JP3626752B1 - 人工歯複合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 補綴治療において健康な残存歯に損傷や負担を与えることがなく、装着時の安定性を高めることが可能で装着感と審美性に優れた人工歯複合体を提供することである。
【解決手段】 人工前歯複合体1は、人工前歯部10と、残存歯に接触して連結されることができかつ人工前歯部10に固着された連結部20とを備える。残存歯に接触する連結部20の接触部21、22、23、24は残存歯の隣接面と口蓋面とに密着して接触することが可能な表面形状を有している。残存歯の口蓋面の側から口蓋面に向かう方向に人工前歯複合体1を移動させることによって欠損箇所と残存歯とに装着することができ、残存歯の口蓋面から離れる方向に移動させることによって取り外すことができ、それ以外の方向に移動させることによっては着脱することができないように連結部20の接触部21、22、23、24の表面形状が定められている。
【選択図】 図5

Description

この発明は、補綴治療に用いられる人工歯複合体の製造法に関するものである。
従来から、歯科治療においては歯が虫歯等の原因で失われた場合、すなわち歯の欠損がある場合、補綴治療と呼ばれる治療が行われる。補綴治療には、歯が部分的に失われた場合に入れるブリッジや局部床義歯(部分入れ歯)、歯が全く失われた場合に入れる全部床義歯(総入れ歯)に分類される。また、歯が失われた場合でも、部分入れ歯や総入れ歯のように取り外さなくてもよいインプラントによる治療も行われている。ブリッジは、たとえば、特開平5−115495号公報(特許文献1)に記載されており、局部床義歯のための義歯床の製造方法は、たとえば、特開平5−23358号公報(特許文献2)に記載されている。
図31は、従来の補綴治療で用いられるブリッジを示す斜視図である。
図31に示すように、残存歯群400には、歯が部分的に失われた箇所として欠損箇所430が存在する。このように歯が1〜2本抜けてしまった、または抜いてしまったときに、抜けた歯の両隣に歯が残っている場合に欠損箇所430に人工歯を固着するための治療としてブリッジが適用される。この場合には、まず、抜けた歯の両隣の歯を削ることにより、支台歯410と420を形成する。これらの支台歯410と420の上に被せられるクラウン部510と540と、これらのクラウン部510と540との間に連続して固着された人工歯520と530とからなるブリッジ500を製作する。完成したブリッジ500を支台歯410と420、欠損箇所430に装着して固定する。このようにしてブリッジによる治療が行われる。
図32は、従来の補綴治療で用いられる局部床義歯(部分入れ歯)の一つの例を示す斜視図である。
図32に示すように、残存歯群600には、歯が部分的に失われた箇所として欠損箇所620が存在する。このように歯が複数本抜けてしまった、または抜いてしまったときに、抜けた歯の隣に歯が残っている場合に欠損箇所620に人工歯を着脱可能に固定するための治療として局部床義歯(部分入れ歯)が適用される。この場合、欠損箇所620の歯肉部にぴったりと密着するように局部床710を形成し、この局部床710に人工歯群730と、クラスプ(鉤)720と呼ばれる固定具とを取り付けることにより、部分入れ歯(人工歯)700を製作する。クラスプ(鉤)720を残存歯610に引っ掛けることにより、部分入れ歯(人工歯)700を残存歯群600に固定することができる。また、クラスプ(鉤)720を残存歯610から分離することにより、部分入れ歯(人工歯)700を残存歯群600から取り外すことができる。
図33は、従来の補綴治療で用いられるインプラント義歯を示す斜視図である。
図33に示すように、残存歯群800には、歯が部分的に失われた箇所として欠損箇所810が存在する。このように歯が複数本抜けてしまった、または抜いてしまったときに欠損箇所810に人工歯を歯根から埋め込んで固着するための治療としてインプラント義歯が適用される。この場合、歯肉を切開し、ドリルで顎の骨に人工歯根910を埋め込み、人工歯根910が固定された後に人工歯900をネジ920によって取り付ける。
特開平5−115495号公報 特開平5−23358号公報
しかしながら、図31に示す従来の補綴治療で用いられるブリッジでは、健康な残存歯を削る必要がある。
図32に示す従来の補綴治療で用いられる局部床義歯(部分入れ歯)では、クラスプ(鉤)のみによって残存歯に固定されるので装着時に安定感がなく、健康な残存歯に負担がかかるという問題がある。また、歯肉部に直接接触する局部床のために慣れるまでの違和感が強い、装着感が悪いという問題がある。さらに、前歯の治療に用いた場合、クラスプ(鉤)があるために審美性が悪いという問題もある。
図33に示す従来の補綴治療で用いられるインプラント義歯は、手術を必要とし、術者(歯科医師)の熟練度に左右されるために危険性が高いという問題がある。また、治療に長時間がかかり、治療コストも高いという問題がある。
そこで、この発明の一つの目的は、上述した問題を解消することができるとともに、補綴治療において健康な残存歯に損傷を与えることがなく、装着時の安定性を高めることが可能な人工歯複合体の製造方法を提供することである。
また、この発明のもう一つの目的は、健康な残存歯に負担をかけることがなく、装着時に安定感があり、装着感と審美性に優れた人工歯複合体の製造方法を提供することである。
さらに、この発明の別の目的は、インプラント義歯に比べて短時間でかつ低コストで治療が可能で、装着感と審美性に優れた人工歯複合体の製造方法を提供することである。
この発明に従って製造された人工歯複合体は、少なくとも一つの歯が欠損した欠損箇所に補綴するための人工歯複合体である。この人工歯複合体は、少なくとも一つの人工歯を含む人工歯部と、残存歯に接触して連結されることができ、かつ人工歯部に固着された連結部とを備える。残存歯に接触する連結部の接触部は、少なくとも一つの残存歯の隣接面と口蓋面または舌側面とに密着して接触することが可能な表面形状を有している。残存歯の口蓋面または舌側面の側から残存歯の口蓋面または舌側面に向かう方向に人工歯複合体を移動させることによって欠損箇所と残存歯とに装着することができるように、連結部の接触部の表面形状が定められている。また、残存歯の口蓋面または舌側面から離れる方向に人工歯複合体を移動させることによって欠損箇所と残存歯とから取り外すことができるように、連結部の接触部の表面形状が定められている。さらに、それ以外の方向に人工歯複合体を移動させることによっては人工歯複合体を残存歯に対して着脱することができないように、連結部の接触部の表面形状が定められている。
従来の人工歯は、残存歯の切縁面または咬合面に向かう方向に移動させることによって装着し、残存歯の切縁面または咬合面から離れる方向に移動させることによって取り外すことができるように構成されている。すなわち、下顎または上顎に向かって人工歯を移動させることによって装着し、下顎または上顎から離れるようにして人工歯を移動させることによって取り外すことができるように構成されている。このため、人間の咀嚼運動によって力が加わる方向に沿って人工歯が着脱されるので、その力に耐えることができるように人工歯を残存歯に連結するための連結部、または残存歯に支持される支持部が構成されている。たとえば、従来のブリッジでは両隣の健康な残存歯を削って被せることができるように強固な支台歯を作製する必要がある。また、従来の局部床義歯(部分入れ歯)では、人間の咀嚼運動によって力が加わる方向に沿って人工歯を着脱することができるように局部床とクラスプ(鉤)の形状が定められている。
これに対して、本発明に従って製造された人工歯複合体は、残存歯の口蓋面または舌側面の側から残存歯の口蓋面または舌側面に向かう方向に人工歯複合体を移動させることによって欠損箇所と残存歯とに装着することができ、残存歯の口蓋面または舌側面から離れる方向に人工歯複合体を移動させることによって欠損箇所と残存歯とから取り外すことができるように構成されている。そして、それ以外の方向に人工歯複合体を移動させることによっては人工歯複合体を残存歯に対して着脱することができないように構成されている。言い換えれば、人間の咀嚼運動によって力が加わる方向に沿って人工歯複合体を着脱することができないように人工歯複合体における連結部の接触部の表面形状が定められている。
本発明に従って製造された人工歯複合体は、上記のように構成されているので、人工歯複合体を装着した後、人間の咀嚼運動によって人工歯複合体、特に連結部に力が加わったとしても容易に残存歯から分離することがない。したがって、従来の人工歯に比べて装着時の安定性を高めることができる。
また、本発明に従って製造された人工歯複合体は、連結部が残存歯の少なくとも隣接面と口蓋面または舌側面とに接触するだけで、残存歯に装着させることができる。したがって、本発明によれば、健康な残存歯に損傷を与えることがなく、また健康な残存歯に負担をかけることがなく、装着時の安定感と装着感を高めることができる。また、連結部は残存歯の少なくとも隣接面と口蓋面または舌側面とに接触しているので、残存歯と人工歯の前面側(唇側面または頬側面の側)から連結部の表面が見えないように、残存歯と人工歯の前面(唇側面または頬側面)の外観だけが見えるように構成することができるので、審美性も高めることができる。
なお、本発明に従って製造された人工歯複合体によれば、複雑な手術が不要であるので、インプラント義歯に比べて短時間でかつ低コストで治療ができる。
この発明に従った人工歯複合体の製造方法は、少なくとも一つの歯が欠損した欠損箇所に補綴するための人工歯複合体の製造方法であって、以下のステップを備える。
(a)少なくとも欠損箇所を含む残存歯の型をとり、この型に従って残存歯模型を作製するステップ。
(b)残存歯模型をある一つの仮想平面に置いた状態で、欠損箇所の左側に隣接する少なくとも一つの第1の残存歯の隣接面の突出量が最大となるときに、歯肉の表面と第1の残存歯の根元部との交点から第1の残存歯の突出部に向かって第1の残存歯の隣接面に接するように延びる直線と仮想平面とのなす第1の角度を決定するステップ。
(c)残存歯模型をある一つの仮想平面においた状態で、欠損箇所の右側に隣接する少なくとも一つの第2の残存歯の隣接面の突出量が最大となるときに、歯肉の表面と第2の残存歯の根元部との交点から第2の残存歯の突出部に向かって第2の残存歯の隣接面に接するように延びる直線と仮想平面とのなす第2の角度を決定するステップ。
(d)残存歯模型をある一つの仮想平面においた状態で、第1の残存歯または第2の残存歯の少なくともいずれか一方の残存歯の口蓋面または舌側面の突出量が最大となるときに、歯肉の表面と一方の残存歯の根元部との交点から一方の残存歯の突出部に向かって残存歯の口蓋面または舌側面に接するように延びる直線と仮想平面とのなす第3の角度を決定するステップ。
(e)第1の角度、第2の角度および第3の角度のそれぞれの角度以下の範囲内で任意の角度を選択して着脱角度を定めるステップ。
(f)着脱角度で移動させることにより、第1と第2の残存歯の隣接面と口蓋面または舌側面とに密着して接触することが可能な表面形状を有する連結部を作製するステップ。
(g)欠損箇所に補綴可能な形状を有する少なくとも一つの人工歯を連結部に固着するように作製するステップ。
以上のように、この発明によれば、補綴治療において、健康な残存歯に損傷を与えることがなく、健康な残存歯に負担をかけることがなく、装着時の安定性を高めることが可能で、装着感と審美性に優れた人工歯複合体を得ることができる。また、インプラント義歯に比べて短時間でかつ低コストで治療が可能である。
この発明の人工歯複合体の実施の形態を図に基づいて以下に説明する。
図1は、この発明の一つの実施の形態に従った人工前歯複合体を用いて補綴治療される上顎歯模型を示す図である。
図1に示すように、上顎歯模型100は、患者の口腔内にて型を取り(精密印象)、石膏で製作したものである。残存前歯110と残存前歯120との間で1本の歯が抜けた場合、あるいは虫歯等によって抜いてしまった場合に前歯欠損箇所130が存在する。
図2は図1の前歯の背面側(口蓋面側)から見た前歯欠損箇所を拡大して示す図、図3は図1の前歯の前面側(唇側面側)から見た前歯欠損箇所を拡大して示す図、図4は図1の前歯の側面側から見た前歯欠損箇所を拡大して示す図である。
図2〜図4に示すように、上顎歯模型100において、残存前歯110と残存前歯120との間に前歯欠損箇所130が存在する。残存前歯110は、前歯欠損箇所130に隣接する面として隣接面111を有する。また、残存前歯110は、口腔内の奥側に向いている面として口蓋面112を有する。同様に、残存前歯120は、前歯欠損箇所130に隣接する面として隣接面121を有する。また、残存前歯120は、口腔内の奥側に向いている面として口蓋面122を有する。
本発明の一つの実施の形態では、前歯欠損箇所130に装着することができ、また取り外すことができるように人工歯複合体を設計して製造する。また、人工歯複合体は、装着時には、少なくとも残存前歯110の隣接面111と口蓋面112とに密着して接触し、また、少なくとも残存前歯120の隣接面121と口蓋面122とに密着して接触するとともに、患者の咀嚼運動に伴って生じる力等が加えられても、容易に残存前歯110と残存前歯120とから分離しないように設計される。
まず、上記のように設計されて製造された人工歯複合体の構成について説明する。
図5は、図1の前歯欠損箇所に補綴治療される人工前歯複合体を示す正面図(A)、背面図(B)、左側面図(C)、右側面図(D)、上面図(E)、底面図(F)である。
図5に示すように、図1の前歯欠損箇所130に装着される人工前歯複合体1は、人工前歯部10と連結部20とから構成される。人工前歯部10は樹脂から形成され、連結部20は厚みが0.7mm以下であればよく、好ましくは厚みが0.35〜0.50mmの金属から形成される。人工前歯部10は、下顎の前歯と咬合することができるように切縁面11を有する。連結部20は、残存前歯110の隣接面111との接触部21と、残存前歯110の口蓋面112との接触部22と、残存前歯120の隣接面121との接触部23と、残存前歯120の口蓋面122との接触部24と、人工前歯部10を支持し固着するための人工前歯支持部25とを備えている。接触部21は、残存前歯110の隣接面111の少なくとも一部の表面に沿った表面形状を有し、患者の唾液を介して隣接面111に密着して接触することができるように形成されている。接触部22は、残存前歯110の口蓋面112の少なくとも一部の表面に沿った表面形状を有し、患者の唾液を介して口蓋面112に密着して接触することができるように形成されている。接触部23は、残存前歯120の隣接面121の少なくとも一部の表面に沿った表面形状を有し、患者の唾液を介して隣接面121に密着して接触することができるように形成されている。接触部24は、残存前歯120の口蓋面122の少なくとも一部の表面に沿った表面形状を有し、患者の唾液を介して口蓋面122に密着して接触することができるように形成されている。
次に、図5に示す人工前歯複合体を装着する方法について説明する。
図6は図5の人工前歯複合体を装着する様子を前面側(唇側面側)から見た場合に順に示す図(A)(B)、図7は図5の人工前歯複合体を装着する様子を図6の右側から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)、図8は図5の人工前歯複合体を装着する様子を図6の左側から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)、図9は図5の人工前歯複合体を装着する様子を背面側(口蓋面側)から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)である。
図6(A)、図7(A)、図8(A)および図9(A)に示すように、上顎歯模型100(実際には患者の上顎)において人工前歯複合体1を残存前歯群の背面側(口蓋面側)から残存前歯群の背面(口蓋面)に向かう方向に移動させて、前歯欠損箇所130に近づける。
次に、図7(B)、図8(B)および図9(B)に示すように、人工前歯複合体1の人工前歯部10が残存前歯群の背面側(口蓋面側)から残存前歯群の背面(口蓋面)に向かう方向に移動することによって前歯欠損箇所130に装着される。
そして、図6(B)、図7(C)、図8(C)および図9(C)に示すように、連結部20の接触部21と22が残存前歯110の隣接面111と口蓋面112のそれぞれに密着して接触すると同時に、接触部23と24とが残存前歯120の隣接面121と口蓋面122のそれぞれに密着して接触するように、人工前歯複合体1を残存前歯群の背面側(口蓋面側)から残存前歯群の背面(口蓋面)に向かう方向に移動させる。
このようにして、人工前歯複合体1は前歯欠損箇所130に装着される。人工前歯複合体1の取り外しは上記と逆の動作によって行われる。ただし、人工前歯複合体1は、残存前歯群の背面側(口蓋面側)から残存前歯群の背面(口蓋面)に向かう方向以外の方向に移動させることによっては装着させることができず、また、その方向と逆の方向以外の方向に移動させることによっては取り外すことができないように、連結部20の接触部21、22、23、24の表面形状が規定されている。この表面形状の規定方法については後述する。
図10は図5の人工前歯複合体を装着した状態を示す図である。図11は図5の人工前歯複合体を装着した状態を背面側(口蓋面側)から見て示す図、図12は図5の人工前歯複合体を装着した状態を前面側(唇側面側)から見て示す図である。
図10〜図12に示すように、残存前歯の背面側(口蓋面側)から連結部20の表面が見えるが、残存前歯の前面側(唇側面側)からは連結部20の表面は見えないように構成されており、残存前歯110と残存前歯120の間に装着された人工前歯複合体1の人工前歯部10の前面(唇側面)のみが見えるように構成されている。
ところで、従来の人工歯は、残存歯の切縁面または咬合面に向かう方向に移動させることによって装着し、残存歯の切縁面または咬合面から離れる方向に移動させることによって取り外すことができるように構成されている。
たとえば、図31に示すブリッジでは、ブリッジ500の人工歯520と530は残存歯群400の咬合面に向かう方向に移動させることによって装着することができるように構成されている。このため、残存歯群400に固着するために人工歯520と530の両側に連結して形成されたクラウン部510と540は、残存歯群400の咬合面から離れる方向に移動させても、言い換えれば、人間の咀嚼運動に伴って作用する力が加えられても、支台歯410と420から容易に分離しないように固着されている。
また、図32に示す局部床義歯(部分入れ歯)では、部分入れ歯(人工歯)700の人工歯群730は残存歯群600の咬合面に向かう方向に移動させることによって装着し、残存歯群600の咬合面から離れる方向に移動させることによって取り外すことができるように構成されている。このため、残存歯群600に固着するために残存歯610の外周面に引っ掛けられるように形成されたクラスプ(鉤)720は、残存歯群600の咬合面に向かう方向に移動させることによって残存歯610の外周面に引っ掛けられて固定され、また、残存歯群600の咬合面から離れる方向に移動させることによって取り外すことができるように構成されている。したがって、クラスプ(鉤)720は残存歯群600の咬合面から離れる方向に移動させても、言い換えれば、人間の咀嚼運動に伴って作用する力が加えられても、残存歯610から容易に分離しないように固定されている。
すなわち、従来の人工歯は、下顎または上顎に向かって人工歯を移動させることによって装着し、下顎または上顎から離れるようにして人工歯を移動させることによって取り外すことができるように構成されている。このため、人間の咀嚼運動によって力が加わる方向に沿って人工歯が着脱されるので、その力に耐えることができるように人工歯を残存歯に連結するための連結部、または残存歯に支持される支持部が構成されている。たとえば、従来のブリッジでは両隣の健康な残存歯を削って被せることができるように強固な支台歯を作製する必要がある。また、従来の局部床義歯(部分入れ歯)では、人間の咀嚼運動によって力が加わる方向に沿って人工歯を着脱することができるように局部床とクラスプ(鉤)の形状が定められている。
これに対して、本発明の人工前歯複合体1は、残存前歯110と120の口蓋面112と122の側から口蓋面112と122に向かう方向に人工前歯複合体1を移動させることによって前歯欠損箇所130と残存前歯110と120とに装着することができ、残存前歯110と120の口蓋面112と122から離れる方向に人工前歯複合体1を移動させることによって前歯欠損箇所130と残存前歯110と120とから取り外すことができるように構成されている。そして、それ以外の方向に人工前歯複合体1を移動させることによっては人工前歯複合体1を残存前歯110と120に対して着脱することができないように構成されている。言い換えれば、人間の咀嚼運動によって力が加わる方向に沿って人工前歯複合体1を着脱することができないように人工前歯複合体1における連結部20の接触部21、22、23、24の表面形状が定められている。
本発明の人工前歯複合体1は、上記のように構成されているので、人工前歯複合体1を装着した後、人間の咀嚼運動によって人工前歯複合体1、特に連結部20に力が加わったとしても容易に残存前歯110と120から分離することがない。したがって、従来の人工歯に比べて装着時の安定性を高めることができる。
また、本発明の人工前歯複合体1は、連結部20が残存前歯110と120の少なくとも隣接面111、121と口蓋面112、122とに接触するだけで、残存前歯110と120に装着させることができる。したがって、本発明によれば、健康な残存前歯110と120に損傷を与えることがなく、また健康な残存前歯110と120に負担をかけることがなく、装着時の安定感と装着感を高めることができる。また、連結部20は残存前歯110と120の少なくとも隣接面111、121と口蓋面112、122とに接触しているので、残存前歯110、120と人工前歯部10の前面側(唇側面の側)から連結部20の表面が見えないように、残存前歯110、120と人工前歯部10の前面(唇側面)の外観だけが見えるように構成することができるので、審美性も高めることができる。
さらに、本発明の人工前歯複合体1によれば、複雑な手術が不要であるので、インプラント義歯に比べて短時間でかつ低コストで治療ができる。
なお、上記の実施の形態の人工前歯複合体1では、1本の人工前歯部10を備えているが、前歯欠損箇所に応じて複数本の人工前歯部を備えていてもよい。また、上記の実施の形態では、前歯欠損箇所130の両隣に位置する2本の残存前歯110と120に接触するように人工前歯複合体1の連結部20を形成しているが、患者の残存歯群に応じて2本以上の複数本の残存前歯または残存臼歯に密着して接触するように連結部を形成してもよい。さらに、上記の実施の形態では、少なくとも残存前歯の隣接面と口蓋面の一部表面に接触するように連結部を構成しているが、残存前歯の隣接面と口蓋面との交差する箇所、すなわち隅角にも接触するように構成してもよく、また歯肉面の一部表面にも接触するように構成してもよい。上記の実施の形態は、上顎の前歯について本発明を適用した例を説明したが、下顎の前歯についても同様に適用される。
図13は、この発明のもう一つの実施の形態に従った人工臼歯複合体を用いて補綴治療される下顎歯模型の一部を示す図である。
図13に示すように、下顎歯模型200は、患者の口腔内にて型を取り(精密印象)、石膏で製作したものである。残存臼歯210と残存臼歯220、230との間で1本の歯が抜けた場合、あるいは虫歯等によって抜いてしまった場合に臼歯欠損箇所240が存在する。
図14は図13の臼歯の背面側(舌側面側)から見た臼歯欠損箇所を拡大して示す図、図15は図13の臼歯の前面側(頬側面)から見た臼歯欠損箇所を拡大して示す図、図16は図13の臼歯の側面側から見た臼歯欠損箇所を拡大して示す図、図17は図13の臼歯のもう一方の側面側から見た臼歯欠損箇所を拡大して示す図である。
図14〜図17に示すように、下顎歯模型200において、残存臼歯210と残存臼歯220、230との間に臼歯欠損箇所240が存在する。残存臼歯210は、臼歯欠損箇所240に隣接する面として隣接面211を有する。また、残存臼歯210は、口腔内の奥側に向いている面として舌側面212を有する。同様に、残存臼歯220は、臼歯欠損箇所240に隣接する面として隣接面221を有する。また、残存臼歯220は、口腔内の奥側に向いている面として舌側面222を有する。さらに、残存臼歯230は、口腔内の奥側に向いている面として舌側面232を有する。
本発明の一つの実施の形態では、臼歯欠損箇所240に装着することができ、また取り外すことができるように人工歯複合体を設計して製造する。また、人工歯複合体は、装着時には、少なくとも残存臼歯210の隣接面211と舌側面212とに密着して接触し、また、少なくとも残存臼歯220の隣接面221と舌側面222とに密着して接触し、さらに少なくとも残存臼歯230の舌側面232に密着して接触するとともに、患者の咀嚼運動に伴って生じる力等が加えられても、容易に残存臼歯210、220、230とから分離しないように設計される。
まず、上記のように設計されて製造された人工歯複合体の構成について説明する。
図18は、図13の臼歯欠損箇所に補綴治療される人工臼歯複合体を示す正面図(A)、背面図(B)、左側面図(C)、右側面図(D)、上面図(E)、底面図(F)である。
図18に示すように、図13の臼歯欠損箇所240に装着される人工臼歯複合体3は、人工臼歯部30と連結部40とから構成される。連結部40は樹脂から形成され、連結部40は厚みが0.7mm以下であればよく、好ましくは厚みが0.35〜0.50mmの金属から形成される。人工臼歯部30は、上顎の臼歯と咬合することができるように咬合面31を有する。連結部40は、残存臼歯210の隣接面211との接触部41と、残存臼歯210の舌側面212との接触部42と、残存臼歯220の隣接面221との接触部43と、残存臼歯220の舌側面222との接触部44と、残存臼歯230の舌側面232との接触部45と、人工臼歯部30を支持し固着するための人工臼歯支持部46とを備えている。接触部41は、残存臼歯210の隣接面211の少なくとも一部の表面に沿った表面形状を有し、患者の唾液を介して隣接面211に密着して接触することができるように形成されている。接触部42は、残存臼歯210の舌側面212の少なくとも一部の表面に沿った表面形状を有し、患者の唾液を介して舌側面212に密着して接触することができるように形成されている。接触部43は、残存臼歯220の隣接面221の少なくとも一部の表面に沿った表面形状を有し、患者の唾液を介して隣接面221に密着して接触することができるように形成されている。接触部44は、残存臼歯220の舌側面222の少なくとも一部の表面に沿った表面形状を有し、患者の唾液を介して舌側面222に密着して接触することができるように形成されている。接触部45は、残存臼歯230の舌側面232の少なくとも一部の表面に沿った表面形状を有し、患者の唾液を介して舌側面232に密着して接触することができるように形成されている。
次に、図18に示す人工臼歯複合体を装着する方法について説明する。
図19は図18の人工臼歯複合体を装着する様子を斜め上方から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)、図20は図18の人工臼歯複合体を装着する様子を斜め前方(頬側面側)から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)、図21は図18の人工臼歯複合体を装着する様子を背面側(舌側面側)から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)である。
図19(A)、図20(A)および図21(A)に示すように、下顎歯模型200(実際には患者の下顎)において人工臼歯複合体3を残存臼歯群の背面側(舌側面側)から残存臼歯群の背面(舌側面)に向かう方向に移動させて、臼歯欠損箇所240に近づける。
次に、図19(B)、図20(B)および図21(B)に示すように、人工臼歯複合体3の人工臼歯部30が残存臼歯群の背面側(舌側面側)から残存臼歯群の背面(舌側面)に向かう方向に移動することによって臼歯欠損箇所240に装着される。
そして、図19(C)、図20(C)および図21(C)に示すように、連結部40の接触部41と42が残存臼歯210の隣接面211と舌側面212のそれぞれに密着して接触すると同時に、接触部43と44と45が残存臼歯220の隣接面221と舌側面222と残存臼歯230の舌側面232のそれぞれに密着して接触するように、人工臼歯複合体3を残存臼歯群の背面側(舌側面側)から残存臼歯群の背面(舌側面)に向かう方向に移動させる。
このようにして、人工臼歯複合体3は臼歯欠損箇所240に装着される。人工臼歯複合体3の取り外しは上記と逆の動作によって行われる。ただし、人工臼歯複合体3は、残存臼歯群の背面側(舌側面側)から残存臼歯群の背面(舌側面)に向かう方向以外の方向に移動させることによっては装着させることができず、また、その方向と逆の方向以外の方向に移動させることによっては取り外すことができないように、連結部40の接触部41、42、43、44、45の表面形状が規定されている。この表面形状の規定方法については後述する。
図22は図18の人工臼歯複合体を装着した状態を示す図である。図23は図18の人工臼歯複合体を装着した状態を上面側(咬合面側)から見て示す図、図24は図18の人工臼歯複合体を装着した状態を背面側(舌側面側)から見て示す図、図25は図18の人工臼歯複合体を装着した状態を前面側(頬側面側)から見て示す図、図26は図18の人工臼歯複合体を装着した状態を側面側から見て示す図である。
図22〜図26に示すように、残存臼歯の背面側(舌側面側)から連結部40の表面が見えるが、残存臼歯の前面側(頬側面側)からは連結部40の表面は見えないように構成されており、残存臼歯210と残存臼歯220、230の間に装着された人工臼歯複合体3の人工臼歯部30の前面(頬側面)のみが見えるように構成されている。
以上説明したように、本発明の人工臼歯複合体3は、残存臼歯210と220の舌側面212と222の側から舌側面212と222に向かう方向に人工臼歯複合体3を移動させることによって臼歯欠損箇所240と残存臼歯210、220、230とに装着することができ、残存臼歯210、220、230の舌側面212、222、232から離れる方向に人工臼歯複合体3を移動させることによって臼歯欠損箇所240と残存臼歯210、220、230とから取り外すことができるように構成されている。そして、それ以外の方向に人工臼歯複合体3を移動させることによっては人工臼歯複合体3を残存臼歯210、220、230に対して着脱することができないように構成されている。言い換えれば、人間の咀嚼運動によって力が加わる方向に沿って人工臼歯複合体3を着脱することができないように人工臼歯複合体3における連結部40の接触部41、42、43、44、45の表面形状が定められている。
本発明の人工臼歯複合体3は、上記のように構成されているので、人工臼歯複合体3を装着した後、人間の咀嚼運動によって人工臼歯複合体3、特に連結部40に力が加わったとしても容易に残存臼歯210、220、230から分離することがない。したがって、従来の人工歯に比べて装着時の安定性を高めることができる。
また、本発明の人工臼歯複合体3は、連結部40が残存臼歯210、220、230の少なくとも隣接面211、221と舌側面212、222、232とに接触するだけで、残存臼歯210、220、230に装着させることができる。したがって、本発明によれば、健康な残存臼歯210、220、230に損傷を与えることがなく、また健康な残存臼歯210、220、230に負担をかけることがなく、装着時の安定感と装着感を高めることができる。また、連結部40は残存臼歯210、220、230の少なくとも隣接面211、221と舌側面212、222、232とに接触しているので、残存臼歯210、220、230と人工臼歯部30の前面側(頬側面の側)から連結部40の表面が見えないように、残存臼歯210、220、230と人工臼歯部30の前面(頬側面)の外観だけが見えるように構成することができるので、審美性も高めることができる。
さらに、本発明の人工臼歯複合体3によれば、複雑な手術が不要であるので、インプラント義歯に比べて短時間でかつ低コストで治療ができる。
なお、上記の実施の形態の人工臼歯複合体3では、1本の人工臼歯部30を備えているが、臼歯欠損箇所に応じて複数本の人工臼歯部を備えていてもよい。また、上記の実施の形態では、臼歯欠損箇所240の隣に位置する3本の残存臼歯210、220、230に接触するように人工臼歯複合体3の連結部40を形成しているが、患者の残存歯群に応じて複数本の残存前歯または残存臼歯に密着して接触するように連結部を形成してもよい。さらに、上記の実施の形態では、少なくとも残存臼歯の隣接面と舌側面の一部表面に接触するように連結部を構成しているが、残存臼歯の隣接面と舌側面との交差する箇所、すなわち隅角にも接触するように構成してもよく、また歯肉面の一部表面にも接触するように構成してもよい。上記の実施の形態は、下顎の臼歯について本発明を適用した例を説明したが、上顎の臼歯についても同様に適用される。
次に、この発明の人工歯複合体の製造方法について説明する。
まず、図1または図13に示すように、少なくとも欠損箇所を含む残存歯の型をとり、この型に従って残存歯模型として上顎歯模型100または下顎歯模型200を作製する。
図27はこの発明の人工歯複合体(臼歯の場合)を残存歯に装着した状態を模式的に示す上面図である。
図27に示すように、人工歯複合体は人工歯部50と連結部60とから構成される。連結部60は人工歯部50の両隣に位置する残存歯70と残存歯80に接触するように示されている。
残存歯70は、隣の歯に隣接する面として二つの隣接面71と、口腔内の奥側に向いている面として舌側面(前歯の場合は口蓋面)72と、頬の内側に向いている面として頬側面(前歯の場合は唇側面)73と、各面が交差することによって形成される線として隅角74とを有する。残存歯80は、隣の歯に隣接する面として二つの隣接面81と、口腔内の奥側に向いている面として舌側面(前歯の場合は口蓋面)82と、頬の内側に向いている面として頬側面(前歯の場合は唇側面)83と、各面が交差することによって形成される線として隅角84とを有する。人工歯部50は、同様に隣接面51と舌側面52と頬側面53とを有する。連結部60は、残存歯70の隣接面71との接触部61と、残存歯70の舌側面72との接触部62と、残存歯80の隣接面81との接触部63と、残存歯80の舌側面82との接触部64とを有する。
図28は図27のX−X線に沿った方向から見た側断面図(A)と図27のY−Y線に沿った方向から見た側断面図(B)である。
次に、図28(A)に示すように、残存歯模型をある一つの仮想平面Pxに置いた状態で、欠損箇所の左側に隣接する少なくとも一つの第1の残存歯として残存歯70の隣接面71の突出量が最大Xmaxとなるときに、歯肉の表面と残存歯70の根元部との交点から残存歯70の突出部に向かって残存歯70の隣接面71に接するように延びる直線と仮想平面Pxとのなす第1の角度θxを決定する。
そして、図28(B)に示すように、残存歯模型をある一つの仮想平面Pyにおいた状態で、欠損箇所の右側に隣接する少なくとも一つの第2の残存歯として残存歯80の隣接面の突出量が最大Ymaxとなるときに、歯肉の表面と残存歯80の根元部との交点から残存歯80の突出部に向かって残存歯80の隣接面81に接するように延びる直線と仮想平面Pyとのなす第2の角度θyを決定する。
図29は図27のZ−Z線に沿った方向から見た側断面図である。
図29に示すように、残存歯模型をある一つの仮想平面Pzにおいた状態で、第1の残存歯または第2の残存歯の少なくともいずれか一方の残存歯として残存歯80の舌側面(前歯の場合は口蓋面)82の突出量が最大Zmaxとなるときに、歯肉の表面と残存歯80の根元部との交点から残存歯80の突出部に向かって残存歯80の舌側面82に接するように延びる直線と仮想平面Pzとのなす第3の角度θzを決定する。なお、図29には、残存歯80に咬合する残存歯90も示されており、残存歯90は、舌側面(前歯の場合は口蓋面)92と、残存歯80の咬合面85に咬合する面として咬合面95とを有する。
これらの角度θx、θy、θzを決定するための作業は、いわゆるアンダーカットゲージを用いて最大となるアンダーカットの突出量を測定することによって行われてもよい。
必要に応じて、上記と同様の方法により、残存歯70の隅角74、残存歯80の隅角84においても上記の角度を決定してもよい。また、必要に応じて、上記と同様の方法により、残存歯70の舌側面72において、上記の角度を決定してもよい。
これらの方法によって決定された角度の範囲内の方向からの移動であれば、残存歯が突出部を有するにもかかわらず、残存歯群の舌側面(前歯の場合は口蓋面)側の方向から舌側面に向かって連結部60を移動させることにより、接触部61、62、63、64が、残存歯70の隣接面71と舌側面72、残存歯80の隣接面81と舌側面82、および、残存歯70の隅角74と残存歯80の隅角84に密着して接触するように連結部60を移動させることができる。また、残存歯70と残存歯80は突出部を有するので、上記の角度の範囲内の方向から移動して、突出部を有する残存歯のアンダーカット部に一旦密着して接触させられた連結部60は、残存歯70と80に咬合して対向する残存歯の咬合面に向かう方向、すなわち、図28と図29において上の方向に移動させても、容易に分離することができない。
そこで、第1の角度、第2の角度および第3の角度のそれぞれの角度以下の範囲内で任意の角度を選択して連結部60の着脱角度、すなわち、人工歯複合体の着脱角度を定める。
そして、その規定された着脱角度で移動させることにより、残存歯70、80の隣接面71、81と舌側面72、82とに密着して接触することが可能な表面形状を有する連結部60を金属で作製する。
図30は図18の人工臼歯複合体を分解して示す分解正面図(A)と分解背面図(B)である。
図30に示すように、上述のようにして作製された連結部40は、規定された着脱角度で移動させることにより、残存歯の隣接面と舌側面とに密着して接触することが可能な表面形状を持った接触部41、42、43、44、45を有する。
次に、人工臼歯部30を支持するための人工臼歯支持部46を連結部40に形成する。また、人工臼歯支持部46を固着するための突出部(支持柱部)47を連結部40の人工臼歯支持部46に形成する。
最後に、連結部40の人工臼歯支持部46と突出部(支持柱部)47に固着するように、所定の咬合面31を持った人工臼歯部30を樹脂成形によって作製する。このようにして、欠損箇所に補綴可能な形状を有する少なくとも一つの人工歯として人工臼歯部30を連結部40に固着するように作製することによって人工臼歯複合体は完成する。
以上の工程と同様にして、人工前歯複合体も製造することができる。
なお、上記の実施の形態では、人工歯部と連結部の固着方法として、連結部に突出部を設けたが、これに限定されるものではなく、少なくとも人工歯部を支持して固着できるものであればよく、図示された突出部でなく、種々の形状を適用することができる。
また、上記の実施の形態では、人工歯が1本の例について説明したが、少なくとも残存歯が患者に存在している状態であれば、残存歯の固定、局部床義歯の固定、局部床義歯の着脱等、歯科における種々の補綴治療の分野に本発明の人工歯複合体を適用することができる。
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
この発明の一つの実施の形態に従った人工前歯複合体を用いて補綴治療される上顎歯模型を示す図である。 図1の前歯の背面側(口蓋面側)から見た前歯欠損箇所を拡大して示す図である。 図1の前歯の前面側(唇側面側)から見た前歯欠損箇所を拡大して示す図である。 図1の前歯の側面側から見た前歯欠損箇所を拡大して示す図である。 図1の前歯欠損箇所に補綴治療される人工前歯複合体を示す正面図(A)、背面図(B)、左側面図(C)、右側面図(D)、上面図(E)、底面図(F)である。 図5の人工前歯複合体を装着する様子を前面側(唇側面側)から見た場合に順に示す図(A)(B)である。 図5の人工前歯複合体を装着する様子を図6の右側から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)である。 図5の人工前歯複合体を装着する様子を図6の左側から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)である。 図5の人工前歯複合体を装着する様子を背面側(口蓋面側)から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)である。 図5の人工前歯複合体を装着した状態を示す図である。 図5の人工前歯複合体を装着した状態を背面側(口蓋面側)から見て示す図である。 図5の人工前歯複合体を装着した状態を前面側(唇側面側)から見て示す図である。 この発明のもう一つの実施の形態に従った人工臼歯複合体を用いて補綴治療される下顎歯模型の一部を示す図である。 図13の臼歯の背面側(舌側面側)から見た臼歯欠損箇所を拡大して示す図である。 図13の臼歯の前面側(頬側面)から見た臼歯欠損箇所を拡大して示す図である。 図13の臼歯の側面側から見た臼歯欠損箇所を拡大して示す図である。 図13の臼歯のもう一方の側面側から見た臼歯欠損箇所を拡大して示す図である。 図13の臼歯欠損箇所に補綴治療される人工臼歯複合体を示す正面図(A)、背面図(B)、左側面図(C)、右側面図(D)、上面図(E)、底面図(F)である。 図18の人工臼歯複合体を装着する様子を斜め上方から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)である。 図18の人工臼歯複合体を装着する様子を斜め前方(頬側面側)から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)である。 図18の人工臼歯複合体を装着する様子を背面側(舌側面側)から見た場合に順に示す図(A)(B)(C)である。 図18の人工臼歯複合体を装着した状態を示す図である。 図18の人工臼歯複合体を装着した状態を上面側(咬合面側)から見て示す図である。 図18の人工臼歯複合体を装着した状態を背面側(舌側面側)から見て示す図である。 図18の人工臼歯複合体を装着した状態を前面側(頬側面側)から見て示す図である。 図18の人工臼歯複合体を装着した状態を側面側から見て示す図である。 この発明の人工歯複合体を残存歯に装着した状態を模式的に示す上面図である。 図27のX−X線に沿った方向から見た側断面図(A)と図27のY−Y線に沿った方向から見た側断面図(B)である。 図27のZ−Z線に沿った方向から見た側断面図である。 図18の人工臼歯複合体を分解して示す分解正面図(A)と分解背面図(B)である。 従来の補綴治療で用いられるブリッジを示す斜視図である。 従来の補綴治療で用いられる局部床義歯(部分入れ歯)を示す斜視図である。 従来の補綴治療で用いられるインプラント義歯を示す斜視図である。
符号の説明
1:人工前歯複合体、3:人工臼歯複合体、10:人工前歯部、20,40:連結部、21,22,23,24,41,42,43,44,45:接触部、30:人工臼歯部、110,120:残存前歯、111,121,211,221:隣接面、112,122:口蓋面、130:前歯欠損箇所、210,220,230:残存臼歯、212,222,232:舌側面、240:臼歯欠損箇所。

Claims (1)

  1. 少なくとも一つの歯が欠損した欠損箇所に補綴するための人工歯複合体の製造方法であって、
    少なくとも欠損箇所を含む残存歯の型をとり、この型に従って残存歯模型を作製するステップと、
    前記残存歯模型をある一つの仮想平面に置いた状態で、欠損箇所の左側に隣接する少なくとも一つの第1の残存歯の隣接面の突出量が最大となるときに、歯肉の表面と前記第1の残存歯の根元部との交点から前記第1の残存歯の突出部に向かって前記第1の残存歯の隣接面に接するように延びる直線と仮想平面とのなす第1の角度を決定するステップと、
    前記残存歯模型をある一つの仮想平面においた状態で、欠損箇所の右側に隣接する少なくとも一つの第2の残存歯の隣接面の突出量が最大となるときに、歯肉の表面と前記第2の残存歯の根元部との交点から前記第2の残存歯の突出部に向かって前記第2の残存歯の隣接面に接するように延びる直線と仮想平面とのなす第2の角度を決定するステップと、
    前記残存歯模型をある一つの仮想平面においた状態で、前記第1の残存歯または前記第2の残存歯の少なくともいずれか一方の残存歯の口蓋面または舌側面の突出量が最大となるときに、歯肉の表面と前記一方の残存歯の根元部との交点から前記一方の残存歯の突出部に向かって残存歯の口蓋面または舌側面に接するように延びる直線と仮想平面とのなす第3の角度を決定するステップと、
    前記第1の角度、前記第2の角度および前記第3の角度のそれぞれの角度以下の範囲内で任意の角度を選択して着脱角度を定めるステップと、
    前記着脱角度で移動させることにより、前記第1と第2の残存歯の隣接面と口蓋面または舌側面とに密着して接触することが可能な表面形状を有する連結部を作製するステップと、
    前記欠損箇所に補綴可能な形状を有する少なくとも一つの人工歯を前記連結部に固着するように作製するステップとを備えた、人工歯複合体の製造方法。
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