JP6228795B2 - 液体噴射ユニット及び液体噴射装置 - Google Patents

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本発明は、被記録媒体に液滴を噴射して記録する液体噴射ユニットに関し、特に液体循環型の液体噴射ユニット及びこれを用いた液体噴射装置に関する。
近年、記録紙等にインク滴を吐出して文字や図形を記録する、或いは素子基板の表面に液体材料を吐出して機能性薄膜を形成するインクジェット方式の液体噴射ヘッドが利用されている。この方式は、インクや液体材料などの液体を液体タンクから供給管を介してチャンネルに導き、チャンネルに充填される液体に圧力を印加してチャンネルに連通するノズルから液体を吐出する。液体の吐出の際には、液体噴射ヘッドや被記録媒体を移動させて文字や図形を記録する、或いは所定形状の機能性薄膜を形成する。
この種の液体噴射装置では、液体噴射ヘッドに供給する液体を循環させるタイプが普及している。液体を循環させることにより、液体噴射ヘッドに塵埃や気泡が滞留し吐出不良が発生することを防ぐとともに、液体噴射ヘッドに常に新鮮な液体を供給することができるので、液体の増粘による記録品質の低下を防ぐことができる。
特許文献1には、記録ヘッドユニットとインクタンクの間にインクが循環する循環系が記載されている。液体タンクと記録ヘッドユニットの間には往路のインクチューブと復路のインクチューブが設置される。往路のインクチューブのインクタンク側にはポンプが設置され、インクタンクのインクを記録ヘッドユニットに圧送すると共に、インクをインクタンクと記録ヘッドユニットの間を循環させる。この構成により、チューブ内や記録ヘッドユニット内に残存する気泡や増粘インクがインクタンクに集められ除去される。
特開平5−330073号公報
特許文献1に記載の循環系では、インクタンクの近くに設置されるポンプから往路のインクチューブを介して記録ヘッドユニットにインクが送液され、記録ヘッドユニットから復路のインクチューブを介してインクタンクにインクが回収される。そのため、インクタンクに対して往路と復路のインクチューブの接続が必要となり、組み立てに手間がかかる。また、往路と復路のインクチューブが長くなると、インクチューブ内の圧力損失が増加すると共に、記録ヘッドユニットが移動する際にインクチューブ内のインクの慣性に伴う圧力変動が発生し、吐出口の圧力制御が難しくなる。
本発明の液体噴射ユニットは、2つの液室と、一方の前記液室と他方の前記液室の間を送液する液体ポンプと、を有する循環ユニットと、液体供給用の供給路が接続し、2つの前記液室に連通する連通流路と、2つの前記液室それぞれに連通する2つの接続口と、2つの前記接続口を連通する内部流路と、を有するヘッド部と、を備えることとした。
また、前記供給路は、各前記液室までの流路抵抗が等しくなる前記連通流路の流路地点に接続されることとした。
また、前記供給路から一方の前記液室を経由して前記ヘッド部に流入する液体の圧力損失と、前記供給路から他方の前記液室を経由して前記ヘッド部に流入する液体の圧力損失とが等しいこととした。
また、前記液体ポンプは、一方の前記液室から他方の前記液室に送液を可能とすると共に、他方の前記液室から一方の前記液室に送液を可能とすることとした。
また、前記供給路に液体を供給する液体タンクを備えることとした。
本発明の液体噴射装置は、上記の液体噴射ユニットと、前記液体噴射ユニットと被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構と、前記供給路に液体を供給する液体タンクと、を備えることとした。
本発明による液体噴射ユニットは、2つの液室と、一方の液室と他方の液室の間を送液する液体ポンプと、を有する循環ユニットと、液体供給用の供給路が接続し、2つの液室に連通する連通流路と、2つの液室それぞれに連通する2つの接続口と、2つの接続口を連通する内部流路と、を有するヘッド部と、を備える。これにより、複雑な制御系を伴うことなく簡素な構成によりヘッド部の液体を循環させることができる。
本発明の第一実施形態に係る液体噴射ユニットの模式図である。 本発明の液体噴射ユニットにおけるポンプ流量と第一及び第二液室とノズル面の液体の圧力との間の関係を表す。 本発明の第二実施形態に係る液体噴射装置の模式的な斜視図である。
(第一実施形態)
図1は本発明の第一実施形態に係る液体噴射ユニット1の模式図である。図1を用いて本発明の基本構成を説明する。
図1に示すように、液体噴射ユニット1は、第一液室8aと第二液室8bの2つの液室と、第一液室8aと第二液室8bの間を送液する液体ポンプ3とを有する循環ユニット2と、液体供給用の供給路5が接続し、2つの第一及び第二液室8a、8bに連通する連通流路4と、2つの第一及び第二液室8a、8bそれぞれに連通する2つの接続口7a、7bと、2つの接続口7a、7bを連通する内部流路7cとを有するヘッド部6とを備える。
具体的に説明する。第一液室8aと第二液室8bの間には液体ポンプ3が設置される。液体ポンプ3は、例えば第一液室8aから第二液室8bに送液するものであってもよいし、第二液室8bから第一液室8aに送液するものであってもよいし、第一液室8aから第二液室8bへの送液と第二液室8bから第一液室8aへの送液が周期的に交代するものであってもよい。例えばチューブポンプを使用することができる。また、供給路5から第一液室8a及び接続口7aを経由して内部流路7cに流入する液体の圧力損失と、供給路5から第二液室8b及び接続口7bを経由して内部流路7cに流入する液体の圧力損失とが等しくなるように構成する。そこで、供給路5は、第一及び第二液室8a、8bまでの各流路抵抗が等しくなる連通流路4の流路地点Xに接続する。また、第一液室8aから接続口7aを介して内部流路7cまでの流路抵抗と、第二液室8bから接続口7bを介して内部流路7cまでの流路抵抗とが等しくなるように構成する。
液体ポンプ3を駆動し、第一液室8aから第二液室8bに、又は第二液室8bから第一液室8aに液体を送り出したときの第一液室8aの液体の圧力(静圧、以下同じ。)をP1、第二液室8bの液体の圧力をP2とし、位置エネルギーに基づく水頭差を無視すると、流路地点X及び内部流路7cに連通するノズル面Nの液体の圧力Pxは、Px=(P1+P2)/2となる。そして、液体ポンプ3の送液に伴う第一液室8aの液体の圧力の減少量と第二液室8bの液体の圧力の増加量とは絶対値が等しく、上記式において相殺される。つまり、流路地点Xや内部流路7cは、液体ポンプ3が稼働しても圧力が変動しない。従って、液体ポンプ3は液体の循環のみに寄与し、ヘッド部6から液滴を吐出する際に液体ポンプ3の送液量の影響を受けない。そして、ノズル9から液滴が吐出されて内部流路7cの液体が消費されると内部流路7cの圧力が低下し、供給路5から液体が補充される。
図2は、本発明の液体噴射ユニット1における液体ポンプ3の送液量と第一及び第二液室8a、8bとノズル面Nの液体の圧力との関係を表す。横軸が液体ポンプ3の送液量の相対値であり縦軸が液体の圧力を示す。グラフG1が第一液室8aの圧力P1の変化、グラフG2が第二液室8bの圧力P2の変化、グラフGxがノズル面Nの液体の圧力Pxの変化をそれぞれ表す。液体ポンプ3の送液量が増大すると第一液室8aと第二液室8bの圧力の絶対値は次第に大きくなるが、ノズル面Nの圧力を示すグラフGxは液体ポンプ3の送液量の影響を受けることなく一定圧力、−1kPaを示す。つまり、液体ポンプ3の送液量が変化してもノズル面Nに形成される液体のメニスカスは影響を受けない。同様に、流路地点Xの液体の圧力も液体ポンプ3の送液量の影響を受けないので、液体ポンプ3の駆動に応じて供給路5から液体を引込む、或いは供給路5に液体を逆流させることも無い。流路地点Xの液体の圧力とノズル面Nの液体の圧力との間には、実際には位置エネルギーの差に応じた水頭差が生じる。ノズル9から液滴が吐出され内部流路7cが減圧すると、この水頭差が維持されて流路地点Xも減圧し、供給路5から液体が補充される。
このように、複雑な制御系を使用せず、簡素な構成によりヘッド部6の液体を循環させることができる。なお、循環ユニット2は、ヘッド部6の記録時には停止し、メンテナンス時に稼働させて使用することができる。例えば、ヘッド部6の記録動作時は液体ポンプ3を停止させ、ヘッド部6に第一液室8aと第二液室8bを経由して液体を供給し、メンテナンス時に液体ポンプ3を駆動してヘッド部6に液体を循環させ、ノズル抜け等を復帰させる。また、連通流路4と循環ユニット2をヘッド部6とともに一体的に構成すれば、液体タンクから液体噴射ユニット1に一本の液体供給チューブを接続すればよいので組み立てや調整が簡素となり、汎用性のある液体噴射ユニット1を構成することができる。
なお、液体ポンプ3は第二液室8bから第一液室8aの逆方向に送液しても上記の効果を得ることができる。また、第一液室8a又は第二液室8bの側壁を液体の圧力変動を緩衝する緩衝壁とすることができる。例えば、第一液室8a及び第二液室8bの側壁の一部を可撓性膜により構成する。これにより、液体噴射ユニット1の移動や供給路5内の液体の慣性により生ずる圧力変動を緩衝し、ヘッド部6に圧力変動が伝達されるのを防ぐことができる。また、上記実施形態では第一及び第二液室8a、8bが所定の容積を有するように記載されているが、これに代えて、流路が連通流路4、液体ポンプ3及びヘッド部6の3方に分岐する3方分岐点の空間を第一液室8a及び第二液室8bとすることができる。この場合も、供給路5から第一液室8a及び接続口7aを経由して内部流路7cに流入する液体の圧力損失と、供給路5から第二液室8b及び接続口7bを経由して内部流路7cに流入する液体の圧力損失とを等しくする。そこで、供給路5は、2つの3方分岐点までの流路抵抗が等しくなる連通流路4の流路地点Xに接続し、また、2つの3方分岐点から接続口7aと接続口7bを経由して内部流路7cまでの2つの流路の流路抵抗を等しく構成する。また、ヘッド部6に2つ以上の接続口が設置され、その内の2つの接続口がそれぞれ第一及び第二液室8a、8bに連通し、かつ、ヘッド部6の内部で連通するものであればよい。
(第二実施形態)
図3は本発明の第二実施形態に係る液体噴射装置30の模式的な斜視図である。液体噴射装置30は、液体噴射ユニット1、1’を往復移動させる移動機構40と、液体噴射ユニット1、1’に液体を供給し、液体噴射ユニット1、1’から液体を排出する流路部35、35’と、流路部35、35’に連通する液体ポンプ33、33’及び液体タンク34、34’とを備えている。液体噴射ユニット1、1’は既に説明した第一実施形態を使用する。
液体噴射装置30は、紙等の被記録媒体44を主走査方向に搬送する一対の搬送手段41、42と、被記録媒体44に液体を吐出する液体噴射ユニット1、1’と、液体噴射ユニット1、1’を載置するキャリッジユニット43と、液体タンク34、34’に貯留した液体を流路部35、35’に押圧して供給する液体ポンプ33、33’と、液体噴射ユニット1、1’を主走査方向と直交する副走査方向に走査する移動機構40とを備えている。図示しない制御部は液体噴射ユニット1、1’、移動機構40、搬送手段41、42を制御して駆動する。
一対の搬送手段41、42は副走査方向に延び、ローラ面を接触しながら回転するグリッドローラとピンチローラを備えている。図示しないモータによりグリッドローラとピンチローラを軸周りに移転させてローラ間に挟み込んだ被記録媒体44を主走査方向に搬送する。移動機構40は、副走査方向に延びた一対のガイドレール36、37と、一対のガイドレール36、37に沿って摺動可能なキャリッジユニット43と、キャリッジユニット43を連結し副走査方向に移動させる無端ベルト38と、この無端ベルト38を図示しないプーリを介して周回させるモータ39とを備えている。
キャリッジユニット43は、複数の液体噴射ユニット1、1’を載置し、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類の液滴を吐出する。液体タンク34、34’は対応する色の液体を貯留し、液体ポンプ33、33’、流路部35、35’を介して液体噴射ユニット1、1’に供給する。各液体噴射ユニット1、1’は駆動信号に応じて各色の液滴を吐出する。液体噴射ユニット1、1’から液体を吐出させるタイミング、キャリッジユニット43を駆動するモータ39の回転及び被記録媒体44の搬送速度を制御することにより、被記録媒体44上に任意のパターンを記録することができる。
なお、本実施形態は、移動機構40がキャリッジユニット43と被記録媒体44を移動させて記録する液体噴射装置30であるが、これに代えて、キャリッジユニットを固定し、移動機構が被記録媒体を2次元的に移動させて記録する液体噴射装置であってもよい。つまり、移動機構は液体噴射ユニットと被記録媒体とを相対的に移動させるものであればよい。また、液体タンク34、34’は大気開放とし、液体ポンプ33、33’は記録開始時に液体噴射ユニット1、1’に液体を充填し、その後オープン状態で停止し、液体タンク34、34’と液体噴射ユニット1、1’との間の水頭差により液体を送液してもよい。
1 液体噴射ユニット
2 循環ユニット
3 液体ポンプ
4 連通流路
5 供給路
6 ヘッド部
7a、7b 接続口、7c 内部流路
8 液室、8a 第一液室、8b 第二液室
9 ノズル
X 流路地点、N ノズル面

Claims (5)

  1. 2つの液室と、一方の前記液室と他方の前記液室の間を送液する液体ポンプと、を有する循環ユニットと、
    液体供給用の供給路が接続し、2つの前記液室に連通する連通流路と、
    2つの前記液室それぞれに連通する2つの接続口と、2つの前記接続口を連通する内部流路と、を有するヘッド部と、
    を備える、
    液体噴射ユニットであって、
    前記液体ポンプは、一方の前記液室から他方の前記液室に送液を可能とすると共に、他方の前記液室から一方の前記液室に送液を可能とする、
    液体噴射ユニット。
  2. 前記供給路は、各前記液室までの流路抵抗が等しくなる前記連通流路の流路地点に接続される請求項1に記載の液体噴射ユニット。
  3. 前記供給路から一方の前記液室を経由して前記ヘッド部に流入する液体の圧力損失と、前記供給路から他方の前記液室を経由して前記ヘッド部に流入する液体の圧力損失とが等しい請求項2に記載の液体噴射ユニット。
  4. 前記供給路に液体を供給する液体タンクを備える請求項1〜のいずれか一項に記載の液体噴射ユニット。
  5. 請求項1に記載の液体噴射ユニットと、
    前記液体噴射ユニットと被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構と、
    前記供給路に液体を供給する液体タンクと、を備える液体噴射装置。
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