JP6226852B2 - 船舶 - Google Patents
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Description
特許文献1には、船体の内部に設けられて船体の内部を船体の長手方向に対して複数の室に区画する隔壁と、複数の室のうち少なくとも1つの内部に配置され、船体の側壁及び隔壁に接する浸水防止室と、を備えた構成が開示されている。このような構成によれば、側壁における隔壁の近傍が損傷を受けても、浸水を浸水防止室の浸水に留めることができる。これにより、複数の室に跨って浸水する可能性が低減し、万が一の損傷時における複数の室への浸水を抑制する。
ここで、主機室および発電機室の上部を跨がるようにダクトを設けることがある。つまり、主機室と発電機室とで、ダクトを共用することがある。このような構成において、主機室および発電機室の天井には、ダクト内に連通する開口部を設ける。主機室および発電機室から排出される空気は、それぞれの天井に形成された開口部を通して、ダクト内に排出される。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の室の上部を跨がるように、ダクト等の囲壁を備えた場合においても、船舶の復原性を有効に確保することができる船舶を提供することを目的とする。
この発明の第一態様によれば、船舶は、左右一対の舷側を有する船体と、前記船体の内部に互い隣接するように隔壁によって区画された複数の室と、前記隔壁上及び前記隔壁によって区画される複数の前記室上に跨がるように配置され、上方に向けて延びる筒状の囲壁と、前記囲壁の下端部に形成され、複数の前記室のそれぞれと前記囲壁内とを連通する連通部と、前記囲壁内に設けられ、前記囲壁内で一の前記室の前記連通部と他の前記室の前記連通部とを隔てるように、前記囲壁内の下端部から上方に向かって延在する浸水防止壁と、を備える。
このように構成することで、一の室と他の室の一方に浸水が生じ、その室から連通部を通して囲壁内に流出した水は、浸水防止壁とその上端部の端板とによって確実に遮られる。
このように構成することで、主機室と発電機室の双方が浸水してしまうことを抑制できる。
このように構成することで、主機室と発電機室とで、排気経路を共用しつつ、囲壁内の浸水防止壁によって、主機室と発電機室の双方が浸水することを抑制できる。
このように構成することで、囲壁の下端部内において、浸水防止壁により、主機室と発電機室の双方が浸水することを抑制できる。
このように構成することで、複数の室で通風ダクトを共用しつつ、船体の復原性を確保することができる。さらに、複数の通風ダクトを共用することで、通風ファンも共用することができ、低コスト化を図ることができる。
このように構成することで、囲壁を船体内のいかなる位置に設けても、囲壁内の浸水防止壁によって、一の室と他の室の双方が浸水することを抑制できる。
このように構成することで、複数の室の間に浸水防止室が設けられている場合においても、囲壁内の浸水防止壁によって、一の室と他の室の双方が浸水することを抑制できる。
(第一実施形態)
図1は、この発明の第一実施形態における船舶の全体構成を示す側面図である。図2は、上記船舶の船体内部構成を示す図であり、図1のX−X矢視断面図である。図3は、この発明の第一実施形態におけるケーシングの下端部を示す側断面図である。図4は、上記ケーシングの平断面図である。
図1、図2に示すように、この実施形態の船舶1は、車両を運搬可能な車両運搬船(フェリー)である。この船舶1の船体2は、舷側3A,3Bと、船底4と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の船側外板からなる。船底4は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板からなる。船体2は、これら一対の舷側3A,3B及び船底4により断面形状がU字状に形成されている。
この実施形態では、乾舷甲板11と、その上層の甲板12との間に、車両が走行可能なランプ(図示せず)が設けられている。
このようにして、左舷側の舷側3Aと右舷側の舷側3Bとには、乾舷甲板11と、甲板18と、船首尾方向において互いに隣り合う複数枚の隔壁21とに囲まれて、複数の水密区画室(室)S11、S12、S13が形成されている。ここで、これら複数の水密区画室S11、S12、S13のうち、船首2a側の水密区画室S11は、発電機を収容する発電機室とされている。また、水密区画室S12は、主機を収容する主機室とされている。船尾2b側の水密区画室S13は、主機とプロペラ5とを接続する回転軸9を収容する軸室とされている。
ケーシング30Aは、少なくともその下部が、隔壁21を挟んで船首尾方向で互いに隣り合う、発電機室としての水密区画室S11と、主機室としての水密区画室S12とを上方で跨がるように配置されている。
この実施形態において、ケーシング30Aは、船体2の船幅方向両端部、すなわち左舷側の舷側3Aと右舷側の舷側3Bとに隣接して、それぞれ設けられている。
開口部33,34の内側には、水密区画室S11,S12内に収容された発電機や主機等に接続された排気用のダクト管35,36等が配置されている。
また、開口部33,34には、鋼製のグレーチングやメッシュ材等、通気性を有したパネル(図示せず)が装着され、開口部33,34上を作業者が歩行できるようになっている。
この浸水防止壁40Aは、その上端40tが、例えば、乾舷甲板11の上方の甲板12の近傍に位置するよう設けられている。
図5は、上記第一実施形態における船舶の第一変形例の構成を示す図であり、ケーシングの下端部を示す側断面図である。
この図5に示すように、上記実施形態で示したような浸水防止壁40Aの上端部に、浸水防止壁40Aに直交して乾舷甲板11と平行に設けられ、浸水防止壁40Aから船首2a側と船尾2b側に延びる端板41を設けても良い。
図6は、この発明の第一実施形態における船舶の第二変形例の構成を示す図であり、ケーシング内に設けた浸水防止壁の斜視図である。
この図6に示すように、上記実施形態で示したような浸水防止壁40Aに、水密区画室S11側と水密区画室S12側とを連通する開口部42を形成し、この開口部42を水密に封止できる水密扉43を開閉可能に設けても良い。
このような水密扉43を備えることで、メンテナンス作業等の際には、この開口部42を通して作業者が水密区画室S11側と水密区画室S12側とを行き来することが可能となる。
なお、この水密扉43は、水密ハッチまたはボルテットプレートとしても良い。
次に、この発明にかかる船舶の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と浸水防止室を備えた構成のみが異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図7は、この発明の第二実施形態における船舶に設けられたケーシングの下端部を示す側断面図である。図8は、上記ケーシングの平断面図である。
図7、図8に示すように、この実施形態における船舶1は、船体2内に、水密区画室S11と水密区画室S12とを区画する隔壁21に対して水密区画室S12側に、浸水防止室50Aを備えている。
この浸水防止壁40Bは、その上端40tが、例えば、乾舷甲板11の上方の甲板12の近傍に位置するよう設けられている。
ここで、第二実施形態では、水密区画室S11と水密区画室S12とを区画する隔壁21に対して水密区画室S11側に、浸水防止室50Aを備えるようにしたが、これに限るものではない。
この図9、図10に示すように、船体2内に、水密区画室S11と水密区画室S12とを区画する隔壁21の水密区画室S11側と水密区画室S12側とに、それぞれ浸水防止室50A、50Bを備えるようにしてもよい。
このような構成においても、ケーシング30B内を、水密区画室S11の開口部33側と、水密区画室S12の開口部34側とに区画する浸水防止壁40Bを設けることができる。
上記第一、第二実施形態およびそれぞれの変形例においては、ケーシング30A、30Bを、船体2の船幅方向両端部、すなわち左舷側の舷側3Aと右舷側の舷側3Bとに隣接して、それぞれ設けるようにしたが、これに限るものではない。
図11は、この発明の第一および第二実施形態の第一変形例における船舶の船体内部構成を示す平断面図である。
この図11に示すように、ケーシング30Dは、左舷側の舷側3Aと右舷側の舷側3Bとの間の、船幅方向中央部に設けるようにしてもよい。この場合、ケーシング30Dは、船幅方向に間隔を空けて設けられた側壁31D,31Dと、前壁31Aと、後壁31Bとに四方を囲まれた平面視略矩形の筒状をなしている。
このようなケーシング30Dが、隔壁21を挟んで船首尾方向で互いに隣り合う水密区画室S11と水密区画室S12とを上方で跨がるように配置されている。
図12は、この発明の第一および第二実施形態の第二変形例における船舶の船体内部構成を示す平断面図である。
この図12に示すように、ケーシング30Eは、左舷側の舷側3Aと右舷側の舷側3Bとの間の、船幅方向中央Cに対して、船幅方向いずれか一方の側、例えば左舷側にオフセットして設けてもよい。つまり、ケーシング30Eは、船幅方向中央Cと、左舷側の舷側3Aまたは右舷側の舷側3Bとの間に設けられている。
このようなケーシング30Eが、隔壁21を挟んで船首尾方向で互いに隣り合う、水密区画室S11と水密区画室S12とを上方で跨がるように配置されている。
さらには、図11および図12に示した、第一および第二実施形態の第一、第二変形例においても、図7〜図10に示したのと同様に、水密区画室S11と水密区画室S12とを区画する隔壁21に対して水密区画室S11および水密区画室S12の少なくとも一方側に、浸水防止室50Aまたは50Bを備えるようにしてもよい。
次に、この発明にかかる船舶の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第一実施形態に対して浸水防止壁の設置部位のみが異なるので、第一、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図13は、この発明の第三実施形態における船舶の全体構成を示す側面図である。
図13に示すように、この実施形態における船舶1は、船体2内の舷側3A,3Bに沿って設けられた水密区画室S1,S2,…、水密区画室S11,S12,S13の上方に、乾舷甲板11から上方に向けて延びる通風ダクト60を備えている。
この通風ダクト60は、水密区画室S1,S2,…、水密区画室S11,S12,S13のうち、船首尾方向で互いに隣り合う室同士上を跨がるように設けられている。
通風ダクト60は、水密区画室S1,S2,…、水密区画室S11,S12,S13に対して給気または排気を図るものである。通風ダクト60は、乾舷甲板11に形成された開口部(連通部:図示せず)を通して、水密区画室S1,S2,…、水密区画室S11,S12,S13内に連通している。
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上記第一〜第三実施形態およびそれらの変形例で、浸水防止壁40A〜40Fを例示したが、その高さについては何ら限定するものではない。浸水防止壁40A〜40Fは、上記第一〜第三実施形態およびそれらの変形例で図示した高さよりも低くしても良いし、乾舷甲板11の上方の甲板12よりもさらに上方に延びるよう設けても良い。例えば、浸水防止壁40A〜40Fは、例えば、最低300mm程度とし、人が跨げることができる程度の高さとしてもよい。
また、浸水防止壁40A〜40Fは、乾舷甲板11から鉛直上方に向かって延びるよう形成したが、これに限らない。浸水防止壁40A〜40Fは、乾舷甲板11から斜め上方に向かって延びるよう形成してもよい。
2 船体
2a 船首
2b 船尾
3A,3B 舷側
4 船底
5 プロペラ
6 舵
7A 船首側ランプウェイ
7B 船尾側ランプウェイ
8 煙突
9 回転軸
11 乾舷甲板
12,13,14,15,16,18 甲板
19A,19B ロンジバルクヘッド隔壁
20 隔壁
21 隔壁
30A ケーシング
30B ケーシング
30D ケーシング
30E ケーシング
31A 前壁
31B 後壁
31C 内壁
31D 側壁
33,34 開口部(連通部)
35,36 ダクト管
39s 空間
40A〜40F 浸水防止壁
40t 上端
41 端板
42 開口部
43 水密扉
50A,50B 浸水防止室
51A 後壁
51B 内壁
60 通風ダクト
S1,S2,・・・,S11,S12,S13 水密区画室(室)
Claims (8)
- 左右一対の舷側を有する船体と、
前記船体の内部に互い隣接するように隔壁によって区画された複数の室と、
前記隔壁上及び前記隔壁によって区画される複数の前記室上に跨がるように配置され、上方に向けて延びる筒状の囲壁と、
前記囲壁の下端部に形成され、複数の前記室のそれぞれと前記囲壁内とを連通する連通部と、
前記囲壁内に設けられ、前記囲壁内で一の前記室の前記連通部と他の前記室の前記連通部とを隔てるように、前記囲壁内の下端部から上方に向かって延在する浸水防止壁と、を備える船舶。 - 前記浸水防止壁は、その上端部に、前記浸水防止壁の延びる方向に交差して一の前記室側と他の前記室側との少なくとも一方に延びる端板を備える請求項1に記載の船舶。
- 複数の前記室が、主機を収容した主機室と、発電機を収容した発電機室である請求項1又は2に記載の船舶。
- 前記船体の上部に煙突が設けられ、
前記囲壁は、前記主機室および前記発電機室からの排気を前記煙突に導くケーシングである請求項3に記載の船舶。 - 前記浸水防止壁は、乾舷甲板上に設けられ、前記乾舷甲板と前記乾舷甲板の上方1層目の甲板との間に設けられている請求項3又は4に記載の船舶。
- 前記囲壁は、複数の前記室の内部に吸気または排気を行う通風ダクトである請求項1又は2に記載の船舶。
- 前記囲壁は、前記船体内で、前記舷側に沿った位置、左右一対の前記舷側の中央部、および、前記舷側に沿った位置と前記中央部との中間部のいずれかに設けられている請求項1から6の何れか一項に記載の船舶。
- 前記囲壁は、前記舷側に隣接する位置に設けられ、
前記囲壁の下方に位置する複数の前記室の間に、浸水防止室が設けられている請求項7に記載の船舶。
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