JP6216908B1 - 義歯システム及び義歯システムに使用される補綴物 - Google Patents

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Abstract

装着者自身が着脱でき、装着時の快適性をより向上させる。義歯システム1の補綴物12は歯肉24に接触する凹状の接触面58aを有する。第1基準線を含む第1基準断面において、前歯部では、人工歯32の最底部から第1基準線と平行に口蓋側又は舌側に3mmずれた位置と人工歯32の中央とを結んだ直線と、接触面58aとの交点を第1の点とすると、第1の点と口蓋側又は舌側における補綴物12の外縁との距離d1はd1≦20mmであり、かつ、臼歯部では、人工歯38の最底部から第1基準線と平行に口蓋側又は舌側にa/2(aは第1基準断面における人工歯38の頬舌径)ずれた位置と人工歯38の中央とを結んだ直線と、接触面58aとの交点を第2の点とすると、第2の点と口蓋側又は舌側における補綴物12の外縁との距離d2は、d2≦20mmである。

Description

本明細書に開示する技術は、義歯システム及び義歯システムに使用される補綴物に関する。
特許文献1にはオーバーデンチャが開示されている。オーバーデンチャとは、装着者自身によって着脱可能な補綴物であって、歯槽骨に埋め込まれたインプラント等を用いて支持する構造を有するものをいう。上顎のオーバーデンチャの一例を図24に示す。図24の符号900はオーバーデンチャの口蓋側の外縁を示している。図24から明らかなように、このオーバーデンチャは、口蓋に接触する部分が少なく(いわゆる、無口蓋オーバーデンチャであり)、補綴物装着時の快適性が高められている。
特許第5566525号
これまで、口蓋側又は舌側の補綴物の大きさ(別言すれば、補綴物の外縁の位置)は、図24に示すオーバーデンチャが限界と考えられていた。その結果、図24に示すオーバーデンチャを装着したときの快適性を上回る構造は知られていなかった。
本明細書は、装着時の快適性をより向上させた義歯システム及び義歯システムに使用される補綴物を提供する。
本明細書が開示する義歯システムは、装着者によって着脱可能とされ、天然歯の外観を模した人工歯を有する補綴物を備える。この補綴物は、無歯顎用の全部補綴物であり、補綴物が装着者の口腔内に配置されたときに、装着者の歯肉に接触する凹状の接触面を有している。平面視において左右の第1大臼歯の中央同士を結ぶ線分の中点と、各人工歯の中央とを結ぶ直線である第1基準線を含む第1基準断面において、前歯部の人工歯の少なくとも一本については、当該人工歯の唇側の歯面の最底部から第1基準線と平行に口蓋側又は舌側に3mmずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、凹状の接触面との交点を第1の点とすると、第1の点と、口蓋側又は舌側における補綴物の外縁との距離d1は、d1≦20mmであり、かつ、臼歯部の人工歯の少なくとも一本については、当該人工歯の頬側の歯面の最底部から第1基準線と平行に口蓋側又は舌側にa/2(aは第1基準断面における当該人工歯の頬舌径)ずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、凹状の接触面との交点を第2の点とすると、第2の点と、口蓋側又は舌側における補綴物の外縁との距離d2は、d2≦20mmである。
上述したように、これまでは口蓋側又は舌側の補綴物の大きさは、図24に示すオーバーデンチャが限界と考えられていた。しかしながら、発明者が鋭意検討した結果、口蓋側又は舌側の補綴物の大きさをより小さくできる(別言すれば、口蓋側又は舌側の補綴物の外縁の位置を、より唇・頬側に移動できる)ことが分かった。そして、補綴物の外縁がある一定の位置を超えて唇・頬側に位置すると、その快適性が大幅に向上することが判明した。具体的には、第1基準断面におけるd1及びd2の長さを徐々に短くして装着時の快適性を調査したところ、d1及びd2が20mmのときに快適性が大幅に向上することが分かった。上記の義歯システムでは、d1≦20mmかつd2≦20mmが成立している。このため、この義歯システムによると、装着時の快適性をより向上させることができる。
なお、本明細書の「平面視」とは、水平面に載置された咬合器に補綴物を装着した状態で、水平面と直交する方向から補綴物を見ることを意味する。
また、本明細書の「(平面視における)人工歯の中央」とは、前歯部(1〜3番目の歯)については切縁(歯冠の最先端部)の中央であり、臼歯部(4〜7番目の歯)については、咬合面の中央である。ここで、「切縁の中央」とは、切縁の舌側の辺の中点と、唇側の辺の中点とを結ぶ線分の中点として定義される。また、「咬合面の中央」とは、咬合面の舌側の辺(舌側において、近心側(正中線に近接する方向)で隣接する人工歯との境界点から遠心側(正中線から離間する方向)で隣接する人工歯との境界点までの辺)の幅方向の中点と、頬側の辺(頬側において、近心側で隣接する人工歯との境界点から遠心側で隣接する人工歯との境界点までの辺)の幅方向の中点とを結ぶ直線の、咬合面上における中点として定義される。ここで、上記「幅方向」とは、平面視方向と直交する平面に平行な方向を意味する。
また、本明細書の「第1基準断面」とは、第1基準線を含み、平面視方向に平行な断面として定義される。
また、本明細書の「歯面の最底部」とは、第1基準断面又は後述する第2基準断面において、上顎用の補綴物では唇・頬側の歯面の最上端部を意味し、下顎用の補綴物では唇・頬側の歯面の最下端部を意味する。
また、本明細書は、上記の課題を解決できる別の新規な義歯システムを開示する。この義歯システムは、装着者によって着脱可能とされ、天然歯の外観を模した人工歯を有する補綴物を備える。この補綴物は、部分補綴物であり、補綴物が装着者の口腔内に配置されたときに、装着者の歯肉に接触する凹状の接触面を有している。各人工歯の中央を通る第2基準線を含む第2基準断面において、補綴物が前歯部を有する場合は、その前歯部の人工歯の少なくとも一本については、当該人工歯の唇側の歯面の最底部から第2基準線と平行に口蓋側又は舌側に3mmずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、凹状の接触面との交点を第3の点とすると、第3の点と、口蓋側又は舌側における補綴物の外縁との距離d3は、d3≦20mmであり、補綴物が臼歯部を有する場合は、その臼歯部の人工歯の少なくとも一本については、当該人工歯の頬側の歯面の最底部から第2基準線と平行に口蓋側又は舌側にb/2(bは第2基準断面における当該人工歯の頬舌径)ずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、凹状の接触面との交点を第4の点とすると、第4の点と、口蓋側又は舌側における補綴物の外縁との距離d4は、d4≦20mmである。この義歯システムによっても、装着時の快適性をより向上させることができる。
なお、本明細書の「第2基準線」とは、前歯部については、切縁の舌側の辺の中点と、唇側の辺の中点とを結ぶ直線として定義され、臼歯部については、咬合面の舌側の辺の幅方向の中点と、頬側の辺の幅方向の中点とを結ぶ直線として定義される。
また、「第2基準断面」とは、第2基準線を含み、平面視方向に平行な断面として定義される。
また、本明細書は、上記の課題を解決できる新規な補綴物を開示する。この補綴物は、装着者によって着脱可能とされ、天然歯の外観を模した人工歯を有する。この補綴物は、無歯顎用の全部補綴物であり、補綴物が装着者の口腔内に配置されたときに、装着者の歯肉に接触する凹状の接触面を有している。平面視において左右の第1大臼歯の中央同士を結ぶ線分の中点と、各人工歯の中央とを結ぶ直線である第1基準線を含む第1基準断面において、前歯部の人工歯の少なくとも一本については、当該人工歯の唇側の歯面の最底部から第1基準線と平行に口蓋側又は舌側に3mmずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、凹状の接触面との交点を第1の点とすると、第1の点と、口蓋側又は舌側における補綴物の外縁との距離d1は、d1≦20mmであり、かつ、臼歯部の人工歯の少なくとも一本については当該人工歯の頬側の歯面の最底部から第1基準線と平行に口蓋側又は舌側にa/2(aは第1基準断面における当該人工歯の頬舌径)ずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、凹状の接触面との交点を第2の点とすると、第2の点と、口蓋側又は舌側における補綴物の外縁との距離d2は、d2≦20mmである。
また、本明細書は、上記の課題を解決できる別の新規な補綴物を開示する。この補綴物は、装着者によって着脱可能とされ、天然歯の外観を模した人工歯を有する。この補綴物は、部分補綴物であり、補綴物が装着者の口腔内に配置されたときに、装着者の歯肉に接触する凹状の接触面を有している。各人工歯の中央を通る第2基準線を含む第2基準断面において、補綴物が前歯部を有する場合は、その前歯部の人工歯の少なくとも一本については、当該人工歯の唇側の歯面の最底部から第2基準線と平行に口蓋側又は舌側に3mmずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、凹状の接触面との交点を第3の点とすると、第3の点と、口蓋側又は舌側における補綴物の外縁との距離d3は、d3≦20mmであり、補綴物が臼歯部を有する場合は、その臼歯部の人工歯の少なくとも一本については、当該人工歯の頬側の歯面の最底部から第2基準線と平行に口蓋側又は舌側にb/2(bは第2基準断面における当該人工歯の頬舌径)ずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、凹状の接触面との交点を第4の点とすると、第4の点と、口蓋側又は舌側における補綴物の外縁との距離d4は、d4≦20mmである。
また、本明細書が開示する他の義歯システムは、装着者によって着脱可能とされ、天然歯の外観を模した人工歯を有する補綴物を備える。この義歯システムでは、補綴物は無歯顎用の全部補綴物である。そして。補綴物が装着者の口腔内に配置され、かつ、中心咬合位又は中心位にあるときは、下顎の臼歯部の少なくとも一部が上顎の臼歯部と接触している一方で、下顎の中切歯及び側切歯は上顎の中切歯及び側切歯と接触しておらず、かつ、下顎が中心咬合位又は中心位の状態から前方に移動し始める際は、下顎の臼歯部の少なくとも一部が、上顎の臼歯部と接触した状態で前方に移動することを特徴とする。この義歯システムでは、咬合圧が複数の人工歯に分散され、特定の人工歯に過大な咬合圧が作用することを抑制することができる。
また、本明細書が開示する他の義歯システムは、装着者によって着脱可能とされ、天然歯の外観を模した人工歯を有する補綴物を備える。この義歯システムでは、補綴物は無歯顎用の全部補綴物である。そして、補綴物が装着者の口腔内に配置され、かつ、下顎が側方に移動して下顎の犬歯が上顎の犬歯に接触した状態では、下顎の移動方向側の臼歯部の少なくとも一部が上顎の移動方向側の臼歯部と接触していること特徴とする。この義歯システムでも、この義歯システムでは、咬合圧が複数の人工歯に分散され、特定の人工歯に過大な咬合圧が作用することを抑制することができる。
実施例1の義歯システムの唇・頬側から見たときの模式的な断面図であり、フィクスチャの中心軸を通る断面図。 補綴物が口腔内に配置された状態における補綴物の平面図。 左側下顎側切歯の切縁の平面図。 左側下顎第1大臼歯の咬合面近傍の平面図。 図2のV-V線における左側下顎側切歯の第1基準断面図。 図2のVI-VI線における左側下顎第2小臼歯の第1基準断面図。 両顎の補綴物が口腔内に配置され、かつ、中心咬合位にあるときの補綴物の側面図。 両顎の補綴物が口腔内に配置され、かつ、下顎が中心咬合位から前方に移動し始めたときの補綴物の側面図。 両顎の補綴物が口腔内に配置され、かつ、下顎が左側に移動して下顎の犬歯が上顎の犬歯に接触した状態における補綴物の側面図。 変形例1のインプラント(ワンピース構造)を示す図。 実施例2の義歯システムの唇・頬側から見たときの模式的な断面図であり、フィクスチャの中心軸を通る断面図。 補綴物が口腔内に配置された状態における補綴物の平面図。 図12のXIII-XIII線における左側下顎側切歯の第1基準断面図。 図12のXIV-XIV線における左側下顎第2小臼歯の第1基準断面図。 実施例3の義歯システムの補綴物が口腔内に配置された状態における補綴物の平面図。 図15のXVI-XVI線における左側下顎側切歯の第2基準断面図。 図15のXVII-XVII線における左側下顎第2小臼歯の第2基準断面図。 実施例4の義歯システムの補綴物が口腔内に配置された状態における補綴物の平面図。 実施例5の義歯システムの補綴物が口腔内に配置された状態における補綴物の平面図。 実施例6の義歯システムを模式的に示す図。 変形例に係る義歯システムの補綴物の一部を模式的に示す図。 他の変形例に係る義歯システムの補綴物の一部を模式的に示す図。 他の変形例に係る義歯システムの補綴物の一部を模式的に示す図。 従来のオーバーデンチャ(上顎用)の平面図。
最初に、以下に説明する実施例の特徴を列記する。なお、ここに列記する特徴は、何れも独立して有効なものである。
(特徴1) 本明細書に開示する義歯システムでは、補綴物が装着者の口腔内に配置され、かつ、中心咬合位又は中心位にあるときは、下顎の臼歯部の少なくとも一部が上顎の臼歯部と接触している一方で、下顎の中切歯及び側切歯は上顎の中切歯及び側切歯と接触しておらず、かつ下顎が中心咬合位又は中心位の状態から前方に移動し始める際は、下顎の臼歯部の少なくとも一部が、上顎の臼歯部と接触した状態で前方に移動してもよい。
従来は、下顎が中心咬合位又は中心位から前方に移動し始める際は、前歯誘導により臼歯離開(下顎の臼歯部が上顎の臼歯部から離れること)が生じることが好ましい咬み合わせだと考えられていた。この構成では、下顎前方移動時は、両顎の中切歯及び側切歯が主な接触面になるため、中切歯及び側切歯に過大な咬合圧が作用するという問題があった。しかしながら、本明細書に開示する構成では、下顎が中心咬合位又は中心位から前方に移動し始める際は、臼歯離開が生じず、下顎の臼歯部の少なくとも一部が上顎の臼歯部と接触した状態で前方に移動する。このため、下顎前方移動時の咬合圧を、両顎の臼歯部同士の接触面でも負担することができる。この構成によると、中切歯、側切歯に作用する咬合圧を大幅に軽減できると共に、各歯に分散させて咬合圧を負担させることができる。従って、過大な咬合圧に起因して義歯システムを構成する部材が損傷することを抑制できる。また、下顎前方移動時に補綴物がぐらついたり外れたりすること(転覆)を抑制できる。
なお、特徴1に記載の技術は、単独で他の義歯システム(例えば、従来公知の義歯システム(オーバーデンチャ、入れ歯等))にも適用することができる。特徴1に記載の技術を従来の義歯システムに適用することで、補綴物に作用する咬合圧を低下でき、補綴物の損傷を抑制することができる。
(特徴2) 本明細書に開示する義歯システムでは、補綴物が装着者の口腔内に配置され、かつ、下顎が側方に移動して下顎の犬歯が上顎の犬歯に接触した状態では、下顎の移動方向側の臼歯部の少なくとも一部が上顎の移動方向側の臼歯部と接触していてもよい。
従来の犬歯誘導では、下顎が側方に移動する際に両顎の犬歯のみが接触し、臼歯部同士は離開するため、犬歯に過大な咬合圧が作用するという問題があった。しかしながら、本明細書に開示する構成では、下顎が側方に移動して両顎の犬歯が接触した状態において、下顎の臼歯部の少なくとも一部が上顎の臼歯部と接触する。このため、下顎が側方に移動して両顎の犬歯が接触した状態における咬合圧を、両顎の臼歯部同士の接触面でも負担することができる。この構成によると、犬歯に作用する咬合圧を大幅に軽減できると共に、各歯に分散させて咬合圧を負担させることができる。従って、過大な咬合圧に起因して犬歯部分の義歯システムを構成する部材が損傷することを抑制できる。また、下顎側方移動時に補綴物がぐらついたり転覆したりすることを抑制できる。
なお、特徴1と同様に、特徴2に記載の技術は、単独で他の義歯システム(例えば、従来公知の義歯システム(オーバーデンチャ、入れ歯等))にも適用することができる。特徴2に記載の技術を従来の義歯システムに適用することで、補綴物に作用する咬合圧を低下でき、補綴物の損傷を抑制することができる。
(特徴3) 本明細書に開示する義歯システムでは、補綴部のうち、少なくとも凹状の接触面が形成される部位の材料は、ヤング率が70〜267kgf/mm−2であってもよい。この構成によると、凹状の接触面が形成される部位は、比較的に高い弾力性を有する。このため、補綴物に外力が作用すると、当該部位が撓むことで咬合圧を好適に吸収できる。この結果、義歯システムを構成する他の部材に伝達される咬合圧を低減できるため、これらの部材の耐久性を向上できる。
(特徴4) 本明細書に開示する義歯システムは、歯槽骨に埋め込まれたフィクスチャと、アバットメントをさらに備えていてもよい。アバットメントは、フィクスチャと連結され、歯槽骨を覆う歯肉から露出する露出部分を有していてもよい。補綴物には、アバットメントの露出部分が係合可能な係合穴が設けられており、補綴物は、装着者が係合穴に露出部分を係合させたり取り外したりすることで、アバットメントから着脱可能に構成されていてもよい。なお、フィクスチャが埋め込まれた位置に対応する人工歯については、上記第1、第2基準断面は定義されない。
(特徴5) 本明細書に開示する義歯システムは、インプラントをさらに備えていてもよい。インプラントは、歯槽骨に埋め込まれたフィクスチャ部と、該フィクスチャ部と一体に成形され、歯槽骨を覆う歯肉から露出する露出部分を有するアバットメント部を有していてもよい。補綴物には、アバットメント部の露出部分が係合可能な係合穴が設けられており、補綴物は、装着者が係合穴に露出部分を係合させたり取り外したりすることで、アバットメント部から着脱可能に構成されていてもよい。
(特徴6) 本明細書に開示する義歯システムは、天然歯根に取付けられると共に、歯槽骨を覆う歯肉から露出する露出部分を有するアタッチメントをさらに備えていてもよい。補綴物には、アタッチメントの露出部分が係合可能な係合穴が設けられており、補綴物は、装着者が係合穴に露出部分を係合させたり取り外したりすることで、アタッチメントから着脱可能に構成されていてもよい。
(特徴7) 本明細書に開示する義歯システムは、部分補綴物を備えており、当該部分補綴物は、人工又は天然の支台歯をさらに備えていてもよい。補綴物は、支台歯に係合させるためのクラスプ、ウィング、又はコーヌス用の外冠を有しており、補綴物は、クラスプ又はウィングを支台歯に係合させたり取り外したりすることで、又は、外冠を支台歯に設けられた内冠に係合させたり取り外したりすることで、支台歯から着脱可能に構成されていてもよい。
図1〜図10を参照して、実施例1の義歯システム1について説明する。図1に示すように、義歯システム1は、補綴物10と、フィクスチャ16と、アバットメント18を備える。補綴物10は、下顎用の補綴物12と、上顎用の補綴物14を備える。下顎の歯槽骨22の表面は歯肉24で覆われている。上顎の歯槽骨26の表面は歯肉28で覆われている。下顎の歯槽骨22及び上顎の歯槽骨26には、歯肉24、28を貫通してそれぞれ4本のフィクスチャ16が埋め込まれている。各フィクスチャ16にはアバットメント18が連結されている。フィクスチャ16とアバットメント18の中心軸は一致している。フィクスチャ16とアバットメント18の接続面の高さは、歯槽骨22、26の表面の高さに等しい(ボーンレベルインプラント)。アバットメント18の一部は、歯肉24、28から露出している。以下では、当該露出した部分を、露出部分20と称する。フィクスチャ16及びアバットメント18には公知の構造を採用し得る。
図1、図2に示すように、補綴物12、14は、無歯顎用の補綴物(全部補綴物)である。なお、本明細書における「無歯顎」とは、天然歯冠が1本も残存していない状態の顎を表す。このため、歯槽骨内に天然歯根が残存している場合であっても、天然歯冠が残存していない場合は、「無歯顎」に分類される。補綴物12は、下顎の歯肉24上に装着され、補綴物14は、上顎の歯肉28上に装着される。
補綴物12は、14本の人工歯30〜56と、床58を備える。人工歯30〜56はポーセレンによって形成されている。人工歯30〜56は天然歯の外観を模しており、天然歯の配列に倣って配置されている。具体的には、正中線L1から1番目の人工歯30、44が中切歯、2番目の人工歯32、46が側切歯、3番目の人工歯34、48が犬歯、4番目の人工歯36、50が第1小臼歯、5番目の人工歯38、52が第2小臼歯、6番目の人工歯40、54が第1大臼歯、7番目の人工歯42、56が第2大臼歯として機能する。
床58は、ポリアミド系材料、例えば、ナイロンによって形成されている。ナイロンは、耐久性が高く、軽量であり、弾力性が高い材料であり、70〜267kgf/mm−2のヤング率を有する。床58は、天然の歯肉の外観を模しており、人工歯30〜56の下方(即ち、歯槽骨22側)に接着されている。床58には、アバットメント18の露出部分20と対応する位置に、露出部分20と係合可能な4個の係合穴59が設けられている。より具体的には、各係合穴59は、犬歯34、48の下方に位置する床58と、第1大臼歯40、54の下方に位置する床58に設けられている。別言すれば、各フィクスチャ16は、犬歯34、48の下方に位置する歯槽骨22と、第1大臼歯40、54の下方に位置する歯槽骨22に埋め込まれている。露出部分20を係合穴59に係合させることで、補綴物12が装着者の口腔内に配置される(より具体的には、補綴物12が歯肉24に対して固定される)。このとき、床58の下面58aは、歯肉24の表面24aと接触している(以下では、床58の下面を「接触面」と称する)。補綴物12は、装着者が係合穴59に露出部分20を係合させたり取り外したりすることにより、アバットメント18から着脱可能に構成されている。
なお、露出部分20と係合穴59とを係合させる構造としては、公知の構造を採用し得る。例えば、特許第5566525号に開示されている構造、ボールアタッチメント、Oリングアタッチメント、マグネットアタッチメント、又はロケータアタッチメントなどの構造が挙げられる。なお、人工歯30〜56の材料はポーセレンに限られず、例えばジルコニア、ハイブリッド、硬質レジン、ポリアミド系材料(例えば、ナイロン等)を用いてもよい。また、床58の材料はポリアミド系材料に限られず、耐久性があり、比較的に軽量であり、弾力性を有する(典型的には、ヤング率が70〜267kgf/mm−2である)材料を好適に用いることができる。さらに、床に用いられる材料は、上記した弾力性を備える必要は必ずしもなく、例えば、上述した材料より弾力性に劣る材料(例えば、スルホン、アクリル系レジン等の樹脂材料、あるいは、チタン、コバルト、白金加金等の金属材料)を用いてもよい。なお、弾力性に優れた材料を床に用いた場合、咬合圧を下げることができるので、後述する咬合技術を必ずしも採用する必要はない。
補綴物14は、補綴物12と略同一の構成を有する。即ち、補綴物14は、14本の人工歯60〜86と、床88を備える。正中線L1から数えたときの人工歯の名称は、補綴物12の人工歯30〜56と同一である。床88は、人工歯60〜86の上方(即ち、歯槽骨26側)に接着されている。床88には、犬歯64、78の上方に位置する床88と、第1大臼歯70、84の上方に位置する歯肉88のそれぞれに、露出部分20と係合可能な4個の係合穴89が設けられている。露出部分20を係合穴89に係合させると、補綴物14が歯肉28に対して固定される。このとき、床88の上面88aは、歯肉28の上面28aと接触している。補綴物14は、装着者が係合穴89に露出部分20を係合させたり取り外したりすることにより、アバットメント18から着脱可能に構成されている。なお、係合穴89を設ける位置(即ち、歯槽骨26にフィクスチャ16を埋め込む位置)は、係合穴59を設ける位置と対応していなくてもよい。また、係合穴59、89を設ける位置及び個数は上記の構成に限られず、装着者の咬合力等を考慮して適宜決定されてもよい。
図2は、補綴物12、14が口腔内に配置された状態における補綴物12、14の平面図である。図を見易くするために、図2では床58、88をグレースケールで示している。この平面図における補綴物12、14の形状は、水平面に載置された咬合器に補綴物12、14を装着した状態で補綴物12、14を水平面と直交する方向から見たときの補綴物12、14の形状と一致する。
図2に示すように、補綴物12の前歯部(1〜3番目の歯)の各人工歯30、32、34、44、46、48は、歯冠の最先端にそれぞれ切縁30a、32a、34a、44a、46a、48aを有する。補綴物12の臼歯部(4〜7番目の歯)の各人工歯36、38、40、42、50、52、54、56は、それぞれ咬合面36a、38a、40a、42a、50a、52a、54a、56aを有する。切縁30a〜34a、44a〜48a上の黒点、及び咬合面36a〜42a、50a〜56a上の黒点は、それぞれ切縁の中央、及び咬合面の中央を表す。
切縁及び咬合面の中央の求め方を図3、図4を参照して説明する。図3に示すように、切縁32a(側切歯32の切縁)の中央P1は、切縁32aの舌側の辺32bの中点と、唇側の辺32cの中点とを結ぶ線分(図3に破線で示す)の中点として定義される。切縁32a以外の切縁の中央も同様の定義に従って求められ得る。また、図4に示すように、咬合面40a(第1大臼歯40の咬合面)の中央P2は、咬合面40aの舌側の辺40b(舌側において、近心側(正中線L1に近接する方向)で隣接する人工歯との境界点から遠心側(正中線L1から離間する方向)で隣接する人工歯との境界点までの辺)の幅方向の中点と、頬側の辺40c(頬側において、近心側で隣接する人工歯との境界点から遠心側で隣接する人工歯との境界点までの辺)の幅方向の中点とを結ぶ直線L2の、咬合面40a上における中点として定義される。咬合面40a以外の咬合面の中央も同様の定義に従って求められ得る。但し、第2大臼歯42については、咬合面42aの舌側の辺は、咬合面42aを舌側から歯列弓(歯列が描く曲線)と直交する方向に見たときの咬合面42aの最突出点から、舌側における第1大臼歯40との境界点までの辺として定義される。同様に、咬合面42aの頬側の辺は、上記最突出点から、頬側における第1大臼歯40との境界点までの辺として定義される。第2大臼歯56についても同様である。
以下では、第1大臼歯40の咬合面40aの中央P2と、第1大臼歯54の咬合面54aの中央P3とを結ぶ線分の中点C1と、各人工歯30〜56の切縁又は咬合面の中央とを結ぶ線を「第1基準線」と称する。また、第1基準線を含み、平面視方向に平行な断面を、「第1基準断面」と称する。図2の線L3は、中点C1と側切歯32の切縁32aの中央P1とを結ぶ第1基準線であり、線L4は、中点C1と第2小臼歯38の咬合面38aの中央P4とを結ぶ第1基準線である。図5は、線L3を含む第1基準断面(即ち、側切歯32の断面)であり、図6は、線L4を含む第1基準断面(即ち、第2小臼歯38の断面)である。
図2、図5、図6を参照して舌側の床58についてより詳細に説明する。図5、図6に示すように、床58の接触面58aは凹状であり、歯肉24の表面24aに接触している。この特徴は、第1基準断面の床58だけではなく、床58全体について成立している。点P5は、側切歯32の唇側の歯面の最底部(最下端部、別言すれば、唇側の歯面と床58との境界点)である。点P6は、点P5から線L3と平行に舌側に3mmずれた点である。点P7は、点P1と点P6を結んだ直線と、接触面58aとの交点である。点P8は、床58の舌側の外縁(別言すれば、床58と歯肉24の舌側の境界点)である。床58は、歯肉24に対して辺縁封鎖されている。また、床58の舌側の外縁は、点P8において歯肉24の表面24aに滑らかに接続している。この特徴は、第1基準断面の床58だけではなく、床58全体について成立している。これにより、補綴物12の装着者は、舌が点P8に接触しても異物感を感じることを抑制でき、補綴物12の装着時の快適性を向上させることができる。なお、点P7は、「第1の点」の一例に相当する。
本実施例では、床58の外縁の位置は、点P7、点P8間の距離d1が0mm<d1≦20mmとなるように設計されている。これは、他の5本の前歯部のうち、係合穴59が設けられている床58の上方に位置する人工歯以外の人工歯の第1基準断面においても成立している。即ち、犬歯34、48以外の人工歯30、44、46の第1基準断面においても成立している。
また、図6に示すように、aは、咬合面38aの頬舌径である。点P10は、第2小臼歯38の頬側の歯面の最底部(最下端部)である。点P11は、点P10から線L4と平行に舌側にa/2ずれた点である。点P12は、点P4と点P10を結んだ直線と、接触面58aとの交点である。点P13は、床58の舌側の外縁である。なお、点P12は、「第2の点」の一例に相当する。
本実施例では、床58の外縁の位置は、点P12、点P13間の距離d2が0mm<d2≦20mmとなるように設計されている。これは、他の7本の臼歯部のうち、係合穴59が設けられている床58の上方に位置する人工歯以外の人工歯の第1基準断面においても成立している。即ち、第1大臼歯40、54以外の人工歯36、42、50、52、56の第1基準断面においても成立している。
本実施例では、床58の外縁の位置は、前歯部の第1基準断面におけるd1が0mm<d1≦20mmとなり、かつ、臼歯部の第1基準断面におけるd2が0mm<d2≦20mmとなるように設計されている。0mm<d1かつ0mm<d2とすることにより、補綴物12を歯肉24に好適に固定することができる。また、d1≦20mmかつd2≦20mmとすることにより、少なくともd1とd2のどちらか一方が20mmより大きい構成と比較して、補綴物装着時の不快感を大幅に低減することができる。なお、距離d1、d2は短いほど好ましい。具体的には、d1、d2の上限値は、20mm以下であればどのような値を設定してもよく、例えば、20mm〜5mmの範囲で設定することができる。d1、d2の上限値を5mm以上とすることで、床58、88と歯肉24、28との接触面積をある程度確保でき、義歯システムに作用する力を分散することができる。このため、d1、d2の上限値は、19mm、18mm、17mm、16mm、15mm、14mm、13mm、12mm、11mm、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、又は5mmのいずれかに設定してもよい。なお、d1とd2の上限値は互いに異なっていてもよい。
また、図2の破線B1は、歯肉24と歯槽粘膜25との境界(歯肉歯槽粘膜境)を表し、図5、図6の点P9は、各第1基準断面における歯肉歯槽粘膜境B1の位置を表す。歯肉24は不動性を有し、角化上皮で覆われており、歯槽粘膜25は、非角化の可動性粘膜に覆われている。図2、図5、図6に示すように、床58の舌側の外縁は、歯肉歯槽粘膜境B1よりも唇・頬側に位置していることが好ましい。
なお、図2に示すように、補綴物14の各人工歯60〜86についても、上述した定義を用いて切縁60a〜64a、74a〜78aの中央、及び咬合面66a〜72a、80a〜86aの中央(黒点参照)を求められる。犬歯64、78を除く前歯部60、62、74、76の第1基準断面(即ち、左右の第1大臼歯70、84の中央同士を結ぶ線分の中点C2と、各前歯部60、62、74、76の中央とを結ぶ直線(第1基準線)を含み、平面視方向に平行な断面)では、0mm<d1≦20mmが成立している。また、第1大臼歯70、84を除く臼歯部66、68、72、80、82、86の第1基準断面(即ち、中点C2と各臼歯部66、68、72、80、82、86の中央とを結ぶ直線(第1基準線)を含み、平面視方向に平行な断面)では、0mm<d2≦20mmが成立している。補綴物14のd1、d2の上限値の範囲は、補綴物12のd1、d2の上限値の範囲と同様に設定され得る。また、床88の口蓋側の外縁は、歯肉28と歯槽粘膜29との境界線B2(歯肉歯槽粘膜境)よりも唇・頬側に位置していることが好ましい。
次に、図7〜図9を参照して、補綴物12、14の咬み合わせについて説明する。図7〜図9では、補綴物12、14は装着者の口腔内(図示省略)に配置されている。図7に示すように、両顎の補綴物12、14が中心咬合位にあるときは、補綴物12の臼歯部36〜42、50〜56(50〜56については図示省略)が補綴物14の臼歯部66〜72、80〜86(80〜86については図示省略)に接触している一方で、補綴物12の中切歯30、44及び側切歯32、46(切歯44、46については図示省略)は、補綴物14の中切歯60、74及び側切歯62、76(切歯74、76については図示省略)に接触していない。より具体的には、補綴物12、14が中心咬合位にあるときは、咬合面36a(50a)が咬合面66a(80a)と、咬合面38a(52a)が咬合面66a(80a)、68a(82a)と、咬合面40a(54a)が咬合面70a(84a)と、咬合面42a(56a)が咬合面72a(86a)とそれぞれ接触している一方で、切歯30、32(44、46)の唇側の歯面は、切歯60、62(58、60)の口蓋側の歯面に対して舌側に位置しており、両者の間には隙間がある。
この状態から図8に示すように下顎が前方に移動する際は、下顎は、補綴物12の36〜42、50〜56が補綴物14の臼歯部66〜72、80〜86にそれぞれ接触した状態で前方に移動する。従来は、下顎が中心咬合位から前方に移動し始める際は、前歯誘導により臼歯離開が生じることが好ましい咬み合わせだと考えられていた。この構成では、下顎前方移動時は、両顎の中切歯及び側切歯が主な接触面になるため、中切歯及び側切歯に過大な咬合圧が作用するという問題があった。しかしながら、本実施例では、下顎が中心咬合位から前方に移動し始める際は、臼歯離開が生じず、補綴物12の臼歯部36〜42、50〜56の少なくとも一部が補綴物14の臼歯部66〜72、80〜86とそれぞれ接触した状態で前方に移動する。別言すれば、従来は上顎の切歯をガイドにして下顎が前方移動していたが、本実施例の補綴物12、14では、補綴物14の臼歯部66〜72、80〜86をガイドにして下顎が前方移動する。このため、下顎前方移動時の咬合圧を、両顎の臼歯部同士の接触面でも負担することができる。この構成によると、切歯30、32、44、46、60、62、74、76に作用する咬合圧を大幅に軽減できると共に、各人工歯に分散させて咬合圧を負担させることができる。
特に、本実施例では、補綴物12、14は無歯顎用の全部補綴物である。このため、切歯30、32、44、46、60、62、74、76に過大な咬合圧が作用することに起因して補綴物12、14、フィクスチャ16、及びアバットメント18などが損傷することを抑制できる。また、下顎は臼歯部同士が接触した状態で前方移動するため、下顎前方移動時は、補綴物12と補綴物14は臼歯部接触面において互いに押さえ合う。このため、下顎前方移動時に補綴物12、14がぐらついたり、外れたりすること(転覆)を抑制できる。なお、本実施例では、中心咬合位を基準として、中心咬合位から下顎が前方に移動する際の咬み合わせを改良した例について説明したが、本明細書において開示した技術はこのような例に限られない。例えば、中心位を基準として、中心位から下顎が前方に移動する際の咬み合わせを改良してもよい。
また、図9に示すように、下顎が側方(図9では左側)に移動して補綴物12の犬歯34が補綴物14の犬歯64に接触した状態では、補綴物12の左側(下顎の移動方向側)の臼歯部36〜42の少なくとも一部が、補綴物14の移動方向側の臼歯部66〜72と接触している。即ち、本実施例では、下顎は、臼歯部36〜42と臼歯部66〜72の接触が維持された状態で側方に移動する。これは、犬歯34、64の切縁の傾斜を従来よりも緩やかに設定することで実現している。こうすることで、犬歯34、64の切縁34a、64a同士が接触しても、両顎が平面視方向に従来ほど離開しない(即ち、臼歯離開が起こらない)ように調整されている。従来の犬歯誘導では、下顎が側方に移動する際に両顎の犬歯のみが接触し、臼歯部同士は離開するため、下顎の犬歯に過大な咬合圧が作用するという問題があった。しかしながら、本実施例では、下顎が左側に移動して補綴物12、14の犬歯34、64が接触した状態において、補綴物12の臼歯部36〜42が補綴物14の臼歯部66〜72と接触する。このため、下顎が左側に移動して両顎の犬歯34、64が接触した状態における咬合圧を、両顎の臼歯部同士の接触面でも負担することができる。この構成によると、犬歯34、64に作用する咬合圧を大幅に軽減できると共に、咬合圧を各歯に分散させて負担させることができる。
特に、本実施例では、補綴物12、14は無歯顎用の全部補綴物である。このため、下顎が左側に移動するときは補綴物12と補綴物14は臼歯部接触面において互いに押さえ合う。従って、下顎移動時に補綴物12がぐらついたり、転覆したりすることを抑制できる。また、本実施例では、フィクスチャ16は、犬歯34、64に対応する部分の歯槽骨22、26に埋め込まれている。このため、犬歯34、64に作用する咬合圧が軽減されることにより、対応するフィクスチャ16及びアバットメント18に過大な咬合圧が作用することを抑制でき、これらの耐久性を向上できる。
なお、右側の犬歯48、78も、左側の犬歯34、64と同様に切縁の傾斜が緩くなるように形成されている。このため、下顎が右側に移動して犬歯48が犬歯78に接触した状態においても、臼歯離開は生じず、臼歯50〜56の少なくとも一部が臼歯80〜86接触している。この場合も、上記の構成と同様の作用効果を奏する。
なお、本実施例では補綴物12、14を装着者の口腔内に配置した状態で下顎を前方又は側方に移動させたが、下顎の移動方法はこれに限られない。例えば、補綴物12、14を咬合器に装着し、補綴物12を補綴物14に対して相対的に移動させる移動方法を採用してもよい。
実施例1の義歯システム1の作用効果を説明する。これまでは、口蓋側又は舌側の補綴物の大きさは、オーバーデンチャが限界と考えられていた。しかしながら、発明者が鋭意検討した結果、口蓋側又は舌側の補綴物(床58、88)の大きさをより小さくできることが分かった。具体的には、第1基準断面におけるd1及びd2の長さを徐々に短くして装着時の快適性を調査したところ、d1及びd2が20mmのときに快適性が大幅に向上することが分かった。義歯システム1では、床58の舌側の外縁の位置、及び床88の口蓋側の外縁の位置は、0mm<d1≦20mmかつ0mm<d2≦20mmが成立するように設計されている。このため、従来のオーバーデンチャ(図24参照)と比較して装着時の快適性を大幅に向上させることができる。特に、実施例1の義歯システム1では、補綴物12、14の床58、88の外縁は、歯肉歯槽粘膜境B1よりも唇・頬側に位置している。このため、装着時の快適性をさらに向上させることができる。
また、実施例1の義歯システム1では、接触面58a、88aをそれぞれ有する床58、88は、ナイロンによって形成されている。ナイロンは、比較的に高い弾力性を有する。このため、人工歯に咬合圧が作用すると、床58、88が撓むことで咬合圧を好適に吸収できる。この結果、フィクスチャ16及びアバットメント18に伝達される咬合圧を低減できるため、これらの部材の耐久性を向上できる。
なお、実施例1の義歯システム1が採用した咬合様式は、下顎位が中心咬合位から側方又は前方運動する場合における咬合様式であったが、本明細書に開示する咬合様式はこれに限られない。実施例1に採用した咬合様式に加えて、前歯・臼歯部が切端咬合位、そしてそれを超えて反対咬合に至る場合において(つまり、下顎の運動可能域における種々の咬合運動時において)、上下顎の複数歯による分散された干渉の少ないスムーズな接触が得られるようにしてもよい。これによって、義歯システム1の補綴物12,14(いわゆる、上部構造)が上下ともに安定し、転覆や破折が生じ難くなると共に、特定のフィクスチャ16(ただし、残存歯や支台歯がある場合は残存歯や支台歯)の咬合圧を軽減することができる。
なお、上述した実施例1の義歯システム1では、上顎の左右それぞれに7本の人工歯が配置され、また、下顎の左右それぞれに7本の人工歯が配置されていたが、本明細書に係る技術は、このような例に限られない。例えば、装着者の口腔内の状況に応じて、上顎と下顎の左右それぞれに配置される人工歯を7本より少ない数としてもよい。すなわち、上顎と下顎の左右それぞれに6本又は5本の人工歯を配置するようにしてもよい。
(変形例1)
図10を参照して変形例1について説明する。以下では、実施例1と相違する点についてのみ説明し、実施例1と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。その他の実施例及び変形例についても同様である。実施例1では、フィクスチャ16とアバットメント18は別体であったが(いわゆるツーピース構造)、変形例1では、一体型のインプラント119(いわゆるワンピース構造)を採用している。図10に示すように、インプラント119は、フィクスチャ部116と、フィクスチャ部116と一体に成形されたアバットメント部118を備える。変形例1では、フィクスチャ部116が歯槽骨22(26)に埋め込まれる。アバットメント部118は、歯肉24(28)から露出する露出部分120を有する。補綴物12(14)は、装着者が係合穴59(89)に露出部分120を係合させたり取り外したりすることで、インプラント119から着脱可能とされている。この構成によっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、インプラント119には、公知のワンピース構造のインプラントを採用し得る。
(変形例2)
実施例1では歯槽骨22、26に人工歯根としてフィクスチャ16が埋め込まれた。しかしながら、補綴物12、14は、天然歯根が残存している無歯顎の口腔内にも配置することができる。その一例として、変形例2では、天然歯根にマグネットアタッチメントが取付けられる。マグネットアタッチメントは、少なくとも表面が歯肉から露出していればよい。補綴物の係合穴にはマグネットが固定されている。補綴物は、装着者が係合穴内のマグネットに、マグネットアタッチメントの露出部分を磁力によって吸着させたり取り外したりすることで、マグネットアタッチメントから着脱可能とされている。この構成によっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、マグネットアタッチメントには公知の構造を採用し得る。また、マグネットアタッチメントの代わりにロケータアタッチメントを用いてもよい。
次に、図11〜図14を参照して、実施例2の義歯システム201について説明する。義歯システム201は、補綴物212、214と、フィクスチャ16と、アバットメント18を備える。図11、図12に示すように、補綴物212は14本の人工歯230〜256と床258(図12参照)を有しており、補綴物214は14本の人工歯260〜286と床288(図12参照)を有している。人工歯230〜256、260〜286は、ナイロンによって形成されている。本実施例では、4個の係合穴259は、床258ではなく、人工歯234、240、248、254にそれぞれ設けられており、4個の係合穴289は、床288ではなく、人工歯266、270、278、284にそれぞれ設けられている。
図12〜14に示すように、本実施例の床258、288は、唇・頬側にのみ配置されており、舌側、口蓋側には配置されていない。図13は、側切歯232の第1基準断面を示し、図14は、第2小臼歯238の第1基準断面を示す。本実施例では、図13、図14に示すように、側切歯232、第2小臼歯238の下面(歯槽骨22側の面)は、床258を介さずに歯肉24の表面24aに直接的に接触している。補綴物212の凹状の接触面258aは、側切歯232(第2小臼歯238)の下面と床258の下面によって構成されている。この特徴(即ち、接触面258aが人工歯の下面と床258の下面によって構成されていること)は、補綴物212の全体について成立する。
図13の点P14、点P18〜点P20は、実施例1の点P1、点P5〜点P7の定義に準ずる。点P21は、側切歯232の舌側の外縁(別言すれば、側切歯232と歯肉24の舌側の境界点)である。側切歯232は、歯肉24に対して辺縁封鎖されている。また、側切歯232の舌側の外縁は、点P21において歯肉24の表面24aに滑らかに接続している。この特徴は、第1基準断面の側切歯232だけではなく、人工歯230〜256全体について成立している。図14の点P17、点P22〜点P24は、実施例1の点P4、点P10〜12の定義に準ずる。点P25は、第2小臼歯238の舌側の外縁である。
本実施例では、側切歯232の舌側の外縁の位置は、点P20、点P21間の距離d1(図13参照)が0mm<d1≦20mmとなるように設計されており、かつ、第2小臼歯238の舌側の外縁の位置は、点P24、点P25間の距離d2(図14参照)が0mm<d2≦20mmとなるように設計されている。これは、係合穴259が設けられている人工歯以外の全ての人工歯の第1基準断面において成立している。0mm<d1かつ0mm<d2とすることにより、補綴物212を歯肉24に固定することができる。また、d1≦20mmかつd2≦20mmとすることにより、少なくともd1とd2のどちらか一方が20mmより大きい構成と比較して、補綴物装着時の不快感を大幅に低減することができる。なお、d1、d2の距離は短いほど好ましい。具体的には、d1、d2の上限値は、20mm以下であればどのような値を設定してもよく、例えば、20mm〜5mmの範囲で設定することができる。d1、d2の上限値を5mm以上とすることで、床と歯肉との接触面積をある程度確保でき、義歯システムに作用する力を分散することができる。このため、d1、d2の上限値は、19mm、18mm、17mm、16mm、15mm、14mm、13mm、12mm、11mm、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、又は5mmのいずれかに設定してもよい。また、各人工歯230〜256の舌側の外縁は、歯肉歯槽粘膜境B1よりも唇・頬側に位置していることが好ましい。補綴物214は、補綴物212と略同一の構成を有するため、その説明は省略する。なお、点P20は「第1の点」の一例に相当し、点P24は「第2の点」の一例に相当する。
この構成によっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。即ち、本実施例では、補綴物212の舌側の外縁の位置(即ち、人工歯230〜256の舌側の外縁の位置)、及び、補綴物214の口蓋側の外縁の位置(即ち、人工歯260〜286の口蓋側の外縁の位置)は、0mm<d1≦20mmかつ0mm<d2≦20mmが成立するように設計されている。このため、従来のオーバーデンチャ(図24参照)と比較して装着時の快適性を大幅に向上させることができる。
また、本実施例の補綴物212、214は、特に、歯槽骨22、26の吸収度合いが軽微な場合(歯槽骨22、26の高さが高い場合)に用いることができる。即ち、歯槽骨22、26は加齢や抜歯に伴い吸収され、高さが低くなる(別言すれば歯槽堤の傾斜が緩やかになる)。この場合、歯槽頂(歯槽堤の頂点)から咬合面までの長さが長くなるため、人工歯の下方に床を設ける必要が生じる。また、歯槽堤の傾斜が緩いと、その分だけ舌側、口蓋側の床の大きさを大きくする必要がある。しかしながら、本実施例では、歯槽骨22、26の高さが高いため、歯槽頂から咬合面までの長さが天然歯の長さとあまり変わらず、人工歯の下方に床を設ける必要がなくなる。また、歯槽堤の傾斜が急峻なため、補綴物の大きさを小さくできる。このような場合は、舌側、口蓋側では、審美性がさほど要求されないため、補綴物を床ではなく人工歯で形成することが可能となる。一方、唇・頬側では、審美性を考慮して化粧用の床が設けられる。即ち、本実施例の構成によると、舌側、口蓋側の補綴物212、214の大きさをより一層小さくできる。
なお、本実施例では人工歯をナイロンによって形成したが、この構成に限られない。例えば、人工歯230〜256の上部(切縁、咬合面側の部分)をポーセレンによって形成し、下部(底部側の部分)をナイロンによって形成してもよい。人工歯260〜286についても同様である。別言すれば、補綴物212、214の接触面258a、288aが弾力性が比較的高い材料(典型的には、70〜267kgf/mm−2のヤング率を有する材料)で形成されていれば、その他の部分は、人工歯に適した他の材料で形成されていてもよい。また、本実施例に変形例1のインプラント119を適用してもよい。
図15〜図17を参照して、義歯システム301について説明する。義歯システム301は、補綴物312と、フィクスチャ(図示省略)と、露出部分20(図15の破線参照)を有するアバットメント(図示省略)を備える。補綴物312は下顎用の部分補綴物であり、下顎に天然歯冠又は人工歯冠が部分的に残存している場合に用いられる。なお、人工歯冠は、人工歯根に接続された歯冠だけではなく、天然歯根に接続された歯冠も含む。上顎用の部分補綴物は補綴物312と略同一の構成を有するため、以下ではその説明は省略する。実施例4〜6についても同様である。補綴物312は、犬歯334a(後述)に対応する位置に1個の係合穴359(図15の破線参照)を有している。補綴物312の平面視において係合穴359と対応する位置の歯肉(図示省略)からは、アバットメントの露出部分20が露出している。補綴物312は、係合穴359にアバットメントの露出部分20が係合することで、歯肉に固定されている。
補綴物312は、4本の人工歯として、側切歯332、犬歯334、第1小臼歯336、第2小臼歯338と、人工歯の下方に接着された床358を備える。各人工歯332〜338の切縁332a、334a、及び咬合面336a、338aの中央の求め方は、実施例1と同一である。図15の線L5は、切縁332aの舌側の辺の中点と、唇側の辺の中点とを結ぶ直線である。線L5は、第2基準線の一例である。前歯部の人工歯については、線L5と同様の求め方で第2基準線を求めることができる。図15の線L6は、咬合面338aの舌側の辺の幅方向の中点と、頬側の辺の幅方向の中点とを結ぶ直線である。線L6は、第2基準線の一例である。臼歯部の人工歯については、線L6と同様の求め方で第2基準線を求めることができる。図16は、側切歯332の第2基準断面(線L5を含み、平面視方向に平行な断面)を示し、図17は、第2小臼歯338の第2基準断面(線L6を含み、平面視方向に平行な断面)を示す。図16の点P26、点P28〜点P31は、実施例1のP1、点P5〜点P8の定義に準ずる。図17の点P27、点P32〜点P35は、実施例1の点P4、点P10〜13の定義に準ずる(本実施例では咬合面338aの頬舌径をbとしている)。なお、点P30は「第3の点」の一例に相当し、点P34は「第4の点」の一例に相当する。
本実施例では、床358の外縁の位置は、点P30、点P31間の距離d3(図16参照)が0mm<d3≦20mmとなり、かつ、点P34、点P35間の距離d4(図17参照)が0mm<d4≦20mmとなるように設計されている。これは、係合穴359が設けられている人工歯以外の全ての人工歯の第2基準断面において成立している。0mm<d3かつ0mm<d4とすることにより、補綴物312を歯肉24に固定することができる。また、d3≦20mmかつd4≦20mmとすることにより、少なくともd3とd4のどちらか一方が20mmより大きい構成と比較して、補綴物装着時の不快感を大幅に低減することができる。なお、d3、d4の距離は短いほど好ましい。具体的には、d3、d4の上限値は、20mm以下であればどのような値を設定してもよく、例えば、20mm〜5mmの範囲で設定することができる。d3、d4の上限値を5mm以上とすることで、床と歯肉との接触面積をある程度確保でき、義歯システムに作用する力を分散することができる。このため、d3、d4の上限値は、いずれも19mm、18mm、17mm、16mm、15mm、14mm、13mm、12mm、11mm、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、又は5mmのいずれかに設定してもよい。また、床358の舌側の外縁は、歯肉歯槽粘膜境B1(図16、17においては点P9)よりも唇・頬側に位置していることが好ましい。この構成によっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、補綴物は、前歯部のみ又は臼歯部のみを有する構成であってもよい。また、本実施例に変形例1のインプラント119を適用してもよい。
図18を参照して実施例4の義歯システム401について説明する。義歯システム401は、補綴物412と、天然の犬歯434及び第2大臼歯442を備える。補綴物412は、着脱可能に構成された下顎用の部分補綴物である。補綴物412は、3本の人工歯として、第1小臼歯436、第2小臼歯438、第1大臼歯440と、人工歯の下方に接着された床458を備える。床458は、その両端に、金属製のクラスプ490a、490bを有している。補綴物412は、クラスプ490aを天然犬歯434に係合させ、クラスプ490bを天然第2大臼歯442に係合させることにより、天然犬歯434と天然第2大臼歯442の間の歯肉(図示省略)に固定されている。各人工歯436〜440の第2基準断面(図示省略)では、0mm≦d4≦20mmが成立する。また、補綴物412が人工の前歯部を有する場合は、床458の外縁の位置は、当該前歯部の第2基準断面(図示省略)において、0mm≦d3≦20mmが成立するように設計される。なお、犬歯434、第2大臼歯442は、「支台歯」の一例に相当する。
この構成によっても、実施例3と同様の作用効果を奏することができる。また、本実施例では補綴物412を両端のクラスプ490a、490bのみで固定したが、この構成に限られない。例えば、補綴物412に係合穴を設け、アバットメントの露出部分を係合させることで補綴物412の固定力をさらに高めてもよい。また、床458は、クラスプ490a、490bの一方のみを有する構成であってもよい。また、支台歯は人工歯冠であってもよい(実施例5、6についても同様)。
図19を参照して実施例5の義歯システム501について説明する。義歯システム501は、着脱可能に構成された補綴物512と、天然の犬歯534及び第2大臼歯542を備える。補綴物512は、その床558が、両端に床558と同一材料で一体的に形成されたウィング558b、558cを有している点で実施例4の補綴物412と異なっている。補綴物512は、ウィング558bを天然犬歯534に係合させ、ウィング558cを天然第2大臼歯542に係合させることにより歯肉(図示省略)に固定されている。各人工歯536〜540の第2基準断面(図示省略)では0mm≦d4≦20mmが成立する。また、補綴物512が人工の前歯部を有する場合は、床558の外縁の位置は、当該前歯部の第2基準断面(図示省略)において、0mm≦d3≦20mmが成立するように設計される。なお、犬歯534、第2大臼歯542は、「支台歯」の一例に相当する。
この構成によっても、実施例3と同様の作用効果を奏することができる。また、補綴物512に係合穴を設け、アバットメントの露出部分を係合させることで補綴物512の固定力をさらに高めてもよい。また、床558は、ウィング558b、558cの一方のみを有する構成であってもよい。
図20を参照して実施例6の義歯システム601について説明する。義歯システム601は、着脱可能に構成された補綴物612と、天然の第1小臼歯636、第2小臼歯638を備える。補綴物612は、下顎用のコーヌス型の部分補綴物である。補綴物612は、2本の人工歯として、第1大臼歯640及び第2大臼歯642と、人工歯の下方に接着された床658と、2個の外冠692、694を有する。図20に示すように、下顎には、4本の天然歯として、側切歯632、犬歯634、第1小臼歯636、第2小臼歯638が残存している。このうち、天然臼歯636、638には、内冠696、698がセメントで合着されている。補綴物612の外冠692、694を、内冠696、698に適合させることで、摩擦力により補綴物612が歯肉24に固定される。各人工歯640、642の第2基準断面(図示省略)では0mm≦d4≦20mmが成立する。また、補綴物612が人工の前歯部を有する場合は、床658の外縁の位置は、当該前歯部の第2基準断面(図示省略)において、0mm≦d3≦20mmが成立するように設計される。なお、天然臼歯636、638は、「支台歯」の一例に相当する。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
例えば、実施例1で図7〜図9を参照して説明した咬み合わせの特徴は、補綴物が両顎に配置された構成以外の構成(例えば、片側の顎にだけ補綴物が配置された構成)に適用されてもよい。また、補綴物は、全部補綴物に限られず、部分補綴物であってもよい。即ち、上記咬み合わせの特徴は、天然歯冠又は補綴物以外の人工歯冠が残存する場合にも適用されてもよい。
また、上述した各実施例の義歯システムでは、各人工歯において、補綴物の距離d(詳細には、d1、d2、d3又はd4)が20mm以下となるように構成されていたが、本明細書に開示の義歯システムは、このような形態に限られない。例えば、図21、22に示すように、一部の人工歯740,840,842において、床758、858の外縁の位置が、d>20mmとなるような位置であってもよい。すなわち、図21に示す義歯システム701では、人工歯740において、補綴物758の外縁の位置が距離d>20mmとなっている(758aの矢印で示す位置)。距離dが20mmより大きくされる場合としては、例えば、早期の歯牙喪失によって歯槽骨が吸収されて骨が欠損する場合が挙げられる。一部の骨が欠損した場合において、その欠損部分において距離dが20mm以下となるように床を構成すると、噛合力の維持、食物残渣の侵入防止、補綴物の強度等の観点から好ましくないためである。なお、特異的な骨の隆起や骨陥没によっても、臨床上は距離dを20mmより大きくする場合があり得る。
あるいは、図22に示す義歯システム801のように、義歯システム801が咬合する対合歯(図示しない)の歯列に頬舌的位置異常がある場合、義歯システム801の各人工歯の位置も対合歯の位置に対応させて配置される。かかる場合、図22に示すように、人工歯840,842が頬側にずらして配置されるため、その部分の床(858aの矢印で示す部分)の距離dが20mmを超えて設けられる。図21、22に示す義歯システム701,801では、一部の人工歯740,840,842において床の距離dが20mmを超えるが、その他の人工歯においては距離dが20mm以下となっている。このため、従来の義歯システムと比較すると、格段に装着時の快適性を向上することができる。なお、床の距離dを20mmより大きくする場合としては、上記の場合以外にも種々の場合がある。例えば、図23に示すように、インプラント本体の埋入位置Pを舌側にずらして設けた場合にも、その部分の床870の距離dが20mmを超えるように設定されることがある。また、床の距離dを20mmより超える人工歯の数は1本又は2本に限られることなく、さらに多くの人工歯において、その距離dが20mmを超えてもよい。なお、床の距離dが20mmを超える人工歯の数(距離dが20mmを超える箇所)は、補綴物に設けられる人工歯の総数の1/3程度に抑えることが好ましい。上述したように、早期の歯牙喪失や骨の異常等によって床の距離dが20mmを超える人工歯は生じ得るが、その人工歯の数を人工歯の総数の1/3程度とすると、装着者の快適性を高く維持することができるためである。例えば、補綴物が無歯顎用の全部補綴物の場合、人工歯の総数である14本の1/3、すなわち、4〜5本の人工歯において距離dが20mmを超えてもよい。また、補綴物が部分補綴物の場合であって、人工歯の総数が4本のときは、1又は2本の人工歯において、距離dが20mmを超えてもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

Claims (14)

  1. 装着者によって着脱可能とされ、天然歯の外観を模した人工歯を有する補綴物を備える義歯システムにおいて、
    前記補綴物は、無歯顎用の全部補綴物であり、前記補綴物が装着者の口腔内に配置されたときに、装着者の歯肉に接触する凹状の接触面を有しており、
    平面視において左右の第1大臼歯の中央同士を結ぶ線分の中点と、各人工歯の中央とを結ぶ直線である第1基準線を含む第1基準断面において、
    前歯部の人工歯の少なくとも一本については、
    当該人工歯の唇側の歯面の最底部から前記第1基準線と平行に口蓋側又は舌側に3mmずれた位置と、当該人工歯の前記中央と、を結んだ直線と、前記凹状の接触面との交点を第1の点とすると、
    前記第1の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d1は、d1≦20mmであり、かつ、
    臼歯部の人工歯の少なくとも一本については、
    当該人工歯の頬側の歯面の最底部から前記第1基準線と平行に口蓋側又は舌側にa/2(aは前記第1基準断面における当該人工歯の頬舌径)ずれた位置と、当該人工歯の前記中央と、を結んだ直線と、前記凹状の接触面との交点を第2の点とすると、
    前記第2の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d2は、d2≦20mmである、義歯システム。
  2. 前記前歯部の人工歯のそれぞれについて、前記第1の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d1が、d1≦20mmであり、かつ、
    前記臼歯部の人工歯のそれぞれについて、前記第2の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d2が、d2≦20mmである、請求項1に記載の義歯システム。
  3. 装着者によって着脱可能とされ、天然歯の外観を模した人工歯を有する補綴物を備える義歯システムにおいて、
    前記補綴物は、部分補綴物であり、前記補綴物が装着者の口腔内に配置されたときに、装着者の歯肉に接触する凹状の接触面を有しており、
    各人工歯の中央を通る第2基準線を含む第2基準断面において、
    前記補綴物が前歯部を有する場合は、その前歯部の人工歯の少なくとも一本については、
    当該人工歯の唇側の歯面の最底部から前記第2基準線と平行に口蓋側又は舌側に3mmずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、前記凹状の接触面との交点を第3の点とすると、
    前記第3の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d3が、d3≦20mmであり、
    前記補綴物が臼歯部を有する場合は、その臼歯部の人工歯の少なくとも一本については、
    当該人工歯の頬側の歯面の最底部から前記第2基準線と平行に口蓋側又は舌側にb/2(bは前記第2基準断面における当該人工歯の頬舌径)ずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、前記凹状の接触面との交点を第4の点とすると、
    前記第4の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d4は、d4≦20mmである、義歯システム。
  4. 前記補綴物が前歯部を有する場合は、その前歯部の人工歯のそれぞれについて、前記第3の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d3が、d3≦20mmであり、
    前記補綴物が臼歯部を有する場合は、その臼歯部の人工歯のそれぞれについて、前記第4の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d4は、d4≦20mmである、請求項3に記載の義歯システム。
  5. 前記補綴物が装着者の口腔内に配置され、かつ、中心咬合位又は中心位にあるときは、下顎の臼歯部の少なくとも一部が上顎の臼歯部と接触している一方で、下顎の中切歯及び側切歯は上顎の中切歯及び側切歯と接触しておらず、かつ、
    下顎が前記中心咬合位又は中心位の状態から前方に移動し始める際は、前記下顎の臼歯部の少なくとも一部が、上顎の臼歯部と接触した状態で前方に移動する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の義歯システム。
  6. 前記補綴物が装着者の口腔内に配置され、かつ、下顎が側方に移動して下顎の犬歯が上顎の犬歯に接触した状態では、下顎の移動方向側の臼歯部の少なくとも一部が上顎の移動方向側の臼歯部と接触している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の義歯システム。
  7. 歯槽骨に埋め込まれたフィクスチャと、
    前記フィクスチャと連結され、前記歯槽骨を覆う歯肉から露出する露出部分を有するアバットメントと、をさらに備え、
    前記補綴物には、前記アバットメントの前記露出部分が係合可能な係合穴が設けられており、前記補綴物は、装着者が前記係合穴に前記露出部分を係合させたり取り外したりすることで、前記アバットメントから着脱可能に構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の義歯システム。
  8. 歯槽骨に埋め込まれたフィクスチャ部と、該フィクスチャ部と一体に成形され、前記歯槽骨を覆う歯肉から露出する露出部分を有するアバットメント部と、を有するインプラントをさらに備え、
    前記補綴物には、前記アバットメント部の前記露出部分が係合可能な係合穴が設けられており、前記補綴物は、装着者が前記係合穴に前記露出部分を係合させたり取り外したりすることで、前記アバットメント部から着脱可能に構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の義歯システム。
  9. 天然歯根に取付けられると共に、歯槽骨を覆う歯肉から露出する露出部分を有するアタッチメントをさらに備え、
    前記補綴物には、前記アタッチメントの前記露出部分が係合可能な係合穴が設けられており、前記補綴物は、装着者が前記係合穴に前記露出部分を係合させたり取り外したりすることで、前記アタッチメントから着脱可能に構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の義歯システム。
  10. 人工又は天然の支台歯をさらに備え、
    前記補綴物は、前記支台歯に係合させるためのクラスプ、ウィング、又はコーヌス用の外冠を有しており、前記補綴物は、前記クラスプ又は前記ウィングを前記支台歯に係合させたり取り外したりすることで、又は、前記外冠を前記支台歯に設けられた内冠に係合させたり取り外したりすることで、前記支台歯から着脱可能に構成されている、請求項3〜6のいずれか一項に記載の義歯システム。
  11. 装着者によって着脱可能とされ、天然歯の外観を模した人工歯を有する補綴物であって、
    前記補綴物は、無歯顎用の全部補綴物であり、前記補綴物が装着者の口腔内に配置されたときに、装着者の歯肉に接触する凹状の接触面を有しており、
    平面視において左右の第1大臼歯の中央同士を結ぶ線分の中点と、各人工歯の中央とを結ぶ直線である第1基準線を含む第1基準断面において、
    前歯部の人工歯の少なくとも一本については、
    当該人工歯の唇側の歯面の最底部から前記第1基準線と平行に口蓋側又は舌側に3mmずれた位置と、当該人工歯の前記中央と、を結んだ直線と、前記凹状の接触面との交点を第1の点とすると、
    前記第1の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d1は、d1≦20mmであり、かつ、
    臼歯部の人工歯の少なくとも一本については、
    当該人工歯の頬側の歯面の最底部から前記第1基準線と平行に口蓋側又は舌側にa/2(aは前記第1基準断面における当該人工歯の頬舌径)ずれた位置と、各人工歯の前記中央と、を結んだ直線と、前記凹状の接触面との交点を第2の点とすると、
    前記第2の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d2は、d2≦20mmである、補綴物。
  12. 前記前歯部の人工歯のそれぞれについて、前記第1の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d1は、d1≦20mmであり、かつ、
    前記臼歯部の人工歯のそれぞれについて、前記第2の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d2は、d2≦20mmである、請求項11に記載の補綴物。
  13. 装着者によって着脱可能とされ、天然歯の外観を模した人工歯を有する補綴物であって、
    前記補綴物は、部分補綴物であり、前記補綴物が装着者の口腔内に配置されたときに、装着者の歯肉に接触する凹状の接触面を有しており、
    各人工歯の中央を通る第2基準線を含む第2基準断面において、
    前記補綴物が前歯部を有する場合は、その前歯部の人工歯の少なくとも一本については、
    当該人工歯の唇側の歯面の最底部から前記第2基準線と平行に口蓋側又は舌側に3mmずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、前記凹状の接触面との交点を第3の点とすると、
    前記第3の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d3が、d3≦20mmであり、かつ
    前記補綴物が臼歯部を有する場合は、その臼歯部の人工歯の少なくとも一本については、
    当該人工歯の頬側の歯面の最底部から前記第2基準線と平行に口蓋側又は舌側にb/2(bは前記第2基準断面における当該人工歯の頬舌径)ずれた位置と、当該人工歯の中央と、を結んだ直線と、前記凹状の接触面との交点を第4の点とすると、
    前記第4の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d4は、d4≦20mmである、補綴物。
  14. 前記補綴物が前歯部を有する場合は、その前歯部の人工歯のそれぞれについて、前記第3の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d3が、d3≦20mmであり、かつ
    前記補綴物が臼歯部を有する場合は、その臼歯部の人工歯のそれぞれについて、前記第4の点と、口蓋側又は舌側における前記補綴物の外縁との距離d4は、d4≦20mmである、請求項13に記載の補綴物。
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