以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、以下で説明する実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。基板8を搬送する水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向(上下方向)とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。XY平面は、水平面である。XZ平面及びYZ平面のそれぞれは、XY平面と垂直に交わる。なお、Z軸方向は基板表面と垂直な第1軸とほぼ一致する。また、第1方向はZ軸方向とほぼ一致する。
図1は、本実施形態に係る電子部品実装装置10の概略構成を示す模式図である。図2は、本実施形態に係る電子部品実装装置10が有するヘッド15の一例を示す図である。図3は、本実施形態に係る電子部品実装装置10が有するヘッド15の一例を示す図である。
電子部品実装装置10は、基板8に電子部品80を実装する。電子部品80は、基板8に実装(搭載)される。本実施形態において、電子部品80は、所謂、リード型電子部品(挿入型電子部品)を含む。リード型電子部品は、リード84を有する。リード型電子部品は、基板8の開口にリード84が挿入されることによって基板8に実装される。なお、電子部品80が、所謂、チップ型電子部品(搭載型電子部品)を含んでもよい。チップ型電子部品は、リードを有しない。チップ型電子部品は、基板8に搭載されることによって基板8に実装される。チップ型電子部品は、例えばQFP(quad flat package)、及びSOP(small outline package)などを含む。
本実施形態において、電子部品実装装置10は、リード型電子部品(挿入型電子部品)を基板8に実装する。なお、電子部品実装装置10が、リード型電子部品(挿入型電子部品)及びチップ型電子部品(搭載型電子部品)の両方を基板8に実装可能でもよい。
図1、図2、及び図3において、電子部品実装装置10は、基板8を移動可能な基板搬送部12と、電子部品80を供給可能な部品供給ユニット14と、ノズル32を有するヘッド15と、ヘッド移動機構16及びノズル駆動部34を含み、ノズル32を移動可能な駆動装置26と、電子部品80の画像を取得可能なカメラを含むVCSユニット17と、ヘッド15に対して交換されるノズル32を保持する交換ノズル保持機構18と、電子部品80を貯留可能な部品貯留部19と、電子部品実装装置10の少なくとも一部が収容される筐体11とを備えている。また、電子部品実装装置10は、操作部40と、表示部42と、記憶部44と、電子部品実装装置10を制御する制御装置20とを備えている。
基板搬送部12は、基板8を移動(搬送)する。基板搬送部12は、基板8を支持して移動可能な搬送機構12Hと、搬送機構12Hを案内するガイド部材12Gとを含む。搬送機構12Hは、基板8を解放可能に保持する保持部材と、その保持部材を移動可能なアクチュエータとを含む。搬送機構12H(保持部材)は、基板8の表面(上面)8AとXY平面とが平行となるように基板8を支持する。本実施形態において、ガイド部材12Gは、X軸方向に長い。搬送機構12Hは、ガイド部材12Gに案内されて、X軸方向に移動可能である。基板搬送部12は、基板8を少なくともX軸方向に移動する。なお、基板搬送部12が、基板8をX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZの6つの方向に移動可能でもよい。基板8の表面8Aの少なくとも一部に電子部品80が実装(搭載)される。基板8の表面8Aは、電子部品80が搭載される搭載対象面である。
基板搬送部12は、基板8の表面8Aとヘッド15(ノズル32)の少なくとも一部とが対向するように基板8を移動可能である。基板8は、基板供給装置から電子部品実装装置10に供給される。搬送機構12Hは、基板供給装置から供給された基板8を、ガイド部材12Gの所定位置まで搬送する。ヘッド15(ノズル32)は、その所定位置に配置された基板8の表面8Aに、電子部品80を搭載する。基板8に電子部品80が搭載された後、基板搬送部12は、その基板8を次の工程を行う装置に搬送する。
部品供給ユニット14は、電子部品80をヘッド15(ノズル32)に供給する。部品供給ユニット14は、電子部品80を複数保持する。それら電子部品80の少なくとも一つがヘッド15(ノズル32)に供給される。部品供給ユニット14は、基板搬送部12よりもフロント側に配置される部品供給ユニット14fと、リア側に配置される部品供給ユニット14rとを含む。部品供給ユニット14fは、電子部品実装装置10のフロント側に配置される。部品供給ユニット14rは、電子部品実装装置10のリア側に配置される。ヘッド15(ノズル32)は、部品供給ユニット14から供給された電子部品80を基板8に実装(搭載)する。なお、部品供給ユニット14から供給される電子部品80は、同種の電子部品でもよいし、異種の電子部品でもよい。本実施形態において、部品供給ユニット14(14f、14r)は、リード型電子部品(挿入型電子部品)を供給する。部品供給ユニット14は、電子部品保持テープを有する。電子部品80は、電子部品保持テープに保持される。部品供給ユニット14は、電子部品保持テープを引き出して移動することによって、電子部品保持テープに保持された電子部品80を移動する。
ヘッド15は、電子部品80を基板8に実装する。ヘッド15は、ベースフレーム31と、ベースフレーム31に支持され、電子部品80の少なくとも一部を解放可能に保持するノズル32とを有する。ヘッド15は、部品供給ユニット14から供給された電子部品80をノズル32で保持する。ノズル32は、電子部品80を基板8に実装する。ノズル32は、基板搬送部12に支持された基板8に電子部品80を実装する。
駆動装置26は、ノズル32を移動する。駆動装置26は、基板8と対向する位置、及び部品供給ユニット14と対向する位置のそれぞれにノズル32を移動可能である。駆動装置26は、部品供給ユニット14から基板8まで電子部品80が移送されるように、ノズル32をXY平面において移動可能である。駆動装置26は、ヘッド15(ベースフレーム31)を移動可能なヘッド移動機構16と、ベースフレーム31に支持され、ノズル32を移動可能なノズル駆動部34とを含む。ヘッド移動機構16は、アクチュエータを含み、XY平面内においてヘッド15(ノズル32)を移動可能である。ノズル駆動部34は、アクチュエータを含み、Z軸方向及びθZ方向にノズル32を移動可能である。
ヘッド移動機構16は、X軸駆動部22及びY軸駆動部24を有する。X軸駆動部22及びY軸駆動部24のそれぞれは、アクチュエータを含む。X軸駆動部22は、ベースフレーム31(ヘッド15)と連結される。X軸駆動部22の作動により、ベースフレーム31がX軸方向に移動する。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してベースフレーム31(ヘッド15)と連結される。Y軸駆動部24の作動によりX軸駆動部22がY軸方向に移動されることによって、ベースフレーム31がY軸方向に移動する。
ベースフレーム31は、ノズル駆動部34を支持する。ノズル32は、ノズル駆動部34を介して、ベースフレーム31に支持される。ヘッド移動機構16の作動により、ベースフレーム31がX軸方向及びY軸方向に移動される。ベースフレーム31がXY平面内において移動されることにより、そのベースフレーム31に支持されているノズル駆動部34及びノズル32も、ベースフレーム31と一緒にX軸方向及びY軸方向に移動する。ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向及びθZ方向に移動する。すなわち、本実施形態において、駆動装置26は、ノズル32を、X軸、Y軸、Z軸、及びθZの4つの方向に移動可能である。なお、駆動装置26が、ノズル32を、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZの6つの方向に移動可能でもよい。
駆動装置26の作動によりノズル32が移動されることによって、そのノズル32に保持されている電子部品80も移動する。駆動装置26は、ノズル32と基板8との相対位置を調整可能である。ノズル32が移動されることによって、そのノズル32に保持されている電子部品80と基板8との相対位置が調整される。ノズル32は、保持した電子部品80を、基板8の表面8Aの任意の位置に移動可能である。ノズル32は、保持した電子部品80を、基板8の表面8Aの任意の位置に実装(搭載)可能である。
VCSユニット(部品状態検出部、状態検出部)17は、ノズル32に保持された電子部品80の形状、及びノズル32による電子部品80の保持状態を検出する。VCSユニット17は、画像認識装置を含み、電子部品80の画像を取得可能なカメラを含む。VCSユニット17は、ノズル32に保持された電子部品80を下側(−Z側)から撮影し、撮影された画像を解析することによって、ノズル32に保持された電子部品80の形状、及びノズル32による電子部品80の保持状態を検出する。VCSユニット17により取得された情報(電子部品80の形状に関する情報、及びノズル32による電子部品80の保持状態に関する情報)は、制御装置20に送られる。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズル32を保持する。交換ノズル保持機構18は、ヘッド15に対して交換されるノズル32を複数保持する。本実施形態において、ノズル32は、電子部品80を吸引して保持する吸引ノズル321と、電子部品80を挟んで保持する把持ノズル322とを含む。交換ノズル保持機構18は、吸引ノズル321及び把持ノズル322を保持する。交換ノズル保持機構18により、ヘッド15に装着されるノズル32が変更(交換)される。ヘッド15は、その装着されたノズル32で電子部品80を保持する。
部品貯留部19は、基板8に実装されない電子部品80を貯留する。部品貯留部19は、基板8に実装されない電子部品80が廃棄される廃棄ボックスを含む。ノズル32に保持されている電子部品80が基板8に実装されない場合、そのノズル32に保持されている電子部品80は、部品貯留部19に投入(廃棄)される。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体でもよい。制御装置20は、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える。操作部40及び表示部42はそれぞれ、制御装置20に接続される。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスであり、キーボード、マウス、及びタッチパネルの少なくとも一つを含む。操作部40は、検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面であり、タッチパネル及びビジョンモニタを含む。表示部42は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像をタッチパネル及びビジョンモニタに表示させる。記憶部44は、実装に関する各種の情報を記憶する。記憶部44は、制御装置20に接続される。記憶部44は、電子部品80に関する情報(データ)、及び基板8に関する情報(データ)を記憶する。
図2及び図3に示すように、ヘッド15は、ベースフレーム31と、ノズル駆動部34と、ノズル32と、撮影装置(基板状態検出部)36と、高さセンサ(基板状態検出部)37と、レーザ認識装置(部品状態検出部、状態検出部)38とを有する。
ヘッド15は、複数のノズル32を有する。複数のノズル32が一列に配置される。本実施形態においては、6本のノズル32が、X軸方向に配置される。
ベースフレーム31は、ノズル32、ノズル駆動部34、撮影装置36、高さセンサ37、及びレーザ認識装置38を支持する。上述のように、ベースフレーム31は、ヘッド移動機構16の作動により、X軸方向及びY軸方向に移動可能である。ヘッド移動機構16の作動によりベースフレーム31が移動されることによって、そのベースフレーム31に支持されているノズル32、ノズル駆動部34、撮影装置36、高さセンサ37、及びレーザ認識装置38のそれぞれが、ベースフレーム31と一緒に移動する。
ノズル32は、電子部品80を解放可能に保持する。図2及び図3に示す例では、ノズル32は、電子部品80を吸着して保持する吸引ノズル321である。吸引ノズル321は、電子部品80を吸着して保持する吸着機構を含む。吸引ノズル321の先端に開口33が設けられる。開口33から空気が吸引されることによって、吸引ノズル321の先端に電子部品80が吸着され、保持される。吸引ノズル321は、シャフト32aを含む。シャフト32aの先端に開口33が設けられる。シャフト32aの内部に、開口33と真空システム(吸引装置)とを接続する配管(流路)が設けられる。開口33を含む吸引ノズル321の先端部と電子部品80とが接触した状態で、開口33からの吸引動作が行われることにより、吸引ノズル321に電子部品80が保持される。開口33からの吸引動作が解除されることによって、電子部品80は吸引ノズル321から解放される。
撮影装置36は、カメラを含む。撮影装置36は、基板8の画像を取得可能である。また、撮影装置36は、基板8の表面8Aに形成された基準マークFMの画像を取得可能である。また、撮影装置36は、基板8に搭載された電子部品80の画像を取得可能である。また、撮影装置36は、部品供給ユニット14に存在する電子部品80の画像を取得可能である。撮影装置36は、基板8及び電子部品80のみならず、ヘッド15が対向する領域に配置される物体の画像を取得可能である。
高さセンサ37は、ヘッド15と対向する物体との距離を検出する。高さセンサ37は、基板8との距離、及び基板8に搭載された電子部品80との距離を検出可能である。高さセンサ37は、レーザ光(検出光)を射出する発光素子と、ヘッド15と対向する位置に配置されている物体に照射され、その物体で反射したレーザ光の少なくとも一部を受光可能な受光素子とを含む。
レーザ認識装置38は、電子部品80の状態を検出する。電子部品80の状態は、電子部品80の形状、及びノズル32で保持されている電子部品80の姿勢の少なくとも一方を含む。レーザ認識装置38は、ノズル32に保持されている電子部品80の状態を検出する。レーザ認識装置38は、ベースフレーム31の下部に接続されたブラケット50に内蔵されている。レーザ認識装置38は、レーザ光(検出光)を射出する光源38aと、光源38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部を受光可能な受光素子38bとを含む。光源38aは、レーザ光を射出可能な発光素子である。受光素子38bは、光源38aと対向する位置に配置されている。Z軸方向に関して、光源38aと受光素子38bとは同じ位置(高さ)に配置されている。レーザ認識装置38は、ノズル32に保持された電子部品80に対してレーザ光を照射して、電子部品80の状態を検出する。
次に、ノズル駆動部34について説明する。図4は、ノズル駆動部34の一例を示す図である。ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動可能なアクチュエータ(Z軸モータ)341と、ノズル32をθZ方向に移動可能なアクチュエータ(θZモータ)342とを含む。
図4に示すように、ヘッド15は、ベースフレーム31と、ベースフレーム31に設けられたガイド部101と、ガイド部101にガイドされてZ軸方向に移動可能な可動部材102と、ベースフレーム31に固定され、可動部材102をZ軸方向に移動するアクチュエータ(Z軸モータ)341とを備えている。Z軸モータ341には、カップリング110を介してボールねじ111が接続される。
また、ヘッド15は、アクチュエータ(θZモータ)342と、θZモータ342に接続されたプーリ108と、スプライン軸受107と、プーリ108及びスプライン軸受107に支持されるタイミングベルト109と、プーリ108、タイミングベルト109、及びスプライン軸受107を介してθZモータ342と接続される垂直回転駆動部軸受105とを備えている。スプライン軸受107は、垂直回転駆動部軸受105の内部に配置される。垂直回転駆動部軸受105は、シャフト32aと接続される。垂直回転駆動部軸受105の外周部に、回転ベアリング106が配置される。回転ベアリング106の外周部は、ベースフレーム100に固定される。可動部材102には、シャフト32aを回転可能に支持する下側回転ベアリング141及び上側回転ベアリング142が設けられる。垂直回転駆動部軸受105により、シャフト32aは、Z軸方向へ移動可能であり、θZ方向へ移動(回転)可能である。
可動部材102の一部に、ボールねじ111に噛み合うナット部118が固定されている。Z軸モータ341の作動によりボールねじ111が回転すると、ナット部118がZ軸方向に移動する。ナット部118がZ軸方向に移動することにより、そのナット部118が固定されている可動部材102もZ軸方向に移動する。これにより、シャフト32aを含むノズル32がZ軸方向に移動される。
可動部材102は、シャフト32aとナット部118との間に、変形部112を有する。変形部112は、可動部材102に設けられた円形の穴を含む。変形部112に、ひずみゲージ113が配置される。なお、ひずみゲージ113に代えて、ロードセルが変形部112に配置されてもよい。
例えば、ノズル32に保持された電子部品80を基板8に実装する場合において、電子部品80(リード84)の少なくとも一部が基板8に接触し、ノズル32の移動(下降)が妨げられると、アクチュエータ341の発生トルクが増加するとともに、ひずみゲージ(ロードセル)113の検出値が増大する。このように、本実施形態において、ヘッド15は、ノズル32に保持された電子部品80の少なくとも一部が基板8に接触したか否かを検出可能である。以下の説明において、ノズル32に保持された電子部品80の少なくとも一部が基板8に接触したか否かを検出可能なひずみゲージ(ロードセル)113及びアクチュエータ341の一方又は両方を適宜、検出装置100と称する。検出装置100は、ノズル32に保持された電子部品80(リード84)の少なくとも一部が基板8に接触したか否かを検出可能である。なお、検出装置100についての技術の一例が、例えば特開2012−174822号などに開示されている。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動可能なアクチュエータ341と、ノズル32をθZ方向に移動可能なアクチュエータ342とを含む。ノズル駆動部34の作動により、ノズル32は、Z軸方向及びθZ方向に移動される。ノズル32は、ノズル駆動部34を介して、ベースフレーム31に支持されている。ベースフレーム31は、ヘッド移動機構16の作動により、X軸方向及びY軸方向に移動される。ヘッド移動機構16の作動により、ベースフレーム31に支持されているノズル32は、X軸方向及びY軸方向に移動可能である。すなわち、本実施形態において、ノズル32は、ヘッド移動機構16の作動により、X軸方向及びY軸方向に移動可能であり、ノズル駆動部34の作動により、Z軸方向及びθZ方向に移動可能である。本実施形態において、駆動装置26は、ノズル32を、少なくともX軸、Y軸、Z軸、及びθZの4つの方向に移動可能である。なお、駆動装置26が、ノズル32を、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZの6つの方向に移動可能でもよい。
次に、把持ノズル322について説明する。上述のように、本実施形態において、ノズル32は、吸引ノズル321及び把持ノズル322を含む。なお、把持ノズル322を、グリッパノズル322と称してもよい。例えば、吸引ノズル321が電子部品80を保持することが困難である場合、把持ノズル322が用いられる。
図5は、把持ノズル322の一例を示す説明図である。図6は、把持ノズル322の保持動作を説明するための説明図である。把持ノズル322は、固定アーム692と、可動アーム694と、可動アーム694を移動可能な駆動部696とを有する。可動アーム694は、把持ノズル322の本体に支持される。可動アーム694は、支点695を中心に回転可能である。支点695は、例えば可動アーム694と把持ノズル322の本体とを回転可能に接続するヒンジ機構を含む。可動アーム694は、支点695を軸(回転軸)として、固定アーム692と対向する部分が固定アーム692に近づく方向及び遠ざかる方向の一方から他方へ移動するように、回転可能である。駆動部696は、可動アーム694のうち固定アーム692と対向する部分が固定アーム692に近づく方向及び遠ざかる方向の一方から他方へ移動するように、可動アーム694を移動可能である。駆動部696は、吸引ノズル321を駆動する駆動源(空気圧)により作動する。把持ノズル322の駆動部696に対して空気の吸引又は吸引の解除が行われることによって、固定アーム692に対して可動アーム694が移動する。可動アーム694は、駆動部696が移動することで、固定アーム692と対向する部分が固定アーム692に近づく方向から遠ざかる方向に移動する。
把持ノズル322は、電子部品80を解放可能に保持する。図6に示すように、把持ノズル322は、固定アーム692と可動アーム694との間に電子部品80の少なくとも一部が存在する状態で、固定アーム692と可動アーム694との距離を縮めることによって、電子部品80を保持(把持)することができる。把持ノズル322は、電子部品80を上方から保持(把持)する。
ヘッド15に対して、吸引ノズル321及び把持ノズル322の一方から他方に交換可能である。電子部品実装装置10は、保持する電子部品80の種類に応じて、その電子部品80を保持するノズル32の種類を選択することで、電子部品80を適切に保持することができる。具体的には、保持する電子部品80に応じて、吸引ノズル321を用いるか把持ノズル322を用いるかを選択し、さらにそれぞれの種類のノズル中でもどのノズルを用いるかを切り換えることで、1台の電子部品実装装置10でより多くの種類の電子部品80を実装することができる。
次に、本実施形態に係る電子部品80について説明する。図7は、本実施形態に係る電子部品80の一例を示す正面図である。図8は、本実施形態に係る電子部品80の一例を示す側面図である。図9は、本実施形態に係る電子部品80の一例を示す平面図である。本実施形態において、電子部品80は、挿入型電子部品(リード型電子部品、ラジアルリード型電子部品)である。電子部品80は、本体部82と、本体部82に接続されるリード84とを有する。リード84を、ピン84と称してもよい。
本体部82は、上面82Aと、上面82Aの反対方向を向く下面82Bと、上面82Aと下面82Bとを結ぶ側面82Cとを有する。リード84は、下面82Bから突出するように配置される。リード84は、本体部82(下面82B)と結ばれる基端部84Aと、基端部84Aとは反対側の端部である先端部84Bとを有する。リード84の一部は、曲げられている。すなわち、リード84は、屈曲部84Cを有する。屈曲部84Cは、先端部84Bと基端部84Aとの間に設けられる。先端部84Bと屈曲部84Cと基端部84Aとは同一平面内(図8に示す例ではXZ平面内)に配置される。本実施形態において、X軸方向に関する先端部84Bの位置と基端部84Aの位置とはほぼ等しい。屈曲部84Cは、先端部84Bと基端部84Aとの間において、+X方向に突出するように設けられる。電子部品80は、リード84を複数有する。リード84は、図中、Y軸方向に複数配置される。本実施形態において、電子部品80は、4本のリード84を有する。複数(4本)のリードのそれぞれが、基端部84A、先端部84B、及び屈曲部84Cを有する。
本実施形態において、吸引ノズル321は、電子部品80の本体部82を保持(吸着)する。吸引ノズル321は、本体部82の上面82Aを吸着して保持する。把持ノズル322は、電子部品80の本体部82を保持(把持)する。把持ノズル322は、本体部82の側面82Cを挟んで保持する。
次に、本実施形態に係る基板8について説明する。図10は、本実施形態に係る基板8の一部を示す平面図である。図11は、本実施形態に係る基板8の一部を示す断面図である。基板8は、電子部品80が実装(搭載)される部材である。基板8は、板状の部材である。基板8は、表面(上面)8Aと、表面8Aの反対方向を向く裏面(下面)8Bと、を有する。表面8Aと裏面8Bとは実質的に平行である。
基板8は、電子部品80のリード84が挿入される穴(挿入穴、基板孔)81を有する。基板8の穴81は、スルーホールである。穴81は、表面8Aと裏面8Bとを結ぶように形成される。表面8A側の穴81の端部(開口端)は、表面8Aと結ばれる。以下の説明において、表面8A側の穴81の開口端を適宜、開口83と称する。開口83は、基板8の表面8Aに設けられる。開口83の周囲に基板8の表面8Aが配置される。
電子部品80は、基板8の穴81にリード84が挿入されることによって基板8に実装される。リード84は、開口83を介して穴81に挿入される。リード84が穴81に挿入され、電子部品80が基板8に実装された状態において、本体部82の下面82Bと基板8の表面8Aとが対向する。本実施形態において、基板8は、複数(4本)のリード84のそれぞれが挿入されるように、複数(4つ)の開口83(穴81)を有する。図10に示すように、基板8の表面8Aにおいて、開口83は、Y軸方向に複数(4つ)配置される。
本実施形態において、リード84は、屈曲部84Cを有する。屈曲部84Cを有するリード84が基板8の穴81に挿入されることによって、その挿入されたリード84が基板8の穴81から抜けることが抑制される。
基板8の表面8Aには配線パターンが設けられる。配線パターンの表面に、リフローによってはんだが設けられる、はんだは、配線パターンと電子部品80とを接合する接合部材として機能する。なお、基板8は、電子部品80が実装可能(搭載可能)な部材であればよく、その構成は特に限定されない。
次に、図12から図18を参照して、レーザ認識装置38による電子部品80の形状の認識動作について説明する。図12は、電子部品80の形状の認識動作を説明するための説明図である。図13は、電子部品80の形状の認識動作を説明するための説明図である。図14は、電子部品80の形状の認識動作を説明するための説明図である。図15は、電子部品80の形状の認識動作を説明するための説明図である。図16は、電子部品80の形状の認識動作を説明するための説明図である。図17は、電子部品80の形状の認識動作を説明するための説明図である。図18は、認識動作の検出結果の一例を示す模式図である。
電子部品実装装置10は、レーザ認識装置38を用いて電子部品80の形状を検出する。図12及び図13に示すように、レーザ認識装置38は、光源38aと受光素子38bとの間に電子部品80の少なくとも一部が配置されている状態で、光源38aからレーザ光(検出光)を射出して、受光素子38bに到達したレーザ光を受光素子38bで検出して、光源38aと受光素子38bとの間に配置されている電子部品80の形状を検出する。
レーザ認識装置38の検出領域MAに配置された電子部品80の少なくとも一部の形状が、レーザ認識装置38によって検出される。レーザ認識装置38の検出領域MAは、レーザ認識装置38が形状を検出可能な領域であり、光源38aから射出されるレーザ光(検出光)の照射領域を含む。本実施形態において、光源38aから射出されたレーザ光(検出光)は、Y軸と平行な方向に進行する。また、光源38aから、複数のレーザ光が射出される。それら複数のレーザ光は、X軸方向に配置される。図14に示すように、本実施形態において、検出領域MAは、X軸方向に長い。また、検出領域MAは、X軸とほぼ平行である。制御装置20は、電子部品80の検出対象部位がレーザ認識装置38の検出領域MAに配置されるように、駆動装置26を制御して、本体部82を保持するノズル32の位置を調整する。検出対象部位は、レーザ認識装置38によって形状が検出される部位である。図13及び図14に示す例では、検出対象部位として本体部82の一部が検出領域MAに配置されている。
また、レーザ認識装置38は、ノズル32で保持した電子部品80の一方向の形状を検出した後、駆動装置26(ノズル駆動部34)によりノズル32を移動又は回転させることによって電子部品80を移動又は回動させて、電子部品80の形状の検出を行う。このように、電子部品80が回転することによって、図15に示すように、電子部品80に対してレーザ光が照射される方向及び電子部品80に対する受光素子38bの角度が変化する。
図16に示すように、制御装置20は、Z軸方向に関する電子部品80の位置(高さ)を調整し、光源38aと受光素子38bとの間に電子部品80が配置された状態で、光源38aからレーザ光(検出光)を射出する(ステップS11)。光源38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部は、受光素子38bに受光される。これにより、電子部品80の少なくとも一部の形状が、レーザ認識装置38によって検出される。すなわち、電子部品80で遮られたレーザ光は、受光素子38bに到達しない又は強度が低下する。これにより、レーザ認識装置38は、受光素子38bで受光したレーザ光の分布に基づいて、測定した角度の断面における電子部品80の形状を検出することができる。本実施形態において、レーザ認識装置38は、受光素子38bで受光したレーザ光の端部を検出し、その向きにおける電子部品80の最外形を検出する。その後、制御装置20は、電子部品80の回転(θ方向の回転)を開始する(ステップS12)。
電子部品80の回転の回転速度が一定速度に到達した後、制御装置20は、レーザ認識装置38で電子部品80の所定向きの形状の検出を開始する(ステップS13)。レーザ認識装置38は、光源38aと受光素子38bとの間に電子部品80が配置された状態で、光源38aからレーザ光を射出して、その光源38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部を受光素子38bで受光する。電子部品実装装置10は、電子部品80を回転させつつ、ステップS13の方法による電子部品80の形状の検出を繰り返すことで、電子部品80の一周分の形状を検出する(ステップS14)。これにより、電子部品80の全方向の形状が検出される。このように、レーザ認識装置38は、一周分の方向からの形状を検出し、図17に示すように各方向形状の検出結果を重ね合わせることで、電子部品80の三次元形状(最外部分の形状)を正確に検出することができる。例えば、検出対象部位が本体部82の少なくとも一部である場合、レーザ認識装置38の検出領域MAに本体部82(検出対象部位)が配置された状態で、光源38aからレーザ光(検出光)を射出して、その光源38aからのレーザ光の少なくとも一部を受光素子38bで検出することによって、図18に示すように、レーザ認識装置38は、本体部82の形状を検出することができる。
次に、図19、図20、及び図21を参照して、電子部品80の形状を検出する処理の一例について説明する。本実施形態においては、レーザ認識装置38を使って、少なくとも電子部品80のリード84の形状の検出が行われる。図19は、リード84の形状を検出する手順の一例を示すフローチャートである。図20は、電子部品80とレーザ認識装置38の検出領域MAとの関係を説明するための説明図である。図21は、リード84の形状を検出するときのレーザ認識装置38の光源38aと受光素子38bとリード84との関係を示す模式図である。
制御装置20は、電子部品80の検出対象部位を決定する(ステップS22)。検出対象部位は、レーザ認識装置38によって形状が検出される部位である。制御装置20は、電子部品80において形状が検出される検出対象部位を決定する。電子部品80は、本体部82とリード84とを有する。本実施形態においては、少なくともリード84が検出対象部位として決定される。
Z軸方向に関して、電子部品80(リード84)の形状が異なる。例えば、基端部84Aにおけるリード84の形状と、先端部84Bにおけるリード84の形状と、屈曲部84Cにおけるリード84の形状とは、それぞれ異なる。本実施形態においては、Z軸方向に関して異なる複数のリード84の部位のそれぞれが検出対象部位として決定される。本実施形態においては、少なくとも、リード84の基端部84A、先端部84B、及び屈曲部84Cが検出対象部位として決定される。制御装置20は、電子部品80を保持しているノズル32のZ軸方向の位置(高さ)を調整して、レーザ認識装置38の検出領域MAにリード84の複数の検出対象部位を順次配置し、それら複数の検出対象部位それぞれの形状を、レーザ認識装置38を用いて検出する。
例えば、図20に示すように、基端部84Aにおけるリード84の形状を検出する場合、レーザ認識装置38の検出領域MAに基端部84Aが配置された状態で、光源38aからレーザ光(検出光)を射出する。そして、その光源38aからのレーザ光の少なくとも一部を受光素子38bで検出することによって、レーザ認識装置38は、基端部84Aにおけるリード84の形状を検出することができる。また、先端部84Bにおけるリード84の形状を検出する場合、レーザ認識装置38の検出領域MAに先端部84Bが配置された状態で、光源38aからレーザ光(検出光)を射出する。そして、その光源38aからのレーザ光の少なくとも一部を受光素子38bで検出することによって、レーザ認識装置38は、先端部84Bにおけるリード84の形状を検出することができる。また、屈曲部84Cにおけるリード84の形状を検出する場合、レーザ認識装置38の検出領域MAに屈曲部84Cが配置された状態で、光源38aからレーザ光(検出光)を射出する。そして、その光源38aからのレーザ光の少なくとも一部を受光素子38bで検出することによって、レーザ認識装置38は、屈曲部84Cにおけるリード84の形状を検出することができる。
制御装置20は、リード84の少なくとも一部がレーザ認識装置38の検出領域MAに配置されるように、駆動装置26を制御して、ノズル32に保持されている電子部品80のZ軸方向に関する位置を調整する。図21に示すように、光源38aと受光素子38bとがY軸方向に配置され、光源38aから射出されるレーザ光(検出光)がY軸と平行に進行する場合、光源38aと受光素子38bとの間において複数(4本)のリード84がY軸方向に配置されるように、レーザ認識装置38に対する電子部品80(リード84)の位置が定められる。図8などを参照して説明したように、本実施形態において、基端部84Aと先端部84Bと屈曲部84Cとは同一平面内(図8及び図21に示す例ではXZ平面内)に配置される。本実施形態において、X軸方向に関する基端部84Aの位置と先端部84Bの位置とはほぼ等しい。屈曲部84Cは、先端部84Bと基端部84Aとの間において、+Z方向に突出するように設けられる。複数(4本)のリード84は、基端部84Aと先端部84Bと屈曲部84Cとが配置されるXZ平面と直交するY軸と平行な方向に配置される。本実施形態においては、XZ平面内における基端部84Aと先端部84Bと屈曲部84Cとの位置関係が検出されるように、光源38aと受光素子38bとの間において、レーザ光(検出光)の進行方向(Y軸方向)と、基端部84Aと先端部84Bと屈曲部84Cとが配置される平面(XZ平面)とが直交するように、光源38aと受光素子38bとの間にリード84が配置される。
なお、図21に示すように、リード84の形状を検出する場合、4本のリード84のうち、光源38aに最も近いリード84にレーザ光(検出光)が照射される。また、例えば屈曲部84Cにおけるリード84の形状を検出する場合、その屈曲部84Cがレーザ認識装置38の検出領域MAに配置され、その屈曲部84Cに対してレーザ光(検出光)が照射される。また、図21は、駆動装置26を上下方向に順次移動した際の認識経過を表している(基端部84A84A、屈曲部84C、先端部84Bまで認識状態を重ねたものである)。
レーザ認識装置38は、光源38aと受光素子38bとの間にリード84が配置された状態で、光源38aから検出領域MAにレーザ光を照射して、受光素子38bでレーザ光を受光する。リード84で遮られたレーザ光は、受光素子38bに到達しない又は強度が低下する。これにより、レーザ認識装置38は、受光素子38bで受光したレーザ光の分布に基づいて、XZ平面内におけるリード84の形状を検出することができる。
例えば、基端部84Aにおけるリード84の形状を検出する場合、制御装置20は、基端部84Aを検出対象部位に決定する。制御装置20は、レーザ認識装置38の検出領域MAに基端部84Bが配置されるように、本体部82を保持したノズル32の位置(Z軸方向に関する位置)を調整する。すなわち、制御装置20は、駆動装置26を制御して、ノズル32に保持されている電子部品80のZ軸方向に関する位置を調整して、リード84の基端部84A(検出対象部位)をレーザ認識装置38の検出領域MAに配置する(ステップS24)。
Z軸方向に関する電子部品80の位置が調整され、基端部84A(検出対象部位)がレーザ認識装置38の検出領域MAに配置された状態で、制御装置20は、光源38aからレーザ光(検出光)を射出する。すなわち、光源38aと受光素子38bとの間にリード84(基端部84A)が配置されている状態で、光源38aからレーザ光が射出される。光源38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部は、検出領域MAに配置されている基端部84Aに照射される。光源38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部は、受光素子38bに検出される。これにより、レーザ認識装置38によって、光源38aと受光素子38bとの間に配置されている基端部84Aにおけるリード84の形状が検出される(ステップS26)。
制御装置20は、ステップS26で基端部84A(検出対象部位)におけるリード84の形状を検出した後、検出処理が終了したか否かを判断する(ステップS28)。すなわち、制御装置20は、ステップS22で決定した検出対象部位における形状の検出が終了したかを判断する。
制御装置20は、ステップS28において検出が終了していないと判断し、先端部84Bにおけるリード84の形状を検出する処理を開始する。すなわち、制御装置20は、レーザ認識装置38の検出領域MAに先端部84Bが配置されるように、本体部82を保持したノズル32の位置(Z軸方向に関する位置)を調整する。制御装置20は、駆動装置26を制御して、ノズル32に保持されている電子部品80のZ軸方向に関する位置を調整して、リード84の先端部84B(検出対象部位)をレーザ認識装置38の検出領域MAに配置する(ステップS24)。
Z軸方向に関する電子部品80の位置が調整され、先端部84B(検出対象部位)がレーザ認識装置38の検出領域MAに配置された状態で、制御装置20は、光源38aからレーザ光(検出光)を射出する。すなわち、光源38aと受光素子38bとの間にリード84(先端部84B)が配置されている状態で、光源38aからレーザ光が射出される。光源38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部は、検出領域MAに配置されている先端部84Bに照射される。光源38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部は、受光素子38bに検出される。これにより、レーザ認識装置38によって、光源38aと受光素子38bとの間に配置されている先端部84Bにおけるリード84の形状が検出される(ステップS26)。
制御装置20は、ステップS26で先端部84B(検出対象部位)におけるリード84の形状を検出した後、検出処理が終了したか否かを判断する(ステップS28)。すなわち、制御装置20は、ステップS22で決定した検出対象部位における形状の検出が終了したかを判断する。
制御装置20は、ステップS28において検出が終了していないと判断し、屈曲部84Cにおけるリード84の形状を検出する処理を開始する。すなわち、制御装置20は、レーザ認識装置38の検出領域MAに屈曲部84Cが配置されるように、本体部82を保持したノズル32の位置(Z軸方向に関する位置)を調整する。制御装置20は、駆動装置26を制御して、ノズル32に保持されている電子部品80のZ軸方向に関する位置を調整して、リード84の屈曲部84C(検出対象部位)をレーザ認識装置38の検出領域MAに配置する(ステップS24)。
Z軸方向に関する電子部品80の位置が調整され、屈曲部84C(検出対象部位)がレーザ認識装置38の検出領域MAに配置された状態で、制御装置20は、光源38aからレーザ光(検出光)を射出する。すなわち、光源38aと受光素子38bとの間にリード84(屈曲部84C)が配置されている状態で、光源38aからレーザ光が射出される。光源38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部は、検出領域MAに配置されている屈曲部84Cに照射される。光源38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部は、受光素子38bに検出される。これにより、レーザ認識装置38によって、光源38aと受光素子38bとの間に配置されている屈曲部84Cにおけるリード84の形状が検出される(ステップS26)。
制御装置20は、ステップS26で屈曲部84C(検出対象部位)におけるリード84の形状を検出した後、検出処理が終了したか否かを判断する(ステップS28)。すなわち、制御装置20は、ステップS22で決定した検出対象部位における形状の検出が終了したかを判断する。制御装置20は、検出終了ではない(No)と判定した場合、ステップS24に進み、ステップS24及びステップS26の処理を再び行い、検出が終了していない検出対象部位の形状を検出する。制御装置20は、このように電子部品80の位置の調整と形状の検出とを繰り返すことで、設定した検出対象部位の形状を検出する。
なお、リード84の検出対象部位は、基端部84A、先端部84B、及び屈曲部84Cに限られない。先端部84Bと屈曲部84Cとの間のリード84の一部分が検出対象部位として設定されてもよいし、屈曲部84Cと基端部84Aとの間のリード84の一部分が検出対象部位として設定されてもよい。
Z軸方向に関する検出対象部位の間隔(ピッチ)は、目標とされる検出精度(形状検出精度)に基づいて定められてもよい。換言すれば、Z軸方向にリード84(電子部品80)を移動して、検出領域MAに複数の検出対象部位を順次配置することによってリード84の形状を検出する場合、検出領域MAに対するリード84の移動量(シフト量)が、目標とされる検出精度(形状検出精度)に基づいて定められてもよい。例えば、屈曲部84Cの近傍におけるリード84の形状を高精度に求めたい場合、図20に示すように、制御装置20は、検出対象部位Rのピッチptを小さくして、レーザ認識装置38による検出を実行する。なお、制御装置20は、例えば検出時間の短縮などを目的として、ピッチptを大きくして、レーザ認識装置38による検出を実行してもよい。制御装置20は、電子部品80を保持しているノズル32のZ軸方向の位置(高さ)を調整して、レーザ認識装置38の検出領域MAに配置される検出対象部位を変化させることによって、レーザ認識装置38を用いて、電子部品80の様々な位置(部位)の形状を検出することができる。
図22は、レーザ認識装置38を使って検出されたリード84の一例を示す図である。本実施形態においては、レーザ認識装置38の検出領域MAに、少なくともリード84の基端部84Aと先端部84Bと屈曲部84Cとのそれぞれが配置されるように、レーザ認識装置38の検出領域MAに対して、Z軸方向に関してリード84(本体部82を保持するノズル32)を移動しつつ、光源38aよりレーザ光(検出光)を射出して、その光源38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部を受光素子38bで検出する。
図22に示すように、レーザ認識装置38を使ってリード84の形状が検出されることにより、レーザ認識装置38によって規定される座標系(XZ平面内における座標系)において、基端部84A、先端部84B、及び屈曲部84Cそれぞれの位置が規定される。この座標系において、基端部84Aの位置がa点として規定され、先端部84Bの位置がb点として規定され、屈曲部84Cの位置がc点として規定される。a点は、X軸方向に関して基端部84Aの中心の位置であり、b点は、X軸方向に関して先端部84Bの中心の位置であり、c点は、屈曲部84Cの最も+X側の先端の位置である。a点は、b点及びc点よりも+Z側に配置される。c点は、a点及びb点よりも+X側に配置される。c点は、a点よりも−Z側に配置され、b点よりも+Z側に配置される。本実施形態において、X軸方向に関するa点の位置とb点の位置とは等しい。
また、この座標系において、a点(基端部84A)とb点(先端部84B)とを結ぶ仮想的な第1直線L1が規定される。第1直線L1は、Z軸と平行である。また、この座標系において、X軸と平行であり、c点(屈曲部84C)を通る仮想的な第2直線L2が規定される。第1直線L1と第2直線L2とは垂直に交わる。第1直線L1と第2直線L2との交点としてd点が規定される。c点は、第2直線L2と屈曲部84Cとの交点である。
本実施形態において、制御装置20は、リード84の複数の検出対象部位それぞれの検出結果に基づいて、リード84全体の形状を導出する。例えば、基端部84Aにおける検出結果と、先端部84Bにおける検出結果と、屈曲部84Cにおける検出結果とに基づいて、リード84全体の形状が導出されてもよい。すなわち、制御装置20は、座標系におけるa点の位置とb点の位置とc点の位置とを求め、それら3つの点(a点、b点、及びc点)の位置を結ぶ(補間する)ことによって、リード84全体の形状を求めてもよい。もちろん、検出対象部位のピッチptを十分に小さくして、検出対象部位の数を増やし、それら多数の検出対象部位それぞれにおける形状の検出結果に基づいて、リード84全体の形状が導出されてもよい。
次に、上述の電子部品実装装置10を用いて基板8に電子部品80を実装する方法の一例について説明する。図23は、本実施形態に係る電子部品実装装置10の動作の一例を示すフローチャートである。図23に示すフローチャートは、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を示す。なお、図23に示す処理は、制御装置20が各部を制御することで実行される。
制御装置20に生産プログラムが読み込まれる(ステップS52)。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御装置20によって作成されたりする。
生産プログラムが読み込まれた後、制御装置20は、装置の状態を検出する(ステップS54)。具体的には、部品供給ユニット14(14f、14r)の構成、充填されている電子部品80の種類、準備されているノズル32の種類等の検出が行われる。
装置の状態が検出され、準備が完了した後、事前データの取得が行われる(ステップS56)。事前データは、電子部品80に関する情報(データ)、及び基板8に関する情報(データ)を含み、電子部品80を基板8に実装するために必要な各種の情報を含む。電子部品80に関する情報は、電子部品80の形状に関する情報(データ)を含む。電子部品80の形状に関する情報は、リード84の形状に関する情報(データ)を含む。上述したように、電子部品80(リード84)の形状に関する情報は、レーザ認識装置38を使って取得可能である。事前データを、部品データと称してもよい。基板8に関する情報は、穴81(開口83)の寸法に関する情報(データ)を含む。また、事前データは、ノズル32が電子部品80を保持する位置(Z軸方向に関する位置)に関する情報、及びレーザ認識装置38で検出される電子部品80の検出対象部位に関する情報を含む。取得された事前データ(部品データ)は、制御装置20に接続された記憶部44に記憶(格納)される。
本実施形態において、事前データを取得することは、電子部品80(リード84)の形状に関する目標値(目標形状、参照形状)に関する情報を取得することを含む。例えば、レーザ認識装置38を使って複数の電子部品80(リード84)の形状を取得し、それら複数の形状に関する情報の平均値を、事前データ(部品データ)として記憶部44に記憶されてもよい。また、電子部品80(リード84)の設計値情報(設計データ)が、事前データ(部品データ)として記憶部44に記憶されてもよい。
また、ステップS56において、電子部品80(リード84)の形状に関する許容範囲(許容値)が決定される。
電子部品実装装置10に、基板8が搬入される(ステップS58)。基板8が搬入され、電子部品80を実装する位置に基板8が配置された後、制御装置20は、電子部品80を搬入する(ステップS60)。
制御装置20は、レーザ認識装置38を使った電子部品80の形状の検出を、電子部品80ごとに行うか否かを判断する(ステップS62)。
電子部品80の形状の検出は、電子部品80が不良品であるか否かのチェックを含む。ステップS62において、電子部品80ごとに形状の検出を行うと判断された場合(Yesの場合)、制御装置20は、搬入された電子部品80(リード84)の形状に関する情報(データ)を、レーザ認識装置38を使って取得する(ステップS64)。本実施形態においては、少なくともリード84の形状の検出が行われる。
なお、ステップS64において実行されるリード84の形状の検出精度が、ステップS56において実行されるリード84の形状の検出精度よりも高くてもよい。例えば、ステップS64で行われるリード84の検出における検出対象部位のピッチptが、ステップS56で行われるリード84の検出における検出対象部位のピッチptよりも小さくてもよい。例えば、ステップS60において搬入された電子部品80の個体差(製造誤差)に起因して、Z軸方向に関する屈曲部84Cの位置が、設計値(目標値)に対して異なる可能性がある。そのような場合、屈曲部84Cの形状(位置)を精確に取得するために、ステップS64で行われるリード84の検出における検出対象部位(屈曲部84Cの近傍での検出対象部位)のピッチptを小さくして、検出精度を高めてもよい。制御装置20は、それら複数の検出対象部位の検出結果のうち、c点とd点との距離が最も大きい検出結果を示す検出対象部位を、屈曲部84Cとしてもよい。なお、ピッチptを例えば1mm程度に設定することにより、検出精度を高めることができる。
制御装置20は、ステップS64においてレーザ認識装置38を使って取得したリード84の形状に関する情報と、ステップS56において事前に取得したリード84の形状に関する情報とを比較する(ステップS66)。
制御装置20は、ステップS66において比較した結果に基づいて、ステップS60において搬入された電子部品80が適正か否かを判断する(ステップS68)。すなわち、制御装置20は、搬入された電子部品80が不良品であるか否かを判断する。制御装置20は、ステップS66での検出結果とステップS56で取得した事前データとを比較することによって、ノズル32に保持されている電子部品80が事前データ(部品データ)に一致する形状であるかどうか、事前データに対して許容範囲内の形状であるかどうか、実装可能な形状であるかどうか、リード84が穴81に挿入可能であるかどうかなどを判断する。
電子部品80が適正であるかどうかの判断は、検出した電子部品(リード)の形状(寸法)が許容範囲か否かの判断を含む。検出した電子部品(リード)の形状が許容範囲か否かの判断は、複数(4本)のリードの最外形状の寸法(4本のリードのうち最も−Y側に配置されるリードと最も+Y側に配置されるリードとの間隔)が許容範囲に含まれるかを判断することを含む。また、検出したリードの最外形状と、リードを挿入する基板の穴とを比較し、リードの最外形状の間隔が挿入穴の間隔の許容範囲内であるかを判断してもよい。また、例えば、図22を参照して説明したようなc点とd点との距離が、ステップS56において予め定めておいた許容値以下(許容範囲内)かどうかが判断されてもよい。
また、電子部品80が適正であるかどうかの判断は、検出した電子部品80が、実装する電子部品80と一致するか否かの判断を含む。例えば、リード84の形状の特徴点に基づいて、ノズル32が保持している電子部品80が、実装対象の電子部品80であるかを判断してもよい。リード84の形状の特徴点は、例えばリード84の数、リード84間の間隔、長さ、径、及び形状の少なくとも一つを含む。
また、制御装置20は、検出結果と事前データとを比較した結果、電子部品80が実装可能な状態でノズル32に保持されているかどうかを判断してもよい。
なお、ステップS62において、電子部品80ごとに形状の検出を行わないと判断された場合、制御装置20は、ステップS56で事前に取得した電子部品80(リード84)の形状に関する情報に基づいて、ステップS68以降の処理を行う。
ステップS68において、電子部品80が適正でない(不良品である)と判断された場合(ステップS68においてNoの場合)、制御装置20は、そのノズル32に保持されている電子部品80を廃棄する(ステップS70)。制御装置20は、部品貯留部19と対向する位置にノズル32を移動し、そのノズル32に保持されている電子部品80を部品貯留部19に投入(廃棄)する。電子部品80が廃棄された後、新たな電子部品80が搬入される(ステップS60)。新たな電子部品80は、廃棄された電子部品80と同一種類の電子部品80であり、基板8の同一搭載位置(実装位置)に実装する処理を再び実行する。
ステップS68において、電子部品80が適正であると判定された場合(ステップS68においてYesの場合)、制御装置20は、そのノズル32に保持されている電子部品80の実装を行う(ステップS72)。
電子部品80の実装が完了した後、制御装置20は、基板8を搬出する(ステップS74)。基板8が搬出された後、制御装置20は、生産終了かを判定する(ステップS76)。ステップS76において、生産終了ではない(No)と判定された場合、電子部品実装装置10は、ステップS58に進み、ステップS58からステップS74までの処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板8に電子部品80を実装する処理を実行する。ステップS76で生産終了である(Yes)と判断された場合、本処理が終了する。
以上のようにして、制御装置20は、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板8に電子部品80を実装することで、電子部品80が実装された基板8を製造する。
次に、図24に示すフローチャートを参照して、事前データ(部品データ)を取得する処理(図23のステップS56)の一例について説明する。
上述のように、事前データは、電子部品80を基板8に実装するために必要な各種の情報を含む。事前データは、電子部品80に関する情報(データ)、及び基板8に関する情報(データ)を含む。本実施形態においては、電子部品80が実装される基板8に関する情報が取得される。具体的には、基板8の穴81(開口83)の寸法に関する情報が取得される。本実施形態において、開口83は、円形である。事前データとして、開口83の直径(又は半径)に関する情報が取得される。開口83の寸法に関する情報は、設計値情報(設計データ)でもよい。取得された情報に基づいて、開口83の寸法が決定される(ステップS562)。その開口83の寸法に関する情報が、記憶部44に記憶(格納)される。
電子部品80の形状に関する情報(データ)が取得される(ステップS564)。電子部品80の形状に関する情報は、リード84の形状に関する情報(データ)を含む。電子部品80(リード84)の形状に関する情報は、レーザ認識装置38を使って取得可能である。電子部品80(リード84)の形状に関する情報は、設計値情報(設計データ)でもよい。その電子部品80(リード84)の形状に関する情報が、記憶部44に記憶(格納)される。本実施形態においては、電子部品80(リード84)の形状に関する情報が複数取得され、データベース化される。
上述のように、事前データ(部品データ)は、電子部品80(リード84)の形状に関する目標値(目標形状、参照形状)に関する情報を含む。例えば、レーザ認識装置38を使って複数の電子部品80(リード84)の形状を取得し、それら複数の形状に関する情報の平均値を、事前データ(部品データ)として記憶部44に記憶してもよい。
本実施形態においては、ステップS564で取得した情報に基づいて、電子部品80(リード84)の形状についての許容値が決定される(ステップS566)。例えば、リード84の形状が、基板8の開口83に挿入可能かどうかについての許容値が決定される。
次に、図25から図32を参照して、電子部品80を基板8に実装(搭載)する処理(図23のステップS72)の一例について説明する。本実施形態において、電子部品80を基板8に実装する処理は、電子部品80のリード84を基板8の開口83(穴81)に挿入する処理を含む。図25は、電子部品80を基板8に実装(搭載)する処理の一例を示すフローチャートである。図26は、電子部品80の本体部82を保持したノズル32の移動経路を説明するための説明図である。図27から図32は、電子部品80が基板8に実装される手順を模式的に示した図である。なお、電子部品80は、ノズル32に保持された状態で基板8に実装される。図27から図32においては、電子部品80(本体部82)を保持するノズル32の図示が省略されている。また、図27から図32においては、開口83が誇張して示されている。開口83の寸法(直径)は、リード84の断面の寸法(太さ)の例えば1.5倍以上5倍以下に定められてもよい。開口83の寸法は、リード84の寸法の例えば2倍程度でもよいし、3倍程度でもよい。
制御装置20は、リード84の形状に基づいて、リード84を開口83(穴81)に挿入するためのノズル32(電子部品80)の移動経路を決定する(ステップS722)。駆動装置26は、制御装置20により決定された移動経路に基づいて、本体部82を保持したノズル32を移動する。
上述のように、本実施形態において、リード84の形状は、レーザ認識装置38を使って検出される。制御装置20は、レーザ認識装置38の検出結果に基づいて、リード84を開口83(穴81)に挿入するためのノズル32(電子部品80)の移動経路を決定する。すなわち、制御装置20は、リード84の形状に基づいて、リード84の先端部84Bが開口83の内側に位置する第1状態から、リード84に設けられた屈曲部84Cが開口83の内側に位置する第2状態を経て、リード84の基端部84Aが開口83の内側に位置する第3状態に変化するように、本体部82を保持したノズル32の移動経路を決定する。
図26は、ノズル32の移動経路を説明するための説明図である。図26に示すように、屈曲部84Cは、先端部84Bと基端部84Aとの間において+X方向(第2方向)に突出するように設けられる。本実施形態においては、先端部84Bが開口83の内側に位置する第1状態から基端部84Aが開口83の内側に位置する第3状態への変化のためのノズル32の移動期間の少なくとも一部において、先端部84Bと基端部84Aとを結ぶ仮想的な第1直線L1とリード84との間を開口83の中心が通るように、移動経路が決定される。
また、本実施形態においては、X軸と平行であり屈曲部84Cを通る仮想的な第2直線L2と屈曲部84Cとの交点であるc点と、第2直線L2と第1直線L1との交点であるd点との中心(中点)Mを開口83の中心が通るように、移動経路が決定される。
本実施形態において、移動経路は、Z軸に対して傾斜する先端部84Bと屈曲部84Cとの間のリード84の第1部分841と、第1直線L1と、第2直線L2とによって形成される三角形bcdにおいて、第1直線L1と第1部分841との間の頂点(b点)と第2直線L2の中点Mとを結ぶ第1中線LM1を含むように決定される。換言すれば、開口83の中心が第1中線LM1の少なくとも一部を通るように、移動経路が決定される。
また、移動経路は、Z軸に対して傾斜する屈曲部84Cと基端部84Aとの間のリード84の第2部分842と、第1直線L1と、第2直線L2とによって形成される三角形acdにおいて、第1直線L1と第2部分842との間の頂点(a点)と第2直線L2の中点Mとを結ぶ第2中線LM2の少なくとも一部を含むように決定される。換言すれば、開口83の中心が第2中線LM2の少なくとも一部を通るように、移動経路が決定される。
移動経路が決定された後、図27に示すように、制御装置20は、リード84の先端部84Bが開口83の中心に位置するように、本体部82を保持したノズル32をXY平面内において移動する(ステップS724)。
本実施形態においては、ノズル32に保持された状態で、リード84がVCSユニット17(画像認識装置、カメラ)によって認識され、そのVCSユニット17の座標系における先端部84Bの位置が決定される。また、制御装置20は、基板位置検出装置(不図示)を使ってXY平面内における搬送機構12Hの位置を検出しつつ、撮影装置36(カメラ)を使って基板8の表面8Aに形成された基準マークFMを検出する。基準マークFMと開口83との位置関係は、例えば事前データ(基板8の設計データを含む)の取得の処理(ステップS56)により既知である。これにより、基板位置検出装置の座標系における開口83の位置が決定される。また、開口83の寸法は、事前データの取得の処理(ステップS56)により既知である。制御装置20は、VCSユニット17の座標系と基板位置検出装置の座標系との関連付けを行うことによって、XY平面内におけるリード84の先端部84Bと開口83(開口83の中心)との位置関係を求めることができる。これにより、制御装置20は、リード84の先端部84Bを開口83の中心に位置させることができる。なお、VCSユニット17の代わりに、レーザ認識装置38を用いて、先端部84Bの位置が決定されてもよい。そのレーザ認識装置38の座標系と基板位置検出装置の座標系との関連付けを行うことによって、XY平面内におけるリード84の先端部84Bと開口83(開口83の中心)との位置関係が求められてもよい。
次に、制御装置20は、リード84の先端部84Bが開口83の中心に位置する状態から、リード84が開口83のエッジに接触する状態に変化するように、ノズル32をX軸方向及びY軸方向に移動させずに、−Z方向に移動させる(下降させる)。すなわち、図28に示すように、制御装置20は、リード84が開口83のエッジ(基板8の一部)に接触するまで、電子部品80を下降させる(ステップS726)。制御装置20は、例えば図4を参照して説明した検出装置100の検出結果に基づいて、リード84が開口83のエッジ(基板8)に接触したか否かを判断することができる。このように、本実施形態において、移動経路は、リード84の先端部84Cが開口83の中心に位置する状態からリード84が開口83のエッジに接触する状態に変化するように、ノズル32がX軸方向及びY軸方向に移動せずに−Z方向に移動する経路を含む。
次に、制御装置20は、開口83の寸法とリード84の形状とに基づいて、リード84が開口83(穴81)に挿入された量を導出する(ステップS728)。
開口83の直径Wは、c点とd点との距離よりも小さい。リード84が開口83のエッジ(基板8)に接触した状態において、第1直線L1と直交し、開口83のエッジに対するリード84の接触部と第1直線L1とを結ぶ第3直線L3は、直径Wの半分(すなわちW/2)となる。すなわち、リード84が開口83のエッジ(基板8)に接触する状態になるまで開口83(穴81)に挿入されると、開口83の中心に第1直線L1が配置される。リード84が開口83に挿入された量は、第3直線L3の寸法(W/2)と、第1部分841の傾斜角度(第3直線L3と第1部分841とがなす角度)θとに基づいて求めることができる。
制御装置20は、リード84が開口83のエッジに接触した後、ノズル32を−Z方向に移動しつつ、そのノズル32のX軸方向への移動を開始する。図29に示すように、制御装置20は、開口83の中心が、第1中線LM1を通るように、電子部品80を保持したノズル32を移動する。
制御装置20は、屈曲部84Cが開口83の内側に位置する第2状態に変化するように、ノズル32を−Z方向に移動しながら−X方向に移動する。制御装置20は、開口83の中心が第1中線LM1に沿って移動するように、電子部品80を保持したノズル32を−Z方向に移動しながら−X方向に移動する。これにより、図29に示す状態から図30に示す状態(第2状態)に変化する。図30に示す第2状態において、開口83の中心は中点Mを通る。
制御装置20は、屈曲部84Cが開口83の内側に位置する第2状態から、基端部84Aが開口83の内側に位置する第3状態に変化するように、電子部品80をノズル32を−Z方向に移動しながら+X方向に移動する。すなわち、制御装置20は、基端部84Aが開口83の内側に配置されるまで、電子部品80を保持したノズル32をXY平面内において移動しつつ、−Z方向に移動(下降)させる(ステップS730)。
これにより、図30に示す状態(第2状態)から、図31に示す状態を経て、図32に示す状態(第3状態)に変化する。以上により、電子部品80を基板8に実装する処理が終了する。
第2状態から第3状態への変化のためのノズル32の移動期間において、制御装置20は、開口83の中心が、第2中線LM2を通るように、電子部品80を保持したノズル32を移動する。図32に示す第3状態においては、本体部82の下面82Bの少なくとも一部と基板8の表面8Aとが接触する。本体部82の下面82Bと基板8の表面8Aとが接触した状態において、リード84の基端部84Aが開口83の内側に配置される。
このように、本実施形態においては、屈曲部84Cが先端部84Bと基端部84Aとの間において+X方向(基板の表面と平行な面内の第2軸(X軸方向、又はY軸方向)と平行な第2方向(X軸方向、又はY軸方向))に突出するように設けられている場合において、ノズル32の移動経路は、先端部84Bが開口83の内側に位置する第1状態から屈曲部84Cが開口83の内側に位置する第2状態に変化するようにノズル32が−Z方向(第1方向)に移動しながら−X方向(第2方向の反対の第3方向)に移動する第1経路と、屈曲部84Cが開口83の内側に位置する第2状態から基端部84Aが開口83の内側に位置する第3状態に変化するようにノズル32が−Z方向(第1方向)に移動しながら+X方向(第2方向)に移動する第2経路と、を含む。
以上説明したように、本実施形態によれば、屈曲部84Cを有するリード84を基板8の開口83に挿入する場合において、リード84の先端部84Bが開口83の内側に位置する第1状態から基端部84Aが開口83の内側に位置する第3状態に変化させるための電子部品80(本体部82)を保持するノズル32の移動経路が、−Z方向に移動しながらX軸と平行な方向(+X方向及び−X方向)に移動する経路を含むことにより、リード84を基板8の開口83に円滑に挿入することができる。したがって、電子部品80に負荷がかかることが抑制され、歩留まりの低下、及び電子部品80の性能の低下が抑制される。
また、リード84がY軸方向に屈曲していれば、−Z方向に移動しながらY軸と平行な方向(+Y方向及び−Y方向)に移動する経路となる。また、リード84がスパイラル状に屈曲していれば、−Z方向に移動しながら反スパイラル状に移動する経路となる。このように、リード84の屈曲形状を打ち消すための移動経路が、ノズル32が基板8の表面と垂直な第1軸(Z軸方向)と平行な第1方向(Z軸方向)に移動しながら基板8の表面と平行な方向(X軸方向、又はY軸方向)に移動する経路である。
また、本実施形態によれば、移動経路は、リード84の先端部84Bが開口83の中心に位置する状態からリード84が開口83のエッジに接触する状態に変化するように、ノズル32が第2軸(X軸方向、又はY軸方向)と平行な方向に移動せずに第1方向(Z軸方向)に移動する経路を含み、リード84が開口83のエッジに接触した後、第2軸と平行な方向へのノズル32の移動が開始される。
また、本実施形態によれば、第2軸と平行であり屈曲部84Cを通る仮想的な第2直線L2と屈曲部84Cとの第1交点(c点)と第2直線L2と第1直線L1との第2交点(d点)との中心Mを前記開口の中心が通るように、移動経路が決定される。
また、本実施形態によれば、第1経路と第2経路とは、基板8の表面と平行な面内においてその移動距離が一致する。すなわち、ヘッド移動機構16が電子部品80を保持したノズル32を基板搭載目標位置に移動した後に、ノズル32が−Z方向に移動しながら−X方向に所定量移動した後、−Z方向に移動しながら+X方向に同一所定量移動する。この結果、搭載目標位置に精度良く搭載できる。
また、本実施形態においては、リード84に屈曲部84Cが設けられているため、その屈曲部84Cを有するリード84が基板8の穴81に挿入されることによって、その挿入されたリード84が基板8の穴81から抜けることが抑制される。したがって、製造されるデバイスの性能の低下が抑制される。
また、本実施形態においては、電子部品80を−Z方向に移動しながらXY平面内において移動するので、開口83が小さくても、その開口83にリード84を円滑に挿入することができる。
なお、本実施形態において、ノズル32の移動経路は、開口83の中心が中点Mを通るように決定されてもよいし、開口83の中心が中点Mを通らないように決定されてもよい。
なお、本実施形態において、ノズル32の移動経路は、開口83の中心が第1中線LM1を通るように決定されてもよいし、開口83の中心が第1中線LM1を通らないように決定されてもよい。なお、本実施形態において、ノズル32の移動経路は、開口83の中心が第2中線LM2を通るように決定されてもよいし、開口83の中心が第2中線LM2を通らないように決定されてもよい。
なお、本実施形態において、リード84の先端部84Bが開口83の中心に位置する状態からリード84が開口83のエッジに接触する状態に変化するように、ノズル32がXY平面内において移動せずに−Z方向に移動することとした。ノズル32がXY平面内において移動しながら−Z方向に移動して、リード84を開口83のエッジに接触させてもよい。なお、リード84の先端部84Bが開口83の内側に位置する第1状態からリード84の基端部84Aが開口83の内側に位置する第3状態に変化するまでの間に、リード84が開口83のエッジ(基板8)に接触しなくてもよい。なお、第1状態から第3状態に変化するまでの期間の少なくとも一部において、リード84が開口83のエッジ(基板8)に接触してもよい。
なお、本実施形態においては、複数(4本)のリード84のそれぞれが屈曲部84Cを有することとした。複数のリード84のうち一部のリード84が屈曲部84Cを有し、一部のリード84が屈曲部84Cを有しなくてもよい。その場合、複数のリード84のそれぞれが開口83に円滑に挿入されるように、本体部82を保持するノズル32の移動経路が決定されてもよい。例えば、屈曲部84Cを有するリード84を開口83に挿入することに最適な第1の移動経路と、屈曲部84Cを有しないリード84を開口83に挿入することに最適な第2の移動経路とのそれぞれを決定し、それら第1の移動経路と第2の移動経路との間を通る第3の移動経路でノズル32を移動してもよい。
また、例えばリード84を5本備える電子部品80において、2本のリード84が屈曲部84Cを有し、3本のリード84が屈曲部84Cを有しない場合(3本のリード84が直線状である場合)、屈曲部84Cを有するリード84を開口83に挿入することに最適な第1の移動経路と、屈曲部84Cを有しないリード84を開口83に挿入することに最適な第2の移動経路とのそれぞれを決定した後、第1の移動経路を重み係数で補正し、その重み係数で補正された第1の移動経路と第2の移動経路との間を通る第3の移動経路でノズル32を移動してもよい。2本のリード84のほうが、3本のリード84よりも強度が低いので、2本のリード84を開口83に挿入することに最適な第1の移動経路を第2の移動経路よりも優先させてもよい。
また、電子部品80がリード84を複数備える場合において、それら複数のリード84のうち一部のリード84の強度が他の一部のリード84の強度よりも低い場合、強度が低いリード84を開口83に挿入することに最適な第1の移動経路を、強度が高いリード84を開口83に挿入することに最適な第2の移動経路よりも優先させてもよい。換言すれば、第1の移動経路を重み係数で補正し、その重み係数で補正された第1の移動経路と第2の移動経路との間の第3の移動経路でノズル32を移動してもよい。
なお、上述の実施形態においては、複数のリード84がY軸方向に配置され、Y軸と直交するXZ平面内においてリード84が曲がっている例について説明した。図33に示すように、複数のリード84の少なくとも一部が、YZ平面内において曲がっていてもよい。すなわち、屈曲部84Cが、先端部84Bと基端部84Aとの間において、+Y方向(又は−Y方向)に突出するように設けられてもよい。図33に示す例において、基端部84Aと先端部84Bと屈曲部84Cとは、同一平面内(図33に示す例ではYZ平面内)に配置される。リード84の形状を検出する場合、レーザ認識装置38のレーザ光(検出光)の進行方向と、基端部84Aと先端部84Bと屈曲部84Cとが配置される面とが直交するように、レーザ認識装置38とリード84との位置関係が調整される。すなわち、制御装置20は、レーザ認識装置38のレーザ光(検出光)の進行方向(Y軸方向)に対して、基端部84Aと先端部84Bと屈曲部84Cとが配置される面が直交するように、駆動装置26を制御して、電子部品80(本体部82)を保持したノズル32をθZ方向に移動(回転)させる。図33に示す例においても、レーザ認識装置38でリード84の形状が検出されることにより、制御装置20は、そのレーザ認識装置38の検出結果に基づいて、開口83の内側にリード84の先端部84Bが配置されている状態から屈曲部84Cが配置される状態を経て基端部84Aが配置される状態に変化するように、ノズル32の移動経路を決定することができる。
なお、上述の実施形態においては、電子部品80がリード84を複数有することとした。電子部品80に設けられるリード84が1本でもよい。その1本のリード84が屈曲部84Cを有する場合、そのリード84の形状に基づいて、開口32の内側にリード84の先端部84Bが配置されている状態から屈曲部84Cが配置される状態を経て基端部84Aが配置される状態に変化するように、ノズル32の移動経路を決定することにより、電子部品80に掛かる負荷を低減することができる。
また、上述の実施形態では、予めリードの形状が検出されたデータが記憶されている場合、本体部と前記本体部に接続されるリードとを有する電子部品を、表面に開口が設けられた基板に実装する電子部品実装方法であって、ノズルで前記本体部を保持するステップと、前記リードの先端部が開口の内側に位置する第1状態から、前記リードに設けられた屈曲部が前記開口の内側に位置する第2状態を経て、本体部と結ばれる前記リードの基端部が開口の内側に位置する第3状態に変化するように、本体部を保持した前記ノズルの移動経路を決定するステップと、決定された前記移動経路に基づいて、本体部を保持した前記ノズルを移動して、開口にリードを挿入するステップと、を含み、移動経路は、ノズルが基板の表面と垂直な第1軸と平行な第1方向に移動しながら基板の表面と平行な方向に移動する経路を含む電子部品実装方法が記載されている。また、リード形状のデータがない、新たな電子部品を搭載する場合などに、リードの形状を検出するステップを含み、ノズルの移動経路を決定するステップは、リードの形状の検出結果に基づいて、行われてもよい。
次に、図34及び図35を参照して、上述した電子部品実装装置10を用いた電子部品実装システム(実装システム)の一例について説明する。図34は、電子部品実装システムの概略構成を示す模式図である。図34に示す電子部品実装システム(以下「実装システム」ともいう。)1は、パターン形成装置2と、リフロー処理装置4と、搬送装置6及び搬送装置7と、電子部品実装装置10と、を有する。実装システム1は、パターン形成装置2、搬送装置6、電子部品実装装置10、搬送装置7、リフロー処理装置4となる順序で基板8が搬送されるように各部が配置されている。
パターン形成装置2は、基板8の表面8Aに半田ペーストのパターンを形成し、基板8の穴81に半田ペーストを充填する装置である。リフロー装置4は、基板8を所定温度に加熱し、基板8の半田ペーストを一時的に溶かすことで、半田ペーストに接している基板8と電子部品80とを接着させる。つまり、リフロー装置4は、基板8の表面8Aに形成された半田ペーストのパターン上に実装された搭載型電子部品と基板8とをパターンの半田ペーストで接着させ、穴81に挿入されたリード型電子部品のリード84を穴81に充填された半田ペーストで接着させる。
搬送装置6及び搬送装置7は、基板8を搬送する装置である。搬送装置6は、パターン形成装置2で処理され搬出された基板8を電子部品実装装置10に搬入する。搬送装置7は、電子部品実装装置10で処理され搬出された基板8をリフロー処理装置4に搬入する。
電子部品実装装置10は、基板8に電子部品80を実装する。電子部品実装装置10は、電子部品80として、リード型電子部品を実装する。電子部品実装装置10は、電子部品80として、リード型電子部品及び搭載型電子部品の両方を実装可能である。
図35は、電子部品実装システムの動作の一例を示すフローチャートである。実装システム1は、ステップS960として基板8に半田ペーストを印刷する。つまり、実装システム1は、ステップS960としてパターン形成装置2で、基板8の表面8Aに半田ペーストのパターンを形成し、穴81に半田ペーストを充填させる。実装システム1は、ステップS960で基板に半田ペーストを印刷した後、搬送装置6で基板8を電子部品実装装置10に搬入し、ステップS962として、電子部品実装装置10で基板8にリード型電子部品及び搭載型電子部品を実装する。実装システム1は、ステップS962で基板8に電子部品80を実装した後、搬送装置7で電子部品80が実装された基板8をリフロー処理装置4に搬入し、ステップS964として、リフロー処理を実行し、本処理を終了する。
このように、実装システム1は、電子部品実装装置10でリード型電子部品及び搭載型電子部品を実装することで、リード型電子部品及び搭載型電子部品の両方を1回のフロー処理で基板8に固定することができる。これにより、実装システム1は、製造ラインの構成を簡単にすることができる。