JP5369163B2 - 絶縁シートおよび半導体装置 - Google Patents
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Description
しかし、最近は、電力用半導体素子であるSiCチップの大電流化などによる半導体装置の大容量化、あるいは半導体装置の小型化、高集積化、高周波動作にともない、半導体装置は、高放熱性が要求されている。そのため、半導体装置の発熱体とヒートシンク部材との間に設けられる絶縁性を有する熱伝導シート(この後、絶縁シートと記す)には、熱伝導性の向上が不可欠となっている。
絶縁シートは、発熱体あるいはヒートシンク部材に接着あるいは密着させるため、高い熱伝導性を有する無機粉末を充填材に用いた樹脂で構成されており、その熱伝導性の向上は、充填材の充填率を高くすることにより実現している。
このようなものとして、平均粒径の大きな球状の高熱伝導性無機粉末と平均粒径の小さな球状の高熱伝導性無機粉末との混合物を充填材として用い、充填材である高熱伝導性無機粉末の充填率を高め、熱伝導性を向上させた樹脂組成物が開示されている(例えば特許文献1参照)。
すなわち、上記樹脂組成物は、平均粒径の大きな球状高熱伝導性無機粉末を充填材として用いることにより、樹脂中の無機粉末の充填率を高くしている。そして、このような樹脂組成物より形成される絶縁シートは高い熱伝導性を有しており、この絶縁シートを用いた半導体装置は優れた放熱性を有している。
しかし、高熱伝導性の絶縁シートは、球形の粒径が大きな無機粉末の充填材(この後、無機充填材と記す)を用いることにより、無機充填材の充填率を高くして、高い熱伝導性を得ているので、この絶縁シートに電圧がかかると無機充填材近傍に電界が集中し、絶縁シートの耐電圧が低下するなど絶縁特性に問題があった。
そして、この絶縁シートを用いた半導体装置では、絶縁シートの絶縁特性が低いので、高電圧化、小型化、高集積化が制限されるとの問題があった。
図1は、本発明の実施の形態1に係る絶縁シートの断面模式図である。
図1に示すように、本実施の形態の絶縁シート40は、熱硬化性樹脂15中に粒径の大きい無機充填材21が充填されている。そして、本実施の形態の絶縁シート40では、粒径の大きい無機充填材21は、絶縁シート40の厚さ方向における中央部に配置されている。
本実施の形態の絶縁シート40に用いられる熱硬化性樹脂15としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。また、本実施の形態の絶縁シート40に用いられる、粒径の大きい無機充填材21には、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素および炭化ケイ素などが挙げられる。
本実施の形態では、絶縁シート40に用いる粒径の大きい無機充填材21の粒径Dは、絶縁シート40の厚さの1/3〜2/3の範囲である。粒径の大きい無機充填材21の粒径Dが、絶縁シート40の厚さの1/3より小さいと、熱硬化性樹脂層の厚さが厚くなり、絶縁シート40の熱伝導率が低下する。粒径の大きい無機充填材21の粒径Dが、絶縁シート40の厚さの2/3より大きいと、粒径の大きい無機充填材21が、絶縁シート40表面近傍に存在することとなり、絶縁シート40の耐電圧特性を低下さす。
第1の方法は、熱硬化性樹脂に粒径の大きい無機充填材21を加え混練して、粒径の大きい無機充填材21を含有した樹脂組成物を調製する。次に、この樹脂組成物を加工し、粒径の大きい無機充填材21を含有した樹脂シートを形成する。次に、熱硬化性樹脂のみの樹脂シートを形成する。
次に、熱硬化性樹脂のみの樹脂シート、粒径の大きい無機充填材21を含有した樹脂シート、熱硬化性樹脂のみの樹脂シートの順に各樹脂シートを積層し接着することにより、両シート表面部が熱硬化性樹脂のみの層で中央部が粒径の大きい無機充填材21を含有した層の積層樹脂シートが作製される。
すなわち、表面近傍の所定の厚さの部分が熱硬化性樹脂のみの層で、中央部に粒径の大きい無機充填材21が配置された絶縁シート40が得られる。
次に、粒径が大きく重量が重い充填材が樹脂中で沈降しやすい事を利用し、粒径の大きい無機充填材21を含有した樹脂シートを加熱し、樹脂の粘度を低下させることにより、樹脂シートの厚さ方向に対し略垂直な一面側に粒径の大きい無機充填材21を沈降させて集める。次に、樹脂の加熱を継続して、樹脂をBステージ化し、一面側の粒径の大きい無機充填材21を含有する層を固定して、一面側に粒径の大きい無機充填材21を含有する層が存在する樹脂シートを形成する。
次に、この樹脂シートの2枚を用いて、各樹脂シートの一面側どうしを融着することにより、表面近傍の所定の厚さの部分が熱硬化性樹脂のみの層で、中央部に粒径の大きい無機充填材21が配置された絶縁シート40が得られる。
高熱伝導性を得るために絶縁シートに充填される充填材は無機充填材であり、その比誘電率は絶縁シートに用いられる熱硬化性樹脂の比誘電率より高い。そのため、樹脂シートに電圧を印加すると、無機充填材の近傍に電界が集中する。
図2に、樹脂中に充填した無機充填材の粒径と電界増倍率との関係を示す。電界増倍率とは、絶縁シートの無機充填材近傍部の局所電界を絶縁シートの平均電界で除した値である。図2に示すように、粒径の大きい無機充填材ほど電界増倍率は大きくなっており、無機充填材近傍の電界集中が大きくなる。
このような絶縁シートに電圧が印加された場合、絶縁シートのシート表面部にある粒径の大きい無機充填材に高い電界集中がおこり、絶縁シートが半導体やヒートシンク部材と接する界面での耐電圧特性や耐部分放電特性などが低下し、絶縁シートの絶縁特性が低下する。
しかし、本実施の形態の絶縁シート40は、無機充填材が高充填され高熱伝導性であるとともに、シート表面近傍部には粒径の大きい無機充填材21が存在しないので、絶縁シート40のシート表面近傍での電界集中が小さく、絶縁特性が優れている。
図3は、本発明の実施の形態2に係る絶縁シートの断面模式図である。
図3に示すように、本実施の形態の絶縁シート50は、熱硬化性樹脂15中に粒径の大きい第1の無機充填材11と第1の無機充填材に比べて粒径が小さい第2の無機充填材12とが充填されている。そして、本実施の形態の絶縁シート50では、第2の無機充填材12は、主に絶縁シート50のシート表面近傍部に分布しているが、第1の無機充填材11は、絶縁シート50の厚さ方向における中央部に配置されている。
本実施の形態の絶縁シート50に用いられる熱硬化性樹脂15としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。また、本実施の形態の絶縁シート50に用いられる、第1の無機充填材11および第2の無機充填材12には、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素および炭化ケイ素などが挙げられる。
本実施の形態では、絶縁シート50に用いる第1の無機充填材11の粒径D1は、実施の形態1の粒径の大きい無機充填材の粒径と同様である。
そして、第1の無機充填材11の粒径D1と第2の無機充填材12の粒径D2との比D1/D2は、1より大きく100より小さい範囲である。D1/D2が1以下であると、絶縁シートの表面部の無機充填材の粒径も大きくなり、絶縁性が低下する。D1/D2が100以上であると、かなり粒径の大きい第1の無機充填材を用いることとなり、絶縁シートが厚くなりすぎて、熱伝導性が低下する。
また、無機充填材に窒化アルミニウムを用いた場合は、D1/D2の範囲は3〜10が絶縁特性上好ましい。
第1の方法は、熱硬化性樹脂に第1の無機充填材11を加え混練して、第1の無機充填材11を含有した樹脂組成物を調製する。次に、この樹脂組成物を加工し、第1の無機充填材11を含有した樹脂シートを形成する。
次に、第1の無機充填材11を含有した樹脂シートの形成方法と同様にして、第2の無機充填材12を含有した樹脂シートを形成する。
次に、第2の無機充填材12を含有した樹脂シート、第1の無機充填材11を含有した樹脂シート、第2の無機充填材12を含有した樹脂シートの順に各樹脂シートを積層し接着することにより、両シート表面部が第2の無機充填材12を含有した層で中央部が第1の無機充填材11を含有した層の積層樹脂シートが作製される。
すなわち、シート表面近傍部に粒径の小さい第2の無機充填材12が分布し、中央部に粒径の大きい第1の無機充填材11が配置された絶縁シート50が得られる。
次に、粒径が大きく重量が重い充填材が樹脂中で沈降しやすい事を利用し、第1の無機充填材11と第2の無機充填材12とを含有した樹脂シートを加熱し、樹脂の粘度を低下させることにより、樹脂シートの厚さ方向に対し略垂直な一面側に粒径の大きい第1の無機充填材11を沈降させて集める。すなわち、樹脂シートの一面側に粒径の大きい第1の無機充填材11を含有する層を形成させ、樹脂シートの一面側に対向する他面側に第2の無機充填材12のみを含有する層を形成する。さらに、樹脂の加熱を継続して、樹脂をBステージ化し、一面側の第1の無機充填材11を含有する層と他面側の第2の無機充填材12のみを含有する層とを固定する。
このようにして、一面側に第1の無機充填材11を含有する層と、一面側と対向する他面側に第2の無機充填材12を含有する層とが存在する樹脂シートを形成する。
次に、この樹脂シートの2枚を用いて、各樹脂シートの一面側どうしを融着することにより、両シート表面部が第2の無機充填材12を含有した層で中央部が第1の無機充填材11を含有した層の積層樹脂シートが作製される。
すなわち、シート表面近傍部に粒径が小さい第2の無機充填材12が分布し、中央部に粒径が大きい第1の無機充填材11が配置された絶縁シートが得られる。
本実施の形態の絶縁シートは、実施の形態2の絶縁シート50において、第1の無機充填材11と第2の無機充填材12とに異なる種類の無機充填材を用い、粒径の小さい第2の無機充填材12の比誘電率を、粒径の大きい第1の無機充填材11の比誘電率より小さくしたものである。
本実施の形態の絶縁シートに用いられる無機充填材には、例えば、比誘電率が8〜9の窒化アルミニウム、比誘電率が6〜9の酸化アルミニウム、比誘電率が4〜6の窒化ホウ素および比誘電率が9〜10の炭化ケイ素などが挙げられ、第2の無機充填材12の比誘電率が第1の無機充填材11の比誘電率より小さくなるような組み合わせで用いられる。
絶縁シートの熱硬化性樹脂15に用いられるエポキシ樹脂の比誘電率が約4であるので、このエポキシ樹脂との比誘電率の差は、第2の無機充填材12の窒化ホウ素では約0.5となり、第1の無機充填材11の窒化アルミニウムでは約4.5となる。
熱硬化性樹脂15との比誘電率の差が、第1の無機充填材11より第2の無機充填材12のほうが小さいため、絶縁シートのシート表面近傍部にある第2の無機充填材12近傍の局所電界が、第1の無機充填材11近傍の局所電界より小さくなる。
すなわち、本実施の形態の絶縁シートは、高熱伝導性であるとともに、表面近傍部に、第1の無機充填材11に比べ粒径も比誘電率も小さい第2の無機充填材12が分布しているので、電圧が印加された場合の絶縁シートの表面近傍での電界集中がさらに小さくなり、耐電圧と耐部分放電特性との低下が少なく、絶縁特性がさらに優れている。
図4に、絶縁シートの表面側樹脂層の厚さLと、樹脂層中の無機充填材の電界増倍率との関係を示す。
絶縁シートの表面側樹脂層の厚さLとは、図5の模式図に示すように、絶縁シート20のシート表面から、このシート表面と対向する無機充填材22の部分までの距離である。
図4に示すように、Lが25μmより小さい範囲では、Lの増加にともない電界増倍率は大きく低下するが、Lが25μm以上になると、電界増倍率の低下は、少なくなり、飽和する。
本実施の形態の絶縁シートは、第1の無機充填材11に対するLを25μm以上としたので、第1の無機充填材11近傍の電界集中も低くでき、耐電圧と耐部分放電特性との低下を小さくできる。また、Lを大きくすると絶縁シートが厚くなりすぎ、絶縁シートの熱伝導性が低下するが、本実施の形態の絶縁シートでは、第1の無機充填材11に対するLを50μm以下としたので、熱伝導特性の低下が少ない。
すなわち、本実施の形態の絶縁シートは、第1の無機充填材11に対するLを25μm〜50μmとしたので、絶縁特性と熱伝導性とに優れている。
図6は、本発明の実施の形態5に係る絶縁シートの断面模式図である。
図6に示すように、本実施の形態の絶縁シート60は、絶縁シート60の両シート表面部側に設けられた第2の熱硬化性樹脂17中に粒径の小さい第2の無機充填材12を含有した層と、絶縁シート60の厚さ方向における中央部に設けられた第1の熱硬化性樹脂16中に粒径の大きい第1の無機充填材11を含有した層とで構成されている。
そして、第2の熱硬化性樹脂17は、その比誘電率が第1の無機充填材11および第2の無機充填材12の比誘電率より小さいものであり、第1の熱硬化性樹脂16は、その比誘電率が第2の熱硬化性樹脂17の比誘電率より大きく第1の無機充填材11の比誘電率より小さいものである。
すなわち、第1の無機充填材11が、第2の熱硬化性樹脂17より大きい比誘電率の第1の熱硬化性樹脂16中にあるので、第1の無機充填材11と第1の熱硬化性樹脂16との比誘電率の差が、第1の無機充填材11と第2の熱硬化性樹脂17との比誘電率の差より小さくなり、第1の熱硬化性樹脂16が、電界緩和層として作用し、第1の無機充填材11に対する電界集中を抑制し、絶縁シートの耐電圧と耐部分放電特性との低下が防止できる。
また、電界緩和層として作用する第1の熱硬化性樹脂16は、第2の熱硬化性樹脂17に、第1の無機充填材11より比誘電率が小さい第3の無機充填材13を含有させたものでも良い。
第1〜第3の絶縁シートのサンプルを調製した。第1のサンプルは、エポキシ樹脂に、第1の無機充填材11としての窒化アルミニウムと、第3の無機充填材13としての窒化アルミニウムより比誘電率が小さい窒化ホウ素と酸化アルミニウムとの混合物を充填したものである。第2のサンプルは、エポキシ樹脂に、第1の無機充填材11としての窒化アルミニウムと、第3の無機充填材13としての窒化アルミニウムより比誘電率が小さい窒化ホウ素を充填したものである。第3のサンプルは、エポキシ樹脂に、第1の無機充填材11としての窒化アルミニウムのみを充填したものである。
図7に、各サンプルの電界緩和の比率を示した。電界緩和の比率とは、第3のサンプルの電界集中率とエポキシ樹脂層中に第1の無機充填材11より比誘電率が低い第3の無機充填材13を充填し、エポキシ樹脂層の比誘電率をエポキシ樹脂単体より高くしたサンプルの電界集中率との比率である。
図7に示すように、第3のサンプルに比べ第1および第2のサンプルは、電界集中率が小さく電界緩和効果が優れている。すなわち、第2の熱硬化性樹脂17に、第1の無機充填材11より小さい第3の無機充填材13を含有させて第2の熱硬化性樹脂17より比誘電率を大きくした第1の熱硬化性樹脂16が、電界緩和層として有効に作用することを示している。
図8は、本発明の実施の形態6に係る絶縁シートの断面模式図である。
図8に示すように、本実施の形態の絶縁シート70は、実施の形態5の絶縁シートにおいて、比誘電率が第2の熱硬化性樹脂17の比誘電率より大きく第1の無機充填材11の比誘電率より小さい第1の熱硬化性樹脂16でなる層を、第1の無機充填材11における絶縁シートのシート表面と対向する部分に設けたものである。
具体的には、第1の無機充填材11のシート表面と対向する部分において、第1の無機充填材11の断面における樹脂シート厚さ方向の直径の多くとも20%が覆われるように、第1の熱硬化性樹脂16の層が設けられている。
すなわち、本実施の形態の絶縁シートは、比誘電率が第2の熱硬化性樹脂17の比誘電率より大きく第1の無機充填材11の比誘電率より小さい第1の熱硬化性樹脂16の層が、第1の無機充填材11のシート表面と対向する部分に設けられているので、この層が電界緩和層として作用し、第1の無機充填材11に対する電界集中が抑制され、絶縁特性が優れている。それと、電界緩和層が少なくて済むので安価である。
図9は、本発明の実施の形態7に係るトランスファーモールド型半導体装置の断面模式図である。
図9に示すように、本実施の形態のトランスファーモールド型半導体装置100は、発熱体である電力用半導体素子1と制御用半導体素子7とを搭載したリードフレーム2と、電力用半導体素子1と制御用半導体素子7との電気的接続および電力用半導体素子1とリードフレーム2に形成された外部端子との電気的接続に用いられた金属ワイヤ5と、リードフレーム2の電力用半導体素子1が搭載された部分の面と対向した面、すなわちリードフレーム2の高温部に接合された絶縁シート4と、絶縁シート4におけるリードフレーム2の高温部に接合された面と対向する面に設けられた放熱部材であるヒートシンク部材3と、電力用半導体素子1と制御用半導体素子7とリードフレーム2と金属ワイヤ5と絶縁シート4とヒートシンク部材3とをトランスファーモールド法により封止するモールド樹脂6とで構成されている。しかし、本実施の形態の半導体装置100では、リードフレーム2の外部端子となる部分と、ヒートシンク部材3の絶縁シート4が接合された面と対向する面とが、モールド樹脂6から露出している。
そして、本実施の形態のトランスファーモールド型半導体装置100では、絶縁シート4に実施の形態1ないし6のいずれかの絶縁シートが用いられている。
本実施の形態のトランスファーモールド型半導体装置100は、絶縁シート4に実施の形態1ないし6のいずれかの絶縁シートが用いられているので、高い放熱性と優れた絶縁特性を有し、小型化、高集積化、高電圧化が可能である。
図10は、実施の形態1ないし6のいずれかの絶縁シートが用いられたケース型半導体装置の断面模式図である。
図10に示すように、このケース型半導体装置200は、発熱体である電力用半導体素子1を回路形成面に搭載した回路基板8と、回路基板8の回路形成面と対向する面に接合されたヒートシンク部材3と、ヒートシンク部材3の外周部に接合されたケース9と、ケース9の内側側面に設けられた外部端子91と、外部端子91と電力用半導体素子1とを電気的に接続する金属ワイヤ5と、ケース9とヒートシンク部材3とで形成された凹部に注入され電力用半導体素子1と回路基板8と金属ワイヤ5とを封止するモールド樹脂6と、ヒートシンク3の回路基板8が接合された面と対向する面、すなわちケース型半導体装置200の高温部に接合された絶縁シート4と、絶縁シート4におけるヒートシンク部材3と接合された面と対向する面に設けられた放熱部材であるヒートスプッレダ10とで構成されている。
このケース型半導体装置200も、絶縁シート4に実施の形態1ないし6のいずれかの絶縁シートが用いられているので、トランスファーモールド型半導体装置100と同様な効果を得ることができる。
また、半導体素子に、Siチップ、SiCチップ、ダイオード、IGBT、その他トランジスタやIC等を用いた半導体装置においても、実施の形態1ないし6のいずれかの絶縁シートを用いることができ、同様な効果が得られる。
また、電極と半導体素子や絶縁基板等とを半田などで電気的に接続した接合型、電極と半導体素子や絶縁基板等とを電極外側方向から内側方向に向けて弾性体やボルト締めなどにより加圧し、電気的に接続した圧接型、これらの複合型のいずれかの半導体装置においても、実施の形態1ないし6のいずれかの絶縁シートを用いることができ、同様な効果が得られる。
また、ヒートシンク一体型および分離型いずれの半導体装置においても、実施の形態1ないし6のいずれかの絶縁シートを用いることができ、同様な効果が得られる。
4 絶縁シート、5 金属ワイヤ、6 モールド樹脂、7 制御用半導体素子、
8 回路基板、9 ケース、10 ヒートスプッレダ、11 第1の無機充填材、
12 第2の無機充填材、13 第3の無機充填材、15 熱硬化性樹脂、
16 第1の熱硬化性樹脂、17 第2の熱硬化性樹脂、21,22 無機充填材、
20,40,50,60,70 絶縁シート、91 外部端子、
100 トランスファーモールド型半導体装置、200 ケース型半導体装置。
Claims (6)
- 熱硬化性樹脂中に、第1の無機充填材と、この第1の無機充填材より粒径の小さい第2の無機充填材とを含有した絶縁シートであって、上記第1の無機充填材が上記絶縁シートの厚さ方向における中央部のみに配置され、上記第2の無機充填材のみが上記絶縁シートにおけるシート表面の近傍部に分布しており、
上記第1の無機充填材に対する表面側樹脂層の厚さLを25μm〜50μmとしており、上記第2の無機充填材の比誘電率が、上記第1の無機充填材の比誘電率以下であることを特徴とする絶縁シート。 - 第1の無機充填材の粒径D1と第2の無機充填材の粒径D2との比D1/D2が1より大きく100未満であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁シート。
- 第2の無機充填材の比誘電率を、第1の無機充填材の比誘電率より小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の絶縁シート。
- 上記熱硬化性樹脂が、第2の熱硬化性樹脂と、この第2の熱硬化性樹脂の非誘電率より大きく第1の無機充填材の非誘電率より小さい比誘電率を有する第1の熱硬化性樹脂とで形成されており、
上記第1の無機充填材が配置されている上記絶縁シートの厚さ方向における中央部が、上記第1の熱硬化性樹脂の層で形成されており、
第2の無機充填材のみが分布している上記絶縁シートの両シート表面部側が、上記第2の熱硬化性樹脂の層で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の絶縁シート。 - 上記熱硬化性樹脂が、第2の熱硬化性樹脂と、この第2の熱硬化性樹脂の非誘電率より大きく第1の無機充填材の非誘電率より小さい比誘電率を有する第1の熱硬化性樹脂とで形成されており、
上記第1の無機充填材の、絶縁シートの各シート表面と対向する部分であって、上記第1の無機充填材の、絶縁シート厚さ方向における直径の多くとも20%を覆う部分が、第1の熱硬化性樹脂の層で形成され、この第1の熱硬化性樹脂の層以外の絶縁シートにおける熱硬化性樹脂の部分が、第2の熱硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の絶縁シート。 - 発熱体である半導体素子と熱的につながった高温部に絶縁シートを介して放熱部材が設けられた半導体装置であって、上記絶縁シートに請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁シートを用いたことを特徴とする半導体装置。
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