JP6219604B2 - ペット用吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、犬や猫等のペット(小動物)の排泄物に起因する悪臭の消臭効果に優れ、ペット用の排泄物処理材として有用なペット用吸収性物品に関する。
ペット用吸収性物品として、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に配された吸収体を具備するペット用トイレシートが知られている。また、ペットの排泄物から生じる悪臭に対し、消臭、芳香、殺菌等の対策を施したペット用吸収性物品も知られている。
例えば特許文献1には、前記ペット用トイレシートと同様の構成のペット用排泄物吸収シートにおいて、その表面シートに、香料成分(例えばゲラニオール等のアルコール類)、消臭成分(例えばカテキン)、殺菌成分(例えばベンザルコニウム塩)の少なくとも1つの成分を含む薬液を付着させたものが記載されている。
特開2006−238745号公報
特許文献1に記載のペット用排泄物吸収シートの如き、香料成分を含有する従来の吸収性物品は、排泄物に起因する悪臭を、該香料成分に由来する香気によってマスキングすることを狙ったものであり、通常、ペットの排泄行為の有無にかかわらず、常時香気を放っている。そのため、香料成分を含有する従来の吸収性物品は、特に高温下での該香料成分の保存安定性に劣り、該香料成分に由来する香気の持続性に欠けるため、ペットの排泄行為により消臭が必要になった時には、該香料成分がほとんど消失してしまっていて、該香気によるマスキングが不十分となり、消臭効果が十分に得られないおそれがある。
従って、本発明は、ペットによる排泄行為に起因する悪臭に対し、優れた消臭効果が長期に亘って持続するペット用吸収性物品に関する。
本発明者らは、排尿等の排泄行為の有無にかかわらず常時香気を放つタイプの従来の吸収性物品の欠点に鑑み、種々検討した結果、特定のケイ酸エステル化合物を含有する吸収性物品は、排泄行為が行われておらず消臭する必要のない時には実質的に消臭効果を発現せず、排泄行為が行われた時に初めて該ケイ酸エステル化合物による優れた消臭効果を発現し得ることを知見した。この特定のケイ酸エステル化合物においては、消臭成分(香料成分、抗菌成分等)が特定の物質と結合していて、水分の存在しない環境下では、高温下であっても該消臭成分は消失し難い状態にあるが、排泄行為が行われた時には、その排泄物由来の水分との加水分解により、該消臭成分が該特定の物質から分離され、結果として優れた消臭効果(マスキング、抗菌・殺菌等)が奏される。この特定のケイ酸エステル化合物は、従来、洗濯用柔軟剤や洗浄剤等の水系製品中の一成分として用いられており、この種のペット用吸収性物品(排泄物処理材)に適用した例は未だ具体的に提案されていない。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、下記一般式(1)又は(2)で表されるケイ酸エステル化合物を含有するペット用吸収性物品を提供するものである。
Figure 0006219604
(式中、R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数4〜22の脂肪族炭化水素基を示し、R2は機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基を示し、複数個のR2は同一でも異なっていても良い。R3は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
本発明によれば、ペットによる排泄行為に起因する悪臭に対し、優れた消臭効果が長期に亘って持続するペット用吸収性物品が提供される。
図1は、本発明のペット用吸収性物品(ペット用トイレシート)の一実施形態の模式的な平面図である。 図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明のペット用吸収性物品の他の実施形態の図1相当図である。 図4は、本発明のペット用吸収性物品の更に他の実施形態の図1相当図である。 図5は、本発明のペット用吸収性物品の更に他の実施形態の図1相当図である。
以下、先ず、本発明で用いる前記一般式(1)又は(2)で表されるケイ酸エステル化合物(以下、特定ケイ酸エステル化合物ともいう)について説明する。特定ケイ酸エステル化合物は、本発明のペット用吸収性物品が奏する消臭効果の原因物質であり、消臭剤として機能するものである。尚、ここでいう消臭剤とは、犬や猫等のペットあるいは人の排泄物に起因する悪臭を除去し得る薬剤全般を意味し、悪臭の除去方法は特に制限されず、香料成分に由来する香気によって悪臭をマスキングするタイプの薬剤の他、抗菌・殺菌作用により悪臭の発生源となる菌の発生・増加を抑制するタイプの薬剤、悪臭成分そのものを吸着するタイプの薬剤等も含まれる。
前記一般式(1)又は(2)において、R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数4〜22の脂肪族炭化水素基を示し、置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数4〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、炭素数6〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましく、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数6〜18の直鎖アルキル基が更に好ましく、炭素数8〜18の直鎖アルキル基が更により好ましい。
前記一般式(1)又は(2)において、R2は機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基を示し、前記一般式(1)又は(2)における複数個のR2は同一でも異なっていても良い。
2を形成する機能性アルコールとしては、調合香料成分である香料アルコール、防菌防黴性を有する抗菌性アルコール、保湿性を有する保湿性アルコール、生理活性を有する生理活性アルコール、着色性を有する着色性アルコール、一般的な表面活性を有する表面改質性アルコール等が挙げられ、香料アルコール、抗菌性アルコールが好ましく、香料アルコールがより好ましい。
特定ケイ酸エステル化合物のR2を形成する機能性アルコールが香料アルコールの場合、該特定ケイ酸エステル化合物の加水分解(排泄物由来の水分との加水分解)により、該香料アルコールに由来する香料成分が生成され、該香料成分が空気中に放たれるので、その香気によって排泄物に起因する悪臭をマスキングすることが可能となる。また、特定ケイ酸エステル化合物のR2を形成する機能性アルコールが抗菌性アルコールの場合、該特定ケイ酸エステル化合物の加水分解(排泄物由来の水分との加水分解)により、該抗菌性アルコールに由来する抗菌成分が生成され、該抗菌成分が悪臭の発生源となる菌に直接作用するので、排泄物に起因する悪臭の発生を抑制することが可能となる。
機能性アルコールとしては、炭素数3〜40の機能性アルコールが好ましく、炭素数3〜15の機能性アルコールがより好ましい。機能性アルコールの具体例としては、n−ヘキサノール、trans−2−ヘキセノール、青葉アルコール(cis−3−ヘキセノール)、3−オクタノール、1−オクテン−3−オール、2,6−ジメチル−2−ヘプタノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキシルメタノール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、p−tert−ブチルシクロヘキサノール、o−tert−ブチルシクロヘキサノール、4−メチル−3−デセン−5−オール、9−デセノール、10−ウンデセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュロール、ムゴール、ミルセノール、ターピネオール、L−メントール、ボルネオール、イソプレゴール、テトラヒドロムゴール、ノポール、ファルネソール、ネロリドール、アンブリノール、1−(2−tert−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、ペンタメチルシクロヘキシルプロパノール、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−ヘキサノール、サンタロール、3,7−ジメチル−7−メトキシオクタン−2−オール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ペンタノール、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテノール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテノール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−1−ブタノール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、セドロール、ベチベロール、パチュリアルコール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アニスアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、フェノキシエチルアルコール、スチラリルアルコール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、チモール、カルバクロール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルバニリン、メタ−クロロキシレノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4−ジクロロベンジルアルコール、ヒノキチオール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)プロパノール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、フェニルエチルメチルエチルカルビノール、トリクロサン、カプサイシン、トコフェロール、グリセロールモノラウレート、トリ(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5’−ジメチルヒダントイン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(ヒドロキシエチル)−S−トリアジン等が挙げられる。
これらの機能性アルコールの中では炭素数5〜15の香料アルコール又は炭素数3〜15の抗菌性アルコールがより好ましく、炭素数5〜15の香料アルコールが更に好ましい。
炭素数5〜15の香料アルコールとしては、例えば合成香料(化学工業日報社)記載のアルコールが挙げられ、具体的には、青葉アルコール(cis−3−ヘキセノール)、3−オクテノール(1−オクテン−3−オール)、9−デセノール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ファルネソール、ヒドロキシシトロネロール、3,7−ジメチル−7−メトキシオクタン−2−オール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ペンタノール、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテノール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテノール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−1−ブタノール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール等の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖アルコール;ベンジルアルコール、2−フェニルエタノール(β−フェニルエチルアルコール)、シンナミックアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、アニスアルコール、フェノキシエチルアルコール、スチラリルアルコール、3−メチル−5−フェニルペンタノ−ル、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール等の芳香族アルコール;2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキシルメタノール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、p−tert−ブチルシクロヘキサノール、o−tert−ブチルシクロヘキサノール、L−メントール、1−(2−tert−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、ペンタメチルシクロヘキシルプロパノール、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−ヘキサノール、サンタロール、ベチベロール等の飽和又は不飽和の環式アルコール等が挙げられる。
炭素数3〜15の抗菌性アルコールとしては、日本防菌防黴剤辞典(日本防菌防黴学会発行)記載の防菌防黴用に用いられるアルコールが挙げられ、具体的には、グリセロールモノラウレート、トリ(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5’−ジメチルヒダントイン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(ヒドロキシエチル)−S−トリアジン等が挙げられる。
本発明で用いる特定ケイ酸エステル化合物は、例えば下記方法1又は2により製造することができる。
方法1:下記一般式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)ともいう)と機能性アルコールとをエステル交換反応させる方法。
Figure 0006219604
(式中、R1及びR3は前記と同じ意味を示し、3個のR3は同一でも異なっていても良い。)
方法2:下記一般式(4)で表されるトリハロゲン化シラン(以下、トリハロゲン化シラン(4)ともいう)と機能性アルコールとをエステル化反応させる方法。
Figure 0006219604
(式中、R1は前記と同じ意味を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
前記方法1において、前記一般式(3)中のR3は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示すところ、入手性等の点からメチル基又はエチル基が好ましく、エチル基がより好ましい。
前記方法1における化合物(3)と機能性アルコールとのエステル交換反応においては、化合物(3)に対して加える機能性アルコールのモル比を適宜調整することにより、前記一般式(1)又は(2)で表されるケイ酸エステル化合物の置換度を調整することができる。化合物(3)に対する機能性アルコールのモル比は、0.1以上が好ましく、1以上がより好ましく、2以上が更に好ましく、また、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下が更に好ましく、より具体的には、0.1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、2〜4が更に好ましく、2.5〜3が更により好ましい。
前記方法1におけるエステル交換反応の反応温度は、化合物(3)及び機能性アルコールの沸点以下が好ましく、室温(20℃)〜200℃がより好ましく、50〜170℃が更に好ましく、70〜150℃更により好ましく、90〜130℃が特に好ましい。
前記方法1におけるエステル交換反応は、減圧下で行うことが、反応を速やかに進行させることができる等の点から好ましい。減圧度は反応温度にもよるが、化合物(3)及び機能性アルコールの沸点以下で行えばよく、1.3Pa〜常圧(0.1MPa)が好ましく、130Pa〜40kPaがより好ましく、1.3kPa〜13kPaが更に好ましい。反応は反応初期から減圧下で行っても、途中から減圧下で行っても良い。
前記方法1におけるエステル交換反応は、触媒を添加することが、反応を速やかに進行させることができる等の点から好ましい。触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ触媒や、アルミニウムテトライソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド等のルイス酸触媒を用いることができる。
前記方法2において、前記一般式(4)中のXはハロゲン原子を示すところ、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
前記方法2におけるトリハロゲン化シラン(4)と機能性アルコールとのエステル化反応においては、トリハロゲン化シラン(4)に対して加える機能性アルコールのモル比を適宜調整することにより、本発明で用いる特定ケイ酸エステル化合物の置換度を調整することができる。トリハロゲン化シラン(4)に対する機能性アルコールのモル比は、0.1以上が好ましく、1以上がより好ましく、2以上が更に好ましく、また、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下が更に好ましく、より具体的には、0.1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、2〜4が更に好ましく、2.7〜3.3が更により好ましい。
前記方法2においては、反応の進行に伴い酸が副生するため、塩基を加えて反応することが好ましい。用いる塩基としては、例えば、トリエチルアミン等の3級アミンやピリジン等が挙げられる。
前記方法2のエステル化反応では、多量の塩副生等の点から、溶媒を用いても良く、反応温度は、基質や溶媒が凝固しない低温で行うこともできる。反応終了後、溶媒を除去する必要がある場合には、各種公知の装置・設備を用いることができ、また脱塩には濾過や抽出、電機透析等、公知の方法を用いることができる。
本発明のペット用吸収性物品は、特定ケイ酸エステル化合物(前記一般式(1)又は(2)で表されるケイ酸エステル化合物)の何れか一方のみを含有していても良く、両方を含有していても良い。ペット用吸収性物品に特定ケイ酸エステル化合物を含有させる方法としては、特定ケイ酸エステル化合物単独、又は特定ケイ酸エステル化合物を適当な溶媒(例えば水、エタノール、低分子炭化水素類、液体LPGガス、ジメチルエーテル等)に希釈したものを、ペット用吸収性物品の所定部位に塗布、噴霧又は含浸する方法が挙げられる。特定ケイ酸エステル化合物は、常温常圧下において液体であり、それ単独でペット用吸収性物品に塗布、噴霧等が可能である。特定ケイ酸エステル化合物を適当な溶媒に希釈したものをペット用吸収性物品に付与した場合、その溶媒は速やかに揮発するため、ペット用吸収性物品には実質的に残留しない。
本発明のペット用吸収性物品における特定ケイ酸エステル化合物の含有量(前記一般式(1)又は(2)で表されるケイ酸エステル化合物の両方を含有する場合はそれらの総含有量)は、特に限定されず用途に応じて適宜変更することができる。例えば、特定ケイ酸エステル化合物中のR2(機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基)が、香料アルコールから水酸基1個を除いた残基である場合において、本発明のペット用吸収性物品における該特定ケイ酸エステル化合物の含有量(坪量)は、好ましくは0.25g/m2以上、更に好ましくは0.40g/m2以上、そして、好ましくは40g/m2以下、更に好ましくは25g/m2以下、より具体的には、好ましくは0.25〜40g/m2、更に好ましくは0.40〜25g/m2である。
本発明のペット用吸収性物品は、特定ケイ酸エステル化合物以外の他の成分を含有していても良い。この他の成分としては、特定ケイ酸エステル化合物以外の他の消臭剤を用いることもでき、例えば後述する本発明の実施形態(図5参照)のように、特定ケイ酸エステル化合物に加えて更に、活性炭を含有させることもできる。
次に、本発明のペット用吸収性物品について、その好ましい一実施形態(ペット用トイレシート)に基づき図面を参照して説明する。本実施形態のペット用トイレシート1は、図1及び図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及び両シート2,3間に配された吸収体4を具備し、該吸収体4に、前述した特定ケイ酸エステル化合物が含有されている。
ペット用トイレシート1の形状、寸法は特に制限されるものではないが、本実施形態のペット用トイレシート1は、図1に示すように長方形形状を有しており、例えば、その長手方向(図1の左右方向)の長さは30cm以上96cm以下、幅方向(該長手方向と直交する方向)の長さは20cm以上66cm以下である。また、本実施形態のペット用トイレシート1は、厚みの薄いシート状をなしており、その厚みは、2mm以上12mm以下である。
表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、吸収体4の周縁から外方に延出し、それらの延出部において接着剤、熱融着等の公知の接合手段により接合されている。吸収体4は、図1に示す如き平面視において長方形形状を有しており、その長手方向をペット用トイレシート1の長手方向に一致させて、表面シート2と裏面シート3との間に介在配置されている。吸収体4の長手方向(図1の左右方向)の長さは28cm以上90cm以下、幅方向(該長手方向と直交する方向)の長さは18cm以上66cm以下である。
表面シート2、裏面シート3としては、それぞれ、この種のトイレシートあるいは使い捨ておむつ等の吸収性物品において、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シートとして用いられているものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、例えば、微細孔を有する又は有しない樹脂製フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等を用いることができる。
吸収体4としては、尿等の排泄物を吸収保持し得るものであれば特に制限されず、例えば、吸水性物質の集合体(吸収性コア)、あるいは該集合体(吸収性コア)の外面を液透過性シート(コアラップシート)で被覆したもの等を用いることができる。吸水性物質としては、例えば、木材パルプや親水化処理された合成繊維等の親水性繊維を用いることができ、必要に応じ、更に粒状の吸水性ポリマー等を用いることができる。また、液透過性シート(コアラップシート)としては、例えば、ティッシュペーパー等の紙や各種不織布、開孔フィルム等を用いることができる。
ペット用トイレシート1において、特定ケイ酸エステル化合物の含有部位は特に制限されないが、より優れた消臭効果を得る観点から、悪臭の発生源となる排泄物を吸収保持する吸収体4に特定ケイ酸エステル化合物が含有されていることが好ましい。吸収体4に特定ケイ酸エステル化合物を含有させる方法としては、特定ケイ酸エステル化合物を吸収体4に塗布又は噴霧等により付与する方法が挙げられる。その場合、ペットが排泄行為をする際の足場となる表面シート2との対向面である、吸収体4の上面4aに、表面シート2を介して又は表面シート2を介さずに直接、特定ケイ酸エステル化合物を付与するのが好ましい。このように、吸収体4の上面4aに特定ケイ酸エステル化合物が付与される結果として、ペット用トイレシート1においては、吸収体4のみならず、該吸収体4の上面4aと接触する表面シート2にも特定ケイ酸エステル化合物が含有されている。裏面シート3には、特定ケイ酸エステル化合物は含有されていない。
特定ケイ酸エステル化合物は、吸収体4の上面(表面シート2との対向面)4aの全域に付与されていても良く、あるいは上面4aの一部に部分的に付与されていても良い。図3及び図4には、後者の例が示されている。図3に示す例では、特定ケイ酸エステル化合物が、吸収体4の上面4aにおける幅方向(図3の上下方向)の中央部に、その長手方向(図3の左右方向)の全長に亘って付与されて、ケイ酸エステル化合物付与領域5が形成されており、該上面4aの他の部位には特定ケイ酸エステル化合物は付与されていない。
図4に示す例は、複数種の特定ケイ酸エステル化合物が吸収体4に含有されている例である。前述したように、特定ケイ酸エステル化合物は、排泄行為が行われておらず消臭する必要のない時には実質的に消臭効果を発現せず、排泄行為が行われた時(排泄物由来の水分と接触した時)に初めて排泄物由来の水分との加水分解により消臭効果を発現するので、例えば、吸収体4に含有されている複数種の特定ケイ酸エステル化合物それぞれにおけるR2(機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基)が、香料アルコールから水酸基1個を除いた残基である場合、即ち、複数種の特定ケイ酸エステル化合物が、何れも香料アルコールに由来する香気によって悪臭をマスキングするタイプの消臭剤である場合、少なくとも排泄行為が行われるまでは、複数種の香気が混ざり合った臭いがするという不都合は起こらない。また、図4に示すように、吸収体4(上面4a)における、複数種の特定ケイ酸エステル化合物それぞれの付与領域5A,5Bが互いに重複しないようにしておくことにより、排泄行為後に前記不都合が生じる可能性を大幅に低減することが可能である。
図4に示す例では、吸収体4に2種類の特定ケイ酸エステル化合物5A,5Bが含有されており、そのうちの一方5Aは、吸収体4の上面4aにおける幅方向(図4の上下方向)の一方側に、その長手方向(図4の左右方向)の全長に亘って付与されており、それによって特定ケイ酸エステル化合物付与領域5Aが形成されており、他方は、該上面4aにおける幅方向の他方側に、その長手方向の全長に亘って付与されており、それによって特定ケイ酸エステル化合物付与領域5Bが形成されている。両領域5A,5B間(吸収体4の上面4aにおける幅方向中央部)には、特定ケイ酸エステル化合物が付与されていないケイ酸エステル化合物未付与領域が存在する。
ペット用トイレシート1(吸収体4)に含有されている特定ケイ酸エステル化合物が、香料アルコールに由来する香気によって悪臭をマスキングするタイプの消臭剤である場合には、悪臭に対する消臭効果に加えて、ペットの飼い主に対するアロマテラピー効果が期待できる。そこで、図4に示すように、香気(アロマテラピー効果)の異なる複数種の特定ケイ酸エステル化合物を用い且つそれらの付与領域5A,5Bが互いに重複しないように配置しておくと、ペットの飼い主が予めペット用トイレシート1の配置を適宜調整する等して、ペットが朝一番に排泄する位置を所望の付与領域5A又は5Bに誘導することにより、ペット用トイレシート1が置かれた室内に、朝一番に、付与領域5A又は5Bに付与されている特定ケイ酸エステル化合物の香料アルコールに由来する、飼い主の所望の香気が充満するようになり、飼い主に対するアロマテラピー効果が得られる。
前述した特定ケイ酸エステル化合物付与領域5,5A,5Bにおいて、特定ケイ酸エステル化合物の付与パターンは特に制限されず、当該領域の全域に隙間なく付与(いわゆるベタ塗り)しても良く、あるいはスパイラル状、格子状、ストライプ状、散点状等の非連続的パターンで付与しても良い。
図5には、ペット用トイレシート1に、特定ケイ酸エステル化合物以外の他の成分(他の消臭剤)として、活性炭を含有させた例が示されている。特定ケイ酸エステル化合物に加えて活性炭を含有させることにより、消臭効果の向上が期待できる。図5に示す例では、活性炭は、吸収体4の幅方向(図5の上下方向)の中央部のみに含有されており、該中央部に、活性炭を含む活性炭領域6が長手方向(図5の左右方向)の全長に亘って形成されており、この活性炭領域6を挟んで吸収体4の幅方向の両側それぞれに、該吸収体4の上面4aに特定ケイ酸エステル化合物が付与されてなる特定ケイ酸エステル化合物付与領域5が形成されている。活性炭領域6において、活性炭は、吸収体4の構成材料(親水性繊維、吸水性ポリマー等の吸水性物質)中に均一に混合されていても良く、あるいは層状にされて厚み方向の一部(例えば中央部)に挿入されていても良い。
このように、図5に示す例では、特定ケイ酸エステル化合物の存在領域と活性炭の存在領域とが、図5に示す如きペット用トイレシート1の平面視において重複しないようになされているところ、その理由は、活性炭の吸着作用により特定ケイ酸エステル化合物あるいはその機能性アルコール由来の消臭成分(香料成分、抗菌成分等)が該活性炭に吸着され、消臭効果が低下する不都合を回避するためである。尚、図5に示す例においては、吸収体4の幅方向両側それぞれに付与されている特定ケイ酸エステル化合物は同じものであるが、異なっていても良く、その場合は、図4に示す例と同様の効果が奏される。
ペット用トイレシート1は、使用前は、通常、包装袋(図示せず)等に密封されており、使用時に包装袋を開封し、床面等に敷設する。そのペット用トイレシート1の敷設の際には、裏面シート3が床面と対向するように敷設される。この敷設の時点では、含有されている特定ケイ酸エステル化合物による消臭効果は実質的に発現しておらず、該消臭効果は略残存したままである。即ち、ペット用トイレシート1は、保存安定性に優れており、保存期間(非使用期間)が長期に亘り且つその保存が高温下でなされた場合であっても、その保存中に消臭効果が失われることがなく、必要なときに優れた消臭効果を発現し得る。そして、犬や猫等のペットが表面シート2の上に乗って排尿すると、尿中の水分により、ペット用トイレシート1に含まれている特定ケイ酸エステル化合物が加水分解を起こし、それにより、香料成分の香気による悪臭のマスキング(特定ケイ酸エステル化合物のR2を形成する機能性アルコールが香料アルコールの場合)、あるいは抗菌・殺菌成分による悪臭の発生源(菌)の発生・増加の抑制(特定ケイ酸エステル化合物のR2を形成する機能性アルコールが抗菌性アルコールの場合)等の消臭作用が発現し、結果として優れた消臭効果が長期に亘って持続する。また、特定ケイ酸エステル化合物のR2を形成する機能性アルコールが香料アルコールの場合には、悪臭に対する消臭効果に加えて、ペットの飼い主に対するアロマテラピー効果が期待できる。
本発明のペット用吸収性物品(ペット用トイレシート)は、ペット用以外に人用吸収性物品としても使用可能である。人用吸収性物品としては、例えば、軽失禁パッド、尿取りパッド、使い捨ておむつ等が挙げられる。人用吸収性物品は、前述したペット用トイレシート1と同様の基本構成を有していても良く、例えば、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に配された吸収体を具備し、好ましくは、該吸収体に特定ケイ酸エステル化合物が含有されている。
本発明のペット用吸収性物品は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形可能である。例えば、ペット用吸収性物品に活性炭を含有させる場合、前記実施形態(図5参照)では、特定ケイ酸エステル化合物の存在領域と活性炭の存在領域とが該吸収性物品の平面視において重複しないようになされていたが、両領域は重複しても良く、例えば図5に示す例において、吸収体4の上面4aの全域に特定ケイ酸エステル化合物を付与しても良い。
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記(ペット用吸収性物品)を開示する。
<1>
下記一般式(1)又は(2)で表されるケイ酸エステル化合物を含有するペット用吸収性物品。
Figure 0006219604
(式中、R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数4〜22の脂肪族炭化水素基を示し、R2は機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基を示し、複数個のR2は同一でも異なっていても良い。R3は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
<2>
前記機能性アルコールが香料アルコールである前記<1>に記載のペット用吸収性物品。
<3>
液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に配された吸収体を具備し、該吸収体に前記ケイ酸エステル化合物が含有されている前記<1>又は<2>に記載のペット用吸収性物品。
<4>
前記ケイ酸エステル化合物が、前記吸収体の前記表面シートとの対向面に付与されている前記<3>に記載のペット用吸収性物品。
<5>
前記吸収体は長方形形状を有しており、該吸収体の前記表面シートとの対向面に、前記ケイ酸エステル化合物が付与されているケイ酸エステル化合物付与領域と、前記ケイ酸エステル化合物が付与されていないケイ酸エステル化合物未付与領域とが形成されている前記<3>又は<4>に記載のペット用吸収性物品。
<6>
前記吸収体の前記表面シートとの対向面における、該吸収体の長手方向と直交する方向の中央部に、該長手方向の全長に亘って前記ケイ酸エステル化合物付与領域が形成されている前記<5>に記載のペット用吸収性物品。
<7>
前記吸収体の前記表面シートとの対向面に、複数の前記ケイ酸エステル化合物付与領域が形成され、それら複数のケイ酸エステル化合物付与領域は、付与されている前記ケイ酸エステル化合物の種類が互いに異なり且つ互いに重複しないように形成されている前記<5>に記載のペット用吸収性物品。
<8>
前記吸収体の前記表面シートとの対向面に、付与されている前記ケイ酸エステル化合物の種類が互いに異なる2つの前記ケイ酸エステル化合物付与領域が形成されており、これら2つの領域のうちの一方のケイ酸エステル化合物付与領域は、前記吸収体の長手方向と直交する方向の一方側に、該長手方向の全長に亘って形成されており、他方のケイ酸エステル化合物付与領域は、該長手方向と直交する方向の他方側に、該長手方向の全長に亘って形成されており、これら2つの領域の間に、前記ケイ酸エステル化合物未付与領域が形成されている前記<5>に記載のペット用吸収性物品。
<9>
前記吸収体は活性炭を含む活性炭領域を備え、該活性炭領域は、前記表面シートとの対向面における、該吸収体の長手方向と直交する方向の中央部に、該長手方向の全長に亘って形成されており、該活性炭領域を挟んで該長手方向と直交する方向の両側それぞれに、前記ケイ酸エステル化合物付与領域が形成されている前記<5>に記載のペット用吸収性物品。
<10>
前記ペット用吸収性物品は平面視において長方形形状を有しており、該ペット用吸収性物品の長手方向の長さは30cm以上96cm以下であり、該長手方向と直交する方向の長さは20cm以上66cm以下である前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載のペット用吸収性物品。
<11>
前記吸収体は平面視において長方形形状を有しており、該吸収体の長手方向の長さは28cm以上90cm以下であり、該長手方向と直交する方向の長さは18cm以上60cm以下である前記<5>ないし<10>のいずれか1に記載のペット用吸収性物品。
<12>
前記一般式(1)又は(2)において、R1が、好ましくは、置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数4〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、より好ましくは、炭素数6〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、更に好ましくは、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数6〜18の直鎖アルキル基、特に好ましくは、炭素数8〜18の直鎖アルキル基である前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載のペット用吸収性物品。
<13>
前記機能性アルコールは、好ましくは、炭素数3〜40の機能性アルコール、より好ましくは、炭素数3〜15の機能性アルコールである前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載のペット用吸収性物品。
<14>
前記機能性アルコールは、n−ヘキサノール、trans−2−ヘキセノール、青葉アルコール(cis−3−ヘキセノール)、3−オクタノール、1−オクテン−3−オール、2,6−ジメチル−2−ヘプタノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキシルメタノール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、p−tert−ブチルシクロヘキサノール、o−tert−ブチルシクロヘキサノール、4−メチル−3−デセン−5−オール、9−デセノール、10−ウンデセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュロール、ムゴール、ミルセノール、ターピネオール、L−メントール、ボルネオール、イソプレゴール、テトラヒドロムゴール、ノポール、ファルネソール、ネロリドール、アンブリノール、1−(2−tert−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、ペンタメチルシクロヘキシルプロパノール、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−ヘキサノール、サンタロール、3,7−ジメチル−7−メトキシオクタン−2−オール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ペンタノール、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテノール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテノール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−1−ブタノール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、セドロール、ベチベロール、パチュリアルコール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アニスアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、フェノキシエチルアルコール、スチラリルアルコール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、チモール、カルバクロール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルバニリン、メタ−クロロキシレノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4−ジクロロベンジルアルコール、ヒノキチオール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)プロパノール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、フェニルエチルメチルエチルカルビノール、トリクロサン、カプサイシン、トコフェロール、グリセロールモノラウレート、トリ(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5’−ジメチルヒダントイン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(ヒドロキシエチル)−S−トリアジンから選ばれる少なくとも一つである前記<1>ないし<13>のいずれか1に記載のペット用吸収性物品。
<15>
前記機能性アルコールは、炭素数5〜15の香料アルコール又は炭素数3〜15の抗菌性アルコールである前記<1>ないし<14>のいずれか1に記載のペット用吸収性物品。
<16>
前記機能性アルコールは炭素数5〜15の香料アルコールであり、該炭素数5〜15の香料アルコールは、青葉アルコール(cis−3−ヘキセノール)、3−オクテノール(1−オクテン−3−オール)、9−デセノール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ファルネソール、ヒドロキシシトロネロール、3,7−ジメチル−7−メトキシオクタン−2−オール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ペンタノール、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテノール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテノール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−1−ブタノール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール等の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖アルコール;ベンジルアルコール、2−フェニルエタノール(β−フェニルエチルアルコール)、シンナミックアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、アニスアルコール、フェノキシエチルアルコール、スチラリルアルコール、3−メチル−5−フェニルペンタノ−ル、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール等の芳香族アルコール;2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキシルメタノール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、p−tert−ブチルシクロヘキサノール、o−tert−ブチルシクロヘキサノール、L−メントール、1−(2−tert−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、ペンタメチルシクロヘキシルプロパノール、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−ヘキサノール、サンタロール、ベチベロール等の飽和又は不飽和の環式アルコールから選ばれる少なくとも一つである前記<15>に記載のペット用吸収性物品。
<17>
前記機能性アルコールは炭素数3〜15の抗菌性アルコールであり、該炭素数3〜15の抗菌性アルコールは、グリセロールモノラウレート、トリ(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5’−ジメチルヒダントイン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(ヒドロキシエチル)−S−トリアジンから選ばれる少なくとも一つである前記<15>に記載のペット用吸収性物品。
<18>
前記ケイ酸エステル化合物の含有量(坪量)は、好ましくは0.25g/m2以上、更に好ましくは0.40g/m2以上、好ましくは40g/m2以下、更に好ましくは25g/m2以下、より具体的には、好ましくは0.25〜40g/m2、更に好ましくは0.40〜25g/m2である前記<1>ないし<17>のいずれか1に記載のペット用吸収性物品。
<19>
ペット用吸収性物品は、厚みが2mm以上12mm以下のシート状である前記<1>ないし<18>のいずれか1に記載のペット用吸収性物品。
<20>
前記<1>ないし<19>のいずれか1に記載のペット用吸収性物品の製造方法であって、下記一般式(3)で表される化合物と前記機能性アルコールとをエステル交換反応させて前記ケイ酸エステル化合物を製造する工程を有する、ペット用吸収性物品の製造方法。
Figure 0006219604
(式中、R1及びR3は前記と同じ意味を示し、3個のR3は同一でも異なっていても良い。)
<21>
前記一般式(3)で表される化合物に対する前記機能性アルコールのモル比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下であり、好ましくは0.1〜10、より好ましくは1〜5、更に好ましくは2〜4、更により好ましくは2.5〜3である前記<20>に記載のペット用吸収性物品の製造方法。
<22>
前記<1>ないし<19>のいずれか1に記載のペット用吸収性物品の製造方法であって、下記一般式(4)で表されるトリハロゲン化シランと前記機能性アルコールとをエステル化反応させて前記ケイ酸エステル化合物を製造する工程を有する、ペット用吸収性物品の製造方法。
Figure 0006219604
(式中、R1は前記と同じ意味を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
<23>
前記ハロゲン原子は塩素原子である前記<22>に記載のペット用吸収性物品の製造方法。
<24>
前記トリハロゲン化シランに対して加える前記機能性アルコールのモル比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下であり、好ましくは0.1〜10、より好ましくは1〜5、更に好ましくは2〜4、更により好ましくは2.7〜3.3である前記<22>又は<23>に記載のペット用吸収性物品の製造方法。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1及び2〕
図1及び図2に示すペット用トイレシート1と同様の構成の平面視長方形形状のペット用トイレシートを作製した。作製したペット用トイレシートは、長辺が44cm、短辺が33cmであった。このペット用トイレシートにおける吸収体の上面(表面シートとの対向面)の全域に、(株)マルエム製・スプレーバイアル(No.3L)を用いて下記香料成分Aを溶媒で希釈せずに直接塗布することにより、該吸収体に所定量の下記香料成分Aを含有させた。こうして得られた香料成分含有ペット用トイレシートを実施例1及び2のサンプルとした。実施例1と実施例2とは香料成分Aの含有量(坪量)が異なり、実施例1は香料成分Aの含有量を0.43g/m2とし、実施例2は香料成分Aの含有量を2.16g/m2とした。香料成分の含有量は、香料含有前のペット用トイレシートの重量と、香料含有後のペット用トイレシートの重量との差で算出した。
各実施例のペット用トイレシートの構成部材の詳細は次の通り。表面シートとしては、坪量20g/m2の液透過性のエアスルー不織布を用いた。裏面シートとしては、坪量25g/m2の液不透過性且つ透湿性のポリエチレン製樹脂フィルム(炭酸カルシウム配合)を用いた。吸収体を構成する吸収性コア(吸水性物質の集合体)としては、繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持させたもので、フラッフパルプ100g/m2と吸水性ポリマー70g/m2との均一混合物からなる総坪量170g/m2の吸収性コアを用い、該吸収性コアの外面を坪量18g/m2のティシュペーパー(液透過性シート)で被覆したものを、吸収体とした。香料成分Aは、前記一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物(特定ケイ酸エステル化合物)であって、且つその機能性アルコールが香料アルコールであり、該香料アルコールがゲラニオール(東京化成工業株式会社製)である化合物である。
〔比較例1及び2〕
香料成分A(特定ケイ酸エステル化合物)に代えてゲラニオール(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1及び2と同様にして、香料成分(ゲラニオール)の含有量が異なる平面視長方形形状のペット用トイレシートを2枚作製し、比較例1及び2のサンプルとした。
〔評価〕
各実施例及び比較例のサンプル(ペット用トイレシート)について、下記方法により、1)保存前、2)保存後、及び3)保存後生理食塩水添加の3種類の状態を作製し且つ各状態におけるサンプルの香りの強さを官能評価した。その結果を下記表1に示す。香りの強さの官能評価は、6段階臭気強度表示法(環境省)を基準にして、その臭気強度2〜5については更に細かく分けて、臭気強度0〜10の全11段階で行った。下記表2に、6段階臭気強度表示法と今回採用した11段階臭気強度表示法(表1中の香りの強さの数値)との対応関係を示す。サンプルの香りが強いほど、表1中の香りの強さの数値は大きくなり、特に前記3)の状態の評価においては、表1中の香りの強さの数値が大きいほど、悪臭に対するマスキング効果に優れ、消臭効果が高いことになる。
前記1)の保存前の状態におけるサンプルの香りの強さの評価は次のようにして行った。45Lの半透明ゴミ袋(アスクル製:厚さ0.02mm、高密度ポリエチレン)の中に、サンプルを折り畳まずに広げた状態で入れ、該ゴミ袋の中に25L以上の空気が入った状態で該ゴミ袋の口を閉じた。そして、ゴミ袋の口を閉じてから1分後に、直径10cmの円形開口部ができるように該ゴミ袋の口を開き、その円形開口部を介して、該ゴミ袋の中の香りの強さを臭気判定士資格保有者が官能により評価した。
前記2)の保存後の状態におけるサンプルの香りの強さの評価は次のようにして行った。密封可能な包装袋(生産日本社製、商品名「ミニグリップMG-F」、厚さ0.04mm×横120mm×縦170mm)の中に、サンプルを折り畳んだ状態で入れ、該包装袋を密封して、30℃、65%RHの環境下で2週間連続して放置した。2週間経過後に、放置していた包装袋を前記1)で用いた半透明のゴミ袋と同じゴミ袋の中にそのまま入れ、該ゴミ袋の中で、該包装袋中にて折り畳まれた状態のサンプルを広げた後、該ゴミ袋から該包装袋を取り出し、該ゴミ袋の中に25L以上の空気が入った状態で該ゴミ袋の口を閉じた。そして、ゴミ袋の口を閉じてから1分後に、直径10cmの円形開口部ができるように該ゴミ袋の口を開き、その円形開口部を介して、該ゴミ袋の中の香りの強さを臭気判定士資格保有者が官能により評価した。
前記3)の保存後生理食塩水添加の状態におけるサンプルの香りの強さの評価は次のようにして行った。前記2)の保存後の状態についての評価終了後から3分以内に、ゴミ袋の口における直径10cmの前記円形開口部から、広げた状態のサンプルの中央部に、生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.9質量%の水溶液)をピペット(アズワン製:マイクロピペット50ml)を用いて10秒間で30ml注入し、該ゴミ袋の中に25L以上の空気が入った状態で該ゴミ袋の口を閉じた。そして、ゴミ袋の口を閉じてから1分後に、直径10cmの円形開口部ができるように該ゴミ袋の口を開き、その円形開口部を介して、該ゴミ袋の中の香りの強さを臭気判定士資格保有者が官能により評価した。
Figure 0006219604
Figure 0006219604
表1に示すように、実施例1及び2は、前記1)及び2)の状態においては、香りの強さの数値が3以下であることから、消臭効果は実質的に発現しておらず、実施例1及び2のペット用トイレシートに顔を近づけると香ってくる程度のニオイ立ちであるが、前記3)の状態においては、香りの数値が6以上であることから、香料成分が空気中に放たれて消臭効果を発現していることがわかる。このように、実施例1及び2のペット用トイレシートは、必要な時(悪臭源の存在時)に必要な消臭効果を発現でき、また保存安定性にも優れていることがわかる。これに対し、比較例1及び2は、前記1)の状態においては、香りの強さの数値が6以上であることから、特に悪臭源が存在していない時に香料成分が空気中に放たれて香っていることがわかる。また、比較例1及び2は、前記2)及び3)の状態においては、香りの強さの数値が3以下に減少していることから、必要な時(悪臭源の存在時)には肝心の消臭効果が減少しており、保存安定性に劣ることがわかる。
1 ペット用トイレシート(ペット用吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
4a 吸収体の上面(表面シートとの対向面)
5,5A,5B 特定ケイ酸エステル化合物付与領域
6 活性炭領域

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)又は(2)で表されるケイ酸エステル化合物を含有するペット用吸収性物品であって、
    液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に配された吸収体を具備し、該吸収体に前記ケイ酸エステル化合物が含有されており、
    前記吸収体は長方形形状を有しており、該吸収体の前記表面シートとの対向面に、前記ケイ酸エステル化合物が付与されているケイ酸エステル化合物付与領域と、前記ケイ酸エステル化合物が付与されていないケイ酸エステル化合物未付与領域とが形成されており、
    前記吸収体の前記表面シートとの対向面に、複数の前記ケイ酸エステル化合物付与領域が形成され、それら複数のケイ酸エステル化合物付与領域は、付与されている前記ケイ酸エステル化合物の種類が互いに異なり且つ互いに重複しないように形成されているペット用吸収性物品。
    Figure 0006219604
    (式中、R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数4〜22の脂肪族炭化水素基を示し、R2は機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基を示し、複数個のR2は同一でも異なっていても良い。R3は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
  2. 下記一般式(1)又は(2)で表されるケイ酸エステル化合物を含有するペット用吸収性物品であって、
    液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に配された吸収体を具備し、該吸収体に前記ケイ酸エステル化合物が含有されており、
    前記吸収体は長方形形状を有しており、該吸収体の前記表面シートとの対向面に、前記ケイ酸エステル化合物が付与されているケイ酸エステル化合物付与領域と、前記ケイ酸エステル化合物が付与されていないケイ酸エステル化合物未付与領域とが形成されており、
    前記吸収体の前記表面シートとの対向面に、付与されている前記ケイ酸エステル化合物の種類が互いに異なる2つの前記ケイ酸エステル化合物付与領域が形成されており、これら2つの領域のうちの一方のケイ酸エステル化合物付与領域は、前記吸収体の長手方向と直交する方向の一方側に、該長手方向の全長に亘って形成されており、他方のケイ酸エステル化合物付与領域は、該長手方向と直交する方向の他方側に、該長手方向の全長に亘って形成されており、これら2つの領域の間に、前記ケイ酸エステル化合物未付与領域が形成されているペット用吸収性物品。
    Figure 0006219604
    (式中、R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数4〜22の脂肪族炭化水素基を示し、R2は機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基を示し、複数個のR2は同一でも異なっていても良い。R3は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
  3. 下記一般式(1)又は(2)で表されるケイ酸エステル化合物を含有するペット用吸収性物品であって、
    液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に配された吸収体を具備し、該吸収体に前記ケイ酸エステル化合物が含有されており、
    前記吸収体は長方形形状を有しており、該吸収体の前記表面シートとの対向面に、前記ケイ酸エステル化合物が付与されているケイ酸エステル化合物付与領域と、前記ケイ酸エステル化合物が付与されていないケイ酸エステル化合物未付与領域とが形成されており、
    前記吸収体は活性炭を含む活性炭領域を備え、該活性炭領域は、前記表面シートとの対向面における、該吸収体の長手方向と直交する方向の中央部に、該長手方向の全長に亘って形成されており、該活性炭領域を挟んで該長手方向と直交する方向の両側それぞれに、前記ケイ酸エステル化合物付与領域が形成されているペット用吸収性物品。
    Figure 0006219604
    (式中、R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数4〜22の脂肪族炭化水素基を示し、R2は機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基を示し、複数個のR2は同一でも異なっていても良い。R3は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
  4. 前記機能性アルコールが香料アルコールである請求項1〜3の何れか1項に記載のペット用吸収性物品。
  5. 前記ケイ酸エステル化合物が、前記吸収体の前記表面シートとの対向面に付与されている請求項1〜4の何れか1項に記載のペット用吸収性物品。
  6. 前記吸収体の前記表面シートとの対向面における、該吸収体の長手方向と直交する方向の中央部に、該長手方向の全長に亘って前記ケイ酸エステル化合物付与領域が形成されている請求項1、4及び5の何れか1項に記載のペット用吸収性物品。
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