JP6217979B2 - 密閉型電池の製造方法 - Google Patents
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Description
密閉型電池においては、ケース内を密閉する必要があるが、封止材とケースとを溶接する際、注液口に付着した電解液によって溶接不良が生じ、ケース内の密閉が不完全となるおそれがある。
特許文献1に開示された技術は、ケースの蓋部における注液口周辺にレーザを照射して、蓋部の外側面における注液口周辺に付着した電解液を除去することにより、封止材とケースとを溶接する際に生じる溶接不良を抑制するものである。
その結果、封止材とケースとの接合部分に形成された溶融池が、ケース内の圧力によって押し上げられ、溶接ビードの内部が空洞になる等の溶接不良(図7における円で囲まれた部分参照)が生じるおそれがある。
近年の密閉型電池の高容量化、高出力化および高エネルギー密度化に伴い、ケース内のデッドスペースが少ないため、わずかな量の電解液が気化した場合であっても、このような溶接不良が生じるのである。
なお、説明の便宜上、図1における上下方向を電池1の上下方向と規定する。
ケース20は、上面が開口した収納部21、および収納部21の上面の開口を塞ぐ蓋部22を有する。
正極端子23および負極端子24は、上下方向に延出する棒状の部材であり、導電性を有する素材から成る。正極端子23および負極端子24は、それぞれ、ケース20の内部において、導電性を有する所定の集電部材を介して、電極体10の正極および負極と電気的に接続されている。
注液口25は、ケース20の内部に電解液Eを注入するための貫通孔である。注液口25は、ケース20の内部と外部とを連通するように、蓋部22を上下方向に貫通している。注液口25は、平面視で略円状に形成されている。
蓋部22に形成される注液口25の内周面は、段状に形成されている。詳細には、注液口25は、所定の直径を有し、最も上側に位置する上部と、当該上部よりも小さい直径を有し、前記上部よりも下側に位置する中間部と、当該中間部よりも小さい直径を有し、最も下側に位置する下部と、から構成されている。つまり、注液口25は、互いに異なる直径を有する三つの部分から構成され、下方にいくほど直径が小さくなっている。
封止材30は、注液口25を塞ぐように、注液口25の上部に挿入された状態で、蓋部22に溶接されている。詳細には、注液口25の上部に挿入された状態の封止材30の外周面と、注液口25の上部を成す蓋部22の内周面とが、それらの全周に亘って、レーザ溶接によって連続的に接合されている。
こうして、蓋部22に接合された封止材30によって、ケース20内が完全に密閉される。
収納工程S10においては、まず、電極体10の正極および負極を、それぞれ前記集電部材を介して正極端子23および負極端子24と電気的に接続した状態で、電極体10を収納部21に収納する。そして、収納部21の開口を蓋部22によって塞いだ状態で、収納部21と蓋部22とを溶接する。
注液工程S20においては、蓋部22に形成された注液口25から、ケース20内に所定量の電解液Eを注入する。
図4に示すように、溶接工程S30においては、注液口25の上部に封止材30を挿入することによって注液口25を塞ぎ、蓋部22と封止材30との溶接を開始する。
なお、この時、ケース20の内部に面する蓋部22の内側面(図4における下面)には、電解液Eが付着している。
詳細には、まず、蓋部22における、封止材30との境界部分近傍の位置P1から、蓋部22と封止材30との境界部分における所定の位置P2へ連続的にレーザを照射する。次に、蓋部22と封止材30との境界部分の半分が溶接されるように、当該境界部分に沿って位置P2から位置P3へ連続的にレーザを照射する。最後に、位置P3から、蓋部22における、封止材30との境界部分近傍の位置P4へ連続的にレーザを照射する。
なお、図5におけるハッチングパターン部分は、溶接ビードを示している。
そのため、一回目の溶接の終了した後は、ケース20の内部における気化した電解液Eが、蓋部22と封止材30との境界部分における溶接されていない残り半分、つまり、蓋部22と封止材30との隙間、からケース20の外部へ放出されるまで、蓋部22と封止材30との境界部分の溶接を休止する。
なお、この時、少なくとも、蓋部22と封止材30との境界部分における溶接されていない残り半分に対して溶接が行わなければよく、レーザの照射自体を中断してもよいし、蓋部22等に対してレーザの照射を継続してもよい。
図6に示すように、二回目の溶接は、位置P5、P3、P2およびP6を順にレーザが辿るように行われる。
詳細には、まず、位置P3を挟んで位置P4の反対側の位置P5から、位置P3へ連続的にレーザを照射する。次に、蓋部22と封止材30との境界部分における溶接されていない残り半分が溶接されるように、当該境界部分に沿って位置P3から位置P2へ連続的にレーザを照射する。最後に、位置P2から、位置P2を挟んで位置P1の反対側の位置P6へ連続的にレーザを照射する。
こうして、蓋部22と封止材30との境界部分の全周が溶接されることによって、注液口25が封止材30により封止され、ケース20内が密閉される。
なお、図6におけるハッチングパターン部分は、溶接ビードを示している。
換言すれば、溶接工程S30においては、蓋部22と封止材30との境界部分の全周に対する溶接を二回に分けて行い、当該二回の溶接を、互いに所定の時間間隔を空けて行う。
これにより、蓋部22と封止材30との境界部分を溶接する際に気化した、蓋部22の内側面に付着した電解液Eを、ケース20内が完全に密閉される前にケース20の外部へ放出することができ、気化して膨張した電解液Eが密閉されたケース20内に残留することによってケース20内の圧力が上昇することを抑制できる。
したがって、蓋部22と封止材30との境界部分を溶接する際に、溶融池がケース20内の圧力により押し上げられて、溶接ビードの内部が空洞になる等の溶接不良を抑制できる。
ここで、「所定の時間」は、溶接工程S30において蓋部22と封止材30との境界部分を溶接する際に気化した電解液Eのケース20内における残留量が、上記の溶接不良を引き起こすことがない量となるまで、気化した電解液Eがケース20の外部へ放出されるのに要する時間である。
また、本実施形態の方法でも、一回目の溶接と二回目の溶接との間の時間間隔を0秒として、蓋部と封止材とを溶接した場合は、溶融池が押し上げられた量は0.2mmとなり、一回目の溶接と二回目の溶接との間の時間間隔を充分に取る必要があることが明らかとなった。
この場合、時間間隔の合計は、溶接工程S30において蓋部22と封止材30との境界部分を溶接する際に気化した電解液Eのケース20内における残留量が、上記の溶接不良を引き起こすことがない量となるまで、気化した電解液Eがケース20の外部へ放出されるのに要する時間となる。
10 電極体
20 ケース
21 収納部
22 蓋部
25 注液口
30 封止材
Claims (1)
- 電極体と、前記電極体を電解液と共に収納するケースと、前記ケース内を密閉する封止材と、を具備し、前記ケースは、開口面を有する収納部と、当該収納部の開口面を塞ぐ蓋部と、を有し、前記蓋部は、前記ケースの内部と外部とを連通する注液口を有し、前記封止材は、前記注液口を封止することにより前記ケース内を密閉する密閉型電池の製造方法であって、
前記ケース内に前記電極体を収納する収納工程と、
前記収納工程後に、前記ケース内に前記電解液を注入する注液工程と、
前記注液工程後に、前記封止材によって前記注液口を塞いだ状態で、前記蓋部と前記封止材との境界部分の全周を連続的なレーザ照射により溶接することによって、前記注液口を封止する溶接工程と、を具備し、
前記溶接工程においては、前記蓋部と前記封止材との境界部分の全周に対する溶接を、少なくとも二回に分けて行い、当該少なくとも二回の溶接を、互いに所定の時間間隔を空けて行い、
前記所定の時間間隔の合計は、前記溶接工程において前記蓋部と前記封止材との境界部分を溶接する際に気化した電解液が前記ケースの外部へ放出されるのに要する時間である、
ことを特徴とする密閉型電池の製造方法。
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