JP6230874B2 - ダイナミックダンパ装置及びトルクコンバータのロックアップ装置 - Google Patents
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トルクコンバータ1は、エンジン側のクランクシャフト(図示せず)からトランスミッションの入力シャフトにトルクを伝達するための装置であり、入力側の部材に固定されるフロントカバー2と、3種の羽根車(インペラ3、タービン4、ステータ5)からなるトルクコンバータ本体6と、ロックアップ装置7と、から構成されている。
図2に、図1のロックアップ装置7を抽出して示している。ロックアップ装置7は、フロントカバー2とタービン4との間の空間に配置されている。ロックアップ装置7は、ピストン30と、ドライブプレート31と、外周側トーションスプリング32と、フロート部材33と、中間部材34と、内周側トーションスプリング35と、ドリブンプレート36と、ダイナミックダンパ装置37と、を有している。
ピストン30は、環状に形成され、フロントカバー2のトランスミッション側に配置されている。ピストン30の内周部には、トランスミッション側に延びる筒状部30aが形成されている。筒状部30aは、タービンハブ17の外周面に軸方向移動自在及び相対回転自在に支持されている。また、ピストン30の外周部において、フロントカバー2側の面には、環状の摩擦材38が固定されている。この摩擦材38がフロントカバー2に押し付けられることによって、フロントカバー2からピストン30にトルクが伝達される。
ドライブプレート31は、ピストン30の外周側において、トランスミッション側の側面に固定されている。具体的には、ドライブプレート31は、環状に形成されており、内周部31aがピストン30のトランスミッション側の面にリベット(図示せず)により固定されている。ドライブプレート31の外周部には複数の係合部31bが形成されている。係合部31bは、外周端部がトランスミッション側に折り曲げられ、外周側トーションスプリング32の円周方向の両端に係合している。
複数の外周側トーションスプリング32は、例えば、1組2個で合計6個のスプリングからなり、各組の2個の外周側トーションスプリング32が直列に作用するように、フロート部材33が設けられている。
図3は、図1の中間部材34及びダイナミックダンパ装置37を抽出して示したものである。図3に示すように、中間部材34は、第1プレート41と第2プレート42とから構成されており、ドライブプレート31及びドリブンプレート36に対して相対回転自在である。
複数の内周側トーションスプリング35のそれぞれは、図3及び図4に示すように、大コイルスプリング35aと、大コイルスプリング35aの内部に挿入され大コイルスプリング35aのスプリング長と同じ長さの小コイルスプリング35bと、の組合せからなる。各内周側トーションスプリング35は、中間部材34の両プレート41,42の窓部41b,42b内に配置されている。そして、各内周側トーションスプリング35は窓部41b,42bによって円周方向両端及び半径方向両側が支持されている。さらに、各内周側トーションスプリング35は窓部41b,42bの切り起こし部によって軸方向への飛び出しが規制されている。
ドリブンプレート36は、環状かつ円板状の部材であり、内周部がタービンシェル15とともにリベット18によってタービンハブ17のフランジ17aに固定されている。このドリブンプレート36は、第1プレート41と第2プレート42との間に、両プレート41,42に対して相対回転可能に配置されている。そして、ドリブンプレート36の外周部には、第1及び第2プレート41,42の窓部41b,42bに対応して、窓孔36aが形成されている。窓孔36aは軸方向に貫通する孔であり、この窓孔36aに内周側トーションスプリング35が配置されている。
ダイナミックダンパ装置37は、図3及び図4に示すように、中間部材34の第2プレート42の外周延長部であるダンパプレート部45と、1対のイナーシャリング46と、1対の蓋部材47と、ダンパ機構48と、ストップピン49と、を有している。なお、図4はダイナミックダンパ装置34をタービン4側から視た部分図である。
まず、トルクコンバータ本体の動作について簡単に説明する。フロントカバー2及びインペラ3が回転している状態では、インペラ3からタービン4へ作動油が流れ、作動油を介してインペラ3からタービン4へトルクが伝達される。タービン4に伝達されたトルクはタービンハブ17を介してトランスミッションの入力シャフト(図示せず)に伝達される。
中間部材34に伝達されたトルクは、内周側トーションスプリング35を介してドリブンプレート36に伝達され、さらにタービンハブ17を介してトランスミッション側の部材に伝達される。このとき、中間部材34にはダイナミックダンパ装置37が設けられているので、エンジンの回転速度変動を効果的に抑制することができる。すなわち、ダンパプレート部45の回転とイナーシャリング46及び蓋部材47の回転とは、ダンパ機構48の作用によって位相にズレが生じる。具体的には、所定のエンジン回転数においてイナーシャリング46及び蓋部材47はダンパプレート部45の回転速度変動を打ち消す位相で変動する。この位相のズレによって、トランスミッションの回転速度変動を吸収することができる。
(1)急な加減速時等において、ダンパプレート部45に対するイナーシャリング46の振れが大きくなると、ダンパ機構48の2段目の高剛性捩じり特性によって、イナーシャリング46の振れが停止し、又は振れの速度が抑えられる。したがって、イナーシャリング46の振れ角の大きい領域では、イナーシャリング46がストップピン49に衝突するのを防止できる。また、イナーシャリング46がストップピン49に衝突しても、衝突時の異音が抑えられる。さらにイナーシャリング46及びストップピン49の摩耗が抑えられる。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
2 フロントカバー
4 タービン
6 トルクコンバータ本体
7 ロックアップ装置
30 ピストン
31 ドライブプレート
32 外周側トーションスプリング
34 中間部材
35 内周側トーションスプリング
36 ドリブンプレート
37 ダイナミックダンパ装置
45 ダンパプレート部
46 イナーシャリング
47 蓋部材
48 ダンパ機構
48a 大コイルスプリング
48b 小コイルスプリング
49,55 ストップピン
Claims (10)
- トルクコンバータのクラッチ部からトランスミッションに連結される出力回転部材に至る動力伝達経路を構成する部材のいずれかに連結され、回転変動を減衰するダイナミックダンパ装置であって、
前記動力伝達経路のいずれかの部材に連結されて連結された部材と共に回転するダンパプレートと、
前記ダンパプレートと所定範囲の捩じり角度領域で相対回転自在に配置されたイナーシャ部材と、
前記ダンパプレートと前記イナーシャ部材との低捩じり角度領域では低剛性捩じり特性を有するとともに、前記低捩じり角度領域より大きい高捩じり角度領域では前記低剛性捩じり特性より高剛性の高剛性捩じり特性を有し、前記ダンパプレートと前記イナーシャ部材とを回転方向に弾性的に連結するダンパ機構と、
を備え、
前記ダンパプレートは円周方向に延びる複数の第1開口を有し、
前記イナーシャ部材は、それぞれが、前記ダンパプレートの軸方向両側に前記ダンパプレートと相対回転自在に配置され、前記第1開口と対向する位置に円周方向に延びる第2開口を有する1対のプレート部材からなり、
前記ダンパ機構は、前記第1開口及び前記第2開口に収容され、前記ダンパプレートと前記1対のプレート部材とを弾性的に連結する複数の弾性部材を有する、
ダイナミックダンパ装置。 - 前記ダンパ機構は、
前記ダンパプレートと前記イナーシャ部材とを回転方向に弾性的に連結する複数の第1弾性部材と、
前記ダンパプレートと前記イナーシャ部材とが相対回転した際に、前記複数の第1弾性部材より遅れて作動し、前記ダンパプレートと前記イナーシャ部材とを回転方向に弾性的に連結する複数の第2弾性部材と、
を有する、
請求項1に記載のダイナミックダンパ装置。 - 前記複数の第1弾性部材は大コイルスプリングであり、
前記複数の第2弾性部材は前記大コイルスプリングのうちのすくなくとも1つの内部に配置され前記大コイルスプリングより長さの短い小コイルスプリングである、
請求項2に記載のダイナミックダンパ装置。 - 前記第2弾性部材は、円周方向において前記第1弾性部材と異なる位置に配置され、前記第2弾性部材より円周方向長さが短い、請求項2に記載のダイナミックダンパ装置。
- 前記第1弾性部材はコイルスプリングであり、
前記第2弾性部材はゴムにより形成されている、
請求項2から4のいずれかに記載のダイナミックダンパ装置。 - 前記ダンパプレート及び前記イナーシャ部材のいずれか一方に設けられ、前記ダンパプレートと前記イナーシャ部材との相対回転を所定の角度範囲に規制するためのストッパ部材をさらに備えた、請求項1から5のいずれかに記載のダイナミックダンパ装置。
- 前記ストッパ部材の外周面には、前記ダンパプレート及び前記イナーシャ部材のいずれかと接触する部分に、ストッパ部材を構成する部材より剛性の低い緩衝材が設けられている、請求項6に記載のダイナミックダンパ装置。
- 前記イナーシャ部材は、それぞれが、前記ダンパプレートの軸方向両側に前記ダンパプレートと相対回転自在に配置された1対のプレート部材からなり、
前記ストッパ部材は前記1対のプレート部材を相対回転不能及び軸方向移動不能に固定するためのピンである、
請求項6又は7に記載のダイナミックダンパ装置。 - エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータ本体との間に配置され、前記フロントカバーからのトルクを前記トルクコンバータ本体のタービンに直接伝達するためのロックアップ装置であって、
前記フロントカバーからのトルクを出力側に伝達するクラッチ部と、
前記クラッチ部と相対回転自在であり、前記タービンに連結された出力回転部材と、
前記クラッチ部と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結するための複数のロックアップ用弾性部材と、
前記クラッチ部から前記出力回転部材に至る動力伝達経路を構成する部材のいずれかに連結された請求項1から8のいずれかに記載のダイナミックダンパ装置と、
を備えたトルクコンバータのロックアップ装置。 - 動力伝達経路に設けられた回転変動を減衰するダイナミックダンパ装置であって、
前記動力伝達経路のいずれかの部材に連結されて連結された部材と共に回転するダンパプレートと、
前記ダンパプレートと所定範囲の捩じり角度領域で相対回転自在に配置されたイナーシャ部材と、
前記ダンパプレートと前記イナーシャ部材との低捩じり角度領域では低剛性捩じり特性を有するとともに、前記低捩じり角度領域より大きい高捩じり角度領域では前記低剛性捩じり特性より高剛性の高剛性捩じり特性を有し、前記ダンパプレートと前記イナーシャ部材とを回転方向に弾性的に連結するダンパ機構と、
を備え、
前記ダンパプレートは円周方向に延びる複数の第1開口を有し、
前記イナーシャ部材は、それぞれが、前記ダンパプレートの軸方向両側に前記ダンパプレートと相対回転自在に配置され、前記第1開口と対向する位置に円周方向に延びる第2開口を有する1対のプレート部材からなり、
前記ダンパ機構は、前記第1開口及び前記第2開口に収容され、前記ダンパプレートと前記1対のイナーシャ部材とを弾性的に連結する複数の弾性部材を有する、
ダイナミックダンパ装置。
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