JP2004081857A - 金属を含まない係留部材を有する歯科用補綴物 - Google Patents

金属を含まない係留部材を有する歯科用補綴物 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、歯および補綴物に損傷を与えることなく容易に挿入および再除去できる歯科用補綴物であって、金属を使用することなく、患者の口に確実に係留できる歯科用補綴物を提供することにある。
【解決手段】 この目的は、塑性変形が起こる前に、少なくとも10GPaの曲げ弾性率および少なくとも0.8%の最大伸び率を有する、プラスチック材料から作製された少なくとも1個の係留部材を有する歯科用補綴物により達成される。特に、10〜80GPaの曲げ弾性率および0.8〜4%の最大伸び率を有するプラスチック材料から作製された係留部材が好ましい。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、金属を含まない係留部材を有する歯科用補綴物に関する。
 金属含有歯科用補綴物は、美観上の理由のために、金属を含まない補綴物に取って代わられことが多くなっている。粒子形状の充填剤または繊維充填剤を含有する複合材料は、金属を含まない補綴物の調製用の材料として適切であることが判明している。
 EP 0 230 394 A2は、繊維強化プラスチックから作製された歯列矯正装置(例えば、歯クラスプ)を開示しており、これは、好ましくは、ワイヤの形状をとる。
 EP 0 389 552 B1は、繊維強化プラスチックをベースにした一時的または永久的なブリッジを開示している。これらのブリッジを作製するために、ガラス繊維強化プラスチックから作製されたストリップに、プラスチック歯が確保され、これは、次いで、患者の口内で、閉鎖すべき間隙に隣接した歯に接着剤によって固定される。
 米国特許第5,098,304号は、ガラス繊維強化複合材料をベースにした歯科用修復物の作製を記述している。
 歯科用補綴物を作製する2段階方法は、米国特許第5,839,900号から公知であり、これは、繊維強化構造体を作製する工程、引き続いて、この構造体を複合材料と張り合わせる工程を包含する(また、K.H.Korberら、DSL 3/96 12を参照)。
 米国特許第5,062,799号は、歯科用ベニヤリング材料を開示しており、これは、ガラス繊維材料からなり、この材料は、両面を複合材料で被覆され、そして歯の表面に接着剤で付けられる。
 米国特許第5,176,951号は、アラミド繊維またはポリエチレン繊維をベースにした織物で強化した歯科用修復物に関する。
 DE 38 21 091 A1は、金属キャストクラスプを使った歯科用補綴物の作製を記述しており、ここで、光重合可能な樹脂調製物(これは、エチレン性不飽和化合物および有機充填剤を含有する)は、モデルを使用して、クラスプに成形され、これは、硬化後、ロストワックス法に従って、金属キャストクラスプを調製するための鋳型を作製するのに役立つ。
 アセタール樹脂をベースにした無モノマー材料は、Dental D(登録商標)の名称で、Micro Dental Laboratoriesから販売されており、これらは、金属を含まない歯科用補綴物の作製に適切であり、また、歯を着色する係留部材を備えた部分補綴物の作製を促進するように向けられている。
 同じ目的のために、Thermoflex(登録商標)の名称で、Trident Dental Laboratorisにより、無モノマー結晶性構造を有するように向けられかつアセタール樹脂をベースにしている、材料が販売されている。
 多くの歯科用途では、プラスチックおよび複合材料を使って、良好な結果が得られた。例えば、繊維強化複合材料をベースにしたクラウンおよびブリッジ(これらは、ガラス粉含有プラスチックと張り合わされている)は、高い装填性能により特徴付けられ、その結果、欠点なしに、金属強化なしですますことができる。しかしながら、他の領域では、今までのところ、プラスチックを使って、金属の特性を達成できなかった。それゆえ、金属クラスプは、依然として、もし、固定係留を優先するなら、患者の残留義歯に部分補綴物を確保するための選択手段である。金属クラスプの信頼性は、係留する樹脂をベースにしたクラスプを使用しても達成できない。他方、金属クラスプは、しばしば、比較的に非可撓性であり、それにより、その補綴物の挿入および除去が困難となり、係合する歯に損傷を与える危険性がある。それに加えて、その修復物の挿入および除去に伴うクラスプの変形により、金属クラスプの弾性が比較的に低いことに起因して、このクラスプの可塑変形および金属疲労を容易に引き起こす。
 従って、本発明の目的は、歯および補綴物に損傷を与えることなく容易に挿入および再除去できる歯科用補綴物であって、金属を使用することなく、患者の口に確実に係留できる歯科用補綴物を提供することにある。
 この目的は、プラスチック材料から作製された少なくとも1個の係留部材を有する歯科用補綴物により達成され、該プラスチック材料は、塑性変形が起こる前に、少なくとも10GPaの曲げ弾性率および少なくとも0.8%の最大伸び率を有する。10〜80GPaの曲げ弾性率および0.8〜4%の最大伸び率を有するプラスチック材料から作製された係留部材が好ましい。歯科用補綴物用の係留部材は、しばしば、クラスプ形状の外観を有するので、また、以下では、クラスプとして記述されている。
 一つの局面において、本願発明は、金属を含まない少なくとも1種の係留部材を有する歯科用補綴物であって、該係留部材は、プラスチック材料から作製され、該プラスチック材料は、少なくとも10GPaの曲げ弾性率および少なくとも0.8%の最大伸び率を有する、補綴物を提供する。
 好ましい実施形態において、前記プラスチック材料が、10〜80GPaの曲げ弾性率および0.8〜4%の最大伸び率を有し得る。
 好ましい実施形態において、前記曲げ弾性率および前記最大伸び率が、該最大伸び率の%を該曲げ弾性率のGPaで割った商が0.4・10−3〜15・10−3GPa−1の領域に入るような互いの比であり得る。
 好ましい実施形態において、前記プラスチック材料が、高分子マトリックス材料(コア材料)を含有し、その中に、繊維充填剤が包埋され得る。
 好ましい実施形態において、前記コア材料が、20GPaより高い曲げ弾性率および1%より高い最大伸び率を有し得る。
 好ましい実施形態において、前記コア材料が、43〜70重量%の繊維充填剤を含有し得る。
 好ましい実施形態において、繊維充填剤を含有する前記高分子マトリックス材料が、繊維充填剤を含有しない高分子材料(ベニヤリング材料)で張り合わされ得る。
 好ましい実施形態において、前記ベニヤリング材料が、2〜15GPaの曲げ弾性率および1%より高い最大伸び率を有し得る。
 好ましい実施形態において、前記ベニヤリング材料が、無機充填剤を含有しない。
 好ましい実施形態において、前記ベニヤリング材料が、有機充填剤を含有し得る。
 一つの局面において、本願発明は、硬化可能コア材料および硬化可能ベニヤリング材料を含有する、上記の歯科用補綴物を調製するためのキットを提供する。
 好ましい実施形態において、前記硬化可能コア材料が、以下:
 25〜52重量%の重合可能結合剤、
 43〜70重量%の繊維充填剤、
 3〜8重量%の微粒子充填剤、
 <2.5重量%のラジカル重合開始剤、
 <2.5重量%の安定剤、および
 <0.3重量%の1種またはそれ以上の顔料を含有し得る。
 好ましい実施形態において、前記ベニヤリング材料が、
 50〜80重量%の有機充填剤、
 20〜50重量%の重合可能結合剤、
 <2重量%のラジカル重合開始剤、および
 0〜1重量%の促進剤を含有し得る。
 好ましい実施形態において、前記ベニヤリング材料が、少なくとも1種の固体成分および少なくとも1種の液体成分を含有し、該固体成分が、前記有機充填剤および前記開始剤を含有し、そして該液体成分が、前記結合剤、および必要に応じて、前記促進剤を含有し得る。
 好ましい実施形態において、1〜5種の異なるコア材料および/または1〜5種の異なるベニヤリング材料を含有し得る。
 一つの局面において、本願発明は、金属を含まない係留部材を有する歯科用補綴物を調製する方法であって、ここで、コア材料から作製された係留部材と共に、補綴物基材が提供され、該係留部材が、次いで、必要に応じて、ベニヤリング材料と張り合わされ、該コア材料および該ベニヤリング材料が、同時または順次に硬化される、方法を提供する。
 本発明によれば、歯科用補綴物とは、完全補綴物、および好ましくは、部分補綴物を意味する。完全補綴物は、全く歯のない顎の場合のオーラルリハビリテーションを与える取り外し可能義歯の場合を意味する。完全補綴物は、係留部材を用いてインプラントに固定され得る。部分補綴物は、歯が部分的に失われた場合のオーラルリハビリテーション用の取り外し可能義歯であり、これは、患者の残留義歯および/または適切なインプラントに確保される。
 部分補綴物は、種々の部分に分解できる。真性義歯は、サドルで表わされる。これらは、人工歯を備えた修復物であり、中断した歯列または短絡した歯列の領域で、歯のない顎に寄り掛かっている。部分補綴物は、数個のサドルを含むなら、連結部材により、互いに接続される。これらのサドルおよびそれらの連結部材は一緒になって、その補綴物基材を形成する。サドルを1個しか備えていない補綴物の場合、これは、この基材として記述される。部分補綴物の基材は、接着剤だけでは、口に十分にしっかりとは確保されない。従って、それは、通常、係留部材を使って、残留義歯またはインプラントに固定される。本発明の歯科用補綴物は、少なくとも1個のサドル、通常、1〜3個のサドル、および少なくとも1個の係留部材、通常、2〜8個の係留部材を備えた補綴物基材を有する。補綴物は、常に、患者の各状況に適合しなければならない個々の部品であるので、サドルおよび係留部材の好ましい数に関する情報を示すことはできない。
 本発明により、歯および補綴物に損傷を与えることなく容易に挿入および再除去できる歯科用補綴物であって、金属を使用することなく、患者の口に確実に係留できる歯科用補綴物を提供し得る。これは、塑性変形が起こる前に、少なくとも10GPaの曲げ弾性率および少なくとも0.8%の最大伸び率を有する、プラスチック材料から作製された少なくとも1個の係留部材を有する歯科用補綴物により達成される。
 本発明は、患者の口に修復物を固定するには、そのクラスプの材料の破壊強度よりも、その曲げ弾性率および最大伸び率の均衡のとれた組合せが関与しているという驚くべき発見に基づいている。この特性の組合せは、繊維充填剤を包埋した高分子マトリックス材料を含有するプラスチック材料(繊維強化プラスチック)から作製されたクラスプにより、特に好ましい様式で、実現できる。この繊維強化プラスチックは、好ましくは、高分子材料と張り合わされている。従って、この繊維強化プラスチックはまた、以下では、コア材料として記述される。このベニヤリング材料は、繊維充填剤を含有しない。
 このプラスチック材料、すなわち、コア材料、またはコア材料とベニヤリング材料との組合せは、少なくとも10GPa、好ましくは、10〜80GPa、特に好ましくは、10〜50GPaの曲げ弾性率、および少なくとも0.8%、好ましくは、0.8〜4%、特に好ましくは、2.0〜3.5%の最大伸び率を有する。このクラスプ材料の曲げ弾性率は、DIN/ISO 178と類似の方法で、測定される。最大伸び率とは、材料が塑性変形および機械的損傷(例えば、層の破壊またはその剥がれ落ち)なしで耐えることができる伸び率を意味する。これもまた、DIN/ISO 178に従って測定される。
 曲げ弾性率および最大伸び率は、好ましくは、その材料の可撓性(これは、該最大伸び率の%を該曲げ弾性率のGPaで割った商で定義される)が0.4・10−3〜15・10−3GPa−1、好ましくは、1・10−3〜5・10−3GPa−1の領域に入るように、選択される。
 曲げ弾性率および最大伸び率は、物質によって一定であり、これらは、所定材料の特徴となっている。材料の組合せの場合(例えば、コア材料とベニヤリング材料との組合せ)では、そのコア材料およびベニヤリング材料について、曲げ弾性率および最大伸び率の種々の値が得られる。このクラスプ材料の値は、そのクラスプを調製するのに使用される材料の値により、およびそれらの層厚により、決定される。例えば、上記のように規定した曲げ弾性率を有するプラスチック材料は、比較的に低い曲げ弾性率を有するコア材料の比較的に厚い層とベニヤリング材料の比較的に薄い層とを組み合わせることにより、または、他には、比較的に高い曲げ弾性率を有するコア材料の比較的に薄い層とベニヤリング材料の比較的に厚い層とを組み合わせることにより、得ることができ、ここで、ベニヤリング材料は、繊維充填剤を含有しないので、コア材料よりも曲げ弾性率が低いと推測されている。曲げ弾性率および最大伸び率は、このクラスプ材料を使用する各場合において測定され、すなわち、材料の組合せの場合、それらは、言及したDIN/ISO標準と同様にして、測定される。このコア材料だけから成っているクラスプの場合、そのクラスプの値は、このコア材料の値と同じである。
 本発明によれば、補綴物を挿入し除去したときに、張り合わせによって、このコア材料の繊維が損傷から確実に保護され、それにより、外れた繊維末端により引き起こされる歯肉の刺激が防止されるので、クラスプの作製には、少なくとも2種のプラスチック(すなわち、少なくとも1種のコア材料および少なくとも1種のベニヤリング材料)の組合せを使用することが好ましい。それに加えて、コア材料とベニヤリング材料とを組み合わせることにより、曲げ弾性率、伸び率および可撓性の目標を定めた設定が可能となる。無機充填剤なしでベニヤリング材料を使用することは、無機充填剤を使わないなら可撓性についてより好ましい値が達成できるので、好ましい。
 このコア材料を張り合わせるために、1種またはそれ以上、好ましくは、1〜3種のベニヤリング材料が使用できる。このクラスプの色は、例えば、異なる色のベニヤリング材料を使用することにより、隣接する天然歯に特によく適合できる。
 好ましい形式によれば、20GPaより高い曲げ弾性率、特に好ましくは、30〜100GPaの曲げ弾性率、および1%より高い最大伸び率、特に好ましくは、1.5〜3.0%の最大伸び率を有するコア材料が使用される。これらのベニヤリング材料は、好ましくは、2〜15GPaの曲げ弾性率、特に好ましくは、2〜5GPaの曲げ弾性率、および1%より高い最大伸び率、特に好ましくは、2〜5%の最大伸び率を有する。
 コア材料としては、繊維強化プラスチック(すなわち、有機高分子マトリックスを含有し、その中に繊維充填剤を包埋し、必要に応じて、微粒子充填剤を含有するプラスチック)が使用される。この微粒子充填剤は、有機的性質または無機的性質のものであり得る。これらのコア材料は、適切な未硬化出発物質を重合させることにより得られ、これらの出発物質は、繊維充填剤および必要に応じた微粒子充填剤に加えて、重合可能結合剤およびラジカル重合用開始剤、ならびに必要に応じて、さらなる補助剤および添加剤を含有する。これらの出発物質はまた、硬化可能コア材料として、以下で記述されている。
 本発明で使用される結合剤は、少なくとも1種の重合可能モノマー、オリゴマーおよび/またはマクロモノマーを含有する。オリゴマーは、少なくとも5個、通常、50個〜300個のモノマー成分から構成される。
 本発明による適切なモノマーは、例えば、独国特許第198 18 210号明細書の4ページで記述されている。好ましい単官能性モノマーには、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ブトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸フェノキシメチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルおよび(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、グリセロールモノ(メタ)アクリレートがある。単官能性モノマーとは、ラジカル重合可能基を有するモノマーを意味する。
 好ましい型によれば、この結合剤は、2個またはそれ以上のラジカル重合可能基を有する少なくとも1種のモノマーを含有する。このような化合物は、重合中にて、架橋剤として作用する。2個のラジカル重合可能基を有する好ましいモノマーには、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンメチレングリコールジメタクリレート、ビス−[4−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシフェニル]プロパン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(PEG(メタ)アクリレート)(これは、例えば、PEG300、PEG400またはPEG1000をベースにしている)、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、特に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA(2,2−ビス−4−(3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−フェニルプロパン)、1,1,6−トリメチルヘキサメチレンウレタンジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート(UDMA、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートと2,2,4−トリメチルヘキシル−1,6−ジイソシアネートとの反応生成物)、グリセロールジ(メタ)アクリレートおよびグリセロールトリ(メタ)アクリレートがある。
 2個より多いラジカル重合可能基を有する好ましいモノマーには、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがある。
 全ての所定モノマーの場合、対応するメタクリレート誘導体は、特に好ましい。(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルおよびグリセロールジ(メタ)アクリレート(GDMA)は、非常に好ましい。
 繊維充填剤としては、特に、セラミック繊維、有機繊維(例えば、アラミド繊維またはポリエチレン繊維)、ホウ素繊維、炭素繊維および特に、ガラス繊維が適切である。これらの繊維充填剤は、好ましくは、長繊維の形状で使用される。43〜70重量%の繊維充填剤を含有するコア材料が好ましい。これらの繊維は、好ましくは、10〜30μmの直径を有する。長繊維とは、その長さが直径の少なくとも500倍、好ましくは、1,000〜10,000倍である繊維を意味する。
 微粒子充填剤としては、特に、石英、ガラスセラミックまたはガラス粉、アルミニウムおよび酸化ケイ素粉、ケイ酸塩ガラスをベースにした粉末(例えば、ケイ酸バリウム、Li/Al−ケイ酸塩ガラスおよびバリウムガラス)ならびにそれらの混合物が適切である。これらの充填剤は、好ましくは、0.1〜50μm、特に、1〜20μmの平均粒径を有する粉末として、使用される。
 さらに、いわゆる複合材料充填剤もまた、本発明の状況で使用可能であり、上記無機充填剤の1種および結合剤の混合物を重合させることにより、引き続いて、硬化した重合物を粉砕することにより、得ることができる。
 それに加えて、このコア材料またはその未硬化出発物質は、顔料、好ましくは、酸化物ベースの無機着色顔料、X線不透明剤(好ましくは、フッ化イッテルビウム)、チクソトロピー剤(例えば、発熱ケイ酸および/または沈降ケイ酸)、促進剤(例えば、酢酸銅、アセチルアセトン酸銅、サリチル酸銅、Co−EDTA錯体のような金属の塩および錯体)、およびさらなる添加剤および補助剤を含有できる。ケイ酸は、通常、このコア材料の質量に対して、20重量%までの量、好ましくは、1〜10重量%の量で使用される。
 重合開始剤としては、このラジカル重合の全ての開始剤(例えば、レドックス系および光硬化用開始剤)が適切である。
 好ましいレドックス開始剤(酸化物質)には、塩化コバルト、過酸化物(例えば、第三級ブチルヒドロペルオキシド)、塩化第二鉄、過ホウ素酸およびその塩、過マンガン酸および過硫酸アニオンがある。過酸化水素もまた、使用できる。非常に好ましい開始剤には、過酸化ベンゾイル(benzoxyl peroxide)(BPO)および過酸化ラウロイルがある。光開始剤を同時に使用するとき、上記酸化物質との相互作用が起こり得、その結果、光開始剤およびレドックス開始剤は、互いに適合すべきである。これらのレドックス開始剤は、これらの重合可能物質を硬化するために単独で使用できるか、好ましくは、活性剤と併用できる。
 好ましい活性剤(還元物質)には、アミン、特に、ジエタノール−p−トルイジン、アスコルビン酸、バルビツール酸誘導体、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、シュウ酸、チオカルバミド、および亜ジチオン酸塩または亜硫酸アニオンがある。非常に好ましい活性剤には、ジエタノール−p−トルイジン、アスコルビン酸およびベンジルフェニルバルビツール酸(BPBA)がある。
 最も好ましいレドックス系は、BPO/BPBAがある。
 好ましい光開始剤には、ベンゾインエーテル、ジアルキルベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、α−ジケトン(例えば、9,10−フェナントレンキノン、ジアセチル、フリル、アニシル、4,4’−ジクロロベンジル、4,4’−ジアルコキシベンジル、特に、ショウノウキノン)がある。これらの光開始剤は、単独でまたは併用して使用できる。光開始剤およびレドックス開始剤の混合物もまた、適切である。
 このコア材料またはその未硬化出発物質の個々の成分(これらは、互いに無関係に選択できる)の好ましい量の範囲は、各場合において、コア材料または未硬化出発物質の全質量に対して、以下である:
 25〜52重量%、好ましくは、25〜40重量%、特に好ましくは、30〜40重量%の重合可能結合剤、
 43〜70重量%、好ましくは、50〜70重量%、特に好ましくは、55〜65重量%の繊維強化充填剤、
 3〜8重量%、好ましくは、3〜6重量%、特に好ましくは、3〜4重量%の微粒子充填剤、
 <2.5重量%、好ましくは、<1.5重量%、特に好ましくは、0.05〜1.0重量%のラジカル重合用開始剤、
 <2.5重量%、好ましくは、<2重量%、特に好ましくは、0.1〜1.2重量%の安定剤、および
 <0.3重量%、好ましくは、<0.1重量%、特に好ましくは、0.001〜0.08重量%の顔料。
 全ての成分を所定の好ましい量で含有する材料は、特に好ましい。
 非常に好ましい重合可能コア材料は、以下の組成を有する:
 ビス−GMA                 25.0〜40.0重量%
 トリエチレングリコールジメタクリレート    6.0〜10.0重量%
 ウレタンジメタクリレート           <1.0重量%
 デカンメチレングリコールジメタクリレート   <1.0重量%
 高度に分散した二酸化ケイ素          3.0〜8.0重量%
 ガラス繊維(シラン処理した)         43.0〜70.0重量%
 触媒および安定剤               <0.5重量%
 顔料                     <0.1重量%
 全ての割合は、この重合可能コア材料の全質量に関する。
 特に好ましい型によれば、この繊維充填剤は、この重合可能マトリックス材料、開始剤、必要に応じて、微粒子充填剤およびさらなる成分で含浸され、従って、歯科医師または歯科技工士により、直接処理(すなわち、成形および硬化)できる。これらの予め含浸された材料は、好ましくは、小さなロッドまたはマットの形態をとる。
 好ましくは、ベニヤリング材料として、ペースト様重合可能材料(これは、重合可能結合剤、ラジカル重合用開始剤、必要に応じて、充填剤(好ましくは、有機充填剤)を含む)が使用される。無機充填剤を含まないベニヤリング材料は、特に好ましい。これらのベニヤリング材料は、繊維充填剤を含有しない。前記材料(これらはまた、このコア材料を調製するのに使用される)は、結合剤、開始剤、必要に応じて、充填剤として、好ましい。
 有機充填剤としては、特に、有機プラスチック粒子、とりわけ、予め硬化したプラスチック粒子、すなわち、部分的に重合した粒子(これらは、依然として、ラジカル重合可能基を有する)が適切である。特に好ましい型によれば、これらの粒子は、この高分子材料を調製するのに使用される結合剤と同じモノマーをベースにしており、その結果、充填剤および結合剤は、硬化後、本質的に同じ組成を有する。このような場合、この有機充填剤は、硬化した高分子材料の顕微鏡写真で見えるものの、その材料の弾性率および剛性に対して僅かな影響しかなく、従って、非強化充填剤として作用する。従って、これらの物質は、実用的には、充填剤なしで調製される材料と同じ特性を有する。このような充填剤の使用は、主に、その材料の粘度および重合収縮を設定するのに役立つ。
 このベニヤリング材料の個々の成分(これらは、互いに無関係に選択できる)の好ましい量の範囲は、各場合において、ベニヤリング材料の全質量に対して、以下である:
 50〜80重量%、好ましくは、50〜70重量%、特に好ましくは、60〜70重量%の有機充填剤、
 20〜50重量%、好ましくは、30〜50重量%、特に好ましくは、30〜40重量%の重合可能結合剤、
 <2重量%、好ましくは、<1.5重量%、特に好ましくは、0.1〜1.0重量%のラジカル重合用開始剤、および
 0〜1重量%、好ましくは、0.05〜1.0重量%、特に好ましくは、0.1〜0.7重量%のラジカル重合用活性剤。
 全ての成分を所定の好ましい量で含有するベニヤリング材料は、特に好ましい。
 無機充填剤をベースにした非常に特に好ましいベニヤリング材料は、以下の組成を有する:
 ビス−GMA                 <10.0重量%
 ウレタンジメタクリレート           <10.0重量%
 デカンメチレングリコールジメタクリレート   <5.0重量%
 高度に分散した二酸化ケイ素           5.0〜20.0重量%
 バリウムガラス充填剤(シラン処理した)    35.0〜60.0重量%
 混合酸化物(シラン処理した)         15.0〜25.0重量%
 触媒および安定剤               <1.0重量%
 顔料                     <0.1重量%
 全ての割合は、このベニヤリング材料の全質量に関する。
 充填剤含有ベニヤリング材料は、好ましくは、2種の成分(固体成分および液体成分)の形態で調製され、この固体成分は、この有機充填剤、好ましくは、ラジカル重合用開始剤を含有し、また、この液体成分は、この重合可能結合剤、および必要に応じて、ラジカル重合用活性剤を含有する。
 有機充填剤をベースにした特に好ましい二成分ベニヤリング材料は、以下の組成を有する:
 粉末成分:
 PMMA                   >98.0重量%
 過酸化ベンゾイル(顔料)           <2.0重量%
 液体成分:
 メタクリル酸メチル              60.0〜90.0重量%
 エチレングリコールジメタクリレート       5.0〜40.0重量%
 アミン(ジエタノール−p−トルイジン)     0〜1.0重量%
 これらの割合は、各場合において、この粉末成分または液体成分の全質量に関する。
 この硬化可能マトリックス材料および硬化可能ベニヤリング材料は、重合、好ましくは、ラジカル重合により、硬化できる。
 本発明の別の目的は、歯科用補綴物を調製するためのキットにある。本発明のキットは、少なくとも1種の硬化可能コア材料、好ましくは、2〜5種の異なるコア材料(例えば、形状が異なるコア材料)と、少なくとも1種の硬化可能ベニヤリング材料、好ましくは、1〜5種の異なるベニヤリング材料(例えば、異なる色のコア材料)とを含有する。それに加えて、このキットはまた、好ましくは、人工歯を含有し、これは、この補綴物基材の上に配列できる。前記組成を有するコア材料およびベニヤリング材料を含有するキットは、特に好ましい。
 これらの硬化可能コア材料は、好ましくは、異なる寸法の小さいロッドおよびマットの形態で使用され、ここで、その繊維充填剤は、結合剤、開始剤および必要に応じて、微粒子充填剤で含浸され、その包装から除去でき、必要に応じて、切断され成形される。単一成分のコア材料、すなわち、第二成分(例えば、熱または光)を加えることなく直接硬化できる材料は、特に好ましい。
 これらのクラスプの測定および設計は、それ自体公知の様式で実行され(例えば、Reinhard Marxkors,Lehrbuch der zahnarztlichen Prothetik[Textbook of dental prosthetics],3版、Deutscher Zahnarzte Verlagを参照)、それぞれの口の状況の個々の状態に依存している。一般に、本発明の係留部材は、円形または半円形の断面形状を有し、「半円形」とは、また、半円を多少含む断面形状を意味する。これらのクラスプの断面形状はまた、楕円形表面から誘導でき、すなわち、例えば、半楕円の形態をとることができる。
 本発明の目的はまた、金属を含まない係留部材を有する歯科用補綴物を調製する方法であり、ここで、上で規定したコア材料から作製された係留部材と共に、補綴物基材が提供され、この係留部材は、次いで、必要に応じて、ベニヤリング材料と張り合わされ、そして硬化される。これらの係留部材は、この補綴物基材と同時に成形できるか、または順次に成形できる。コア材料およびベニヤリング材料は、例えば、加熱することにより、これらの係留部材の成形後に、共に硬化できる。あるいは、この硬化は、このコア材料を最初に硬化することにより、次いで、このベニヤリング材料を塗布し硬化することにより、順次行うことができる。1種より多いコア材料または1種より多いベニヤリング材料を使用するとき、個々の材料の硬化は、層ごとに行うことができる。この補綴物は、次いで、義歯を装着することにより、通例の様式で完成される。
 美観上の理由のために、このクラスプの断面は、好ましくは、歯の水平方向で、最大で1mmの寸法を有する。所望の機械的特性を保証するために、水平方向での最小寸法は、好ましくは、0.6mmである。
 このクラスプの断面の寸法は、好ましくは、垂直方向で、1〜2mmであり、ここで、そのクラスプは、その末端でテーパ状にでき、クラスプの基部(すなわち、補綴物に合う領域)で、より強力であり得る。
 ベニヤリング係留部材の場合、そのベニヤリング材料の層厚は、好ましくは、少なくとも0.1mm、特に好ましくは、0.1〜0.2mmである。
 記述した材料、すなわち、コア材料およびベニヤリング材料は、歯科用補綴物の係留部材を調製するのに、特に適切である。それに加えて、それらはまた、有利なことに、連結部材(例えば、舌下棒)を調製するのに使用できるだけでなく、その補綴物サドルを調製するのにも使用できる。
 図1は、補綴物を天然歯に係留する平面図を示す。補綴物2のクラスプ1は、水平面で、係留する歯3を取り囲む。この補綴物の確実な保持を保証するために、このクラスプは、歯にしっかりと寄り掛からなければならず、補綴物の移動を許してはいけない。
 図2は、このクラスプの(A方向から見た)側面図を示す。クラスプ1は、ここでは、歯の均分線(equator)4(すなわち、歯の最大断面積)の下で歯3を覆うように配置される。このようにして、この補綴物は、垂直に作用する張力に対して、固定される。
 この補綴物を除去するために、このクラスプは、歯3の均分線4で案内できるように、開いて曲げられなければならない(図3)。僅かな開放曲げ(open bend)でも、金属クラスプの塑性変形および疲労を引き起こし得る。対照的に、本発明のプラスチッククラスプは、高い弾性に特徴があり、それゆえ、塑性変形なしで、金属クラスプよりも相当に大きい上向きの曲げに耐えることができる。本発明のクラスプを使用して、何ら問題なしに、1.5mmを超える開放曲げが達成でき、これは、金属クラスプ(これは、通常、0.2〜0.6mmの開放曲げが可能である)と比較して、相当な改良に相当している。
 この開放曲げ、すなわち、上向き曲げは、半径4mmの半円形標準クラスプ(これらは、直径1mmの円形断面を有する金属またはプラスチックから形成される)で測定される。
 その最大開放曲げ(すなわち、クラスプが非可逆的に変形したり機械的な損傷がない可能な最大開放曲げ)が計算される。
 この開放曲げは、挿入または除去中におけるクラスプの形状変形の尺度である。そのアンダーカットに対する上向き変形の差が大きい程、その使用が安全となる。このことはまた、クラスプに対する損傷のリスクが大きく低下するので、この補綴物が挿入中に傾斜される場合、有利である。
 補綴物では、このアンダーカットは、歯の均分線(最大直径)とクラスプの支持領域との間の形状差として、記述される。
 他方、本発明のクラスプは、明らかに、公知のアセタールクラスプよりも大きい強度を有し、それゆえ、これらよりもずっと確実に補綴物が嵌ることを保証して、有利なことに、金属およびアセタールクラスプの好ましい(positive)特性は、共に実現できる。
 部分補綴物を使用する部分的に歯のない弓状部分の治療は、その基材の調製から開始する。残留義歯(充填物または歯周病処置)を作製した後、診断モデルが作られ、そこに、歯科医は、測定後の基材の設計をスケッチする。しばしば、この目的の歯は、その咬合が支持体で妨害されるのを防止するために、小さい空洞を作製することにより、咬合レスト(occlusal rest)を収容する空間を作り出す必要がある。
 さらに他の診断用歯型をとり、モデルを作製した後、その基材の設計の最終的な描画が行われ、実験室で作製される。この基材は、患者に完全に合うことを確実にするように検査される。以下に続く人工歯を配列するには、これらのモデルは、噛み合い記録によって、咬合器に取り付けられなければならず、その基材は、有利には、サドルの領域にワックスリムを備え付けた後、咬合ウエハとして使用される。この基材を、ワックスに配列した歯で試してみた後、その補綴物が完成され取り込まれる。数個の補綴物サドルは、プラスチック棒により、互いに接続される。
 この補綴物基材は、好ましくは、また、金属を使用せずに作製される。これに好ましい材料には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)があり、そこには、義歯および係留部材が挿入される。義歯もまた、好ましくは、PMMAをベースにしている。さらに他の好ましい型によれば、この補綴物基材(すなわち、サドルおよび連結部材)の作製は、上記コア材料およびベニヤリング材料を使用して実行され、これらのベニヤリング材料は、好ましくは、歯肉の色になっている。
 本発明の補綴物またはその一部は、噛むときの負荷に必要な強度を有するが、補綴物の毎日の変化に必要な可撓性も有する。繊維強化複合材料から作製された固定部材により、金属クラスプまたはアセタールクラスプの欠点なしに、部分補綴物を確実に固定することが可能となることが分かった。本発明の歯科用補綴物は、従って、所望の目的のための高い適用安全性を保証する特性の組合せを有し、当該技術分野の状況と比較して、予想外の改良を示す。
 本発明は、実施形態を参照して、以下で記述する。
  (実施例1:試験片の機械的特性の測定)
 試験した材料の機械的特性を測定するために、幅4mmのロッド形試験片を作製した。他に述べられていなければ、その全体的な厚さは、1.05mmであった。張り合わせ繊維強化プラスチックから作製した試験片は、その上面および下面に高分子材料を被覆したコア材料から成っていた。その繊維充填コア材料の層厚は、0.75mmであり、各場合のベニヤリング層の厚さは、0.15mmであった。
 その曲げ弾性率および最大伸び率は、DIN/ISO 178に従って測定した。それらの結果を、表1で示す。表に載せた開放曲げ、すなわち、上方曲げは、半円形標準クラスプ(これは、クラスプ半径4mmおよびクラスプアームの材料直径1mmを有する)で測定した。クラスプが非可逆的に変形したり機械的に変形することなく達成できる最大開放曲げを、この表で示している。
 これらの試験片を作製するのに、以下の材料を使用した:
Figure 2004081857
 粉末成分および液体成分を、2.5:1の比で、共に混合した。重合後、この粉末成分のPMMA粒子は、充填剤として、硬化した材料の顕微鏡写真で見えたが、弾性率または剛性に対する影響がなかった。この粉末成分は、非強化充填剤として作用する。
Figure 2004081857
Figure 2004081857
 本発明は、金属を含まない少なくとも1種の係留部材を有する歯科用補綴物であって、該係留部材は、プラスチック材料から作製され、該プラスチック材料は、少なくとも10GPaの曲げ弾性率および少なくとも0.8%の最大伸び率を有する、補綴物に関する。
図1は、補綴物を天然歯に係留する平面図を示す。 図2は、このクラスプの(A方向から見た)側面図を示す。 図3は、歯3の均分線4で案内できるように、開いて曲げられたクラスプを示す。
符号の説明
1  クラスプ
2  補綴物
3  歯
4  均分線

Claims (16)

  1.  金属を含まない少なくとも1種の係留部材を有する歯科用補綴物であって、該係留部材は、プラスチック材料から作製され、該プラスチック材料は、少なくとも10GPaの曲げ弾性率および少なくとも0.8%の最大伸び率を有する、補綴物。
  2.  前記プラスチック材料が、10〜80GPaの曲げ弾性率および0.8〜4%の最大伸び率を有する、請求項1に記載の歯科用補綴物。
  3.  前記曲げ弾性率および前記最大伸び率が、該最大伸び率の%を該曲げ弾性率のGPaで割った商が0.4・10−3〜15・10−3GPa−1の領域に入るような互いの比である、請求項1または2に記載の歯科用補綴物。
  4.  前記プラスチック材料が、高分子マトリックス材料(コア材料)を含有し、その中に、繊維充填剤が包埋されている、請求項1〜3の1項に記載の歯科用補綴物。
  5.  前記コア材料が、20GPaより高い曲げ弾性率および1%より高い最大伸び率を有する、請求項4に記載の歯科用補綴物。
  6.  前記コア材料が、43〜70重量%の繊維充填剤を含有する、請求項1〜5の1項に記載の歯科用補綴物。
  7.  繊維充填剤を含有する前記高分子マトリックス材料が、繊維充填剤を含有しない高分子材料(ベニヤリング材料)で張り合わされている、請求項1〜6の1項に記載の歯科用補綴物。
  8.  前記ベニヤリング材料が、2〜15GPaの曲げ弾性率および1%より高い最大伸び率を有する、請求項7に記載の歯科用補綴物。
  9.  前記ベニヤリング材料が、無機充填剤を含有しない、請求項7または8に記載の歯科用補綴物。
  10.  前記ベニヤリング材料が、有機充填剤を含有する、請求項1〜9の1項に記載の歯科用補綴物。
  11.  硬化可能コア材料および硬化可能ベニヤリング材料を含有する、請求項1〜10に記載の歯科用補綴物を調製するためのキット。
  12.  前記硬化可能コア材料が、
     25〜52重量%の重合可能結合剤、
     43〜70重量%の繊維充填剤、
     3〜8重量%の微粒子充填剤、
     <2.5重量%のラジカル重合開始剤、
     <2.5重量%の安定剤、および
     <0.3重量%の1種またはそれ以上の顔料を含有する、請求項11に記載のキット。
  13.  前記ベニヤリング材料が、
     50〜80重量%の有機充填剤、
     20〜50重量%の重合可能結合剤、
     <2重量%のラジカル重合開始剤、および
     0〜1重量%の促進剤を含有する、請求項11〜12の1項に記載のキット。
  14.  前記ベニヤリング材料が、少なくとも1種の固体成分および少なくとも1種の液体成分を含有し、該固体成分が、前記有機充填剤および前記開始剤を含有し、そして該液体成分が、前記結合剤、および必要に応じて、前記促進剤を含有する、請求項10に記載のキット。
  15.  1〜5種の異なるコア材料および/または1〜5種の異なるベニヤリング材料を含有する、請求項11〜14の1項に記載のキット。
  16.  金属を含まない係留部材を有する歯科用補綴物を調製する方法であって、ここで、コア材料から作製された係留部材と共に、補綴物基材が提供され、該係留部材が、次いで、必要に応じて、ベニヤリング材料と張り合わされ、該コア材料および該ベニヤリング材料が、同時または順次に硬化される、方法。
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