JP6226126B2 - 血管塞栓剤 - Google Patents

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Description

本発明は、血管塞栓剤に関する。
外科的手術に伴う切開に先立って、出血を最小限にするために、塞栓材料を血管内に注入することによって、確実且つ迅速に止血できることが知られている。出血防止以外にも、切除不能な腫瘍に対して、止血により栄養を遮断する動脈塞栓術が知られている。また、抗癌剤と血管塞栓材料とを組み合わせて投与することで腫瘍内での抗癌剤濃度を高く維持する化学塞栓療法も知られている。
カテーテル及びその操作手法の発達により、適当な塞栓材料を塞栓しようとする部位へ選択的に正確に送り込むことが可能となっている。このような血管内塞栓材料として、従来、液体材料又は固体材料が使用されている。
高分子微粒子を水や有機溶媒に分散したサスペンジョンは、化粧品や塗料などの身近な製品だけでなく、プラスチック製品の製造プロセスでも利用されており、その物性制御は工業的にも大きな課題である。特に微粒子がミクロンオーダーになった場合、わずかの温度変化で急激に粘度が増減し、コントロールが困難であることが知られている。このような場合、通常粒子同士の凝集構造の形成を阻害し、安定な分散状態を保つための分散剤が適用される場合が多い。
通常、分散剤は、高分子微粒子と強固に相互作用又は結合する置換基と溶媒親和性の高い部位から成り立っており、微粒子表面に吸着及び結合することで溶媒親和性の高い層を形成し、濃厚サスペンジョンにおける高分子微粒子を分散安定化するように設計されている。このような機能を発現する分散剤は、分散粒子ごとに多彩な構造が提案されている。しかしながら、ポリエチレン微粒子に関しては、非常に汎用的に利用されている高分子微粒子であるにもかかわらず、その表面が非極性であり、且つ高結晶性であるために、ほとんどの置換基との相互作用力が乏しく、良好な分散剤は提案されてこなかった。
本発明者は、長鎖アルカン基を保有し、側鎖結晶性を示すモノマーと溶媒親和性を示すモノマーを用いたブロック共重合体を分子設計し、これをリビングラジカル重合で合成することで、希少量で濃厚ポリエチレン微粒子サスペンジョンの粘度を1/100以下にまで減少させる、劇的な効果を示す分散剤を創生することに成功している。また、この側鎖結晶性ブロック共重合体(SCCBC: Side Chain Crystalline Block Copolymer)を用いたサスペンジョンが、温度により粘度をコントロールできる熱レオロジー流体機能を保有することを見出している(特許文献1、非特許文献1〜5)。
しかしながら、当該SSCCBCの用途としては、特許文献1等にリチウム二次電池のセパレータの表面処理剤としての利用が記載されているが、医療分野への応用については開示がされていない。
国際公開第2012/098750号
"Thermal Rheological Fluid Properties of Particle Dispersion Systems using Side Chain Crystalline Block Copolymer (III).", Shigeru Yao, Makoto Sakurai, Hiroshi Sekiguchi, Hiroaki Otsubo, Takuya Uto, Yu Yamachika, Wataru Ishino, Satoshi Ichikawa, and Daisuke Tatsumi, Nihon Reoroji Gakkaishi (J. Soc. Rheol, Japan), 41(1), 7-12 (2013). "The Intelligent Material Function of Side Chain Crystalline Block Copolymer (IV). Control the Lithium Ion Mobility in Polyethylene Porous Membrane", Shigeru Yao, Makoto Sakurai, Hiroshi Sekiguchi, Hiroaki Otsubo, Takuya Uto, Yu Yamachika, Wataru Ishino, Satoshi Ichikawa, and Daisuke Tatsumi, Nihon Reoroji Gakkaishi (J. Soc. Rheol, Japan), 40(5), 253-256 (2012). 「側鎖結晶性ブロック共重合体を用いた粒子分散系の熱レオロジー特性 (II)」、市川賢、八尾滋、日本レオロジー学会誌, 40(1), 37-40 (2012). "A Novel Dispersant for High Content Polyethylene Particle Dispersion", Shigeru Yao, Satoshi Ichikawa, Nihon Reoroji Gakkaishi (J. Soc. Rheol, Japan), 39(4), 181-182 (2011). 「側鎖結晶性ブロック共重合体のインテリジェンスマテリアル機能」、未来材料、12(9)、41-46 (2012).
現在、様々な塞栓物質が存在し液状塞栓物質も存在するが、温度で性状が変化する塞栓物質は存在しない。また、今までの塞栓物質では、必要な血管の必要な部位で塞栓するには術者の技量が影響する部分が多く見られた。
そこで、本発明は、カテーテルを通過する間に液体がゲル状となり、より簡便に目的血管で塞栓することができる血管塞栓剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述するSCCBCを用いたサスペンジョンについて、溶媒が極性溶媒も可能なようにブロック共重合体の構造を最適化し、転移温度を体温付近に調整し、体温以下では流動性を示し、それより高温で固化するようにした。さらに、これと共にX線透視下で塞栓の様子を確認するための造影剤を添加し分散溶液を作製した。そして、この分散溶液を血管に投与すると、患部で固化するため、血管を塞栓できるという知見を得た。
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の血管塞栓剤を提供するものである。
項1.結晶性高分子を含有する微粒子、モノマー(1)とモノマー(2)との共重合体、及び分散媒を含む血管塞栓剤であって、
該モノマー(1)は、以下の(A)〜(C)からなる群から選択される少なくとも1種であり、該モノマー(2)は、以下の(D)〜(J)からなる群から選択される少なくとも1種である、血管塞栓剤。
(A) 炭素数8以上の直鎖状アルキル基(該アルキル基上にはフッ素が置換していてもよい)を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、α-オレフィン、及びスチレンからなる群から選択される少なくとも1種
(B) エチレン
(C) プロピレン
(D) 炭素数7以下のアルキル基、アリール基、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造を有する、(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、ビニルエステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、アクリルアミド、及びスチレンからなる群から選択される少なくとも1種
(E) スチレン
(F) アクリル酸
(G) メタクリル酸
(H) 酢酸ビニル
(I) ジメチルシロキサンを有する(メタ)アクリレート
(J) フッ素に置換された炭素数7以下の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート
項2.前記モノマー(1)が、炭素数8以上の直鎖状アルキル基(該アルキル基上にはフッ素が置換していてもよい)を有する(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の血管塞栓剤。
項3.前記モノマー(2)が、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造を有する(メタ)アクリレートである、項1又は2に記載の血管塞栓剤。
項4.前記微粒子が、ポリエチレン系、ナイロン系又はポリテトラフルオロエチレン系の結晶性高分子を含有する、項1〜3のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
項5.前記共重合体が、ブロック共重合体である、項1〜4のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
項6.前記分散媒が、アルコールである、項1〜5のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
項7.前記分散媒の含量が、40重量%以下である。項1〜6のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
項8.哺乳動物の体温付近で粘度が上昇する、項1〜7のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
項9.更に造影剤を含有する、項1〜8のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
項10.更に抗癌剤を含有する、項1〜9のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
項11.癌治療用のものである、項1〜10のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
本発明の血管塞栓剤は、体温付近で固化するため、カテーテルを通過する間に液体がゲル状となり、より簡便に目的血管を塞栓し、長時間血流を止めることができる。そのため、本発明により、出血部位の血管を塞栓したり、癌組織への血管を塞栓することで癌細胞を壊死させることができる。
また、本発明の血管塞栓剤に造影剤が添加されている場合は、単純CTで撮影することにより塞栓状況を確認できる。また、造影剤を何度も投与してCT検査をする必要が無く、患者の負担を軽減することができる。
本発明の血管塞栓剤に抗癌剤が添加されている場合は、血管を塞栓させることにより抗癌剤を癌患部に長く留めることが可能になるので、必要以上に抗癌剤濃度を上げることなく、癌細胞に薬剤を長時間作用させられると推測される。
試験例1における塞栓前、塞栓直後、塞栓10分後、塞栓1週間後のDSA画像である。上の矢印は腎皮膜動脈を、下の矢印は左腎動脈を示している。 試験例1における塞栓直後の透視画像である。矢印は左腎動脈を、矢頭印は葉間動脈を示している。 試験例1における腎臓の病理画像である。矢印は動脈の壁を示している。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の血管塞栓剤は、結晶性高分子を含有する微粒子、モノマー(1)とモノマー(2)との共重合体、及び分散媒を含み、
該モノマー(1)は、以下の(A)〜(C)からなる群から選択される少なくとも1種であり、該モノマー(2)は、以下の(D)〜(J)からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
(A) 炭素数8以上の直鎖状アルキル基(該アルキル基上にはフッ素が置換していてもよい)を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、α-オレフィン、及びスチレンからなる群から選択される少なくとも1種
(B) エチレン
(C) プロピレン
(D) 炭素数7以下のアルキル基、アリール基、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造を有する、(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、ビニルエステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、アクリルアミド、及びスチレンからなる群から選択される少なくとも1種
(E) スチレン
(F) アクリル酸
(G) メタクリル酸
(H) 酢酸ビニル
(I) ジメチルシロキサンを有する(メタ)アクリレート
(J) フッ素に置換された炭素数7以下の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート
本発明の共重合体のモノマー(1)の側鎖は、結晶性高分子を含有する微粒子との吸着機能を有する部分である。
(A)における直鎖状アルキルの炭素数は、好ましくは8〜28、より好ましくは12〜22である。該アルキル基上にフッ素が置換している場合、置換しているフッ素の数は、通常8〜12個である。
(A)におけるα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどが挙げられる。
本発明の共重合体のモノマー(2)の側鎖は、溶媒親和性を有する部分である。
(D)におけるアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれてもよく、炭素数は、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
(D)におけるアリール基とは、5又は6員の芳香族炭化水素環からなる単環又は多環系の基を意味し、具体例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、ビフェニリル、テトラヒドロナフチル、クロマニル、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニル、インダニル及びフェナントリルが挙げられる。
(D)におけるオキシエチレン構造とは、-(OCH2CH2)n-構造のことをいい、オキシプロピレン構造とは、-(OCH2CH2CH2)n-の構造のことをいう。nは、たとえば2〜10の整数である。
(J)における直鎖状アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
モノマー(1)は、好ましくは、炭素数8以上の直鎖状アルキル基(該アルキル基上にはフッ素が置換していてもよい)を有する(メタ)アクリレートである。
モノマー(2)は、好ましくは、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造を有する(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、オキシエチレン構造を有する(メタ)アクリレートである。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタアクリレートの両者を意味する。
本発明の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、トリブロック共重合体等のいずれであってもよいが、好ましくは、ブロック共重合体である。
モノマー(1)とモノマー(2)との共重合体は、公知の技術(例えば、特許文献1、非特許文献1、3、4などを参照)により製造することが可能である。
本発明の血管塞栓剤中の共重合体の含量は、結晶性高分子を含有する微粒子に対して、好ましくは、0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.5〜2.0重量%である。
本発明における結晶性高分子を含有する微粒子としては、例えば、ポリエチレン系、ナイロン系、又はポリテトラフルオロエチレン系の結晶性高分子を含有する微粒子が挙げられるが、好ましくは、ポリエチレン系又はナイロン系の結晶性高分子を含有する微粒子であり、より好ましくは、ポリエチレン系の結晶性高分子を含有する微粒子である。ポリエチレン系の結晶性高分子を含有する微粒子としては、Cedust (登録商標) 3620 (クラリアント社製)、ME 0520 (ドイレックス社製)、MIPELON PM200 (三井化学社製)などが市販品として入手可能である。
本発明の血管塞栓剤中の結晶性高分子を含有する微粒子の含量は、好ましくは、20〜50重量%、より好ましくは30〜40重量%である。
本発明の血管塞栓剤としては、モノマー(1)が炭素数8以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、モノマー(2)がオキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造を有する(メタ)アクリレートであり、結晶性高分子を含有する微粒子がポリエチレン系又はナイロン系の結晶性高分子を含有する微粒子であるものが特に好適である。
本発明において使用する分散媒としては、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、好ましくは、アルコールである。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールなどの一価アルコール、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールが挙げられるが、好ましくは、エタノールである。アルコールを使用することで、微粒子の分散性及び可逆性に優れた効果が得られる。分散媒としてアルコールを使用する際には、本発明の効果が得られる限り、分散媒はアルコール以外にも水等の他の成分を含んでいてもよい。
本発明の血管塞栓剤中の分散媒の含量は、好ましくは、40重量%以下、より好ましくは15〜30重量%である。分散媒の含量をこの範囲に設定することで、本発明の血管塞栓剤の粘度が上昇する温度をより体温付近に調整することができる。
本発明の血管塞栓剤は、哺乳動物の体温付近で粘度が上昇することを特徴とする。この粘度が上昇する温度は、微粒子、共重合体、分散媒等の各成分の種類、含有量等を調整することにより体温付近に設定することができる。このように、体温付近で粘度が上昇し固化することで、血管に投与すると患部で固化し血管を塞栓することができる。ここで、哺乳動物とは、特に限定されないが、例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、ウサギ等である。体温付近とは、通常36〜40℃、特に36.5〜39℃である。
本発明の血管塞栓剤は、更に造影剤を含有していてもよい。造影剤としては、特に限定されず公知のものを使用でき、イオン性造影剤又は非イオン性造影剤のいずれであってもよい。具体的には、イオメロン(エーザイ社製)、オムニパーク(第一製薬社製)、イオパミロン(シェーリング社製)、ヘキサブリックス(栄研化学社製)、ウログラフィン(シェーリング社製)などを挙げることができる。本発明の血管塞栓剤が造影剤を含む場合は、単純CTで撮影することにより塞栓状況を確認することが可能となる。また、造影剤を何度も投与してCT検査をする必要が無く、患者の負担を軽減することができる。
本発明の血管塞栓剤中の造影剤の含量は、好ましくは、30〜50重量%、より好ましくは35〜45重量%である。
本発明の血管塞栓剤は、更に抗癌剤を含有していてもよい。抗癌剤としては、これらに限定されるものではないが、例えば、スマンクス、ロイコボリンカルシウム、ネオカルチノスタチン、マイトマイシンC、アドレアマイシン、塩酸イリノテカン、フルオロウラシル、塩酸エピルビシン、クレスチン、シスプラチン、パクリタキセル、アルトレタミン、ブレオマイシン、硫酸ビンブラスチン、塩酸ピラルビシン、塩酸ドキソルビシン、ピシバニール、ビンブラスチン、レンチナン、シクロホスファミド、チオテパ、テガフール等が挙げられる。本発明の血管塞栓剤が抗癌剤を含む場合は、血管を塞栓させることにより抗癌剤を癌患部に長く留めることが可能になるので、必要以上に抗癌剤濃度を上げることなく、癌細胞に薬剤を長時間作用させることが可能になると考えられる。
本発明における「抗癌剤」は、抗腫瘍剤、抗腫瘍薬剤、抗腫瘍医薬組成物等と表現される場合もある。
本発明の血管塞栓剤には、上記成分以外にも、必要により、安定化剤、防腐剤、等張化剤、賦形剤、可溶化剤等が添加されていてもよい。
本発明の血管塞栓剤を製造する際に、微粒子、共重合体、分散媒等の混合は、40〜60℃の温度で行うことが望ましい。
本発明の血管塞栓剤は、ヒトを含む哺乳動物に対して投与される。本発明の血管塞栓剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度により適宜選択される。
本発明の血管塞栓剤は、例えば次のようにして投与することができる。生体の皮膚を通じて、大腿動脈を二重針で穿刺後、内針を抜去し、外筒を血管内腔に留置した後、これを通してガイドワイヤーを血管内に挿入し、これを軸としてシースを挿入、これを通してガイディングカテーテル及びマイクロカテーテルを血管内に挿入する。X線透視画像を見ながら、例えば、肝動脈、腸管膜動脈、胃十二指腸動脈、子宮動脈、胃動脈、脳底動脈、内頸動脈、交通動脈、大脳動脈、小脳動脈等の目的の血管までマイクロカテーテルの先端を到達させた後に、本発明の塞栓剤を入れたシリンジをカテーテルに取り付けて注入する。
本発明の血管塞栓剤は、癌の治療や止血のほか、動脈瘤及び静脈瘤の治療、血管奇形の治療等に使用することができる。癌治療としては、血管を塞栓することにより悪性腫瘍の栄養動脈を遮断することや、抗癌剤とともに投与することで癌細胞に抗癌剤を長時間作用させる方法等が挙げられる。
また、癌細胞は42〜43℃で死滅するが、体内では、血管が熱の調節をして42℃まで上げることは困難である。そこで、悪性腫瘍への血管を塞栓し、血液が腫瘍に流れない状態にすることにより比較容易に温度を42〜43℃にすることができる。そのため、本発明の血管塞栓剤で塞栓した後に、温熱療法、電磁波又はマイクロ波での焼灼を行えば、悪性腫瘍の部分は簡単に温度を上げることができ、癌細胞を死滅させることができると推測される。
本発明の血栓塞栓剤により治療できる癌の種類は、胃癌、直腸癌、結腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、咽頭癌、食道癌、腎癌、胆のう・胆管癌、頭頚部癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌等が挙げられる。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
製造例1
(ブロック共重合体の製造)
(i) 酢酸ブチル3.0 gと、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート(DEEA) 4.0 gとを三口フラスコに入れた。
(ii) 開始剤として、3,7-Dioxa-4-aza-6-phosphanonanoic acid,4,5-bis (1,1-dimethylethyl)-6-ethoxy-2,2-dimethyl-,6-oxide (SG-1-MA (BlocBuilder(登録商標) ARKEMA社製))を三口フラスコに0.29 g入れ、温度を105℃に設定し、4時間重合を行った。
(iii) 重合開始から4時間後、酢酸ブチル4.9 gとステアリルアクリレート(STA) 5.8 gとを三口フラスコに添加、投入し、4時間重合した。その後温度を下げ、重合を終了した。
以上(i)〜(iii)の工程により、重量平均分子量9500 g/molのDEEAと、重量平均分子量4900 g/molのSTAとから成るブロック共重合体1を得ることができた。
製造したブロック共重合体の化学構造式を以下に示す。
(分散溶液の製造)
ポリエチレン(PE)パウダー(Ceridust(登録商標)3620 (直径約7.4μm))とエタノールを十分に馴染ませた。そこにイオメロン(登録商標)と上記で作製したブロック共重合体1を添加し、ふたのできる容器で蒸発を防ぎながら約50℃に加熱しながら混合し、ブロック共重合体1を十分に溶解し、分散溶液を作製した。ここで、ブロック共重合体1はPEパウダーの1wt%を添加した。
今回作製した分散溶液の組成を以下に示す。
(実施例1)
イオメロン:40wt%
PEパウダー:35wt%
エタノール:25wt%
(実施例2)
イオメロン:40wt%
PEパウダー:40wt%
エタノール:20wt%
試験例1
まず、日本白色ウサギ6羽(日本SLC株式会社)を用い、実施例1と実施例2の分散溶液をそれぞれ3羽に使用した。ウサギの右大腿動脈を22Gサーフロー針(テルモ社製)で穿刺して4Frシース(テルモクリニカル社製)を挿入した。4Frコブラ型カテーテル(テルモクリニカル社製)で左腎動脈を選択し腎動脈造影を行った(図1:塞栓前)。この像では、腎動脈は正常で異常な血管や描出されない血管は存在しないことが確認できる。
2.1Frマイクロカテーテル(テルモクリニカル社製)を4Frカテーテル内を通して腎動脈本幹内に少し進めて、この部位より1 mlシリンジ(トップ社製)を使用して、塞栓物質を注入した。この時X線透視で塞栓物質が注入される様子が見えるので、腎動脈本幹まで塞栓されたところで注入を終了した(図2:透視画像)。この図で塞栓物質がX線透視下に確認できることがわかる。腎実質内の動脈(矢頭印)から腎動脈本幹(矢印)まで塞栓物質が認められる。個体差があるが、注入量は0.3−0.5 mlであった。塞栓直後に腎動脈本幹根部まで塞栓されていることがわかる(図1:塞栓直後)。
その後、10分間放置して、もう一度腎動脈造影を4Frカテーテルより行って終了した(図1:塞栓後10分)。この図では、塞栓後10分で塞栓物質は消失しておらず、塞栓直後の図と同様であることが確認できる。1週間後、上記の手技と同様に左腎動脈造影を行った(図1:塞栓後1週間)。この図では、1週間後も塞栓効果は、持続していることが確認できる。
その後、ウサギを犠牲死させて腎臓を取り出した。摘出腎臓は2日ホルマリン固定した後、プレパラート作製しヘマトキシリン-エオジン染色を施行して塞栓物質の有無や腎臓の梗塞の有無を確認した(図3)。この図で、塞栓物質が動脈内に存在することと(矢印)、腎臓が壊死を生じていること(矢頭印)が確認できる。
図1〜3はすべて実施例2の塞栓物質を使用した際の結果である。実施例1の塞栓物質を使用した場合も同じような形で塞栓することができた。今回の実験で、死亡したウサギはいなかった。
以上より、実施例の塞栓物質は、体温でゲル状になり血管内で停滞すること、停滞した塞栓物質は、X線透視下に確認できること、10分後、1週間後も塞栓直後と同様に血管内に停滞すること、1週間後の病理組織像で血管内の塞栓物質が確認でき、塞栓した領域は壊死することが明らかになった。

Claims (10)

  1. 結晶性高分子を含有する微粒子、モノマー(1)とモノマー(2)との共重合体、及び分散媒を含む血管塞栓剤であって、
    該微粒子が、ポリエチレン系、ナイロン系又はポリテトラフルオロエチレン系の結晶性高分子を含有し、
    該モノマー(1)は、以下の(A)〜(C)からなる群から選択される少なくとも1種であり、該モノマー(2)は、以下の(D)〜(J)からなる群から選択される少なくとも1種である、血管塞栓剤。
    (A) 炭素数8以上の直鎖状アルキル基(該アルキル基上にはフッ素が置換していてもよい)を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、α-オレフィン、及びスチレンからなる群から選択される少なくとも1種
    (B) エチレン
    (C) プロピレン
    (D) 炭素数7以下のアルキル基、アリール基、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造を有する、(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、ビニルエステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、アクリルアミド、及びスチレンからなる群から選択される少なくとも1種
    (E) スチレン
    (F) アクリル酸
    (G) メタクリル酸
    (H) 酢酸ビニル
    (I) ジメチルシロキサンを有する(メタ)アクリレート
    (J) フッ素に置換された炭素数7以下の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート
  2. 前記モノマー(1)が、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート(該アルキル基上にはフッ素が置換していてもよい)である、請求項1に記載の血管塞栓剤。
  3. 前記モノマー(2)が、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造を有する(メタ)アクリレートである、請求項1又は2に記載の血管塞栓剤。
  4. 前記共重合体が、ブロック共重合体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
  5. 前記分散媒が、アルコールである、請求項1〜のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
  6. 前記分散媒の含量が、40重量%以下である。請求項1〜のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
  7. 哺乳動物の体温付近で粘度が上昇する、請求項1〜のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
  8. 更に造影剤を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
  9. 更に抗癌剤を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
  10. 癌治療用のものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の血管塞栓剤。
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