JP2017144572A - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの液体充填方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの液体充填方法 Download PDF

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誠一郎 刈田
孝綱 青木
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孝綱 青木
真吾 奥島
Shingo Okujima
真吾 奥島
議靖 永井
Noriyasu Nagai
議靖 永井
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Abstract

【課題】複数の記録素子基板を有する液体吐出ヘッドにおいて、残留気泡の発生を抑えた各記録素子基板への液体の初期充填を行うことが可能な液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】複数の記録素子基板10を直列に接続する1本の流路として構成されて記録素子基板10ごとにその記録素子基板10の供給路30と連通する充填流路801〜803と、連通部804を介して充填流路801〜803に連通する共通流路805〜807と、を設ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、液体吐出ヘッドと、その液体充填方法と、液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置とに関する。
液体を被記録媒体に吐出することにより記録を行う液体吐出装置では、吐出口に連通した圧力室と、圧力室内の液体を吐出口から吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、を有する液体吐出ヘッドを使用する。液体吐出ヘッドは、複数のエネルギー発生素子が設けられた基板と、各エネルギー発生素子に対応した吐出口が形成された吐出口形成部材と、を有する記録素子基板が用いられる。記録素子基板においては基板の第1の面にエネルギー発生素子が設けられ、エネルギー発生素子の位置に液体を供給するために、基板において第1の面とは反対側となる第2の面から第1の面に基板を貫通するように供給路が設けられる。基板の第1の面と吐出口形成部材との間には隙間が形成されており、隙間の部分が圧力室となる。供給路は圧力室に供給される液体を一時的に貯える機能も有するので、液室とも呼ばれる。
供給路内に気泡がある程度以上存在すると、長時間にわたって吐出口から液体を吐出して記録を行った場合に、残留気泡が吐出口近傍に移動したり、ヘッド温度の上昇とともに供給路内で気泡が成長したりする。その結果、エネルギー発生素子や吐出口位置への液体の供給が間に合わなくなって吐出不良が発生し、記録品位の不良に陥る場合がある。商業印刷への適用を念頭に置いて被記録媒体の幅に対応する長さの液体吐出ヘッド(フルライン型の液体吐出ヘッド)を使用する液体吐出装置では、長期間にわたって高品位の記録が要求されるので、供給路からの気泡の除去が特に要求される。そこで特許文献1には、記録素子基板ごとの供給路に対して気液分離膜を設け、気液分離膜において供給路とは反対側となる側を減圧状態とすることにより、供給路内の液体から気体を除去し、気泡の発生を防止することが開示されている。しかしながら、特許文献1に示した技術では、気液分離膜を記録素子基板ごとに設けるので、記録素子基板の構成が複雑になるという課題がある。特に、1つの記録素子基板に対して複数の供給路を設ける構成が提案されているが、そのような構成では特許文献1に示す技術を適用することは困難である。
複数の記録素子基板を吐出口の配列方向に配置して1つの長い液体吐出ヘッドを構成する場合には、個別の供給路形状は液体の充填性や記録の持続性を考慮して最適化される。しかしながら複数の記録素子基板を配置し、かつ、各記録素子基板ごとに複数の供給路を設ける場合には、供給路形状に制約が課され、供給路への液体の充填が困難となる場合がある。例えば、供給路の幅を狭くしたときには、液体の充填性が極めて悪くなる。なお、フルライン型ではない小型の液体吐出ヘッドでは幅が狭い供給路構成も採用されているが、この場合は吐出口形成面に対して外側からキャップをかぶせて吐出口内を吸引する回復処理を行うため、供給路内の気泡の問題は起こりにくくなる。これに対し、複数の記録素子基板を有する大型で長い液体吐出ヘッドでは、その全体にキャップをかぶせることは密着面の面積が大きいので極めて困難である。また、回復処理時の吸引に関しても、複数の記録素子基板の各々に対して必要な吸引圧力を確実に印加することも難しい。
特開2009−143023号公報
上述したように、複数の記録素子基板を有するような液体吐出ヘッドにおいては、供給路内の気泡を取り除いて長期間にわたって持続して記録を行うことが難しい。
本発明の目的は、供給路内の気泡を確実に取り除くことができて長期間にわたって持続して記録を行うことができる液体吐出ヘッドと、その液体充填方法と、この液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置とを提供することにある。
本発明の液体吐出ヘッドは、基板と、基板の第1の面に形成された複数の圧力室と、圧力室ごとに設けられて液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、圧力室ごとにエネルギー発生素子に対応する位置に形成されて液体を吐出する吐出口と、複数の圧力室に対して液体を供給する供給路と、を有する複数の記録素子基板と、複数の記録素子基板を接続し、記録素子基板ごとにその記録素子基板の供給路と連通する充填流路と、連通部を介して充填流路に連通する共通流路と、を有することを特徴とする。
本発明の液体吐出装置は、本発明の液体吐出ヘッドと、液体を貯留する貯留手段と、貯留手段に貯留された液体を充填流路の一方の端部から他方の端部に向けて給送する第1の給送手段と、貯留手段に貯留された液体を共通流路に給送する第2の給送手段と、を有し、液体吐出ヘッドへの液体の初期充填を行う際に、連通部を介して共通流路に液体が流れ込まないように第1の給送手段を制御して充填流路の一方の端部から他方の端部に向けて充填流路に液体を充填し、充填流路への液体の充填の後、第2の給送手段により、共通流路の端部から順に共通流路に液体を充填することを特徴とする。
本発明の液体充填方法は、本発明の液体吐出ヘッドに対して液体の初期充填を行う液体充填方法であって、連通部を介して共通流路に液体が流れ込まないように充填流路の一方の端部から他方の端部に向けて充填流路に液体を充填する工程と、充填流路への液体の充填の後、共通流路の端部から順に共通流路に液体を充填する工程と、を有する。
本発明によれば、複数の記録素子基板を有する液体吐出ヘッドにおいて、残留気泡の発生を抑えた各記録素子基板への液体の初期充填を行うことが可能になる。これにより、残留気泡に起因した記録の不具合や吐出不良を解消でき、持続的に高品位での記録を行うことが可能になる。
本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドを示す斜視図である。 液体吐出ヘッドでの記録素子基板を説明する図である。 液体吐出ヘッドの流路構成を示す図である。 液体吐出装置での流路系の全体構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態で用いられる記録素子基板の分解斜視図である。 基板及び吐出口形成部材を示す分解斜視図である。 記録素子基板における圧力室及び吐出口を説明する図である。 液体吐出ヘッドの流路構成を示す図である。 液体吐出装置での流路系の全体構成を示す図である。 充填流路と共通流路との連通部の構成を示す断面図である。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。以下では、液体吐出装置が被記録媒体に記録液を吐出するインクジェット記録装置である場合を例に挙げて本発明を説明するが、本発明が適用される液体吐出装置はインクジェット記録装置に限られるものではない。また以下の説明では、液体吐出ヘッドが、被記録媒体の幅に対応した長さを有するいわゆるフルライン型のヘッドとして構成されているものとする。しかしながら、主走査方向及び副走査方向への走査によって被記録媒体における記録を完成させるいわゆるシリアル型の液体吐出ヘッドに対しても本発明を適用することができる。シリアル型の液体吐出ヘッドとしては、例えば、黒色の記録液用及びカラーの記録液用の記録素子基板を各1つずつ搭載する構成のものがあるが、これに限られるものではない。シリアル型の液体吐出ヘッドは、数個の記録素子基板を吐出口列方向に吐出口をオーバーラップさせるよう配置した、被記録媒体の幅よりも短い短尺のラインヘッドを作成し、それを被記録媒体に対してスキャンさせる形態のものであってもよい。また、以下の説明では、複数の記録素子基板を吐出口列方向において千鳥状に、すなわち互い違いに2列配置しているが、複数の記録素子基板を吐出口列方向において一列に配置してフルライン型の液体吐出ヘッドを構成してもよい。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッド100を示している。この液体吐出ヘッドは、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する複数のエネルギー発生素子が高密度に配置された複数の記録素子基板10を備えている。複数の記録素子基板10は、流路構成部材220上に図示Y方向に互い違いにずれながら図示X方向に配置しており、これによって、X方向に延びる長尺の1つの液体吐出ヘッド100が構成されている。流路構成部材220は、液体吐出ヘッド100の全長(図示X方向の長さ)に相当する長さを有する一体化された部材として構成されており、各記録素子基板10に液体を供給するための流路群を内部に備えている。流路構成部材220に設けられる流路群については後述する。またこの液体吐出ヘッド100では、隣接する2つの記録素子基板10の間には、互いに重複する領域(L)が設けられている。この領域Lにより、個々の記録素子基板10の配置に多少の誤差が含まれても、Y方向に移動する被記録媒体上に対して記録を行う時に、この誤差に伴う隙間が記録に生じないようになっている。個々の記録素子基板10に吐出駆動信号や電力を供給するための電気配線基板260は、例えばガラスエポキシ等の複合材料からなり、信号入力端子及び電力供給端子を一体化したコネクタ261を備えている。流路構成部材220と、電気配線基板260と、個々の記録素子基板10を電気配線基板260に電気的に接続するフレキシブル配線基板230とは、液体吐出ヘッド100の筐体250により一体的に支持されている。記録素子基板10とフレキシブル配線基板230との電気的接続部は、エポキシ樹脂などの封止性及びイオン遮断性に優れた封止材210により被覆、保護されている。
図2は、本実施形態における記録素子基板10を示す図であり、(a)は上方から見た斜視図であり、(b)は断面図である。図2(a)に示すように、記録素子基板10には吐出口13が高密度に配列されて、それぞれが記録素子基板10の長手方向に延びる吐出口群を形成している。図示したものでは、3列の吐出口群が設けられており、例えば各吐出口群は、それぞれ、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色の記録液を液体として吐出するために用いられるものである。各吐出口群は、例えば25.4mmあたり600ドットの密度で配置された吐出口13の列を2列、相互間で25.4mmあたり1200ドットに相当する間隔でずらして対向するように配置したものである。したがって吐出口群では2列の吐出口列が互い違いに配置しながら、全体として25.4mmあたり1200ドットの解像度での記録が可能である。
図2(b)に示すように、記録素子基板10は、例えばシリコンなどからなる基板11の一方の表面である第1の面51上に吐出口形成部材12を積層した構成となっている。図2(b)は、吐出口群が延びる方向と直交する方向での断面図であって、1つの吐出口群に相当する部分のみを示している。なお上述したように、各吐出口群では2列の吐出口列が互い違いに配置しているが、図2(b)は、2列の吐出口列間で吐出口位置が互い違いになっていないものとして描かれている。基板11の第1の面51には、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生して液体に付与するエネルギー発生素子15が設けられており、エネルギー発生素子15の位置で吐出口形成部材12には凹部が形成されて圧力室23を構成している。吐出口13は、記録素子基板10の外部から圧力室23に連通するように、圧力室23においてエネルギー発生素子15に対向する位置に設けられている。さらに圧力室23に対して液体を供給するために、基板11には、第1の面51とは反対側となる表面である第2の面52から第1の面51に向かって貫通する供給路30が設けられている。供給路30は、基板11の第2の面52から第1の面51に向かって幅が狭くなる断面形状であるとともに、吐出口群の長手方向には吐出口群の長さとほぼ同じ長さとなっており、基板11に対するスロット状の貫通溝として形成されている。供給路30は、基板11の第1の面51に対応する位置で、吐出口13ごとの圧力室23に対して連通する。エネルギー発生素子15としては、例えば、電気信号によって発熱することによって液体を発泡させるヒータ、あるいは電気信号により機械的に変形することにより液体を吐出させる圧電素子などが用いられる。エネルギー発生素子15としてヒータを用いる場合、供給路30から圧力室23に供給された液体が、電気信号によって駆動されたエネルギー発生素子15によって加熱されて発泡し、この発泡のエネルギーによって圧力室23内の液体が吐出口13から吐出する。
図3は、図1に示す液体吐出ヘッド100における流路構成部材220内の流路群の構成を示している。図3では、上述したように記録素子基板10が互い違いに2列に配置しているとして、記録素子基板10での吐出口13の形成面とは反対側の面(基板11における第2の面)側から見て各流路がどのように配置しているかが示されている。各記録素子基板10には3群の吐出口群が設けられることにより、3個のスロット状の供給路30が形成されている。3群の吐出口群は、例えば、シアン、マゼンタ及びイエローの異なる色の記録液に対応するので、各記録素子基板10に設けられる3個の供給路30に対しても異なる液体を供給する必要がある。そこで3種類の液体にそれぞれ対応する3本の充填流路801〜803が設けられている。充填流路801〜803は、互い違いに2列にならんだ記録素子基板10のうちの一方の列に属する記録素子基板10を直列に結ぶように設けられて記録素子基板10の対応する供給路30に連通している。充填流路801について考えると、充填流路801の延びる方向と記録素子基板10でのスロット状の供給路30が延びる方向とは一致しており、充填流路801と供給路30とが連通する部分は供給路30の全長にわたっている。言いかえれば、供給路30の全長に相当する開口が充填流路801に形成されてこの開口を介して充填流路801は供給路30に連通している。充填流路802,803も、充填流路801と同様に、対応する供給路30に連通している。記録素子基板10の列ごとの充填流路801〜803はその端部で別の列の充填流路801〜803と接続しており、これにより、液体吐出ヘッド100全体としてみて、充填流路801〜803の各々は1本の流路として構成されている。このように1本の流路として構成された充填流路801〜803の各々では、一方の端部には液体が液体吐出装置の本体から供給される接続部が設けられ、他方の端部には液体が液体吐出装置本体に排出される接続部が設けられている。これらの接続部は図3には不図示であるが、後述の図4では、流入口SI及び流出口SOとして示されている。
流路構成部材220には、異なる液体ごとの上述した充填流路801〜803のほかに、充填流路801〜803にそれぞれ対応する共通流路805〜807が設けられている。共通流路805〜807は、隣接する記録素子基板10間の位置で、連通部804を介して、対応する充填流路801〜803にそれぞれ連通している。充填流路801〜803は、泡抜けを考慮して比較的細い1mm〜2mm程度の幅及び高さを有する流路として構成され、複数の記録素子基板10を直列に接続するように設けられている。その結果、液体吐出のデューティー比が大きい条件下では充填流路801〜803の流路圧力損失が大きくなり、各記録素子基板10に十分な液体を供給できなくなって、液体吐出による記録における不良が発生する。そこで本実施形態では、各記録素子基板10に対して十分な液体供給が可能な共通流路805〜807を設け、少なくとも記録素子基板10間の位置で連通部804を設けて共通流路805〜807から充填流路801〜803に液体を供給できる構成とした。共通流路805〜807の幅及び高さは、充填流路801〜803の幅及び高さより十分に大きく、したがって、共通流路805〜807の断面積は、充填流路801〜803の断面積よりも十分に大きくなっている。これにより、共通流路805〜807での圧力損失は充填流路801〜803での圧力損失よりも十分に小さくなっている。各共通流路805〜807の一方の端部は、液体吐出装置の本体から液体が供給される流入口IN(図4参照)であり、他方の端部は、液体吐出装置の本体に液体を排出する流出口OUT(図4参照)である。本実施形態では、このように充填流路801〜803と共通流路805〜807を設けることにより、各記録素子基板10の供給路に対する液体の充填のしやすさと、吐出記録時の各記録素子基板10への液体の供給のしやすさとの両立を図っている。
図4は、上述した本実施形態の液体吐出ヘッドを組み込んだ液体吐出装置における流路系の全体構成を示している。上述のように液体吐出ヘッド100の記録素子基板10は異なる3種類の液体を吐出することができるが、図4では、説明のため、このうち1種類の液体(例えば充填流路801及び共通流路805に流される液体)についての流路系の全体を示している。他の2種類の液体の流路系の全体構成も図4に示すものと同じである。
吐出すべき液体を貯留するメインタンク110が設けられ、メインタンク110は、液体の循環のために液体を貯留するサブタンク104aに対して配管120を介して接続されており、配管120にはポンプ105と弁102aとが設けられている。複数の記録素子基板10を備える液体吐出ヘッド100には上述した充填流路801及び共通流路805が設けられている。サブタンク104aと共通流路805の流入口INとは配管121で接続されており、この配管121にはチューブポンプ103aが設けられている。また、共通流路805の流出口OUTとサブタンク104aとは配管122と配管120とで接続されており、この配管122には弁102bが設けられている。また、サブタンク104aと充填流路801の流入口SIとは配管125で接続されており、この配管125には液体を流入口SIに向けて給送するチューブポンプ103bと弁102cとが設けられている。また、充填流路801の流出口SOとサブタンク104aとは配管126と配管120とで接続されており、配管126には弁102dが設けられている。また、サブタンク104aには、液体の表面位置を検出するセンサー106aが取り付けられている。さらに液体吐出装置には、その液体吐出装置の全体を制御するコントローラ111が設けられている。コントローラ111は、センサー106aからの信号を受信するとともに、弁102a〜102d、チューブポンプ103a,103b及びポンプ105を制御する。この構成では、センサー106aの出力に応じてポンプ105及び弁102aを制御することで、メインタンク110からサブタンク104aへ液体の供給及び排出を行う。それにより、サブタンク104aの液面位置と液体吐出ヘッド100の吐出口形成面との間で所望の水頭Pを保つことができる。
この液体吐出ヘッド100内に液体が充填されていない状態からこの液体吐出装置を使用するときは、最初に、各記録素子基板10内の空間に液体を充填させる必要がある。液体の充填では、記録素子基板10内に気泡が残留しないように、本発明の液体充填方法にしたがって液体の充填を行う。この液体充填方法では、まず、充填流路801への液体の充填を行う。充填流路801への液体の充填は、弁102c,102dを開けチューブポンプ103bを駆動して、流入口SIから充填流路801の端から徐々に液体を充填し、流出口SOまで液体を充填する。このとき共通流路805内は大気に開放しているから充填流路801に液体を充填することにより、充填流路801と共通流路805の連通部804には、メニスカス(気液界面)が形成される。充填流路801への液体の充填では、共通流路805側に液体が流れ出さずにメニスカスが維持されるようにすることが重要である。そのため、充填流路801に対しては、共通流路805への液体の流れ出しが起こらないような流速及び圧力で液体を流す。充填後に流出口SOから排出された液体は配管126を介してサブタンク104aに戻る。充填流路801への液体の充填により、気泡などが残留しない状態で各記録素子基板10の供給路30及び圧力室23も液体で充填されることになる。充填流路801への液体の充填が終了したら弁102c,102dを閉じる。充填流路801への液体の充填が終わったら、次に、チューブポンプ103aを駆動させて共通流路805への液体の充填を行う。共通流路805への液体の充填を行うと、充填流路801と共通流路805との連通部804に形成されていたメニスカスも消失し、共通流路805から充填流路801に向けた液体の供給が可能になる。
以上のように充填流路801及び共通流路805への液体の充填が完了すると、液体吐出ヘッド100は、液体の吐出による記録を行える状態となる。吐出による記録を行うときは、チューブポンプ103a及び弁102bを開放状態にし、共通流路の流出口OUTはサブタンク104aから流入出可能な状態にする。この状態において記録素子基板10のエネルギー発生素子を駆動することによって、吐出口から液体が吐出し、被記録媒体に対する記録が行われる。継続して記録を行うためには、吐出された液体の量に見合う液体が記録素子基板10に供給される必要がある。この液体吐出ヘッド100では、主として、サブタンク104aから共通流路805に供給された液体が、連通部804を介して充填流路801に流れ、このようにして流れた液体が記録素子基板10に供給されることになる。ここで示した例では、液体を供給するための圧力発生源として水頭差Pを用いたが、水頭差を用いる代わりにサブタンク104a内の圧力や液面レベルを制御してもよい。
本実施形態の液体吐出ヘッド100において回復処理を行う場合には、チューブポンプ103a,103bを送流可能状態にし、チューブポンプ103aを作動させて流入口INから流出口OUTへの液体の流動を発生させ、共通流路805を回復させる。また、弁102bを閉じた状態でチューブポンプ103aを可動させることで、加圧回復を行うことも可能である。液体吐出ヘッド100の吐出口面の回復を行う場合には、ブレードによる払拭を行ったり、キャップをかぶせて吸引を行うなどすればよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、供給路30を含めて記録素子基板10に対する液体の初期充填を確実に行うことが可能となる。また、初期充填を行った後は、大流量に対応した共通流路を介して液体を供給できるので、連続記録を行っても液体の供給不足に陥ることがない。その結果、残留気泡による液体の循環不良、記録品の不良をなくすことができ、高品位な記録形成が可能となる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、液体吐出ヘッド100内を液体が循環するものの、この液体の循環は記録素子基板10には及んでいなかった。そのような構成では、例えば吐出を行わない期間が長くなったときに、吐出されるべき液体に含まれる溶媒成分が吐出口から蒸発して液体の粘度が上昇し、この粘度上昇によって液体の吐出特性が変化し、記録の不良が生じる可能性がある。そこで、吐出を行わないときにおいても記録素子基板の圧力室内を液体が循環するような構成の液体吐出ヘッドが提案されている。本発明に基づく充填流路及び共通流路を有する構成は、記録素子基板の圧力室内を液体が循環するような構成においても有効である。第2の実施形態の液体吐出ヘッドは、記録素子基板内も液体が循環するように構成されたものであり、圧力室内と外部との間で液体を循環可能な構成となっている。外観などは図1に示したものと同様であるが、記録素子基板10の構成と流路構成部材220での流路構成の点で第1の実施形態のものとは異なっている。この第2の実施形態の液体吐出ヘッドは、被記録媒体に対して全体として大流量で吐出して高速で記録を行うのに適し、例えば、商業印刷用のインクジェット記録装置に用いられるものである。
図5は、第2の実施形態の液体吐出ヘッド100で用いられる記録素子基板10を示している。この記録素子基板10は、支持部材40の上に蓋部材20を介して基板11が積層され、基板11にはさらに吐出口形成部材12が積層している。基板11の2つの表面のうち、吐出口形成部材12が積層している方の面が第1の面であり、蓋部材20に接している方の面が第2の面である。図5では、説明のため、記録素子基板10を構成する基板11をその厚さ方向で2つに分割して示している。分割された一方は、図5(a)として、吐出口形成部材12と接合した状態で示され、他方は、図5(b)において、第1の供給路18及び第1の回収路19が露出した状態で示されている。図5(c)は蓋部材20を示し、図5(d)は支持部材40を示している。ここでは、記録素子基板10には、同一種類の液体を吐出する4列の吐出口列424が形成されているものとする。各列の吐出口列424では複数の吐出口13が一列に並んでいる。第1の供給路18は、吐出すべき液体を圧力室23に供給するために複数のエネルギー発生素子15に対して共通に設けられるものであって、図2に示した記録素子基板における供給路30と同様に、基板11を貫通するスロット状の溝として形成されている。第1の回収路19は、圧力室23を循環した液体を回収するために複数のエネルギー発生素子15に対して共通に設けられるものであって、第1の供給路18と同様に、基板11を貫通するスロット状の溝として形成されている。
支持部材40は、記録液などの液体を記録素子基板10の各吐出口列424に対して分配する機能を有する。蓋部材20には、基板11内の第1の供給路18及び第1の回収路19に連通し、支持部材40から基板11への液体流路のピッチを変換する機能を有する微細な開口が複数設けられている。ここではこれらの開口のうち第1の供給路18に連通する開口を供給側開口21aと呼び、第1の回収路19に連通する開口を回収側開口21bと呼ぶ。
支持部材40には、吐出口列424の延びる方向とは直交する方向に延びるスリット状の第2の供給路431及び第2の回収路432が形成されている。第2の供給路431は、流路構成部材220内の後述する供給側の充填流路401から液体を基板11に分配し供給する経路にある。同様に第2の回収路432は、基板11から液体を流路構成部材220内の後述する回収側の充填流路に回収する経路にある。蓋部材20に設けられる供給側開口21aは、第2の供給路431と第1の供給路18が交差する位置においてこれらが連通するように設けられている。同様に回収側開口21bは、第2の回収路432と第1の回収路19が交差する位置においてこれらが連通するように設けられている。第1の供給路18及び第1の回収路19は、基板11において、吐出口13の形成面とは反対側の面に、吐出口列424の延びる方向に延びて相互に平行に設けられている。ここでは、第1の供給路18と第1の回収路19とが交互に配置するように3本の第1の供給路18と2本の第1の回収路19が設けられており、隣接する第1の供給路18と第1の回収路19との対ごとに1つの吐出口列424が対応するようになっている。すなわち、図5で示す例では、基板11の端に設けられた第1の供給路18を除く、1本の第1の供給路18と2本の第1の回収路19とは、隣り合う吐出口列424に共通して設けられている。また、蓋部材20に設けられる供給側開口21a及び回収側開口21bは、それぞれ列をなして配置しており、供給側開口21aの列を供給列437と呼び、回収側開口21aの列を回収列438と呼ぶ。供給列437及び回収列438は、いずれも、第2の供給路431及び第2の回収路432のスリット状の開口の延びる方向、すなわち吐出口列424が延びる方向に対して直交する方向に延びている。この構成において第1の供給路18及び第2の供給路431は、いずれも、第1の実施形態における供給路30と同様に、記録素子基板10ごとに設けられて液体を供給する経路を構成するとともに、圧力室23に供給される液体を一時的に貯える機能を有する。そして第1の供給路18及び第2の供給路431内に気泡が残留した場合には[背景技術]の欄でも述べたように吐出不良がおそれがあるので、本実施形態においても、第1の供給路18及び第2の供給路431でも気泡の残留を抑制する必要がある。回収側である第1の回収路19及び第2の回収路432に残留する気泡は、供給路18,431側に残留する気泡ほどは吐出特性に影響を与えないが、記録素子基板10を循環する液体に対する流路抵抗として作用するので、できるだけ少ない方が好ましい。
図6は、記録素子基板10の吐出口近辺の詳細を説明する分解斜視図である。図6において、(a)は吐出口13が形成されている部分を示し、(b)は圧力室23、供給口17a及び回収口17bが形成されている部分を示し、(c)は第1の供給路18及び第1の回収路19が形成された基板11を示している。ここでは、説明のため、1列分の吐出口列のみが描かれている。図7は、圧力室23及び吐出口13を説明するものであって、(a)は吐出口13の側から記録素子基板10の内部を見た状態を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線での断面図である。以下、図5乃至図7を用いて、本実施形態の液体吐出ヘッドで用いられる記録素子基板10について説明する。図6及び図7に示すように、吐出口13に対向するように、基板11の表面には例えばヒーターであるエネルギー発生素子15が設けられており、吐出口13とエネルギー発生素子15とによって挟まれた領域が圧力室23となっている。基板11には複数のエネルギー発生素子15が設けられているが、隣接するエネルギー発生素子15の間には隔壁22が設けられており、圧力室23の間を隔てている。1つの圧力室23には1つのエネルギー発生素子15と1つの吐出口13とが対応することになる。したがって、図7(b)に示すように、圧力室23の両方の端部に対応して、供給口17a及び回収口17bがそれぞれ形成されていることになる。供給口17a及び回収口17bは、それぞれ、基板11の反対側の面に形成されている溝状の第1の供給路18及び第1の回収路19に連通している。
この記録素子基板10では、高密度に配置された吐出口13に対する流路を基板11とほぼ同じ面積内で取りまとめることが可能となる。これにより、液体吐出ヘッドの肥大化を抑制できるとともに、吐出すべき液体を貯えるタンクから液体吐出ヘッドまでの液体の供給及び回収が簡便になり、液体吐出装置のシステム全体をコンパクトなものとすることが可能になる。
ここで、本実施形態の液体吐出ヘッド100の記録素子基板10での通常の動作時における記録液などの液体の流れを説明する。圧力室23に対する液体の循環は、供給側と回収側との間に圧力差を設け、吐出を行わない待機時に圧力室23内で液体が約数mm/秒〜数十mm/秒の流速で流れるように設定される。支持部材40に設けられた第2の供給路431は供給側の充填流路401に接続しており、供給側と回収側との圧力差により、供給側の充填流路401から第2の供給路431内に液体が流れ込む。そして液体は、第2の供給路431から供給側開口21a、第1の供給路18及び供給口17aを介し、図7において矢印で示すように圧力室23に流入する。そして液体は、エネルギー発生素子15の位置を流れて圧力室23から回収口17b、第1の回収路19、回収側開口21b及び第2の回収路432を経て回収側の充填流路に合流する。この状態でエネルギー発生素子15が駆動されて吐出口13から液体が吐出したとすると、吐出した液体に体積に相当する量の液体が圧力室23に供給されなければならない。吐出に伴う圧力室23への液体の供給は、主として第1の供給路18側から行われるが、いくばくかの量は第1の回収路19側から圧力室23に供給される。
図8は、第2の実施形態の液体吐出ヘッド100における流路構成部材220内の流路群の構成を示している。図8では、上述したように記録素子基板10が互い違いに2列に配置しているとして、記録素子基板10での吐出口13の形成面とは反対側の面(支持部材40側の面)から見て各流路がどのように配置しているかが示されている。上述したように1つの記録素子基板10あたり複数の第2の供給路431が設けられており、第2の供給路431の各々は、液体吐出ヘッド100の長手方向とは直交する方向に延びている。第1の実施形態と同様に、第1及び第2の供給路18,431を介して記録素子基板10に液体を充填するための供給側の充填流路401が設けられている。ここでは液体吐出ヘッド100からは一種類の液体しか吐出しないものとしているから、記録素子基板10に含まれる複数の第2の供給路431に対しては同一の液体を供給すればよい。そこで供給側の充填流路401は、記録素子基板10ごとにその記録素子基板10に設けられた全ての第2の供給路431に順番に連通するように、記録素子基板10と接する部分ではつづら折れ形状となって一筆書き形態で設けられている。第2の供給路431に連通する位置での充填流路401の延びる方向は当該第2の供給路431の長手方向と一致しており、充填流路401と第2の供給路431とが連通する部分は第2の供給路431の全長にわたっている。言いかえれば、第2の供給路431の全長に相当する開口が充填流路401に形成されてこの開口を介して充填流路401は第2の供給路431に連通している。
記録素子基板10ごとの供給側の充填流路401は、さらに、隣接する記録素子基板10の充填流路401と接続し、液体吐出ヘッド100の全体として1本の供給側の充填流路401が形成されている。さらに流路構成部材220には、供給側の充填流路401のほかに供給側の共通流路403が設けられており、共通流路403は、隣接する記録素子基板10間の位置で、連通部402を介して充填流路401に連通している。供給側の充填流路401は、泡抜けを考慮して比較的細い1mm〜2mm程度の幅及び高さを有する流路として、複数の記録素子基板10を直列に接続するように設けられている。その結果、液体を記録素子基板10に供給する流路として充填流路401のみを設けた場合には、流路圧力損失が大きくなって吐出不良が発生するおそれがある。そこで本実施形態においても各記録素子基板10に対して十分な液体供給が可能な共通流路403を設け、少なくとも記録素子基板10間の位置で連通部402を設けて共通流路403から充填流路401に液体を供給できる構成とした。供給側の共通流路403の幅及び高さは、供給側の充填流路401の幅及び高さより十分に大きく、共通流路403での圧力損失は充填流路401での圧力損失よりも十分に小さくなっている。
図8には示されていないが、各記録素子基板10の第2の回収路432に連通する回収側の充填流路が供給側の充填流路401と同様に設けられている。さらに流路構成部材220には、供給側の共通流路403と同様の構成の回収側の共通流路404が設けられており、この共通流路404は、記録素子基板10間の位置で回収側の充填流路と連通している。1本の流路として構成された供給側の充填流路401の両端が図9においてそれぞれ流入口SI1及び流出口SO1として示され、1本の流路として構成された回収側の充填流路の両端が同様に流入口SI2及び流出口SO2として示されている。供給側の共通流路403の両端が図9においてそれぞれ流入口IN1及び流出口OUT1として示され、同様に、回収側の共通流路404の両端がそれぞれ流入口IN2及び流出口OUT2として示されている。なお、吐出を行わない待機時に圧力室23を循環する液体の流量は、吐出時に圧力室23に供給されるべき流量よりもかなり小さいので、回収側では、共通流路404を設けることなく回収側の充填流路のみで液体を循環させる構成とすることも可能である。
この液体吐出ヘッド100では、供給側の共通流路403と回収側の共通流路404との間に圧力差を設定することによって、図7を用いて説明したように記録素子基板10の圧力室23を液体が循環するようになる。図8に示した例では、供給側の充填流路401を立体的に配置し、回収側の充填流路も同様に立体的に配置して、液体吐出ヘッドの幅が肥大化することがないように工夫されているが、これらの充填流路を平面的に配置してもよい。本実施形態では、共通流路403,404に加えて充填流路401を設けることにより、各記録素子基板10の供給路431,18に対する液体の充填のしやすさと、吐出記録時の各記録素子基板10への液体の供給のしやすさとの両立を図っている。
図9は、第2の実施形態の液体吐出ヘッドを組み込んだ液体吐出装置における流路系の全体構成を示している。図4に示したものと同様に、メインタンク110とサブタンク104aとが配管120によって接続されており、この配管120にはポンプ105及び弁102aが設けられ、サブタンク104aにはセンサー106aが取り付けられている。液体吐出ヘッド100には、上述したように、供給側の共通流路403、回収側の共通流路404、供給側の充填流路401、及び回収側の充填流路が設けられている。サブタンク104aと供給側の共通流路403の流入口IN1とは配管121で接続されており、この配管121にはチューブポンプ103aが設けられている。また、共通流路403の流出口OUT1とサブタンク104aとは配管122で接続されており、この配管122には弁102bが設けられている。また、回収側での液体の循環のために液体を貯留するサブタンク104bが設けられ、サブタンク104bには液体の表面位置を検出するセンサー106bが取り付けられている。このサブタンク104bは配管130、配管120、及び配管120にもう帰られたポンプ105を介してメインタンク110に接続されている。また、サブタンク104bと回収側の共通流路404の流入口IN2とは配管131で接続されており、この配管131にはチューブポンプ103cが設けられている。また、共通流路404の流出口OUT2とサブタンク104bとは配管132で接続されており、この配管132には弁107bが設けられている。
さらに、各充填流路への液体の供給のために、サブタンク104aに接続される配管125が設けられており、この配管125にはチューブポンプ103bが設けられている。チューブポンプ103bの出口側は2つに分岐し、その一方は配管133を介して供給側の充填流路401の流入口SI1に接続され、他方は配管135を介して回収側の充填流路の流入口SI2に接続されている。供給側の充填流路401の流出口SO1には配管134が接続され、回収側の充填流路の流出口SO2には配管136が接続され、これらの配管134,136は配管137に合流してサブタンク104bに接続されている。また、配管133〜136には、それぞれ、弁107c〜107fが設けられている。コントローラ111は、この液体吐出装置の全体を制御し、特に、センサー106a,106bからの信号を受信するとともに、弁102a,102b,107a〜107f、チューブポンプ103a〜103c及びポンプ105を制御する。コントローラ111は、センサー106a,106bで検出された液面に基づきポンプ105及び弁102a,107aを制御することによりメインタンクからサブタンク104a,104bへの液体の供給と排出を行う。これにより、液体吐出ヘッド100と各サブタンク104a,104bとの水頭P1,P2を所望の値に保つことできる。
この液体吐出ヘッド100においても、使用に先立って、記録素子基板10内の空間に対して液体を充填する必要があり、本発明に基づく液体充填方法が適用される。液体の充填は、供給側の充填流路401及び回収側の充填流路を用いて行われ、そのためにまず、供給側の充填流路401への液体の充填を行う。充填流路401への液体の充填は、弁107c,107dを開けチューブポンプ103bを駆動して、流入口SI1を介し充填流路401の端から徐々に充填流路401内を液体を充填し、流出口SO1まで液体を充填する。このとき、各記録素子基板10において第2の供給路431及び第1の供給路18を介して圧力室23に向けて液体が流れ、これらの空間も液体で充填されるようになる。記録素子基板10において圧力室23から回収側に向けた領域への液体の充填を確実なものとするために、供給側の充填流路401への液体の充填と同時に、弁107e,107fを開けて回収側の充填流路への液体の充填を行うことが好ましい。回収側の充填流路への液体の充填では、流出口SO2まで液体を充填する。供給用の充填流路401への液体の充填では、第1の実施形態の場合と同様に、共通流路403との連通部402においてメニスカスが形成され、充填流路401から共通流路403側に液体が流れ出さないような流速及び圧力とする。充填後、流出口SO1,SO2から排出された液体は、サブタンク104bに流れ込む。充填終了後、弁107c〜107fを閉じ、次に、チューブポンプ103a,103cを駆動させて、供給側の共通流路403及び回収側の共通流路404に対する液体の充填を行う。
以上のような液体の充填が完了すると、液体吐出ヘッド100は、液体の吐出による記録を行える状態となる。吐出による記録を行うときは、チューブポンプ103a及び弁102bを開放状態にし、供給側の共通流路403の流出口OUT1はサブタンク104aから流入出可能な状態にする。また、チューブポンプ103c及び弁107bを開放状態にし、回収側の共通流路404の流出口OUT2はサブタンク104aから流入出可能な状態にする。このときサブタンク104a,104bの水頭P1,P2の圧力差により供給側の共通流路403及び回収側の共通流路404においてそれぞれ液体の循環がなされ、さらに、供給側の共通流路403と回収側の共通流路404との間に所定の圧力差が生じる。このとき、サブタンク104a,104bの液面レベルは、液体吐出ヘッド100の吐出特性に影響を与えない範囲で一定に保たれる。この状態において記録素子基板10のエネルギー発生素子15を駆動することによって、吐出口13から液体が吐出し、被記録媒体に対する記録が行われる。継続して記録を行うためには、吐出された液体の量に見合う液体が記録素子基板10に供給される必要がある。この液体吐出ヘッド100では、主として、サブタンク104aから供給側の共通流路403に供給された液体が、連通部402を介して供給側の充填流路401に流れ、このようにして流れた液体が記録素子基板10に供給されることになる。ここで示した例では、液体を供給するための圧力発生源として水頭差P1,P2を用いたが、水頭差を用いる代わりにサブタンク104a,104b内の圧力や液面レベルを制御してもよい。
液体吐出ヘッド100において回復処理を行う場合には、チューブポンプ103a,103cを送流可能状態にし、チューブポンプ103aを作動させて流入口IN1から流出口OUT1への液体の流動を発生させ、供給側の共通流路403を回復させる。同様にチューブポンプ103cを作動させて流入口IN2から流出口OUT2への液体の流動を発生させれば、回収側の共通流路404を回復させることができる。第1の実施形態の場合と同様に加圧回復を行うこともでき、吐出口面の回復を行う場合には、ブレードによる払拭を行ったり、キャップをかぶせて吸引を行うなどすればよい。
本実施形態によれば、第1の供給路18及び第2の供給路431を含めて記録素子基板10に対する液体の初期充填を確実に行うことが可能となり、必要に応じて第1の回収路19及び第2の回収路432に対する液体の初期充填を確実に行うことができる。また、初期充填を行った後は、大流量に対応した共通流路を介して液体を供給できるので、連続記録を行っても液体の供給不足に陥る恐れを抑えることができる。その結果、残留気泡による液体の循環不良、記録品の不良の発生を抑えることができ、高品位な記録形成が可能となる。
上述した各実施形態の液体吐出ヘッドは、例えば、被記録媒体の搬送機構、液体吐出ヘッドへの記録液供給機構、制御機構などを備えたインクジェット記録装置に搭載して使用される。インクジェット記録装置に取り込まれた記録画像データに応じて、その記録画像を形成するのに必要な画素を形成するために、複数のエネルギー発生素子15が選択的に駆動される。これにより、駆動されたエネルギー発生素子15に対応する吐出口13から記録液が吐出される。
次に、上述した各実施形態の液体吐出ヘッドにおける共通流路と充填流路との連通部の構成について、図10を用いて説明する。ここでは第2の実施形態での供給側の共通流路403と供給側の充填流路401との間の連通路402を例に挙げて説明するが、ここで示す構成が第1の実施形態での共通流路805と充填流路801との連通部804にも適用できることは言うまでもない。図10(a)は、充填流路401には液体が流れ、共通流路403は依然として大気に曝されているときに、連通部402においてメニスカス410が形成されることを示している。この構造では、連通部402における界面張力だけで充填流路401から大気に曝されている共通流路403への液体の流れ出しを防いでいる。もちろん共通流路403も液体で充填されたときには、連通部402を介して充填流路401と共通流路403との間で液体は容易に流動できる。
図10(b)では、充填流路401と共通流路403との連通部402に、フィルター等の微細孔が構成された多孔質部材405が設けられている。多孔質部材405の微細孔での界面張力により液体の保持ができるため、大気に曝されている共通流路403への充填流路401からの液体の流れを抑制することができる。これにより、充填流路401への液体の充填流量を多くすることができ、充填性を向上させることが可能となる。図10(c)は、さらに別の構成の連通部402を示している。充填流路401と共通流路403とが接続する部分にチェック弁機能を有する弁部材406を設け、充填流路401から共通流路403への液体の流動を阻止する構成となっている。これにより、充填流路401への液体の充填流量を大幅に増加することができ、充填時のインク流量制御も寛容になるため、送液システムも簡略化できるメリットがある。なお、図10(c)に示した構成は、共通流路403が液体で充填されたときにおいても充填流路401から共通流路403への流れが抑制されるから、回収側の共通流路404と回収側の充填流路との連通部には必ずしも適さない構成である。
10 記録素子基板
11 基板
13 吐出口
15 エネルギー発生素子
30 供給路
801〜803 充填流路
804 連通部
805〜807 共通流路

Claims (13)

  1. 基板と、前記基板の第1の面に形成された複数の圧力室と、前記圧力室ごとに設けられて液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記圧力室ごとに前記エネルギー発生素子に対応する位置に形成されて前記液体を吐出する吐出口と、前記複数の圧力室に対して前記液体を供給する供給路と、を有する複数の記録素子基板と、
    前記複数の記録素子基板を接続し、前記記録素子基板ごとに当該記録素子基板の前記供給路と連通する充填流路と、
    連通部を介して前記充填流路に連通する共通流路と、
    を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記連通部は、前記充填流路の内の、前記複数の記録素子基板を互いに接続する部分に設けられている、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記共通流路の断面積は前記充填流路の断面積よりも大きい、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記供給路は、前記基板において前記第1の面とは反対側となる第2の面と前記第1の面との間で貫通する部分を少なくとも有して前記第2の面の側で前記充填流路との連通のための開口を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記記録素子基板ごとに前記供給路は複数の前記開口を有し、前記充填流路は、前記記録素子基板ごとに当該記録素子基板の前記複数の開口に連通されている、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記供給路の開口はスロット状に形成され、前記充填流路はスロット状に形成された前記開口の全長にわたって前記供給路と連通している、請求項4または5に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記連通部に前記充填流路から前記共通流路への前記液体の流れを制御する弁部材を有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記連通部に多孔質部材を有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記圧力室内の前記液体は当該圧力室の外部との間で循環される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記循環により前記圧力室から流出する前記液体が流れる回収路が前記基板を貫通して形成されている、請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 前記複数の記録素子基板を接続し、前記記録素子基板ごとに当該記録素子基板の前記回収路と連通する回収側の充填流路と、
    回収側の連通部を介して前記回収側の充填流路に連通する回収側の共通流路と、
    をさらに有する、請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
    前記液体を貯留する貯留手段と、
    前記貯留手段に貯留された前記液体を前記充填流路の一方の端部から他方の端部に向けて給送する第1の給送手段と、
    前記貯留手段に貯留された前記液体を前記共通流路に給送する第2の給送手段と、
    を有し、
    前記液体吐出ヘッドへの前記液体の初期充填を行う際に、前記連通部を介して前記共通流路に前記液体が流れ込まないように前記第1の給送手段を制御して前記充填流路の一方の端部から他方の端部に向けて前記充填流路に液体を充填し、前記充填流路への前記液体の充填の後、前記第2の給送手段により、前記共通流路の端部から順に前記共通流路に前記液体を充填することを特徴とする、液体吐出装置。
  13. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドに対して液体の初期充填を行う液体充填方法であって、
    前記連通部を介して前記共通流路に前記液体が流れ込まないように前記充填流路の一方の端部から他方の端部に向けて前記充填流路に液体を充填する工程と、
    前記充填流路への前記液体の充填の後、前記共通流路の端部から順に前記共通流路に前記液体を充填する工程と、
    を有することを特徴とする液体充填方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019021618A1 (ja) 2017-07-26 2019-01-31 三菱ケミカル株式会社 アクリル系重合体、プラスチゾル、およびテキスタイルインク

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