JP6217656B2 - 二次電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、電流遮断機構を備えた二次電池を含む二次電池システムに関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、車両搭載用電源や、パソコンや携帯端末等の電源として重要性が高まっている。非水電解質二次電池の安全性を向上させるための技術として、電流遮断機構(CID:Current Interrupt Device)が知られている。一般的に、非水電解質二次電池を過充電した場合、電解質が電気分解されてガスや熱が発生する。電流遮断機構は、過充電時に発生したガスによる内圧上昇や熱を検知することにより、非水電解質二次電池の充電を停止する機構である。
特許文献1には、ガスの発生によって電池ケース内の圧力が上昇した場合に作動する電流遮断機構が開示されている。
特開2014−203781号公報
ところで、非水電解質二次電池が劣化するとガスが発生しやすくなり、そのガスによって電池ケース内の圧力が上昇しやすくなる。それ故、非水電解質二次電池が過充電状態でないときであっても、電流遮断機構が作動してしまうという問題が生じる。
本発明の目的は、電流遮断機構を備えた二次電池において、電流遮断機構の誤作動を未然に防止することである。
本発明は、正極及び負極を有する電極体と、非水電解質と、前記電極体及び前記非水電解質を収容する電池ケースと、前記電池ケース内の圧力が予め設定された閾値以上になった場合に、前記電極体と外部端子との電気的な接続を遮断する電流遮断機構と、を有する二次電池を含む二次電池システムにおいて、前記二次電池の使用時間と前記二次電池の平均温度との相関に基づいて、前記二次電池が前記電流遮断機構の誤作動が生じる劣化状態に達しているか否かを判定する判定手段と、前記二次電池が前記電流遮断機構の誤作動が生じる劣化状態に達していると判定された場合に、警告情報を出力する警告手段と、を有することを特徴とする二次電池システムである。
本発明によると、電流遮断機構の誤作動を未然に防止することが可能となる。
本発明の実施形態に係る非水電解質二次電池を模式的に示す断面図である。 組電池の斜視図である。 本発明の実施形態に係る二次電池システムを示すブロック図である。 診断判定用マップを示す図である。 電池診断用マップを示す図である。 電池診断用マップを示す図である。 診断要求処理を示すフローチャートである。 電池診断処理を示すフローチャートである。
図1には、本発明の実施形態に係る非水電解質二次電池としてのリチウムイオン二次電池10が示されている。リチウムイオン二次電池10として、例えば特開2014−203781号公報に開示されているリチウムイオン二次電池を採用することができる。
電池ケース12は、上端が開放された有底の扁平な箱型形状のケース本体14と、ケース本体14の開口部を塞ぐ蓋体16とを備えている。電池ケース12内には、非水電解質と共に捲回電極体20が収容されている。詳細には、シート状の正極24とシート状の負極26との間にセパレータ22を介在させて正極24と負極26とを積層した後、当該積層体を扁平に捲回することにより、捲回電極体20が作製される。蓋体16には、正極端子30と負極端子32とが設けられている。正極端子30は、捲回電極体20の正極24と電気的に接続する端子である。負極端子32は、捲回電極体20の負極26と電気的に接続する端子である。また、蓋体16には、ケース本体14内に非水電解質を注入するための注入口が形成されている。その注入口は、非水電解質が注入された後に封止栓34によって封止される。非水電解質には、過充電時に正極24において分解反応することでガスを発生させるガス発生添加剤が含まれている。
電池ケース12内には、電流遮断機構(CID)40が設けられている。電流遮断機構40は、過充電時にガス発生添加剤が正極24において分解反応することで発生したガスに応じて電流を遮断する。一例として、電流遮断機構40は、過充電時に発生したガスによって電池ケース12内の圧力が予め設定された閾値以上になると、リチウムイオン二次電池10の充電を停止する。電流遮断機構40は、電池ケース12内の圧力が上昇した場合に、少なくとも一方の電極端子から捲回電極体20に至る導電経路を切断するように構成されていればよく、特定の形状に限定されない。図1に示す例では、電流遮断機構40は、正極端子30と捲回電極体20との間に設けられており、電池ケース12内の圧力が上昇した場合に正極端子30から捲回電極体20に至る導電経路を切断するように構成されている。
より具体的には、電流遮断機構40は、第1部材42と第2部材46とを含む。第1部材42及び第2部材46は金属板であり、第1部材42は薄板である。第1部材42は、中央部分が下方へ湾曲したアーチ形状を有しており、その周縁部分がリード端子48を介して正極端子30の下面に接続されている。また、第1部材42の湾曲部分44の先端が、第2部材46の上面に接合されている。第2部材46の下面は、捲回電極体20の正極24に接続されている。このようにして、正極端子30から捲回電極体20に至る導電経路が形成されている。
また、電流遮断機構40は、プラスチック等によって形成された絶縁ケース52を備えている。絶縁ケース52は、第1部材42を囲むように設けられており、第1部材42の上面を気密に密閉している。この気密に密閉された部分には、電池ケース12内の圧力が作用しない。また、絶縁ケース52には開口部が形成されており、その開口部に、第1部材42の湾曲部分44が嵌め込まれている。第1部材42の周縁部分は絶縁ケース52に固定されている。湾曲部分44の下面は、当該開口部から電池ケース12の内部に露出している。電池ケース12内に露出した湾曲部分44の下面には、電池ケース12内の圧力が作用する。
上記の構成を有する電流遮断機構40において、電池ケース12内の圧力が上昇すると、その圧力が第1部材42の湾曲部分44の下面に作用し、下方へ湾曲した湾曲部分44が上方に押し上げられる。湾曲部分44の上方への押し上げは、電池ケース12内の圧力が上昇するに従い増大する。そして、電池ケース12内の圧力が閾値以上になると、湾曲部分44が上下反転し上方へ湾曲するように変形する。この変形によって、第1部材42と第2部材46との接合点50が切断される。これにより、正極端子30から捲回電極体20に至る導電経路が切断され、過充電電流が遮断されるようになっている。
なお、電流遮断機構40は、正極端子30側に限らず、負極端子32側に設けられていてもよい。また、電流遮断機構40は、上述した第1部材42の変形を伴う機械的な切断に限定されない。別の例として、電池ケース12内の圧力をセンサで検知し、検知された圧力が閾値以上になった場合に充電電流を遮断するような回路を、電流遮断機構として設けてもよい。
次に、リチウムイオン二次電池10を単電池(電池セル)とし、複数の単電池を含む組電池(スタック電池)について説明する。図2には、組電池の一例が示されている。組電池100は、積層方向に積層された複数のリチウムイオン二次電池10を含む。正極端子30及び負極端子32が交互に配置されるように、複数のリチウムイオン二次電池10が配列されている。積層方向に隣り合う2つのリチウムイオン二次電池10の間には、スペーサ112が配置されている。スペーサ112においてリチウムイオン二次電池10に対向する一方の表面又は両表面には、冷却用空気が通るエア流路が形成されている。これにより、互いに隣り合う2つのリチウムイオン二次電池10の間に、冷却用空気が入り込む。積層された複数のリチウムイオン二次電池10の組の両端には、一対のエンドプレート114が配置されている。一対のエンドプレート114は、複数のリチウムイオン二次電池10及び複数のスペーサ112を挟み込んだ状態で拘束バンド116によって互いに結合されている。これにより、複数のリチウムイオン二次電池10及び複数のスペーサ112が一体的に保持される。互いに隣り合う各リチウムイオン二次電池10間において、一方の正極端子30と他方の負極端子32とが、バスバー118によって電気的に接続されている。このように複数のリチウムイオン二次電池10を直列に接続することにより、組電池100が構成される。
本実施形態では、組電池100は車両に搭載され、車両走行用モータに供給される電力を蓄電する蓄電装置として用いられる。複数の組電池100が車両に搭載され、それら複数の組電池100が蓄電装置として用いられてもよい。
次に、上記のリチウムイオン二次電池10を含む二次電池システムについて説明する。図3には、二次電池システムの一例が示されている。
温度センサ60は、組電池100に含まれる個々のリチウムイオン二次電池10の温度を所定の時間間隔で計測する。各時間における温度を示す温度情報は制御装置70に出力され、記憶装置80に記憶される。記憶装置80には、個々のリチウムイオン二次電池10の温度情報が記憶される。本実施形態では、リチウムイオン二次電池10が車両に搭載された時点から温度が計測される。イグニッションスイッチがオフの状態で車両が駆動していない期間(リチウムイオン二次電池10が実際に使用されていない期間)も温度が計測され、温度情報が記憶装置80に記憶される。
制御装置70は、使用時間計測部72、診断判定部74、診断要求部76及び電池診断部78を含む。
使用時間計測部72は、組電池100に含まれる個々のリチウムイオン二次電池10の使用時間を計測する。使用時間を示す使用時間情報は記憶装置80に記憶される。記憶装置80には、個々のリチウムイオン二次電池10の使用時間情報が記憶される。使用時間は、リチウムイオン二次電池10が車両に搭載された時点からの経過時間に相当する。イグニッションスイッチがオフの状態で車両が駆動していない期間(リチウムイオン二次電池10が実際に使用されていない期間)も使用時間に含まれる。
診断判定部74は、記憶装置80に記憶されている温度情報及び使用時間情報に基づいて、使用時間に対するリチウムイオン二次電池10の平均温度を算出し、使用時間と平均温度とに基づいて、リチウムイオン二次電池10が電流遮断機構40の誤作動が生じる劣化状態に達しているか否かを判定する。例えば、平均温度に対する使用時間が予め決定された診断要求閾値以上になった場合、電流遮断機構40の誤作動が生じる劣化状態にリチウムイオン二次電池10が達していると判定される。診断要求閾値を示す情報(診断判定用マップ)は予め作成されて記憶装置80に記憶されている。診断判定部74は、その診断判定用マップを参照することにより、リチウムイオン二次電池10の劣化状態を判定する。診断判定部74は、個々のリチウムイオン二次電池10毎に判定処理を行う。
診断要求部76は、電流遮断機構40の誤作動が生じる劣化状態にリチウムイオン二次電池10が達していると診断判定部74によって判定された場合に、診断要求情報(警告情報)を出力する。診断要求情報は、リチウムイオン二次電池10の診断をユーザに促すための情報である。例えば、診断要求情報に従って、車両内に設置されている診断要求ランプが点灯する。また、警告音を鳴らしてもよい。また、最初に診断要求情報が出力された時点からの経過時間に応じて、リチウムイオン二次電池10の出力が制限されてもよいし、その出力が禁止されてもよい。
上記の使用時間計測部72、診断判定部74及び診断要求部76の処理は、組電池100毎に行われてもよい。この場合、使用時間計測部72は、組電池100が車両に搭載された時点からの経過時間を当該組電池100の使用時間として計測する。個々の組電池100毎に使用時間が計測される。診断判定部74は、組電池100の使用時間に対する、当該組電池100に含まれる複数のリチウムイオン二次電池10の平均温度を算出し、使用時間と平均温度とに基づいて、電流遮断機構40の誤作動が生じる劣化状態に組電池100が達しているか否かを判定する。電流遮断機構40の誤作動が生じる劣化状態に組電池100が達していると判定された場合、診断要求部76は、その組電池100の診断をユーザに促すための診断要求情報を出力する。例えば、電池を単体のリチウムイオン二次電池10毎に交換する場合は、リチウムイオン二次電池10毎に判定処理が行われる。一方、電池を組電池100毎に交換する場合には、組電池100毎に判定処理が行われる。このように、電池の交換単位に応じて判定処理が変更される。
電池診断部78は、リチウムイオン二次電池10の満充電容量維持率を示す情報を受け、満充電容量維持率、使用時間及び平均温度に基づいて、当該リチウムイオン二次電池10の状態を判定し、その判定結果を示す情報を出力する。満充電容量維持率は公知の方法によって測定される。例えば、特開2014−203781号公報に記載されている方法によって満充電容量維持率が測定されてもよい。本実施形態では、使用時間及び平均温度に対する満充電容量維持率に基づいて、リチウムイオン二次電池10が、(1)新品状態、(2)使用可能な状態、又は、(3)使用継続不可能な状態のいずれかの状態であると判定される。例えば、リチウムイオン二次電池10の状態が(3)使用継続不可能な状態であると判定された場合、当該リチウムイオン二次電池10の出力が禁止される。この場合、当該リチウムイオン二次電池10は交換される。使用時間、平均温度、満充電容量維持率及びリチウムイオン二次電池10の状態の対応関係を示す情報(電池診断用マップ)は予め作成されて記憶装置80に記憶されている。電池診断部78は、その電池診断用マップを参照することにより、リチウムイオン二次電池10の状態を判定する。
図4には、診断判定用マップの一例が示されている。この診断判定用マップは、例えば実験等の経験則に従って予め作成されたマップであり、記憶装置80に予め記憶されている。横軸はリチウムイオン二次電池10の平均温度を示しており、縦軸はリチウムイオン二次電池10の使用時間を示している。判定ライン200は、平均温度に対する使用時間の診断要求閾値を示している。平均温度が高くなるほど、診断要求閾値は小さくなっている。つまり、平均温度が高くなるほど、許容される使用時間は短くなり、平均温度が低いほど、許容される使用時間は長くなる。平均温度に対する使用時間が診断要求閾値以上となる場合、リチウムイオン二次電池10が電流遮断機構40の誤作動が生じる劣化状態に達していると判定される。この場合、制御装置70から診断要求情報が出力される。一方、平均温度に対する使用時間が診断要求閾値未満となる場合、診断要求情報は出力されない。なお、限界ライン202は、リチウムイオン二次電池10の使用時間の限界値を示しており、この限界値以上の時間に及ぶリチウムイオン二次電池10の使用は禁止される。
図5には、電池診断用マップの一例が示されている。この電池診断用マップは、予め作成されたマップであり、記憶装置80に予め記憶されている。横軸は使用時間の平方根を示しており、縦軸は満充電容量維持率を示している。ライン300〜308は、各平均温度における使用時間に対する満充電容量維持率の理論値を示している。具体的には、ライン300は、平均温度Taの満充電容量維持率の理論値を示している。ライン302は、平均温度Tbの満充電容量維持率の理論値を示している。ライン304は、平均温度Tcの満充電容量維持率の理論値を示している。ライン306は、平均温度Tdの満充電容量維持率の理論値を示している。ライン308は、平均温度Teの満充電容量維持率の理論値を示している。各平均温度において、使用時間が長くなるほど満充電容量維持率は低下する。
第1判定ライン310は、リチウムイオン二次電池10の継続使用が可能か否かを判定するためのラインであり、使用時間の平方根に対する満充電容量維持率の第1閾値を示している。第2判定ライン312は、リチウムイオン二次電池10の使用時間をリセットするか否かを判定するためのラインであり、使用時間の平方根に対する満充電容量維持率の第2閾値を示している。ここで、同一の使用時間の平方根において、第2閾値は第1閾値よりも大きい値である。第3判定ライン314は、リチウムイオン二次電池10の状態が新品状態か否かを判定するためのラインであり、使用時間の平方根に対する満充電容量維持率の第3閾値を示している。
上記の判定ラインによって、電池診断用マップは領域320〜326に分けられる。リチウムイオン二次電池10の満充電容量維持率の実際の測定値が、第3判定ライン314が示す第3閾値よりも大きい場合、つまり、測定値が領域320に含まれる場合、そのリチウムイオン二次電池10は新品状態であると判定される。測定値が、第1判定ライン310が示す第1閾値よりも大きく、第3判定ライン314が示す第3閾値以下となる場合、つまり、測定値が領域322又は領域324に含まれる場合、そのリチウムイオン二次電池10は使用可能な状態であると判定される。測定値が、第1判定ライン310が示す第1閾値以下となる場合、つまり、測定値が領域326に含まれる場合、そのリチウムイオン二次電池10は使用継続不可能な状態であると判定される。第1閾値は、電流遮断機構40が誤作動すると想定される満充電容量維持率に対応している。実際の測定値が、電流遮断機構40が誤作動すると想定される値以下になった場合に、リチウムイオン二次電池10の使用を不可とする。この場合、制御装置70は、リチウムイオン二次電池10が使用継続不可能な状態であることを示す警告情報を出力する。例えば、その警告情報に基づいて、電池交換をユーザに促すための警告ランプが点灯する。また、電池交換をユーザに促すための警告音を鳴らしてもよい。
本実施形態では、満充電容量維持率の実際の測定値が、第1判定ライン310が示す第1閾値よりも大きく、第2判定ライン312が示す第2閾値以下となる場合、つまり、測定値が領域324に含まれる場合、リチウムイオン二次電池10の使用可能な時間が短くなっていると判定される。この場合、制御装置70は、その旨を示す予告情報を出力する。例えば、その予告情報に基づいて予告ランプが点灯する。満充電容量維持率が領域324に含まれる場合、リチウムイオン二次電池10を使用することは可能であるが、例えば最大で5年以内にそのリチウムイオン二次電池10は使用不可能な状態になると想定される。従って、その旨をユーザに予告するために、車内に設置された予告ランプを点灯させる。
満充電容量維持率の実際の測定値が、第2判定ライン312が示す第2閾値よりも大きく、第3判定ラインが示す第3閾値以下となる場合、つまり、測定値が領域322に含まれる場合、制御装置70は、リチウムイオン二次電池10の使用時間から5年分の時間を減算する。つまり、使用時間を5年分巻き戻す。これにより、記憶装置80に記憶されている使用時間情報が更新される。満充電容量維持率が領域322に含まれる場合、5年以内にリチウムイオン二次電池10が使用不可能な状態になるとは想定されない。一方で、測定値が短期間で領域324に含まれて予告ランプが点灯してしまうことが想定される。これを回避して最低でも5年間は予告ランプが点灯しないようにするために、制御装置70は、使用時間から5年分の時間を減算する。
満充電容量維持率の実際の測定値が、第3判定ライン314が示す第3閾値よりも大きい場合、つまり、測定値が領域320に含まれる場合、制御装置70は、リチウムイオン二次電池10の使用時間を「0時間」にリセットする。リチウムイオン二次電池10が新品状態であると判定されたからである。
図6には、別の電池診断用マップの一例が示されている。この電池診断用マップは、予め作成されたマップであり、記憶装置80に予め記憶されている。横軸は平均温度を示しており、縦軸は満充電容量維持率を示している。図6に示されている電池診断用マップは、図5に示されている電池診断用マップに対応するマップある。第4判定ライン400は、図5に示されている第1判定ライン310に対応するラインであり、平均温度に対する満充電容量維持率の第4閾値を示している。第5判定ライン402は、図5に示されている第2判定ライン312に対応するラインであり、平均温度に対する満充電容量維持率の第5閾値を示している。ここで、同一平均温度において、第5閾値は第4閾値よりも大きい値である。
上記の判定ラインによって、電池診断用マップは、領域410〜414に分けられる。領域410は、図5に示されている領域322に対応する。領域412は、図5に示されている領域324に対応する。領域414は、図5に示されている領域326に対応する。
リチウムイオン二次電池10の満充電容量維持率の実際の測定値が、第4判定ライン400が示す第4閾値よりも大きい場合、つまり、測定値が領域410又は領域412に含まれる場合、そのリチウムイオン二次電池10は使用可能な状態であると判定される。測定値が、第4判定ライン400が示す第4閾値以下となる場合、つまり、測定値が領域414に含まれる場合、そのリチウムイオン二次電池10は使用継続不可能な状態であると判定される。この場合、そのリチウムイオン二次電池10の出力が禁止される。また、測定値が、第4判定ライン400が示す第4閾値よりも大きく、第5判定ライン402が示す第5閾値以下となる場合、つまり、測定値が領域412に含まれる場合、制御装置70は、リチウムイオン二次電池10の使用可能な時間が短くなっている旨を示す予告情報を出力する。これにより、予告ランプが点灯する。また、測定値が、第5判定ライン402が示す第5閾値よりも大きい場合、つまり、測定値が領域410に含まれる場合、制御装置70は、リチウムイオン二次電池10の使用時間から5年分の時間を減算する。
なお、組電池100に含まれる複数のリチウムイオン二次電池10の中に、満充電容量維持率が領域414に含まれるリチウムイオン二次電池10(使用継続不可能なリチウムイオン二次電池10)が存在する場合、当該リチウムイオン二次電池10の出力が禁止されるとともに、満充電容量維持率が領域412に含まれるリチウムイオン二次電池10の出力も禁止されてもよい。電池診断の結果に応じて、使用継続不可能なリチウムイオン二次電池10を交換するとともに、満充電容量維持率が領域412に含まれるリチウムイオン二次電池10を交換することにより、電池交換後に予告ランプが早期に点灯することを防止することが可能となる。
次に、図7に示されているフローチャートを参照して、電池診断要求処理の一例について説明する。この処理は、リチウムイオン二次電池10毎、又は、組電池100毎に実行される。以下では、リチウムイオン二次電池10毎に処理が実行される場合について説明する。
まず、温度センサ60によってリチウムイオン二次電池10の温度が計測され、使用時間計測部72によって使用時間が計測される(S01)。診断判定部74は、使用時間に対するリチウムイオン二次電池10の平均温度を算出する。平均温度に対する使用時間が診断要求閾値以上となる場合(S02,Yes)、診断要求部76は、診断要求情報を出力する(S03)。これにより、車両内に設置されている診断要求ランプが点灯する。ユーザがディーラー等に車両を入庫し、リチウムイオン二次電池10が診断されると、診断要求ランプが消灯する。平均温度に対する使用時間が診断要求閾値未満の場合(S02,No)、処理はステップS01に戻る。ステップS04では、最初に診断要求情報を出力した時点から1日が経過する度に、制御装置70は、要求期間を1日分、インクリメントする。要求期間が予め設定された期間閾値(例えば30日)未満の場合(S05,No)、処理はステップS01に戻り、ステップS01以降の処理が実行される。一方、要求期間が増加して期間閾値以上となった場合(S05,Yes)、制御装置70は、診断要求の通知方法を変更する(S06)。例えば、制御装置70は、診断要求ランプを点灯させるとともに、リチウムイオン二次電池10の出力を制限する。つまり、30日間継続して診断要求ランプが点灯し続けているにもかかわらず、電池診断が実行されない場合には、診断要求の方法を変更し、これにより、電池診断をユーザに促す。また、制御装置70は、期間閾値を、例えば30日から60日に変更する。そして、処理はステップS01に戻る。ステップS01以降の処理が実行され、電池診断が実行されずに要求期間が60日以上となった場合(S05,Yes)、制御装置70は、診断要求の通知方法を変更する(S06)。例えば、制御装置70は、スピーカによって診断要求音を出力する。また、制御装置70は、期間閾値を、例えば60日から90日に変更する。そして、処理はステップS01に戻る。ステップS01以降の処理が実行され、電池診断が実行されずに要求期間が90日以上となった場合(S05,yes)、制御装置70は、診断要求の通知方法を変更する(S06)。例えば、制御装置70は車両を停止させる。このように、診断要求がなされているにもかかわらず電池診断が実行されない場合には、要求期間に応じて診断要求の通知方法を変えていく。
以上のように、本実施形態によると、リチウムイオン二次電池10の平均温度と使用時間とに基づいて、電流遮断機構40の誤作動が生じる劣化状態にリチウムイオン二次電池10が達しているか否かが判定される。平均温度及び使用時間が、電流遮断機構40が作動すると想定される条件に達した場合に、電池診断が促される。これにより、電流遮断機構40が作動する前に電池診断が実行され、その結果、リチウムイオン二次電池10の劣化に起因する電流遮断機構40の誤作動を未然に防止することが可能となる。また、要求期間に応じて診断要求の通知方法を変えることにより、ユーザに対して電池診断が促される。
次に、図8に示されているフローチャートを参照して、電池診断処理の一例について説明する。この処理は、リチウムイオン二次電池10毎、又は、組電池100毎に実行される。以下では、リチウムイオン二次電池10毎に処理が実行される場合について説明する。
上記の診断要求に応じて、ユーザが車両をディーラー等に入庫し、ディーラー等において電池診断が実行される。まず、リチウムイオン二次電池10の満充電容量維持率が測定される(S10)。電池診断部78は、例えば図5に示されている電池診断用マップを参照し、測定された満充電容量維持率に基づいて、リチウムイオン二次電池10の状態を判定する(S11)。例えば、測定された満充電容量維持率が、電池診断用マップ中の領域326に含まれる場合、そのリチウムイオン二次電池10の状態は使用不可能な状態であると判定される。この場合、そのリチウムイオン二次電池10は交換される。交換されたリチウムイオン二次電池10の使用時間は0時間にリセットされる。また、測定された満充電容量維持率が、電池診断用マップ中の領域322に含まれる場合、制御装置70は、そのリチウムイオン二次電池10の使用期間から5年分の時間を減算する(S12)。これにより、リチウムイオン二次電池10の電池年齢が更新される。
以上のように、電流遮断機構40の誤作動が生じる可能性がある場合、リチウムイオン二次電池10自体が劣化している可能性があるため、電池診断が実行される。これにより、電流遮断機構40が誤作動する前に、劣化状態にあるリチウムイオン二次電池10を交換することが可能となる。
なお、上記の実施形態において、充電状態(SOC:State Of Charge)を測定し、満充電容量維持率に代えて充電状態SOCによって電池状態を評価してもよい。
上記の制御装置70は、一例としてハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、制御装置は、図示しないCPU等のプロセッサを備えている。当該プロセッサが、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置70の各部の機能が実現される。上記プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、記憶装置に記憶される。または、制御装置70は、例えばプロセッサや電子回路等のハードウェア資源により実現されてもよい。その実現においてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。
10 リチウムイオン二次電池、12 電池ケース、20 捲回電極体、40 電流遮断機構、60 温度センサ、70 制御装置、72 使用時間計測部、74 診断判定部、76 診断要求部、78 電池診断部、80 記憶装置、100 組電池。

Claims (1)

  1. 正極及び負極を有する電極体と、
    非水電解質と、
    前記電極体及び前記非水電解質を収容する電池ケースと、
    前記電池ケース内の圧力が予め設定された閾値以上になった場合に、前記電極体と外部端子との電気的な接続を遮断する電流遮断機構と、
    を有する二次電池を含む二次電池システムにおいて、
    前記二次電池の使用時間と前記二次電池の平均温度との相関に基づいて、前記二次電池が前記電流遮断機構の誤作動が生じる劣化状態に達しているか否かを判定する判定手段と、
    前記二次電池が前記電流遮断機構の誤作動が生じる劣化状態に達していると判定された場合に、警告情報を出力する警告手段と、
    を有することを特徴とする二次電池システム。
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