JP6239180B1 - 部分義歯 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラウンブリッジやインプラントのように残存歯や歯槽骨の切削を伴わず、しかも、部分床義歯のように義歯床を用いることなく装着することができて、取り外しも可能な部分義歯を提供する。【解決手段】本発明に係る部分義歯は、人工歯と、人工歯を支持し、開閉可能に構成され、開状態において、歯列を挿入可能に離間するとともに、閉状態において、歯列に内側及び外側から係合する一対の係合部材と、一対の係合部材の閉状態を解除可能に固定するためのロック構造とを備え、一対の係合部材の少なくともいずれか一方の係合部材は、歯列における複数の歯のそれぞれの、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合する第一の係合部を備えるとともに、歯列における少なくとも一つの歯の、傾斜部とは反対側に傾斜するアンダーカット部に係合する第二の係合部を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、取り外し可能な部分義歯に関する。
部分的に欠損した歯を補う歯科用補綴物として、古くから部分床義歯が用いられている。また、その後、クラウンブリッジやインプラントも用いられるようになってきた。そして、使用者の利便性に鑑みた歯科用補綴物が各種提案されており、部分床義歯であれば、特許文献1ないし5に記載されたものがその一例である。
特開平7−236647号公報 特開2015−109965号公報 特開2016−196号公報 特開2004−254911号公報 特開2004−89443号公報
部分床義歯は、義歯床に人工歯を設けたものを歯列の欠損部における歯槽堤に被せて装着するものであり、人工歯にかかる咬合力は、歯槽堤の歯肉(粘膜)に作用するようになっている。そのため、部分床義歯においては、強力な咬合力を必要とする硬い食べ物は食べられないという問題がある。
また、部分床義歯の中には、残存歯に一部咬合力を負担させるためや義歯の装着を安定させるために、残存歯に係合するクラスプを設けたものがある。しかし、この構造によれば、咬合力が柔軟性のある歯肉と動きにくい残存歯の両者に作用し、荷重にアンバランスが生じるため、残存歯にかかる負担が大きく、この残存歯の寿命を縮めるという問題がある。
クラウンブリッジは、人工歯の両側に一体形成されたクラウンを歯列の欠損部の前後に位置する残存歯に被せて装着するものである。そのため、クラウンブリッジにおいては、クラウンを残存歯に被せるためにクラウンの厚さだけ健全な残存歯を切削しなければならないという問題がある。
インプラントは、人工歯根を歯槽骨に植立し、人工歯根の上端部に人工歯を固着するものである。そのため、インプラントにおいては、人工歯根を歯槽骨に植立するために歯肉を切開するとともに歯槽骨を切削しなければならないという問題がある。加えて、人工歯根は、自然歯根と異なり、歯根膜を介さず、歯槽骨に直接植立される。そのため、インプラントにおいては、適度なクッション性が得られないという問題がある。さらに、インプラントにおいては、周辺粘膜の歯垢や口腔内細菌に対する防御機構も存在しない。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、クラウンブリッジやインプラントのように残存歯や歯槽骨の切削を伴わず、しかも、部分床義歯のように義歯床を用いることなく装着することができて、取り外しも可能な部分義歯を提供することを課題とするものである。
本発明に係る部分義歯は、
義歯床を有さない部分義歯であって、
歯列の欠損部に配置される人工歯と、
人工歯を支持し、開閉可能に構成され、開状態において、歯列を挿入可能に離間するとともに、閉状態において、歯列に内側及び外側から係合する一対の係合部材と、
一対の係合部材の閉状態を解除可能に固定するためのロック構造とを備え、
一対の係合部材の少なくともいずれか一方の係合部材は、歯列における複数の歯のそれぞれの、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合する第一の係合部を備えるとともに、歯列における少なくとも一つの歯の、傾斜部とは反対側に傾斜するアンダーカット部に係合する第二の係合部を備える。
かかる構成によれば、部分義歯を歯列に装着するに際しては、まず、一対の係合部材を開状態にする。これにより、一対の係合部材は歯列を挿入可能に離間するので、この状態で、一対の係合部材を歯列の内外に移動させる。そして、一対の係合部材を閉状態にする。これにより、一対の係合部材が歯列の内側及び外側に係合し、かつ、ロック構造が働いて、部分義歯は歯列に装着される。
そして、部分義歯が歯列に装着されると、i)第一の係合部及び第二の係合部が一対の係合部材のいずれか一方の係合部材に設けられている部分義歯の場合は、第一の係合部及び第二の係合部が歯列の内側又は外側のいずれか一方側に係合するとともに、一対の係合部材のいずれか他方の係合部材が歯列の内側又は外側のいずれか他方側に係合することで、一対の係合部材は、歯を内側及び外側から少なくとも3点で包むように係合し、また、ii)第一の係合部及び第二の係合部が一対の係合部材のいずれの係合部材にも設けられている部分義歯の場合は、第一の係合部及び第二の係合部が歯列の内側及び外側に係合することで、一対の係合部材は、歯を内側及び外側から少なくとも4点で包むように係合する。したがって、部分義歯は、歯列の内外方向(水平方向)、咬合方向(上下方向)及び歯列に対する回転方向のいずれの方向においても、動くことなく、歯列に強固に装着される。
加えて、部分義歯を装着している間、第一の係合部は、歯列における複数の歯のそれぞれの、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合している。そのため、人工歯にかかる咬合力は、欠損部における歯槽堤には実質的には作用せず、複数の歯に分散される。
さらに、部分義歯を装着している間、第二の係合部は、歯列における少なくとも一つの歯の、傾斜部とは反対側に傾斜する傾斜部であるアンダーカット部に係合している。そのため、部分義歯が歯列から抜けることはない。
他方、部分義歯を歯列から取り外すときは、ロック構造を解除して一対の係合部材を開状態にすることにより、一対の係合部材が歯列から離間し、部分義歯を取り外すことができる。
なお、「内側」とは、歯を基準とした場合に舌がある側(舌側)をいい、「外側」とは、歯を基準とした場合に、前歯(1歯ないし2歯の切歯及び3歯の犬歯)であれば、唇がある側(唇側)をいい、奥歯(4番ないし7番の臼歯)であれば、頬がある側(頬側)をいう。
ここで、本発明に係る部分義歯の一態様として、一対の係合部材の少なくともいずれか一方の係合部材は、複数の歯のそれぞれ表面に沿う形状の凹部を備え、凹部の咬合側の端部に第一の係合部が形成されるとともに、凹部の歯根側の端部に第二の係合部が形成される構成を採用することができる。
かかる構成によれば、最大豊隆部を歯冠の上下方向中間部に有することで太鼓状となる歯(4番ないし7番の臼歯)の表面を包むように凹部が歯の表面に面当接し、部分義歯は、より強固に歯列に装着される。
なお、「咬合側」とは、咬合方向(上下方向)において、前歯であれば、切端に近い側をいい、奥歯であれば、咬合面(上顎の歯列と下顎の歯列とが噛み合う面、より詳しくは、歯の頂部において隆起している咬頭の間に囲まれた面)に近い側をいい、「歯根側」とは、切端や咬合面から遠ざかる側をいう。
また、本発明に係る部分義歯の他態様として、一対の係合部材のいずれか他方の係合部材は、歯列における少なくとも一つの歯のアンダーカット部に係合する第二の係合部を備える構成を採用することができる。
かかる構成によれば、部分義歯が歯列に装着されると、一対の係合部材のいずれか一方の係合部材の第一の係合部及び第二の係合部が歯列の内側又は外側のいずれか一方側に係合するとともに、一対の係合部材のいずれか他方の係合部材の第二の係合部が歯列の内側又は外側のいずれか他方側に係合する。これにより、一対の係合部材は、歯を内側及び外側から少なくとも3点で包むように係合する。したがって、部分義歯は、歯列の内外方向(水平方向)、咬合方向(上下方向)及び歯列に対する回転方向のいずれの方向においても、動くことなく、歯列に強固に装着される。しかも、部分義歯を装着している間、歯の内側及び外側の両アンダーカット部に第二の係止部が係合しているため、部分義歯が歯列から抜けることはない。
また、本発明に係る部分義歯の別の態様として、人工歯は、分割面にて第一の分割体と第二の分割体とに分割され、第一の分割体は、一対の係合部材のいずれか一方の係合部材に設けられるとともに、第二の分割体は、一対の係合部材のいずれか他方の係合部材に設けられる構成を採用することができる。
かかる構成によれば、一対の係合部材の開状態において、第一の分割体及び第二の分割体は、分割面にて分離する。他方、一対の係合部材の閉状態において、部分義歯が歯列に装着された状態になると、第一の分割体及び第二の分割体は、合致して人工歯としての機能を発現する。
この場合、第一の分割体は、咬合側の横面、咬合側の横面とは反対側の、欠損部における歯槽堤に沿う形状の歯根側の横面、人工歯の内側面、及び人工歯の内側面とは反対側の立面を有するベース部を備え、第二の分割体は、人工歯の咬合面、及び人工歯の咬合面とは反対側の、第一の分割体の咬合側の横面とで第一の分割面をなす歯根側の横面を有する咬合部と、人工歯の外側面、及び人工歯の外側面とは反対側の、第一の分割体の立面とで第二の分割面をなす立面を有する外側部とを備える構成を採用することができる。
かかる構成によれば、一対の係合部材の開状態において、第一の分割体及び第二の分割体は、第一の分割面(第一の分割体の咬合側の横面及び第二の分割体の歯根側の横面)及び第二の分割面(第一の分割体の立面及び第二の分割体の立面)にて分離する。他方、一対の係合部材の閉状態において、部分義歯が歯列に装着された状態になると、第一の分割体及び第二の分割体は、第一の分割面及び第二の分割面が合わさるようにして合致する。これにより、第一の分割体の内側面、第二の分割体の外側面及び咬合面を主面とした人工歯が構成される。
また、ロック構造は、第一の分割体と第二の分割体との分割面に設けられる構成を採用することができる。
かかる構成によれば、一対の係合部材を開状態から閉状態にして、一対の係合部材が歯列の内側及び外側に係合する際、ロック構造により一対の係合部材が閉状態に固定されて、部分義歯は歯列に装着される。他方、部分義歯を歯列から取り外すときは、ロック構造を解除して一対の係合部材を開状態にし、一対の係合部材を歯列から離間させて、部分義歯を取り外す。
以上の如く、本発明に係る部分義歯によれば、残存歯をそのまま利用することで、クラウンブリッジやインプラントのように残存歯や歯槽骨の切削を行う必要がなく、部分義歯を取り外し可能に装着することができる。また、本発明に係る部分義歯によれば、人工歯にかかる咬合力を、義歯床を介して歯槽堤に負担させるのではなく、複数の残存歯に分散させて負担させるので、部分床義歯による諸問題を解消することができる。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る部分義歯が装着される上顎を模った上顎模型を示す図であって、図1(a)は、上顎模型の側面図、図1(b)は、上顎模型の左半分を下顎側から見た斜視図、図1(c)は、上顎模型の左半分を下顎側から見た平面図である。 図2は、同実施形態に係る部分義歯を示す図であって、図2(a)は、閉状態にした部分義歯を下顎側から見た平面図、図2(b)は、開状態にした部分義歯を下顎側から見た平面図、図2(c)は、開状態にした部分義歯を上顎側から見た平面図、図2(d)は、図2(b)及び図2(c)のA−A線断面図である。 図3は、同実施形態に係る部分義歯を上顎模型に装着した状態を示す図であって、図3(a)は、図1(a)に対応する側面図、図3(b)は、図1(b)に対応する斜視図、図3(c)は、図1(c)に対応する平面図である。 図4は、同実施形態に係る部分義歯を歯列に装着する手順を示す説明図であって、部分義歯を開状態にして内側の係合部材及び外側の係合部材を歯列の内外に移動させる状態を示す図である。 図5は、同説明図であって、歯列の内側に内側の係合部材を係合させた状態を示す図である。 図6は、同説明図であって、部分義歯を閉じていく状態を示す図である。 図7は、同説明図であって、部分義歯を閉状態にして歯列に装着した状態を示す図である。 図8(a)は、本発明の第二の実施形態に係る部分義歯が装着される上顎を模った上顎模型を示す図であって、上顎模型を下顎側から見た平面図、図8(b)は、同実施形態に係る部分義歯を上顎模型に装着した状態を示す図であって、図8(a)に対応する平面図である。 図9(a)は、本発明の第三の実施形態に係る部分義歯が装着される上顎を模った上顎模型を示す図であって、上顎模型の左半分を下顎側から見た斜視図、図9(b)は、同実施形態に係る部分義歯を上顎模型に装着した状態を示す図であって、図9(a)に対応する斜視図である。 図10(a)は、同実施形態に係る部分義歯を上顎模型に装着した状態を示す図であって、上顎模型の左半分を下顎側から見た斜視図、図10(b)は、部分義歯を開状態にした、図10(a)に対応する斜視図である。 図11は、同実施形態に係る部分義歯を歯列に装着する手順を示す説明図であって、部分義歯を開状態にして内側の係合部材及び外側の係合部材を歯列の内外に移動させる状態を示す図である。 図12は、同説明図であって、歯列の内側に内側の係合部材を係合させた状態を示す図である。 図13は、同説明図であって、部分義歯を閉じていく状態を示す図である。 図14は、同説明図であって、部分義歯を閉状態にして歯列に装着した状態を示す図である。
<第一の実施形態>
以下、本発明に係る部分義歯の第一の実施形態について、図1ないし図7を参酌して説明する。なお、本実施形態に係る部分義歯は上顎の歯列に装着されるものであるが、ここでは、便宜上、上顎を模った上顎模型を用い、これを実際の上顎とみなして説明する。
図1ないし図3に示す如く、本実施形態に係る部分義歯1は、左側5番及び左側6番の臼歯の欠損部51を補綴するためのもので、左側1番の切歯52を除く、左側2番の切歯53、左側3番の犬歯54、左側4番の臼歯55及び左側7番の臼歯58の歯列に装着されるものである。
部分義歯1は、欠損部51に配置される人工歯10と、人工歯10を支持し、開閉可能に構成され、開状態において、歯列を挿入可能に離間するとともに、閉状態において、歯列に内側及び外側から係合する一対の係合部材20,30とを備える。
人工歯10は、分割面11にて第一の分割体12と第二の分割体13とに分割され、第一の分割体12及び第二の分割体13は、合致して人工歯10となる。本実施形態においては、左側5番及び左側6番の隣り合う二本の臼歯が欠損しており、人工歯10は、この二本の歯を一体的に設けたものである。そのため、第一の分割体12及び第二の分割体13のそれぞれは、左側5番及び左側6番の隣り合う二本の臼歯に対応して設けられる。
第一の分割体12は、咬合側の横面12aと、咬合側の横面12aとは反対側の、欠損部51における歯槽堤に沿う形状の歯根側の横面12bと、人工歯10の内側面12cと、人工歯10の内側面12cとは反対側の立面12dとを有するベース部12Aを備える。
第二の分割体13は、人工歯10の咬合面13aと、人工歯10の咬合面13aとは反対側の、第一の分割体12の咬合側の横面12aとで第一の分割面11aをなす歯根側の横面13bとを有する咬合部13Aと、人工歯10の外側面13cと、人工歯10の外側面13cとは反対側の、第一の分割体12の立面12dとで第二の分割面11bをなす立面13dとを有する外側部13Bとを備え、断面視でL字状を呈する。
第二の分割体13は、咬合部13A及び外側部13Bの表層を除く部位であるベース部13Cと、ベース部13Cの上に積層され、歯と同色の白色を有して外観上歯に見せるための周知のコーティング部13Dとの積層構造である。したがって、人工歯10の咬合面13a及び人工歯10の外側面13cは、コーティング部13Dの外面であり、歯根側の横面13b及び立面13dは、ベース部13Cの内面である。
かかる構成からなる第一の分割体12及び第二の分割体13は、第一の分割面11a及び第二の分割面11bが合わさるようにして合致し、これにより、第一の分割体12の内側面12c、第二の分割体13の外側面13c及び咬合面13aを主面とした人工歯10が構成される。
第一の分割体12と第二の分割体13との分割面11、より詳しくは、第一の分割体12と第二の分割体13との接離方向と交差する第二の分割面11bには、第一の分割体12及び第二の分割体13の合致状態を解除可能に固定するためのロック構造14が設けられる。
ロック構造14は、第一の分割体12の立面12d又は第二の分割体13の立面13dのいずれか一方の立面に形成される係合凹部と、いずれか他方の立面に形成される係合突起とで構成される。第一の分割体12と第二の分割体13とが合致する際、係合突起が係合凹部に弾性変形的に係入し、ロックがかかるようになっている。また、第一の分割体12と第二の分割体13とが分離する際、係合突起による係合凹部への係止が外れ、ロックが解除されるようになっている。
第一の分割体12は、内側の係合部材20に一体的に設けられ、第二の分割体13は、外側の係合部材30に一体的に設けられる。見方を変えると、内側の係合部材20は、第一の分割体12から近心及び遠心に伸びるアーム部21,22を備え、外側の係合部材30は、第二の分割体13から近心及び遠心に伸びるアーム部31,32を備える。なお、「近心」とは、正中(右側1番の切歯と左側1番の切歯の間)に近づく方向をいい、「遠心」とは、正中から遠ざかる方向をいう。
本実施形態においては、内側の係合部材20の近心側のアーム部21は、左側2番の切歯53、左側3番の犬歯54、左側4番の臼歯55の隣り合う三本の歯の内側に係合可能な歯列方向長さを有し、内側の係合部材20の遠心側のアーム部22は、左側7番の臼歯58の内側及び遠心側の一部に係合可能な屈曲形状を有する。
また、本実施形態においては、外側の係合部材30の近心側アーム部31は、左側2番の切歯53、左側3番の犬歯54、左側4番の臼歯55の隣り合う三本の歯の外側に係合可能な歯列方向長さを有し、外側の係合部材30の遠心側のアーム部32は、左側7番の臼歯58の外側及び遠心側の他部に係合可能な屈曲形状を有する。
一対の係合部材20,30は、遠心側の端部、すなわち、それぞれの遠心側のアーム部22,32の先端部に設けられたヒンジ部40にて回転可能に連結される。これにより、一対の係合部材20,30は、歯列を挿入可能に離間する開状態と、歯列に内側及び外側から係合する閉状態とに開閉可能に構成される。なお、一対の係合部材20,30が開きすぎると、部分義歯を歯列に装着させる際の取扱い性が悪くなる。そのため、ヒンジ部40は、一対の係合部材20,30が所定角度以上に開かないように形成されている(図2(b)及び図2(c)は最大開き角度を示している。)。
内側の係合部材20は、対応する各歯の、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合する第一の係合部23,…を備えるとともに、この傾斜部とは反対側に傾斜するアンダーカット部がある歯の、当該アンダーカット部に係合する第二の係合部24,…を備える。本実施形態においては、内側の係合部材20は、左側2番の切歯53、左側3番の犬歯54、左側4番の臼歯55及び左側7番の臼歯58のそれぞれの歯に対し、第一の係合部23を備え、アンダーカット部を有する左側3番の犬歯54、左側4番の臼歯55及び左側7番の臼歯58のそれぞれの歯に対し、第二の係合部24を備える。
外側の係合部材30は、アンダーカット部に係合する第二の係合部34,…を備える。本実施形態においては、外側の係合部材30は、アンダーカット部を有する左側2番の切歯53、左側3番の犬歯54、左側4番の臼歯55及び左側7番の臼歯58のそれぞれの歯に対し、第二の係合部34を備える。
図7に示す如く、内側の係合部材20は、各歯の内側面に沿う形状の凹部25を備える。第一の係合部23は、凹部25の咬合側(図面では下側)に形成される。第二の係合部24は、凹部25の歯根側(図面では上側)に形成される。
より詳しくは、内側の係合部材20は、歯の歯頚部にプラークが付着するのを防止するために、歯根側の端縁部が内側の歯肉59の縁と接して隙間ができない状態となるように、歯列の内側に係合する。そのため、第二の係合部24は、内側の係合部材20の歯根側の端縁部(凹部25の歯根側の端部)に形成され、主として歯頚部に係合する。
また、臼歯55,58に対して、内側の係合部材20は、歯の内側面をほぼ全体的に覆う高さ寸法を有している。そのため、第一の係合部23は、内側の係合部材20の咬合側の端縁部(凹部25の咬合側の端部)に形成される。ただし、第一の係合部23が臼歯55,58の咬合面にまで進出すると、下顎の歯と第一の係合部23が当たり、歯の噛み合わせが変わってしまう。そのため、第一の係合部23は、臼歯55,58の、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部のうち、咬合面にかからない部位、例えば咬合面よりもわずかに歯根側の部位に係合する。
外側の係合部材30は、主として歯肉59の外側面に配置される。そのため、第二の係合部34は、外側の係合部材30の咬合側の端縁部に形成される。ただし、臼歯55,58については、前歯よりもアンダーカット部が広く、かつ、奥まった位置にあって審美性にさほど気を使わなくてもよい。そのため、外側の係合部材30の咬合側の端縁部は、歯頚部を超えて歯の外側面(例えば最大豊隆部あたり)まで延長するものであってもよい。
なお、図示はしないが、審美処理として、外側の係合部材30の外側面のうち、歯肉59にかかる部位には、歯肉と同色の肌色を有して外観上歯肉に見せるための周知のコーティングが施され、また、外側の係合部材30の外側面のうち、歯55,58にかかる部位には、歯と同色の白色を有して外観上歯に見せるための周知のコーティングが施される。
部分義歯1の材質としてはコバルト・クロム・モリブデン合金や金合金といった金属のほか、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂といった合成樹脂やジルコニアといったセラミックを用いることができる。本実施形態においては、人工歯10の第一の分割体12のベース部12A及び内側の係合部材20は、金属材料を用いて鋳造により一体成型した金属製であり、また、人工歯10の第二の分割体13のベース部13C及び外側の係合部材30も、同じ金属材料を用いて鋳造により一体成型した金属製である。
本実施形態に係る部分義歯1は、以上の構成からなり、次に、この部分義歯1を歯列に装着する手順について説明する。
まず、一対の係合部材20,30を開状態にする。これにより、一対の係合部材20,30は歯列を挿入可能に離間するので、この状態で、図4に示す如く、一対の係合部材20,30を歯列の内外に移動させる。
一対の係合部材20,30を対応する位置まで移動させると、次に、図5に示す如く、内側の係合部材20を歯列側に移動させて歯列に内側から係合させる。また、この操作により、人工歯10は、第一の分割体12が歯列の欠損部51における歯槽堤の上の正規位置に配置される。なお、内側の係合部材20でなく、先に外側の係合部材30を歯列に当接させるようにしてもよい。
次に、図6に示す如く、外側の係合部材30を歯列側に移動させて、一対の係合部材20,30を閉状態にし、図7に示す如く、外側の係合部材30を歯列に外側から係合させる。このとき、ロック構造14により一対の係合部材20,30は閉状態に固定され、部分義歯1は歯列に装着される。
ここで、本実施形態に係る部分義歯1は、内側の係合部材20に、傾斜の向きが互いに逆となる第一の係合部20及び第二の係合部30の両方が形成されている。そのため、部分義歯1が閉状態、すなわち装着形態のままでは、第二の係合部30が歯列と干渉して部分義歯1を歯列に装着することはできない。しかし、本実施形態に係る部分義歯1は、歯列を挿入可能に離間可能な開閉式を採用している。これにより、第一の係合部20及び第二の係合部30を歯列に対して横方向から係合させることができて、部分義歯1を歯列に容易に装着することができる。
部分義歯1が歯列に装着されると、内側の係合部材20の複数の凹部25,…が歯列の内側面に面係合するとともに、内側の係合部材20の複数の第一の係合部23,…及び複数の第二の係合部24,…が歯列の内側に係合する。加えて、外側の係合部材30の複数の第二の係合部34,…が歯列の外側に係合する。これにより、一対の係合部材20,30は、歯列を内側及び外側から包むように係合する。したがって、本実施形態に係る部分義歯1は、歯列の内外方向(水平方向)、咬合方向(上下方向)及び歯列に対する回転方向のいずれの方向においても、動くことなく、歯列に強固に装着することができる。
しかも、本実施形態に係る部分義歯1は、金属製の剛体であり、撓みや変形が生じにくい。そのため、長期間使用しても、係合状態が弱まったり、不均一になったりすることはない。これにより、使用者は快適な装着感をもって部分義歯を使用することができる。
また、本実施形態に係る部分義歯1によれば、歯列に装着している間、複数の第一の係合部23,…が、歯列における複数の歯(本実施形態においては、左側2番の切歯53、左側3番の犬歯54、左側4番の臼歯55及び左側7番の臼歯58の四本の歯)のそれぞれの、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合している。そのため、人工歯10にかかる咬合力を、欠損部51における歯槽堤には実質的には作用せず、複数の歯に分散させることができる。これにより、部分床義歯が抱える、強力な咬合力を必要とする硬い食べ物は食べられないという問題や、荷重にアンバランスが生じるため、残存歯にかかる負担が大きく、この残存歯の寿命を縮めるという問題を解消することができる。
しかも、本実施形態に係る部分義歯1は、金属製の剛体であり、撓みや変形が生じにくい。そのため、長期間使用しても、係合状態が弱まったり、不均一になったりすることはない。これにより、咬合力の分散効果に偏りが生じて、特定の歯に咬合力が過度に作用してこの歯の寿命を縮めてしまうという問題は生じない。
また、本実施形態に係る部分義歯1は、残存歯をそのまま利用して装着するものである。これにより、クラウンブリッジのように部分義歯を合わせるために残存歯を切削するという必要がなくなる。そのため、健全歯質の喪失を防ぐことができるという使用者にとっては極めて大きな効果を奏する。
また、本実施形態に係る部分義歯1においては、人工歯10が分割式となっている。そのため、例えば、金属より脆いコーティング部13Dが欠ける、割れる、ベース部13Cから剥離する等の不具合が経時的に発生したとしても、ヒンジ部40を外して外側の係合部材30側だけを改修するということが可能となる。これにより、材料費を低減したり、加工費を低減して、メインテナンス費用を抑えることができる。
しかも、人工歯10を分割式にしても、第一の分割体12の実質的な平坦面である咬合側の横面12aと第二の分割体13の同じく実質的な平坦面である歯根側の横面13bとがしっかり面当接する。そのため、第二の分割体13の咬合面13aにかかる咬合力は、第二の分割体13、歯根側の横面13b及び咬合側の横面12aを介して第一の分割体12に確実に伝達される。そして、第一の分割体12に伝達された咬合力は内側の係合部材20及び複数の第一の係合部23,…を介して複数の残存歯に確実に分散・伝達される。これにより、人工歯10にかかる咬合力を複数の残存歯で確実に負担することができる。なお、第一の分割体12の咬合側の横面12a及び第二の分割体13の歯根側の横面13bは、実質的には平坦面であるが、実際は、第一の分割体12の咬合側の横面12aは、第二の分割体13に向けて僅かに下り傾斜しており、また、第二の分割体13の歯根側の横面13bは、第一の分割体12に向けて僅かに上り傾斜している。これにより、一対の係合部材20,30を閉状態にする際、第一の分割体12と第二の分割体13を円滑に合致させることができる。
また、本実施形態に係る部分義歯1においては、外側の係合部材30の上下方向における幅は、内側の係合部材20の上下方向における幅よりも狭くなっている。しかも、外側の係合部材30は、歯肉側に偏在している。これにより、本実施形態に係る部分義歯1は、審美性に優れたものとなっている。ただし、そのあたりが気にならない使用者であったり、コーティングにより審美処理をして外観上目立たなくさせることができるのであれば、外側の係合部材30の上下方向における幅をもっと広くしたり、歯の外側面にもっと配置するようにして、係合力を高めるようにしてもよい。
また、本実施形態に係る部分義歯1においては、ロック構造14は、一対の係合部材20,30の例えばヒンジ部40とは反対側の先端部のような部位でなく、人工歯10の第一の分割体12と第二の分割体13との間に設けられる。ロック構造が係合部材20,30の先端側に設けられる場合は、係合部材20,30の撓みが微小であってもヒンジ部40からの距離が長くなると、その影響は多少あるため、ロック構造が不用意に外れてしまうという懸念がある。しかし、本実施形態に係る部分義歯1においては、ロック構造14はヒンジ部40に近い人工歯10の第一の分割体12と第二の分割体13との間に設けられているため、そのような問題はない。また、ロック構造14は、人工歯10における比較的広い分割面11に設けられるため、設計の自由度が高い。しかも、ロック構造14は、その分割面11によって隠されるため、非常に衛生的でもある。
<第二の実施形態>
次に、本発明に係る部分義歯の第二の実施形態について、図8を参酌して説明する。
本実施形態に係る部分義歯1は、上顎の右側6番及び右側7番の臼歯の欠損部51及び左側6番及び左側7番の臼歯の欠損部51を補綴するためのもので、残存するすべての歯(右側1番ないし5番及び左側1番ないし5番の歯52ないし56)の歯列に装着されるものである。
基本的には、第一の実施形態に係る部分義歯1を右側にも設け、左右二つの内側の係合部材20,20を双方延長して連結した構成と同じであるが、異なる点は、欠損部51が最奥であるため、第一の実施形態に係る部分義歯1のような一対の遠心側のアーム部22,32はなく、人工歯10の第一の分割体12と第二の分割体13とがヒンジ部40によりヒンジ結合される点である。
外側の係合部材30は、本実施形態においては、第一の実施形態と同様、右側及び左側の2番の切歯53まで延びている。第一の係合部24,…は、すべての残存歯52ないし56に対して設けられる(右側及び左側の1番及び2番の歯52,53に対するものは補助的な係合部としている。)。
本実施形態に係る部分義歯1によっても、第一の実施形態に係る部分義歯1と同様の効果を奏するものである。
なお、最奥の欠損部51が右側又は左側のいずれか一方だけの場合は、1番ないし3番の前歯52ないし54におけるいずれかの部位にて本実施形態に係る部分義歯1の右側又は左側のいずれか一方を無くした形態の部分義歯1を採用することができる。
<第三の実施形態>
次に、本発明に係る部分義歯の第三の実施形態について、図9ないし図14を参酌して説明する。
図9及び図10に示す如く、本実施形態に係る部分義歯1は、上顎の左側6番の臼歯の欠損部51を補綴するためのもので、左側3番の犬歯54、左側4番の臼歯55、左側5番の臼歯56及び左側7番の臼歯58の歯列に装着されるものである。
基本的には、第一の実施形態に係る部分義歯1と同じ構成であるが、異なる点は、第一の実施形態に係る部分義歯1では、ヒンジ部40の軸は上下方向であり、一対の係合部材20,30は水平方向に開閉するのに対し、本実施形態に係る部分義歯1では、ヒンジ部40の軸は水平方向であり、一対の係合部材20,30は上下方向に開閉する点、また、そのヒンジ部40について、第一の実施形態に係る部分義歯1では、一対の遠心側のアーム部22,32の端部がヒンジ結合されるのに対し、本実施形態に係る部分義歯1では、人工歯10の第一の分割体12と第二の分割体13とが(歯列の内側の部位にて)ヒンジ結合される点である。
また、第一の実施形態に係る部分義歯1では、人工歯10の第二の分割体13の咬合部13Aを歯列の外側に押せば、ロック構造14が外れて、一対の係合部材20,30を開状態にできるが、本実施形態に係る部分義歯1では、ロック構造14を外しやすくするために、外側の係合部材30の外側面にフック35が設けられる。
本実施形態に係る部分義歯1を歯列に装着する手順についても第一の実施形態に係る部分義歯1と基本的には同じである。まず、一対の係合部材20,30を開状態にし、この状態で、図11に示す如く、一対の係合部材20,30を歯列の内外に移動させる。一対の係合部材20,30を対応する位置まで移動させると、次に、図12に示す如く、内側の係合部材20を歯列側に移動させて歯列に内側から係合させる。
次に、図13に示す如く、外側の係合部材30を歯列側に移動させて、一対の係合部材20,30を閉状態にし、図14に示す如く、外側の係合部材30を歯列に外側から係合させる。このとき、ロック構造14により一対の係合部材20,30は閉状態に固定され、部分義歯1は歯列に装着される。
ここで、本実施形態に係る部分義歯1では、外側の係合部材30を歯列側に移動させる際、外側の係合部材30は、横方向に移動する第一の実施形態に係る部分義歯1と異なり、ヒンジ部40の軸を中心として咬合側から歯根側へと円弧状に移動する。しかし、ヒンジ部40の位置の設定により、外側の係合部材30は、太鼓状となる歯列の外側面に干渉することはなく、歯頸部に到達し、係合する。したがって、本実施形態に係る上下開閉式の部分義歯1であっても、歯列に容易に装着することができる。
なお、本発明に係る部分義歯は、上記第一ないし第三の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、一対の係合部材20,30は、ヒンジ部40による回転構造により開閉するものである。しかし、例えば、一対の係合部材20,30が歯列の内外方向において平行的に相対変位して開閉するものであってもよい。
また、上記実施形態においては、第一の係合部23及び第二の係合部24の組み合わせは、内側の係合部材20に設けられるものである。しかし、第一の係合部23及び第二の係合部24の組み合わせは、外側の係合部材30にも設けられるものであってもよいし、内側の係合部材20でなく、外側の係合部材30のみに設けられるものであってもよい。
また、上記実施形態においては、人工歯10は、分割式に構成される。しかし、人工歯10は、分割式でなく、内側の係合部材20又は外側の係合部材30のいずれか一方の係合部材に設けられる単体式であってもよい。ただし、上述したとおり、改修する可能性が相対的に高いのは、外側の係合部材30であるので、単体式を採る場合は、人工歯10を内側の係合部材20に設けるのが好ましい。
また、上記実施形態においては、同じ歯に内側の係合部材20及び外側の係合部材30が係合するようになっている。しかし、これに限定されることはない。例えば、内側の係合部材20が係合する歯の一部に外側の係合部材30が係合する、あるいはこの逆であってもよいし、内側の係合部材20が係合する歯と外側の係合部材30が係合する歯が異なる、あるいは歯列方向にずれていてもよい。
また、上記実施形態においては、基本的には、同じ歯に第一の係合部23及び第二の係合部24が係合するようになっている。しかし、第一の係合部23が係合する歯と第二の係合部24が係合する歯は完全一致していなくてもよい。例えば、第一の係合部23が係合する歯の一部に第二の係合部24が係合するようにしてもよいし、第一の係合部23が係合する歯とは異なる歯に第二の係合部24が係合するようにしてもよい。
また、第一の係合部23が係合する歯の数は、人工歯10にかかる咬合力を好適に分散させる観点から、少なくとも三つの歯であるのが好ましい。また、これは欠損歯の数にもよるものであり、第一の係合部23は、欠損歯の数の二倍以上の数の歯に係合するのが好ましい。
また、上記実施形態においては、本来の噛み合わせを変えないよう、第一の係合部23は、咬合面にかからない部位に設けられる。しかし、逆に、噛み合わせの矯正を目的として、第一の係合部23は、咬合面にかかる部位に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、係合部材20の各歯に対応する部位に凹部25が設けられ、凹部25の咬合側の端部に第一の係合部23が設けられ、凹部25の歯根側の端部に第二の係合部24が設けられ、係合部材20と歯の表面との係合が強固になるようにしている。しかし、面当接ではなく、第一の係合部23及び第二の係合部24が部分的に係合するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、人工歯10の第一の分割体12と内側の係合部材20、第二の分割体13と外側の係合部材30は、それぞれ、鋳造により一体成型したものである。しかし、製造方法は、鋳造に限定されず、切削による削り出しでもよい。また、人工歯10と係合部材20,30とは、それぞれ別々に作成されたものを組み合わせて一体化したものでもよい。
また、上記実施形態においては、人工歯10の第一の分割面11aを構成する第一の分割体12の咬合側の横面12aと第二の分割体13の歯根側の横面13b、第二の分割面11bを構成する第一の分割体12の立面12dと第二の分割体13の立面13dは、それぞれ、面当接するものである。しかし、これに限定されるものではない。第一の分割面11aは、咬合力を適切に伝達するために面当接するのが好ましいが、第二の分割面11bは、必ずしも面当接せず、多少の隙間があってもよい。
また、上記実施形態においては、人工歯10の第二の分割体13は、ベース部13Cとコーティング部13Dの積層構造となっている。しかし、これに限定されるものではなく、例えばベース部13Cを構成する金属材料を用いてベース部13C及びコーティング部13Dに相当する形状のものを一体的に形成するようにしてもよい。要は、審美的に気にならないのであれば、コーティング部13Dは用いずに、単体のベース部13Cが人工歯10の咬頭や咬合面、人工歯10の外側面を備えるようにしてもよい。外側の係合部材30の外側面に対するコーティング処理も同様である。審美的に気にならないのであれば、コーティング処理は必ずしも必須ではない。
また、上記実施形態においては、ロック構造14は、係合凹部と係合突起との組み合わせによるものである。しかし、これに限定されるものではなく、公知ないし周知のロック構造であって、開閉式の部分義歯に適用できるものであれば用いることができる。
また、上記実施形態においては、ロック構造14は、人工歯10の分割面11に設けられる。しかし、これに限定されるものではなく、ロック構造14は、他の部位に設けるようにしてもよい。
1…部分義歯、10…人工歯、11…分割面、11a…第一の分割面、11b…第二の分割面、12…第一の分割体、12A…ベース部、12a…咬合側の横面、12b…歯根側の横面、12c…人工歯の内側面、12d…立面、13…第二の分割体、13A…咬合部、13B…外側部、13C…ベース部、13D…コーティング部、13a…人工歯の咬合面、13b…歯根側の横面、13c…人工歯の外側面、13d…立面、14…ロック構造、20…内側の係合部材、21…近心側のアーム部、22…遠心側のアーム部、23…第一の係合部、24…第二の係合部、25…凹部、30…外側の係合部材、31…近心側のアーム部、32…遠心側のアーム部、34…第二の係合部、35…フック、40…ヒンジ部、50…上顎、51…欠損部、52,53…切歯、54…犬歯、55〜58…臼歯、59…歯肉

Claims (6)

  1. 義歯床を有さない部分義歯であって、
    歯列の欠損部に配置される人工歯と、
    該人工歯を支持し、開閉可能に構成され、開状態において、前記歯列を挿入可能に離間するとともに、閉状態において、前記歯列に内側及び外側から係合する一対の係合部材と、
    該一対の係合部材の前記閉状態を解除可能に固定するためのロック構造とを備え、
    前記一対の係合部材の少なくともいずれか一方の係合部材は、前記歯列における複数の歯のそれぞれの、歯根に向かうほど広がる方向に傾斜する傾斜部に係合する第一の係合部を備えるとともに、前記歯列における少なくとも一つの歯の、前記傾斜部とは反対側に傾斜するアンダーカット部に係合する第二の係合部を備える
    部分義歯。
  2. 前記一対の係合部材の少なくともいずれか一方の係合部材は、前記複数の歯のそれぞれ表面に沿う形状の凹部を備え、該凹部の咬合側の端部に前記第一の係合部が形成されるとともに、該凹部の歯根側の端部に前記第二の係合部が形成される請求項1に記載の部分義歯。
  3. 前記一対の係合部材のいずれか他方の係合部材は、前記歯列における少なくとも一つの歯のアンダーカット部に係合する前記第二の係合部を備える請求項1又は2に記載の部分義歯。
  4. 前記人工歯は、分割面にて第一の分割体と第二の分割体とに分割され、該第一の分割体は、前記一対の係合部材のいずれか一方の係合部材に設けられるとともに、該第二の分割体は、前記一対の係合部材のいずれか他方の係合部材に設けられる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の部分義歯。
  5. 前記第一の分割体は、咬合側の横面、該咬合側の横面とは反対側の、前記欠損部における歯槽堤に沿う形状の歯根側の横面、人工歯の内側面、及び該人工歯の内側面とは反対側の立面を有するベース部を備え、
    前記第二の分割体は、人工歯の咬合面、及び該人工歯の咬合面とは反対側の、前記第一の分割体の前記咬合側の横面とで第一の分割面をなす歯根側の横面を有する咬合部と、人工歯の外側面、及び該人工歯の外側面とは反対側の、前記第一の分割体の前記立面とで第二の分割面をなす立面を有する外側部とを備える
    請求項4に記載の部分義歯。
  6. 前記ロック構造は、前記第一の分割体と前記第二の分割体との前記分割面に設けられる請求項4又は5に記載の部分義歯。
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