JP6239182B1 - 部分義歯 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラウンブリッジやインプラントのように残存歯や歯槽骨の切削を伴わず、しかも、部分床義歯のように義歯床を用いることなく装着することができて、取り外しも可能な部分義歯を提供する。【解決手段】本発明に係る部分義歯は、人工歯と、人工歯を支持し、アーチ状となって歯列の内側に係合する第一の状態と、幅が狭まるように屈曲する第二の状態とに変形可能な係合部材と、第一の状態を解除可能に固定するためのロック構造とを備え、係合部材は、歯列における複数の歯のそれぞれの、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合する第一の係合部を備えるとともに、歯列における複数の歯のそれぞれの、傾斜部とは反対側に傾斜するアンダーカット部に係合する第二の係合部を備える。【選択図】図7

Description

本発明は、取り外し可能な部分義歯に関する。
部分的に欠損した歯を補う歯科用補綴物として、古くから部分床義歯が用いられている。また、その後、クラウンブリッジやインプラントも用いられるようになってきた。そして、使用者の利便性に鑑みた歯科用補綴物が各種提案されており、部分床義歯であれば、特許文献1ないし5に記載されたものがその一例である。
特開平7−236647号公報 特開2015−109965号公報 特開2016−196号公報 特開2004−254911号公報 特開2004−89443号公報
部分床義歯は、義歯床に人工歯を設けたものを歯列の欠損部における歯槽堤に被せて装着するものであり、人工歯にかかる咬合力は、歯槽堤の歯肉(粘膜)に作用するようになっている。そのため、部分床義歯においては、強力な咬合力を必要とする硬い食べ物は食べられないという問題がある。
また、部分床義歯の中には、残存歯に一部咬合力を負担させるためや義歯の装着を安定させるために、残存歯に係合するクラスプを設けたものがある。しかし、この構造によれば、咬合力が柔軟性のある歯肉と動きにくい残存歯の両者に作用し、荷重にアンバランスが生じるため、残存歯にかかる負担が大きく、この残存歯の寿命を縮めるという問題がある。
クラウンブリッジは、人工歯の両側に一体形成されたクラウンを歯列の欠損部の前後に位置する残存歯に被せて装着するものである。そのため、クラウンブリッジにおいては、クラウンを残存歯に被せるためにクラウンの厚さだけ健全な残存歯を切削しなければならないという問題がある。
インプラントは、人工歯根を歯槽骨に植立し、人工歯根の上端部に人工歯を固着するものである。そのため、インプラントにおいては、人工歯根を歯槽骨に植立するために歯肉を切開するとともに歯槽骨を切削しなければならないという問題がある。加えて、人工歯根は、自然歯根と異なり、歯根膜を介さず、歯槽骨に直接植立される。そのため、インプラントにおいては、適度なクッション性が得られないという問題がある。さらに、インプラントにおいては、周辺粘膜の歯垢や口腔内細菌に対する防御機構も存在しない。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、クラウンブリッジやインプラントのように残存歯や歯槽骨の切削を伴わず、しかも、部分床義歯のように義歯床を用いることなく装着することができて、取り外しも可能な部分義歯を提供することを課題とするものである。
本発明に係る部分義歯は、
義歯床を有さない部分義歯であって、
歯列の欠損部に配置される人工歯と、
人工歯を支持し、アーチ状となって歯列の内側に係合する第一の状態と、幅が狭まるように屈曲する第二の状態とに変形可能な係合部材と、
第一の状態を解除可能に固定するためのロック構造とを備え、
係合部材は、歯列における複数の歯のそれぞれの、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合する第一の係合部を備えるとともに、歯列における複数の歯のそれぞれの、傾斜部とは反対側に傾斜するアンダーカット部に係合する第二の係合部を備える。
かかる構成によれば、部分義歯を歯列に装着するに際しては、まず、係合部材を第二の状態にする。これにより、係合部材は歯列の内側に挿入可能となるので、この状態で、係合部材を歯列の内側に移動させる。そして、係合部材を第一の状態にする。これにより、係合部材が歯列の内側に係合し、かつ、ロック構造が働いて、部分義歯は歯列に装着される。
そして、部分義歯が歯列に装着されると、第一の係合部及び第二の係合部が歯列の内側に係合する。しかも、係合部材は、両端よりも中央が凸となるアーチ状となっており、第一の係合部及び第二の係合部は、アーチの複数箇所に設けられる。したがって、部分義歯は、歯列の内外方向(水平方向)、咬合方向(上下方向)及び歯列に対する回転方向のいずれの方向においても、動くことなく、歯列に強固に装着される。
加えて、部分義歯を装着している間、第一の係合部は、歯列における複数の歯のそれぞれの、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合している。そのため、人工歯にかかる咬合力は、欠損部における歯槽堤には実質的には作用せず、複数の歯に分散される。
さらに、部分義歯を装着している間、第二の係合部は、歯列における複数の歯のそれぞれの、傾斜部とは反対側に傾斜する傾斜部であるアンダーカット部に係合している。そのため、部分義歯が歯列から抜けることはない。
他方、部分義歯を歯列から取り外すときは、ロック構造を解除して係合部材を第二の状態にする。これにより、係合部材の幅が狭まり、係合部材が歯列から離間し、部分義歯を取り外すことができる。
なお、「内側」とは、歯を基準とした場合に舌がある側(舌側)をいい、「外側」とは、歯を基準とした場合に、前歯(1歯ないし2歯の切歯及び3歯の犬歯)であれば、唇がある側(唇側)をいい、奥歯(4番ないし7番の臼歯)であれば、頬がある側(頬側)をいう。
ここで、本発明に係る部分義歯の一態様として、係合部材は、複数の歯のそれぞれ表面に沿う形状の凹部を備え、凹部の咬合側の端部に第一の係合部が形成されるとともに、凹部の歯根側の端部に第二の係合部が形成される構成を採用することができる。
かかる構成によれば、最大豊隆部を歯冠の上下方向中間部に有することで太鼓状となる歯(4番ないし7番の臼歯)の表面を包むように凹部が歯の表面に面当接し、部分義歯は、より強固に歯列に装着される。
なお、「咬合側」とは、咬合方向(上下方向)において、前歯であれば、切端に近い側をいい、奥歯であれば、咬合面(上顎の歯列と下顎の歯列とが噛み合う面、より詳しくは、歯の頂部において隆起している咬頭の間に囲まれた面)に近い側をいい、「歯根側」とは、切端や咬合面から遠ざかる側をいう。
また、本発明に係る部分義歯の他態様として、係合部材は、遠心から歯列に沿って近心に延びる第一の係合部材と、第一の係合部材の近心の端部に回転可能に連結され、ここからさらに歯列に沿って延びる第二の係合部材とを備え、第一の係合部及び第二の係合部は、第一の係合部材及び第二の係合部材のそれぞれに設けられる構成を採用することができる。
かかる構成によれば、部分義歯を歯列に装着するに際しては、まず、第二の係合部材を第一の係合部材側に回転させて、係合部材を第二の状態にする。これにより、係合部材は歯列の内側に挿入可能となるので、この状態で、係合部材を歯列の内側に移動させる。そして、第二の係合部材を第一の係合部材と反対側に回転させて、係合部材を第一の状態にする。これにより、係合部材が歯列の内側に係合し、かつ、ロック構造が働いて、部分義歯は歯列に装着される。
他方、部分義歯を歯列から取り外すときは、ロック構造を解除して、第二の係合部材を第一の係合部材側に回転させて、係合部材を第二の状態にする。これにより、係合部材の幅が狭まり、係合部材が歯列から離間し、部分義歯を取り外すことができる。
なお、「遠心」とは、正中(右側1番の切歯と左側1番の切歯の間)から遠ざかる方向をいい、「近心」とは、正中に近づく方向をいう。
この場合、係合部材は、第一の係合部材の近心の端部と、第二の係合部材の連結側の端部とが歯列の内外方向において重なり合う重合部を備え、ロック構造は、重合部における第一の係合部材と第二の係合部材との重合面に設けられる構成を採用することができる。
かかる構成によれば、係合部材を第二の状態から第一の状態にして、係合部材が歯列の内側に係合する際、ロック構造により係合部材が第一の状態に固定されて、部分義歯は歯列に装着される。他方、部分義歯を歯列から取り外すときは、ロック構造を解除して係合部材を第二の状態にし、係合部材を歯列から離間させて、部分義歯を取り外す。
以上の如く、本発明に係る部分義歯によれば、残存歯をそのまま利用することで、クラウンブリッジやインプラントのように残存歯や歯槽骨の切削を行う必要がなく、部分義歯を取り外し可能に装着することができる。また、本発明に係る部分義歯によれば、人工歯にかかる咬合力を、義歯床を介して歯槽堤に負担させるのではなく、複数の残存歯に分散させて負担させるので、部分床義歯による諸問題を解消することができる。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る部分義歯が装着される上顎を模った上顎模型を下顎側から見た平面図、図1(b)は、部分義歯が上顎模型に装着された状態を示す、図1(a)に対応する平面図である。 図2(a)は、上顎模型を正面から見た正面図、図2(b)は、部分義歯が上顎模型に装着された状態を示す、図2(a)に対応する正面図である。 図3(a)は、上顎模型を下顎右側から見た斜視図、図3(b)は、部分義歯が上顎模型に装着された状態を示す、図3(a)に対応する斜視図である。 図4(a)は、装着状態(第一の状態)にした部分義歯を下顎側から見た平面図、図4(b)は、屈曲状態(第二の状態)にした部分義歯を下顎側から見た平面図である。 図5(a)は、図1(b)のA−A線に対応する箇所における部分義歯の断面図、図5(b)は、図1(b)のB−B線に対応する箇所における部分義歯の断面図、図5(c)は、屈曲状態(第二の状態)にした部分義歯の、図5(b)に対応する断面図である。 図6(a)は、図1(b)のB−B線断面図、図6(b)は、図1(b)のC−C線断面図、図6(c)は、図1(b)のD−D線断面図である。 図7(a)は、屈曲状態(第二の状態)にした部分義歯の第一の係合部材が歯列の内側に係合した状態を示す平面図、図7(b)は、第二の係合部材が回転して歯列の内側に係合して、部分義歯が歯列に装着された状態を示す平面図である。
以下、本発明に係る部分義歯の一実施形態について、図1ないし図7を参酌して説明する。なお、本実施形態に係る部分義歯は上顎の歯列に装着されるものであるが、ここでは、便宜上、上顎を模った上顎模型を用い、これを実際の上顎とみなして説明する。
図1ないし図5に示す如く、本実施形態に係る部分義歯1は、左右の1番及び2番の前歯の欠損部51を補綴するためのもので、左右の3番の犬歯54,54、4番の臼歯55,55、5番の臼歯56,56、6番の臼歯57,57及び7番の臼歯58,58の歯列に装着されるものである。
部分義歯1は、欠損部51に配置される人工歯10と、人工歯10を支持し、アーチ状となって歯列の内側に係合する第一の状態と、幅が狭まるように屈曲する第二の状態とに変形可能な係合部材20A,20Bとを備える。
人工歯10は、ベース部11に、歯と同色の白色を有して外観上歯に見せるための周知のコーティング(コーティング部12)を施した積層体である。本実施形態においては、左右の1番及び2番の隣り合う四本の前歯が欠損しており、人工歯10は、この四本の歯を一体的に設けたものである。
係合部材20A,20Bは、遠心から歯列に沿って近心に延びる第一の係合部材20Aと、第一の係合部材20Aの近心の端部に回転可能に連結され、ここからさらに歯列に沿って延びる第二の係合部材20Bとを備える。本実施形態においては、第一の係合部材20Aは、左側7番の臼歯58から左側3番の犬歯54に延び、さらに欠損部51を埋めるように延びる。他方、第二の係合部材20Bは、欠損部51から始まり、右側3番の犬歯から右側7番の臼歯58に延びる。
第一の係合部材20Aの近心の端部、すなわち、第一の係合部材20Aの欠損部51における部位と、第二の係合部材20Bの近心の端部、すなわち、第二の係合部材20Bの欠損部51における部位は、前者が外側、後者が内側となるようにして、重なり合い、重合部24を構成する。なお、第一の係合部材20Aの欠損部51における部位は、人工歯10のベース部11を兼ねている。
第二の係合部材20Bの近心の端部は、重合部24において、第一の係合部材20Aの近心の端部に回転可能に連結される。本実施形態においては、第二の係合部材20Bの近心の先端部と、第一の係合部材20Aの近心の端部のうち、左側1番及び2番の前歯の間に相当する部位とがピン軸41を用いたヒンジ部40にて回転可能に連結される。
そして、重合部24における第一の係合部材20Aと第二の係合部材20Bとの重合面24a,24bには、第一の係合部材20Aの近心の端部と第二の係合部材20Bの近心の端部(連結側の端部)の重合状態(合致状態)を解除可能に固定するためのロック構造25が設けられる。
ロック構造25は、第一の係合部材20Aの重合面24a又は第二の係合部材20Bの重合面24bのいずれか一方の立面に形成される係合凹部と、いずれか他方の立面に形成される係合突起とで構成される。第二の係合部材20Aが歯列の内側に係合する方向に回転するのに伴って、第一の係合部材20Aの近心の端部と第二の係合部材20Bの連結側の端部とが重合(合致)する際、係合突起が係合凹部に弾性変形的に係入し、ロックがかかるようになっている。また、第二の係合部材20Bが歯列の内側から離間する方向に回転するのに伴って、第一の係合部材20Aの近心の端部と第二の係合部材20Bの連結側の端部とが分離する際、係合突起による係合凹部への係止が外れ、ロックが解除されるようになっている。
第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれは、対応する各歯の、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合する第一の係合部21,…を備えるとともに、この傾斜部とは反対側に傾斜するアンダーカット部がある歯の、当該アンダーカット部に係合する第二の係合部22,…を備える。本実施形態においては、第一の係合部材20Aは、左側3番の犬歯54、左側4番の臼歯55、左側5番の臼歯56、左側6番の臼歯57及び左側7番の臼歯58のそれぞれの歯に対し、第一の係合部21を備え、アンダーカット部を有する左側3番の犬歯54、左側4番の臼歯55、左側5番の臼歯56、左側6番の臼歯57及び左側7番の臼歯58のそれぞれの歯に対し、第二の係合部22を備える。第二の係合部材20Bは、右側3番の犬歯54、右側4番の臼歯55、右側5番の臼歯56、右側6番の臼歯57及び右側7番の臼歯58のそれぞれの歯に対し、第一の係合部21を備え、アンダーカット部を有する右側3番の犬歯54、右側4番の臼歯55、右側5番の臼歯56、右側6番の臼歯57及び右側7番の臼歯58のそれぞれの歯に対し、第二の係合部22を備える。
また、第一の係合部21は、第一の係合部材20Aの近心の先端部にも設けられる(図4参照)。本実施形態においては、第一の係合部材20Aは、右側3番の犬歯54に対し、第一の係合部21を備える。
図6に示す如く、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれは、各歯の内側面に沿う形状の凹部23を備える。第一の係合部21は、凹部23の咬合側(図面では下側)に形成される。第二の係合部22は、凹部23の歯根側(図面では上側)に形成される。
より詳しくは、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれは、歯の歯頚部にプラークが付着するのを防止するために、歯根側の端縁部が内側の歯肉59の縁と接して隙間ができない状態となるように、歯列の内側に係合する。そのため、第二の係合部22は、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれの歯根側の端縁部(凹部23の歯根側の端部)に形成され、主として歯頚部に係合する。
また、臼歯55ないし58に対して、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれは、歯の内側面をほぼ全体的に覆う高さ寸法を有している。そのため、第一の係合部21は、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれの咬合側の端縁部(凹部23の咬合側の端部)に形成される。ただし、第一の係合部21が臼歯55ないし58の咬合面にまで進出すると、下顎の歯と第一の係合部21が当たり、歯の噛み合わせが変わってしまう。そのため、第一の係合部21は、臼歯55ないし58の、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部のうち、咬合面にかからない部位、例えば咬合面よりもわずかに歯根側の部位に係合する。
部分義歯1の材質としてはコバルト・クロム・モリブデン合金や金合金といった金属のほか、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂といった合成樹脂やジルコニアといったセラミックを用いることができる。本実施形態においては、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれは、金属材料を用いて鋳造により一体成型した金属製である。
本実施形態に係る部分義歯1は、以上の構成からなり、次に、この部分義歯1を歯列に装着する手順について説明する。
まず、係合部材20A,20Bを幅が狭まるように屈曲して第二の状態にする。これにより、係合部材20A,20Bは歯列の内側に挿入可能となるので、この状態で、係合部材20A,20Bを歯列の内側に移動させる。
係合部材20A,20Bを対応する位置まで移動させると、次に、図7(a)に示す如く、第一の係合部材20Aを歯列側に移動させて歯列に内側から係合させる。また、この操作により、人工歯10は、歯列の欠損部51における歯槽堤の上の正規位置に配置される。
次に、図7(b)に示す如く、第二の係合部材20Bを歯列側に移動させて、係合部材20A,20Bをアーチ状となる第一の状態にし、第二の係合部材20Bを歯列に内側から係合させる。このとき、ロック構造25により係合部材20A,20Bは第一の状態に固定され、部分義歯1は歯列に装着される。
ここで、本実施形態に係る部分義歯1は、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれに、傾斜の向きが互いに逆となる第一の係合部21及び第二の係合部22の両方が形成されている。そのため、部分義歯1が第一の状態、すなわち装着形態のままでは、第二の係合部22が歯列(の内側面の豊隆部)と干渉して部分義歯1を歯列に装着することはできない。しかし、本実施形態に係る部分義歯1は、係合部材20A,20Bの幅(第一の係合部材20Aの遠心の端部と第二の係合部材20Bの遠心の端部との間隔)が狭まり、歯列の内側に挿入可能となる屈曲式を採用している。これにより、第一の係合部21及び第二の係合部22を歯列に対して横方向から係合させることができて、部分義歯1を歯列に容易に装着することができる。
部分義歯1が歯列に装着されると、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれの複数の凹部23,…が歯列の内側面に面係合するとともに、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれの複数の第一の係合部21,…及び複数の第二の係合部22,…が歯列の内側に係合する。これにより、係合部材20A,20Bは、歯列の内側で突っ張るように係合する。したがって、本実施形態に係る部分義歯1は、歯列の内外方向(水平方向)、咬合方向(上下方向)及び歯列に対する回転方向のいずれの方向においても、動くことなく、歯列に強固に装着することができる。
しかも、本実施形態に係る部分義歯1は、金属製の剛体であり、撓みや変形が生じにくい。そのため、長期間使用しても、係合状態が弱まったり、不均一になったりすることはない。これにより、使用者は快適な装着感をもって部分義歯を使用することができる。
また、本実施形態に係る部分義歯1によれば、歯列に装着している間、複数の第一の係合部21,…が、歯列における複数の歯(本実施形態においては、左右の3番の犬歯54,54、4番の臼歯55,55、5番の臼歯56,56、6番の臼歯57,57及び7番の臼歯58,58の十本の歯)のそれぞれの、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合している。そのため、人工歯10にかかる咬合力を、欠損部51における歯槽堤には実質的には作用せず、複数の歯に分散させることができる。これにより、部分床義歯が抱える、強力な咬合力を必要とする硬い食べ物は食べられないという問題や、荷重にアンバランスが生じるため、残存歯にかかる負担が大きく、この残存歯の寿命を縮めるという問題を解消することができる。
しかも、本実施形態に係る部分義歯1は、金属製の剛体であり、撓みや変形が生じにくい。そのため、長期間使用しても、係合状態が弱まったり、不均一になったりすることはない。これにより、咬合力の分散効果に偏りが生じて、特定の歯に咬合力が過度に作用してこの歯の寿命を縮めてしまうという問題は生じない。
また、本実施形態に係る部分義歯1は、残存歯をそのまま利用して装着するものである。これにより、クラウンブリッジのように部分義歯を合わせるために残存歯を切削するという必要がなくなる。そのため、健全歯質の喪失を防ぐことができるという使用者にとっては極めて大きな効果を奏する。
また、本実施形態に係る部分義歯1においては、ロック構造25は、第一及び第二の係合部材20A,20Bの重合部24に設けられる。そのため、設計の自由度が高い。しかも、ロック構造25は、第一及び第二の係合部材20A,20Bの重合面24a,24bによって隠されるため、非常に衛生的でもある。
なお、本発明に係る部分義歯は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、係合部材20A,20Bは、ヒンジ部40による回転構造により屈曲するものである。しかし、例えば、第二の係合部材20B(の端部)が第一の係合部材20B上をスライドすることにより、屈曲した形態となるものであってもよい。
また、上記実施形態においては、係合部材は、第一の係合部材20Aと第二の係合部材Bとで構成されている。しかし、係合部材は、一つの部材で構成するようにしてもよい。例えば、中間部に弾性変形可能な変形部を有した一つの部材からなる係合部材であってもよい。
また、上記実施形態においては、人工歯10は第一の係合部材20Aに設けられる。しかし、人工歯10は、第二の係合部材20Bに設けられるものであってもよい。あるいは、人工歯10を分割式とし、人工歯10の第一の分割体が第一の係合部材20Aに設けられ、人工歯10の第二の分割体が第二の係合部材20Bに設けられるものであってもよい。
また、上記実施形態においては、同じ歯番の歯に第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bが係合するようになっている。しかし、これに限定されることはない。例えば、第一の係合部材20Aが係合する歯の数が第二の係合部材20Bが係合する歯の数よりも多くなるあるいは少なくなるように、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれの歯列方向長さが異なっていてもよい。よって、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれが最奥歯(7番の臼歯58)まで延びていることも必須ではない。
また、上記実施形態においては、基本的には、同じ歯に第一の係合部21及び第二の係合部22が係合するようになっている。しかし、第一の係合部21が係合する歯と第二の係合部22が係合する歯は完全一致していなくてもよい。例えば、第一の係合部21が係合する歯の一部に第二の係合部22が係合するようにしてもよいし、第一の係合部21が係合する歯とは異なる歯に第二の係合部22が係合するようにしてもよい。
また、第一の係合部21が係合する歯の数は、人工歯10にかかる咬合力を好適に分散させる観点から、少なくとも三つの歯であるのが好ましい。また、これは欠損歯の数にもよるものであり、第一の係合部21は、欠損歯の数の二倍以上の数の歯に係合するのが好ましい。
また、上記実施形態においては、本来の噛み合わせを変えないよう、第一の係合部21は、咬合面にかからない部位に設けられる。しかし、逆に、噛み合わせの矯正を目的として、第一の係合部21は、咬合面にかかる部位に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、第一の係合部材20A及び第二の係合部材20Bのそれぞれの各歯に対応する部位に凹部23が設けられ、凹部23の咬合側の端部に第一の係合部21が設けられ、凹部23の歯根側の端部に第二の係合部22が設けられ、係合部材20A,20Bと歯の表面との係合が強固になるようにしている。しかし、面当接ではなく、第一の係合部21及び第二の係合部22が部分的に係合するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、人工歯10のベース部11と第一の係合部材20A、第二の係合部材20Bは、それぞれ、鋳造により一体成型したものである。しかし、製造方法は、鋳造に限定されず、切削による削り出しでもよい。また、人工歯10と係合部材20A,20Bとは、それぞれ別々に作成されたものを組み合わせて一体化したものでもよい。
また、上記実施形態においては、ロック構造25は、係合凹部と係合突起との組み合わせによるものである。しかし、これに限定されるものではなく、公知ないし周知のロック構造であって、屈曲式の部分義歯に適用できるものであれば用いることができる。
また、上記実施形態においては、ロック構造25は、第一及び第二の係合部材20A,20Bの重合部24の重合面24a,24bに設けられる。しかし、これに限定されるものではなく、ロック構造25は、他の部位に設けるようにしてもよい。例えば、第一及び第二の係合部材20A,20Bの重合部24を設けることなく、第一の係合部材20Aの近心の端面と第二の係合部材20Bの近心の端面とを当接させて第一の状態が得られるようにした上で、この端面にロック構造を設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態に係る部分義歯1は、前歯が欠損している中間欠損に対する部分義歯である。しかし、欠損部51が右側あるいは左側に偏った位置にある中間欠損に対する部分義歯であってもよい。
1…部分義歯、10…人工歯、11…ベース部、12…コーティング部、20A…第一の係合部材、20B…第二の係合部材、21…第一の係合部、22…第二の係合部、23…凹部、24…重合部、24a,24b…重合面、25…ロック構造、40…ヒンジ部、41…ピン軸、50…上顎、51…欠損部、54…犬歯、55〜58…臼歯、59…歯肉

Claims (4)

  1. 義歯床を有さない部分義歯であって、
    歯列の欠損部に配置される人工歯と、
    該人工歯を支持し、アーチ状となって前記歯列の内側に係合する第一の状態と、幅が狭まるように屈曲する第二の状態とに変形可能な係合部材と、
    前記第一の状態を解除可能に固定するためのロック構造とを備え、
    前記係合部材は、前記歯列における複数の歯のそれぞれの、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合する第一の係合部を備えるとともに、前記歯列における複数の歯のそれぞれの、前記傾斜部とは反対側に傾斜するアンダーカット部に係合する第二の係合部を備える
    部分義歯。
  2. 前記係合部材は、前記複数の歯のそれぞれ表面に沿う形状の凹部を備え、該凹部の咬合側の端部に前記第一の係合部が形成されるとともに、該凹部の歯根側の端部に前記第二の係合部が形成される請求項1に記載の部分義歯。
  3. 前記係合部材は、遠心から前記歯列に沿って近心に延びる第一の係合部材と、該第一の係合部材の近心の端部に回転可能に連結され、ここからさらに前記歯列に沿って延びる第二の係合部材とを備え、
    前記第一の係合部及び前記第二の係合部は、前記第一の係合部材及び前記第二の係合部材のそれぞれに設けられる
    請求項1又は2に記載の部分義歯。
  4. 前記係合部材は、前記第一の係合部材の前記近心の端部と、前記第二の係合部材の連結側の端部とが前記歯列の内外方向において重なり合う重合部を備え、
    前記ロック構造は、該重合部における前記第一の係合部材と前記第二の係合部材との重合面に設けられる
    請求項3に記載の部分義歯。
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