以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
<実施例1>
まず、図1を用いて、本発明の実施例の消防指令システムの全体の構成を説明する。
本実施例の消防指令システムは、A地区108aとB地区108bの2地区を含むシステムである。
A地区108aの消防指令システムは、指令制御装置100aと、保守コンソール101aと、指令台#0(104a)と、指令台#1(105a)と、119番通報を受ける119番回線102aと、管轄内のA1消防署106a〜An消防署107aと、各消防署をIP網110経由で接続するIP回線103aで構成される。
B地区108bの消防指令システムは、指令制御装置100bと、保守コンソール101bと、指令台#0(104b)と、指令台#1(105b)と、119番通報を受ける119番回線102bと、管轄内のB1消防署106b〜Bn消防署107bと、各消防署をIP網110経由で接続するIP回線103bで構成される。
次に、A地区108aで119番通報を着信した場合について説明する。119番回線102aに着信した119番通報は、指令制御装置100aに接続されている指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)を呼び出す。指令台#0(104a)又は指令台#1(105a)の指令員は、119番通報に応答し、通報者との通話で通報内容を確認する。例えば、通報内容が火災の場合、最寄の消防署に消防車の出動を要請する。
次に、図1、図2、図3を用いて、A地区108a及びB地区108bで119番通報を着信した場合の指令台の動きについて説明する。
図1は、A地区108aで119番通報a1(121a)を着信し、B地区108bで119番通報b1(121b)を着信した場合の動作の例を説明する図である。
A地区108aで119番回線102aから119番通報a1(121a)を着信すると、指令台#0(104a)と指令台#1(105a)に着信a1(131a)をする。なお、着信a1(131a)は、指令台#0(104a)と指令台#1(105a)のいずれかで応答が可能である。
また、B地区108bで119番回線102bから119番通報b1(121b)を着信すると、指令台#0(104b)と指令台#1(105b)に着信b1(131b)をする。なお、着信b1(131b)は指令台#0(104b)と指令台#1(105b)のいずれかで応答が可能である。
図2は、A地区108aで通話a1(141a)、B地区で通話b1(141b)の通報処理中に、各々、別の119番通報を着信した例を説明する図である。
A地区108aの指令台#0(104a)で通話a1(141a)の通報処理中に、119番回線102aから119番通報a2(122a)を着信すると、指令台#0(104a)と指令台#1(105a)に着信a2(132a)が着信する。この時、指令台#0(104a)は通話a1(141a)の通報処理中であるため、着信a2(132a)を認識できるが、応答できない。
また、B地区108bの指令台#0(104b)で通話b1(141b)の通報処理中に、119番回線102bから119番通報b2(122b)を着信すると、指令台#0(104b)と指令台#1(105b)に着信b2(132b)が着信する。この時、指令台#0(104b)は通話b1(141b)の通報処理中であるため、着信b2(132b)を認識できるが、応答できない。
図3は、A地区108aで通話a1(141a)及び通話a2(142a)、B地区で通話b1(141b)及び通話b2(142b)の通報処理中に、各々、別の119番通報を着信した例を説明する図である。
A地区108aの指令台#0(104a)で通話a1(141a)の通報処理中で、指令台#1(105a)で通話a2(142a)の通報処理中に、119番回線102aから119番通報a3(123a)を着信すると、指令台#0(104a)と指令台#1(105a)に着信a3(133a)をする。この時、指令台#0(104a)は通話a1(141a)の通報処理中であり、指令台#1(105a)は通話a2(142a)の通報処理中であるため、着信a3(133a)を認識できるが、応答できない。このため、指令制御装置100aは、119番通報a3(123a)を待ち呼として扱う。
また、B地区108bの指令台#0(104b)で通話b1(141b)の通報処理中で、指令台#1(105b)で通話b2(142b)の通報処理中に、119番回線102bから119番通報b3(123b)を着信すると、指令台#0(104b)と指令台#1(105b)に着信b3(133b)をする。この時、指令台#0(104b)は通話b1(141b)の通報処理中であり、指令台#1(105b)は通話b2(142b)の通報処理中であるため、着信b3(133b)の着信を認識できるが、応答できない。このため、指令制御装置100bは、119番通報b3(123b)を待ち呼として扱う。
次に、図4、図5、図6、図7を用いて、なりかわり運用中に119番通報を着信した場合の指令台の動きについて説明する。
図4は、A地区108aで119番通報a4(151a)を着信した例を説明する図である。
A地区108aで119番回線102aから119番通報a4(151a)を着信すると、指令台#0(104a)、指令台#1(105a)及びB地区108bの指令台#1(105b)に着信a4(161a)が着信する。なお、着信a4(161a)は指令台#0(104a)、指令台#1(105a)、指令台#1(105b)のいずれかで応答が可能である。
図5は、A地区108aで通話a4(171a)の通報処理中に、別の119番通報を着信した例を説明する図である。
B地区108bの指令台#1(105b)で通話a4(171a)の通報処理中に、119番回線102aから119番通報a5(152a)を着信すると、指令台#0(104a)、指令台#1(105a)及びB地区108bの指令台#1(105b)に着信a5(162a)をする。この時、指令台#1(105b)は通話a4(171a)の通報処理中のため、着信a5(162a)を認識できるが、応答できない。
図6は、通話a4(171a)及び通話a5(172a)の通報処理中に、別の119番通報を着信した例を説明する図である。
B地区108bの指令台#1(105b)で通話a4(171a)の通報処理中で、指令台#0(104a)で通話a5(172a)の通報処理中に、119番回線102aから119番通報a6(153a)を着信すると、指令台#0(104a)、指令台#1(105a)及びB地区108bの指令台#1(105b)に着信a6(163a)をする。この時、指令台#1(105b)は通話a4(171a)の通報処理中であり、指令台#0(104a)は通話a5(172a)の通報処理中であるため、着信a6(163a)を認識できるが、応答できない。
図7は、通話a4(171a)、通話a5(172a)及び通話a6(173a)の通報処理中に、別の119番通報を着信した例を説明する図である。
B地区108bの指令台#1(105b)で通話a4(171a)の通報処理中で、指令台#0(104a)で通話a5(172a)の通報処理中で、指令台#1(105a)で通話a6(173a)の通報処理中に、119番回線102aから119番通報a7154aを着信すると、指令台#0(104a)、指令台#1(105a)及びB地区108bの指令台#1(105b)に着信a7(164a)をする。
この時、指令台#1(105b)は通話a4(171a)の通報処理中であり、指令台#0(104a)は通話a5(172a)の通報処理中で、指令台#1(105a)は通話a6(173a)の通報処理中であるため、着信a7(164a)を認識できるが、応答できない。このため、指令制御装置100aは119番通報a7(154a)を待ち呼として扱う。
図8は、指令制御装置の構成図である。なお、A地区の指令制御装置100aの構成とB地区の指令制御装置100bの構成とは同一であるため、A地区の指令制御装置100aを例に説明する。
指令制御装置100aは、主制御部201aと、119番回線制御部202aと、指令台制御部203aと、指令台制御部204aと、IP回線制御部205aとを有する。各制御部間は制御バス206aによって接続され、各制御部間が共通にアクセスする通話路メモリ207aが設けられる。指令制御装置100aは、通話路メモリ207aによって、時分割多重転送を実現する。
主制御部201aは、装置全体を制御し、保守コンソール101aを接続する。119番回線制御部202aは、主制御部201aと119番回線102aとを接続する。指令台制御部203aは、指令台#0(104a)と指令台#1(105a)とを接続する。指令台制御部204aは、なりかわり接続で使用される。IP回線制御部205aは、B地区の指令制御装置100bをIP網110経由で接続する。
図9は、指令台制御部203aの構成図である。指令台の制御情報及び音声信号の流れについて、図1、図2、図3、図17、図18を併用して説明する。
119番通報a1(121a)を着信すると、制御バス206a介してMPU300aに呼出信号5203が伝えられ、SCI0(301a)のSDポートからスイッチ(SW0)304a、経路322a、マルチプレクサ(MUX)314a、経路326a、選択器(SEL00)312aの0ポート及び経路320aを経由して、指令台伝送回路311aから着信a1(131a)となり、指令台#0(104a)に着信する。
指令台#0(104a)で応答5205をすると、応答信号5206は指令台伝送回路311a、経路321a、SEL01(313a)の0ポート、経路327a、デマルチプレクサ(DEMUX)315a、経路324a及びSW0(304a)を経由して、MPU300aのSCI0(301a)のRDポートで受信し、制御バス206aに応答信号5206を送る。
通話a1(141a)が開始すると、通話路メモリ207aから音声信号を受け取り、経路305a、通話路メモリ制御回路317a、経路323a、MUX314a、経路326a、SEL00(312a)の0ポート及び経路320aを経由して、指令台伝送回路311aから指令台#0(104a)に伝送され、指令台#0(104a)の受話になる。
指令台#0(104a)の送話は、指令台伝送回路311a、経路321a、SEL01(313a)の0ポート、経路327a、DEMUX315a、経路328a、SEL02(316a)の0ポート、経路325a、通話路メモリ制御回路317a及び経路306aを経由して、通話路メモリ207aに転送される。
119番通報a2(122a)を着信すると、制御バス206a介してMPU300aに呼出信号5211が伝えられ、SCI1302aのSDポートからSW1(1304a)、経路1322a、MUX1314a、経路1(326a)、SEL10(1312a)の0ポート及び経路1320aを経由して、指令台伝送回路1311aから着信a2(132a)となり指令台#1(105a)に着信する。
指令台#1(105a)で応答5212をすると、応答信号5213は指令台伝送回路1311a、経路1321a、SEL11(1313a)の0ポート、経路1327a、DEMUX1315a、経路1324a及びSW1(1304a)を経由して、MPU300aのSCI1302aのRDポートで受信し、制御バス206aに応答信号5213を送る。
通話a2(142a)が開始すると、通話路メモリ207aから音声信号を受け取り、経路305a、通話路メモリ制御回路317a、経路1323a、MUX1314a、経路1326a、SEL10(1312a)の0ポート及び経路1320aを経由して、指令台伝送回路1311aから指令台#1(105a)に伝送され、指令台#1(105a)の受話になる。
指令台#1(105a)の送話は、指令台伝送回路1311a、経路1321a、SEL11(1313a)の0ポート、経路1327a、DEMUX1315a、経路1328a、SEL12(1316a)の0ポート、経路1325a、通話路メモリ制御回路317a及び経路306aを経由して、通話路メモリ207aに転送される。
なお、図9には、指令台制御部203aが通常運用中における、スイッチ及び選択器の切替状態を示すテーブルも示した。
次に、B地区108bの指令台#1(105b)をA地区の指令台として運用する、なりかわり機能の制御信号及び音声信号の流れについて、図4、図5、図10、図11、図20を用いて説明する。
119番通報a4(151a)を着信すると、制御バス206a介してMPU2300aに呼出信号5403が伝えられ、SCI0(2301a)のSDポートからスイッチ(SW0)2304a、経路2322a、マルチプレクサ(MUX)2314a、経路2326a、選択器(SEL00)2312aの0ポート及び経路2320aを経由し、さらに、SEL11(3313a)の1ポート、経路3327a、SEL12(3316a)の1ポート、経路3325a、通話路メモリ制御回路2317a及び経路2306aを経由して、通話路メモリ207aに転送される。通話路メモリ207aに転送された着信は、IP回線制御部205aでIP変換され、IP網110を経由して、B地区108bに呼出信号5407が転送される。
指令制御装置100bは、IP回線制御部205bで受信した呼出信号5407を呼出信号5409にIP逆変換し、通話路メモリ207bに転送する。指令台制御部203bは、通話路メモリ207bから経路305bを介して呼出信号5409を受け取り、通話路メモリ制御回路317b、経路1323b、SEL10(1312b)の1ポート及び経路1320bを経由して、指令台伝送回路1311bから着信a4(161a)が送信され、指令台#1(105b)に着信する。
指令台#1(105b)で応答5411をすると、応答信号5412は指令台伝送回路1311b、経路1321b、SEL11(1313b)の0ポート、経路1327b、SEL12(1316b)の1ポート、経路1325b、通話路メモリ制御回路317b及び経路306bを経由して、通話路メモリ207bに転送され、IP回線制御部205bでIP変換され、IP網110を経由して、A地区108aに応答信号5414が転送される。
指令制御装置100aは、IP回線制御部205aで受信した応答信号5414を応答信号5416にIP逆変換し、通話路メモリ207aに転送する。指令台制御部204aは、通話路メモリ207aから経路2305aを介して、応答信号5416を受け取り、通話路メモリ制御回路2317a、経路3323a、SEL103312aの1ポート、経路3320a、SEL012313aの1ポート、経路2327a、DEMUX2315a、経路2324a、SW02304aを経由してMPU2300aのSCI02301aのRDポートに受信し制御バス206aに応答信号5416を送る。
通話a3(171a)が開始すると、通話路メモリ207aから音声信号を受け取り、経路2305a、通話路メモリ制御回路2317a、経路2323a、MUX2314a、経路2326a、SEL00(2312a)の0ポート及び経路2320aを経由して、SEL11(3313a)の1ポート、経路3327a、SEL12(3316a)の1ポート、経路3325a、通話路メモリ制御回路2317a及び経路2306aを経由して通話路メモリ207aに転送され、IP回線制御部205aでIP変換され、IP網110を経由して、B地区108bに接続される。
指令制御装置100bは、IP回線制御部205bで受信した音声パケットをIP逆変換し、通話路メモリ207bに転送する。指令台制御部203bは、通話路メモリ207bから経路305bを介して、音声信号を受け取り、通話路メモリ制御回路317b、経路1323b、SEL10(1312b)の1ポート及び経路1320bを経由して指令台伝送回路1311bから指令台#1(105b)に伝送され、指令台#1(105b)の受話になる。
指令台#1(105b)の送話は、指令台伝送回路1311b、経路1321b、SEL11(1313b)の0ポート、経路1327b、SEL12(1316b)の1ポート、経路1325b、通話路メモリ制御回路317b及び経路306bを経由して通話路メモリ207bに転送され、IP回線制御部205bでIP変換され、IP網110を経由して、A地区108aに転送される。
指令制御装置100aは、IP回線制御部205aで受信した音声信号をIP逆変換し、通話路メモリ207aに転送する。指令台制御部203aは、通話路メモリ207aから経路2305aを介して、音声信号を受け取り、通話路メモリ制御回路2317a、経路3323a、SEL10(3312a)の1ポート、経路3320a、SEL01(2313a)の1ポート、経路2327a、DEMUX2315a、経路2328a、SEL02(2316a)の0ポート、経路2325a、通話路メモリ制御回路2317a及び経路2306aを経由して、通話路メモリ207aに転送される。
なお、図10には、指令台制御部204aがなりかわり運用中における、スイッチ及び選択器の切替状態を示すテーブルも示した。
なお、B地区108bの指令制御装置100bに搭載されている指令台制御部203bの構成は、図9に示すA地区108aの指令台制御部203aの構成と同じである。また、B地区108bの指令制御装置100bに搭載されている指令台制御部204bの構成は、図10に示すA地区108aの指令台制御部203aの構成と同じである。このため、これらの説明は省略する。
図12は、指令台#0(104b)をA地区108aの指令台として、なりかわり運用する場合の構成図である。なお、図11に示す指令台#0(104b)と同一の機能を有する構成の説明は省略する。
次に、図13、図14を用いて、指令台制御部203a内部の音声信号及び制御信号の流れを説明する。
制御信号4000は、指令制御装置100aの主制御部201aから指令台#0(104a)宛に送られる呼制御情報や状態表示のランプ情報等のデータで、MPU300aのSCI0301aのSDポートから、例えば64kbit/Sの8bitデータとして出力される。
音声信号4001は、通話a1(141a)などの音声データで、通話路メモリ207aから経路305aを経由して通話路メモリ制御回路317aに送られる。経路305aの音声信号は、例えば2048kbit/Sの1フレーム当たり32TSで構成され、1TSは8bitで構成される。通話路メモリ制御回路317aは、任意のTSを抜き取り、音声信号4001の、例えば64kbit/Sの8bitデータとして扱う。
制御信号4000と音声信号4001は、MUX314aで制御信号+音声信号4002の、例えば128kbit/sの16bitデータとなり、(なりかわり運用中はIP網110を経由して)、指令台#0(104a)に送られる。
指令台#0(104a)から(なりかわり運用中はIP網110を経由して)送信されるデータは、制御信号+音声信号4102の、例えば128kbit/sの16bitデータであり、DEMUX315aで、制御信号4100(例えば64kbit/Sの8bitデータ)と、音声信号4101(例えば64kbit/Sの8bitデータ)とに分離される。応答信号等の制御信号4100は、MPU300aのSCI0301aのRDポートで受信し、主制御部201aに送られる。音声信号4101は、通話路メモリ制御回路317aで経路306aの任意のTSに割り当てられ、通話路メモリ207aに送られる。
このように、制御信号+音声信号を多重化して送信することによって、通常の電話の転送と異なり、音声信号と共に制御信号や音声信号以外の情報を転送することができる。
なお、通話路メモリ制御回路317aは、経路305aから複数のTSを抜き取る機能、及び、経路306aに複数のTSを割り当てる機能を有する。これにより、なりかわり運用では、通話路メモリ207aに制御信号+音声信号4002及び4102を割り当てることが可能となる。
なお、図11、図12には、指令台制御部203bがなりかわり運用中における、スイッチ及び選択器の切替状態を示すテーブルも示した。
次に、図15を用いて、B地区108bの指令台#1(105b)をA地区管轄の指令台として運用する場合を例に、なりかわり開始処理を説明する。
なりかわりは、大規模災害等で119番通報が輻輳して、A地区108aからB地区108bが応援要請を受けた場合、または、B地区108bがA地区108aの119番通報の輻輳を検知して、B地区108bがA地区108aの応援を必要と判断した場合に、B地区108bの保守コンソール101bから、なりかわり開始コマンド5000を入力することによって開始する。
主制御部201bは、なりかわり開始コマンド5000を受け付けると、開始条件を判定する(5001)。ここでは、IP回線103bの空きチャネル有無、指令台#1(105b)の空きの有無をチェックする。NGの場合、主制御部201bは、保守コンソール101bに、なりかわり開始NG通知5002を送る。OKの場合、主制御部201bは、IP網接続制御5003を行い、IP網110経由でA地区108aの指令制御装置100aと接続する。
その後、主制御部201bは、指令制御装置100aの主制御部201aに、なりかわり開始要求5004を送信する。
主制御部201aは、開始条件を判定する(5005)。ここでは、指令台制御部204aの使用可否をチェックする。NGの場合、主制御部201aは、なりかわり開始応答NG5006を主制御部201bに送る。主制御部201bは、なりかわり開始応答NG5006を受信すると、保守コンソール101bに、なりかわり開始NG通知5007を送る。
OKの場合、主制御部201aは、指令台制御部204aに、なりかわり開始通知5008を送り、指令台制御部204aはCh折返し設定5009を行い、主制御部201bに、なりかわり開始応答OK5010を送る。Ch折返し設定5009によって、指令台制御部が、図9に示す状態から、図10に示す状態に移行し、なりかわり接続が開始する。
主制御部201bは、なりかわり開始応答OK5010を受信すると、指令台制御部203bに、なりかわり開始通知5011を送る。指令台制御部203bは、指令台接続先切替5012を行う。さらに、主制御部201bは、保守コンソール101bに、なりかわり開始OK通知5013を送り、なりかわり開始設定が完了する(5014)。
次に、図16を用いて、なりかわり終了処理を説明する。ここでは、図15で、なりかわりを開始した後に、なりかわりを終了する場合の例を説明する。
まず、保守コンソール101bから、なりかわり終了コマンド5100を入力する。主制御部201bは、なりかわり終了コマンド5100を受け付けると、指令制御装置100aの主制御部201aに、なりかわり終了要求5103を送信する。
主制御部201aは、なりかわり終了要求5103を受信すると、終了条件を判定する(5104)。ここでは、指令台制御部204aが使用中(なりかわり運用中)かチェックする。NGの場合、主制御部201aは、なりかわり終了応答NG5105を主制御部201bに送る。主制御部201bは、なりかわり終了応答NG5105を受信すると、保守コンソール101bに、なりかわり終了NG通知5106を送る。
OKの場合、主制御部201aは、なりかわり終了要求5107を主制御部201bに送る。主制御部201bは、なりかわり終了要求5107を受信すると、指令台制御部203bに、なりかわり終了通知5108を送る。指令台制御部203bは、指令台接続先切替5109を行う。主制御部201bは、なりかわり終了要求5107を受信すると、主制御部201aに、なりかわり終了応答5110を送る。主制御部201aは、なりかわり終了応答5110を受信すると、指令台制御部204aに、なりかわり終了通知5111を送る。
指令台制御部204aはCh折返し設定を解除する(5114)。Ch折返し設定の解除5114によって、指令台制御部が、図10に示す状態から、図9に示す状態に移行し、なりかわり接続が終了する。
主制御部201aは、主制御部201bに、なりかわり終了応答OK5112を送る。主制御部201bは、なりかわり終了応答OK5112を受信すると、保守コンソール101bに、なりかわり終了OK通知5113を送る。その後、主制御部201aはIP網を解放する制御5115を行い、なりかわり終了設定が完了する(5116)。
図17、図18、図19は、A地区108aの着信のシーケンス図である。着信シーケンスについて、図1、図2、図3、図8を併用して説明する。
まず、図17において、119番通報a1(121a)が119番回線102aから119番回線制御部202aに着信5201すると、119番回線制御部202aが着信5201を主制御部201aに転送する。主制御部201aは着信処理5202を行い、指令台制御部203aに呼出信号5203を送る。これによって、指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)が、着信a1(131a)により呼び出される。
指令台#0(104a)が応答5205をすると、指令台制御部203a経由で主制御部201aに、応答信号5206が送られる。主制御部201aは、応答処理5207を行い、応答5208を119番回線102aに送る。これによって、指令台#0(104a)と119番回線102aとの間で通話a1(141a)が開始する。
続いて、図18において、119番通報a2(122a)が119番回線102aから119番回線制御部202aに着信5209すると、119番回線制御部202aが着信5209を主制御部201aに転送する。主制御部201aは着信処理5210を行い、指令台制御部203aに呼出信号5211を送る。これによって、指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)が、着信a2(132a)により呼び出される。
指令台#1(105a)が応答5212をすると、指令台制御部203a経由で主制御部201aに、応答信号5213が送られる。主制御部201aは、応答処理5214を行い、応答5215を119番回線102aに送る。これによって、指令台#1(105a)と119番回線102aとの間で通話a2(142a)が開始する。この時、指令台#0(104a)は通話中a1(141a)の状態であるため、着信a2(132a)を認識できるが、応答できない。
さらに、図19において、119番通報a3(123a)が119番回線102aから119番回線制御部202aに着信5216すると、119番回線制御部202aが着信5201を主制御部201aに転送する。主制御部201aは着信処理5217を行い、指令台制御部203aに呼出信号5218を送る。これによって、指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)が、着信a3(133a)により呼び出される。
この時、指令台#0(104a)は通話中a1(141a)の状態であり、指令台#1(105a)は通話中a2(142a)の状態であるため、着信a3(133a)を認識できるが、応答できない。このため、指令制御装置100aは、119番通報a3123aを待ち呼として扱う。
図20、図21、図22、図23は、なりかわり着信のシーケンス図である。着信シーケンスについて、図4、図5、図6、図7、図8を併用して説明する。
まず、図20において、119番通報a4(151a)が119番回線102aから119番回線制御部202aに着信5401すると、119番回線制御部202aが着信5401を主制御部201aに転送する。主制御部201aは着信処理5402を行い、指令台制御部203aに呼出信号5404を送る。指令台制御部203aは、呼出信号5404を指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)に送る。これによって、指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)が、着信a4(161a)により呼び出される。
さらに、主制御部201aは、指令台制御部なりかわり接続204aに呼出信号5403を送る。指令台制御部なりかわり接続204aは、通話路メモリ207a経由でIP回線制御部205aに呼出信号5403を送る。IP回線制御部205aは、呼出信号5403をIP変換5406し、呼出信号5407をIP網110を経由してB地区108bのIP回線制御部205bに送る。IP回線制御部205bは、呼出信号5407をIP逆変換5408し、呼出信号5409を通話路メモリ207b経由で指令台制御部203bに送る。指令台制御部203bは、呼出信号5409を指令台#1(105b)に送る。これによって、指令台#1(105b)が着信a4(161a)により呼び出される。
指令台#1(105b)が応答5411をすると、応答信号5412は指令台制御部203b及び通話路メモリ207b経由してIP回線制御部205bに送られる。IP回線制御部205bは、応答信号5412をIP変換5413し、応答信号5414をA地区108aのIP回線制御部205aに送る。IP回線制御部205aは、応答信号5414をIP逆変換5415し、応答信号5416を通話路メモリ207a経由で指令台制御部なりかわり接続204aに送る。指令台制御部なりかわり接続204aは応答信号5416を主制御部201aに送る。主制御部201aは、応答処理5417を行い、応答5418を119番回線102aに送る。これによって、通話a3(171a)が開始する。
続いて、図21において、119番通報a5(152a)が119番回線102aから119番回線制御部202aに着信5501すると、119番回線制御部202aが着信5501を主制御部201aに転送する。主制御部201aは着信処理5502を行い、指令台制御部203aに呼出信号5504を送る。指令台制御部203aは、呼出信号5504を指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)に送る。これによって、指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)が、着信a5(162a)によって呼び出される。
さらに、主制御部201aは、指令台制御部なりかわり接続204aに呼出信号5503を送る。指令台制御部なりかわり接続204aは、通話路メモリ207a経由でIP回線制御部205aに呼出信号5503を送る。IP回線制御部205aは、呼出信号5503をIP変換5406し、呼出信号5507をIP網110を経由してB地区108bのIP回線制御部205bに送る。IP回線制御部205bは、呼出信号5507をIP逆変換5508し、呼出信号5509を通話路メモリ207b経由で指令台制御部203bに送る。指令台制御部203bは、呼出信号5509を指令台#1(105b)に送る。これによって、指令台#1(105b)が着信a5162aにより呼び出される。この時、指令台#1(105b)は通話中a3(171a)であるため、着信a5(162a)を認識できるが、応答できない。
指令台#0(104a)が着信a5(162a)に応答5510をすると、応答信号5511が、指令台制御部203aに送られる。指令台制御部203aは、応答信号5511を主制御部201aに送る。主制御部201aは、応答処理5512を行い、応答5513を119番回線102aに送る。これによって、通話a5(172a)が開始する。
続いて、図22において、119番通報a6(153a)が119番回線102aから119番回線制御部202aに着信5601すると、119番回線制御部202aが着信5601を主制御部201aに転送する。主制御部201aは着信処理5602を行い、指令台制御部203aに呼出信号5604を送る。指令台制御部203aは、呼出信号5604を指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)に送る。これによって、指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)が、着信a6(163a)によって呼び出される。この時、指令台#0(104a)は通話中a4(172a)であるため、着信a6(163a)を認識できるが、応答できない。
さらに、主制御部201aは、指令台制御部なりかわり接続204aに呼出信号5603を送る。指令台制御部なりかわり接続204aは、通話路メモリ207a経由でIP回線制御部205aに呼出信号5603を送る。IP回線制御部205aは、呼出信号5603をIP変換5606し、呼出信号5607をIP網110を経由してB地区108bのIP回線制御部205bに送る。IP回線制御部205bは、呼出信号5407をIP逆変換5608し、呼出信号5609を通話路メモリ207b経由で指令台制御部203bに送る。指令台制御部203bは、呼出信号5609を指令台#1(105b)に送る。これによって、指令台#1(105b)が着信a6(163a)により呼び出される。この時、指令台#1(105b)は通話中a3(171a)であるため、着信a6(163a)を認識できるが、応答できない。
指令台#1(105a)が着信a6(163a)に応答5610をすると、応答信号5611が、指令台制御部203aに送られる。指令台制御部203aは、応答信号5611を主制御部201aに送る。主制御部201aは、応答処理5612を行い、応答5613を119番回線102aに送る。これによって、通話a6(173a)が開始する。
続いて、図23において、119番通報a7(154a)が119番回線102aから119番回線制御部202aに着信5701すると、119番回線制御部202aが着信5701を主制御部201aに転送する。主制御部201aは着信処理5702を行い、指令台制御部203aに呼出信号5704を送る。指令台制御部203aは、呼出信号5704を指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)に送る。これによって、指令台#0(104a)及び指令台#1(105a)が着信a7(164a)により呼び出される。
さらに、主制御部201aは、指令台制御部なりかわり接続204aに呼出信号5703を送る。指令台制御部なりかわり接続204aは、通話路メモリ207a経由でIP回線制御部205aに呼出信号5703を送る。IP回線制御部205aは、呼出信号5703をIP変換5706し、呼出信号5707をIP網110を経由してB地区108bのIP回線制御部205bに送る。IP回線制御部205bは、呼出信号5407をIP逆変換5708し、呼出信号5709を通話路メモリ207b経由で指令台制御部203bに送る。指令台制御部203bは、呼出信号5709を指令台#1(105b)に送る。これによって、指令台#1(105b)が着信a7(164a)により呼び出される。
この時、指令台#0(104a)は通話中a4(172a)であり、指令台#1(105a)は通話中a5(173a)であり、指令台#1(105b)は通話中a3(171a)であるため、着信a7(164a)を認識できるが、応答できない。このため、指令制御装置100aは119番通報a7(154a)を待ち呼として扱う。
このように、なりかわり運用中は、B地区の指令制御装置100bの主制御部201bは、何等動作することなく、B地区の指令台(104b、105b)が、A地区の119番通報を受けることができる。
以上に説明したように、本発明の実施例によると、119番回線を収容する指令制御装置(100)と、前記電話回線を通じた通報を発信した通報者と通話するために使用される複数の指令台(104、105)とを備える指令システムであって、前記制御装置は、前記通報を受け付ける119番回線制御部(202)と、前記指令台を制御する複数の指令台制御部(203、204)と、他の指令制御装置と接続するIP回線を収容する回線制御部(205)とを有し、前記指令台制御部(204a)は、前記回線制御部が受け付けた通報を前記指令台に転送せず、前記他の指令制御装置へ転送するために前記回線制御部へ出力する。このため、B地区の一部の指令台でA地区の119番通報を受ける場合、A地区の指令制御装置内に予め準備された折り返しルートでB地区宛の指令台制御信号及び音声信号を折り返し、IP網経由でB地区の指令制御装置に送ることができる。そして、B地区の指令制御装置100b(主制御部201b)はA地区の119番通報を受ける指令台の呼処理の制御を行うことなく、B地区の指令制御装置の内部を伝送路として提供する。このため、前記B地区の一部の指令台はA地区の指令制御装置からの制御信号によって制御される。
例えば、消防指令本部間をIP回線で接続し、指令台の接続先を自消防指令本部から他消防指令本部に切り替えた場合、他の消防指令本部の119番通報を受け付け、指令を出すことができる。
また、前記指令台制御部は、前記通報の音声信号と前記通報の呼制御のための制御信号とを合成して時系列データを生成するマルチプレクサを有し、前記指令台制御部(204a)は、前記マルチプレクサ(2314)が生成した時系列データを前記IP回線制御部(205a)へ出力するので、音声信号だけでなく、待ち呼の情報(ランプ情報)等を指令台に通知することができる。
また、前記指令台制御部は、時系列データを音声信号と制御信号とに分離するデマルチプレクサを有し、前記IP回線制御部(205a)は、他の指令制御装置(100b)から前記時系列データを受信し、前記指令台制御部(204a)は、前記デマルチプレクサ(2315)が前記受信した時系列データから分離した音声信号を、119番回線制御部(202a)へ出力するので、音声信号を指令台から伝送することができる。
さらに、前記指令台制御部は、前記回線制御部から前記指令台に至る第1のパス(323、326、320)及び第3のパス(1323、1326、1320)と、前記指令台から前記回線制御部に至る第2のパス(321、327、325)及び第4のパス(1321、1327、1325)と、を有し、前記第1から第4のパスを前記指令台に接続する通常接続モードと、前記第1のパスの前記指令台側端部(2320a)と前記第4のパスの前記指令台側端部(3313a)とを接続し、前記第2のパスの前記指令台側端部(2313a)と前記第3のパスの前記指令台側端部(3320a)とを接続し、前記第3のパス及び前記第4のパスと前記回線制御部との間でデータを転送するなりかわり接続モードと、を切り替えるので、指令台制御部内の接続を切り替えるだけで、通常運用モードとなりかわり運用モードとを切り替えることができる。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。