JP6225838B2 - 混合物輸送装置および混合物 - Google Patents

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本発明は、EHD流体に添加物が混入した混合物および当該混合物を輸送する混合物輸送装置に関するものである。
従来、電気流体力学現象を示す流体(以下、EHD流体という)を輸送する装置が知られている。また、特許文献1には、このような装置において、EHD流体に対してマイクロカプセルまたは高熱伝導フィラーを混入させた混合物を用いることで、混合物の熱容量または熱伝達性をEHD流体に比べて向上させる技術が開示されている。
特開2012−109451号公報
しかし、上記のような添加物(マイクロカプセル、フィラー)をEHD流体に混入させると、添加物自体は電気流体力学現象を示さないので、添加物が邪魔になって、混合物にかかる駆動力が低下してしまう。
本発明は上記点に鑑み、EHD流体に添加物が混入した混合物をEHD現象を利用して輸送する技術において、混合物全体にかかる駆動力の低下を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、流動する混合物(X)と、前記混合物が通る流路(31)が形成されたケーシング(30)と、電極対(34a〜34p)と、を備え、前記混合物は、前記電極対の間に電界が印加されると電気流体力学現象によって前記電極対のうち強電界側の電極(32a〜32p)から弱電界側の電極(33a〜33p)の方向に付勢されるEHD流体(F)と、誘電率が前記EHD流体よりも小さい添加物(P)と、を含むことを特徴とする混合物輸送装置である。
また、請求項6に記載の発明は、流路(31)内で流動させるための混合物であり、電極対(32a、33a)の間に電界が印加されると電気流体力学現象によって前記電極対のうち強電界側の電極(32a〜32p)から弱電界側の電極(33a〜33p)の方向に付勢されるEHD流体(F)と、誘電率が前記EHD流体よりも小さい添加物(P)と、を含む混合物である。
誘電泳動現象によりEHD流体中の添加物に働く駆動力Zの方向は、添加物の誘電率がEHD流体の誘電率よりも小さければ、強電界側の電極から弱電界側の電極への方向である。つまり、本発明において誘電泳動現象により添加物に働く駆動力は、EHD現象によりEHD流体に働く駆動力と同じ方向である。このように、EHD現象により添加物が付勢されなくとも、誘電泳動現象により添加物が付勢され、しかもその付勢の方向がEHD現象によりEHD流体が付勢される方向と同じである。したがって、添加物の誘電率とEHD流体Fの誘電率が上記のような関係になっていない場合に比べて、混合物全体にかかる駆動力の低下を抑制することができる。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
本発明の実施形態に係る冷却装置10の構成図である。 冷却装置10の部分断面図(図1の紙面に平行な断面図)である。 図2のIII−III断面図である。 図2のIV−IV断面図である。 流路31内の混合物Xを示す図である。 使用するEHD流体を例示する図である。 使用する添加物を例示する図である。
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。図1に、本実施形態に係る冷却装置10(混合物輸送装置の一例に相当する)およびその周辺装置を示す。本実施形態の冷却装置10は、電気流体力学(Electrohydrodynamic、略してEHD)現象を示すEHD流体を主成分とする混合物Xを冷却媒体として用いて発熱体1を冷却するための冷却装置である。EHD流体は、数kVの高電圧を印加しても放電しないような高い電気抵抗率を有する誘電液体であり、周知のEHD現象により、電圧の印加を受けて流動する。
本実施形態で用いられるEHD流体は、電界が印加されるとEHD現象によって強電界側から弱電界側の方向に付勢されるEHD流体である。EHD現象を示す流体としては、電界が印加されるとEHD現象によって強電界側から弱電界側の方向に付勢されるEHD流体以外にも、電界が印加されるとクーロン力によって陽極から陰極にまたは陰極から陽極に付勢されるEHD流体がある。後者のようなEHD流体は、電界が印加されるとイオン化すると推測されているので、本実施形態で用いる対象とならない。
本実施形態では、混合物Xの主成分として、上記のようなEHD流体ならどのようなものを用いてもよい。例えば、EHD流体のうちでも、電界共役流体(Electro−Conjugate Fluid、略してECF)を用いてもよい。
ECFとしては、例えば、特開2000−222072号公報、特開平11−125173号公報に記載のように、横軸が導電率σであり縦軸が粘度ηであって作動温度における流体の導電率σと粘度ηとの関係を示すグラフにおいて、導電率σ=4×10−10S/m、粘度η=1×100Pa・sで表される点P、導電率σ=4×10−10S/m、粘度η=1×10−4Pa・sで表される点Q、導電率σ=5×10−6S/m、粘度η=1×10−4Pa・sで表される点Rを頂点とする直角三角形の内部に位置する導電率σおよび粘度ηを有する化合物、または、当該三角形の内部に位置する導電率σおよび粘度η を有するように調製された二種類以上の化合物の混合物を用いることができる。例えば、デカン2酸ジブチル(dibutyldecane−dioate)を、ECFとして用いることができる。また、難燃性・不燃性の含ハロゲン(フッ素、塩素、臭素など)化液体をECFとして用いることができる。
発熱体1は、例えば、インバータのスイッチング素子(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。このインバータは、ハイブリッド自動車または電気自動車に搭載された走行用バッテリからの電力を用いて車両駆動用モータを駆動するためのインバータであってもよい。また、冷却装置10には、図示しない電源から図示しない導線を介して電力が供給され、この供給電力を利用して混合物Xを流動させることで、発熱体1の冷却を実現する。
図1に示すように、この冷却装置10は、混合物Xと、放熱体2と、ケーシング3と、複数個の電極対34a〜34pとを備えている。
ケーシング3は、環状に繋がった外壁30を有し、この外壁30によって、ケーシング3の内部に環状の流路31が形成されている。混合物Xはこの流路31内に収容、封入および充填され、上述のEHD現象によって流動して流路31内を環流する。外壁30は、例えば熱伝導率の高い金属製(例えば、アルミニウム製)である。
また、外壁30の一部には、発熱体1が接触して固定されている。これにより、発熱体1と混合物Xは外壁30を介して互いに熱交換を行う。これによって混合物Xは、発熱体1が発生した熱を熱伝導により受けることができる。
また、外壁30の他の一部には、放熱体2が接触して固定されている。これにより、放熱体2と混合物Xは外壁30を介して互いに熱交換を行う。放熱体2としては、例えば空冷フィンを採用する。
これによって混合物Xは、発熱体1の近くで発熱体1から熱を受けて温度上昇した後、流路31内を流動し、放熱体2の近くで放熱体2に熱を伝達することができる。さらに放熱体2から、冷却装置10の外部に熱が放出される。このような作動により、冷却装置10によって発熱体1が冷却される。
流路31の断面形状は、図3に示すように、四角形であるが、必ずしもこのような形状である必要はない。流路31のサイズとしては、例えば、図3の上下方向および左右方向(すなわち、混合物Xの流れに直交する方向)の長さは、いずれも例えば0.1mm以上30mm以下であってもよい。
流路31内において混合物Xを流動させるため、図1〜図5に示すように、流路31内部の複数位置のそれぞれには、流路31内に電界を発生させてEHD流体に電圧を印加することで混合物Xを流動させる複数個の電極対34a〜34pが配置されている。これら電極対34a〜34pの各々は、混合物Xに駆動力を印加するポンプとして作動する。電極対34a〜34pの配置は、図1に示すように、流路31の伸びる方向に沿って一列かつ等間隔に配置されていてもよいし、流路31の伸びる方向に沿って2列以上で配置されていてもよい。
以下、電極対34a〜34pの各々の構造について、図1〜図4を参照して説明する。これらの図に示す通り、電極対34a〜34pの各々は、1つの金属製の尖形電極(または針状電極)32a〜32pおよび1つの金属製のスリット電極33a〜33pを有している。同じ電極対に属する尖形電極およびスリット電極は、互いに離れて外壁30の流路31側の面に固定される。
このとき、外壁30の流路31側の面と尖形電極の間、および、外壁30の流路31側の面とスリット電極との間には、フェノール樹脂等の絶縁体(図示せず)が介在している。これにより、尖形電極およびスリット電極と外壁30とが導通しないようになっている。外壁30と尖形電極およびスリット電極との固定は、例えば接着剤を用いて実現する。
尖形電極32a〜32pの各々は、同じ電極対に属するスリット電極の切り欠きが形成されている部分に向かって先細る形状となっている。これにより、その先細った先端に電界が集中するようになっている。より具体的には、尖形電極32a〜32pの各々は、図1〜図4に示すように、線状の先端から4つの面(2つの平行な面と2つの斜交する面)が伸びるくさび形状になっている。また、他の例として、尖形電極32a〜32pの各々は、1点を先端としてそこから放射状に伸びる直線群から形づくられる錐体形状になっていてもよい。
スリット電極33a〜33pの各々は、一部が切り欠かれてスリットが形成されたU字形状になっている。また、他の例として、スリット電極33a〜33pの各々を、中央が切り欠かれた環状の電極としてもよい。このように、スリット電極33a〜33pが、一部が切り欠かれた形状となっていることで、流路31のうち当該電極対34a〜34pが配置されている部分の流路幅が他の部分よりも狭められる。その結果、当該狭められた部分における混合物Xの流速が更に大きくなる。
なお、図示しないが、ケーシング3中の各電極対34a〜34pの近傍には、当該ケーシング3の内部と外部を連通させる孔が2つ形成され、それらの孔には、フェノール樹脂等の絶縁体で周囲を覆われた導通用電極が密着して挿入され、それら導通用電極および導線を介して電源の電力が尖形電極32a〜32p、スリット電極33a〜33pに供給される。
これにより、電極対34a〜34pの各々で、尖形電極とスリット電極のうち一方が陽極(+極)になり他方が陰極(−極)となり、その結果、当該尖形電極と当該スリット電極の間に電界が印加される。つまり、混合物Xが収容、封入および充填された流路31内に電界が発生する。
このようにして発生する電界は、尖形電極とスリット電極の形状の違いにより、不均一電界となっている。より具体的には、尖形電極32a〜32pおよびスリット電極33a〜33pが上記のような形状となっていることで、同じ電極対に属する尖形電極とスリット電極では、尖形電極側の電場の絶対値が大きくなり、スリット電極側の電場の絶対値が小さくなる。つまり、尖形電極32a〜32pが強電界側の電極となり、スリット電極33a〜33pが弱電界側の電極となる。これは、同じ電極対に属する尖形電極とスリット電極のうち、尖形電極が陽極になってスリット電極が陰極になる場合も、尖形電極が陰極になってスリット電極が陽極になる場合も、同じである。
このような不均一電界が発生すると、EHD現象により、混合物X中のEHD流体を付勢する駆動力が発生する。この駆動力は、本実施形態のEHD流体を、電極対34a〜34pのうち強電界側の尖形電極32a〜32pから弱電界側のスリット電極33a〜33pの方向に付勢する。
なお、EHD現象によりEHD流体を強電界側の尖形電極から弱電界側のスリット電極に付勢するために、尖形電極とスリット電極の極性をどのようにすべきかは、後述するように、EHD流体の種類によって異なる。
また、本実施形態では、電極対34a〜34pの各々がEHD流体を付勢する方向は一致している。これは、電極対34a〜34pにおいて、流路31に沿った尖形電極とスリット電極の配置がすべて同じであり、かつ、尖形電極とスリット電極のどちらか陽極でどちらが陰極かがすべて同じであるからである。
また、ここでいう2つの電極(尖形電極およびスリット電極)間の不均一電界とは、例えば、平面電極と点電極間の電界分布のように、点電極近傍で電界集中が発生することで、等電位線が密な状態と、平面電極近傍で電界集中が緩和され、等電位線が疎な状態が生じているような電界は、不均一電界である。また、2つの平行に正対する電極の表面が平面である場合は、不均一電界ではなく均一電界が発生する。
ここで、本実施形において流路31内に収容、封入、および充填される混合物Xについて詳細に説明する。
本実施形態の混交物Xは、図5に示すように、EHD流体Fを主成分とし、EHD流体Fに添加物Pを混入させたものである。したがって、混合物Xは、EHD流体Fおよび添加物Pを含む。また、混合物Xは、EHD流体Fおよび添加物P以外の不純物をごく微量に含んでいてもよい。
まず、本実施形態のEHD流体Fとしては、例えば、図6に示すようなものを用いてもよい。具体的には、EHD流体Fとしては、(有)新技術マネイジメントからECFとして供給および販売されているFF−3EHA2、FF−8EHA2、FF−101EHA2、FF−909EHA2、FF−505EHA2等のフッ素系の化合物を用いてもよい。なお、FF−3EHA2、FF−8EHA2、FF−101EHA2、FF−909EHA2、FF−505EHA2は、いずれも商品名である。各ECFの特性は、図6に示す通りである。
これらのEHD流体Fのうち、FF−3EHA2、FF−8EHA2、FF−101EHA2のいずれか1種類が用いられる場合は、尖形電極32a〜32pを陰極とし、スリット電極33a〜33pを陽極とする。このようにすることで、EHD現象により、各電極対34a〜34pにおいて、尖形電極(−)からスリット電極(+)の方向に(すなわち、図1の時計回り方向に)、EHD流体Fを付勢する駆動力が発生する。
また、FF−909EHA2が用いられる場合は、尖形電極32a〜32pを陽極としスリット電極33a〜33pを陰極としてもよいし、尖形電極32a〜32pを陰極としスリット電極33a〜33pを陽極としてもよい。前者でも後者でも、EHD現象により、各電極対34a〜34pにおいて、尖形電極からスリット電極の方向に(すなわち、図1の時計回り方向に)、EHD流体Fを付勢する駆動力が発生する。
また、FF−505EHA2が用いられる場合は、尖形電極32a〜32pを陽極とし、スリット電極33a〜33pを陰極とする。このようにすることで、EHD現象により、各電極対34a〜34pにおいて、尖形電極(陽極)からスリット電極(陰極)の方向に(すなわち、図1の時計回り方向に)、EHD流体Fを付勢する駆動力が発生する。
また、添加物Pとしては、図7に示すような材料から成る固体の微粒子(微粒子状物質)を用いてもよい。各材料の特性は、図7に示す通りである。
つまり、シリコン(Si)から成る固体の微粒子および酸化シリコン(SiO)から成る固体の微粒子のうち、任意の1種類から成る粒子群または両方の組み合わせから成る粒子群を、添加物Pとしてもよい。
図6、図7に示す通り、シリコン、酸化シリコンの比誘電率は、それぞれ2.4、3.8である。これらはいずれも、図6に列挙したEHD流体の比誘電率よりも小さい。
この場合、EHD現象によってEHD流体Fに働いている駆動力とは別に、誘電泳動現象により、EHD流体Fと添加物Pの誘電率差に起因する駆動力(誘電泳動力)が、添加物Pに働く。
誘電泳動現象によりEHD流体F中の添加物Pの各微粒子に働く駆動力Z(ベクトル量)は、微粒子が球形の場合、
Z=2×π×ε×K×R×∇E
という式で表される。微粒子が球形でない場合でも、同程度かつ同方向の駆動力が当該微粒子に働く。
ここで、εはEHD流体Fの誘電率、KはEHD流体Fと添加物Pの誘電率から計算される量であり、すなわち、
K=(添加物Pの誘電率−ε)/(添加物Pの誘電率+2×ε)
であり、Rは添加物Pの粒子の半径であり、Eは電界である。∇Eすなわち電界の2乗の勾配は、尖形電極32a〜32pおよびスリット電極33a〜33pの極性(陽極か陰極か)にかかわらず、同じ電極対を構成する弱電界側のスリット電極から強電界側の尖形電極の方向を概ね向くベクトルである。したがって、添加物Pの比誘電率がEHD流体Fの比誘電率よりも小さければ、Kが負となり、駆動力Zは、同じ電極対に属する電極間で尖状電極からスリット電極の方向に添加物Pを付勢する。
つまり、誘電泳動現象により添加物Pの各微粒子に働く駆動力Zは、EHD現象によりEHD流体Fに働く駆動力と同じ方向、つまり、尖形電極からスリット電極の方向である。このように、EHD現象により添加物Pが付勢されなくとも、誘電泳動現象により添加物Pが付勢され、しかもその付勢の方向がEHD現象によりEHD流体Fが付勢される方向と同じである。したがって、添加物Pの比誘電率とEHD流体Fの比誘電率が上記のような関係になっていない場合に比べて、混合物全体にかかる駆動力の低下を抑制することができる。
また、図6、図7に示す通り、シリコン、酸化シリコンの熱伝導率は、それぞれ149W/(m・K)、1.4W/(m・K)である。これらはいずれも、図6に列挙したEHD流体の熱伝導率のどれよりも大きい。したがって、シリコン、酸化シリコンという材料のうち任意の一種類または任意の複数種類から成る固体の微粒子群がEHD流体Fに混入した混合物Xは、元のEHD流体Fに比べ、冷媒としての熱伝導性能(熱伝導率)が向上する。
なお、添加物Pとして用いられる固体の微粒子群の各々は、流路31のうち最も狭い部分を変形せずに通過可能な形状となっていてもよい。
例えば、流路31のうち最も狭い部分は、図1の幅W1、すなわち、尖形電極32a〜32pの側面から外壁30までの空隙の部分の横幅(例えば10mm以下の幅、更に詳細には例えば25μmの幅)であってもよい。また、流路31のうち最も狭い部分は、図2、図3の幅W2の部分、すなわち、各スリット電極33a〜33pの切り欠かれた部分の横幅(例えば10mm以下の幅、更に詳細には例えば25μmの幅)であってもよい。また、流路31のうち最も狭い部分は、尖形電極32a〜32pのそれぞれに対して対向するスリット電極33a〜33pとの最短距離部であってもよい。また、流路31のうち最も狭い部分は、図4の幅H1、すなわち、各尖形電極32a〜32pの上端から外壁30までの距離(例えば10mm以下の幅、更に詳細には例えば25μmの幅)であってもよい。また、流路31のうち最も狭い部分は、図4の幅H2、すなわち、各スリット電極33a〜33pの上端から外壁30までの距離(例えば10mm以下の幅、更に詳細には例えば25μmの幅)であってもよい。
例えば、添加物Pの各微粒子は、その最も長手方向の長さ(例えば球形ならば直径)が、流路31のうち最も狭い部分の幅(例えば10mm以下の幅、更に詳細には例えば25μmの幅)よりも小さい長さ(例えば20μm)となるように形成されていてもよい。
このように、添加物Pとして用いられる固体の微粒子群の各々は、流路31のうち最も狭い部分を通過可能な形状となっていることで、微粒子が流路31中で引っ掛かって混合物Xの流れを遮ってしまう可能性が低減される。
また、添加物Pとして用いられる固体の微粒子群の各々は、EHD流体Fと同程度の質量密度(比重)を有していてもよい。このようになっていることで、微粒子群がEHD流体F中で沈殿したり逆に浮き上がったりしてしまう可能性が低減されるので、誘電泳動現象による駆動力増大の効果、および、熱伝導率向上の効果が高まる。
例えば、添加物Pとして用いられる固体の微粒子群の各々の質量密度は、EHD流体Fの0.5倍以上2倍以下でもよい。上述のように用いられるシリコン、酸化シリコンは、図6に列挙したEHD流体に対して上記のような関係を満たしている。
また、流路31内における混合物Xの流速があらかじめ決められている場合は、その流速に応じて、流速が高ければ高いほど、添加物Pとして用いられる固体の微粒子群の各々の質量密度の範囲は、広くなる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。例えば、以下のような変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(変形例1)
上記実施形態において、図6に列挙したEHD流体は、あくまでも例示である。本発明において使用できるEHD流体は、電極対の間に電界が印加されると電気流体力学現象によって電極対のうち強電界側の電極から弱電界側の電極の方向に付勢されるようになっているものであれば、どのようなEHD流体でもよい。
(変形例2)
上記実施形態において、図7に列挙した添加物Pは、あくまでも例示である。本発明において使用できる添加物Pは、添加物Pを混入させる先のEHD流体Fよりも誘電率が低いものであればよい。
(変形例3)
上記実施形態では、EHD流体Fに混入される添加物Pの例として、固体の微粒子が挙げられている。しかし、添加物Pは、EHD流体Fとの誘電率の関係が上記実施形態のようなものになっていれば、気体の添加物であってもよいし、液体の添加物であってもよい。
(変形例4)
上記実施形態においては、添加物PはEHD流体Fよりも熱伝導率が高くなっていることで、混合物X全体の熱伝導率を向上させる機能も有している。しかし、添加物Pは必ずしもこのような用途に用いられなくてもよい。
例えば、添加物Pは、EHD現象によって発生するEHD流体の流れを可視化観察するためのトレーサとして用いられてもよい。この場合、添加物PはEHD流体Fよりも熱伝導率が低くてもよい。ただしこの場合でも、誘電泳動現象による混合物Xへの駆動力増大の効果を高めるためには、添加物PはEHD流体Fよりも誘電率が低くなっている必要がある。
(変形例5)
上記実施形態においては、強電界側の電極として尖形電極32a〜32pが例示され、弱電界側の電極としてスリット電極33a〜33pが例示されている。しかし、本発明の電極対は、これらのものに限られない。本発明の電極対は、両者の電極に電位差が生じたときに、一方が強電界側となり、他方が弱電界側となるような形状となっていればよい。言い換えれば、両者の電極に電位差が生じたときに不均一電界が生じるような形状となっていればよい。
X 混合物
F EHD流体
P 添加物
31 流路
32a〜32p 尖形電極(強電界側の電極)
33a〜33p スリット電極(弱電界側の電極)
34a〜34p 電極対

Claims (6)

  1. 流動する混合物(X)と、
    前記混合物が通る流路(31)が形成されたケーシング(30)と、
    電極対(34a〜34p)と、を備え、
    前記混合物は、前記電極対の間に電界が印加されると電気流体力学現象によって前記電極対のうち強電界側の電極(32a〜32p)から弱電界側の電極(33a〜33p)の方向に付勢されるEHD流体(F)と、誘電率が前記EHD流体よりも小さい添加物(P)と、を含むことを特徴とする混合物輸送装置。
  2. 前記添加物は、固体の微粒子であると共に、シリコンおよび酸化シリコンのうちの1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の混合物輸送装置。
  3. 前記添加物は、固体の微粒子であり、前記微粒子は、前記流路のうち最も狭い部分を通過可能な形状となっており、前記流路のうち最も狭い間隔は10mmよりも短いことを特徴とする請求項1または2に記載の混合物輸送装置。
  4. 前記添加物の質量密度は、前記EHD流体の密度の0.5倍以上かつ2倍以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の混合物輸送装置。
  5. 前記添加物の熱伝導率は、前記EHD流体の熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の混合物輸送装置。
  6. 流路(31)内で流動させるための混合物であり、
    電極対(32a、33a)の間に電界が印加されると電気流体力学現象によって前記電極対のうち強電界側の電極(32a〜32p)から弱電界側の電極(33a〜33p)の方向に付勢されるEHD流体(F)と、
    比誘電率が前記EHD流体よりも小さい添加物(P)と、を含む混合物。
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