JP4050532B2 - 抄紙機用織物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来よりも改良された防汚性、特に木材ピッチおよび回収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などの粘着性汚れ物が付着し難く、かつ付着したガムテープ粘着糊などの粘着性汚れ物が洗浄しやすいなどの優れた防汚性を有する抄紙ワイヤー、抄紙プレスフェルトおよび抄紙ドライヤーカンバスなどの抄紙機用織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
長期間連続して稼働する抄紙機に装着される抄紙ワイヤー、抄紙プレスフェルトおよび抄紙ドライヤーカンバスなどの抄紙機用織物においては、その使用中に紙原料中に存在する各種填料、スライム、木材ピッチおよび回収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などの汚れ物が、熱可塑性樹脂製モノフィラメントなどの繊維からなる抄紙用織物類に付着することにより、濾水効率の低下、搾水効率の低下および乾燥効率の低下などの工程上の問題を生じるばかりか、これら汚れ物が紙へ転写することによる製品紙の品位低下などが重大な問題となっていた。
【0003】
このような問題に対処するために、フッ素系の薬剤またはポリマを添加または付与した熱可塑性樹脂製モノフィラメントなどの繊維からなる抄紙機用織物が提案され、一部使用されてきた。しかしながら、この織物では、フッ素系薬剤やフッ素樹脂繊維が高価であり経済的ではないばかりか、木材ピッチおよび回収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などの粘着性汚れ物(以下、ガムピッチ汚れという)の付着に対してはほとんど効果がないという問題を包含していたため、さらなる改善が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものであり、木材ピッチおよび回収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などのガムピッチ汚れが付着し難く、かつ付着したガムピッチ汚れを洗浄しやすいなどの優れた防汚性を有する抄紙ワイヤーや抄紙ドライヤーカンバスなどの抄紙機用織物の提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の抄紙機用織物の第1の発明は、モノフィラメントを少なくとも一部の構成素材とする織物であって、前記織物の少なくとも表面に炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を含有し、前記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマがポリエチレンイミンと炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとの付加物またはポリビニルアルコールと炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとの付加物を含む組成物を含有するものであって、下記(1)〜(9)の布粘着テープ水中剥離法により測定した布粘着テープ剥離応力が300cN/2.5cm以下であることを特徴とする抄紙機用織物であり、第2の発明は、モノフィラメントを少なくとも一部の構成素材とする織物であって、前記織物の少なくとも表面にポリアミド反応硬化物を含む組成物を含有し、前記ポリアミド反応硬化物がカプロラクタムと、 2- アミノエチルピペラジンアジペートおよび / またはポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物の反応硬化物であって、下記(1)〜(9)の布粘着テープ水中剥離法により測定した布粘着テープ剥離応力が300cN/2.5cm以下であることを特徴とする抄紙機用織物である。
【0006】
記
(1)抄紙機用織物を、この織物の経糸方向を長手方向として120mm×50mmの長方形に切断して織物片を作成する(ここで、この織物片が抄紙機上で紙と接触する面を「表面」、紙と接触しない面を「裏面」とする)。
(2)厚さ150〜250μm、横巾50mm、縦長さ120mmのポリエチレンテレフタレート製2軸延伸フィルム片を1枚用意し、前記(1)の織物片の「裏面」を上にして、この織物片とフィルム片の短辺の一端同士を重ならないように合わせて、片面に粘着剤の塗布された布粘着テープ(約25mm×25mm)を、前記織物片とフィルム片の両端に渡るように貼付し、前記織物片とフィルム片とが縦方向に繋ぎ合わされた試料を作成する。
(3)底の平坦な平バット内に硝子板(厚さ8mm、縦200mm、横80mm)を敷き、この硝子板表面が約15mm沈む位置になるまで前記平バットに水を注ぐ。
(4)平バットの水中に、前記(2)で作成した試料を浸漬し、30分間放置する。
(5)水中の前記試料の織物片の「表面」を上向き、かつ前記織物片が左側になるようにしてから、横巾25mm、縦長さ150mmに切断した片面に粘着剤が塗布された布粘着テープ(ニチバン(株)製、段ボール包装用強粘着テープ<LS>No.101Nまたは同等品)を水中に入れ、この布粘着テープの長手方向左端を前記織物片の左端と合わせ、かつ前記織物片と布粘着テープの長手方向に平行な中心とを合わせて、前記織物片に前記布粘着テープを仮貼付する。次いで、前記織物片の右端に約30mm残っている前記布粘着テープを、前記フィルム面にしっかりと貼付する。
(6)前記布粘着テープ貼付試料を裏返して、前記(1)で織物とフィルムとを繋ぎ合わせるために貼付した前記布粘着テープを取り除く。
(7)前記布粘着テープ貼付試料の「表面」を上向きにし、前記織物片が硝子板上に完全に乗るようにセットして、前記織物片に仮貼付されている前記布粘着テープ上に、重量1.43Kg、巾5cm、直径8.6cmのゴムローラーを、前記布粘着テープを重ねたフィルムの長手方向に片道走行させることにより、水中で前記布粘着テープを前記布粘着テープ貼付試料の「表面」に貼付して剥離応力測定用試料を作成する。
(8)前記剥離応力測定用試料を水中から取り出し、前記織物片とフィルムとの接合部を支点にして、前記布粘着テープ貼付面が内側になるように山折りし、次いで山折りの支点部から前記織物片に貼付されている前記布粘着テープを長さ約1cm剥がし、露出した繊維貼付フィルム端部をテンシロンの上チャックにセットし、一方の前記織物片の貼付されていない前記フィルムの下端(山折りの裾部)の端を、前記テンシロンの下チャックにセットして、引張速度100mm/分、チャートスピード100mm/分の条件で剥離応力を測定し、剥離応力の高い山と剥離応力の低い谷とが交互に連なった剥離応力チャートを得る。
(9)得られた剥離応力チャートの最初の剥離応力の高い山から2cm後の剥離応力の高い山を始点として、一個一個の交互の山と谷各40点の剥離応力を読み取り、その平均値をもって剥離応力とし、この測定の繰返し10回の平均値を布粘着テープ剥離応力とする。
【0007】
なお、本発明の抄紙機用織物においては、前記織物が、モノフィラメントを少なくとも一部の構成素材とするものであること、前記織物の少なくとも表面に炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を含有すること、前記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマが、ポリエチレンイミンと炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとの付加物またはポリビニルアルコールと炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとの付加物であること、前記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマであるところの前記ポリエチレンイミンと炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとの付加物またはポリビニルアルコールと炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとの付加物におけるアルキルイソシアネートが、オクタデシルイソシアネートまたはペンタデシルイソシアネートであること、前記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマが、硬化剤との反応硬化物であること、前記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマが反応している硬化剤が、ポリエポキシド化合物であること、前記抄紙機用織物の少なくとも表面に、ポリアミド反応硬化物を含む組成物を含有すること、前記組成物に含まれるポリアミド反応硬化物が、水溶性ポリアミドの反応硬化物であること、前記組成物に含まれるポリアミド反応硬化物が、カプロラクタムと、2-アミノエチルピペラジンアジペートおよび/またはポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物の反応硬化物であること、前記組成物に含まれるポリアミド反応硬化物が、ポリエポキシド化合物およびメラミン樹脂から選ばれた1種以上の硬化剤との反応硬化物であること、前記織物が、飽和ポリエステル、ポリアミドおよびポリフェニレンスルフィドから選ばれた少なくとも一種のポリマを含有する繊維からなるものであること、前記織物を構成する繊維における飽和ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであること、抄紙機用織物が抄紙ワイヤー、抄紙プレスフェルトまたは抄紙ドライヤーカンバスであることが、いずれも好ましい条件であり、これらの条件の少なくとも一つの条件を満たすことによって一層優れた効果の取得を期待することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明における抄紙機用織物とは、抄紙工程で使用される抄紙ワイヤー、抄紙プレスフェルトおよび抄紙ドライヤーカンバスから選ばれた少なくとも1種の織物である。そして、この織物は、各種の天然繊維、再生繊維および熱可塑性樹脂からなるモノフィラメント、マルチフィラメントおよび短繊維などの繊維から、目的に応じて構成されたものであり、その織組織には何ら限定はなく、平織り、綾織および2重織り以上の多重織りなどの任意の織り構造を有するものであり、さらにはフェルト状なども含むものである。
【0010】
本発明における抄紙ワイヤーとは、パルプを主成分とする水スラリーから水分を多量に含んだ紙を漉き上げる工程で使用される織物のことである。
【0011】
本発明における抄紙プレスフェルトとは、漉き上げた水分を多量に含んだ紙を搾水する工程で使用される織物のことであり、一般のプレスフェルトの他にシュープレスベルトを含むものである。この抄紙プレスフェルトは通常、基布とバットから構成されている。
【0012】
本発明における抄紙ドライヤーカンバスとは、水分を含んだ紙の乾燥やコーティングした紙を乾燥する工程で使用される織物のことである。
【0013】
本発明の上記した抄紙機用織物を構成する繊維素材としては、いかなるものであってもよいが熱可塑性を有する繊維形成性ポリマであることが更に好ましく、例えば、各種の芳香族、脂肪族または脂環属のジカルボン酸とグリコールからなるポリエチレンテレフタレートを代表とする各種飽和ポリエステル類、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートおよびポリブチレン(サクシネート/アジペート)共重合体などの各種生分解性ポリマ類、ポリフェニレンスルフィド類、ナイロン6、ナイロン66を代表とする各種ポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどの各種ポリオレフィン類、各種ポリスチレン類、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレート類、各種ポリエーテル類、熱可塑性ポリウレタンなどの各種熱可塑性エラストマー類、およびエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどの各種フッ素樹脂類などを挙げることができる。
【0014】
これらの熱可塑性樹脂の中でも、特に飽和ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略称する)およびポリアミドから選ばれた一種がより好ましい。
【0015】
本発明の抄紙機用織物が抄紙ワイヤーである場合の抄紙ワイヤーを構成する繊維としては、主として飽和ポリエステル繊維が好ましく、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)繊維が好適であり、耐摩耗性を補う目的で一部にポリアミド繊維を交織して使用することができる。
【0016】
また、本発明の抄紙機用織物が抄紙プレスフェルトである場合の抄紙プレスフェルトを構成する繊維としては、主としてポリアミド繊維が好ましく、フェルトの基布には主としてナイロン6が好ましく、短繊維からなるバットには主としてナイロン66が好ましく使用される。
【0017】
さらに、本発明の抄紙機用織物が抄紙ドライヤーカンバスである場合の抄紙ドライヤーカンバスを構成する繊維としては、主として飽和ポリエステル繊維および/またはPPS繊維が好ましく、まれにはポリプロピレン繊維などを使用することもできる。
【0018】
上記した抄紙機用織物の構成素材である各種熱可塑性樹脂は、目的に応じて公知の有機・無機の各種添加剤を含有するか、あるいはこれらの添加剤で変性されていることができる。これらの添加剤の具体例としては、例えば異種の熱可塑性樹脂類、各種合成・重合触媒残渣、各種カルボジイミド化合物、各種エポキシ化合物、各種オキサゾリン化合物、各種抗酸化剤、耐光剤、難燃剤、ヨウ化銅、ヨウ化カリウムなどの老化防止剤、酸化チタン、酸化珪素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、炭化ケイ素、硫酸バリウム、クレイ、タルク、カオリン、カーボンブラックなどの無機粒子・顔料類、フタロシアニン金属系、コバルト青などの各種有機顔料、ステアリン酸金属塩類、エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸、メタ珪酸カルシウム、含水珪酸マグネシウム、アミノシラン、メラミンシアヌレート、アイオノマー類、金属イオン封鎖剤、包接化合物、着色防止剤、帯電防止剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤、および各種強化繊維類などを挙げることができる。
【0019】
本発明の抄紙機用織物においては、この織物を構成する繊維の少なくとも一部がモノフィラメントであることが、得られる織物の強度と形態安定性が優れるものとなるため特に好適である。
【0020】
上記モノフィラメントとは、一本の単糸からなる連続糸であり、一本で使用される他に、この一本の単糸からなる連続糸を複数本組合せたもの、さらには複数本組合せた単糸を撚り合わせたものなどを含むものである。
【0021】
また、本発明の抄紙機用織物を構成する繊維の断面形状は任意であり、例えば丸、楕円、3角、T、Y、H、+、5葉,6葉,7葉,8葉などの多葉形状、正方形、長方形、菱形、繭型および馬蹄型などを挙げることができ、これらの形状を一部変更したものであってもよい。さらには、これら各種断面形状の繊維を適宜組み合わせて用いることができる。
【0022】
上記繊維の構造は、単一構造の他に、芯鞘複合構造、海成分または島成分として配した海島複合構造、バイメタル状に組み合わされた複合構造および中空構造などであってもよい。
【0023】
本発明の抄紙機用織物を構成する繊維がモノフィラメントである場合の断面の直径については、用途によって適宜選択できるが、0.01〜3mmの範囲が最もよく使用される。
【0024】
上記繊維の必要強度については、用途により異なるが、概ね1.0cN/dtx以上であることが好ましい。
【0025】
本発明の抄紙機用織物は、下記(1)〜(9)の布粘着テープ水中剥離法により測定した布粘着テープ剥離応力が300cN/2.5cm以下、特に250cN/2.5cm以下であることが、木材ピッチおよび回収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などのガムピッチ汚れが付着し難く、かつ付着したガムピッチ汚れを洗浄しやすいなどの優れた防汚性を有するための重要な要件である。
【0026】
記
(1)抄紙機用織物を、この織物の経糸方向を長手方向として120mm×50mmの長方形に切断して織物片を作成する(ここで、この織物片が抄紙機上で紙と接触する面を「表面」、紙と接触しない面を「裏面」とする)。
(2)厚さ150〜250μm、横巾50mm、縦長さ120mmのポリエチレンテレフタレート製2軸延伸フィルム片を1枚用意し、前記(1)の織物片の「裏面」を上にして、この織物片とフィルム片の短辺の一端同士を重ならないように合わせて、片面に粘着剤の塗布された布粘着テープ(約25mm×25mm)を、前記織物片とフィルム片の両端に渡るように貼付し、前記織物片とフィルム片とが縦方向に繋ぎ合わされた試料を作成する。
(3)底の平坦な平バット内に硝子板(厚さ8mm、縦200mm、横80mm)を敷き、この硝子板表面が約15mm沈む位置になるまで前記平バットに水を注ぐ。
(4)前記平バットの水中に、前記(2)で作成した試料を浸漬し、30分間放置する。
(5)水中の前記試料の織物片の「表面」を上向き、かつ前記織物片が左側になるようにしてから、横巾25mm、縦長さ150mmに切断した片面に粘着剤が塗布された布粘着テープ(ニチバン(株)製、段ボール包装用強粘着テープ<LS>No.101Nまたは同等品)を水中に入れ、この布粘着テープの長手方向左端を前記織物片の左端と合わせ、かつ前記織物片と布粘着テープの長手方向に平行な中心とを合わせて、前記織物片に前記布粘着テープを仮貼付する。次いで、前記織物片の右端に約30mm残っている前記布粘着テープを、前記フィルム面にしっかりと貼付する。
(6)前記布粘着テープ貼付試料を裏返して、前記(1)で織物とフィルムとを繋ぎ合わせるために貼付した前記布粘着テープを取り除く。
(7)前記布粘着テープ貼付試料の「表面」を上向きにし、前記織物片が硝子板上に完全に乗るようにセットして、前記織物片に仮貼付されている前記布粘着テープ上に、重量1.43Kg、巾5cm、直径8.6cmのゴムローラーを、前記布粘着テープを重ねたフィルムの長手方向に片道走行させることにより、水中で前記布粘着テープを前記布粘着テープ貼付試料の「表面」に貼付して剥離応力測定用試料を作成する。
(8)前記剥離応力測定用試料を水中から取り出し、前記織物片とフィルムとの接合部を支点にして、前記布粘着テープ貼付面が内側になるように山折りし、次いで山折りの支点部から前記織物片に貼付されている前記布粘着テープを長さ約1cm剥がし、露出した繊維貼付フィルム端部をテンシロンの上チャックにセットし、一方の前記織物片の貼付されていない前記フィルムの下端(山折りの裾部)の端を、前記テンシロンの下チャックにセットして、引張速度100mm/分、チャートスピード100mm/分の条件で剥離応力を測定し、剥離応力の高い山と剥離応力の低い谷とが交互に連なった剥離応力チャートを得る。
(9)得られた剥離応力チャートの最初の剥離応力の高い山から2cm後の剥離応力の高い山を始点として、一個一個の交互の山と谷各40点の剥離応力を読み取り、その平均値をもって剥離応力とし、この測定の繰返し10回の平均値を布粘着テープ剥離応力とする。
【0027】
なお、上記した水中布粘着テープ剥離法で布粘着テープ剥離応力を測定することにより、抄紙機用織物のガムピッチ汚れに対する防汚性を定量的に評価することが可能である。
【0028】
すなわち、抄紙原料には、フレッシュパルプ以外に、回収段ボール古紙が混合される場合が多く、この回収段ボール古紙には、いわゆるガムテープが貼付されているために、回収段ボール古紙を混合した原料パルプ水性液は、粘着性の強いガムテープ糊が混入したものとなる。そのために、例えば紙の漉き上げ工程で原料パルプ水性液に曝される抄紙ワイヤー表面、ワイヤー工程で漉き揚げた紙料を搾水するプレスパートで使用されるプレスフェルト表面、およびフェルト内部および搾水した紙料を乾燥する工程で使用されるドライヤーカンバス表面には、操業中にガムピッチ汚れが付着蓄積し、漉き揚げた紙の均一性阻害および紙へのガムピッチ汚れの付着による製品の品位低下、織物の目詰まりによる搾水性能、および乾燥性能の低下などのトラブルが発生する。したがって、抄紙機用織物には、ガムピッチ汚れに対する優れた防汚性が必要とされていたのが実情であった。しかるに、上記した水中布粘着テープ剥離法で測定したガムテープ剥離応力が300cN/2.5cm以下、特に好ましくは250cN/2.5cm以下である抄紙機用織物は、従来の抄紙機用織物に比較して、ガムピッチ汚れに対する優れた防汚性を発現することができるのである。
【0029】
本発明の上記した水中布粘着テープ剥離法で測定したガムテープ剥離応力が300cN/2.5cm以下の抄紙機用織物は、少なくとも織物の表面に、ガムテープの粘着性を抑制する薬剤または樹脂を含有させることによって得ることができ、例えば次のような形態を特に好ましく挙げることができる。
【0030】
本発明の抄紙機用織物は、少なくとも繊維の表面に、炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を含有することが、ガムピッチ汚れに対する一層優れた防汚性を具備するものとなるため好適である。
【0031】
本発明の抄紙機用織物が、少なくとも織物の表面に含有するところの炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物における炭素数8〜20のアルキル基としては、例えばオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基およびエイコシル基などを挙げることができ、これらの中でも炭素数が15以上のアルキル基が一層優れた対ガムピッチ防汚性が得られるため好ましい。また、炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するところのポリマの主鎖を構成するポリマとしては、例えばポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルキルアクリレート類、ポリオレフィン類、ポリエステル類などを挙げることができるが、中でもポリエチレンイミンおよびポリビニルアルコールが好ましい。
【0032】
本発明の抄紙機用織物が、少なくとも織物の表面に含有するところの、上記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマとしては、ポリエチレンイミンと炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとの付加物(以下、PEI−ALKIという)またはポリビニルアルコールと炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとの付加物(以下、PVA−ALKIという)が、更に防汚性が優れたものとなるため一層好適である。
【0033】
また、上記PEI−ALKIまたはPEI−ALKIにおける炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとしては、オクタデシルイソシアネートまたはペンタデシルイソシアネートが、更に防汚性が優れたものとなるため一層好適である。
【0034】
本発明におけるPEI−ALKIまたはPVA−ALKIは、公知の方法によりポリエチレンイミンまたはポリビニルアアルコールに炭素数8〜20のアルキルイソシアネートを付加反応させることにより得ることができる。
【0035】
この場合におけるポリエチレンイミンのイミン基またはポリビニルアルコールの水酸基への炭素数8〜20のアルキルイソシアネートの付加反応率としては、イミン基または水酸基の40〜100%がアルキルイソシアネートと反応したものが使用できる。
【0036】
上記PEI−ALKIまたはPVA−ALKIの付加反応率が高いほど、得られる抄紙機用織物の防汚性が優れたものとなるが、反面、表面活性の低いポリオレフィン類、フッ素樹脂類およびポリエステル類からなる抄紙機用織物の表面に上記付加物を含有させた場合には、織物と付加物との密着性が低下する傾向が認められるため、付加物の付加反応率としては50%〜80%のものが好ましい。
【0037】
また、ポリエチレンイミンとオクタデシルイソシアネートとの付加物(以下、PEI−ODIという)については、“エポミン”RP−20((株)日本触媒製品)、“エポミン”RP−10W(水性液)((株)日本触媒製品)として市販されており、これらを購入して使用することができる。
【0038】
さらに、ポリビニルアルコールとペンタデシルイソシアネートとの付加物(以下、PVA−PDIという)については、“アシオレジン”RA−95(アシオ産業(株)製品)として市販されており、これらを購入して使用することができる。
【0039】
本発明において、少なくとも表面に炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を含有させた抄紙機用織物としては、炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を添加および/または付与するなどにより、あらかじめ少なくとも表面に含有させた繊維素材を目的の織物に製織したもの、製織後の織物に炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を後付与したもの、および両方を組み合わせたものであることができる。
【0040】
本発明において、炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを少なくとも表面に含有させた抄紙機用織物の製造方法としては、例えば、合成繊維の紡糸・製糸工程で炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含有する水性処理液などを含浸、スプレー、コーティングなどの方法で付与し、エアーワイパー、バキュームワイパー、プレスなどによって付与量を調整した後、80℃〜230℃の温度で1秒〜10分間定長下で熱処理することにより得た繊維を目的の抄紙機用織物に製織する方法、製織した抄紙機用織物に炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含有する水性処理液などを含浸、スプレー、コーティングなどの方法で付与し、エアーワイパー、バキュームワイパー、プレスなどによって付与量を調整した後、80℃〜230℃の温度で2秒〜10分間定長下で熱処理する方法などを挙げることができる。また、抄紙機用織物は、通常は製織後に熱セットされるが、この熱セット前に上記した方法で炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む水性処理液を付与し付与量を調整した後、織物の熱セットを付与後の熱処理と兼ねて行うこともできる。
【0041】
本発明の抄紙機用織物が、織物の表面に炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を付与することにより構成される場合において、前記組成物は、炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマ単独からなるものでもよいが、炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマと共に、例えば各種架橋剤類、各種ポリマ類および各種界面活性剤類などから選ばれた少なくとも1種を含有する組成物であることが、織物表面への付着性、付着均一性、密着性、耐久性およびガムピッチに対する防汚性のバランスが優れた織物が得られるため好適である。
【0042】
上記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物の織物への付与方法としては、トルエン、キシレンなどの有機溶剤溶液を付与する方法および水性液を付与する方法のいずれでもよいが、工業的には水性液を付与する方法が、安全性・操業性の面から好ましい。
【0043】
上記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物がさらに各種架橋剤を含有する場合における各種架橋剤類としては、例えばポリグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルおよびポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどのポリエポキシド化合物類、ポリカルボジイミド化合物類、ポリオキサゾリン化合物類、ブロックドポリイソシアネート化合物類などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの架橋剤の中でもポリエポキシド化合物が好ましく、炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を水性液として付与する場合には、例えばポリグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルおよびポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどの水溶性を有するポリエポキシド化合物であることが好ましい。
【0044】
上記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物がさらに含有する各種ポリマ類としては、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポエチレンイミン、ポリビニルピロリドンおよびポリメチルメタアクリレートなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を水性液として付与する場合には、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポエチレンイミンおよびポリビニルピロリドンなどの水溶性を有するポリマであることが好ましい。
【0045】
上記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を水性液として付与する場合には、公知のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤およびカチオン界面活性剤を添加することにより水性液を調合することができる。また、製織前の繊維に各種界面活性剤を付与しておくこと、または炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を付与する前の織物に各種界面活性剤を付与しておくことも好ましい。
【0046】
本発明の炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を少なくとも表面に含有する抄紙機用織物の好ましい製造方法としては、例えば、PEI−ODIなどを含有する水性液を織物に付与し、80℃〜230℃の温度で1秒〜10分間熱処理する方法を挙げることができる。
【0047】
なお、上記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物の付与を、水性液に換えて有機溶媒の溶液で行う場合には、付与および熱処理工程に公知の防爆装置を適用して行うことができる。
【0048】
本発明の抄紙機用織物における、上記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物の含有量または付与量は任意であるが、熱処理後の含有量または付与量として0.001〜1重量%の範囲が好ましく、0.003〜0.5重量%の範囲が更に好ましい。含有量または付与量の測定は、組成物を付与した繊維と組成物を含有または付与しないこと以外は組成物を含有または付与した繊維と同一条件で製造した繊維との同一長さにおける重量の差から求めることができる。
【0049】
本発明の上記した水中布粘着テープ剥離法で測定したガムテープ剥離応力が300cN/2.5cm以下の抄紙機用織物は、少なくとも抄紙機用織物の表面に、ガムテープの粘着性を抑制する薬剤または樹脂を含有させることによって得ることができ、前記した、少なくとも抄紙機用織物の表面に、炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を含有する抄紙機用織物の形態とは別の好ましい形態として、織物の少なくとも表面に、ポリアミドの反応硬化物を含む組成物を含有する抄紙機用織物を挙げることができる。
【0050】
上記したポリアミドの反応硬化物を含む組成物におけるポリアミドの反応硬化物とは、各種ポリアミドが化学的に架橋反応して硬化した硬化物のことである。
【0051】
ポリアミド反応硬化物におけるポリアミドの種類は、その分子の繰り返し単位中に1個以上のアミド基を有するポリマであればいずれでもよく、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、1ナイロン46、ナイロンMXD6、ナイロン612、メトキシメチル化ポリアミド、ナイロン6/66共重合体、ポリアルキレンポリアミドとジシアンジアミドとの重縮合物、およびε-カプロラクタムやω-ラウロラクタムなどのラクタム類と、2-アミノエチルピペラジンアジペートおよび/またはポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
これらのポリアミドの中では、水溶性を有するポリアミドを採用するのが本発明の抄紙機用織物の製造が容易であることから好適である。
【0053】
水溶性を有するポリアミドとしては、例えばポリアルキレンポリアミドとジシアンジアミドとの重縮合物、およびε-カプロラクタムやω-ラウロラクタムなどのラクタム類と、2-アミノエチルピペラジンアジペートおよび/またはポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0054】
また、これらのポリアミドの中でも、カプロラクタムと、2-アミノエチルピペラジンアジペートおよび/またはポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物を採用するのが更に好ましい。
【0055】
上記カプロラクタムと、2-アミノエチルピペラジンアジペートおよび/またはポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物は、良好な水溶性を有するものである。
【0056】
なお、水溶性ポリアミドを繊維に付与する公知例としては、特開昭59−78239号公報および特開2001−19763号公報が存在するが、これらはいずれも繊維の制電性、吸汗性または接着性の改善を目的とするものであり、本発明の抄紙機用織物におけるガムピッチ汚れに対する防汚性の改良については何ら言及するものではなく、本発明とは発明の目的、構成および効果を全く異にするものである。
【0057】
本発明の抄紙機用織物においては、特に、上記したカプロラクタムと、2-アミノエチルピペラジンアジペートおよび/またはポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物に代表されるポリアミドの反応硬化物を含む組成物を、抄紙機用織物の少なくとも表面に含有することによって、優れた対ガムピッチ防汚性を発現することができる。そして本発明の抄紙機用織物は、織物の少なくとも表面に、ポリアミドの反応硬化物を含む組成物(以下、組成物という)を含有することによって、対ガムピッチ防汚性が優れるばかりでなく、水との親和性にも優れたものとなり利用価値が高いものである。
【0058】
本発明の抄紙機用織物が含有する組成物が含む、特に好ましいポリアミドの反応硬化物におけるポリアミドであるところの、カプロラクタムと、2-アミノエチルピペラジンアジペートおよび/またはポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物は、例えば、市販品としてAQ−ナイロン A−70、A−90(カプロラクタムと2-アミノエチルピペラジンアジペートとの共重縮合物(東レ(株)製品))、AQ−ナイロン P−70(カプロラクタムとポリエチレングリコールジアンモニウムアジペート共重縮合物(東レ(株)製品))、およびAQ−ナイロン T−70(カプロラクタムと2-アミノエチルピペラジンアジペートおよびポリエチレングリコールジアンモニウムアジペート共重縮合物(東レ(株)製品))が知られておりこれを使用することができる。
【0059】
また、前記したAQナイロン類が水溶液としても市販されている他に、水溶液状のポリアミドの市販品としては、トレジン(登録商標)FS−350、FS−500(帝国化学産業(株)製品)、Sumitex(登録商標)Resin AR−1(住友化学(株)製品)などがあるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0060】
本発明の抄紙機用織物が、織物の表面にポリアミドの反応硬化物を含む組成物を付与されたことより構成される場合において、織物に付与するところの反応硬化前のポリアミドを含む組成物は、ポリアミドと反応可能な各種硬化剤を含有する。
【0061】
本発明におけるポリアミドと反応可能な硬化剤としては、ポリアミドとと架橋反応する化合物で有れば限定はなく、例えば、ポリエポキシド化合物、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、ブロックドポリイソシアネート化合物、および有機酸類なとどを挙げることができる。
【0062】
これらの中でも、ポリエポキシド化合物およびメラミン樹脂から選ばれた1種以上であることがより好ましい。
【0063】
ポリエポキシド化合物は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であればいずれでもよいが、カプロラクタムと上記2-アミノエチルピペラジンアジペートおよび/またはポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物を含む組成物を水性液として繊維に付与することが好ましいことから、このポリエポキシ化合物としても、水との親和性の良好なものが好ましく、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル(市販品としては、例えばデナコール(登録商標)EX−614B(ナガセ化成工業(株)製品))、グリセロールポリグリシジルエーテル(市販品としては、例えばデナコール(登録商標)EX−313(ナガセ化成工業(株)製品))、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(市販品としては、例えばデナコール(登録商標)EX−512またはEX−521(ナガセ化成工業(株)製品))、およびジグリセロールポリグリシジルエーテル(市販品としては、例えばデナコール(登録商標)EX−421(ナガセ化成工業(株)製品))などを挙げることができる。
【0064】
また、メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物であり、一般にはメラミンとともに尿素を共重縮合したもので、更にはメタノールで一部をエーテル化せしめたものであってもよい。このメラミン樹脂としては、水溶液の形態のものが好ましく、市販品としては、例えばSumitex(登録商標)Resin M−3(住友化学工業(株)製品)、Sumitex(登録商標)Resin M−5S(住友化学工業(株)製品)およびSumitex(登録商標)Resin MC(住友化学工業(株)製品)などが挙げられる。
【0065】
本発明において、少なくとも表面にポリアミドの反応硬化物を含む組成物を含有させた抄紙機用織物としては、硬化前のポリアミドおよびポリアミドと反応可能な硬化剤とを含む組成物を添加および/または付与し加熱によって反応硬化するなどにより、あらかじめ少なくとも表面にポリアミドの反応硬化物を含む組成物を含有させた繊維素材を目的の織物に製織したもの、製織後の織物に硬化前のポリアミドおよびポリアミドと反応可能な硬化剤を含む組成物を後付与し加熱によって反応硬化したもの、および両方を組み合わせたものであることができる。
【0066】
本発明において、ポリアミドの反応硬化物を含む組成物を少なくとも表面に含有させた抄紙機用織物の好ましい製造方法としては、例えば、合成繊維の紡糸・製糸工程で反応硬化前のポリアミドと硬化剤を含む組成物を含有する水性処理液などを含浸、スプレー、コーティングなどの方法で付与し、エアーワイパー、バキュームワイパー、プレスなどによって付与量を調整した後、80℃〜230℃の温度で1秒〜10分間定長下で熱処理することにより得た繊維を目的の抄紙機用織物に製織する方法、製織した抄紙機用織物に反応硬化前のポリアミドと硬化剤とを含有する水性処理液などを含浸、スプレー、コーティングなどの方法で付与し、エアーワイパー、バキュームワイパー、プレスなどによって付与量を調整した後、80℃〜230℃の温度で1秒〜10分間定長下で熱処理する方法などを挙げることができる。また、抄紙機用織物は、通常は製織後に熱セットされるが、この熱セット前に上記した方法で反応硬化前のポリアミドと硬化剤とを含む水性処理液を付与し付与量を調整した後、織物の熱セットを付与後の熱処理と兼ねて行うこともできる。
【0067】
本発明の抄紙機用織物が少なくとも表面に含有するポリアミドの反応硬化物を含む組成物が含有することのできるその他の成分として、各種ポリマ類および各種界面活性剤類などから選ばれた少なくとも1種を含有する組成物であることが、織物表面への付着性、付着均一性、密着性、耐久性およびガムピッチに対する防汚性のバランスが優れた織物が得られるため好適である。
【0068】
本発明の抄紙機用織物が表面に含有するところのポリアミドの反応硬化物を含む組成物がさらに含有することのできる各種ポリマ類としては、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポエチレンイミン、ポリビニルピロリドンおよびポリメチルメタアクリレートなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。反応硬化前のポリアミドを含む組成物を水性液として付与する場合には、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポエチレンイミンおよびポリビニルピロリドンなどの水溶性を有するポリマであることが好ましい。
【0069】
上記反応硬化前のポリアミドを含む組成物を水性液として付与する場合には、公知のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤およびカチオン界面活性剤を添加することが好ましい。また、あらかじめ各種界面活性剤を付与した織物に反応硬化前のポリアミドを含む組成物を水性液として付与することも好ましい。
【0070】
本発明の抄紙機用織物における、ポリアミドの反応硬化物を含む組成物の含有量または付与量は任意であるが、熱処理後の含有量または付与量として0.001〜1重量%の範囲が好ましく、0.003〜0.5重量%の範囲が更に好ましい。含有量または付与量の測定は、組成物を付与した抄紙機用織物と組成物を含有または付与しないこと以外は組成物を含有または付与した織物と同一条件で製造した抄紙機用織物との同一長さにおける重量の差から求めることができる。
【0071】
かくして提供される本発明の抄紙機用織物は、卓越したガムピッチ汚れに対する防汚性を有するものであることから、パルプの漉き上げ工程で使用される抄紙ワイヤー、漉き揚げたパルプを搾水する工程で使用される抄紙プレスフェルトおよび搾水した湿紙やコーティング紙などを乾燥する抄紙ドライヤーカンバスなどの各種抄紙機用織物として好適に使用することができ、産業上の利用価値が大なるものである。
【0072】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
次に示す組成のPEI−ODIを含有する水性処理液を調合した。
【0073】
<PEI−ODIを含有する水性処理液の調合>
PEI−ODI約12%と界面活性剤を含有する水性液である“エポミン”RP−10W((株)日本触媒製品)200重量部、ソルビトールポリグリシジルエーテルである“デナコール”EX−614B(ナガセ化成工業(株)製品)8重量部および蒸留水3792重量部を、撹拌装置付きの混合槽に入れ、撹拌混合することにより、PEI−ODIを0.6重量%含有する水性処理液を得た。
【0074】
そして、上記の水性処理液をディップ槽に仕込んだ。
【0075】
一方、経糸、緯糸共に直径0.30mmのPETモノフィラメントからなる2重織りの抄紙ワイヤーを準備し、これを上記のPEI−ODI含有水性処理液が入ったディップ槽に導入して、水性処理液をディップ付与した。
【0076】
次いで、ディップ槽から出た抄紙ワイヤーに付着した過剰な水性処理液を、エアーワイパーで除去した後、150℃で10秒間熱処理することにより、PEI−ODIを含有する組成物0.02重量部を表面に含有するPETモノフィラメント製抄紙ワイヤーを得た。
【0077】
この抄紙ワイヤーについて、上記布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、214cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0078】
[比較実施例1]
実施例1において、PEI−ODI含有水性処理液の付与を省略した以外は、同様にして得られたPETモノフィラメント製抄紙ワイヤーについて、実施例1と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、1205cN/2.5cmと、ガムピッチ汚れに対する防汚性の劣るものであった。
【0079】
[実施例2]
実施例1において、PEI−ODI含有水性処理液をPETモノフィラメントの製糸時に付与した。
【0080】
すなわち、公知の方法で溶融紡糸・延伸・熱セットし、熱セットゾーンから出た直径0.30mmのPETモノフィラメントを、上記のPEI−ODI含有水性処理液が入ったディップ槽に導入して、水性処理液を付与し、ディップ槽から出たモノフィラメントに付着した過剰な水性処理液をエアーワイパーで除去した後、150℃で6秒間熱処理し巻き取ることにより、PEI−ODIを表面に約0.02%含有するPETモノフィラメントを製造した。
【0081】
次に、このPEI−ODIを表面に含有するPETモノフィラメントを用いて、実施例1と同様に織成することにより得られた2重織りの抄紙ワイヤーについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、217cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0082】
[実施例3]
実施例1におけるPETモノフィラメント製抄紙ワイヤーを、経糸、緯糸共に直径0.40mmのPETモノフィラメントからなる2重織りの抄紙ドライヤーカンバスに変更した以外は、実施例1と同様に行って作成したPEI−ODIを含有する組成物0.02重量%を表面に含有するPETモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、231cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
[比較実施例2]
実施例3において、PEI−ODI含有水性処理液の付与を省略した以外は実施例3と同様にして得られたPETモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、1310cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の劣るものであった。
【0083】
[実施例4]
実施例3において、PETモノフィラメント製ドライヤーカンバスを、直径0.40mmのPPSモノフィラメント製ドライヤーカンバスに変更した以外は実施例3と同様に行って作成したPEI−ODIを含有する組成物0.02重量%を表面に含有するPPSモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、240cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0084】
[比較実施例3]
実施例4において、PEI−ODI含有水性処理液の付与を省略した以外は実施例4と同様にして得られたPPSモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、1281cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の劣るものであった。
【0085】
[実施例5]
次に示す組成のPVA−PDIを含有するトルエン溶液を調合した。
【0086】
<PVA−PDIを含有するトルエン溶液の調合>
PVA−PDIである“アシオレジン”RA−95(アシオ産業(株)製品)24重量部、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルである“デナコール”EX−411(ナガセ化成工業(株)製品)8重量部およびトルエン3968重量部を防爆型撹拌装置付き混合槽に入れ、ドラフト内で撹拌混合することにより、PVA−PDIを0.6重量%含有するトルエン溶液を得た。
【0087】
実施例1において、PEI−ODIを含有する水性処理液に代えて、上記のPVA−PDIを含有するトルエン溶液を使用した以外は、同様にして得られたPETモノフィラメント製抄紙ワイヤーについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、229cN/2.5cmであり、ガムピッチに対する防汚性の優れたものであった。
【0088】
[実施例6] 実施例5において、PETモノフィラメント製抄紙ワイヤーを、経糸、緯糸共に直径0.40mmのPETモノフィラメントからなる2重織りの抄紙ドライヤーカンバスに変更した以外は、実施例5と同様に行って作成したPVA−PDIを含有する組成物0.02重量%を表面に含有するPETモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、245cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0089】
[実施例7]
実施例3において、PETモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスを、経糸、緯糸共に直径0.40mmのポリプロピレンモノフィラメントからなる2重織りの抄紙ドライヤーカンバスに変更した以外は、実施例4と同様に行って作成したPEI−ODIを含有する組成物0.02重量%を表面に含有するポリプロピレンモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、235cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0090】
[比較実施例4]
実施例7において、PEI−ODI含有水性処理液の付与を省略した以外は、同様にして得られたポリプロピレンモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、12308cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の劣るものであった。
【0091】
[実施例8]
実施例1におけるPETモノフィラメント製抄紙ワイヤーを、直径0.21mmのナイロン6モノフィラメントの3本撚糸を経糸および緯糸とする2重織物(坪量600g/m2 )を基布とし、ナイロン66短繊維をバット(表目付400g/m2 、裏目付200g/m2 )として、ニードルパンチで植え込んだ抄紙プレスフェルトに変更した以外は、実施例1と同様に行って作成したPEI−ODIを含有する組成物0.08重量%を表面に含有する抄紙プレスフェルトについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、59cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0092】
[比較実施例5]
実施例8において、PEI−ODI含有水性処理液の付与を省略した以外は、同様にして得られた抄紙プレスフェルトについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、338cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の劣るものであった。
【0093】
[実施例9]
実施例8において、バットとしてのナイロン66短繊維を、短繊維の製糸工程において、実施例1で使用したPEI−ODIを含有する水性処理液を付与し、150℃で5分間熱処理したナイロン66短繊維に変更して製織し、製織後のPEI−ODIを含有する水性処理液処理を省略した以外は、同様にして得た抄紙プレスフェルトについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、57cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0094】
[実施例10]
水溶性ポリアミドであるカプロラクタムと2-アミノエチルピペラジンアジペートとの重縮合物を含む組成物を含有する水性処理液(以下、処理液[A]という)を次の方法で調合した。
<処理液[A]の調合>
カプロラクタムと2-アミノエチルピペラジンアジペートとの重縮合物ペレットであるAQナイロン A−70(東レ(株)製品)0.5重量部と、蒸留水99.4重量部とを攪拌機付き溶解槽に仕込み、25℃で3時間攪拌してAQナイロン A−90水溶液を得た。次いで、硬化剤としてソルビトールポリグリシジルエーテルである“デナコール”(登録商標)EX−614B(ナガセ化成工業(株)製品)0.1重量部を、上記したAQナイロン A−70水溶液中に投入し、25℃で30分間攪拌することにより、ポリアミドであるカプロラクタムと2-アミノエチルピペラジンアジペートとの重縮合物と硬化剤であるソルビトールポリグリシジルエーテルを含む組成物を含有する処理液[A]を得た。
【0095】
そして、上記の処理液[A]をディップ槽に仕込んだ。
【0096】
一方、実施例1で使用したものと同じ、経糸、緯糸共に直径0.30mmのPETモノフィラメントからなる2重織りの抄紙ワイヤーを準備し、これを上記の処理液[A]が入ったディップ槽に導入して、処理液[A]をディップ付与した。
【0097】
次いで、ディップ槽から出た抄紙ワイヤーに付着した過剰な処理液[A]を、エアーワイパーで除去した後、150℃で10秒間熱処理することにより、
カプロラクタムと2-アミノエチルピペラジンアジペートとの重縮合物の反応硬化物を含有する組成物約0.02重量部を表面に含有するPETモノフィラメント製抄紙ワイヤーを得た。
【0098】
この抄紙ワイヤーについて、上記布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、114cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0099】
[実施例11]
実施例2における、PEI−ODI含有水性処理液を上記処理液[A]に変更した以外は実施例2と同様に行って、ポリアミド反応硬化物を含む組成物を織物の表面に約0.02重量%含有するPETモノフィラメント製抄紙ワイヤーを得た。
【0100】
このようにして得られた抄紙ワイヤーについて上記布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、101cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0101】
[実施例12] 実施例1におけるPETモノフィラメント製抄紙ワイヤーを、経糸、緯糸共に直径0.40mmのPETモノフィラメントからなる2重織りの抄紙ドライヤーカンバスに変更した以外は、実施例1と同様に行って作成したポリアミド反応硬化物を含む組成物0.02重量%を表面に含有するPETモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、102cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0102】
[実施例13]
実施例12におけるPETモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスを、直径0.40mmのPPSモノフィラメント製ドライヤーカンバスに変更した以外は実施例12と同様に行って作成したPEI−ODIを含有する組成物0.02重量%を表面に含有するPPSモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、113cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0103】
[実施例14]
実施例12におけるPETモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスを、直径0.40mmのポリプロピレンモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスに変更した以外は実施例12と同様に行って作成したポリアミドの反応硬化物を含む組成物0.02重量%を表面に含有するポリプロピレンモノフィラメント製抄紙ドライヤーカンバスについて、上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、105cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0104】
[実施例15]
実施例10における処理液[A]が含有する水溶性ポリアミドを、カプロラクタムとポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物ペレットであるAQナイロン P−70(東レ(株)製品)に変更し、硬化剤をメラミン樹脂であるSumitex(登録商標)Resin M−3(住友化学工業(株)製品)に変更して調合した処理液(以下、処理液[B]という)を使用した以外は、実施例1と同様に行って、ポリアミド反応硬化物を含む組成物を織物の表面に約0.02重量%含有するPETモノフィラメント製抄紙ワイヤーを得た。
【0105】
このようにして得られた抄紙ワイヤーについて上記布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、96cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0106】
[実施例16]
実施例8において抄紙プレスフェルトに付与したPEI−ODIを含有する水性処理液を、処理液[A]に変更した以外は実施例8と同様に行って、ポリアミドの反応硬化物を含む組成物0.08重量%を表面に含有する抄紙プレスフェルトを得た。該プレスフェルトについて上記と同様に布粘着テープ水中剥離法による布粘着テープ剥離応力を測定した結果、40cN/2.5cmであり、ガムピッチ汚れに対する防汚性の優れたものであった。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の抄紙機用織物は、本発明の抄紙機用織物は、卓越したガムピッチ汚れに対する防汚性を有するものであることから、パルプの漉き上げ工程で使用される織物抄紙ワイヤー、漉き揚げたパルプを搾水する工程で使用される抄紙プレスフェルトおよび搾水した湿紙やコーティング紙などを乾燥する抄紙ドライヤーカンバスなどの各種抄紙機用織物として好適に使用することができ、産業上の利用価値が大なるものである。
Claims (9)
- モノフィラメントを少なくとも一部の構成素材とする織物であって、前記織物の少なくとも表面に炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマを含む組成物を含有し、前記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマがポリエチレンイミンと炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとの付加物またはポリビニルアルコールと炭素数8〜20のアルキルイソシアネートとの付加物であって、下記(1)〜(9)の布粘着テープ水中剥離法により測定した布粘着テープ剥離応力が300cN/2.5cm以下であることを特徴とする抄紙機用織物。
記
(1)抄紙機用織物を、この織物の経糸方向を長手方向として120mm×50mmの長方形に切断して織物片を作成する(ここで、この織物片が抄紙機上で紙と接触する面を「表面」、紙と接触しない面を「裏面」とする)。
(2)厚さ150〜250μm、横巾50mm、縦長さ120mmのポリエチレンテレフタレート製2軸延伸フィルム片を1枚用意し、前記(1)の織物片の「裏面」を上にして、この織物片とフィルム片の短辺の一端同士を重ならないように合わせて、片面に粘着剤の塗布された布粘着テープ(約25mm×25mm)を、前記織物片とフィルム片の両端に渡るように貼付し、前記織物片とフィルム片とが縦方向に繋ぎ合わされた試料を作成する。
(3)底の平坦な平バット内に硝子板(厚さ8mm、縦200mm、横80mm)を敷き、この硝子板表面が約15mm沈む位置になるまで前記平バットに水を注ぐ。
(4)前記平バットの水中に、前記(2)で作成した試料を浸漬し、30分間放置する。
(5)水中の前記試料の織物片の「表面」を上向き、かつ前記織物片が左側になるようにしてから、横巾25mm、縦長さ150mmに切断した片面に粘着剤が塗布された布粘着テープ(ニチバン(株)製、段ボール包装用強粘着テープ<LS>No.101Nまたは同等品)を水中に入れ、この布粘着テープの長手方向左端を前記織物片の左端と合わせ、かつ前記織物片と布粘着テープの長手方向に平行な中心とを合わせて、前記織物片に前記布粘着テープを仮貼付する。次いで、前記織物片の右端に約30mm残っている前記布粘着テープを、前記フィルム面にしっかりと貼付する。
(6)前記布粘着テープ貼付試料を裏返して、前記(1)で織物とフィルムとを繋ぎ合わせるために貼付した前記布粘着テープを取り除く。
(7)前記布粘着テープ貼付試料の「表面」を上向きにし、前記織物片が硝子板上に完全に乗るようにセットして、前記織物片に仮貼付されている前記布粘着テープ上に、重量1.43Kg、巾5cm、直径8.6cmのゴムローラーを、前記布粘着テープを重ねたフィルムの長手方向に片道走行させることにより、水中で前記布粘着テープを前記布粘着テープ貼付試料の「表面」に貼付して剥離応力測定用試料を作成する。
(8)前記剥離応力測定用試料を水中から取り出し、前記織物片とフィルムとの接合部を支点にして、前記布粘着テープ貼付面が内側になるように山折りし、次いで山折りの支点部から前記織物片に貼付されている前記布粘着テープを長さ約1cm剥がし、露出した繊維貼付フィルム端部をテンシロンの上チャックにセットし、一方の前記織物片の貼付されていない前記フィルムの下端(山折りの裾部)の端を、前記テンシロンの下チャックにセットして、引張速度100mm/分、チャートスピード100mm/分の条件で剥離応力を測定し、剥離応力の高い山と剥離応力の低い谷とが交互に連なった剥離応力チャートを得る。
(9)得られた剥離応力チャートの最初の剥離応力の高い山から2cm後の剥離応力の高い山を始点として、一個一個の交互の山と谷各40点の剥離応力を読み取り、その平均値をもって剥離応力とし、この測定の繰返し10回の平均値を布粘着テープ剥離応力とする。 - 前記アルキルイソシアネートが、オクタデシルイソシアネートまたはペンタデシルイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載の抄紙機用織物。
- 前記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマが硬化剤との反応硬化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の抄紙機用織物。
- 前記炭素数8〜20のアルキル基を側鎖に有するポリマが反応している硬化剤が、ポリエポキシド化合物であることを特徴とする請求項3に記載の抄紙機用織物。
- モノフィラメントを少なくとも一部の構成素材とする織物であって、前記織物の少なくとも表面にポリアミド反応硬化物を含む組成物を含有し、前記ポリアミド反応硬化物がカプロラクタムと、 2- アミノエチルピペラジンアジペートおよび / またはポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートとの重縮合物の反応硬化物であって、下記(1)〜(9)の布粘着テープ水中剥離法により測定した布粘着テープ剥離応力が300cN/2.5cm以下であることを特徴とする抄紙機用織物。
記
(1)抄紙機用織物を、この織物の経糸方向を長手方向として120mm×50mmの長方形に切断して織物片を作成する(ここで、この織物片が抄紙機上で紙と接触する面を「表面」、紙と接触しない面を「裏面」とする)。
(2)厚さ150〜250μm、横巾50mm、縦長さ120mmのポリエチレンテレフタレート製2軸延伸フィルム片を1枚用意し、前記(1)の織物片の「裏面」を上にして、この織物片とフィルム片の短辺の一端同士を重ならないように合わせて、片面に粘着剤の塗布された布粘着テープ(約25mm×25mm)を、前記織物片とフィルム片の両端に渡るように貼付し、前記織物片とフィルム片とが縦方向に繋ぎ合わされた試料を作成する。
(3)底の平坦な平バット内に硝子板(厚さ8mm、縦200mm、横80mm)を敷き、この硝子板表面が約15mm沈む位置になるまで前記平バットに水を注ぐ。
(4)前記平バットの水中に、前記(2)で作成した試料を浸漬し、30分間放置する。
(5)水中の前記試料の織物片の「表面」を上向き、かつ前記織物片が左側になるようにしてから、横巾25mm、縦長さ150mmに切断した片面に粘着剤が塗布された布粘着テープ(ニチバン(株)製、段ボール包装用強粘着テープ<LS>No.101Nまたは同等品)を水中に入れ、この布粘着テープの長手方向左端を前記織物片の左端と合わせ、かつ前記織物片と布粘着テープの長手方向に平行な中心とを合わせて、前記織物片に前記布粘着テープを仮貼付する。次いで、前記織物片の右端に約30mm残っている前記布粘着テープを、前記フィルム面にしっかりと貼付する。
(6)前記布粘着テープ貼付試料を裏返して、前記(1)で織物とフィルムとを繋ぎ合わせるために貼付した前記布粘着テープを取り除く。
(7)前記布粘着テープ貼付試料の「表面」を上向きにし、前記織物片が硝子板上に完全に乗るようにセットして、前記織物片に仮貼付されている前記布粘着テープ上に、重量1.43Kg、巾5cm、直径8.6cmのゴムローラーを、前記布粘着テープを重ねたフィルムの長手方向に片道走行させることにより、水中で前記布粘着テープを前記布粘着テープ貼付試料の「表面」に貼付して剥離応力測定用試料を作成する。
(8)前記剥離応力測定用試料を水中から取り出し、前記織物片とフィルムとの接合部を支点にして、前記布粘着テープ貼付面が内側になるように山折りし、次いで山折りの支点部から前記織物片に貼付されている前記布粘着テープを長さ約1cm剥がし、露出した繊維貼付フィルム端部をテンシロンの上チャックにセットし、一方の前記織物片の貼付されていない前記フィルムの下端(山折りの裾部)の端を、前記テンシロンの下チャックにセットして、引張速度100mm/分、チャートスピード100mm/分の条件で剥離応力を測定し、剥離応力の高い山と剥離応力の低い谷とが交互に連なった剥離応力チャートを得る。
(9)得られた剥離応力チャートの最初の剥離応力の高い山から2cm後の剥離応力の高い山を始点として、一個一個の交互の山と谷各40点の剥離応力を読み取り、その平均値をもって剥離応力とし、この測定の繰返し10回の平均値を布粘着テープ剥離応力とする。 - 前記組成物に含まれるポリアミド反応硬化物が、ポリアミドと、ポリエポキシド化合物およびメラミン樹脂から選ばれた1種以上の硬化剤との反応硬化物であることを特徴とする請求項5に記載の抄紙機用織物。
- 前記織物が、飽和ポリエステル、ポリアミドおよびポリフェニレンスルフィドから選ばれた少なくとも一種のポリマを含有する繊維からなるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の抄紙機用織物。
- 前記抄紙機用織物を構成する繊維における飽和ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項7に記載の抄紙機用織物。
- 抄紙機用織物が抄紙ワイヤー、抄紙プレスフェルトまたは抄紙ドライヤーカンバスであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の抄紙機用織物。
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