JP2022018075A - 歯列弓及び咬合彎曲の調節性を有する部分連結型全顎人工歯 - Google Patents

歯列弓及び咬合彎曲の調節性を有する部分連結型全顎人工歯 Download PDF

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Abstract

【課題】様々な患者の咀嚼運動、口腔周囲組織及び顔貌と調和した、審美的で且つ、良質な咬合関係を有する義歯を短時間で効率的に作製する部分連結型全顎人工歯を提供する。【解決手段】本開示の部分連結型全顎人工歯は、予め適切な咬合関係で連結固定し、標準化しても良い部位と分離すべき部位を適切に規定し、人工歯同士を接触させる領域において、接触域を構成する隣接面の領域の組み合わせと、義歯の仮想咬合平面に対する角度、及びその面積を適切に規定する。【選択図】図1

Description

本発明は有床義歯に用いる既製人工歯であり、特にCAD/CAMの技術を用いた義歯の製作に使用されるものに関する。
人工歯は、失った歯の形態と機能を補う補綴歯科分野において、主に有床義歯を作製する際の咬合機能を回復するための主要部材として用いられている。従来法による有床義歯の作製は、蝋で作製した基礎床や蝋と樹脂を組み合わせて作製した基礎床に人工歯を植立し、その後に蝋をアクリルなどの樹脂に置換する。
一方、非特許文献1に示されているように、有床義歯患者の顎堤形態は、1989年より厚生労働省と日本歯科医師会が推進した8020運動による成果により残存歯数が増加したことに加え、なるべく抜歯したくないという患者の要望などにより、総義歯に代表される大型の有床義歯の作製が難しい状態になっている。これら患者の顎堤形態は抜歯処置を遅らせた結果として、特に下顎顎堤において平坦かもしくは船底型に顎骨が吸収し、いわゆる難症例と呼ばれている。大きく吸収した顎堤は、咀嚼時に生じる前後左右の力すなわち側方応力には抵抗することが難しくなるため、有床義歯が容易に離脱してしまうことになる。そのような顎堤形態で有床義歯の転覆を抑制するには咀嚼時に生じる側方応力が生じにくい、咬頭傾斜角と咬頭展開角が小さな人工歯形態が好ましい。さらに顎位が不安定な患者やタッピングポイントがばらつく患者の場合には、咬頭展開角の大きな解剖学的形態の人工歯を用いて咬頭嵌合させてしまうと、患者にとっては咀嚼運動が人工歯によって規制されてしまうことから、非常に使いづらい義歯となってしまう。このような場合には、咬頭嵌合を持たない無咬頭歯の利用が有効である。また、要介護者に対して、診療室で行うような精密な咬合採得が実施不可能な状況においても、無咬頭歯の利用は有効である。しかし、国内の歯科大学では、歯科学生に対して無咬頭歯を用いた総義歯治療を詳しく教育していない。また、従来提供されている無咬頭歯は1歯1歯が独立した単独歯であり、臼歯部の咬合面を咬合平面に一致させ、ギャップを生じさせないように排列するため、煩雑な操作が行われている。
また、近年はCAD/CAMの技術を用いてコンピューター上で義歯を設計する方法が商用化されている。このCAD/CAM法は、義歯形状全体を設計後、人工歯が埋入される部分を除いた義歯床部のデータをNC加工機や3Dプリンタに出力し、切削加工や積層造形等の手段にて義歯床部のみを製作し、その後に既成人工歯を人工歯埋入部に接着剤等を用いて結合する方法が採用されている。しかし、現状の義歯の設計工程(CAD)については、従来の技工術式で行われてきた煩雑な義歯設計手法をコンピューター上で行うように転換したものである。より具体的には、従来の製作方法と同様、患者個々の顎堤形状に応じて人工歯の排列位置決定の参考となる解剖学的指標を指示し、人工歯の形状やサイズを選択し、暫定的に配置された1つ1つの人工歯について、適切な咬合関係が再現されるよう、コンピューター上で排列位置及び咬合接触関係を調整している。これは、製作効率及び義歯の品質の両面で、術者の経験や技量に大きく依存する作業である。また、排列状態が不適切にも関わらず義歯の設計を完了させた場合には、義歯完成後に大幅な削合調整を行うなど、人工歯の形態の特性を適切に活用し、機能性の高い義歯を製作する事は非常に困難である。
義歯の製造工程(CAM)についてはミリングマシンによる切削加工や3Dプリンタによる積層造型の導入により工程の一部を自動的に製作可能となるようになり、従来の人の手作業に拠る義歯床用レジンの重合などの製作工程の負担が軽減されている。しかしながら、総合的な結果としては、前記のとおりコンピューター上での設計段階(CAD)における人工歯排列など操作の煩雑さや固定の多さ、更に、加工された義歯の後処理として、義歯床と人工歯の接着操作で生じる咬合関係の誤差を修正するなどの負担があり、自動化された製作工程(CAM)のメリットよりも、手作業で行うことによるデメリットの方が上回る。このため、本来、CAD/CAM技術に期待されている義歯製作工程の省力化の実現には至っていないのが実情である。
特許文献1では前記のCAD/CAMによる義歯製作方法の一例が開示されている。特許文献1には、歯肉状部分と人工歯とを備えて成る義歯をモデル化して製造する方法が開示されている。特許文献1に記載の義歯製作方法は、患者の口腔の少なくとも一部分を含む3D走査内容を提供する段階と、上記3D走査内容を用いて上記義歯の少なくとも一部分を仮想的にモデル化する段階と、仮想歯を獲得して、上記人工歯を表現する段階と、上記仮想歯の内の少なくとも一本を仮想的にモデル化して、一組のモデル化された仮想歯を獲得する段階と、上記モデル化された仮想歯を第1材料で製造する段階と、上記歯肉状部分を第2材料で製造する段階と、上記義歯の少なくとも一部分をコンピューター支援式製造方法(CAM)により製造する段階とを含む。
特許文献2には、人工歯の排列操作を簡略化する為、隣接面又は基底面が柔軟な連結材料により連結され、人工歯の取り付け終了後に光重合等の手段により強固に固定することを特徴とするユニット人工歯が開示されている。
特許文献3には、義歯やインプラントの暫間補綴物の義歯用連結歯が開示されている。特許文献3に記載の義歯用連結歯は、複数の人工歯が連結材料により繋ぎ合わされており、特許文献2と同様に、人工歯を義歯床に固定する際に複数の人工歯をまとめて排列することが可能とされている。
特許文献4には、可動性連結人工歯が開示されている。特許文献4に記載の可動性連結人工歯は、個別に形成された、上顎又は下顎のすべての人工歯と、すべての人工歯を一定の歯列に配列し、かつ個々の人工歯を歯列から動かすことを可能とし、動かした位置でその人工歯を停止させる可塑性を有する結合材とから成る。
特許文献5には、上顎第二小臼歯及び上顎第一大臼歯に相当する人工歯が連結固定され、咬合面と咬合平面及び対合接触域が規定された臼歯部の人工歯セットが開示されている。
特許文献6には、インプラント補綴装置の上部構造に用いられる、複数の人工歯が連結されてなる連結人工歯列が開示されている。
櫻井薫 著、「COLOR ATRAS No.47 健康寿命延伸に寄与する老年歯科医療 多職種との連携をふまえて」 株式会社松風、2018年2月、p.110~117
国際公開第2012/041329号明細書 特開昭58-180141号公報 特開平6-261917号公報 特開平8-80306号公報 特開2001‐137261号公報 特開2017‐176486号公報
本発明が解決しようとする課題は、様々な患者の咀嚼運動、口腔周囲組織及び顔貌と調和した、審美的で且つ、良質な咬合関係を有する義歯を短時間で効率的に作製することである。
本発明の一態様である部分連結型全顎人工歯は、
歯列弓および咬合彎曲の調節性を有する部分連結型全顎人工歯(100)であって、
上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)と、
下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)と、
を備え、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)は、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の中央において、左右両側に配置される上顎中切歯部(1U)、上顎側切歯部(2U)、上顎犬歯部(3U)、及び上顎第一小臼歯部(4U)の8部位が連結固定された上顎前方歯群人工歯(10U)と、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、上顎第二小臼歯部(5U)と上顎第一大臼歯部(6U)の2部位が連結固定され、且つ前記上顎前方歯群人工歯(10U)に連結される上顎咬合中心群人工歯(20U)と、
を有し、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)は、前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、上顎第二大臼歯部(7U)を含む上顎単部位の人工歯(30U)を、前記上顎咬合中心群人工歯(20U)に接合可能に構成されており、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)は、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の中央において、左右両側に配置される下顎中切歯部(1L)、下顎側切歯部(2L)、下顎犬歯部(3L)、及び下顎第一小臼歯部(4L)の8部位が連結固定された下顎前方歯群人工歯(10L)と、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、下顎第二小臼歯部(5L)と下顎第一大臼歯部(6L)の2部位が連結固定され、且つ前記下顎前方歯群人工歯(10L)に連結される下顎咬合中心群人工歯(20L)と、
を有し、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)は、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、下顎第二大臼歯部(7L)を含む下顎単部位の人工歯(30L)を、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)に接合可能に構成されており、
前記上顎第一小臼歯部(4U)の遠心面(4dU)には、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面(P1)と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられており、
前記上顎第二小臼歯部(5U)の近心面(5mU)には、有咬頭形態の場合、上顎第二小臼歯部(5U)の頬側咬頭頂、舌側咬頭頂、及び上顎第一大臼歯部(6U)の近心舌側咬頭頂の3点で構成する面(P2U)と直交し、無咬頭形態の場合、前記上顎第二小臼歯部(5U)及び前記上顎第一大臼歯部(6U)の咬合面(P2’U)に対して直交する1つの柱面からなる領域が設けられており、
前記上顎第一小臼歯部(4U)の前記遠心面(4dU)の咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が前記上顎第二小臼歯部(5U)の近心面(5mU)の柱面と接触する接触域を成し、
前記下顎第一小臼歯部(4L)の遠心面(4dL)には、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面(P1L)と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられており、
前記下顎第二小臼歯部(5L)の近心面(5mL)には、有咬頭形態の場合、前記下顎第二小臼歯部(5L)の頬側咬頭頂、舌側咬頭頂、及び前記下顎第一大臼歯部(6L)の近心舌側咬頭頂の3点で構成する面(P2L)と直交し、無咬頭形態の場合、前記下顎第二小臼歯部(5L)及び前記下顎第一大臼歯部(6L)の咬合面(P2’L)と直交する1つの柱面からなる領域が設けられており、
前記下顎第一小臼歯部(4L)の前記遠心面(4dL)の咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が前記下顎第二小臼歯部(5L)の近心面(5mL)の柱面と接触する接触域を成し、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎第一小臼歯部(4U)の前記遠心面(4dU)の咬合面側の柱面と前記上顎第二小臼歯部(5U)の前記近心面(5mU)の柱面同士が接触して第1接触域(f1)を成すとき、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎第一小臼歯部(4L)の前記遠心面(4dL)の基底面側の柱面と前記下顎第二小臼歯部(5L)の近心面(5mL)の柱面同士が接触して第2接触域(f2)を成し、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎第一小臼歯部(4U)の前記遠心面(4dU)の基底面側の柱面と前記上顎第二小臼歯部(5U)の前記近心面(5mU)の柱面同士が接触して第3接触域(f3)を成すとき、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎第一小臼歯部(4L)の前記遠心面(4dL)の咬合面側の柱面と前記下顎第二小臼歯部(5L)の前記近心面(5mL)の柱面同士が接触して第4接触域(f4)を成す。
本発明によれば、様々な患者の口腔周囲組織、咀嚼運動及び顔貌と調和した、審美的で且つ、良質な咬合関係を有する義歯を短時間で効率的に作製することができる。
上下顎部分連結型全顎人工歯咬合面観 下顎部分連結型全顎人工歯の接触域拡大図 接触域側面観拡大図(前後彎曲非付与時) 接触域側面観拡大図(前後彎曲付与時) 上下顎人工歯側面観(上下顎無咬頭形態) 上下顎人工歯側面観(上下顎有咬頭頭形態) 上下顎人工歯側面観(上顎有咬頭、下顎無咬頭形態)
(本開示に至った経緯)
本発明者らは、特許文献1~6に下記の問題があることを発見した。
特許文献1には従来の排列操作に相当する行為に関して具体的な違いは明示されておらず、前記のとおり、コンピューター上の仮想空間において人工歯の接触部を術者が手動で排列修正する煩雑な作業を要求されるため、義歯の設計工程は非常に負担である。
特許文献2~5は、従来の義歯作製を前提とした時代の技術であり、近年のCAD/CAMの技術を用いて作製する義歯床との適合については考慮されておらず、人工歯の配置、配列操作の簡素化とともに最も重要な機能再現の効果を得るものではない。加えて、3次元的に可動性のある材料で連結された人工歯は、コンピューター上では歯列弓の形状を再現できない為、連結歯に適応する義歯床を製作できないという問題がある。
また、引用文献5に記載の人工歯セットでは、前歯部との位置関係は術者に依存しているため、前歯部の水平被蓋、垂直被蓋の関係によっては臼歯部の咬合関係が下顎運動時に阻害される場合がある。また、上顎第二小臼歯部と第一大臼歯部のみが連結固定されており、その他の部位は術者の手作業により排列しなければならず、有効な咬合関係を確立するためには相応の技量と煩雑な操作が必要である。
特許文献6に記載の連結人工歯列は、患者個々に異なる人工歯根の埋入位置に応じて人工歯形状をCAD上で設計し、製作するものであり、大量生産品と比較してコストが掛るものであった。また、不特定多数の無歯顎患者に用いる既製品として、その汎用性は不明であり有床義歯用としては応用できない。
そこで、これらの課題を解決するために、本開示は、様々な患者の口腔周囲組織、咀嚼運動及び顔貌と調和した、審美的で且つ、良質な咬合関係を有する義歯を短時間で効率的に作製する部分連結型全顎人工歯を提供することを目的とする。すなわち、本開示の目的は、通常の無歯顎患者のみならず、前記技術背景のように顎堤吸収が顕著な難症例や、何らかの疾患で歯科への通院が困難な場合など、従来の煩雑な義歯製作方法では対応が困難な患者に対しても、良質な義歯を容易に提供可能とする為、従来法のみならず、CAD/CAM技術による総義歯の設計及び製作工程においても、1歯1歯の煩雑な人工歯排列や術者の技量に左右される調整をしなくても、歯列弓の調整が可能な部分連結型全顎人工歯を提供する事である。
従来法、及びCAD/CAM法のいずれの義歯製作方法においても、省力化を困難にしている最大の要因は、28種類ある全ての部位の人工歯を排列する操作が煩雑であり、且つ、適切な咬合関係の再現には術者の技量が左右され、3次元的な調整を行う事にある。そこで、予め適切な咬合関係で連結固定し、標準化しても良い部位と分離すべき部位を適切に規定し、人工歯同士を接触させる領域において、接触域を構成する隣接面の領域の組み合わせと、義歯の仮想咬合平面に対する角度、及びその面積を適切に規定することにより、人工歯の形態に応じた前後調節彎曲を容易に付与し、且つ、歯列弓の調節性を持たせることが可能な部分連結型全顎人工歯を提供する事で前記課題の解決が図れると考え、請求項に記載の歯列弓および咬合彎曲の調節性を有する部分連結型全顎人工歯の発明に想到した。
本発明の第1態様の部分連結型全顎人工歯は、
歯列弓および咬合彎曲の調節性を有する部分連結型全顎人工歯(100)であって、
上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)と、
下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)と、
を備え、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)は、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の中央において、左右両側に配置される上顎中切歯部(1U)、上顎側切歯部(2U)、上顎犬歯部(3U)、及び上顎第一小臼歯部(4U)の8部位が連結固定された上顎前方歯群人工歯(10U)と、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、上顎第二小臼歯部(5U)と上顎第一大臼歯部(6U)の2部位が連結固定され、且つ前記上顎前方歯群人工歯(10U)に連結される上顎咬合中心群人工歯(20U)と、
を有し、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)は、前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、上顎第二大臼歯部(7U)を含む上顎単部位の人工歯(30U)を、前記上顎咬合中心群人工歯(20U)に接合可能に構成されており、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)は、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の中央において、左右両側に配置される下顎中切歯部(1L)、下顎側切歯部(2L)、下顎犬歯部(3L)、及び下顎第一小臼歯部(4L)の8部位が連結固定された下顎前方歯群人工歯(10L)と、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、下顎第二小臼歯部(5L)と下顎第一大臼歯部(6L)の2部位が連結固定され、且つ前記下顎前方歯群人工歯(10L)に連結される下顎咬合中心群人工歯(20L)と、
を有し、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)は、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、下顎第二大臼歯部(7L)を含む下顎単部位の人工歯(30L)を、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)に接合可能に構成されており、
前記上顎第一小臼歯部(4U)の遠心面(4dU)には、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面(P1)と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられており、
前記上顎第二小臼歯部(5U)の近心面(5mU)には、有咬頭形態の場合、上顎第二小臼歯部(5U)の頬側咬頭頂、舌側咬頭頂、及び上顎第一大臼歯部(6U)の近心舌側咬頭頂の3点で構成する面(P2U)と直交し、無咬頭形態の場合、前記上顎第二小臼歯部(5U)及び前記上顎第一大臼歯部(6U)の咬合面(P2’U)に対して直交する1つの柱面からなる領域が設けられており、
前記上顎第一小臼歯部(4U)の前記遠心面(4dU)の咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が前記上顎第二小臼歯部(5U)の近心面(5mU)の柱面と接触する接触域を成し、
前記下顎第一小臼歯部(4L)の遠心面(4dL)には、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面(P1L)と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられており、
前記下顎第二小臼歯部(5L)の近心面(5mL)には、有咬頭形態の場合、前記下顎第二小臼歯部(5L)の頬側咬頭頂、舌側咬頭頂、及び前記下顎第一大臼歯部(6L)の近心舌側咬頭頂の3点で構成する面(P2L)と直交し、無咬頭形態の場合、前記下顎第二小臼歯部(5L)及び前記下顎第一大臼歯部(6L)の咬合面(P2’L)と直交する1つの柱面からなる領域が設けられており、
前記下顎第一小臼歯部(4L)の前記遠心面(4dL)の咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が前記下顎第二小臼歯部(5L)の近心面(5mL)の柱面と接触する接触域を成し、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎第一小臼歯部(4U)の前記遠心面(4dU)の咬合面側の柱面と前記上顎第二小臼歯部(5U)の前記近心面(5mU)の柱面同士が接触して第1接触域(f1)を成すとき、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎第一小臼歯部(4L)の前記遠心面(4dL)の基底面側の柱面と前記下顎第二小臼歯部(5L)の近心面(5mL)の柱面同士が接触して第2接触域(f2)を成し、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎第一小臼歯部(4U)の前記遠心面(4dU)の基底面側の柱面と前記上顎第二小臼歯部(5U)の前記近心面(5mU)の柱面同士が接触して第3接触域(f3)を成すとき、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎第一小臼歯部(4L)の前記遠心面(4dL)の咬合面側の柱面と前記下顎第二小臼歯部(5L)の前記近心面(5mL)の柱面同士が接触して第4接触域(f4)を成す。
このような構成により、様々な患者の口腔周囲組織、咀嚼運動及び顔貌と調和した、審美的、且つ、機能的な咬合関係を有する良質な義歯の提供を容易にする効果がある。また、従来法のみならず、CAD/CAM技術による総義歯の設計及び製作工程においても、1歯1歯の煩雑な人工歯排列、及び術者の技量に左右される調整などの操作が不要となり、CAD/CAM技術の本来の目的である省力化を実現し、義歯を製作する歯科医師、歯科技工士の負担を大幅に軽減する効果がある。
本発明の第2態様の部分連結型全顎人工歯においては、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において前記第1接触域(f1)を成し、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において前記第2接触域(f2)を成すとき、前記第1接触域(f1)及び前記第2接触域(f2)は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、且つ、義歯の仮想咬合平面(P1)と直交してもよい。
本発明の第3態様の部分連結型全顎人工歯においては、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において前記第3接触域(f3)を成し、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において前記第4接触域(f4)を成すとき、前記第3接触域(f3)及び前記第4接触域(f4)は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、且つ、義歯の仮想咬合平面(P1)に対し70°以上90°未満の内角(θ1U,θ1L)で交差してもよい。
本発明の第4態様の部分連結型全顎人工歯においては、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎単部位の人工歯(30U)が前記上顎咬合中心群人工歯(20U)に接合され、且つ前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎単部位の人工歯(30L)が前記下顎咬合中心群人工歯(20L)に接合されているとき、
前記上顎咬合中心群人工歯(20U)の前記上顎第一大臼歯部(6U)の遠心面(6dU)には、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面(P1)と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられており、
前記上顎第二大臼歯部(7U)の近心面(7mU)には、有咬頭形態の場合、前記上顎第二大臼歯部(7U)の近心頬側咬頭頂、近心舌側咬頭頂、及び遠心頬側咬頭頂の3点で構成する面(P3U)と直交し、無咬頭形態の場合、前記上顎第二大臼歯部(7U)の咬合面(P3’U)と直交する1つの柱面からなる領域が設けられており、
前記上顎第一大臼歯部(6U)の咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が前記上顎第二大臼歯部(7U)の前記近心面(7mU)の柱面と接触域を成し、
前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第一大臼歯部(6L)の遠心面(6dL)には、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面(P1)と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられており、
前記下顎第二大臼歯部(7L)の近心面(7mL)には、有咬頭形態の場合、前記下顎第二大臼歯部(7L)の近心頬側咬頭頂、近心舌側咬頭頂、及び遠心頬側咬頭頂の3点で構成する面(P3L)と直交し、無咬頭形態の場合、前記下顎第二大臼歯部(7L)の咬合面(P3’L)と直交する1つの柱面からなる領域が設けられており、
前記下顎第一大臼歯部(6L)の咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が前記下顎第二大臼歯部(7L)の前記近心面(7mL)の柱面と接触域を成し、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎第一大臼歯部(6U)の前記遠心面(6dU)の咬合面側の柱面と前記上顎第二大臼歯部(7U)の前記近心面(7mU)の柱面同士が接触して第5接触域(f5)を成すとき、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎第一大臼歯部(6L)の前記遠心面(6dL)の基底面側の柱面と前記下顎第二大臼歯部(7L)の前記近心面(7mL)の柱面同士が接触して第6接触域(f6)を成し、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎第一大臼歯部(6U)の前記遠心面(6dU)の基底面側の柱面と前記上顎第二大臼歯部(7U)の前記近心面(7mU)の柱面同士が接触して第7接触域(f7)を成すとき、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎第一大臼歯部(6L)の前記遠心面(6dL)の咬合面側の柱面と前記下顎第二大臼歯部(7L)の前記近心面(7mL)の柱面同士が接触して第8接触域(f8)を成してもよい。
本発明の第5態様の部分連結型全顎人工歯においては、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において前記第5接触域(f5)を成し、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において前記第6接触域(f6)を成すとき、前記第5接触域(f5)及び前記第6接触域(f6)は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、且つ、義歯の仮想咬合平面(P1)と直交してもよい。
本発明の第6態様の部分連結型全顎人工歯においては、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において前記第7接触域(f7)を成し、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において前記第8接触域(f8)を成すとき、前記第7接触域(f7)及び前記第8接触域(f8)は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、且つ、義歯の仮想咬合平面(P1)に対し40°以上90°未満の内角(θ2U,θ2L)で交差してもよい。
本発明の第7態様の部分連結型全顎人工歯においては、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎第一小臼歯部(4L)と、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第二小臼歯部(5L)、及び前記下顎第一大臼歯部(6L)の咬合面は、義歯の仮想咬合平面(P1)と一致し、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の前記上顎前方歯群人工歯(10U)の前記上顎犬歯部(3U)は、尖頭(3cU)に義歯の仮想咬合平面(P1)と平行な上顎咬合局面を備え、
前記上顎前方歯群人工歯(10U)の前記上顎第一小臼歯部(4U)と、前記上顎咬合中心群人工歯(20U)の前記上顎第二小臼歯部(5U)及び前記上顎第一大臼歯部(6U)と、前記上顎単部位の人工歯(30U)の前記上顎第二大臼歯部(7U)とは、無咬頭形態で構成されており、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎犬歯部(3L)は、尖頭(3cL)に義歯の仮想咬合平面(P1)と平行な下顎咬合局面を備え、
前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎第一小臼歯部(4L)と、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第二小臼歯部(5L)及び前記下顎第一大臼歯部(6L)と、前記下顎単部位の人工歯(30L)の前記下顎第二大臼歯部(7L)とは、無咬頭形態で構成されていてもよい。
このような構成により、咀嚼運動が人工歯によって規制されてしまうことが無くなるため、顎堤吸収が顕著で従来法による義歯の使用が困難な症例や、身体的疾患で歯科への通院が困難な患者に対し、審美的、且つ、機能的な咬合関係を有する良質な義歯の提供を容易にする効果がある。
本発明の第8態様の部分連結型全顎人工歯においては、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の上顎前方歯群人工歯(10U)の前記上顎第一小臼歯部(4U)と、前記上顎咬合中心群人工歯(20U)の前記上顎第二小臼歯部(5U)、前記上顎第一大臼歯部(6U)、及び前記上顎単部位の人工歯(30U)の前記上顎第二大臼歯部(7U)は有咬頭形態で構成されており、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎第一小臼歯部(4L)と、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第二小臼歯部(5L)及び前記下顎第一大臼歯部(6L)と、前記下顎単部位の人工歯(30L)の前記下顎第二大臼歯部(7L)とは、有咬頭形態で構成されていてもよい。
このような構成により、人工歯に有咬頭形態を用いる症例に対しても、従来法と比較して高精度で有咬頭形態が持つ本来の咬合関係を再現することが可能となり、審美的、且つ、機能的な咬合関係を有する良質な義歯の提供を容易にする効果がある。
本発明の第9態様の部分連結型全顎人工歯においては、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎第一小臼歯部(4L)と、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第二小臼歯部(5L)、及び前記下顎第一大臼歯部(6L)の咬合面は、義歯の仮想咬合平面(P1)と一致し、
前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎第一小臼歯部(4L)と、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第二小臼歯部(5L)及び前記下顎第一大臼歯部(6L)と、前記下顎単部位の人工歯(30L)の前記下顎第二大臼歯部(7L)とは、無咬頭形態で構成されており、
前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の前記上顎前方歯群人工歯(10U)の前記上顎第一小臼歯部(4U)と、前記上顎咬合中心群人工歯(20U)の前記上顎第二小臼歯部(5U)及び前記上顎第一大臼歯部(6U)と、前記上顎単部位の人工歯(30U)の前記上顎第二大臼歯部(7U)とは、有咬頭形態で構成されていてもよい。
このような構成により、前記背景技術に記載の顎位が不安定な患者やタッピングポイントがばらつく患者に対する治療用義歯の提供を容易にする効果がある。
以上のことから、本開示の歯列弓および咬合彎曲の調節性を有する部分連結型全顎人工歯は、顎堤吸収の顕著な難症例や、要介護者など何らかの疾患で歯科への通院が困難な場合など、従来の煩雑な義歯製作方法では対応が困難な患者に対しても、審美的、且つ、機能的な咬合関係を有する良質な義歯の提供を容易に可能とするものであり、口腔機能低下の防止、及び摂食機能の回復を通じて患者の栄養摂取の改善に寄与し、超高齢社会における健康寿命の延伸に貢献するものである。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。尚、図面は分かりやすさの為、最も効果的な例を示しているが、本発明はこれに限定するものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の部分連結型全顎人工歯100を、咬合面より観た図を示す。図1では、上段に上顎用部分連結型全顎人工歯U1、下段に下顎用部分連結型全顎人工歯L1をそれぞれ示す。 部分連結型全顎人工歯100は、上顎用部分連結型全顎人工歯U1と、下顎用部分連結型全顎人工歯L1と、を備える。上顎用部分連結型全顎人工歯U1及び下顎用部分連結型全顎人工歯L1は、それぞれ、前方歯群人工歯10と、右側、左側のそれぞれについて、咬合中心群人工歯20と、第二大臼歯部7の単部位の人工歯30の5種類のパーツで構成されている。
前方歯群人工歯10には、左右側の中切歯部1、側切歯部2、犬歯部3、第一小臼歯部4の8部位が連結固定されている。ここで、第二大臼歯部7の単部位の人工歯30は、顎堤の形状によって人工歯排列スペースがない場合や咬合時に義歯の脱離が懸念される場合は構成から除外する事が可能である。即ち、第二大臼歯部7の単部位の人工歯30は、咬合中心群人工歯20に接合可能に構成されている。
上顎用部分連結型全顎人工歯U1は、上顎前方歯群人工歯10Uと、上顎咬合中心群人工歯20Uと、上顎単部位の人工歯30Uと、を有する。上顎咬合中心群人工歯20Uは、上顎前方歯群人工歯10Uに連結されている。上顎単部位の人工歯30Uは、上顎咬合中心群人工歯20Uに接合可能に取り付けられている。
上顎前方歯群人工歯10Uは、上顎用部分連結型全顎人工歯U1の中央に配置される。上顎前方歯群人工歯10Uは、左右両側に配置される上顎中切歯部1U、上顎側切歯部2U、上顎犬歯部3U、及び上顎第一小臼歯部4Uを有する。左右両側に配置される上顎中切歯部1U、上顎側切歯部2U、上顎犬歯部3U、及び上顎第一小臼歯部4Uの8部位は、連結固定されている。
上顎咬合中心群人工歯20Uは、上顎用部分連結型全顎人工歯U1の右側と左側とのそれぞれに配置され、且つ上顎前方歯群人工歯10Uに連結される。例えば、上顎咬合中心群人工歯20Uは、上顎前方歯群人工歯10Uに機械的に連結される。上顎咬合中心群人工歯20Uは、上顎用部分連結型全顎人工歯U1の右側と左側とのそれぞれにおいて、上顎第二小臼歯部5Uと上顎第一大臼歯部6Uとを有する。上顎用部分連結型全顎人工歯U1の右側と左側とのそれぞれにおいて、上顎第二小臼歯部5Uと上顎第一大臼歯部6Uとの2部位は、連結固定されている。
上顎単部位の人工歯30Uは、上顎用部分連結型全顎人工歯U1の右側と左側とのそれぞれに配置されている。上顎単部位の人工歯30Uは、上顎第二大臼歯部7Uをを有する。上顎単部位の人工歯30Uは、上顎用部分連結型全顎人工歯U1の右側と左側とのそれぞれにおいて、上顎咬合中心群人工歯20Uに着脱可能に取り付けられている。
下顎用部分連結型全顎人工歯L1は、下顎前方歯群人工歯10Lと、下顎咬合中心群人工歯20Lと、下顎単部位の人工歯30Lと、を有する。下顎咬合中心群人工歯20Lは、下顎前方歯群人工歯10Lに連結されている。下顎単部位の人工歯30Lは、下顎咬合中心群人工歯20Lに接合可能に取り付けられている。
下顎前方歯群人工歯10Lは、下顎用部分連結型全顎人工歯L1の中央に配置される。下顎前方歯群人工歯10Lは、左右両側に配置される下顎中切歯部1L、下顎側切歯部2L、下顎犬歯部3L、及び下顎第一小臼歯部4Lを有する。左右両側に配置される下顎中切歯部1L、下顎側切歯部2L、下顎犬歯部3L、及び下顎第一小臼歯部4Lの8部位は、連結固定されている。
下顎咬合中心群人工歯20Lは、下顎用部分連結型全顎人工歯L1の右側と左側とのそれぞれに配置され、且つ下顎前方歯群人工歯10Lに連結される。例えば、下顎咬合中心群人工歯20Lは、下顎前方歯群人工歯10Lに機械的に連結される。下顎咬合中心群人工歯20Lは、下顎用部分連結型全顎人工歯L1の右側と左側とのそれぞれにおいて、下顎第二小臼歯部5Lと下顎第一大臼歯部6Lとを有する。下顎用部分連結型全顎人工歯L1の右側と左側とのそれぞれにおいて、下顎第二小臼歯部5Lと下顎第一大臼歯部6Lとの2部位は、連結固定されている。
下顎単部位の人工歯30Lは、下顎用部分連結型全顎人工歯L1の右側と左側とのそれぞれに配置されている。下顎単部位の人工歯30Lは、下顎第二大臼歯部7Lを有する。下顎単部位の人工歯30Lは、下顎用部分連結型全顎人工歯L1の右側と左側とのそれぞれにおいて、下顎咬合中心群人工歯20Lに接合可能に取り付けられている。
図2は図1に示す部分連結型全顎人工歯100の咬合面観のうち、下顎用部分連結型全顎人工歯L1の前方歯群人工歯10の第一小臼歯部4と、咬合中心群人工歯20の第二小臼歯部5との接触域を拡大した状態を示す。接触域を構成する領域の形状は、請求項に規定する面と、各柱面が交差する方向において直線的な柱面であれば、断面形状は特に限定されるものでは無いが、好ましい例としては、俯瞰図のように第一小臼歯部4の近心面4mの基底面側の柱面と、第二小臼歯部5の遠心面5dが成す接触域f2を咬合平面P1と直交する方向、即ち上面から見たとき、その断面形状は、円弧状の円柱曲面同士であっても良い。これにより、前方歯群人工歯10と咬合中心群人工歯20の接触部は左右それぞれ任意の角度で接触する事が可能となり、歯列弓を広げる、または狭くするなど、水平的な調整が可能となり、顎堤形状の異なる不特定多数の患者に調和させることが可能となる。
なお、図2に示す例では、下顎用部分連結型全顎人工歯L1の例を説明したが、これに限定されない。例えば、上顎用部分連結型全顎人工歯U1においても、上記の構成を有していてもよい。
図3a、図3bはそれぞれ部分連結型全顎人工歯100を、接触域の選択肢に分けて側面から見た状態を示す。側面から見たとき、前方歯群人工歯10には左右側の中切歯部1、側切歯部2、犬歯部3の他に第一小臼歯部4が含まれる事により、前歯部と臼歯部が垂直的に適切な位置関係で固定する事が可能となるため、排列の違いによって前臼歯部にギャップや偏心運動時の干渉を生じさせることを防止し、審美的にも違和感なく適切な咬合関係を再現する事が可能となる。ここで、前方歯群人工歯10の第一小臼歯部4の遠心面4dには、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面P1と交差する角度が異なる2つの柱面からなる接触域が設けられている。第二小臼歯部5の近心面5mは1つの柱面からなる領域を備える。有咬頭形態の場合、第二小臼歯部5の頬側咬頭頂、舌側咬頭頂及び第一大臼歯部6の舌側咬頭頂の3点で構成する面P2に対して直交し(図3a,3b参照)、無咬頭形態の場合、第二小臼歯部5及び第一大臼歯部6の咬合面P2’に対して直交する(図4参照)。なお、「有咬頭形態」とは、咬頭を有する形態を意味し、例えば、臼歯部の咬合面における凸部を有する形態を意味する。「無咬頭形態」とは、咬頭を有しない形態を意味し、例えば、臼歯部の咬合面が平坦で咬頭のような凸形状を有しない形態を意味する。
第一小臼歯部4の遠心面4dの2種類の接触域は、第二小臼歯部5の遠心面5dと接触させる際に、いずれか一方の柱面と接触域を成す事で、前後調節彎曲を付与するか、付与せずに義歯の仮想咬合平面P1と一致させるかの選択が可能となっている。
詳細に説明すると、上顎用部分連結型全顎人工歯U1において、上顎第一小臼歯部4Uの遠心面4dUには、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面P1と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられている。上顎第二小臼歯部5Uの近心面5mUには、有咬頭形態の場合、上顎第二小臼歯部5Uの頬側咬頭頂、舌側咬頭頂、及び上顎第一大臼歯部6Uの近心舌側咬頭頂の3点で構成する面P2Uと直交し(図3a,3b参照)、無咬頭形態の場合、上顎第二小臼歯部5U及び上顎第一大臼歯部6Uの咬合面P2’Uに対して直交する1つの柱面からなる領域が設けられている(図4参照)。上顎第一小臼歯部4Uの遠心面4dUの咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が上顎第二小臼歯部5Uの近心面5mUの柱面と接触する接触域を成している。
下顎第一小臼歯部4Lの遠心面4dLには、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面P1と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられている。下顎第二小臼歯部5Lの近心面5mLには、有咬頭形態の場合、下顎第二小臼歯部5Lの頬側咬頭頂、舌側咬頭頂、及び下顎第一大臼歯部6Lの近心舌側咬頭頂の3点で構成する面P2Lと直交し(図3a,3b参照)、無咬頭形態の場合、下顎第二小臼歯部5L及び下顎第一大臼歯部6Lの咬合面P2’Lと直交する1つの柱面からなる領域が設けられている(図4参照)。下顎第一小臼歯部4Lの遠心面4dLの咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が下顎第二小臼歯部5Lの近心面5mLの柱面と接触する接触域を成している。
また、左右の咬合中心群人工歯20の第一大臼歯部6の遠心面6dにも、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面P1と交差する角度が異なる2つの柱面からなる2つの接触域が設けられている。第二大臼歯部7の近心面7mには1つの面からなる領域が設けられている。当該1つの面からなる領域は、有咬頭形態の場合、第二大臼歯部7の近心頬側咬頭頂、近心舌側咬頭頂及び遠心頬側咬頭頂の3点で構成する面P3と直交し、無咬頭形態の場合、第二大臼歯部7の咬合面P3’と直交する。
第一大臼歯部6の遠心面6dの2種類の接触域も、第二大臼歯部7の近心面7mと接触させる際に、いずれか一方の柱面と接触域を成す事で、前後調節彎曲を付与するか、付与せずに義歯の仮想咬合平面P1と一致させるかの選択が可能となっている。
詳細に説明すると、上顎用部分連結型全顎人工歯U1において、上顎単部位の人工歯30Uが上顎咬合中心群人工歯20Uに接合され、且つ下顎用部分連結型全顎人工歯L1において、下顎単部位の人工歯30Lが下顎咬合中心群人工歯20Lに接合されているとき、上顎咬合中心群人工歯20Uの上顎第一大臼歯部6Uの遠心面6dUには、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面P1と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられている。上顎第二大臼歯部7Uの近心面7mUには、有咬頭形態の場合、上顎第二大臼歯部7Uの近心頬側咬頭頂、近心舌側咬頭頂、及び遠心頬側咬頭頂の3点で構成する面P3Uと直交し(図3a,3b参照)、無咬頭形態の場合、上顎第二大臼歯部7Uの咬合面P3’Uと直交する1つの柱面からなる領域が設けられている(図4参照)。上顎第一大臼歯部6Uの咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が上顎第二大臼歯部7Uの近心面7mUの柱面と接触域を成している。
下顎咬合中心群人工歯20Lの下顎第一大臼歯部6Lの遠心面6dLには、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面P1と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられている。下顎第二大臼歯部7Lの近心面7mLには、有咬頭形態の場合、下顎第二大臼歯部7Lの近心頬側咬頭頂、近心舌側咬頭頂、及び遠心頬側咬頭頂の3点で構成する面P3Lと直交し(図3a,3b参照)、無咬頭形態の場合、下顎第二大臼歯部7Lの咬合面P3’Lと直交する1つの柱面からなる領域が設けられている(図4参照)。下顎第一大臼歯部6Lの咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が下顎第二大臼歯部7Lの近心面7mLの柱面と接触域を成している。
図3aは、部分連結型全顎人工歯100において、前後調節彎曲を与えない場合の上顎用部分連結型全顎人工歯U1及び下顎用部分連結型全顎人工歯L1に対する接触域の組み合わせを示す。前後調節彎曲を与えない場合の好ましい例としては、上顎用部分連結型全顎人工歯U1と下顎用部分連結型全顎人工歯L1の両方が無咬頭形態である場合や、有咬頭形態の上顎用部分連結型全顎人工歯U1と無咬頭形態の下顎用部分連結型全顎人工歯L1を組み合わせて使用する場合が挙げられる。但し、本発明に用いられる人工歯の形態はこれに限定する事は無く、広く既知の人工歯を用いることができる。なお、図3aでは、有咬頭形態の上顎用部分連結型全顎人工歯U1と有咬頭形態の下顎用部分連結型全顎人工歯L1を備える部分連結型全顎人工歯100の例が示されている。
ここで、上顎用部分連結型全顎人工歯U1は第一小臼歯部4の遠心面4dの咬合面側の柱面と第二小臼歯部5の近心面5mの柱面同士が接触して接触域f1を成し、下顎用部分連結型全顎人工歯L1は第一小臼歯部4の遠心面4dの基底面側の柱面と第二小臼歯部5の近心面5mの柱面同士が接触して接触域f2を成す。その接触面積は、上顎用部分連結型全顎人工歯U1と下顎用部分連結型全顎人工歯L1で共に0.01mm以上10.0mm以下であり、好ましくは0.02mm以上9.0mm以下である。また、それぞれの接触域は、義歯の仮想咬合平面P1と直交する。
詳細に説明すると、上顎用部分連結型全顎人工歯U1において、上顎第一小臼歯部4Uの遠心面4dUの咬合面側の柱面と上顎第二小臼歯部5Uの近心面5mUの柱面同士が接触して第1接触域f1を成す。下顎用部分連結型全顎人工歯L1において、下顎第一小臼歯部4Lの遠心面4dLの基底面側の柱面と下顎第二小臼歯部5Lの近心面5mLの柱面同士が接触して第2接触域f2を成す。第1接触域f1及び第2接触域f2は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、好ましくは0.02mm以上9.0mm以下の接触面積を有する。また、第1接触域f1及び第2接触域f2は、それぞれ、義歯の仮想咬合平面P1と直交する。
次に、上顎用部分連結型全顎人工歯U1は第一大臼歯部6の遠心面6dの咬合面側の柱面と第二大臼歯部7の近心面7mの柱面同士が接触して接触域f5を成し、下顎用部分連結型全顎人工歯L1は第一大臼歯部6の遠心面6dの基底面側の柱面と第二大臼歯部7の近心面7mの柱面同士が接触して接触域f6を成す。その接触面積は、上顎用部分連結型全顎人工歯U1と下顎用部分連結型全顎人工歯L1で共に0.01mm以上10.0mm以下であり、好ましくは0.02mm以上9.0mm以下である。また、それぞれの接触域は、義歯の仮想咬合平面P1と直交する。
詳細に説明すると、上顎用部分連結型全顎人工歯U1において、上顎第一大臼歯部6Uの遠心面6dUの咬合面側の柱面と上顎第二大臼歯部7Uの近心面7mUの柱面同士が接触して第5接触域f5を成す。下顎用部分連結型全顎人工歯L1において、下顎第一大臼歯部6Lの遠心面6dLの基底面側の柱面と下顎第二大臼歯部7Lの近心面7mLの柱面同士が接触して第6接触域f6を成す。第5接触域f5及び第6接触域f6は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、好ましくは0.02mm以上9.0mm以下の接触面積を有する。また、第5接触域f5及び第6接触域f6は、それぞれ、義歯の仮想咬合平面P1と直交する。
また、第一小臼歯部4と第二小臼歯部5との接触域と、第一大臼歯部6と第二大臼歯部7との組み合わせは、必ずしも両方を揃える必要は無く、例えば第一小臼歯部4と第二小臼歯部5においては前後調節彎曲を付与せず、第一大臼歯部6と第二大臼歯部7は後述する接触域の組み合わせを採用し、その部分のみ前後調節彎曲を付与する事も可能である。また、前記のとおり、第二大臼歯部7の単部位の人工歯30は、顎堤の形状によって人工歯排列スペースがない場合や咬合時に義歯の脱離が懸念される場合は構成から除外する事が可能である。
図3bは、前後調節彎曲を与える場合の上顎用部分連結型全顎人工歯U1及び下顎用部分連結型全顎人工歯L1に対する接触域の組み合わせを示す。これも人工歯の咬合面形態を限定することはないが、好ましくは有咬頭歯であり、その人工歯の形態に最適な前後調節彎曲を予め付与し、それを容易に再現するための手段として、図に示す接触域を選択する。
ここで、上顎用部分連結型全顎人工歯U1は第一小臼歯部4の遠心面4dの基底面側の柱面と第二小臼歯部5の近心面5mの柱面同士が接触して接触域f3を成し、下顎用部分連結型全顎人工歯L1は第一小臼歯部4の遠心面4dの咬合面側の柱面と第二小臼歯部5の近心面5mの柱面同士が接触して接触域f4を成す。その接触面積は、上顎用部分連結型全顎人工歯U1と下顎用部分連結型全顎人工歯L1で共に0.01mm以上10.0mm以下であり、好ましくは0.02mm以上9.0mm以下である。また、それぞれの接触域は、義歯の仮想咬合平面P1に対し70°以上90°未満の内角で交差しており、好ましくは75°以上88°以下である。
詳細に説明すると、上顎用部分連結型全顎人工歯U1が上顎第一小臼歯部4Uの遠心面4dUの基底面側の柱面と上顎第二小臼歯部5Uの近心面5mUの柱面同士が接触して第3接触域f3を成す。下顎用部分連結型全顎人工歯L1は下顎第一小臼歯部4Lの遠心面4dLの咬合面側の柱面と下顎第二小臼歯部5Lの近心面5mLの柱面同士が接触して第4接触域f4を成す。第3接触域f3及び第4接触域f4は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、好ましくは0.02mm以上9.0mm以下の接触面積を有する。また、第3接触域f3及び第4接触域f4は、それぞれ、義歯の仮想咬合平面P1に対し70°以上90°未満の内角θ1U,θ1Lで交差する。好ましくは、内角θ1U,θ1Lは、75°以上88°以下である。
次に、上顎用部分連結型全顎人工歯U1は第一大臼歯部6の遠心面6dの基底面側の柱面と第二大臼歯部7の近心面7mの柱面同士が接触して接触域f7を成し、下顎用部分連結型全顎人工歯L1は第一大臼歯部6の遠心面6dの咬合面側の柱面と第二大臼歯部7の近心面7mの柱面同士が接触して接触域f8を成す。その接触面積は、上顎用部分連結型全顎人工歯U1と下顎用部分連結型全顎人工歯L1で共に0.01mm以上10.0 mm以下であり、好ましくは0.02mm以上9.0mm以下である。また、それぞれの接触域は、義歯の仮想咬合平面P1に対し40°以上90°未満の内角で交差しており、好ましくは45°以上88°以下である。
詳細に説明すると、上顎用部分連結型全顎人工歯U1において、上顎第一大臼歯部6Uの遠心面6dUの基底面側の柱面と前記上顎第二大臼歯部7Uの近心面7mUの柱面同士が接触して第7接触域f7を成す。下顎用部分連結型全顎人工歯L1において、下顎第一大臼歯部6Lの遠心面6dLの咬合面側の柱面と下顎第二大臼歯部7Lの近心面7mLの柱面同士が接触して第8接触域f8を成す。第7接触域f7及び第8接触域f8は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、好ましくは0.02mm以上9.0mm以下の接触面積を有する。また、第7接触域f7及び第8接触域f8は、それぞれ、義歯の仮想咬合平面P1に対し40°以上90°未満の内角θ2U,θ2Lで交差する。好ましくは、内角θ2U,θ2Lは、45°以上88°以下である。
また、前記のとおり、第二大臼歯部7の単部位の人工歯30は、顎堤の形状によって人工歯排列スペースがない場合や咬合時に義歯の脱離が懸念される場合は構成から除外する事が可能である。
図4には部分連結型全顎人工歯100の別例を側面からみた状態を示す。図4に示す例では、臼歯部の歯冠形態は、上顎用部分連結型全顎人工歯U1及び下顎用部分連結型全顎人工歯L1共に無咬頭形態である。
下顎用部分連結型全顎人工歯L1の前方歯群人工歯10の第一小臼歯部4と、咬合中心群人工歯20の第二小臼歯部5、及び第一大臼歯部6の咬合面は、義歯の仮想咬合平面P1と一致する。上顎用部分連結型全顎人工歯U1及び下顎用部分連結型全顎人工歯L1の前方歯群人工歯10の犬歯部3は、尖頭3cに義歯の仮想咬合平面P1と平行な咬合局面を備える。前方歯群人工歯10の第一小臼歯部4、咬合中心群人工歯20の第二小臼歯部5、第一大臼歯部6、及び単部位の人工歯30の第二大臼歯部7は全て無咬頭形態で構成されている。
詳細に説明すると、下顎用部分連結型全顎人工歯L1において、下顎前方歯群人工歯10Lの下顎第一小臼歯部4L、下顎咬合中心群人工歯20Lの下顎第二小臼歯部5L、及び下顎第一大臼歯部6Lの咬合面は、義歯の仮想咬合平面P1と一致する。上顎用部分連結型全顎人工歯U1の上顎前方歯群人工歯10Uの上顎犬歯部3Uは、尖頭3cUに義歯の仮想咬合平面P1と平行な上顎咬合局面を備える。上顎前方歯群人工歯10Uの上顎第一小臼歯部4U、上顎咬合中心群人工歯20Uの上顎第二小臼歯部5U、上顎第一大臼歯部6U、及び上顎単部位の人工歯30Uの上顎第二大臼歯部7Uは無咬頭形態で構成されている。下顎用部分連結型全顎人工歯L1の下顎前方歯群人工歯10Lの下顎犬歯部3Lは、尖頭3cLに義歯の仮想咬合平面P1と平行な下顎咬合局面を備える。下顎前方歯群人工歯10Lの下顎第一小臼歯部4L、下顎咬合中心群人工歯20Lの下顎第二小臼歯部5L、下顎第一大臼歯部6L、及び下顎単部位の人工歯30Lの下顎第二大臼歯部7Lは無咬頭形態で構成されている。
また、前記のとおり、第二大臼歯部7の単部位の人工歯30は、顎堤の形状によって人工歯排列スペースがない場合や咬合時に義歯の脱離が懸念される場合は構成から除外する事が可能である。これにより、咀嚼運動が人工歯によって規制されてしまうことが無くなるため、特に前記のような顎堤吸収が顕著で従来法による義歯の使用が困難な症例や、身体的疾患で歯科への通院が困難な患者に対し、審美的、且つ、機能的な咬合関係を有する良質な義歯の提供を容易にする効果がある。
図5は、部分連結型全顎人工歯100の別例を側面からみた状態を示す。図5に示す例では、上顎用部分連結型全顎人工歯U1の臼歯部及び下顎用部分連結型全顎人工歯L1の前方歯群人工歯10の第一小臼歯部4と、咬合中心群人工歯20の第二小臼歯部5、第一大臼歯部6、及び単部位の人工歯30の第二大臼歯部7は全て有咬頭形態で構成されている。
詳細に説明すると、上顎用部分連結型全顎人工歯U1の上顎前方歯群人工歯10Uの上顎第一小臼歯部4Uと、上顎咬合中心群人工歯20Uの上顎第二小臼歯部5U及び上顎第一大臼歯部6Uと、上顎単部位の人工歯30Uの上顎第二大臼歯部7Uとは、有咬頭形態で構成されている。下顎用部分連結型全顎人工歯L1の下顎前方歯群人工歯10Lの下顎第一小臼歯部4Lと、下顎咬合中心群人工歯20Lの下顎第二小臼歯部5L及び下顎第一大臼歯部6Lと、下顎単部位の人工歯30Lの下顎第二大臼歯部7Lとは、有咬頭形態で構成されている。
有咬頭歯の形態については特に限定するものではないが、好適な有咬頭歯の例としては、特許第5231398号や、特許第5214621号に示すような人工歯形態を選択することが可能となる。また、前記のとおり、第二大臼歯部7の単部位の人工歯30は、顎堤の形状によって人工歯排列スペースがない場合や咬合時に義歯の脱離が懸念される場合は、構成から除外する事が可能となる。これにより、人工歯に有咬頭形態を用いる症例に対しても、従来法と比較して高精度で有咬頭形態が持つ本来の咬合関係を再現することが可能となり、審美的、且つ、機能的な咬合関係を有する良質な義歯の提供を容易にする効果がある。
図6には部分連結型全顎人工歯100の別例を側面からみた状態を示す。図6に示す例では、下顎用部分連結型全顎人工歯L1の前方歯群人工歯10の第一小臼歯部4と、咬合中心群人工歯20の第二小臼歯部5、第一大臼歯部6、及び単部位の人工歯30の第二大臼歯部7は、図4に示す例と同様に全て無咬頭形態である。上顎用部分連結型全顎人工歯U1の前方歯群人工歯10の第一小臼歯部4と、咬合中心群人工歯20の第二小臼歯部5、第一大臼歯部6、及び単部位の人工歯30の第二大臼歯部7は、図5に示す例と同様に全て有咬頭形態で構成されている。
詳細に説明すると、下顎用部分連結型全顎人工歯L1において、下顎前方歯群人工歯10Lの下顎第一小臼歯部4Lと、下顎咬合中心群人工歯20Lの下顎第二小臼歯部5L及び下顎第一大臼歯部6Lとの咬合面は、義歯の仮想咬合平面P1と一致する。下顎用部分連結型全顎人工歯L1の下顎前方歯群人工歯10Lの下顎第一小臼歯部4Lと、下顎咬合中心群人工歯20Lの下顎第二小臼歯部5L及び下顎第一大臼歯部6Lと、下顎単部位の人工歯30Lの下顎第二大臼歯部7Lとは、無咬頭形態で構成されている。上顎用部分連結型全顎人工歯U1の上顎前方歯群人工歯10Uの上顎第一小臼歯部4Uと、上顎咬合中心群人工歯20Uの上顎第二小臼歯部5U及び上顎第一大臼歯部6Uと、上顎単部位の人工歯30Uの上顎第二大臼歯部7Uとは、有咬頭形態で構成されている。
有咬頭形態の上顎用部分連結型全顎人工歯U1は、無咬頭形態の下顎用部分連結型全顎人工歯L1に合わせて前後調節彎曲を付与しない状態で咬合接触させるために、第一小臼歯部4と第二小臼歯部5の間は、義歯の仮想咬合平面P1と直交する接触域f1を選択してもよい。更に、第一大臼歯部6と第二大臼歯部7の間については、義歯の仮想咬合平面P1と直交する接触域f5を選択してもよい。あるいは、前記のとおり、第二大臼歯部7の単部位の人工歯30は、顎堤の形状によって人工歯排列スペースがない場合や咬合時に義歯の脱離が懸念される場合は、構成から除外するかを選択してもよい。これにより、下顎咬合面と対合接触する上顎の咬頭頂との摩耗が進行するに従いタッピングポイントが一定の位置に収束することとなるため、前記のような顎位が不安定な患者やタッピングポイントがばらつく患者に対する治療用義歯の提供を容易にする効果がある。
本発明は人工歯にかかる発明であり、産業上利用可能なものである。
U1 上顎用部分連結型全顎人工歯
L1 下顎用部分連結型全顎人工歯
1 中切歯部
1U 上顎中切歯部
1L 下顎中切歯部
2 側切歯部
2U 上顎側切歯部
2L 下顎側切歯部
3 犬歯部
3U 上顎犬歯部
3L 下顎犬歯部
4 第一小臼歯部
4U 上顎第一小臼歯部
4L 下顎第一小臼歯部
4d 第一小臼歯部遠心面
5 第二小臼歯部
5U 上顎第二小臼歯部
5L 下顎第二小臼歯部
5m 第二小臼歯部近心面
6 第一大臼歯部
6U 上顎第一大臼歯部
6L 下顎第一大臼歯部
6d 第一大臼歯部遠心面
7 第二大臼歯部
7U 上顎第二大臼歯部
7L 下顎第二大臼歯部
7m 第二大臼歯部近心面
7mU 近心面
7mL 近心面
P1 義歯の仮想咬合平面
P2 有咬頭形態の第二小臼歯部5の頬側咬頭頂、舌側咬頭頂及び第一大臼歯部6の舌側咬頭頂の3点で構成する面
P2U 有咬頭形態の上顎第二小臼歯部5Uの頬側咬頭頂、舌側咬頭頂及び上顎第一大臼歯部6Uの舌側咬頭頂の3点で構成する面
P2L 有咬頭形態の下顎第二小臼歯部5Lの頬側咬頭頂、舌側咬頭頂及び下顎第一大臼歯部6Lの舌側咬頭頂の3点で構成する面
P2’ 無咬頭形態の第二小臼歯部5及び第一大臼歯部6の咬合面
P2’U 無咬頭形態の上顎第二小臼歯部5U及び上顎第一大臼歯部6Uの咬合面
P2’L 無咬頭形態の下顎第二小臼歯部5L及び下顎第一大臼歯部6Lの咬合面
P3 有咬頭形態の第二大臼歯部7の近心頬側咬頭頂、近心舌側咬頭頂及び遠心頬側咬頭頂の3点で構成する面

P3U 有咬頭形態の上顎第二大臼歯部7Uの近心頬側咬頭頂、近心舌側咬頭頂及び遠心頬側咬頭頂の3点で構成する面
P3L 有咬頭形態の下顎第二大臼歯部7Lの近心頬側咬頭頂、近心舌側咬頭頂及び遠心頬側咬頭頂の3点で構成する面
P3’ 無咬頭形態の上顎第二大臼歯部7の咬合面
P3’U 無咬頭形態の上顎第二大臼歯部7Uの咬合面
P3’L 無咬頭形態の下顎第二大臼歯部7Lの咬合面
10 前方歯群人工歯
10U 上顎前方歯群人工歯
10L 下顎前方歯群人工歯
20 咬合中心群人工歯
20U 上顎咬合中心群人工歯
20L 下顎咬合中心群人工歯
30 単部位の人工歯
30U 上顎単部位の人工歯
30L 下顎単部位の人工歯
100 部分連結型全顎人工歯
f1 調節彎曲非付与時の上顎第一小臼歯と上顎第二小臼歯との接触域(第1接触域)
f2 調節彎曲非付与時の下顎第一小臼歯と下顎第二小臼歯との接触域(第2接触域)
f3 調節彎曲付与時の上顎第大臼歯と上顎第二大臼歯との接触域(第3接触域)
f4 調節彎曲付与時の下顎第大臼歯と下顎第二大臼歯との接触域(第4接触域)
f5 調節彎曲非付与時の上顎第大小臼歯と上顎第二大臼歯との接触域(第5接触域)
f6 調節彎曲非付与時の下顎第大小臼歯と下顎第二大臼歯との接触域(第6接触域)
f7 調節彎曲付与時の上顎第大臼歯と上顎第二大臼歯との接触域(第7接触域)
f8 調節彎曲付与時の下顎第大臼歯と下顎第二大臼歯との接触域(第8接触域)

Claims (9)

  1. 歯列弓および咬合彎曲の調節性を有する部分連結型全顎人工歯(100)であって、
    上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)と、
    下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)と、
    を備え、
    前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)は、
    前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の中央において、左右両側に配置される上顎中切歯部(1U)、上顎側切歯部(2U)、上顎犬歯部(3U)、及び上顎第一小臼歯部(4U)の8部位が連結固定された上顎前方歯群人工歯(10U)と、
    前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、上顎第二小臼歯部(5U)と上顎第一大臼歯部(6U)の2部位が連結固定され、且つ前記上顎前方歯群人工歯(10U)に連結される上顎咬合中心群人工歯(20U)と、
    を有し、
    前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)は、前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、上顎第二大臼歯部(7U)を含む上顎単部位の人工歯(30U)を、前記上顎咬合中心群人工歯(20U)に接合可能に構成されており、
    前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)は、
    前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の中央において、左右両側に配置される下顎中切歯部(1L)、下顎側切歯部(2L)、下顎犬歯部(3L)、及び下顎第一小臼歯部(4L)の8部位が連結固定された下顎前方歯群人工歯(10L)と、
    前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、下顎第二小臼歯部(5L)と下顎第一大臼歯部(6L)の2部位が連結固定され、且つ前記下顎前方歯群人工歯(10L)に連結される下顎咬合中心群人工歯(20L)と、
    を有し、
    前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)は、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の右側と左側とのそれぞれにおいて、下顎第二大臼歯部(7L)を含む下顎単部位の人工歯(30L)を、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)に接合可能に構成されており、
    前記上顎第一小臼歯部(4U)の遠心面(4dU)には、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面(P1)と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられており、
    前記上顎第二小臼歯部(5U)の近心面(5mU)には、有咬頭形態の場合、上顎第二小臼歯部(5U)の頬側咬頭頂、舌側咬頭頂、及び上顎第一大臼歯部(6U)の近心舌側咬頭頂の3点で構成する面(P2U)と直交し、無咬頭形態の場合、前記上顎第二小臼歯部(5U)及び前記上顎第一大臼歯部(6U)の咬合面(P2’U)に対して直交する1つの柱面からなる領域が設けられており、
    前記上顎第一小臼歯部(4U)の前記遠心面(4dU)の咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が前記上顎第二小臼歯部(5U)の近心面(5mU)の柱面と接触する接触域を成し、
    前記下顎第一小臼歯部(4L)の遠心面(4dL)には、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面(P1L)と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられており、
    前記下顎第二小臼歯部(5L)の近心面(5mL)には、有咬頭形態の場合、前記下顎第二小臼歯部(5L)の頬側咬頭頂、舌側咬頭頂、及び前記下顎第一大臼歯部(6L)の近心舌側咬頭頂の3点で構成する面(P2L)と直交し、無咬頭形態の場合、前記下顎第二小臼歯部(5L)及び前記下顎第一大臼歯部(6L)の咬合面(P2’L)と直交する1つの柱面からなる領域が設けられており、
    前記下顎第一小臼歯部(4L)の前記遠心面(4dL)の咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が前記下顎第二小臼歯部(5L)の近心面(5mL)の柱面と接触する接触域を成し、
    前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎第一小臼歯部(4U)の前記遠心面(4dU)の咬合面側の柱面と前記上顎第二小臼歯部(5U)の前記近心面(5mU)の柱面同士が接触して第1接触域(f1)を成すとき、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎第一小臼歯部(4L)の前記遠心面(4dL)の基底面側の柱面と前記下顎第二小臼歯部(5L)の近心面(5mL)の柱面同士が接触して第2接触域(f2)を成し、
    前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎第一小臼歯部(4U)の前記遠心面(4dU)の基底面側の柱面と前記上顎第二小臼歯部(5U)の前記近心面(5mU)の柱面同士が接触して第3接触域(f3)を成すとき、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎第一小臼歯部(4L)の前記遠心面(4dL)の咬合面側の柱面と前記下顎第二小臼歯部(5L)の前記近心面(5mL)の柱面同士が接触して第4接触域(f4)を成す、
    部分連結型全顎人工歯。
  2. 前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において前記第1接触域(f1)を成し、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において前記第2接触域(f2)を成すとき、前記第1接触域(f1)及び前記第2接触域(f2)は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、且つ、義歯の仮想咬合平面(P1)と直交する、
    請求項1に記載の部分連結型全顎人工歯。
  3. 前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において前記第3接触域(f3)を成し、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において前記第4接触域(f4)を成すとき、前記第3接触域(f3)及び前記第4接触域(f4)は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、且つ、義歯の仮想咬合平面(P1)に対し70°以上90°未満の内角(θ1U,θ1L)で交差する、
    請求項1又は2に記載の部分連結型全顎人工歯。
  4. 前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎単部位の人工歯(30U)が前記上顎咬合中心群人工歯(20U)に接合され、且つ前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎単部位の人工歯(30L)が前記下顎咬合中心群人工歯(20L)に接合されているとき、
    前記上顎咬合中心群人工歯(20U)の前記上顎第一大臼歯部(6U)の遠心面(6dU)には、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面(P1)と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられており、
    前記上顎第二大臼歯部(7U)の近心面(7mU)には、有咬頭形態の場合、前記上顎第二大臼歯部(7U)の近心頬側咬頭頂、近心舌側咬頭頂、及び遠心頬側咬頭頂の3点で構成する面(P3U)と直交し、無咬頭形態の場合、前記上顎第二大臼歯部(7U)の咬合面(P3’U)と直交する1つの柱面からなる領域が設けられており、
    前記上顎第一大臼歯部(6U)の咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が前記上顎第二大臼歯部(7U)の前記近心面(7mU)の柱面と接触域を成し、
    前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第一大臼歯部(6L)の遠心面(6dL)には、咬合面側と基底面側にそれぞれ義歯の仮想咬合平面(P1)と交差する角度が異なる2つの柱面からなる領域が設けられており、
    前記下顎第二大臼歯部(7L)の近心面(7mL)には、有咬頭形態の場合、前記下顎第二大臼歯部(7L)の近心頬側咬頭頂、近心舌側咬頭頂、及び遠心頬側咬頭頂の3点で構成する面(P3L)と直交し、無咬頭形態の場合、前記下顎第二大臼歯部(7L)の咬合面(P3’L)と直交する1つの柱面からなる領域が設けられており、
    前記下顎第一大臼歯部(6L)の咬合面側の柱面と基底面側の柱面とのうちのいずれか一方が前記下顎第二大臼歯部(7L)の前記近心面(7mL)の柱面と接触域を成し、
    前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎第一大臼歯部(6U)の前記遠心面(6dU)の咬合面側の柱面と前記上顎第二大臼歯部(7U)の前記近心面(7mU)の柱面同士が接触して第5接触域(f5)を成すとき、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎第一大臼歯部(6L)の前記遠心面(6dL)の基底面側の柱面と前記下顎第二大臼歯部(7L)の前記近心面(7mL)の柱面同士が接触して第6接触域(f6)を成し、
    前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において、前記上顎第一大臼歯部(6U)の前記遠心面(6dU)の基底面側の柱面と前記上顎第二大臼歯部(7U)の前記近心面(7mU)の柱面同士が接触して第7接触域(f7)を成すとき、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎第一大臼歯部(6L)の前記遠心面(6dL)の咬合面側の柱面と前記下顎第二大臼歯部(7L)の前記近心面(7mL)の柱面同士が接触して第8接触域(f8)を成す、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の部分連結型全顎人工歯。
  5. 前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において前記第5接触域(f5)を成し、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において前記第6接触域(f6)を成すとき、前記第5接触域(f5)及び前記第6接触域(f6)は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、且つ、義歯の仮想咬合平面(P1)と直交する、
    請求項4に記載の部分連結型全顎人工歯。
  6. 前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)において前記第7接触域(f7)を成し、前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において前記第8接触域(f8)を成すとき、前記第7接触域(f7)及び前記第8接触域(f8)は、それぞれ、0.01mm以上10.0mm以下の接触面積を有し、且つ、義歯の仮想咬合平面(P1)に対し40°以上90°未満の内角(θ2U,θ2L)で交差する、
    請求項4又は5に記載の部分連結型全顎人工歯。
  7. 前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎第一小臼歯部(4L)と、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第二小臼歯部(5L)、及び前記下顎第一大臼歯部(6L)の咬合面は、義歯の仮想咬合平面(P1)と一致し、
    前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の前記上顎前方歯群人工歯(10U)の前記上顎犬歯部(3U)は、尖頭(3cU)に義歯の仮想咬合平面(P1)と平行な上顎咬合局面を備え、
    前記上顎前方歯群人工歯(10U)の前記上顎第一小臼歯部(4U)と、前記上顎咬合中心群人工歯(20U)の前記上顎第二小臼歯部(5U)及び前記上顎第一大臼歯部(6U)と、前記上顎単部位の人工歯(30U)の前記上顎第二大臼歯部(7U)とは、無咬頭形態で構成されており、
    前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎犬歯部(3L)は、尖頭(3cL)に義歯の仮想咬合平面(P1)と平行な下顎咬合局面を備え、
    前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎第一小臼歯部(4L)と、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第二小臼歯部(5L)及び前記下顎第一大臼歯部(6L)と、前記下顎単部位の人工歯(30L)の前記下顎第二大臼歯部(7L)とは、無咬頭形態で構成されている、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の部分連結型全顎人工歯。
  8. 前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の上顎前方歯群人工歯(10U)の前記上顎第一小臼歯部(4U)と、前記上顎咬合中心群人工歯(20U)の前記上顎第二小臼歯部(5U)、前記上顎第一大臼歯部(6U)、及び前記上顎単部位の人工歯(30U)の前記上顎第二大臼歯部(7U)は有咬頭形態で構成されており、
    前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎第一小臼歯部(4L)と、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第二小臼歯部(5L)及び前記下顎第一大臼歯部(6L)と、前記下顎単部位の人工歯(30L)の前記下顎第二大臼歯部(7L)とは、有咬頭形態で構成されている、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の部分連結型全顎人工歯。
  9. 前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)において、前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎第一小臼歯部(4L)と、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第二小臼歯部(5L)、及び前記下顎第一大臼歯部(6L)の咬合面は、義歯の仮想咬合平面(P1)と一致し、
    前記下顎用部分連結型全顎人工歯(L1)の前記下顎前方歯群人工歯(10L)の前記下顎第一小臼歯部(4L)と、前記下顎咬合中心群人工歯(20L)の前記下顎第二小臼歯部(5L)及び前記下顎第一大臼歯部(6L)と、前記下顎単部位の人工歯(30L)の前記下顎第二大臼歯部(7L)とは、無咬頭形態で構成されており、
    前記上顎用部分連結型全顎人工歯(U1)の前記上顎前方歯群人工歯(10U)の前記上顎第一小臼歯部(4U)と、前記上顎咬合中心群人工歯(20U)の前記上顎第二小臼歯部(5U)及び前記上顎第一大臼歯部(6U)と、前記上顎単部位の人工歯(30U)の前記上顎第二大臼歯部(7U)とは、有咬頭形態で構成されている、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の部分連結型全顎人工歯。
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