JP6228084B2 - 濾過材用モノフィラメントの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、防汚性に優れた濾過材用モノフィラメントに関し、さらには耐久性に優れ長期間の使用が可能な、特には水濾過性能に優れた濾過材用モノフィラメントに関する。
繊維直径の寸法安定性に優れるモノフィラメントは、メッシュを均一にコントロールしやすく、各種の濾過用途に好ましく用いられてきた。例えば濾過材としては各種工業用繊維材料、各種織物などの形態で用いられており、中でもポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルからなるモノフィラメントが、抄紙機用織物、フィルター用織物の構成素材として、耐水性などの各種物性に優れるために幅広く使用されている。
しかし、長期間連続して稼働する抄紙機に装着される抄紙機用織物、より具体的には抄紙プレスフェルト、抄紙フォーミングワイヤー、抄紙ドライヤーキャンバスなどの抄紙機用織物においては、製紙原料中などに含まれている高分子粘着性物質(以下、ガムピッチという)がモノフィラメントに付着しやすいという問題点があった。特にポリエステルはガムピッチとの親和性が高いため、そのようなポリエステルを用いたモノフィラメントからなる抄紙機用織物には、ガムピッチが付着し易い。そして一旦抄紙機用織物にガムピッチが付着すると、織物の濾水性の低下、搾水効率の低下などの工程上の問題が生じるばかりか、織物の平滑性が低下し、かつこれらの汚れ物が紙へ転写され、最終製品たる紙の品位が低下するのである。
これらの問題を解決するために例えば特許文献1においては、無官能性シリコンオイルを含有させることが提案されている。しかしこの方法は一定の効果はあるものの、使用されるシリコンオイルが水との親和性を持たず、含水率が高いパルプを扱う抄紙機用織物等においては、十分な効果がみられなかった。
また、特許文献2においては、抄紙機用織物の表面にガムピッチとの親和性の低い樹脂被膜を形成し、ガムピッチ等の付着を防止する方法が提案されている。しかし長期間連続して稼働した場合、形成した樹脂被膜は剥れやすく、長期的な効果を得られないという問題があった。
そこで、特許文献3や特許文献4においては、シリコーンやフッ素樹脂により被覆された防汚複合糸のモノフィラメントが提案されているが、安定した製織が困難であり、特段に高レベルの平滑性が要求される抄紙機用織物への適用は困難であった。またこのような複合糸の製造はコストが高くなるばかりか、耐久性にも問題があった。
特開2010−242254号公報 特開平5−125685号公報 特開2004−292960号公報 特開2008−133570号公報
本発明の目的は、防汚性と共に耐久性に優れ、長期間の使用が可能な濾過材用モノフィラメントを提供することにある。
本発明の濾過材用モノフィラメントの製造方法は、ポリエステルを主成分とし、水溶性のポリオキシアルキレン系のポリエーテルを添加したポリエステルを、紡糸口金から空気中に吐出し、65℃〜75℃の範囲の水浴にて冷却し、75℃〜98℃の水浴中で延伸することを特徴とする。
さらには、ポリオキシアルキレン系のポリエーテルがポリエチレングリコールであることや、ポリエーテルの分子量が4000〜10万の範囲であること、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。またモノフィラメントの固有粘度が0.6〜1.2の範囲であることや、モノフィラメントの直径が0.05〜3mmであることが好ましく、濾過材が抄紙機用基材または汚泥処理用フィルターであることが好ましい。
本発明によれば、防汚性と共に耐久性に優れ、長期間の使用が可能な濾過材用モノフィラメントが得られる。
以下本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明の濾過材用モノフィラメントは、ポリエステルを主成分とする濾過材用のモノフィラメントである。そして、ポリエステル成分中にはポリオキシアルキレン系のポリエーテルを含有しており、このポリエーテルが水溶性であることが特徴である。
ここで、本発明のポリエステルモノフィラメントを構成する主成分であるポリエステルとしては、一般的なポリエステル系樹脂からなるものであれば良い。中でも本発明ではそのようなポリエステル成分として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましく用いられる。
より具体的に例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体、およびジオールまたはそのエステル形成誘導体から合成されるポリエステル系化合物のことである。これらの内でも、ジカルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸からなり、またグリコール成分の90モル%以上がエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレートの使用が好適である。
またポリエステル成分としてポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、上記のテレフタル酸成分の一部を、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、スルホン酸金属塩置換イソフタル酸などで置き換えたものであることも好ましい。また、上記のエチレングリコール成分の一部を、例えばプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリアルキレングリコールなどで置き換えたものであることも好ましい。さらに、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸、硼酸などの鎖分岐剤を本発明の目的を阻害しない範囲で併用することもできる。
本発明の濾過材用モノフィラメントは、上記のようなポリエステルを主成分とするが、ポリエステル成分中にはポリオキシアルキレン系のポリエーテルを別途含有しており、このポリエーテルが水溶性であるものであることが必要である。またこのポリエーテルはポリエステル成分中にブレンドされ、単独成分として存在する成分である。一部であれば主成分のポリエステル成分、すなわち先に述べたようなポリエステル樹脂成分の一部となるように、ポリエステル樹脂成分と共重合していても良い。そして本発明で用いられるポリオキシアルキレン系のポリエーテルとしては、ポリオキシアルキレングリコールやポリオキシエチレン系ポリエーテルであることが好ましい。ここでポリオキシエチレン系ポリエーテルとは、ポリオキシエチレン系のエチレンオキサイド(CHCHO)単位を有するポリエーテルである。中でも(−CHCHO−)を繰り返し単位とするポリエチレングリコールが特に好ましい。
このようなポリオキシアルキレン系ポリエーテルの分子量としては、4000以上であることが好ましい。分子量が少なすぎると、ポリエステルモノフィラメント製造の溶融紡糸の段階で液状となり、安定した出糸ができず、繊維径の安定性に劣るモノフィラメントになる傾向にある。これは紡糸延伸工程を水中、特に温水中で行う場合や、ポリエーテルとしてポリエチレングリコールを用いた場合に顕著となる。このような低分子量のポリオキシアルキレン系のポリエーテルを用いた場合には、処理浴中でポリエチレングリコール等のポリエーテルが水中に流出し、得られるモノフィラメントの紡汚性が低下するばかりでなく、工程途中での延伸時の断糸などが発生しやすくなる傾向にある。またこのような低分子量のポリオキシアルキレン系ポリエーテルを用いた場合、主成分であるポリエステル成分と共重合が発生し、その添加効果が阻害される傾向にある。好ましい分子量としては4000〜10万であり、さらには1万〜3万の範囲であることが好ましい。
またポリエステル成分中のポリオキシアルキレン系ポリエーテル成分の含有量としては、1重量%〜20重量%の範囲であることが好ましい。含有量が少なすぎる場合には防汚性が不十分となる傾向にある。逆に添加量が多すぎる場合には、ポリエステルモノフィラメントの強力、弾性率が不十分となり、実用性が低下する傾向にある。さらに生産工程においても、ポリマーの粘度が低下しエクストルーダーによる押し出し圧力が不安定となる傾向にあり、製糸が困難となるばかりか、結果として得られる繊維の繊維径のバラツキが大きくなった。ポリオキシアルキレン系ポリエーテル成分のさらに好ましい含有量としては、1〜15重量%、特に好ましい含有量としては、2〜10重量%の範囲である。
このような水溶性のポリエーテルを含有した本発明の濾過材用のモノフィラメントは紡糸、延伸工程中にて水中にて処理されたものであることが好ましい。より具体的には口金直下の空気中に押し出したポリマーを速やかに温水で冷却固化させる水冷紡糸で得られたものであることや、延伸が温水中にて行われたものであることが好ましい。特に水冷紡糸の水温としては65℃〜75℃の範囲であることが、延伸水温としては80〜95℃の温水中で行われるものであることが好ましい。理由は定かではないが、このように水中で処理することにより少量のポリオキシアルキレン系のポリエーテルであってもその効果が充分に発揮される。
本発明の濾過材用モノフィラメントは上記のような水溶性のポリエーテルを含有することにより、湿潤時の防汚性が顕著に向上する。そしてポリエーテルが水溶性であることに起因して、乾燥時に比べて特に湿潤時の防汚性に優れるため、水濾過材用のモノフィラメントとして特に有用である。このように水が介在した防汚性であるためにモノフィラメントの表面の物性のみが機能を発揮し得る。通常、防汚性を向上させるために一般的な剤を添加した場合、モノフィラメントの内部に含有させると強度等の物性を低下する傾向にある。逆にそれを避けるために表面のみに剤を付与した場合には、連続使用によって剤が脱落し、性能が低下しがちである。本発明では水溶性のポリエーテルを使用することにより、高い湿潤時の防汚性と、長く効果が継続する耐久性を両立させることが可能となった。
さらに本発明の濾過材用モノフィラメントにおいては、カルボジイミド化合物を添加することも好ましく、耐加水分解性などがさらに向上する。
また本発明の濾過材用モノフィラメントは、前記に記載の成分以外に、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸、カーボンブラックなどの各種無機粒子や架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか、従来公知の金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、帯電防止剤、各種着色剤、各種界面活性剤などが添加されても良い。
本発明のモノフィラメントの固有粘度としては0.6〜1.2の範囲であることが好ましく、特には0.7〜1.0の範囲であることが好ましい。このような高い固有粘度とすることにより、高い強伸度、高モジュラスのモノフィラメントとすることが可能となる。固有粘度が低すぎると、耐久性が低くなり織物として使用できる期間が著しく短くなり実用性が失われる。また、固有粘度が高すぎてもモノフィラメント製造中に延伸切れが多発し操業性の低下が招かれる傾向となる。
本発明の濾過材用モノフィラメントの直径としては使用目的に応じて適宜選択することが可能だが、0.05〜3mmの範囲であることが好ましい。さらには0.1〜1.1mmの範囲であることが好ましい。通常水溶性のポリエーテル成分をポリエステル中に添加した場合にはどうしても物性が低下しがちであるが、本発明ではこのような太い繊維径のモノフィラメントとすることにより、実用上十分な強度を確保することが可能となる。また耐久性の観点からは芯鞘構造ではなく単層構造の繊維であることが好ましい。なお、形状としては本発明の濾過材用モノフィラメントは、1本からなる連続糸であれば良く、繊維の軸方向に垂直な断面形状としては、丸、楕円、3角、5角、6角、正方形、長方形など、いかなる断面形状を有するものでも良い。なお、円以外の異形断面の場合は、繊維軸に垂直な異形断面の面積を、丸断面に換算して直径を算出する。
また濾過材用モノフィラメントの好ましい力学物性としては、引張強度が2.0cN/dtex以上、さらには3.0cN/dtex以上6.0cN/dtex以下であることが好ましい。また破断伸度は20%以上、さらには25%以上50%以下であることが好ましい。引張強度が低すぎる場合には、濾過用織物の構成素材として必要な強度が得られず、濾過用織物として用途展開が難しい傾向となる。逆にこのような引張強度及び伸度を満たすモノフィラメントとすることにより、容易に濾過用織物へ展開することができる。
このような濾過材用のモノフィラメントは、もう一つの本発明である水溶性のポリオキシアルキレン系のポリエーテルを添加したポリエステルを、紡糸、延伸する濾過材用モノフィラメントの製造方法にて得ることが可能である。
使用するポリエステルや水溶性のポリオキシアルキレン系のポリエーテルとしては上述の物を用いることができ、ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレートを主成分とするものが、ポリオキシアルキレン系のポリエーテルとしてはポリエチレングリコールであることが特に好ましい。
紡糸方法としては従来公知の溶融紡糸方法を適用することができる。この時、ポリエステルにポリオキシアルキレン系のポリエーテルを添加させるのであるが、あらかじめポリエステルにポリオキシアルキレン系のポリエーテルを高濃度に含有したマスターペレットを作成し、通常のポリエステルペレット中にそのマスターペレットを混合することが好ましい。より具体的には、例えば、1軸もしくは2軸のエクストルーダー型溶融紡糸機を使用した場合、乾燥したポリエステル系樹脂ペレットがエクストルーダーに供給される前にポリオキシアルキレン系ポリエーテル、あるいはポリオキシアルキレン系ポリエーテルを高濃度に含有したポリエステルマスターバッチペレットを計量供給させた後、エクストルーダーに供給し、ポリエステル系樹脂の融点以上の温度で溶融混練した後、計量ギアポンプを介して、溶融紡糸機の先端に設けた紡糸口金から押し出す方法が好ましい。紡糸時のポリマーの溶融温度としては、280℃〜320℃であることが好ましい。
さらには紡糸口金から吐出された溶融ポリマーが水浴にて冷却する方法であることが好ましい。より具体的には、紡糸が水中で行われる水冷紡糸法であり、口金直下は空気中に吐出し、その後速やかに水中にて冷却する紡糸法であることが好ましい。または紡糸後、水浴中にて延伸する方法であることが好ましく、水冷紡糸後にさらに水中にて延伸する方法であることが好ましい。このように水浴を用いることにより、ポリエステル中に添加された水溶性のポリオキシアルキレン系のポリエーテルが、直径の大きいモノフィラメントの表面付近に局在化しやすくなるのであると考えられる。紡糸直後の水浴の温度としては65℃〜75℃の範囲が好ましく、さらには68℃〜72℃の範囲であることが特に好ましい。水冷紡糸中のモノフィラメントの滞留時間は、0.5秒〜10秒の範囲であることが好ましい。
紡糸後のモノフィラメントは、先に述べたように物性を向上させるために延伸される。トータル延伸倍率として、3.0倍〜7.0倍であることが好ましく、さらには2段以上の延伸であることが好ましい。この延伸は空気中で行っても良いが、水浴中で行われることが特に好ましい。延伸時の水浴の温度としては、75℃〜98℃の範囲が好ましく、さらには80℃〜95℃の範囲であることが特に好ましい。延伸時の水浴中のモノフィラメントの滞留時間は、1秒〜10秒の範囲であることが好ましい。
さらに詳細に好ましい延伸条件を述べると、例えば2段延伸を行う場合には、1段目の延伸は3.0〜5.5倍、滞留時間0.5〜10秒の範囲とし、2段目の延伸は1段目よりも倍率を低くすることが好ましく、延伸倍率が1.1〜1.6倍、滞留時間は0.5〜10秒の範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法では紡糸口金から吐出後に、このような冷却・延伸工程を経るが、さらには熱セットを施して巻き取ることが好ましい。熱セットは弛緩処理であることが好ましく、熱風乾燥機を用いることが好ましい。好ましい熱セット条件としては温度150〜270℃の範囲であることが、特には230〜250℃の範囲にあることが好ましい。弛緩処理としては0.7〜1.0倍であることが、特には0.8〜0.9倍であることが好ましい。
本発明の濾過材用モノフィラメントは、例えば上記のような製造方法にて得られるものであるが、濾過材としては不織布形状でも良いが、強度保持の観点などから織物であることが好ましい。特に本発明の濾過材用モノフィラメントは水中での防汚性に優れており、濾過材が湿潤状態で使用するものであることが好ましい。そしてその特性を活かすためにも、さらに織物として用いることが好ましい。空気等の気体と異なり水等の液体は抵抗が大きく不織布形状では形態保持が困難である。また織物形状とすることにより薄手の濾過材とすることができ、一旦付着した汚れを洗浄除去することも可能となる。
このように本発明の濾過材用モノフィラメントは、従来よりも防汚性、特に水中での防汚性が優れる。さらにその防汚性が使用末期まで長期的に継続するという利点を有する。例えば抵抗の大きい水中で使用した場合には、繊維の直径が使用によって減少していくが、従来のコート品等と異なり本発明の濾過材用モノフィラメントでは長期間性能を維持することが可能である。そのため本発明の濾過材用モノフィラメントは水濾過用途の濾過材、例えば抄紙用やフィルター用に特に適する。より具体的には濾過材が抄紙機用基材または汚泥処理用フィルターであることが好ましい。中でも抄紙機用基材のうち、抄紙フォーミング用織物として用いることがもっとも好ましい。また本発明のモノフィラメントは繊維直径の寸法安定性に優れメッシュを均一にコントロールしやすい点も、濾過用途として優れている。この観点からも、抄紙フォーミングワイヤーや、汚泥処理用フィルターの構成素材として極めて好適である。
本発明の濾過材用モノフィラメントは、長期間連続して稼働する抄紙機に装着される抄紙機用織物、より具体的には抄紙プレスフェルト、抄紙フォーミングワイヤー、抄紙ドライヤーキャンバスなどの抄紙機用織物に対して好適に使用することができるのである。これらの織物では、製紙原料中などに含まれている高分子粘着性物質(いわゆるガムピッチ)がモノフィラメントに付着しやすいが、防汚性及び耐久性に優れた本発明の濾過材用モノフィラメントを用いた場合、長期間の安定した生産が可能になる。またガムピッチが付着しにくいために、織物の濾水性の低下、搾水効率の低下などの工程上の問題が発生しにくく、かつ織物の平滑性を保つため、最終製品たる紙の品位をも向上させることが可能となる。
以下、実施例を基に本発明のポリエステルモノフィラメントを更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例における各特性は、以下に説明する方法により測定した値である。
〈湿潤状態及び乾燥状態の防汚性評価〉
乾燥状態と湿潤状態での防汚性評価として、下記のような接着性を代替物性として測定した。
評価試料としては長さ700mmのモノフィラメントを準備し、測定治具として長さ90mm、横幅12mm、厚み1mmの白画用紙に両面テープ(ニチバン株式会社製「ナイスタック」一般用、アクリル系粘着剤使用品、幅12mm、長さ40mm)を貼り付けたもの2枚一組を用意した。
次に測定治具上の両面テープの剥離紙を剥がし、粘着部分全体を水を含んだ筆を使用して湿潤させた。その湿潤した測定治具2枚一組でモノフィラメントの片端40mmを接着し、1kgの重り(底面15mm×50mm)を30秒間載せて、しっかりと接着させて測定用試料を得た。
引張試験機のチャック間距離を444mmとし、上部チャック部分は測定用試料の測定用治具が接着した側を、下部チャック部分は測定用試料の測定用治具が用いられていないモノフィラメントそのままの側を、それぞれ保持させた。なお上部チャック部では、測定治具中のモノフィラメントが配置されていない部分をチャック部分で固定化し、下部チャック部分では、モノフィラメントをそのまま固定化した。測定スピードとしては、500mm/分の条件にて測定し、モノフィラメントが両面テープから剥れるまでの応力(粘着テープ剥離力、単位;N)を、湿潤状態の防汚性とする。数値が低いほど、防汚性が優れていることとなる。
他方、両面テープを湿潤させずに乾燥状態のまま上記と同様の測定を行い、乾燥状態の粘着テープ剥離力を、乾燥状態の防汚性とした。測定はそれぞれ10点行い、最大応力の平均値を計算した。さらに、湿潤状態と乾燥状態の測定値の差を計算した。
〈固有粘度〉
精秤したモノフィラメント試料またはポリエステルチップ原料を、トリクロロフェノール溶液に溶解して測定し、固有粘度とした。
〈モノフィラメントの断面直径(mm)〉
デジタルパッサメーター(ユニオンツール株式会社製)を用いて、モノフィラメントの長さ方向に5回測定し、平均値を断面直径とした。
〈引張強度(cN/dtex)〉
モノフィラメントを引張試験機の上下のチャック部分で固定し、チャック間距離444mm、測定スピード500mm/分の条件にて、引張試験機(Zwick社製)を使用して10回測定し、平均値を引張強度とした。
[実施例1]
まずポリエステルとポリオキシアルキレン系のポリエーテルをブレンドしたポリマーを準備した。すなわち固有粘度1.03のポリエステル原料に、分子量2万のポリオキシアルキレン系のポリエーテルであるポリエチレングリコールを2重量%計量して混合した後に、エクストルーダーに供給した。
その後エクストルーダーにてポリマーを300℃の温度で溶融混練し、計量ギアポンプでポリマーを計量し、口径0.80mmの口金孔からポリマーを押し出した。口金直下の空気中に押し出ししたポリマーは、速やかに70℃の温水浴槽の水中で滞留時間1.5秒の条件で冷却固化させた。
そして得られた未延伸糸を引き続き85℃の温水浴槽の水中で延伸倍率3.5倍、滞留時間1秒の条件で、第1段目の延伸をした。次に2段目の延伸として、この得られた一段延伸糸を95℃の温水浴槽の水中で延伸倍率1.4倍、滞留時間0.7秒の条件で第2段階目の延伸を行った。さらに250℃の熱風乾燥器内で、0.81倍の弛緩熱処理をして、断面直径0.20mmのモノフィラメントを得た。
得られたモノフィラメントの、固有粘度、断面直径、引張強度、湿潤状態及び乾燥状態の防汚性評価を測定した結果を表1に示す。
[実施例2、3]
ポリオキシアルキレン系ポリエーテルの含有量を実施例1の2重量%から4重量%(実施例2)、6重量%(実施例3)に変更した以外は、実施例1と同じ方法及び条件にて、モノフィラメントを得た。物性を表1に併せて示す。
[比較例1]
ポリオキシアルキレン系ポリエーテルの含有量を実施例1の2重量%から無し(比較例1)に変更した以外は、実施例1と同じ方法及び条件にて、モノフィラメントを得た。物性を表1に併せて示す。
Figure 0006228084
[実施例4]
ポリエステルとポリオキシアルキレン系のポリエーテルをブレンドしたポリマーとして、固有粘度0.75のポリエステル原料に、分子量2万のポリオキシアルキレン系のポリエーテルであるポリエチレングリコールを3重量%計量して混合した。
得られたポリマーをエクストルーダーに供給し、エクストルーダーにて290℃の温度で溶融混練し、計量ギアポンプでポリマーを計量し、口径2.7mmの口金孔からポリマーを押し出した。
口金直下の空気中に押し出ししたポリマーは、速やかに70℃の温水浴槽の水中で滞留時間5秒の条件で冷却固化させた。そして引き続き得られた未延伸糸を90℃の温水浴槽の水中で延伸倍率4.9倍、滞留時間2秒の条件で、第1段目の延伸をした。次にこの延伸糸を90℃の温水浴槽の水中で延伸倍率1.1倍、滞留時間2秒の条件で第2段階目の延伸をした。さらに230℃の熱風乾燥器内で、0.83倍の弛緩熱処理をして、断面直径0.90mmのモノフィラメントを得た。
得られたモノフィラメントの、固有粘度、断面直径、引張強度、湿潤状態及び乾燥状態の防汚性評価を測定した結果を表2に示す。
[実施例5、比較例2]
ポリオキシアルキレン系ポリエーテルの含有量を実施例4の3重量%から5重量%(実施例5)、無し(比較例2)に変更した以外は、実施例4と同じ方法及び条件にて、モノフィラメントを得た。物性を表2に併せて示す。
Figure 0006228084
各表からわかるようにポリオキシアルキレン系のポリエーテルを含有した場合、粘着テープ剥離力が特に湿潤状態で低下しており、湿潤状態での防汚性が顕著に向上していることが明らかである。このような乾燥状態と湿潤状態での防汚性の違いは、ポリオキシアルキレン系のポリエーテルを含有しない比較例1や比較例2では起こらない。そして、繊維固有粘度、引張強度等の物理特性については、ポリオキシアルキレン系のポリエーテルの含有有無では差が生じていない。
すなわち、本願発明のモノフィラメントは、特に水を含んだ状況下において、その防汚性能力が発揮され、濾過用の工業用織物、特には抄紙フォーミングワイヤー、汚泥処理フィルターといった水濾過用織物の構成素材として好適に使用できることがわかる。
本発明のモノフィラメントは、水を含んだ状況下において防汚性能力を発揮することから、水濾過用織物の構成素材に使用することで、汚れ物質が付着し難く、かつ付着した汚れを洗浄しやすいなどの抜群の防汚性を有し、特に抄紙フォーミングワイヤーや汚泥処理用フィルターといった水濾過用織物の構成素材として好適である。

Claims (9)

  1. ポリエステルを主成分とし、水溶性のポリオキシアルキレン系のポリエーテルを添加したポリエステルを、紡糸口金から空気中に吐出し、65℃〜75℃の範囲の水浴にて冷却し、75℃〜98℃の水浴中で延伸することを特徴とする濾過材用モノフィラメントの製造方法。
  2. ポリオキシアルキレン系のポリエーテルがポリエチレングリコールである請求項1記載の濾過材用モノフィラメントの製造方法
  3. ポリエーテルの分子量が4000〜10万の範囲である請求項1または2記載の濾過材用モノフィラメントの製造方法
  4. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項1〜3のいずれか1項記載の濾過材用モノフィラメントの製造方法
  5. モノフィラメントの固有粘度が0.6〜1.2の範囲である請求項1〜4のいずれか1項記載の濾過材用モノフィラメントの製造方法
  6. モノフィラメントの直径が0.05〜3mmである請求項1〜5のいずれか1項記載の濾過材用モノフィラメントの製造方法
  7. 延伸が2段以上の延伸である請求項1〜6のいずれか1項記載の濾過材用モノフィラメントの製造方法
  8. 延伸後に150〜270℃の範囲の弛緩熱セット処理を行う請求項1〜7のいずれか1項記載の濾過材用モノフィラメントの製造方法。
  9. 濾過材が抄紙機用基材または汚泥処理用フィルターである請求項1〜8のいずれか1項記載の濾過材用モノフィラメントの製造方法
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