ところで,パンツ型の使い捨ておむつは,外装体が着用者の動きに追従して,着用者の身体にフィットし続けることが,特に重要となる。すなわち,外装体が着用者の動きに対する外装体の追従性が悪いと,吸収体と着用者の股下との間に隙間が生じ易くなり,その隙間から尿漏れが発生する恐れがある。実際に,パンツ型の使い捨ておむつを着用する者には,自分でおむつを履くことができる者も多く,その動作も健常者と変わらないことが多い。つまり,パンツ型の使い捨ておむつの着用者の中には,健常者と同様に,歩いたり,階段を登ったり,椅子に座ったり,寝転がったり,腰を捻ったりするなど,様々な動きをすることができる者が多く存在する。このため,パンツ型の使い捨ておむつは,このような着用者の様々な動きに適宜対応して,着用者が動いている最中であっても,身体にフィットし続けるような追従性が求められる。
このような追従性を向上させるという観点において,上記した特許文献1〜3に開示されるように,ウエスト部分に配置される弾性伸縮部材を湾曲して配置するという技術は有効性が高いとされている。すなわち,弾性伸縮部材を湾曲させて,斜めに傾斜する部分を形成することで,吸収性本体がその幅方向だけでなく,弾性伸縮部材に傾斜部分に沿って,斜めにも伸縮するようになる。これにより,外装体が多様な方向に伸縮するようになるため,着用者の多様な動きに追従できるようになる。
しかしながら,特許文献1〜3に開示された技術では,おむつの外装体の追従性を高めることができるものの,この外装体の伸縮に応じて,吸収性本体の全体を着用者の身体にフィットさせ続けることは困難であった。つまり,従来の使い捨ておむつでは,着用者が階段を登ったり腰を捻るといったような動きをした場合に,外装体は弾性伸縮部材の伸縮性によって着用者の身体にフィットすることができるものの,吸収性本体は着用者の身体から離れて隙間が生じることがある。特に,吸収性本体は,その底面全体を外装体に接合すると,着用者の動きに合わせて外装体に引っ張られて股下からずれてしまうことがあるという理由から,その幅方向の左右両側には,外装体に接合されていない非接合部が設けられることがある。このような場合に,着用者が多様な動きをすると,吸収性本体のうちの非接合部分や,吸収性本体の四隅の部分が,特に着用者の身体から解離し易いという問題があった。このため,弾性伸縮部材を湾曲させて外装体に固定しただけでは,吸収性本体のうち,特に左右両側縁や四隅などの外縁部分が着用者の身体から離れてしまい,隙間が生じやすくなるという問題があった。
そこで,本発明は,着用者の多様な動作に対応できるように,外装体の追従性を確保しつつ,吸収性本体が着用者の身体に密着し易くなるようにすることを目的とする。
そこで,本発明の発明者は,従来の問題の解決手段について鋭意検討した結果,ウエスト部分に,斜めに傾斜する部分を有する複数の伸縮部材を交差させて網目状に配置し,この網目状の領域に吸収性本体の一部を重畳させることとした。このように,伸縮部材が交差した網目状の領域に吸収性本体の一部(特に着用者の身体から解離しやすい外縁部分)を重ねることで,外装体が多様な方向に伸縮したときにも,吸収性本体が着用者の身体に密着しやすくなる。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に説明すると,本発明は以下の構成を有する。
本発明は,パンツ型の使い捨ておむつに関する。
本発明の使い捨ておむつは,着用者の腹部に接する前身頃1と,着用者の背部に接する後身頃2と,前身頃1と後身頃2の間に位置する股下部3とに,長手方向に区分されている。また,股下部3を中心に,前身頃1から後身頃2に掛けて,吸収性本体30が配置されている。また,前身頃1と後身頃2の左右両側部4を互いに接合することにより,ウエスト開口部5と左右一対のレッグ開口部6が形成されている。
また,前身頃1と後身頃2を,幅方向に沿って,中央領域70aと,網目形成領域70bと,外側領域70cとに,概念的に区分する。中央領域70aは,幅方向の中央に位置する1つの領域である。網目形成領域70bは,中央領域70aの幅方向の左右外側に位置する2つの領域である。外側領域70cは,網目形成領域70bの幅方向の左右外側に位置する2つの領域である。このように,前身頃1と後身頃2を,概念的に,5つの領域に区分する。
ここで,本発明の使い捨ておむつは,前身頃1と後身頃2の少なくともいずれか一方には,使い捨ておむつの幅方向に延びる複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72が配置されている。
第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,左右の網目形成領域70bのそれぞれに,幅方向に対して斜めに傾斜して延びる左右の傾斜部分71b,72bを有している。
複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72の傾斜部分71b,72bが交差することにより,幅方向の左右に網目状領域73が形成される。
そして,左右の網目状領域73には,それぞれ,吸収性本体30の少なくとも一部が重畳している。
上記構成のように,まず,本発明では,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72のそれぞれに,左右の傾斜部分71b,72bを形成する。このため,これらの伸縮部材71,72が固定された外装体は,幅方向だけでなく斜め方向にも伸縮できるようになるため,着用者の多様な動きに追従できるようになる。ただし,外装体の追従性を向上させても,その外装体に保持されている吸収性本体30が着用者の身体から離れてしまっては,尿漏れを効果的に防止できない。そこで,本発明では,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72との傾斜部分71b,72bを互いに交差させることで,網目状領域73を形成する。そして,この網目状領域73に,吸収性本体30の少なくとも一部を重畳させる。これにより,少なくとも,網目状領域73に重畳している吸収性本体30の部分が,着用者の動きに併せて,外装体と共に着用者の身体に密着し易くなる。従って,着用者が多様な動きをしても,吸収性本体30との間に隙間が生じにくくなり,その結果,尿漏れを防止することができる。また,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72を搖動して斜めに傾斜させることで,これらの伸縮部材が斜め方向にも伸縮する。つまり,伸縮部材が,使い捨ておむつを引き上げる方にも伸縮するため,着用者がおむつを引き上げ易くなる。
本発明の使い捨ておむつにおいて,左右の網目状領域73には,それぞれ,吸収性本体30の外縁の少なくとも一部が重畳していることが好ましい。
上記構成のように,吸収性本体30のうち,着用者の身体から特に解離しやすいとされる外縁部分を,網目状領域73に重畳させておくことで,より効果的に吸収性本体30の密着性を高めることができる。
本発明の使い捨ておむつでは,吸収性本体30が,少なくとも前身頃1と後身頃2において,複数の弾性伸縮部材が固定された外装体に取り付けられている。この場合に,吸収性本体30は,幅方向の中央部分に外装体との接合部30aを有し,接合部30aの左右外側部分に非接合部30bを有していることが好ましい。また,吸収性本体30の非接合部30bの少なくとも一部が,外装体の網目状領域73に重畳していることが好ましい。
上記構成のように,吸収性本体30の左右両側縁近傍に非接合部30bを形成することで,吸収性本体30全体が外装体の動きに引っ張られてしまうことを防止できる。つまり,吸収性本体30の全体を外装体に接合してしまうと,外装体の動きに引っ張られて,吸収性本体30が,着用者の股下位置からずれてしまうという不具合がある。そこで,吸収性本体30の左右両側縁近傍に非接合部30bを形成することにより,この不具合を解消する。ただし,吸収性本体30に非接合部30bを形成すると,吸収性本体30の左右両側縁が身体から離れ易くなるという新たな不具合が発生する。そこで,この吸収性本体30の非接合部30bを,外装体の網目状領域73に重畳させることで,吸収性本体30の左右両側縁がしっかり身体にフィットするようになる。
本発明の使い捨ておむつにおいて,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72のなす角は,優角(α)と劣角(β)との差が30度以下であることが好ましい。
上記構成のように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の交点において,優角(α)と劣角(β)の差を小さくすることで,これらの伸縮部材71,72によって,外装体がバランス良く様々な方向に伸び縮みするようになる。このため,外装体の追従性が良好になるとともに,外装体に保持されている吸収性本体30の密着性が向上する。
本発明の使い捨ておむつにおいて,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,外側領域70cにおいて幅方向と平行に延びる外側平行部分71c,72cを有することが好ましい。
上記構成のように,網目状領域73が形成される網目形成領域70bよりも幅方向外側に,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72が平行に延びる外側領域70cを形成する。これにより,外装体が,幅方向と平行な方向に適切に伸縮すると共に,幅方向に対して傾斜した方向にも適切に伸縮するようになる。従って,外装体は,多様な方向に伸縮できるようになる。なお,中央領域70aにおいて,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,幅方向と平行な方向に延びていてもよいし,切断されていてもよい。
本発明の使い捨ておむつにおいて,第1伸縮部材71は,左右の一方の傾斜部分71bが,下側に向かって斜めに傾斜し,左右の他方の傾斜部分71bが,上側に向かって斜めに傾斜するものであってもよい。この場合,第2伸縮部材72は,左右の一方の傾斜部分72bが,上側に向かって斜めに傾斜し,左右の他方の傾斜部分72bが,下側に向かって斜めに傾斜するものとなることが好ましい。
上記構成では,第1伸縮部材71は,左右の傾斜部分71bが互いに反対方向に傾斜する。第2伸縮部材72も同様に,左右の傾斜部分72bが互いに反対方向に傾斜する。このように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72を配置することで,使い捨ておむつの外観上の見栄えが良くなるというメリットがある。
本発明の使い捨ておむつにおいて,第1伸縮部材71は,左右両方の傾斜部分71bが,下側に向かって斜めに傾斜するものであってもよい。この場合,第2伸縮部材72は,左右両方の傾斜部分72bが,上側に向かって斜めに傾斜するものであることが好ましい。
上記構成では,第1伸縮部材71は,左右の傾斜部分71bが同じ方向に傾斜する。第2伸縮部材72も同様に,左右の傾斜部分72bが同じ方向に傾斜する。このように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72を配置することで,各伸縮部材を高速で搖動させて外装体に取り付ける際に,各伸縮部材に掛かる張力(テンション)が不均一になったり,各伸縮部材の軌跡にズレが生じることを防止できる。すなわち,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の左右の傾斜部分71b,72bを同じ方向に傾斜させることで,各伸縮部材を高速で搖動させて外装体に取り付ける際に,各伸縮部材が安定しやすくなる。
本発明の使い捨ておむつにおいて,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の両方又はいずれか一方は,網目形成領域70bに,2以上の傾斜部分71b,72bを有していてもよい。
上記構成のように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72を,多段階で揺動させて,2以上の傾斜部分71b,72bを形成することで,網目形成領域70bに形成される交点の数が増えて,網目状領域73の面積が拡大する。これにより,外装体の追従性と,吸収性本体30の密着性がより効果的に発揮される。
本発明よれば,着用者の多様な動作に対応できるように,使い捨ておむつの外装体の追従性を確保することができる。さらに,着用者の動作に追従して外装体が様々な方向に伸縮したときにも,吸収性本体が着用者の身体に密着し続け易くなる。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
本願明細書において,「長手方向」とは,使い捨ておむつの前身頃と後見頃を結ぶ方向である。また,「幅方向」とは,使い捨ておむつの長手方向と平面的に直交する方向である。図中において,「長手方向」はY軸で示され,「幅方向」はX軸で示されている。
なお,本願明細書において,「A〜B」とは,「A以上B以下」であることを意味する。
本発明は,パンツ型の使い捨ておむつであれば,公知のものに広く適用可能である。パンツ型の使い捨ておむつとは,前身頃と後身頃の両側部が予め接合された構成の使い捨ておむつである。例えば,パンツ型の使い捨ておむつは,それぞれ別体として形成された前身頃外装体と後身頃外装体の間に,吸収性本体が架橋された構成を有する架橋タイプのものであってもよい。また,パンツ型の使い捨ておむつは,前身頃から股下部を通って後身頃に掛けて一体的に形成された外装体に,股下部を中心として吸収性本体を固定した一体タイプのものであってもよい。以下では,これらタイプのパンツ型使い捨ておむつのうち,前身頃外装体と後身頃外装体が別体として設けられた架橋タイプを例に挙げて,本発明の内容を具体的に説明する。
図1は,一実施形態に掛かるパンツ型使い捨ておむつ100を前身頃側から見た例を示す斜視図である。また,図2は,使い捨ておむつ100の例を示す展開図である。図2の展開図に示されるように,使い捨ておむつ100は,長手方向(Y軸方向)と幅方向(X軸方向)を有している。使い捨ておむつ100は,装着された際において,着用者の腹部に接する前身頃1と,着用者の背部に接する後身頃2と,着用者の股下にあてがわれる股下部3に,長手方向に区分される。本実施形態において,使い捨ておむつ100は,前身頃1を構成する前身頃外装体10と,後身頃2を構成する後身頃外装体20を備える。そして,前身頃外装体10と後身頃外装体20の間の股下部3には,吸収性本体30が架橋されている。すなわち,本実施形態において,吸収性本体30は,その長手方向の一端部側が前身頃外装体10に固定され,長手方向の他端部側が後身頃外装体20に固定されている。
図2に示された展開状態から,前身頃外装体10と後身頃外装体20の左右の両側部4を互いに重ね合わせた状態で接合する。これにより,前身頃外装体10と後身頃外装体20の左右両端に,サイドシール部が形成される。このように,左右両側部4において,前身頃外装体10と後身頃外装体20を互いに接合することにより,図2に示された展開状態から,図1に示された状態に組み上がる。図1に示されるように,前身頃外装体10の上端縁と後身頃外装体20の上端縁により,ウエスト開口部5が形成される。また,前身頃外装体10と後身頃外装体20の両端両側部4が接合されることにより,装着時に着用者の左右の脚部周りに位置する一対のレッグ開口部6が形成される。このため,着用者は,ウエスト開口部5から両脚部を入れ,各脚部をレッグ開口部6から出すことで,使い捨ておむつ100を装着することができる。
図1及び図2に示されるように,前身頃外装体10及び後身頃外装体20には,それぞれ,複数の弾性伸縮部材が配置されている。複数の弾性伸縮部材は,使い捨ておむつの幅方向(X軸方向)に伸長した状態で,前身頃外装体10と後身頃外装体20に固定されている。このため,複数の弾性伸縮部材が収縮すると,前身頃外装体10と後身頃外装体20を構成するシート部材(不織布等)に皺が生じてギャザー(ウエストギャザー)を形成する。このように,使い捨ておむつのウエスト部分に,ギャザーが形成されることで,着用者の腹周りに柔軟にフィットするようになる。
具体的に説明すると,図3は,図2に示したA−A線における前身頃外装体10の断面形状を斜視的に示している。なお,前身頃外装体10と後身頃外装体20の断面構造は,略同じであるため,ここでは,図3を参照して,前身頃外装体10と後身頃外装体20の両方の断面構造にいて説明する。図3に示されるように,前身頃外装体10と後身頃外装体20は,肌対向面側(着用者の肌に対向する面側)に位置するインナーシート11,21と,肌非対向面側(着用者の肌に対向しない面側)に位置するアウターシート12,22と,を有する。インナーシート11,21とアウターシート12,22は,互いに重ね合わされて,ホットメルト接着剤などによって接合されている。インナーシート11,21とアウターシート12,22は,それぞれ,手触りの良い不織布などで構成することが好ましい。そして,インナーシート11,21とアウターシート12,22の間には,ウエストギャザーを形成する複数の弾性伸縮部材70(71,72)が,幅方向に沿って固定されている。複数の弾性伸縮部材70(71,72)は,それぞれ,幅方向(X方向)に延びており,長手方向(Y方向)に所定間隔を空けて配置されている。このように,前身頃外装体10と後身頃外装体20は,インナーシート11,21とアウターシート12,22の間に,ウエストギャザーを形成する複数の弾性伸縮部材70(71,72)を挟み込んで固定したものであることが好ましい。
また,図3に示されるように,インナーシート11,21の肌対向面には,吸収性本体30が固定される。インナーシート11,21と吸収性本体30の固定には,ホットメルト接着剤等を用いればよい。吸収性本体30は,その外形が,矩形状のものであってもよいし,長手方向の中央部分がくびれた砂時計型であってもよい。また,吸収性本体30の外形は,丸みを帯びていてもよい
また,図2及び図3において,符号30aは,インナーシート11,21と吸収性本体30の接合部を示している。また,符号30bは,インナーシート11,21と吸収性本体30の非接合部を示している。図2及び図3に示されるように,吸収性本体30は,幅方向中央部分に位置する接合部30aにおいて,インナーシート11,21に接合されている。他方,吸収性本体30は,非接合部30bが幅方向の左右両側に位置している。このため,吸収性本体30は,幅方向の左右両側縁の近傍において,インナーシート11,21に接合されずに,離間した状態となっている。このように,吸収性本体30の左右両側に非接合部30bを設けることで,吸収性本体30全体が外装体10,20の動きに引っ張られて,着用者の股下位置からずれてしまうという不具合を解消できる。このため,吸収性本体30には,幅方向左右両側において,インナーシート11,21に接合されていない領域(非接合部30b)を設けることが好ましい。左右の非接合部30の幅は,左右のそれぞれが,吸収性本体30の最大幅に対して,5%以上,10%以上,又は15%以上であることが好ましく,例えば5〜30%,10〜25%,又は15〜20%であることが好ましい。また,本発明では,吸収性本体30の非接合部30bと,ウエストギャザーを形成する複数の弾性伸縮部材70(71,72)の位置関係も重要となる。この位置関係についての詳細は,後述する。
ここで,本発明においては,ウエストギャザーを形成する弾性伸縮部材には,複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72とが含まれる。複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72は,それぞれ,長手方向に間隔をおいて配置されていてもよいし,一部重なっていてもよい。図2の展開図に示されるように,本実施形態において,複数の第1伸縮部材71は,前身頃外装体10と後身頃外装体20の幅方向の中央部分において,股下部3が存在する方向に向かって膨らむように湾曲して配置されている。具体的には,複数の第1伸縮部材71は,すべて同じ形状に湾曲している。他方,第2伸縮部材72は,前身頃外装体10と後身頃外装体20の幅方向の中央部分において,第1伸縮部材71とは逆側に向かって膨らむように湾曲して配置されている。つまり,第2伸縮部材72は,幅方向の中央部分において,ウエスト端縁側に向かって膨らむように湾曲している。具体的には,複数の第2伸縮部材72は,すべて同じ形状に湾曲している。これにより,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は互いに交差する。そして,複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72が交差することにより,前身頃外装体10と後身頃外装体20には,網目状領域73が形成される。この網目状領域73は,図2に示されるように,前身頃外装体10と後身頃外装体20のそれぞれに,少なくとも左右1箇所ずつ(合計2箇所)に形成される。
具体的に説明すると,網目状領域73は,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の交点を結ぶことで画定される領域である。図2では,網目状領域73のうちの一つに薄墨を施して,その領域の範囲を示している。つまり,網目状領域73の範囲には複数の交点が含まれており,それらの交点の最も外側に位置するものをそれぞれ仮想線で結ぶことで,網目状領域73の範囲を画定することができる。本実施形態では,前身頃外装体10と後身頃外装体20のそれぞれに,左右2箇所ずつ,合計に箇所2箇所の網目状領域73が形成されることとなる。
さらに具体的に説明すると,図4(a)(b)には,第1伸縮部材71と,第2伸縮部材72の拡大図が示されている。図4(a)(b)に示されているように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,それぞれ,中央平行部分71a,72aと,傾斜部分71b,72bと,外側平行部分71c,72cを有する。中央平行部分71a,72aは,幅方向の中央において,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72が使い捨ておむつの幅方向に沿って平行に延びる部分である。また,傾斜部分71b,72bは,中央平行部分71a,72aの幅方向左右外側に位置し,使い捨ておむつの幅方向に対して傾斜している部分である。第1伸縮部材71の傾斜部分71bと,第2伸縮部材72の傾斜部分72bは,それぞれ反対方向に向かって傾斜している。また,外側平行部分71c,72cは,傾斜部分71b,72bの幅方向外側に位置し,使い捨ておむつの幅方向に沿って平行に延びる部分である。これにより,第1伸縮部材71は,股下部3の方向に向かって膨らむように湾曲し,第2伸縮部材72は,その反対方向に向かって膨らむように湾曲している。
このように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72とを湾曲させるためには,各伸縮部材を外装体10,20に固定する際に,搖動させればよい。ここでは,幅方向と平行に配置されている弾性伸縮部材を,一度傾斜させて,もう一度幅方向と平行に配置する動作を,「揺動」という。すなわち,図4(a)(b)では,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72を配置する際の進行方向が矢印で示されている。図4(a)に示されるように,第1伸縮部材71は,まず,左側の外側平行部分71cにおいて幅方向と平行に配置され,左側の傾斜部分71bにおいて下側に向かって傾斜して配置され,その後,中央平行部分71aにおいてもう一度幅方向と平行に配置される。これが,一度目の揺動操作となる。続いて,第1伸縮部材71は,中央平行部分71aにおいて幅方向と平行になった後,右側の傾斜部分71bにおいて上側に向かって傾斜して配置され,その後,右側の外側平行部分71cにおいてもう一度幅方向と平行に配置される。これが,二度目の揺動操作となる。このように,本実施形態では,第1伸縮部材71につき,二度の揺動操作を行って,湾曲させる。同様に,第2伸縮部材72に対しても,二度の揺動操作を行う。すなわち,図4(b)に示されるように,第2伸縮部材72は,まず,左側の外側平行部分72cにおいて幅方向と平行に配置され,左側の傾斜部分72bにおいて上側に向かって傾斜して配置され,その後,中央平行部分72aにおいてもう一度幅方向と平行に配置される。これが,一度目の揺動操作となる。続いて,第2伸縮部材72は,中央平行部分72aにおいて幅方向と平行になった後,右側の傾斜部分72bにおいて下側に向かって傾斜して配置され,その後,右側の外側平行部分72cにおいてもう一度幅方向と平行に配置される。これが,二度目の揺動操作となる。このように,第1伸縮部材71と第2の伸縮部材72とでは,傾斜部分71b,72bにおける揺動方向が逆になっている。このため,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,傾斜部分71b,72bにおいて互いに交差するようになる。
ここで,図2の展開図に示されるように,前身頃外装体10と後身頃外装体20を,それぞれ,幅方向(X軸方向)に沿って,中央領域70aと,網目形成領域70bと,外側領域70cとに,概念的に区分することができる。中央領域70aは,幅方向の中央に位置する1つの領域である。網目形成領域70bは,中央領域70aの幅方向の左右外側に位置する2つの領域である。外側領域70cは,網目形成領域70bの幅方向のさらに左右外側に位置する2つの領域である。このように,前身頃1と後身頃2を,概念的に,幅方向に沿って5つの領域に区分する。例えば,中央領域70aの幅は,吸収性本体30の幅に対して,20%〜50%程度であることが好ましい。また,左右の網目形成領域70bの幅は,左右のそれぞれが,吸収性本体30の幅に対して,10%〜30%程度であることが好ましい。さらに,左右の外側領域70cの幅は,左右のそれぞれが,吸収性本体30の幅に対して,15%〜40%程度であることが好ましい。
この場合において,図2と図4(a)(b)を参照すればわかるように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の外側平行部分71c,72cは,前身頃外装体10と後身頃外装体20の外側領域70cに位置している。また,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の傾斜部分71b,72bは,それぞれ,前身頃外装体10と後身頃外装体20の網目形成領域70bに位置している。これにより,網目形成領域70bにおいて,複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72とが交点を形成し,ここに網目状領域73が形成される。さらに,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の中央平行部分71a,72aは,前身頃外装体10と後身頃外装体20の中央領域70aに位置している。
また,本実施形態では,特に,複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72の傾斜部分71b,72bは,その全てが,前身頃外装体10と後身頃外装体20の網目形成領域70bに一致していることが好ましい。つまり,複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72の傾斜部分71b,72bは,すべて,おむつの長手方向に沿って揃った位置(網目形成領域70b)に形成されていることが好ましい。これにより,前身頃外装体10と後身頃外装体20の網目形成領域70bに,外観上綺麗な網目(網目状領域73)が形成されるようになる。
このようにして,前身頃外装体10と後身頃外装体20に網目状領域73が形成される。そして,図2の展開図及び図3の断面図に示されるように,本発明では,この網目状領域73に,吸収性本体30の少なくとも一部を重畳させる。具体的に,網目状領域73に重畳する吸収性本体30の一部とは,吸収性本体30の外縁の近傍であることが好ましく,吸収性本体30の隅部分の近傍であることが特に好ましい。吸収性本体30の外縁とは,吸収体本体30の外形を形成する縁部分である。また,吸収性本体30の隅とは,吸収性本体30の外縁のうち,最も角に近い端の部分である。なお,吸収性本体30の一部は,少なくとも,網目状領域73の中に形成される第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の交点のうちの2つ以上に重畳していることが好ましい。特に,吸収性本体30の一部は,網目状領域73に含まれる交点の3つ以上,4つ以上,又は5つ以上に重なっていることが好ましい。
このようにして,本発明では,網目状領域73に,吸収性本体30の少なくとも一部を重畳させる。これにより,網目状領域73に重畳している吸収性本体30の部分が,着用者の動きに併せて,外装体と共に着用者の身体に密着し易くなる。従って,着用者が多様な動きをしても,吸収性本体30との間に隙間が生じにくくなり,その結果,尿漏れを防止することができる。さらに,吸収性本体30のうち,着用者の身体から特に解離しやすいとされる外縁部分(特に隅部分)を,網目状領域73に重畳させておくことで,より効果的に吸収性本体30の密着性を高めることができる。
網目状領域73は,適切に吸収性本体30の一部を重畳させることができるように,ある程度の幅を有している。なお,網目状領域73の幅は,基本的に,網目形成領域70bの幅と一致する。すなわち,左右の網目状領域73の幅は,左右のそれぞれが,吸収性本体30の幅に対して,10%〜30%の値であることが好ましい。つまり,網目状領域73の幅は,前身頃外装体10又は後身頃外装体20に形成された左右2箇所を合計すると,吸収性本体30の幅に対して,20%以上〜60%の値であることが好ましい。
また,図2等に示した実施形態では,複数の第1伸縮部材71は,長手方向に等間隔で配置されている。また,複数の第2伸縮部材72も,長手方向に等間隔で配置されている。さらに,複数の第1伸縮部材71の間隔と,第2伸縮部材72の間隔は,略等しい値に設定されている。例えば,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,それぞれ,5mm〜50mm程度の間隔で配置されることが好ましい。ただし,各種伸縮部材71,72の間隔は,使い捨ておむつの用途などに応じて適宜設計することができる。また,図2等に示した実施形態では,複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72は,外側平行部分71c,72cが重ならないように,長手方向に沿って交互に配置されている。つまり,図2等に示した実施形態では,第1伸縮部材71の外側平行部分71cの間に,第2伸縮部材72の外側平行部分72cが位置するような配置となっている。これにより,第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72の外側平行部分71c,72cが重なることを防止できる。ただし,図示は省略するが,第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72の外側平行部分71c,72cは,重なって配置されていてもよい。
さらに,上述したとおり,吸収性本体30は,前身頃外装体10と後身頃外装体20に対する接合部30aと非接合部30bを有している。また,本実施形態において,この非接合部30bは,吸収性本体30の幅方向左右両側縁に沿って形成されている。この場合に,この非接合部30bの少なくとも一部を,前身頃外装体10と後身頃外装体20に網目状領域73に重畳させることが好ましい。網目状領域73に重畳させる非接合部30bの一部は,特に,吸収性本体30の隅部分が含まれることが好ましい。吸収性本体30の非接合部30bは,外装体10,20から解離して浮きやすくなっているため,この非接合部30bを,外装体の網目状領域73に重畳させることで,吸収性本体30の左右両側縁がしっかり身体にフィットするようになる。
また,図4(c)には,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の交点付近を拡大して示した模式図が示されている。図4(c)において,符号θ1は,第1伸縮部材71の傾斜部分71bが,おむつの幅方向に対して傾いた傾斜角を示している。また,符号θ2は,第2伸縮部材72の傾斜部分72bが,おむつの幅方向に対して傾いた傾斜角を示している。第1伸縮部材71の傾斜角θ1と第2伸縮部材72の傾斜角θ2は,同一であってもよいし,異なっていてもよい。図4(c)に示した例において,傾斜角θ1と傾斜角θ2は,実質的に同一(差分5度以内)となっている。例えば,傾斜角θ1と傾斜角θ2は,20度〜80度,又は30度〜60度の範囲から選ばれた角度とすればよい。特に,傾斜角θ1と傾斜角θ2は,それぞれ,30度〜60度,又は35度〜45度の範囲内であることが好ましい。
また,図4(c)において,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の交点におけるなす角のうち,その優角を符号αで示し,劣角を符号βで示している。つまり,優角αと劣角βは,その合計が180度となる。なお,本願明細書において,優角αと劣角βには,それぞれが完全な直角(90度)である場合も含まれる。ここで,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,優角αと劣角βの差が30度以内となるように,傾斜角θ1,θ2が調整されていることが好ましい。特に,優角αと劣角βの差は,0〜30度,5〜25度,又は10〜20度であることが好ましい。例えば,優角αは,90度〜120度であることが好ましく,劣角βは,60度〜90度であることが好ましい。このように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72において,優角αと劣角βの差が小さくなるようにすることで,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の伸長方向のバランスを良くすることができる。つまり,優角αと劣角βの差を小さくすることで,外装体10,20が長手方向に引っ張られたときに,第1伸縮部材71の傾斜部分71bと第2伸縮部材72の傾斜部分72bが連動して伸びるようになる。他方,優角αと劣角βの差が大きくなり過ぎると,外装体10,20が長手方向に引っ張られたときに,第1伸縮部材71の傾斜部分71bと第2伸縮部材72の傾斜部分72bのいずれか一方しか伸びないという事態が発生し得る。そうすると,外装体10,20の伸縮性のバランスが悪くなり,この外装体10,20によって,吸収性本体30をしっかりと身体にフィットさせにくくなる。このため,優角αと劣角βの差は,30度以内であることが好ましい。
上述した第1伸縮部材71と第2伸縮部材72としては,例えば,糸状や平状の弾性ゴムを用いることができる。このようなゴム材としては,スチレン系ゴム,オレフィン系ゴム,ウレタン系ゴム,エステル系ゴム,ポリウレタン,ポリエチレン,ポリスチレン,スチレンブタジエン,シリコーン,ポリエステル等の素材を用いることができる。
また,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72を構成する糸ゴムは,その繊度が,300dt〜1500dtのものを用いることが好ましい。また,糸ゴムのドラフト率は,150〜400%であることが好ましい。また,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,その伸縮領域における伸長応力が,5〜50N,又は5〜20Nとなるように,外装体10,20に伸長状態で固定されていることが好ましい。さらに,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,その伸縮領域における被覆圧が,1mmHg〜30mmHg,又は5mmHg〜15mmHgとなるように,外装体10,20に伸長状態で固定されていることが好ましい。
その他,前身頃外装体10と後身頃外装体20には,ウエストギャザーを形成する弾性伸縮部材として,第1伸縮部材71や第2伸縮部材72とは異なる第3伸縮部材74が,一又は複数本含まれていてもよい。本実施形態において,複数の第3伸縮部材74は,ウエスト開口部を形成する端縁に沿って,幅方向に直線状に延びて,伸長状態で固定されている。直線状に延びる第3伸縮部材74は,主に,前身頃外装体10と後身頃外装体20のウエスト開口周りに締付け力を付与して,着用時のずれ落ちを防止する機能を有している。
また,吸収性本体30の構成としては,適宜,公知の構成を採用できる。吸収性本体30は,基本的に,肌対向面側に位置する液透過性のトップシートと,肌非対向面側に位置する液不透過性のバックシートの間に,吸収性材料で構成された吸収体が封入された構造を有する。例えば,トップシートを構成する液透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。また,バックシートを構成する液不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。また,吸収体を構成する吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートを用いることができる。また,吸収性材料には,フラッフパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし,2種類以上を併用することとしてもよい。
また,吸収性本体30は,吸収体の左右両側部に沿って起立する一対の立体ギャザーが設けられていてもよい。立体ギャザーのそれぞれには,その先端部に,弾性伸縮部材が配置されている。このため,立体ギャザーは,弾性伸縮部材が収縮した際に,着用者の肌当接方向に向かって立ち上がる。一対の立体ギャザーは,尿の防漏壁となり,トップシートを透過しなかった尿や,吸収体により吸収しきれなった尿が,使い捨ておむつの脚部周り開口部などから漏出する横漏れを防止する。
なお,図2等に示した実施形態では,前身頃外装体10と後身頃外装体20の中央領域70aに,第1伸縮部材71の中央平行部分71aと,第2伸縮部材72の中央平行部分72aが形成された実施形態について説明した。ただし,中央領域70aにおいて,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は切断されていてもよい。つまり,第1伸縮部材71の中央平行部分71aと,第2伸縮部材72の中央平行部分72aは,一部切断されて,間欠的に形成されていてもよい。前身頃外装体10と後身頃外装体20の中央領域70aは,吸収性本体30と重なる領域であるため,この部分において弾性伸縮部材を切断しておくことで,吸収性本体30が歪んで,着用者の身体との間に隙間が生じることを防止できる。吸収性本体30の中央部分と重なる領域において弾性伸縮部材を切断する技術は,公知である。
続いて,図5及び図6を参照して,本発明に係る使い捨ておむつ100の他の実施形態について説明する。図5は,他の実施形態に係る使い捨ておむつの展開図であり,図6は,他の実施形態に係る第1伸縮部材71と第2伸縮部材72を抽出して示した模式図である。図5及び図6に示されるように,本実施形態は,図2等に示した実施形態とは,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の形状が異なっている。他の実施形態については,上述した実施形態と異なる点を中心に説明を行い,同一の構成についての説明は省略する。
図5の展開図に示されるように,本実施形態では,前身頃外装体10と後身頃外装体20の網目形成領域70bにおいて,複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72が,2以上の傾斜部分を有している。これにより,複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72の交点の数が増えて,網目状領域73の面積が拡大している。
具体的に説明すると,図6(a)に示されるように,本実施形態では,第1伸縮部材71は,4度揺動して,外装体10,20に固定されている。つまり,図6(a)に示されるように,第1伸縮部材71は,まず,左側の外側平行部分71cにおいて幅方向と平行に配置され,左側の第1の傾斜部分71bにおいて下側に向かって傾斜して配置され,その後,もう一度幅方向と平行に配置される。これが,一度目の揺動操作となる。続いて,第1伸縮部材71は,左側の第2の傾斜部分71bにいて,もう一度下側に向かって傾斜して配置され,その後再度幅方向と平行に配置される。これが二度目の揺動操作となる。その後,第1伸縮部材71は,中央平行部分71aにおいて幅方向と平行になった後,右側の第1の傾斜部分71bにおいて上側に向かって傾斜して配置され,その後,もう一度幅方向と平行に配置される。これが,三度目の揺動操作となる。さらに,続いて,第1伸縮部材71は,右側の第2の傾斜部分71bにいて,もう一度上側に向かって傾斜して配置され,その後,右側の外側平行部分71cにおいてもう一度幅方向と平行に配置される。これが,四度目の揺動操作となる。このように,一本の第1伸縮部材71につき,4度の揺動操作が行われる。なお,上述ように,本実施形態では,2つの傾斜部分71bの間に,一つの平行部分が設けられる。この2つの傾斜部分71bの間に位置する平行部分を,中間平行部分71dという。
第2伸縮部材2についても,上述した第1伸縮部材71と同様に,4度の揺動操作が行われる。すなわち,図6(b)に示されるように,第2伸縮部材72は,まず,左側の外側平行部分71cにおいて幅方向と平行に配置され,左側の第1の傾斜部分72bにおいて上側に向かって傾斜して配置され,その後,もう一度幅方向と平行に配置される。これが,一度目の揺動操作となる。続いて,第2伸縮部材72は,左側の第2の傾斜部分72bにいて,もう一度上側に向かって傾斜して配置され,その後再度幅方向と平行に配置される。これが二度目の揺動操作となる。その後,第2伸縮部材72は,中央平行部分72aにおいて幅方向と平行になった後,右側の第1の傾斜部分72bにおいて下側に向かって傾斜して配置され,その後,もう一度幅方向と平行に配置される。これが,三度目の揺動操作となる。さらに,続いて,第2伸縮部材72は,右側の第2の傾斜部分72bにいて,もう一度下側に向かって傾斜して配置され,その後,右側の外側平行部分72cにおいてもう一度幅方向と平行に配置される。これが,四度目の揺動操作となる。このように,一本の第2伸縮部材72につき,4度の揺動操作が行われる。なお,上述ように,本実施形態では,2つの傾斜部分72bの間に,一つの平行部分が設けられる。この2つの傾斜部分72bの間に位置する平行部分を,中間平行部分72dという。
このように,第1伸縮部材71と第2の伸縮部材72とでは,傾斜部分71b,72bにおける揺動方向が逆になっている。このため,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,傾斜部分71b,72bにおいて互いに交差するようになる。そして,複数の第1伸縮部材71と複数の第2伸縮部材72が交差することで,網目状領域73が形成される。図5に示されるように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の揺動回数(傾斜部分の数)を増やすことで,伸縮部材の数が少ない場合であっても,網目状領域73の面積を比較的広く確保することができる。すなわち,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の揺動回数を増やすことで,ゴム材などの資材コストを低減させることができる。また,図5に示されるように,吸収性本体30の外縁の一部(特に隅部分)は,網目状領域73に重畳している。このため,ゴム材の本数を減らした場合であっても,上記図2等に示された実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお,第1伸縮部材71と第2の伸縮部材72の揺動回数は,2回や4回に限られず,本発明の各作用を奏する範囲において,6回,8回,10回などとすることも可能である。
続いて,図7及び図8を参照して,本発明に係る使い捨ておむつ100のさらに別の実施形態について説明する。図7は,本実施形態に係る使い捨ておむつの展開図であり,図8は,本実施形態に係る第1伸縮部材71と第2伸縮部材72を抽出して示した模式図である。図7及び図8に示されるように,本実施形態は,図2等に示した実施形態とは,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72の傾斜方向が異なっている。本実施形態については,上述した図2等の実施形態と異なる点を中心に説明を行い,同一の構成についての説明は省略する。
図7及び図8に示されるように,本実施形態において,第1伸縮部材71は,左右両方の傾斜部分71bが,下側に向かって斜めに傾斜するものとなっている。反対に,第2伸縮部材72は,左右両方の傾斜部分72bが,上側に向かって斜めに傾斜するものとなっている。本実施形態では,このように,第1伸縮部材71の左右の傾斜部分71bを同じ方向に傾斜させるとともに,第2伸縮部材72の左右の傾斜部分72bを同じ方向に傾斜させている。このような形状によっても,基本的に,図2等に示した実施形態と同じ効果を奏することができる。特に,本実施形態のよう左右の傾斜部分71b,72bを同じ方向に傾斜させることで,各伸縮部材を高速で搖動させて外装体に取り付ける際に,各伸縮部材に掛かる張力(テンション)が不均一になったり,各伸縮部材の軌跡にズレが生じることを防止できる。すなわち,本実施形態によれば,各伸縮部材を高速で搖動させて外装体に取り付ける際に,各伸縮部材が安定しやすくなる。
具体的に説明すると,図8(a)(b)には,第1伸縮部材71と,第2伸縮部材72の拡大図が示されている。図8(a)(b)に示されているように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,それぞれ,中央平行部分71a,72aと,左右の傾斜部分71b,72bと,左右の外側平行部分71c,72cを有する。中央平行部分71a,72aは,幅方向の中央において,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72が使い捨ておむつの幅方向に沿って平行に延びる部分である。また,左右の傾斜部分71b,72bは,中央平行部分71a,72aの幅方向左右外側に位置し,使い捨ておむつの幅方向に対して傾斜している部分である。第1伸縮部材71の左右の傾斜部分71bと,第2伸縮部材72の左右の傾斜部分72bは,それぞれ反対方向に向かって傾斜している。また,左右の外側平行部分71c,72cは,傾斜部分71b,72bの幅方向外側に位置し,使い捨ておむつの幅方向に沿って平行に延びる部分である。
このように,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72とを湾曲させるためには,各伸縮部材を外装体10,20に固定する際に,搖動させればよい。図8(a)に示されるように,第1伸縮部材71は,まず,左側の外側平行部分71cにおいて幅方向と平行に配置され,左側の傾斜部分71bにおいて下側に向かって傾斜して配置され,その後,中央平行部分71aにおいてもう一度幅方向と平行に配置される。これが,一度目の揺動操作となる。続いて,第1伸縮部材71は,中央平行部分71aにおいて幅方向と平行になった後,右側の傾斜部分71bにおいて,再び下側に向かって傾斜して配置され,その後,右側の外側平行部分71cにおいてもう一度幅方向と平行に配置される。これが,二度目の揺動操作となる。このように,本実施形態では,第1伸縮部材71につき,同じ方向に二度の揺動操作を行って,同じ方に傾いた傾斜部分71bを形成する。
同様の手順で,第2伸縮部材72に対しても,二度の揺動操作を行う。すなわち,図8(b)に示されるように,第2伸縮部材72は,まず,左側の外側平行部分72cにおいて幅方向と平行に配置され,左側の傾斜部分72bにおいて上側に向かって傾斜して配置され,その後,中央平行部分72aにおいてもう一度幅方向と平行に配置される。これが,一度目の揺動操作となる。続いて,第2伸縮部材72は,中央平行部分72aにおいて幅方向と平行になった後,右側の傾斜部分72bにおいて,再び上側に向かって傾斜して配置され,その後,右側の外側平行部分72cにおいてもう一度幅方向と平行に配置される。これが,二度目の揺動操作となる。このように,本実施形態では,第2伸縮部材72についても,同じ方向に二度の揺動操作を行って,同じ方に傾いた傾斜部分72bを形成する。
上記の通り,第1伸縮部材71と第2の伸縮部材72とでは,傾斜部分71b,72bの揺動方向が逆になっている。このため,第1伸縮部材71と第2伸縮部材72は,傾斜部分71b,72bにおいて互いに交差するようになる。このような実施形態によっても,着用者の多様な動作に対応できるように,外装体の追従性を確保しつつ,吸収性本体が着用者の身体に密着し易くなるようにすることができる。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。