内視鏡用処置具であって、
    前記把持部は、放射状に延設された複数のワイヤを有し、前記複数のワイヤは、前記固定部側に傾くように湾曲されて設けられていることを特徴とする内視鏡用処置具。
  2. 前記固定部は、放射状に延設された複数の把持片を有し、
    前記複数の把持片は、前記把持部側に弾性を有して傾くように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処置具。
  3. 前記固定部は、前記複数の把持片の基端側に長手方向の軸に沿って伸縮する蛇腹管を有していることを特徴とする請求項に記載の内視鏡用処置具。
  4. 前記蛇腹管は、内部に空間が形成された2重構造とし、前記空間内にエアが供給されることで、伸長することを特徴とする請求項に記載の内視鏡用処置具。
  5. エアの吸気による加圧または排気による減圧より伸縮自在なアクチュエータを有し、
    前記把持部が前記アクチュエータの駆動により前記シースの長手方向に進退することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処置具。
  6. 前記複数の把持片の周方向の形状は、前記ワイヤよりも幅広に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用処置具。
  7. 前記複数のワイヤは、前記複数の把持片よりも径方向に大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用処置具。
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