JP6216729B2 - 有機酸の製造方法 - Google Patents
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Description
二酸化炭素を直接原料に用いた、より炭素数の大きな化学製品の合成例として、コハク酸や酢酸などの有機酸への合成がある。例えば、酵素反応を利用した、二酸化炭素を主原料とするコハク酸合成の例(特許文献1)が知られている。また、酢酸の合成については、二酸化炭素とメタンとを原料とした触媒反応が知られている。例えば非特許文献1では、ΔG0=71kJ/molの吸熱反応である、メタンと二酸化炭素からの酢酸合成反応(式1)を、メタンと二酸化炭素とを段階的に触媒層に供給する操作によって、平衡反応の制約を超えた酢酸の合成反応が報告されている。
CH4 + CO2 → CH3COOH (式1)
また、前記触媒反応では、原料であるメタンなどの炭化水素が触媒へ吸着することにより、触媒上に炭化水素由来の炭素化合物を生じる。その結果、触媒活性の低下や反応器の圧力損失の増大を招く可能性がある。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、反応器の圧力損失が小さい、触媒反応における有機酸の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
[1]
二酸化炭素および水素を原料として、炭素数が2以上、10以下の有機酸を合成する、有機酸の製造方法であって、
流通系反応器に触媒が存在する反応系内に、モル分率が0.2以上、0.99以下の二酸化炭素、及び、モル分率が0.01以上、0.8以下の水素を含む気体xを導入する工程Xと、
前記反応系内に、モル分率が0.68以下であり、かつ、気体xの二酸化炭素のモル分率よりも0.1以上低い二酸化炭素と、モル分率が0.32以上の不活性ガスを含む気体yを導入する工程Yと、を備え、
前記気体xおよび前記気体yに含まれる炭化水素のモル分率が、0以上、0.06以下であり、
工程Xと工程Yを交互に切り替える工程を含むことを特徴とする、有機酸の製造方法。
[2]
前記気体xおよび前記気体yに含まれる炭化水素のモル分率が、0以上、0.02以下である、[1]に記載の有機酸の製造方法。
[3]
前記工程Xおよび前記工程Yにおいて、前記反応系内の圧力が大気圧以上、1.0MPa未満であり、かつ、反応温度が320℃以上、1000℃以下である、[1]または[2]に記載の有機酸の製造方法。
[4]
前記工程Xおよび前記工程Yにおいて、前記反応系内の圧力が1.0MPa以上、7.4MPa以下であり、かつ、反応温度が40℃以上、430℃以下である、[1]または[2]に記載の有機酸の製造方法。
[5]
前記触媒が不均一系触媒である、[1]〜[4]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
[6]
前記触媒が、Co、Ni、Ru、Ag、Ptの元素から構成される群のうち、少なくとも一つ含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
[7]
前記気体yに含まれる不活性ガスのモル分率が0.82以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
[8]
前記気体xにおいて、前記水素と前記二酸化炭素とのモル比(H2/CO2)が、0.4以上、2.5以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
[9]
前記工程Xおよび/または前記工程Yにおいて、前記反応系内への気体導入時間が3秒以上、10分以下である、[1]〜[8]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
[10]
前記工程Xの後に工程Yを備え、かつ、各工程をそれぞれ2回以上備える、[1]〜[9]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
[11]
前記有機酸が、プロピオン酸、コハク酸から選ばれる一つ以上の有機酸である、[1]〜[10]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
本実施形態の有機酸の製造方法は、
二酸化炭素および水素を原料として、炭素数が2以上、10以下の有機酸を合成する、有機酸の製造方法であって、
流通系反応器に触媒が存在する反応系内に、モル分率が0.2以上、0.99以下の二酸化炭素、及び、モル分率が0.01以上、0.8以下の水素を含む気体xを導入する工程Xと、
前記反応系内に、モル分率が0.68以下であり、かつ、気体xの二酸化炭素のモル分率よりも0.1以上低い二酸化炭素と、モル分率が0.32以上の不活性ガスを含む気体yを導入する工程Yと、を備え、
前記気体xおよび前記気体yに含まれる炭化水素のモル分率が、0以上、0.06以下であり、
工程Xと工程Yを交互に切り替える工程を含む。
本実施形態を満たすことで、二酸化炭素および水素を原料として、触媒反応により炭素数が2以上、10以下の有機酸を合成する、有機酸の製造方法において、反応器の圧力損失が小さい、製造方法が提供される。
2CO2 + 4H2 → CH3COOH + 2H2O (式2)
この反応は、ΔG0=−42kJ/molの発熱反応である。従来のメタンと二酸化炭素からの酢酸生成反応(式1)は吸熱反応であるため、本実施形態は反応の進行のために熱エネルギーを必要としない観点から有利である。
二酸化炭素の触媒への吸着などの反応、水素の触媒への吸着などの反応、二酸化炭素と水素との反応、などの反応によって生じる発熱により、反応器の温度や、特に触媒表面の温度が上昇するが、二酸化炭素と水素からの有機酸生成反応は発熱反応であるため、この温度上昇は平衡的観点から望ましくない。工程Xよりも二酸化炭素のモル分率が小さい気体を導入する工程Yを行うことで、発熱反応の反応速度を減少することができる。その結果、工程Yでは工程Xに対し、相対的に発熱量を少なくすることができ、前記反応熱の除熱を行うことができる。特に触媒表面の温度上昇を抑制できたために、有機酸の生成に有利であったと推測する。
また、本実施形態で生成する有機酸は、他の生成物に比べ、比較的吸着力が大きいため、触媒上に吸着種として残留し易い。工程Xによって生成し、触媒上に吸着した有機酸を、工程Yにより二酸化炭素のモル分率を減少させ、他の気体を導入することで、前記有機酸吸着種の触媒からの脱着を促進することにより、有機酸生成に有利になった効果も推測される。
さらに、二酸化炭素と水素との反応による一酸化炭素生成反応において、COOH基が中間体であることが考えられる。工程Xから工程Yに切り替えた際に、二酸化炭素のモル分率が減少することで、前記反応の逆反応が工程Xに比べ促進され、COからCOOH基を生成する反応速度が、COOH基からCO2を生成する反応速度よりも速かったために、COOH基の濃度が高まり、有機酸の生成に有利になったことが推測される。
上記の様に、工程Xおよび工程Yを備えることにより有機酸生成に有利になった原理が幾つか推測されるが、いずれの原理においても、気体xと気体yのわずかな二酸化炭素のモル分率の差により、有機酸生成が有利になる効果は顕著になることが推測される。特に、触媒表面の上昇した温度の除熱の効果であった際には、触媒表面の熱容量は小さいために、わずかな二酸化炭素のモル分率の低下による反応速度の低下であっても効果は大きいと考えられる。
工程Xと工程Yとを交互に繰り返し行うことが好ましく、各工程を2回以上繰り返すことが好ましい。工程Xと工程Yとの切り換えによる効果を大きくする観点から、工程X及び工程Yの繰り返し回数は3回以上が好ましく、5回以上がより好ましく、10回以上がさらに好ましく、20回以上が最も好ましい。
本実施形態では、より多くの二酸化炭素および水素を触媒によって活性化させるために、工程Xの後に工程Yの順で行うことが好ましい。
触媒とは、均一系触媒、不均一系触媒、均一系触媒を担体または不均一系触媒に固定したものなどを示すが、好ましくは不均一系触媒である。不均一系触媒とは、具体的には、金属触媒、金属酸化物などの金属化合物触媒、ゼオライト、金属または金属化合物を担体に担持またはイオン交換した触媒、金属錯体、活性炭などであり、担体に金属化合物を担持した触媒が好ましい。上記金属化合物を担体に担持した触媒には、担体として、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化マグネシウムなどの単一金属酸化物または単一金属酸化物に異種金属種をドープしたもの、スピネル型、ペロブスカイト型などの二種以上の金属元素からなる複合金属酸化物、ゼオライト、活性炭などを使用できる。
上記ゼオライトは、構造について好ましくはZSM−5と同じ骨格を有するものであり、Si/Al比について、通常、10以上、2000以下である。ブレンステッド酸点の強度が強い方が好ましい観点から、より好ましくは20以上、ブレンステッド酸点が多い方が好ましい観点から、より好ましくは1000以下である。上記触媒には、助剤としてリン含有化合物、ホウ素含有化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などを添加できる。
触媒の調製方法は、含浸法、固相反応によるもの、フラックス法、水熱合成法、触媒の原料を含有する溶液のpHを変化させること、あるいは、化合物を形成するイオンを添加することなどによって、触媒またはその前駆体を析出させる共沈法や均一沈殿法、化学気相成長法、物理気相成長法などである。
触媒量とは、反応系に充填した触媒金属種と触媒担体との重量の和であり、反応系に触媒を固定する場合には、固定した反応系の重量を含めない。
流動床や移動床や疑似移動床を用いる際は、原料ガスの導入時間は、触媒の各ガス組成の滞留時間に相当する。
工程Xは、触媒が存在する反応系内に、モル分率が0.2以上、0.99以下の二酸化炭素、モル分率が0.01以上、0.8以下の水素、及び、モル分率が0以上、0.06以下である炭化水素を含む気体xを導入する工程である。
気体x中の二酸化炭素のモル分率は、0.2以上、0.99以下である。二酸化炭素の反応量を高める観点から、0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。二酸化炭素の精製コストおよび水素のモル分率を高める観点から、0.95以下が好ましく、0.90以下が好ましく、0.8以下が好ましく、0.7以下が最も好ましい。
気体x中の水素のモル分率は、0.01以上、0.8以下である。水素の反応量を高める観点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。水素の精製コストおよび二酸化炭素のモル分率を高める観点から、0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。
気体x中の、二酸化炭素と水素の和のモル分率は、0.21以上、1以下である。二酸化炭素と水素の和のモル分率が高いほど、二酸化炭素および/または水素と触媒との反応確率が高い観点から、0.4以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。また、二酸化炭素と水素との反応熱の影響による、反応器温度の変化を抑制する観点から、0.95以下が好ましく、0.90以下が好ましく0.8以下がさらに好ましい。 気体x中の炭化水素のモル分率は、0以上、0.06以下である。炭化水素のモル分率は、触媒への炭化水素の吸着量を少なくし、触媒への炭素化合物の析出を少なくする観点から、0.02以下が好ましく、0.01以下がより好ましく、0.005以下がさらに好ましい。
反応系内の圧力が大気圧以上、1.0MPa未満である場合、1.0MPa以上の加圧条件と比較して分子同士の衝突頻度が低くなる。この場合、反応速度向上のために高温が有利である観点から、反応系内の温度は、320℃以上、1000℃以下が好ましい。反応速度の観点から、350℃以上がより好ましく、390℃以上がさらに好ましい。高温では反応器の耐熱性を必要とする観点から、840℃以下が好ましく、690℃以下がより好ましい。
反応系内の圧力が1.0MPa以上、7.4MPa以下である場合には、反応系内の温度は40℃以上、430℃以下であることが好ましい。これは、加圧条件では分子同士の衝突頻度が高くなるために、平衡的に有利な反応条件が、有機酸生成の収率により重要になると考えられる。ここで、二酸化炭素と水素との有機酸合成反応は発熱反応であり、平衡的に低温が有利であると推測される。よって、反応系内の温度は、反応の平衡の観点から400℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、250℃以下がさらに好ましい。また、1.0MPa以上であっても、触媒への吸着などに活性化エネルギーを生じる観点から、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、140℃以上がさらに好ましい。また、二酸化炭素と水素からの、炭素数が2以上の有機酸合成反応(例えば、式2)は、原料に対し生成物の分子数が少なくなる反応であるため、ルシャトリエの法則から加圧条件がより好ましい。このような観点から、反応系内の圧力は、1.5MPa以上が好ましく、2.1MPa以上がより好ましく、3.1MPa以上がさらに好ましい。
工程Yは、二酸化炭素のモル分率が0.89以下であり、かつ、気体xにおける二酸化炭素のモル分率よりも0.1以上低く、炭化水素のモル分率が0以上、0.06以下である気体yを導入する工程である。
気体y中の二酸化炭素のモル分率は、0.89以下である。気体yの精製コストの観点から、0.00001以上が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.01以上がさらに好ましい。工程Xから工程Yへの切り換えの効果を高める観点から、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましい。
気体y中の水素のモル分率は、気体yの精製コストの観点から、0.00001以上が好ましく、0.0001以上がより好ましく、0.001以上がさらに好ましい。工程Xから工程Yへの切り換えの効果を高める観点から、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましい。
気体y中の、二酸化炭素と水素の和のモル分率は、0以上、0.9以下である。気体yの精製のコストの観点から、0.00001以上が好ましく、0.0001以上がより好ましく、0.001がさらに好ましい。工程Xから工程Yへ、および/または工程Yから工程Xへの切替操作の効果を大きくする観点から、二酸化炭素と水素の和のモル分率は、ら、0.8以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.4以下がさらに好ましい。
気体y中の炭化水素のモル分率は、0以上、0.06以下である。炭化水素のモル分率は、触媒への炭化水素の吸着量を少なくし、触媒への炭素化合物の析出を少なくする観点から、0.02以下が好ましく、0.01以下がより好ましく、0.005以下がさらに好ましい。
反応系内の圧力が、大気圧以上、1.0MPa未満である場合、1.0MPa以上の加圧条件と比較し、分子同士の衝突頻度が低くなる。この場合、反応速度向上のために高温が有利である観点から、反応系内の温度は320℃以上、1000℃以下が好ましい。反応速度の観点から、350℃以上がより好ましく、390℃以上がさらに好ましい。高温では反応器の耐熱性を必要とする観点から、840℃以下が好ましく、690℃以下がより好ましい。
反応系内の圧力が、1.0MPa以上、7.4MPa以下である場合には、反応系内の温度は、40℃以上、430℃以下であることが好ましい。これは、加圧条件では分子同士の衝突頻度が高くなるために、平衡的に有利な反応条件が、有機酸生成の収率により重要になると考えられる。ここで、二酸化炭素と水素との有機酸合成反応は発熱反応であり、平衡的に低温が有利であると推測される。よって、反応の平衡の観点から、反応系内の温度は、400℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、250℃以下がさらに好ましい。また、1.0MPa以上であっても、触媒への吸着などに活性化エネルギーを生じる観点から、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、140℃以上がさらに好ましい。また、二酸化炭素と水素からの、炭素数が2以上の有機酸の合成反応(例えば、式2)は、原料に対し生成物の分子数が少なくなる反応であるため、ルシャトリエの法則から加圧条件がより好ましい観点から、反応系内の圧力は、1.5MPa以上が好ましく、2.1MPa以上がより好ましく、3.1MPa以上がさらに好ましい。
工程X、工程Y、およびそれ以外の工程間において、前記温度および/または圧力が異なるとは、流動床、移動床または、疑似移動床など、触媒が反応系内を移動する反応形態において、反応系内に定常的に気体x、気体yなどの各気体の成分組成となり、かつ、温度、および/または圧力が異なる領域が存在することを意味する。この領域では、触媒が所定の時間その領域に滞留することによって、前記各工程を実施することができる。
以下に示すような条件で反応を行い、有機酸の生成量について評価した。
なお、各成分のモル分率、有機酸の生成活性は、つぎのようにして測定した。(液体クロマトグラフィー)
[装置]
システムコントローラー:CBM−20A(島津製作所製)
送液ポンプ:LC−20AD(島津製作所製)
電気伝導度検出器:CDD−10Avp(島津製作所製)
[カラム]
Shim−pack SCR−102H(島津製作所製)
[移動相]
5mmol/L p−トルエンスルホン酸
[反応液]
5mmol/L p−トルエンスルホン酸
+ 100μmol/L EDTA
+ 20mmol/L Bis−Tris
[測定条件]
カラム温度40℃、送液速度0.8mL/min
[装置]
HP−6890/5973N(Agilent社製)
[カラム]
TC−FFAP(30m×0.25mm、膜厚:0.25μm)
[測定条件]
イオン化条件:70eV
カラム温度:回収液を直接注入し、注入後5分間50℃を維持後、10℃/minにて昇温、その後200℃に5分間保った。
本明細書に記載の水素、二酸化炭素、炭化水素、およびその他成分のモル分率は、以下の式で示すものである。
[気体のモル分率総量]=[水素のモル分率]+[二酸化炭素のモル分率]+[炭化水素のモル分率]+[他成分のモル分率]
また、これらをガスクロマトグラフィーで評価する際には、水素/二酸化炭素比は、アルゴンをキャリアガスとし熱伝導度検出器を用い、炭化水素については、ヘリウムをキャリアガスとし、熱伝導度検出器または水素炎イオン化検出器のガスクロマトグラフィーを用いる。カラムは、水素/二酸化炭素比については、活性炭またはPoraPLOT Q(ジーエルサイエンス社製)を用いる。また、炭化水素についてはジメチルシロキサンのみを充填した無極性型のもの、またはジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンの混合組成などの極性型のものなど、対象となる炭化水素を適宜分離できるものを用いる。
圧力損失は、下記式より求めた。
(圧力損失)=P’ ―P
ここで、Pは反応器へ気体を導入する際の入り口の圧力、P’は反応器出口の圧力である。各P、P’は、2時間の反応後に測定を行った。
圧力損失は、その値が低いほど反応器閉塞のおそれがなく、気体導入に高い圧力を必要としない。圧力損失は好ましくは0.01MPa以下である。
本実施例、および比較例において、各有機酸の生成活性は以下の式より算出した。
[生成活性(mg mol−1 h−1)] = [平均生成速度(mg h−1)/[触媒活性種量(mol)]
触媒活性種量は、以下の様に求めた。
金属種担持触媒の場合、担持された金属種のみが活性種であるとし、かつ、担持金属種が金属状態であるとして、その重量を、対応する金属の分子量で除算することで求めた。ゼオライトの場合、総質量を構成するSiO2とAl2O3の平均分子量で除算することで算出した。
この活性とは、生成物の単位触媒活性種量当たりの生成速度であるため、値が高いほど生成量が多いことを示す。
塩化パラジウムを、これに対し5モル当量の塩酸を含む水溶液に溶解させた、15g/L の濃度の溶液を用いて、酸化チタン(ルチル型)粉末にPd種を含浸担持し、その後、500℃で大気中焼成した。こうして得られた粉末に、硝酸コバルトを50g/Lの濃度で溶解させた水溶液を用いてCo種を含浸担持し、その後、500℃、大気中にて焼成することにより調製した粉末を触媒とした。担持量は、それぞれ金属の状態での換算量で、Pd:3 wt%、Co:6wt%であった。この粉末触媒に20MPaの圧力をかけることでペレットとした。このペレットを粉砕後、0.25〜0.50mmに分級した、粒状触媒を用いて反応を行った。
二本のSUS管(外径:1/4インチ、肉厚:0.5mm、長さ:15cm)の中央部に、各1gの触媒を石英ウールにはさみ込むことで充填し、流通系の反応器を用いて有機酸の製造を行った。
反応開始前に、H2気流下で600℃、2時間加熱する前処理を触媒に施した。反応管にCO2+H2ガス(気体x)を1分間導入し(工程X)、続けてArガス(気体y)を1分間導入(工程Y)する操作を2時間繰り返した。ガス流量は、Ar:70 mL/min、CO2:70 mL/min、H2:70mL/min、温度は600℃にて反応を実施した。
2時間反応後の反応器圧力損失値、および有機酸生成活性の評価結果を表2に示す。配管洗浄液は、有機酸が検出されなくなるまで回収した。
上記実施例1におけるArガスを、1%のCH4を含むArの混合ガス(気体y)とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。
上記実施例1におけるArガスを、N2ガス(気体y)とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。
上記実施例1におけるArガスを、CH4ガス(気体y)とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。
また、実施例1と実施例3とを比較することで、気体y成分が、Arだけでなく、N2などの不活性ガスも適用可能であることが示された。
上記実施例1における反応温度を350℃とし、触媒に対する反応前のH2気流下での前処理温度を400℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。
上記実施例1における反応温度を400℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。
上記実施例1における反応温度を800℃とし、触媒に対する反応前のH2気流下での前処理温度を800℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。
上記実施例5におけるAr(気体y)とCO2+H2(気体x)との気体導入の切り替え時間を30秒とした以外は、実施例5と同様に反応を行った。
上記実施例5におけるAr(気体y)とCO2+H2(気体x)との気体導入の切り替え時間を4分とした以外は、実施例5と同様に反応を行った。
上記実施例5におけるAr(気体y)とCO2+H2(気体x)との気体導入の切り替え時間を10分とした以外は、実施例5と同様に反応を行った。
実施例5におけるH2流量を7mL/minとした以外は、実施例5と同様に反応を行った。
実施例5におけるH2流量を100mL/minとした以外は、実施例5と同様に反応を行った。
上記実施例8の触媒について、硝酸マンガンを溶解させた水溶液を用いて、酸化チタン(ルチル型)粉末にMn種を含浸担持後、500℃で大気中焼成したもの(担持量:Mn金属換算1 wt%)を用い、充填した触媒量を2.5gとした以外は、実施例8と同様に反応を行った。
上記実施例8の触媒について、硝酸コバルトを溶解させた水溶液を用いて酸化チタン(ルチル型)粉末にCo種を含浸担持後、500℃で大気中焼成したもの(担持量:Co金属換算2wt%)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。
上記実施例8の触媒について、硝酸ニッケルを溶解させた水溶液を用いて、酸化チタン(ルチル型)粉末にNi種を含浸担持後、500℃で大気中焼成したもの(担持量:Ni金属換算2wt%)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。
上記実施例8の触媒について、硝酸銅を溶解させた水溶液を用いて、酸化チタン(ルチル型)粉末にCu種を含浸担持後、500℃で大気中焼成したもの(担持量:Cu金属換算2 wt%)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。
上記実施例8の触媒について、モリブデン酸アンモニウムを溶解させた水溶液を用いて、酸化チタン(ルチル型)粉末にMo種を含浸担持後、500℃で大気中焼成したもの(担持量:金属Mo換算2 wt%)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。
上記実施例8の触媒について、塩化ルテニウムを溶解させた水溶液を用いて酸化チタン(ルチル型)粉末にRu種を含浸担持後500℃で大気中焼成したもの(担持量:金属Ru換算3 wt%)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。
上記実施例8の触媒について、硝酸銀を溶解させた水溶液を用いて酸化チタン(ルチル型)粉末にAg種を含浸担持後、500℃で大気中焼成したもの(担持量:金属Ag換算3 wt%)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。
上記実施例8の触媒について、塩化白金酸を溶解させた水溶液を用いて、酸化チタン(ルチル型)粉末にPt種を含浸担持後、500℃で大気中焼成したもの(担持量:金属Pt換算5 wt%)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。
上記実施例8の触媒について、東ソー社製ゼオライト(H−ZSM−5、Si/Alモル比 = 24)を用いて、反応管に1.5gずつ充填した以外は、実施例8と同様に反応を行った。得られた回収液の評価結果から見積もった生成物に対する触媒活性は、ギ酸:0.003mg mol−1 h−1、酢酸:0.01 mg mol−1 h−1、コハク酸:0.005mg mol−1 h−1であった。
実施例14の工程Xおよび工程Yにおける反応圧力を0.1MPaの加圧条件にした以外は、実施例14と同様に反応を行った。
実施例14の工程Xおよび工程Yにおける反応圧力を0.4MPaの加圧条件にした以外は、実施例14と同様に反応を行った。
実施例14の工程Xおよび工程Yにおける反応圧力を0.8MPaの加圧条件にした以外は、実施例14と同様に反応を行った。
実施例11の工程Xおよび工程Yにおける反応圧力を4.0MPaの加圧条件にし、工程Xで導入する気体流量をCO2:200mL/minとH2:300mL/minの混合ガス(気体x)とし、工程Yにて導入するガスをN2:200mL/min(気体y)とした以外は、実施例11と同様に反応を行った。
実施例24の工程Xおよび工程Yにおける、反応温度を200℃とし、工程XでのH2流量を100mL/minにした以外は、実施例24と同様に反応を行った。
上記実施例8における二酸化炭素ガスを、13Cの安定同位体ガス(13CO2)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。反応器下流の回収液をGC−MSにより評価した結果、検出された酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸は構成炭素が13C由来であった。
Claims (11)
- 二酸化炭素および水素を原料として、炭素数が2以上、10以下の有機酸を合成する、有機酸の製造方法であって、
流通系反応器に触媒が存在する反応系内に、モル分率が0.2以上、0.99以下の二酸化炭素、及び、モル分率が0.01以上、0.8以下の水素を含む気体xを導入する工程Xと、
前記反応系内に、モル分率が0.68以下であり、かつ、気体xの二酸化炭素のモル分率よりも0.1以上低い二酸化炭素と、モル分率が0.32以上の不活性ガスを含む気体yを導入する工程Yと、を備え、
前記気体xおよび前記気体yに含まれる炭化水素のモル分率が、0以上、0.06以下であり、
工程Xと工程Yを交互に切り替える工程を含むことを特徴とする、有機酸の製造方法。 - 前記気体xおよび前記気体yに含まれる炭化水素のモル分率が、0以上、0.02以下である、請求項1に記載の有機酸の製造方法。
- 前記工程Xおよび前記工程Yにおいて、前記反応系内の圧力が大気圧以上、1.0MPa未満であり、かつ、反応温度が320℃以上、1000℃以下である、請求項1または2に記載の有機酸の製造方法。
- 前記工程Xおよび前記工程Yにおいて、前記反応系内の圧力が1.0MPa以上、7.4MPa以下であり、かつ、反応温度が40℃以上、430℃以下である、請求項1または2に記載の有機酸の製造方法。
- 前記触媒が不均一系触媒である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
- 前記触媒が、Co、Ni、Ru、Ag、Ptの元素から構成される群のうち、少なくとも一つ含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
- 前記気体yに含まれる不活性ガスのモル分率が0.82以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
- 前記気体xにおいて、前記水素と前記二酸化炭素とのモル比(H2/CO2)が、0.4以上、2.5以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
- 前記工程Xおよび/または前記工程Yにおいて、前記反応系内への気体導入時間が3秒以上、10分以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
- 前記工程Xの後に工程Yを備え、かつ、各工程をそれぞれ2回以上備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
- 前記有機酸が、プロピオン酸、コハク酸から選ばれる一つ以上の有機酸である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
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