JP6226649B2 - 熱融着接着剤 - Google Patents

熱融着接着剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6226649B2
JP6226649B2 JP2013184436A JP2013184436A JP6226649B2 JP 6226649 B2 JP6226649 B2 JP 6226649B2 JP 2013184436 A JP2013184436 A JP 2013184436A JP 2013184436 A JP2013184436 A JP 2013184436A JP 6226649 B2 JP6226649 B2 JP 6226649B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber elastic
elastic body
polyamide
polyamide rubber
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013184436A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015052037A (ja
Inventor
泰治 松川
泰治 松川
洋嗣 河田
洋嗣 河田
藤村 英樹
英樹 藤村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Ube Corp
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd, Ube Industries Ltd filed Critical Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Priority to JP2013184436A priority Critical patent/JP6226649B2/ja
Publication of JP2015052037A publication Critical patent/JP2015052037A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6226649B2 publication Critical patent/JP6226649B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

本発明は、ポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体を含む熱融着接着剤に関する。
高分子ゴム弾性体は、基本的に、軟質高分子構造を有するもの、若しくは、硬質高分子部位と軟質高分子部位とを組み合わせた構造を有するものであり、常温でゴム弾性を示し、高温では熱可塑性プラスチックと同様に可塑化することから機械的成形が可能であるため、幅広い工業分野で使用されている。代表的な高分子ゴム弾性体としては、スチレン系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル系およびポリアミド系などのものが挙げられる。これらの高分子ゴム弾性体は、通常、押し出し成形等の機械的操作により成形品として提供されるが、各種材料へのコーティング剤、粘接着剤、バインダー、エマルジョン等の改質剤および繊維の収束剤等に使用される場合においては、水性分散体での使用が望ましい。
高分子ゴム弾性体の水性分散体については、これまでに多くの検討がなされており、実用品として、スチレン系ゴム弾性体の水性分散体が提供されている。スチレン系ゴム弾性体の水性分散体は、通常、スチレン系ゴム弾性体を有機溶剤に溶解した有機相と、乳化剤(界面活性剤)を水性媒体に溶解した水相とを混合し、これをホモミキサー等を用いて乳化した後に有機溶剤を除去して製造されている(特許文献1、2)。
しかし、スチレン系ゴム弾性体の水性分散体により得られる成形品は、一般に、耐磨耗性、耐屈曲性、耐油性および耐候性に劣る。これに対し、ポリアミド系ゴム弾性体の水分散体は、これらの特性において優れているだけではなく、透明性、柔軟性、衝撃強度、引張強度、耐薬品性および耐熱性等においても優れた特性を有する成形品を製造することができ、しかも、同硬度の他の高分子ゴム弾性体に比べて変形時の応力が大きいために成形品の薄肉化を達成できるという利点があるため、例えば、包装フィルム、自動車部品、スポーツ用品および医療器具等を製造するための材料として有用である。
このため、ポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体の検討が進められている。(特許文献3)
特開昭51−23532号公報 特開2003−253134号公報 国際公開2008/020520
本発明の目的は、有機溶媒を用いることなく、様々な基材間同士の接着や基材間の密着性を向上することができる安定性の良いポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤を提供することにある。
本発明者は、上記した目的を達成するために鋭意検討を重ねてきた結果、特定のポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体を用いて熱融着接着剤を調製することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の項に記載の主題を包含する。
項1−1.
水性媒体と、界面活性剤の存在下で前記水性媒体中に分散されたポリアミド系ゴム弾性体とを含む熱融着接着剤。
項1−2.
水性媒体中に分散されたポリアミド系ゴム弾性体の平均粒子径が0.1〜5μmである、項1−1に記載の熱融着接着剤。
項2−1.
ポリアミド系ゴム弾生体が、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含んでなるブロック共重合体を含む、項1−1又は1−2に記載の熱融着接着剤。
項2−2.
ポリアミド系ゴム弾生体が、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含んでなるブロック共重合体並びに共重合ナイロンを含む、項1−1又は1−2に記載の熱融着接着剤。
項3.
前記ポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体中の界面活性剤がアニオン系またはノニオン系である項1−1、1−2、2−1、又は2−2に記載の熱融着接着剤。
項4.
項1−1、1−2、2−1、2−2、又は3のいずれかに記載の熱融着接着剤で基材が熱融着されてなる積層物。
本発明の熱融着接着剤は、有機溶媒を用いることなく様々な基材間同士の接着や基材間の密着性、相溶性を向上することができる。また、本発明の熱融着接着剤は、ポリアミド系ゴム弾性体を主成分とすることより、優れた耐熱性、耐薬品性、柔軟性を付与することができる。
本発明は、水性媒体と、界面活性剤の存在下で前記水性媒体中に分散されたポリアミド系ゴム弾性体とを含む熱融着接着剤に係る。特に、特定のポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体を含む熱融着接着剤に係る。以下、まず、当該特定のポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体について説明する。
本発明に係るポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体は、水性媒体と、界面活性剤の存在下で水性媒体中に分散されたポリアミド系ゴム弾性体とを含んでいる。
本発明において用いられる水性媒体は、水が好ましい。水としては特に制限されず、水道水、工業用水、イオン交換水、脱イオン水、純水などの各種の水を用いることができ、なかでも純水が好ましい。また、この水は、本発明の目的を阻害しない範囲において、必要に応じ、pH調整剤、消泡剤、粘度調整剤、防かび剤および酸化防止剤等が適宜添加されていてもよい。
本発明において用いられるポリアミド系ゴム弾性体は、特に限定されるものではないが、例えば、結晶性で融点の高いポリアミドブロックを有する硬質高分子部位と、非晶性でガラス転移温度の低いポリエーテルブロックを有する軟質高分子部位とを組み合わせた構造を有するものが好ましい。あるいは、共重合ナイロンなども好ましく用い得る。
本発明に用いられるポリアミド系ゴム弾性体は、具体的には、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含んでなるブロック共重合体が好ましい。特に、ポリアミド及びポリエーテルが共重合した構造を有するブロック共重合体が好ましい。
例えば、次の式(I)で表されるポリマーが、好ましい一態様として例示される。
−[(ポリアミドブロック)−<結合部>−(ポリエーテルブロック)]n− (I)
当該式(I)では、nは自然数を表す。なお、式(I)は「(ポリアミドブロック)−<結合部>−(ポリエーテルブロック)」が繰り返されているということを意味するが、各繰り返しの中の(ポリアミドブロック)や(ポリエーテルブロック)が同じという意味は必ずしも有さない。
ポリアミドブロックの構成成分としては、例えば、ラクタム化合物、アミノカルボン酸化合物、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物の塩、等を挙げることができる。
より具体的には、ラクタム化合物としては、カプロラクタム、カプリルラクタム、エナントラクタム、ラウリルラクタム等が例示される。環状ラクタムも好ましく用いることができ、例えばε−カプロラクタム、ω−エナントラクタムおよびω−ラウリルラクタム等が挙げられる。
また、アミノカルボン酸化合物としては、ω―アミノカプロン酸、ω―アミノエナント酸、ω―アミノカプリル酸、ω―アミノペルコン酸、ω―アミノカプリン酸、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が例示される。
また、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物の塩における、ジアミン化合物としては、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン等が例示され、また、ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、フマル酸、フタル酸、キシリレンジカルボン酸、ダイマー酸(リノール酸やオレイン酸を主成分とする不飽和脂肪酸より合成される炭素数36の不飽和ジカルボン酸)等が例示される。ジアミン化合物とジカルボン酸化合物の塩は、好ましくは前記例示のジアミン化合物とジカルボン酸化合物の塩であり、より好ましくは、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、及びヘキサメチレンジアミンからなる群より選択される1種と、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、及びイソフタル酸からなる群より選択される1種の、塩である。
なお、ポリアミドブロックの構成成分が1個単独で又は複数個重合してポリアミドブロックを構成する。複数個重合する場合においては、1種の構成成分が重合していてもよく、2種以上の構成成分が重合していてもよい。
ポリエーテルブロックの構成成分としては、例えば、グリコール化合物、ジアミン化合物等が例示される。より具体的には、グリコール化合物としては、ポリエチレンオキシドグリコール、ポリプロピレンオキシドグリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ポリヘキサメチレンオキシドグリコール等が例示される。また、ジアミン化合物としては、ポリエーテルジアミン等が例示される。
なお、ポリエーテルブロックの構成成分が1個単独で又は複数個重合してポリエーテルブロックを構成する。複数個重合する場合においては、1種の構成成分が重合していてもよく、2種以上の構成成分が重合していてもよい。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとの結合部の分子構造としては、例えば、−CO−NH−、又は−CO−O−が例示される。好ましくは−CO−NH−である。結合部の分子構造が−CO−NH−の共重合体をポリエーテルブロックアミド共重合体、結合部の分子構造が−CO−O−の共重合体をポリエーテルエステルブロックアミド共重合体、と呼ぶ。つまり、上記式(I)を用いて表現すれば、ポリアミド及びポリエーテルが共重合した構造からなるブロック共重合体として、
−[(ポリアミドブロック)−CO−NH−(ポリエーテルブロック)]n−
の結合形態を有するポリエーテルブロックアミド共重合体、
−[(ポリアミドブロック)−CO−O−(ポリエーテルブロック)]n−
の結合形態を有するポリエーテルエステルブロックアミド共重合体、等を例示できる。
限定的な解釈を望むものではないが、本発明に用いられるポリアミド系ゴム弾性体が、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含んでなるブロック共重合体である場合、ポリアミドブロックを有する硬質高分子部位(ハードセグメントともいう)と、ポリエーテルブロックを有する軟質高分子部位(ソフトセグメントともいう)とが組み合わされた構造を有すると考えられる。当該硬質高分子部位は、結晶性で融点が高く、また、当該軟質高分子部位は、非晶性でガラス転移温度が低いと考えられる。
本発明においては、耐加水分解性、耐熱性に優れ、有機溶剤を用いなくても、粒度分布が優れたポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体が得られやすいという観点から、ポリアミド系ゴム弾性体として、特にポリエーテルブロックアミド共重合体を好適に用いることができる。
本発明において用いるポリアミド系ゴム弾性体の融点は特に限定されないが、熱融着接着剤として、コーティングや接着のしやすさから 樹脂の融点が90℃〜180℃、好ましくは130〜160℃のものが好ましい。融点が90℃以上であると、得られる接着剤の耐熱性がより高く、好ましい。また、融点が180℃以下であると、熱融着させるのにそれほど高い温度が必要とはならず、効率的である。
ポリアミド系ゴム弾性体としては、公知の物質を用いることができ、また、公知の方法により製造されたものを用いることができる。また、市販されているものを用いることもできる。
ポリアミド系ゴム弾性体を製造する方法としては、例えば、ラクタム化合物、アミノカルボン酸化合物、並びにジアミン化合物とジカルボン酸化合物の塩、からなる群より選択される少なくとも1種と、ジカルボン酸とを反応させて、実質的に両末端がカルボキシル基であるポリアミドブロックを調製した後、このポリアミドブロックにグリコール化合物及びジアミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を添加して、加熱することで反応させる方法等を挙げることができる。
なお、ここで用いるジカルボン酸としては、例えば上記“ジアミン化合物とジカルボン酸化合物の塩”の説明において例示したジカルボン酸化合物と同様のものを用い得る。
本発明においてポリアミド系ゴム弾性体は、単独あるいは数種類混合して使用してもよい。
なお、本明細書において軟化点とは、JIS K 7206の方法により求められるビカット軟化温度を、また、融点とは、JIS K 7121の方法により求められる融解温度を意味する。
また、本発明に用いるポリアミド系ゴム弾性体として市販品を用いる場合、例えば、宇部興産株式会社製ポリエーテルブロックアミド共重合体(商品名“UBESTAXPA9048F1”)、アルケマ社製ポリエーテルエステルブロックアミド共重合体(商品名“ペバックス2533SA01”)等を用いることができる。
ポリアミド系ゴム弾性体は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、少なくともポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含んでなるブロック共重合体を用いることが好ましい。また、これに加えてさらに共重合ナイロンを用いることがより好ましい。
本発明において用いられる界面活性剤は、特に限定されるものではないが、熱融着接着剤として各種配合剤を添加する際に、混合のしやすさからアニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤が好ましい場合がある。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ロジン酸塩および脂肪酸塩等が挙げられる。これらのうち、乳化分散性および安定性に優れ、しかも安価で入手が容易であるといった観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩および脂肪酸塩が好ましい。
このうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩は、下記の一般式(1)で示される化合物である。
(AO)SOX …(1)
一般式(1)において、Xは、ナトリウム原子、カリウム原子、アミノ基またはアンモニウム基を示している。Rは、炭素数5〜24(好ましくは10〜20)のアルキル基またはアルケニル基を示している。nは、付加モル数であり、2〜50(好ましくは10〜40)の整数を示す。また、(AO)nは、下記の式(1−a)で示される原子団である。
(CO)(CO)…(1−a)
式(1−a)において、hおよびkは、それぞれ独立して0〜50の整数であり、hとkとの合計が上記nである。ここで、hおよびkがいずれも0ではないとき、エチレンオキシド単位((CO))とプロピレンオキシド単位((CO))との配列順序は限定されるものではなく、例えば、ブロックでもよいし、ランダムでもよい。
上述のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の具体例としては、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸塩等を挙げることができる。より具体的には、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムやポリオキシプロピレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、および、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等を例示することができる。また、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウムやポリオキシプロピレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム、および、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム等を挙げることができる。このうち、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸塩、特にポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが特に好ましい。
また、ジアルキルスルホコハク酸塩は、下記の一般式(2)で示される化合物である。
YOSCH(CHCOOR)COOR…(2)
一般式(2)において、Yは、ナトリウム原子、カリウム原子、アミノ基またはアンモニウム基を示している。また、RおよびRは、炭素数5〜12のアルキル基またはフェニル基を示し、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上述のジアルキルスルホコハク酸塩の具体例としては、ジオクチルスルホコハク酸塩、ジエチルヘキシルスルホコハク酸塩、ジアルキルフェニルスルホコハク酸塩およびジドデシルスルホコハク酸塩等を挙げることができる。このうち、ジオクチルスルホコハク酸塩が特に好ましい。
さらに、脂肪酸塩は、下記一般式(3)で示される化合物である。
COOM …(3)
一般式(3)において、Rは、炭素数5〜24のアルキル基またはアルケニル基を示し、Mは、ナトリウム原子、カリウム原子、アミノ基またはアンモニウム基を示している。
上述の脂肪酸塩の具体例としては、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩およびパルミチン酸塩等を挙げることができる。このうち、オレイン酸塩が好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルチオエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミドおよびポリグリセリンエステル等を挙げることができる。これらの中でも、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸モノエステルが好ましく、乳化分散性および耐熱性が優れているといった観点から、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体が特に好ましい。
エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体は、下記一般式(4)で示される化合物である。
HO(CHCHO)(CHCH(CH)O)(CHCHO)H …(4)
一般式(4)において、p、qおよびrは、それぞれ付加モル数を示し、pは2〜300の整数、qは10〜150の整数、rは2〜300の整数を示している。これらは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは3,000〜30,000、より好ましくは6,000〜25,000、特に好ましくは8,000〜20,000である。また、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体中のエチレンオキシドの含有割合は、特に限定されないが、好ましくは40〜95重量%、より好ましくは45〜90重量%、特に好ましくは50〜85重量%である。
本発明において、界面活性剤は、2種以上のものが併用されてもよい。この場合、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤とが併用されてもよい。
本発明に係るポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体において、界面活性剤の使用量は、ポリアミド系ゴム弾性体100重量部に対して1〜20重量部が好ましく、1〜12重量部がより好ましい。
本発明に係るポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体は、本発明の目的を阻害しない範囲において、必要に応じ、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステルの塩およびアルギン酸ナトリウム等の高分子分散安定剤を含んでいてもよい。これらの高分子分散安定剤を用いることにより、乳化が容易になり、より安定な水性分散体を得ることができる。
本発明に係るポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体において、ポリアミド系ゴム弾性体の平均粒子径は、0.1〜5μmであり、より好ましくは0.5〜3μmである。平均粒子径が0.1μm以下の場合、粘度が高くなりすぎ取扱いにくくなる場合がある。5μmを越える場合は、水性分散体の静置安定性や機械的安定性が低下する可能性がある。
本発明に係るポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体は、例えば、ポリアミド系ゴム弾性体を界面活性剤の存在下において水性媒体中で乳化分散させる方法により製造することができる。より具体的には、例えば、次の2種類の方法により製造することができる。
(製造方法1)
この製造方法では、先ず、ポリアミド系ゴム弾性体を有機溶剤に溶解した有機相と、界面活性剤を水性媒体に溶解した水相とを混合して、乳濁液を調製する。有機相の調製において用いる有機溶剤は、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンおよびテトラリン等の芳香族炭化水素系溶剤、シクロヘキサンおよびデカリン等の脂環族炭化水素系溶剤、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤並びにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびt−ブタノール等のアルコール系溶剤等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、2種以上のものを併用することもできる。
有機溶剤としては、ポリアミド系ゴム弾性体の溶解性が良好であることから、芳香族炭化水素系溶剤および脂環族炭化水素系溶剤のうちの一つとアルコール系溶剤との混合溶剤を用いるのが好ましい。この混合溶剤において、芳香族炭化水素系溶剤および脂環族炭化水素系溶剤のうちの一つとアルコール系溶剤との混合割合は、特に限定されないが、芳香族炭化水素系溶剤および脂環族炭化水素系溶剤のうちの一つ100重量部に対してアルコール系溶剤を25〜100重量部に設定するのが好ましく、40〜60重量部に設定するのがより好ましい。
有機相を調製する際に用いる有機溶剤の量は、特に限定されるものではないが、有機相中におけるポリアミド系ゴム弾性体の濃度が3〜30重量%になるように設定するのが好ましい。有機相中におけるポリアミド系ゴム弾性体の濃度が30重量%を超える場合は、ポリアミド系ゴム弾性体が有機相中に均一に溶解されにくくなり、目的とするポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体中におけるポリアミド系ゴム弾性体の粒子径が大きくなる可能性がある。また、ポリアミド系ゴム弾性体の濃度が3重量%未満の場合は、有機溶剤の使用量に見合う効果が得られず経済的でない。
前記有機相は、有機溶剤中にポリアミド系ゴム弾性体を添加して溶解することで調製することができる。この際の温度は、特に限定されるものではないが、通常、100℃以下に制御するのが好ましい。
一方、水相は、水性媒体中に界面活性剤を添加して溶解することで調製することができる。水性媒体に対する界面活性剤の添加量は、特に限定されるものではないが、水性媒体中における濃度が0.1〜50重量%になるように設定するのが好ましい。
上述の有機相と水相とを混合して乳濁液を調製する際において、有機相と水相との混合割合は、ポリアミド系ゴム弾性体に対する界面活性剤の割合が既述の範囲になるよう設定する必要がある。一般には、通常、有機相100重量部に対し、水相の割合を20〜500重量部に設定するのが好ましく、25〜200量部に設定するのがより好ましい。水相の割合が20重量部以上であれば、好ましく乳化ができ、得られる乳濁液の粘度が高くなりすぎるおそれが小さい。500重量部以下であれば、生産性も良好であり、より実用的である。
有機相と水相とを混合して乳濁液を調製する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ホモミキサーやコロイドミル等の乳化機を用いて有機相と水相とを撹拌混合する方法や、超音波分散機等を用いて有機相と水相とを分散、混合する方法などを採用することができるが、通常は前者の方法が好ましい。また、乳濁液の調製時の温度は、特に限定されるものではないが、通常、5〜70℃の範囲に設定するのが好ましい。
ここでは、乳化機や超音波分散機等による有機相と水相との混合において、撹拌機の回転数、撹拌時間および温度等を適宜調節し、ポリアミド系ゴム弾性体の平均粒子径が既述の範囲になるよう設定する。なお、ポリアミド系ゴム弾性体の平均粒子径は、撹拌機の回転数や撹拌時間などの調節の他、界面活性剤の選択や使用量の調節により既述の範囲に設定することもできる。
次に、上述の工程において調製された乳濁液から有機溶剤を留去する。これにより、本発明に係るポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体が得られる。乳濁液からの有機溶剤の留去は、減圧下で乳濁液を加熱して有機溶剤を除去する等の通常の方法により実施することができる。得られたポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体は、必要に応じて加熱濃縮、遠心分離または湿式分離等の操作により適宜濃縮すると、ポリアミド系ゴム弾性体の濃度を使用目的に応じて調節することができる。
なお、高分子分散安定剤を含むポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体を調製する場合、高分子分散安定剤を添加する方法は特に限定されるものではなく、例えば、水性媒体中に界面活性剤を添加して水相を調製する際に添加してもよく、あるいは、有機溶剤を留去して得られた水性分散体に対して添加してもよい。
(製造方法2)
この製造方法では、先ず、容器内にポリアミド系ゴム弾性体、界面活性剤および水性媒体を投入し、これらの混合液を調製する。ここで、ポリアミド系ゴム弾性体に対する界面活性剤の割合は、既述のように設定する。また、水性媒体の使用量は、特に限定されるものではないが、ポリアミド系ゴム弾性体100重量部に対して40〜1,000重量部に設定するのが好ましく、50〜150重量部に設定するのがより好ましい。水性媒体の使用量が40重量部以上であれば、分散安定性等がより良好な水性分散体が得られる。また、使用量が1,000重量部以下であれば、生産性も良好であり、より実用的である。なお、当該製造方法は、有機溶媒を使用する必要がない点でも特に好適である。
上述の混合液の調製において用いる容器は、ポリアミド系ゴム弾性体が水性媒体中で軟化する温度以上の温度に加熱するための加熱手段と、内容物に剪断力を与えることのできる撹拌手段とを備えた耐圧容器が好ましい。例えば、撹拌機付きの耐圧オートクレーブ等を用いるのが好ましい。
次に、混合液をポリアミド系ゴム弾性体の軟化温度以上に加熱して撹拌し、混合液を乳化させる。そして、これにより得られた乳濁液を室温まで冷却すると、目的とするポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体が得られる。ここで、撹拌時の回転数や撹拌時間、温度等を適宜調節し、ポリアミド系ゴム弾性体の平均粒子径が既述の範囲になるよう設定する。なお、ポリアミド系ゴム弾性体の平均粒子径は、撹拌機の回転数や撹拌時間などの調節の他、界面活性剤の選択や使用量の調節により既述の範囲に設定することもできる。
なお、高分子分散安定剤を含むポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体を調製する場合、高分子分散安定剤を添加する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ポリアミド系ゴム弾性体、界面活性剤および水性媒体の混合液を調製する際に添加してもよく、あるいは、室温まで冷却した乳濁液に対して添加してもよい。
本発明のポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤は、上記で得られたポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体と各種の添加剤を使用目的に合わせて混合することで任意に調整することができる。
添加剤としては、PH調整剤、粘度調整剤、カップリング剤、架橋剤、粘着付与剤、シリカ、タルク等の無機粉末や金属粉末等を挙げることができる。PH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、酢酸やPH緩衝剤を挙げることができる、粘度調整剤としては、アクリル系、ノニオン系の増粘剤や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等の高分子系増粘剤、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤等を挙げることがでる。カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシラン系カップリング剤や、チタネート系カップリング剤を挙げることができる。架橋剤としては、エポキシ基、カルボジイミド基、イソシアネート基、オキサゾリン基等を含む化合物を挙げることができる。粘着付与剤としては、ロジン系、変性ロジン系、テルペン系、アクリル系、水素化石油樹脂等の粘着付与剤を挙げることができる。
また、基材との親和性を向上させる目的でSBR、NBRのようなゴムラテックスやエチレンアクリル酸共重合体やエチレングリシジルメタクリレート共重合体のような樹脂エマルジョンを混合することもできる。これらは単独あるいは何種類か組みあわせて用いても良い。
本発明のポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤は、各種の基材に塗布後、水性媒体を除去することで、基材上に良好な接着剤層あるいは塗膜層を形成させることができる。また、形成された接着剤層は接着性に優れているため、その接着剤層上にさらに別の基材を圧着(好ましくは加熱圧着)することにより、積層体を得ることができる。
さらに本発明の熱融着接着剤は、各種の基材に形成された塗膜層は、別の基材との密着性や相溶性に優れるため、樹脂とフィラーや各種繊維との複合材料における接着性向上剤や分散助剤としても有効である。
塗工する基材や積層化させる相手の基材(被着体)は、特に制限されることはなく、例えば各種樹脂の成形体、フィルム、繊維、織布、編布、不織布や、セラミック、ガラス繊維、炭素繊維、金属や無機粉末、金属、紙、木材、皮革、コンクリート、アスファルト等を用いることができる。
これらの中でも特に、各種樹脂の成形体・フィルム・繊維・織布・不織布や、ガラス繊維、炭素繊維、金属粉末、無機粉末は、塗工する基材として幅広く使用される。各種樹脂としては、例えば合成ゴム、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂等をあげることができ、具体的には天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトリルゴムなどの合成ゴム、さらには、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、飽和ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー等も使用できる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィン樹脂や環状ポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/12、ナイロン6/66/12等のポリアミド樹脂や共重合ナイロン樹脂、アラミド、ポリエチレンテレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、共重合ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂、またはそれらの混合物も好ましく挙げることができる。これらを使用する形態は特に限定はなく、成形品、フィルム、繊維、織布、不織布等の形態で使用することができる。
金属粉末や無機粉末としては、シリカ、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、フェライト、鉄、銅、アルミ、カーボンブラック等を挙げることができる。
本発明に係るポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤を基材に塗工する方法は、特に限定されるものではなく、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等が採用できる。
金属や無機粉末に対しては、粉末を熱融着接着剤にディップ後、水分を乾燥する方法や、スプレー等で粉末の表面に付着させる方法等が採用される。
また、これらの基材に塗工する前に、カップリング剤や、接着性を向上するためにプラマー等を事前に基材にコートしてから使用することも可能である。
熱融着接着剤の塗布量は、基材によって適宜決定すればよい。塗工後の基材は加熱乾燥することで、基材上に、ポリアミド系ゴム弾性体のコーティング皮膜を作成することができる。乾燥温度は、特に限定されないが、基材上に、ポリアミド系ゴム弾性体の良好な皮膜を得るためにはポリアミド系ゴム弾性体の融点以上まで加温した方が好ましい場合がある。
基材上に形成された接着層上に被着体を積層することにより、基材/接着層/被着体からなる積層体を得ることができる。積層させる方法は特に制限されず、公知の成形方法を用いることができる。
本発明に係るポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤は、有機溶媒を用いないで様々な基材間同士の接着や基材間の密着性を向上することができるだけでなく、ポリアミド系ゴム弾性体の優れた耐熱性、耐薬品性、柔軟性を基材に付与することができる。上述のようにして得られる成形品は、ポリアミド系ゴム弾性体が本質的に有する各種の特性、すなわち、柔軟性、衝撃強度、引張強度、制振性、耐磨耗性、耐候性、ガスバリア性、耐薬品性および耐熱性等が損なわれ難い。
したがって、本発明に係るポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤を塗工した基材や、その積層体は、包装フイルム、自動車部品、スポーツ関連製品および医療器具等を製造するための素材、衣料材料、カーペットおよびエアーバックなどに用いられるナイロン繊維やポリエステル繊維等のコーティング剤、紙およびフイルム等のコーティング剤やガスバリア剤、フォームラバー用原料、合成繊維、天然繊維およびガラス繊維、炭素繊維等の繊維材料の収束剤、樹脂複合材料の充填剤に用いられる無機粉末やフェライト粉末の表面処理剤、あるいはホース、チューブ、ベルト、ガスケットおよびパッキング等の製造用原料などとして、広い用途において活用することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下、ポリアミド系ゴム弾性体の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製:SALD−2000J)にて測定したメジアン径である。
<ポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体の製造>
製造例1
内容積が500mlのセパラブルフラスコに、ポリエーテルエステルブロックアミド共重合体(アルケマ株式会社製の商品名“ペバックス2533SA01”:融点134℃、軟化点60℃)16g、トルエン123gおよびイソプロピルアルコール61gを仕込み、80℃で4時間撹拌して溶解した。これにより得られた有機相溶液に対し、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(日油株式会社製の商品名“トラックスET−314”:有効成分30重量%)5.3gを100gの水に溶解した水溶液を添加し、これをホモミキサー(プライミクス株式会社製の商品名“TKホモミキサーM型”)を用いて2分間撹拌混合して乳濁液を得た。なお、撹拌混合時の回転数および温度は、それぞれ12,000rpmおよび40℃に設定した。得られた乳濁液を40〜90kPaの減圧下で40〜70℃に加熱してトルエンおよびイソプロピルアルコールを留去し、平均粒子径が1.5μmのポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体を得た。
製造例2
製造例1において、ホモミキサー(プライミクス株式会社製の商品名“TKホモミキサー M型”)の回転数を7000rpm回転とした以外は、製造例1と同条件で製造を行い、平均粒子径が6μmのポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体を得た。
製造例3
直径50mmのタービン型撹拌羽根を備えた内容積1リットルの耐圧オートクレーブ中に、ポリエーテルブロックアミド共重合体(宇部興産株式会社製の商品名“UBESTAXPA9048F1”:融点153℃、軟化点137℃)160g、脱イオン水224gおよびエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体(旭電化株式会社の商品名“プルロニックF108”:重量平均分子量15,500、エチレンオキシド含有量80重量%)16gを仕込み、密閉した。次に、撹拌機を始動し、500rpmの回転数で撹拌しながらオートクレーブ内部を180℃まで昇温した。内温を180℃に保ちながらさらに15分間撹拌した後、内容物を室温まで冷却し、平均粒子径が2μmのポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体を得た。
<接着剤の製造>
実施例1
製造例1で製造したポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体に100gに、ポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製の商品名“ゴーセノールGH−20”)10gを100gの水に溶解した水溶液を10gとγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.2gを添加して混合し、平均粒子径1.5μmのポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤を得た。
実施例2
実施例1で製造したポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤100gに、さらに共重合ナイロンのエマルジョン(住友精化株式会社製の商品名“セポルジョンPA200”)100gを添加して混合し、平均粒子径1.1μmのポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤を得た。
実施例3
製造例3で製造したポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体100gに、ポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製の商品名“ゴーセノールGH−20”)10gを100gの水に溶解した水溶液を10gと、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.2gを添加して混合し、平均粒子径2.0μmポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤を得た。
実施例4
実施例3で製造したポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤100gに、共重合ナイロンのエマルジョン(住友精化株式会社製の商品名“セポルジョンPA200”)100gを添加して混合し、平均粒子径1.5μmのポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤を得た。
比較例1
製造例2で製造したポリアミド系ゴム弾性体の水性分散体100gに、ポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製の商品名“ゴーセノールGH−20”)10gを100gの水に溶解した水溶液を10gとγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.2gを添加して混合し、平均粒子径6.0μmのポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤を得た。
<接着性およびの評価>
実施例1〜4および比較例1の熱融着接着剤から得られた成形品の安定性、接着性について評価した。
各項目の評価方法は次の通りである。結果を表1に示す。
(安定性)
得られた熱融着接着剤を50ccサンプル瓶にいれ、30℃の保管庫で保管して、静置安定性を目視で評価した。評価基準は下記のとおりである。
○:保管後1週間以上安定である
△:保管後、3日ぐらいで、分離が始まる
×:保管後、1日で分離が始まる
(接着評価)
(1)接着性評価−1;対ガラス
ガラス板(肉厚2mm)上に、実施例1〜4および比較例1で得られた熱融着接着剤を、乾燥後の皮膜の厚さが10μmとなるように、バーコーターを用いて塗布した。これを180℃のオーブンで5分間加熱乾燥して皮膜を得た。得られた皮膜を、JIS−K5400(碁盤目剥離テープ法試験)を参考に、すきま間隔3mmの碁盤目状(10×10の100マス)の切り傷(ガラス版にまで到達している)を付けた後、皮膜上の当該切り傷部にテープを貼り付けた。次いで、テープを貼り付けてから1〜2分後に、テープの一方の端を持って直角に引き剥がし接着性を評価した。評価基準は下記の通りである。なお、当該評価基準でいう「正方形」とは、皮膜上に付けた碁盤目状の10×10の100マスの切り傷のことである。
◎:剥がれの面積は、正方形面積の10%未満
○:剥がれの面積は、正方形面積の10%以上であり40%未満
△:剥がれの面積は、正方形面積の40%以上であり70%未満
×:剥がれの面積は、正方形面積の70%以上。
(2)接着性評価−2;対ナイロン6
ナイロン6板上(肉厚2mm)に塗布した以外は前述のガラス板上に塗布した場合と同様に評価を行った。
Figure 0006226649
本発明のポリアミド系ゴム弾性体の熱融着接着剤は、安定性が良く、ガラス、ナイロン6等に対する接着性が優れていることが分かった。

Claims (4)

  1. 水性媒体と、界面活性剤の存在下で前記水性媒体中に分散されたポリアミド系ゴム弾性体とを含み、当該水性媒体中に分散されたポリアミド系ゴム弾性体の平均粒子径が0.1〜5μmであり、ポリアミド系ゴム弾生体が、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含んでなるブロック共重合体を含む、熱融着接着剤。
  2. ポリアミド系ゴム弾生体が、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含んでなるブロック共重合体並びに共重合ナイロンを含む、請求項1に記載の熱融着接着剤。
  3. 界面活性剤がアニオン系またはノニオン系である請求項1又は2に記載の熱融着接着剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱融着接着剤で基材が熱融着されてなる積層物。
JP2013184436A 2013-09-05 2013-09-05 熱融着接着剤 Active JP6226649B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013184436A JP6226649B2 (ja) 2013-09-05 2013-09-05 熱融着接着剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013184436A JP6226649B2 (ja) 2013-09-05 2013-09-05 熱融着接着剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015052037A JP2015052037A (ja) 2015-03-19
JP6226649B2 true JP6226649B2 (ja) 2017-11-08

Family

ID=52701289

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013184436A Active JP6226649B2 (ja) 2013-09-05 2013-09-05 熱融着接着剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6226649B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108251016B (zh) * 2018-01-30 2019-10-11 上海汉熵新材料科技有限公司 基于双组份通用型的医疗器械包装用水基热封胶及其制备方法
US11390242B2 (en) 2018-08-08 2022-07-19 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Multilayer film for use in air bag and air bag
JPWO2020235588A1 (ja) * 2019-05-20 2020-11-26

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3491836B2 (ja) * 1993-09-28 2004-01-26 ユニオン・キヤンプ・コーポレーシヨン ポリアミド樹脂を含有する硬化可能な接着剤組成物
US5948880A (en) * 1996-06-14 1999-09-07 Henkel Corporation Aqueous dispersions of polyamides
US5886135A (en) * 1996-06-14 1999-03-23 Henkel Corporation Aqueous dispersions of polyamides
WO1999033659A1 (fr) * 1997-12-24 1999-07-08 Elf Atochem S.A. Structure multicouches comprenant un materiau recouvert par un copolymere a blocs polyamides et blocs hydrophiles
JP2001019937A (ja) * 1999-07-12 2001-01-23 Sumitomo Seika Chem Co Ltd 熱融着用接着剤および接着布
EP1136512A1 (fr) * 2000-03-24 2001-09-26 Atofina Copolymères à blocs polyamides et blocs polyéthers à base d'amines éthoxylées
JP2001354274A (ja) * 2000-06-09 2001-12-25 Idemitsu Petrochem Co Ltd 透湿防水包装用材料および包装体
JP2005126562A (ja) * 2003-10-23 2005-05-19 Sumitomo Seika Chem Co Ltd 熱融着用接着剤および接着布
JP2005126563A (ja) * 2003-10-23 2005-05-19 Sumitomo Seika Chem Co Ltd 熱融着用接着剤および接着布
EP2053093B1 (en) * 2006-08-18 2017-06-28 Sumitomo Seika Chemicals CO. LTD. Aqueous dispersion of polyamide rubber elastic body and method for producing the same
JP5264092B2 (ja) * 2007-03-14 2013-08-14 ダイセル・エボニック株式会社 ポリアミド系樹脂組成物及び複合成形体
FR2922478B1 (fr) * 2007-10-22 2014-12-12 Arkema France Procede de fabrication de stratifie polymere comportant une etape d'activation par traitement plasma
JPWO2011027703A1 (ja) * 2009-09-04 2013-02-04 宇部興産株式会社 ポリエーテルポリアミドエラストマー及びポリアミド積層体
JP5466928B2 (ja) * 2009-11-24 2014-04-09 ダイセル・エボニック株式会社 靴底用シートおよびこのシートを用いた靴底
JP5868014B2 (ja) * 2011-03-30 2016-02-24 住友精化株式会社 ポリアミド系ゴム弾性体の水性分散液およびその製造方法
JP5988771B2 (ja) * 2012-08-27 2016-09-07 住友精化株式会社 ポリアミド樹脂水性分散液の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015052037A (ja) 2015-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2053093B1 (en) Aqueous dispersion of polyamide rubber elastic body and method for producing the same
KR100680095B1 (ko) 주위 온도 안정성의 1액형 경화성 에폭시 접착제
JP6226649B2 (ja) 熱融着接着剤
WO2008094721A1 (en) Primer composition and adhesive substrate
JP2005199720A (ja) ポリアミドとevohのバリヤー層を有する加硫エラストマーのチューブ
CN105602488A (zh) 粘着粘接片和使用它的粘接方法
EP3149081A1 (en) Heat seal coating for use on substrates
JP7181727B2 (ja) 複合成形体、及びその製造方法
JP4248514B2 (ja) 不飽和な末端を有する分岐したポリアミド
JP2011522946A (ja) 新規なポリアミドベースのホットメルト接着組成物
JP6299986B2 (ja) 多層インフレートフィルムを製造するプロセス、およびそのプロセスによって得られるフィルム
JP2020512209A (ja) 接着剤及び硬質基材に接着させる方法
WO2009154263A1 (ja) 突起部分を有する物品用包装フィルム
KR102419762B1 (ko) 폴리에스터계 탄성체의 수성 분산체 및 그의 제조 방법
JP5925196B2 (ja) ポリアミド系ゴム弾性体の水性分散液およびその製造方法
WO2010147130A1 (ja) 水性接着剤組成物
JP5553686B2 (ja) アンカーコート剤、包装材料及びその製造方法
JP5619106B2 (ja) 包装材料及びその製造方法
JP2014213867A (ja) 包装材料及びその製造方法
TW202132463A (zh) 環氧樹脂組成物、氣體阻隔性疊層體、殺菌食品用包裝材、防臭用或保香用包裝材、熱收縮性標籤及其製造方法、熱收縮標籤及有此標籤之瓶
JP7304473B2 (ja) 複合成形体、及びその製造方法
JP2014184617A (ja) 包装材料
JP4736868B2 (ja) 自動車用内装材
JP2014184616A (ja) 包装材料
JPH01154753A (ja) 積層構造物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160822

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170804

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170919

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171010

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6226649

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250