JP6475391B1 - 歯科用治療具およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】健康な残存歯を削ることなく、手術も要さず、装着感が向上し、かつ様々な症例にも適用できる歯科用治療具およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、歯科用治療具(10)は、第一歯(4)と欠損部(3)の方向に前記第一歯の隣にある第二歯(5)との間に口蓋面(42)または舌側面側から配置される始点部(11)と、前記始点部から歯列(L-L)の口蓋面または舌側面側を前記欠損部(3)の方向に延伸する接続部(12)と、前記接続部の終点にある残存歯(2)の頬側面(21)に前記欠損部に近い側から延出する小引っかけ部(13)と、を有し、始点部(11)と小引っかけ部(13)で治療具(10)の維持を図る。
【選択図】図2

Description

本発明は、歯牙の補綴治療に用いられる歯科用治療具およびその製造方法に関する。
歯牙が部分的に欠損した場合の歯科用治療具として、ブリッジ,局部床義歯,およびインプラントが良く知られている。
このうち、局部床義歯(部分入れ歯)は、欠損部の歯肉にぴったりと密着する局部床を形成し、この局部床に人工歯とクラスプを取り付ける。クラスプは、「C」字形状のアームを有する金属バネであって、アームを残存歯の口蓋面(または舌側面)および頬側面の両面に、かつ歯肉に接近する位置に引っかけることで、治療具全体が固定される。
この他に、特許文献1の発明がある。特許文献1に係る歯科用治療具240について、図18に示す。図18(A)および(B)に示すように、残存歯234および残存歯235の間に欠損部230があった場合に、治療具240は、残存歯234の隣接面2340と,残存歯234の口蓋面2341と,残存歯235の隣接面2350と,残存歯235の口蓋面2351とに接触する接触部241,242,243,244を備える。治療具240は、補綴箇所の歯列の口蓋面側から、頬側に向かう方向(例えば矢印Aの方向)に移動することで、はめ込まれる。その結果、図18(C)に示すように、治療具240の接触部241,242,243,244が、それぞれ隣接面2340,口蓋面2341,隣接面2350,および口蓋面2351に対応して形状一致し、治療具全体が固定される。
特開2005−334419号公報
従来技術に係る、ブリッジは、健康な残存歯を削る必要がある。インプラントは、手術が必要となる。局部床義歯は、残存歯に引っ掛けるクラスプが治療具の固定部(維持を図る部分、以降、維持部と称する)となるため、残存歯に負担が掛かり、装着感が悪いという問題がある。また、クラスプは、残存歯の歯肉に近接させて維持を図るため患者に痛みを与えるという問題や、クラスプと歯肉の間に食べ物が挟まり清掃性が悪いという問題もある。
特許文献1の治療具240は、残存歯234,235の隣接面2340,2350と接触する隣接部241,243が維持部となる。また、治療具240が残存歯234,235の頬側面にあらわれないため、審美性が良好である。
しかしながら、特許文献1の治療具は、隣接部241と243で維持部が形成しにくい症例、例えば、歯冠が短い症例や歯の傾きが正常ではない症例に対しては、適用できなかった。このため、適用できる症例に限りがあるという問題があった。また、維持部が頬側に無く、口蓋面(または舌側面)の片面のみで機能するため、頬筋が大きく動いた時などに、治療具がたわんではずれることもあった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、健康な残存歯を削ることなく、手術も要さず、装着感が向上し、かつ様々な症例にも適用できる歯科用治療具およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の歯科用治療具は、歯牙の欠損部の補綴治療に用いられる歯科用治療具であって、第一歯と前記欠損部の方向に前記第一歯の隣にある第二歯との間に、口蓋面または舌側面側から配置される始点部と、前記始点部から、歯列の口蓋面または舌側面側を前記欠損部の方向に延伸する接続部と、前記接続部の終点にある残存歯の頬側面に前記欠損部に近い側から延出する小引っかけ部と、を有することを特徴とする。
上記態様において、前記小引っかけ部は、前記接続部から前記残存歯の前記頬側面に延出し、少なくとも延出方向最初の隅角を覆うことも好ましい。
上記態様において、前記小引っかけ部は、前記最初の隅角を、略矩形,略台形,略楕円形または略三角形状に覆うことも好ましい。
上記態様において、前記小引っかけ部は、前記残存歯の最大豊隆部を結ぶ線から歯茎粘膜の方向にやや下がった線上に、前記最初の隅角から0.1〜1.1mmはみ出して形成されることも好ましい。
上記態様において、作業模型にある少なくとも二つの残存歯において、歯列方向における最大豊隆部から歯茎粘膜へ垂直に下ろした点から歯頸部にかけての距離が最も長い残存歯が、前記始点部が配置される前記第一歯として選定されることも好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様の歯科用治療具の製造方法は、歯牙の欠損部の補綴治療に用いられる歯科用治療具の製造方法であって、少なくとも、作業模型に対して前記治療具の着脱方向を決めるステップと、前記作業模型にある前記欠損部の隣に位置する隣残存歯を含む少なくとも二つの残存歯の、歯列方向における最大豊隆部の位置を求めるステップと、前記最大豊隆部から歯茎粘膜に対して垂直に下ろした点から歯頸部にかけての距離を求め、該距離が最も長い残存歯を前記治療具の始点に決定するステップと、前記始点となった残存歯の口蓋面または舌側面側を埋める始点部の形状を決定するステップと、前記始点となった残存歯の前記最大豊隆部を中心にして前記隣残存歯の最大豊隆部を通る弧を描き、該弧が歯茎粘膜にあたる当点を求めるステップと、前記隣残存歯の最大豊隆部と前記当点とを結ぶ線と,前記隣残存歯とで囲まれた領域を埋める小引っかけ部の台部の形状を決定するステップと、前記隣残存歯の頬側面に前記欠損部に近い側から延出する前記小引っかけ部の延出部の形状を決定するステップと、前記始点部と前記小引っかけ部の台部とを繋ぐ接続部の形状を決定するステップと、を備えることを特徴とする。
本発明の歯科用治療具およびその製造方法によれば、歯牙の欠損部の補綴治療において、健康な残存歯を削ることもなく、手術も要さず、装着感も向上し、かつ様々な症例に適用することができる。
本発明の第一の実施形態に係る歯科用治療具が適用される作業模型の上面図である。 同形態に係る歯科用治療具が適用された上記模型の一部の咬合面を見た図である。 同形態に係る歯科用治療具が適用された上記模型の一部を頬側から見た図である。 同形態に係る歯科用治療具が適用された上記模型の一部を口蓋側から見た図である。 同形態に係る歯科用治療具のうち、小引っかけ部が配置される残存歯を示した図であって、(A)咬合面の図(上面図)、(B)近心側の側面図(左側面図)、(C)遠心側の側面図(右側面図)、(D)口蓋側の側面図(背面図)、(E)頬側の側面図(正面図)である。 本発明の第二の実施形態に係る歯科用治療具が適用された上記模型の一部の咬合面を見た図である。 同形態に係る歯科用治療具が適用された上記模型の一部を頬側から見た図である。 同形態に係る歯科用治療具のうち、小引っかけ部が配置される残存歯を示した図であって、(A)咬合面の図(上面図)、(B)近心側の側面図(左側面図)、(C)遠心側の側面図(右側面図)、(D)口蓋側の側面図(背面図)、(E)頬側の側面図(正面図)である。 実施形態の好ましい変形例(1)および(2)の咬合面を見た図である。 実施形態の好ましい変形例(1)および(2)を口蓋側から見た図である。 実施形態に係る歯科用治療具の製造工程のフローチャートである。 同製作工程におけるステップS102〜S103の作業を説明する模式図である。 同製作工程におけるステップS105の作業を説明する模式図である。 同製作工程におけるステップS106の作業を説明する模式図である。 第一の実施形態の歯科用治療具の適用例であり、(a)同治療具が適用される作業模型の一部を頬側から見た図、(b)同治療具が適用された作業模型の一部を頬側から見た図である。 第二の実施形態の歯科用治療具の別の適用例である。 第一および第二の実施形態実施形態の歯科用治療具のさらに別の適用例であり、治療具が適用された作業模型の咬合面を見た図である。 従来技術に係る歯科用治療具を示す図であって、(A)作業模型を示す図、(B)同治療具を作業模型に装着する様子を示す図、(C)同治療具を作業模型に装着した状態を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の全ての実施形態は、上顎に適用された例を示す。下顎に適用された場合は、口蓋面に適用された形態が、同様に舌側面に適用される。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係る歯科用治療具10が適用される上顎の作業模型1の上面図である。作業模型1では、右の第一小臼歯が欠損している(以下、欠損部3と称する)。右の第二小臼歯(以下、残存歯2)と第二大臼歯(以下、残存歯4)は残存している。治療具10は、欠損部3に人口歯5を補綴するものとする。
図2〜図5に示すように、本形態に係る治療具10(図において斜線で示す)は、残存歯4と人口歯5の間に口蓋面側から配置される始点部11と、始点部11から歯列(図2のL−L線)の口蓋面に沿って欠損部3の方向に延伸する接続部12と、終点にある残存歯2の頬側面21に、欠損部3に近い側から延出する小引っかけ部13と、を有する。
始点部11,接続部12,および小引っかけ部13を有する治療具10は、金属または樹脂により形成される。一例として、シリコン枠に、始点部11,接続部12,および小ひっかけ部13を備えた型を作り、金属を鋳込むか樹脂成形を行う。
始点部11は、後に治療具10の製造方法の欄で詳述する残存歯(第一歯)から開始される。始点部11は、上記残存歯(第一歯)とその隣にある残存歯(第二歯)の間、または、第一歯の隣に残存歯が無い場合は残存歯(第一歯)と人口歯(第二歯)の間に、口蓋面側から配置される。本形態では、残存歯4が第一歯であり、人口歯5が第二歯である。始点部11は、少なくとも残存歯4のアンダーカットを埋める形状に形成される(図2)。
接続部12は、歯列L−Lに沿って、口蓋面側で、始点部11と小引っかけ部13とを繋ぐ形状を有する。接続部12は、少なくとも、歯列L−Lの湾曲形状に沿う形状を有し、薄く形成される。接続部12の終点は、欠損部3の隣の残存歯とする。本形態では、残存歯2が終点となる。
小引っかけ部13は、残存歯2の口蓋面22側にある接続部12から頬側面21に向けて延出する台部132と、上記延出方向の最初の隅角205を覆う延出部131を有する(図2)。本形態の残存歯2に見られる隅角は,頬側面21にあるものから左回りに、第一隅角201,第二隅角202,第三隅角203,第四隅角204,および第五隅角205があるが、第五隅角205が延出方向最初の隅角に該当する。
台部132は、接続部12から、後に治療具10の製造方法の欄で詳述する形状を備えて頬側面21に延出する。延出部131は、残存歯2の最初の隅角205を覆う、正面視略矩形,略台形,略楕円形または略三角形状に形成される(図3)。
第一の実施形態に係る治療具10によれば、始点部11と小引っかけ部13(延出部131)で治療具の維持を図る。このため、維持部が歯列L−L方向に二カ所取れ、かつ口蓋面と頬側面の両面で維持部が機能するため、頬筋の動きにつられても治療具が外れにくく、安定感と装着感が向上する。
また、治療具10によれば、始点部11と小引っかけ部13によって口蓋面と頬側面の両面で治療具の維持を図ることから、年齢や病気で歯肉が痩せるなど口内の状況が変化しても外れがたくなるので、片面のみで維持を図る場合に比して使用耐用年数が長くなる。
また、小引っかけ部13は、残存歯2から小領域が見えるだけとなり目立たない。小引っかけ部13(特に延出部131)を樹脂で形成すれば、さらに目立たなくすることができる。
なお、治療具10において、安定感および装着感を向上させるため、接続部12に、通過する残存歯または人口歯の口蓋面に接触する部位を形成するのも好ましい。例えば本形態のように、通過する人口歯5の口蓋面52の凹凸に概略一致させた形状120を形成する(図2)。ここで、治療具10は維持部を始点部11と小引っかけ部13に求めており、接続部12は維持部としては補助的なものとなる。このため、接続部12が人口歯5の口蓋面,遠心側の側面,および近心側の側面に密着して接していなくてもよい。このため、接続部12が通過する残存歯または人口歯に対する形状測定の工数を減らすことも可能である。
(第二の実施形態)
図6〜図8に、第二の実施形態に係る歯科用治療具10´を示す。第二の実施形態に係る治療具10´(図において斜線で示す)は、小引っかけ部13の延出部131の形態を変更したものである。第一の実施形態と同様の要素については、同一の符号を用いて説明を割愛する。なお、第二の実施形態に係る口蓋側から見た図は、第一の実施形態の図4と同一である。
第二の実施形態に係る小引っかけ部13´は、図6に示すように、残存歯2の最初の隅角205が頬から奥まった位置にある等の事情で第一の実施形態の延出部131の形状では領域が十分に確保できない場合や、装着感や清掃性、または審美性を重視する患者に有効な形態である。
第二の実施形態に係る小引っかけ部13´の台部132は、第一の実施形態と同様に、後に治療具10の製造方法の欄で詳述する形状を備えて頬側面21に延出する。
延出部131´は、図7に示すように、ライン状に最初の隅角205を覆う。好ましくは、延出部131´は、その幅方向中心部が残存歯2の最大豊隆部を結ぶ線14上から歯茎粘膜の方向にやや下がった線140に沿って延出し、かつ最初の隅角205から0.1〜1.1mmはみ出して形成される。
第二の実施形態に係る治療具10´によれば、第一の実施形態と同様に、始点部11と小引っかけ部13(延出部131´,特に、最初の隅角205を超えた部分)で治療具の維持を図る。このため、維持部が歯列L−L方向に二カ所取れ、かつ口蓋面と頬側面の両面で維持部が機能するため、安定感と装着感が向上する。使用耐用年数についても同様である。また、小引っかけ部13´は、残存歯2からライン状の小領域が見えるだけであり、より目立たない。小引っかけ部13´を樹脂で形成すれば、さらに目立たなくすることができる。
さらに、第二の実施形態に係る治療具10´によれば、小引っかけ部13´を頬側面21にライン状に延出させる形態であるため、第一の実施形態の小引っかけ部13では十分な領域を確保できない症例であっても、長さによって、維持部を形成することができるため、適用する症例を増やすことができる。
また、小引っかけ部13´は、歯肉との間に隔たりを有するので、歯肉に痛みを与えることがない。このため、装着感が向上し、また清掃性も良好である。
なお、やや下がった線140は、最大豊隆部を結ぶ線14から、好ましくは0.01mm〜0.26mm、より好ましくは0.25mm下げた位置とすると、残存歯2へ過度の負担をかけることなく、かつ十分な維持も図ることができる。
(変形例)
以上の第一及び第二の実施形態に対し、安定感および装着感を向上させるための好ましい変形例を述べる。なお、これらが症例に応じて組み合わされるのも好ましい。
変形例(1):図9および図10に示すように、接続部12に、始点部11が配置される第一歯(残存歯4)の口蓋面42に延伸する第一予備接続部121をさらに形成してもよい。
変形例(2):図9および図10に示すように、接続部12に、小引っかけ部13が配置される残存歯2の口蓋面22に延伸する第二予備接続部122をさらに形成してもよい。
(装着方法)
次に、第一の実施形態の治療具10および第二の実施形態の治療具10´の、装着方法について説明する。両者の装着方法は同一であるので、第一の実施形態の治療具10で説明する。
まず、治療具10の始点部11を、残存歯4(第一歯)と人口歯5(第二歯)の間に口蓋面42側からはめる。次に、小引っかけ部13を、始点部11を支点にして、接続部12の終点にある残存歯2の咬合面から歯茎粘膜の方向に回し下ろす(図3の矢印Bを参照)。この時、治療具10の接続部12は金属または樹脂の薄板であるので可撓性を持ち、小引っかけ部13は残存歯2の最大豊隆部(線14)を超え、最大豊隆部のやや下(線140)で安定する(図7参照)。治療具10の取り外しは、上記の工程を逆に行う。このように、治療具10は、手術は要さず、患者の手により簡単に装着および脱着することができる。
(製造方法)
次に、第一の実施形態の治療具10および第二の実施形態の治療具10´の製造方法について、図11のフローチャートに基づいて、図12,図13,および図14を参照しながら説明する。
まず、ステップS101で、作業模型に対して始点部11の着脱方向を決める。着脱方向は、歯列L−Lの口蓋面に対して、口蓋側から頬側に向かう方向であれば任意の角度でよい。
次に、ステップS102で、作業模型にある欠損部の隣に位置する隣残存歯を含む少なくとも二つの残存歯に対して、歯列L−L方向における最大豊隆部の位置を求める。例えば図12に示すように、欠損部の両隣に残存歯(イ),(ロ)があれば、残存歯(イ),(ロ)隣残存歯となる。よって図12であれば、少なくとも残存歯(イ),(ロ)に対して、歯列L−L方向における最大豊隆部(A,B)の位置を求める。
次に、ステップS103で、ステップS102で求めた最大豊隆部(A,B)から歯茎粘膜に対して垂直に下ろした点(C,D)と、残存歯(イ),(ロ)の歯頸部(E,F)との間の距離(X1,X2)を測り(図12)、距離が長い方を、治療具の始点に決定する。言い換えると、歯列L−L方向における最大豊隆部から歯茎粘膜へ垂直に下ろした点から歯頸部にかけての距離が最も長い残存歯が、始点部11が配置される第一歯として選定される。図12であれば、距離X1>距離X2であるため、残存歯(イ)が第一歯として選定される。
次に、ステップS104で、始点となる残存歯(イ)のアンダーカットを埋める形状を始点部11として決定する。
次に、ステップS105で、始点となる残存歯(イ)の最大豊隆部(A)を中心にして、隣残存歯(ロ)の最大豊隆部(B)を通る弧を描き、弧が歯茎粘膜に当たる当点(G)を求める(図13)。
次に、ステップS106で、隣残存歯(ロ)の最大豊隆部(B)と当点(G)を結ぶ線(Y)を求め、線(Y)と隣残存歯(ロ)で囲まれる領域(Y´´)を、小引っかけ部13の台部131の形状として決定する(図14)。
次に、ステップS107で、隣残存歯(ロ)に対し、第一の実施形態の延出部131または第二の実施形態の延出部131´の形状を決定する。
次に、ステップS108で、始点部11と小引っかけ部13(台部132)とを繋ぐ接続部12の形状を決定する。
次に、ステップS109で、欠損部3に対し人口歯を固着するための床の形状を決定する。床の形状は、従来周知の形状でよい。
次に、ステップS110で、ステップS104で決めた始点部11,ステップS106およびS107で決めた小引っかけ部13,ステップS108で決めた接続部12、およびステップS109で決めた床を備えた型を作り、金属を鋳込むか樹脂成形を行う。
なお、ステップS110は、始点部11,接続部12,小引っかけ部13および床(図示略)を一体成形するのが工数上好ましい。
また、安定感および装着感を向上させるため、上記製造工程において、従来周知の手法で、さらにレジン床(図2,図6,図9に示す符号15)を形成するのも好ましい。
(適用例)
図15は、第一の実施形態の治療具10の好適な適用例である。図15(a)では、残存歯2の遠心側の側面の傾きが正常のものよりも広がっているため、残存歯2とその隣の歯5の内側に維持部が形成出来ない症例である。しかし、図15(b)に示すように、治療具10では、小引っかけ部13(延出部131)を残存歯2の頬側面21に延出させ、外側に維持部を形成することができるため、このような症例に対しても適用することができる。
図16は、第二の実施形態の治療具10´の好適な適用例である。図16では、残存歯2の歯冠が通常よりも短いため、残存歯2とその隣の歯5の内側で維持部が形成しにくく、また面積が十分に取れない症例である。しかし、治療具10´では、小引っかけ部13´(延出部131´)が残存歯2の最初の隅角205を超える位置まで延出する。即ち、治療具10´では、外側に維持部を形成することができ、かつ長さによって維持を図ることができるため、このような症例に対しても適用することができる。
図17は、第一の実施形態の治療具10の好適な適用例である(第二の実施の形態であっても同様に適用できる)。図17に示す作業模型1´では、右の第二大臼歯および第三大臼歯が欠損部3となっている。本治療具10″では、残存歯6が第一歯であり、残存歯7が第二歯である。欠損部3の隣の残存歯8が接続部12の終点であり、残存歯8の頬側面81に、欠損部3に近い側から延出する小引っかけ部13が形成されている。
始点部11は、残存歯6のアンダーカットを埋める形状に形成される。本適用例では、始点部11と小引っかけ部13との間が長く、連結部12は複数の残存歯9を通過する。このように治療具が長くなる場合は、安定感および装着感を高めるために、接続部12の相対面(残存歯9と対面する面)125に、残存歯9のアンダーカットを概略埋める形状の突起部126を形成するのが好ましい。但し、治療具10″は、始点部11と小引っかけ部13が維持部となり、接続部12は維持部としては補助的なものとなる。このため、突起部126は各残存歯9の口蓋面,遠心側の側面,および近心側の側面に密着していなくてもよい。なお、図17では、突起部126は全ての残存歯9間に対して形成されているが、症例に応じて、少なくとも一箇所、または数箇所に形成されるものであってよい。本適用例のように治療具が長い場合は、上述の製造方法におけるステップS102の作業は、欠損部の隣にある隣残存歯8と、残りの残存歯(6,7,9)のうち少なくとも一つに対して行うものでもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態および変形例について述べたが、これらは本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
1 作業模型
2 残存歯
21 頬側面
22 口蓋面
205 最初の隅角
3 欠損部
4 残存歯
42 口蓋面
5 人工歯
52 口蓋面
6 残存歯(変形例3)
7 残存歯(変形例3)
8 残存歯(変形例3)
9 残存歯(変形例3)
10 歯科用治療具(第一形態)
10´歯科用治療具(第二形態)
10´´歯科用治療具(適用例3)
11 始点部
12 接続部
13 小引っかけ部(第一形態)
13´小引っかけ部(第二形態)
131 小引っかけ部の延出部(第一形態)
131´小引っかけ部の延出部(第二形態)
132 小引っかけ部の台部
14 最大豊隆部を結ぶ線
140 歯茎方向にやや下がった線

Claims (6)

  1. 歯牙の欠損部の補綴治療に用いられる歯科用治療具であって、
    第一歯と前記欠損部の方向に前記第一歯の隣にある第二歯との間に、口蓋面または舌側面側から配置される始点部と、
    前記始点部から、歯列の口蓋面または舌側面側を前記欠損部の方向に延伸する接続部と、
    前記接続部の終点にある残存歯の頬側面に前記欠損部に近い側から延出する小引っかけ部と、
    を有することを特徴とする歯科用治療具。
  2. 前記小引っかけ部は、前記接続部から前記残存歯の前記頬側面に延出し、少なくとも延出方向最初の隅角を覆うことを特徴とする請求項1に記載の歯科用治療具。
  3. 前記小引っかけ部は、前記最初の隅角を、略矩形,略台形,略楕円形または略三角形状に覆うことを特徴とする請求項2に記載の歯科用治療具。
  4. 前記小引っかけ部は、前記残存歯の最大豊隆部を結ぶ線から歯茎粘膜の方向にやや下がった線上に、前記最初の隅角から0.1〜1.1mmはみ出して形成されることを特徴とする請求項2に記載の歯科用治療具。
  5. 作業模型にある少なくとも二つの残存歯において、歯列方向における最大豊隆部から歯茎粘膜へ垂直に下ろした点から歯頸部にかけての距離が最も長い残存歯が、前記始点部が配置される前記第一歯として選定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用治療具。
  6. 歯牙の欠損部の補綴治療に用いられる歯科用治療具の製造方法であって、
    少なくとも、
    作業模型に対して前記治療具の着脱方向を決めるステップと、
    前記作業模型にある前記欠損部の隣に位置する隣残存歯を含む少なくとも二つの残存歯の、歯列方向における最大豊隆部の位置を求めるステップと、
    前記最大豊隆部から歯茎粘膜に対して垂直に下ろした点から歯頸部にかけての距離を求め、該距離が最も長い残存歯を前記治療具の始点に決定するステップと、
    前記始点となった残存歯の口蓋面または舌側面側を埋める始点部の形状を決定するステップと、
    前記始点となった残存歯の前記最大豊隆部を中心にして前記隣残存歯の最大豊隆部を通る弧を描き、該弧が歯茎粘膜にあたる当点を求めるステップと、
    前記隣残存歯の最大豊隆部と前記当点とを結ぶ線と,前記隣残存歯とで囲まれた領域を埋める小引っかけ部の台部の形状を決定するステップと、
    前記隣残存歯の頬側面に前記欠損部に近い側から延出する前記小引っかけ部の延出部の形状を決定するステップと、
    前記始点部と前記小引っかけ部の台部とを繋ぐ接続部の形状を決定するステップと、
    を備えることを特徴とする歯科用治療具の製造方法。
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JP2005334419A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Osaka Shika Center:Kk 人工歯複合体の製造方法

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