JP6247250B2 - カルボン酸生成触媒及びカルボン酸の製造方法 - Google Patents

カルボン酸生成触媒及びカルボン酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カルボン酸生成触媒及びカルボン酸の製造方法に関する。
現在、化学製品の原料として主に用いられている石油は、価格の高騰や枯渇が懸念されている。そのため、石油に代わる炭素化合物を原料とする化学製品の製造方法が鋭意研究されている。石油代替の化学品の原料として、安価で比較的容易に入手することができる二酸化炭素が注目されている。二酸化炭素を原料として現在の化学製品の需要を満たすためには、炭素数が2以上の含炭素化合物を合成する方法の開発が重要である。
二酸化炭素を直接原料として用い、炭素数が2以上の炭素化合物を合成する方法として、二酸化炭素とメタンとを原料として、触媒を用いる、酢酸の合成方法が知られている(例えば非特許文献1)。この文献では、メタンと二酸化炭素との混合ガスを、ゼオライトに亜鉛を1ミリモルパーセント担持した触媒と反応させることによって、酢酸を合成する検討が行われている。
J.Am.Chem.Soc. (2013), 135, 13567
非特許文献1では、固体NMRによって、触媒表面に酢酸の吸着種の生成が観測されている。しかしながら、この文献では、気相および液相での酢酸の生成が確認されておらず、より高い収率でカルボン酸を得るための触媒、およびこの触媒を用いた有機酸の製造方法の開発が望まれているのが現状である。
前記した従来技術の状況下、本発明が解決しようとする課題は、炭化水素と二酸化炭素を原料としたカルボン酸の合成反応において、カルボン酸の収率を向上させるために効果的な触媒、およびこの触媒を用いたカルボン酸の製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、特定の金属種を適切な量で含むゼオライトが、カルボン酸収率を向上させることを見出し、これに基づき、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は下記の通りのものである。
[1]
炭素数が1または2の炭化水素と二酸化炭素とを原料とする、炭素数が3または4のカルボン酸の生成に用いられるカルボン酸生成触媒であって、
ゼオライトを含んで構成され、
前記ゼオライトに対する、第4周期かつ10〜12族の元素の含有量が、0.1μmol/g以上、90μmol/g以下である、カルボン酸生成触媒。
[2]
前記元素の含有量が1μmol/g以上35μmol/g以下である、[1]に記載のカルボン酸生成触媒。
[3]
前記ゼオライトがMFI型のゼオライトである、[1]または[2]に記載のカルボン酸生成触媒。
[4]
[1]〜[]のいずれかに記載のカルボン酸生成触媒の存在下で、炭素数が1または2の炭化水素と二酸化炭素とを含む原料を反応させる工程を含む、炭素数が3または4のカルボン酸の製造方法。
[5]
前記炭化水素がメタンである、[]に記載のカルボン酸の製造方法。
[6]
反応温度が50℃以上、1000℃以下である、[または[5]に記載のカルボン酸の製造方法。
[7]
反応圧力が、大気圧以上、7.4MPa以下である、[〜[6]のいずれかに記載のカルボン酸の製造方法。
[8]
前記原料が水蒸気を含み、
原料中の水蒸気のモル分率が0.01以上、0.8以下である、[〜[7]のいずれかに記載のカルボン酸の製造方法。
[9]
前記カルボン酸生成触媒が存在する反応系内に、前記炭化水素を少なくとも含む気体xを導入する工程Xと、
前記反応系内に、前記二酸化炭素を少なくとも含む気体yを導入する工程Yと、を備え、
前記気体yにおける前記二酸化炭素のモル分率が、前記気体xにおける二酸化炭素のモル分率よりも高い、[〜[8]のいずれかに記載のカルボン酸の製造方法。
[10]
前記気体yに含まれる、水蒸気と二酸化炭素とのモル分率比が0.005以上、2.5以下である、[]に記載のカルボン酸の製造方法。
本発明によれば、特定の金属種を特定量で含むゼオライト触媒を用いることで、炭化水素と二酸化炭素を原料としたカルボン酸の合成反応において、収率を効果的に向上できるカルボン酸生成触媒、およびこの触媒を用いた、高収率なカルボン酸の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に述べる。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態のカルボン酸生成触媒は、炭素数2以上のカルボン酸の生成に用いられる触媒であって、ゼオライトを含んで構成され、前記ゼオライトに対する、第4または第5周期かつ4〜14族の元素の含有量が、0.1μmol/g以上、90μmol/g以下であることを特徴とする。
本発明者らは、カルボン酸の製造において、特定の金属種を適切な量で含むゼオライト触媒を用いることで、カルボン酸の製造を高収率化できることを見出した。
ゼオライト触媒が亜鉛などの金属種をより多く含むほど、触媒上の活性点数は増加し、収率向上に有利となることが予想される。しかし、本発明者らは、特定の金属種を特定量で含むゼオライト触媒を用いることで、カルボン酸の収率が向上することを見出した。
発明者らは、この収率向上の機構が特定の理論に拘束されることを欲しないが、下記に記す理論を推測する。
ゼオライトに含まれる特定の金属種は、炭化水素や二酸化炭素の活性化に有効であり、特に、それぞれの分子中を構成する炭素の、触媒への吸着に対する活性点であることが推測される。一方、炭化水素と二酸化炭素との間に炭素‐炭素結合を形成するためには、炭化水素から水素の引き抜きが必要であるが、この水素の引き抜きには、ブレンステッド酸点が活性種として寄与する可能性が考えられる。加えて、二酸化炭素を原料としてカルボキシル基を形成するために、二酸化炭素を構成する酸素において水素との結合を形成することが必要であり、この二酸化炭素における酸素への水素の付加に、ブレンステッド酸点が活性点として寄与したことも考えられる。以上から、炭化水素の炭素と、二酸化炭素の炭素との結合形成を伴うカルボン酸形成には、ゼオライト中の特定の金属種とブレンステッド酸点が共に寄与することが考えられる。ゼオライトに対し、ケイ素、アルミニウム以外の、含まれる金属種量を増加させると、少なくとも一部はブレンステッド酸点とイオン交換を生じ、ブレンステッド酸点数が減少することが推測される。そのため、本発明で規定する特定の金属元素の種類および含有量とすることで、偶然にも金属種活性点とブレンステッド活性点との量がカルボン酸生成に適した量となったために、高いカルボン酸収率を示したことが考えられる。
<カルボン酸生成触媒>
本発明のカルボン酸生成触媒は、ゼオライトを含んで構成され、ゼオライトに対する、第4または第5周期かつ4〜14族の元素の含有量が、0.1μmol/g以上、90μmol/g以下である。
この触媒に含まれる、第4または第5周期かつ4〜14族の元素は、ゼオライト上に物理的、および/または化学的に結合している状態である。ゼオライトとの相互作用が大きくなる観点から、化学的に結合していることが好ましい。触媒に含まれる第4または第5周期かつ4〜14族の元素は、カルボン酸の生成において炭化水素の活性化、および二酸化炭素の活性化に有効な塩基点の形成に有利である観点から、正に帯電していることが好ましい。この第4または第5周期かつ4〜14族の元素は、これら元素の分散に有利である観点や、正に帯電するために有利である観点から、ゼオライトのブレンステッド酸点のサイトにイオン交換されて含まれていることが好ましい。
前記ゼオライトに含まれる元素は、新IUPACの第4または第5周期かつ4〜14族の元素を含む。プロトンにイオン半径が近いほど、イオン交換に有利である観点から、第4周期の元素であることが好ましい。d電子数が多いことで、d電子の反応への寄与に有利である観点から、第6〜14族が好ましく、第8〜14族がより好ましく、第10〜14族がさらに好ましい。また、イオン結合性が大きいほど、活性点の形成に有利である観点から、第4〜13族が好ましく、第4〜12族がさらに好ましい。具体的には、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Snが好ましく、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga,Geがより好ましく、Ni、Zn、Gaがさらに好ましい。
本実施形態のゼオライト触媒に含有される、第4または第5周期かつ4〜14族の元素の含有量は、ゼオライトに対して、0.1μmol/g以上、90μmol/g以下である。ブレンステッド酸点を多くする観点から、60μmol/g以下が好ましく、35μmol/g以下がより好ましく、25μmol/gがさらに好ましい。また、第4または第5周期かつ4〜14族の元素が多いほど、炭化水素および/または二酸化炭素の構成炭素の触媒への吸着に有利である観点から、0.5μmol/g以上が好ましく、1μmol/g以上がより好ましく、2μmol/g以上がさらに好ましい。
前記ゼオライトは細孔構造を有することが好ましく、国際ゼオライト学会の構造コードにおいて、MFI型の構造が好ましく、ZSM−5の構造がより好ましい。Si/Al比は、通常、5以上、2000以下である。ブレンステッド酸点が多く活性点数増加に有利である観点から、1600以下が好ましく、1000以下がより好ましく、200以下がさらに好ましい。また、ブレンステッド酸点の酸強度が強い方が、イオン交換した金属種の帯電に有利である観点から、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。
本発明における触媒は、他の触媒と混合して利用することができる。その際、本発明にて規定する触媒に含まれる、第4または第5周期かつ4〜14族の元素の含有量とは、混合する他の触媒に含まれる、第4または第5周期かつ4〜14族の元素の量を含まない。
触媒には、助剤としてリン含有化合物、ホウ素含有化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などを添加できる。触媒を構成する元素として、一種類または複数の元素で構成することができ、反応時の触媒活性の観点から、通常は遷移金属、13族、および14族が好ましく、6族から14族の元素がより好ましく、8族から10族の元素がさらに好ましい。
ゼオライトに第4または第5周期かつ4〜14族の元素を導入する調製方法としては、湿式法、固相法、化学気相法、物理気相法、などが挙げられる。簡易でゼオライトの内部まで金属種を導入し易い観点から、湿式法が好ましい。湿式法とは、例えば、第4または第5周期かつ4〜14族の元素を含む溶液とゼオライトとを反応させる方法であり、含浸法、イオン交換法、水熱合成法などが挙げられる。高分散に元素を導入できることや、ブレンステッド酸点のサイトに金属カチオンを導入できる観点から、イオン交換法が好ましい。
ゼオライトに第4または第5周期かつ4〜14族の元素を導入する調製方法について、導入する第4または第5周期かつ4〜14族の元素の前駆体は、金属カチオンを形成し易い観点から、金属化合物であることが好ましく、水系の湿式法に適する観点から水溶性であることが好ましい。具体的には、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物、リン酸塩が好ましく、ゼオライトへのアニオン種の残留が比較的少ない観点から、硝酸塩、硫酸塩、がより好ましい。
前記ゼオライトに第4または第5周期かつ4〜14族の元素を導入の後処理として、焼成処理を施すことが好ましい。焼成雰囲気としては、金属カチオンとして第4または第5周期かつ4〜14族元素を導入する観点から、酸素などの酸化性物質を含む雰囲気が好ましく、簡便さから大気中での焼成がより好ましい。焼成温度は、前駆体塩を分解させる観点から、150℃以上が好ましく、ゼオライトの分解を防ぐ観点や設備の簡便さの観点から、900℃以下が好ましい。ゼオライトの吸着水を除く観点から、250℃以上がより好ましく、350℃以上がさらに好ましい。ゼオライトの分解を防ぐ観点や設備の簡便さの観点から、750℃以下がより好ましく、650℃以下がさらに好ましい。
前記ゼオライトの合成方法には、固相法、共沈法、水熱合成法、ゾル‐ゲル法、などが挙げられるが、比較的低温な条件で合成できる観点から、水熱合成法が好ましい。ゼオライト合成時の反応温度は、100℃以上、1150℃以下が好ましい。反応速度の観点から150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。装置の簡便さや、粒子の凝集を防ぐ観点から、800℃以下が好ましく、600℃以下がより好ましい。
本発明にて示す触媒量とは、反応系に充填した触媒金属種と触媒担体との重量の和であり、反応系に触媒を固定する場合には、固定した反応系の重量を含めない。
流動床や移動床や疑似移動床を用いる際は、原料ガスの導入時間は、触媒の各ガス組成の滞留時間に相当する。
<カルボン酸の製造方法>
本発明の、炭素数2以上のカルボン酸の製造方法は、前記カルボン酸生成触媒の存在下で、炭素数が1以上5以下の炭化水素と二酸化炭素とを含む原料を反応させる工程を含む、製造方法である。
生成するカルボン酸の原料は、原子効率で有利である観点から、炭素数1以上5以下の炭化水素と、二酸化炭素とが主成分であることが好ましい。主成分とは、例えば、導入する気体(原料ガス)における前記炭化水素と前記二酸化炭素とのモル分率が0.8以上であることをさす。原料中の前記炭化水素と前記二酸化炭素とのモル分率は、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることがさらに好ましく、0.99以上であることが最も好ましい。
前記炭化水素の炭素数は、炭素数が少ないほどゼオライト細孔中の拡散に有利である観点から、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が最も好ましい。不飽和結合が少ないほど、炭化水素同士の縮合を抑制できる観点から、飽和炭化水素が好ましい。具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、アセチレン、プロピン、ブチン、ペンチン、ブタジエン、ペンタジエン、およびこれらの異性体が好ましく、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレンがより好ましく、メタン、エタンがさらに好ましく、メタンが最も好ましい。原料の炭化水素について、複数種類の炭化水素の混合物とすることができ、天然ガスやシェールガスに比較的多く含まれる観点から、メタンとエタンを含むことが好ましい。
前記原料は、炭素数が1以上5以下の炭化水素や二酸化炭素以外の他成分を含んでも良い。前記他成分とは、例えば、水素、酸素、窒素やアルゴンなどの不活性ガス、水蒸気等が挙げられる。中でも、二酸化炭素の過剰な還元反応の逆反応を促進する観点から、水蒸気を含むことが好ましい。
原料中の水蒸気のモル分率は、反応系内に導入する水蒸気量が少なくなると、液体の水から水蒸気とするまでに必要な潜熱を少なくできる観点から、0.8以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.36以下がさらに好ましく、0.28以下が最も好ましい。また、触媒上に強く吸着した生成カルボン酸の脱離を促進する観点、および、COと解離水素との反応によるCOと水の生成反応の逆反応を促進することにより、COからのCOOH基の生成効率を向上させる観点から、水蒸気のモル分率は0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.12以上がさらに好ましく、0.2以上が最も好ましい。
水蒸気と二酸化炭素とのモル分率比(水蒸気/二酸化炭素)は、水蒸気を導入する効果を大きくする観点から、0.005以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましく、0.5以上が最も好ましい。二酸化炭素の分圧を大きくするほど、二酸化炭素の活性化に有利である観点から、モル分率比は、2.5以下が好ましく、2.1以下がより好ましく、1.6以下がさらに好ましく、1.0以下が最も好ましい。
原料の導入は気体状態で導入することが、装置の簡便さの観点から好ましい。
原料は、その製造過程や産出過程、および反応器までの導入過程は限定せず、石油を精製して生じたガス、天然ガス、工場からの排ガス、大気中または地層より回収したガス、例えばシェールガスなども使用できる。
触媒は、反応器に存在する。具体的には、触媒は、固定床、流動床、移動床、または疑似移動床として反応器に充填できる。反応器には一種類の触媒を充填してもよく、また、活性の異なる複数種類の触媒または不活性な無機物を混合した触媒混合物を、触媒として用いてもよい。活性の異なる触媒および触媒混合物を反応器入口から出口に向けて段階的に設置してもよい。
本実施形態のカルボン酸生成工程において、反応温度は、50℃以上、1000℃以下が好ましい。反応速度の観点から、80℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、160℃以上がさらに好ましい。また、触媒の焼結などによる収率低下を防ぐ観点から、790℃以下が好ましく、490℃以下がより好ましく、340℃以下がさらに好ましい。前記反応温度とは、反応系内の温度のことをさす。
本実施形態のカルボン酸生成工程における反応圧力は、大気圧以上、20MPa以下であることが好ましい。前記反応圧力とは、反応系内の圧力のことを指す。高圧であるほど、炭化水素や二酸化炭素の触媒への被覆率が高くなるため、0.7MPa以上が好ましく、1.6MPa以上がより好ましく、2.6MPa以上がさらに好ましく、3.1MPa以上が最も好ましい。また、二酸化炭素の臨界圧力は7.4MPaであり、原料は気体での導入が望ましく、二酸化炭素が液化することを防ぐ観点から、本発明での反応系の圧力は7.4MPa以下が好ましい。圧力が低いほど、加圧のために要するエネルギーは少なくなる観点から、6.5MPa以下がより好ましく、5MPa以下がさらに好ましい。
さらに、原料炭化水素の蒸気圧が前記圧力よりも低い場合は、炭化水素の蒸気圧以下で導入することが好ましい。
なお、本明細書に記載されている圧力は、大気圧との相対圧力(ゲージ圧)を示している。
炭化水素と二酸化炭素からのカルボン酸生成、特に飽和炭化水素と二酸化炭素からのカルボン酸生成反応は、大きな吸熱反応かつ標準生成エントロピー変化が負であるため、平衡条件での高収率なカルボン酸生成は、容易ではないことが推測される。下記、工程Xおよび工程Yを含むことで非平衡条件とでき、熱力学的制約にとらわれないカルボン酸収率が期待できる観点から、下記工程Xおよび工程Yを実施することが好ましい。
<工程X>
本発明の工程Xでは、前記カルボン酸生成触媒が存在する反応系内に、炭素数が1以上、5以下である炭化水素を少なくとも含む気体xを導入する。気体xにおいて、炭化水素のモル分率は0.1以上、1以下である。
(気体x)
工程Xで反応系に導入する気体xは、炭化水素、および、炭化水素以外の気体によって構成される。
気体xにおいて、炭化水素のモル分率が、0.1以上、1以下である。モル分率は、炭化水素の分圧を高くするほど触媒への吸着に有利である観点から、0.4以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。また、モル分率は炭化水素の精製コストの観点から、0.999以下が好ましく、0.990以下がより好ましく、0.950以下がさらに好ましい。
炭化水素以外の気体とは、例えば、二酸化炭素、水素、酸素、窒素やアルゴンなどの不活性ガス、水蒸気等が挙げられる。中でも触媒の劣化を防ぐ観点から、不活性ガスが好ましく、二酸化炭素の過剰な還元反応の逆反応を促進する観点から、水蒸気を含むことが好ましい。気体に酸素を含む場合は、爆発限界以下の濃度とすることが好ましい。また、工程の簡便さの観点から、気体x中の、炭化水素以外の気体のモル分率は、0.5以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.05以下であることがさらに好ましい。
導入する水素のモル分率は、触媒上での脱水素による炭化水素活性種の生成の逆反応を抑制する観点から、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下がさらに好ましく、0.01以下が最も好ましい。
気体xにおいて、水蒸気のモル分率は0.1以下が好ましい。反応系内に導入する水蒸気量が少なくなると、液体の水から水蒸気とするまでに必要な潜熱を少なくできる観点から、導入する水蒸気量は少なくすることが好ましい。また、導入する水蒸気量を0.1以下とすることで、触媒上で生成する炭化水素由来の活性種の失活、触媒活性点の水による被毒、金属触媒の酸化や、触媒成分の水蒸気による脱離、を抑制することができると推測される。このような観点から、気体xにおける水蒸気のモル分率は0.05以下がより好ましく、0.02以下がさらに好ましく、0.01以下が最も好ましい。
水蒸気と炭化水素とのモル分率比(水蒸気/炭化水素)は、気体xの精製コストの観点から0.0001以上が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.005以上がさらに好ましい。炭化水素の分圧を大きくするほど炭化水素の活性化に有利である観点から、モル分率比は0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.01以下が最も好ましい。
気体xにおいて、炭化水素と二酸化炭素とのモル分率の比(炭化水素/二酸化炭素)は0.5より大きいことが好ましい。炭化水素を効率的に触媒によって活性化させる観点から、1以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、10以上が最も好ましい。
工程Xにおいて、気体xの導入時間は、3秒以上、10分以下が好ましい。触媒上の炭化水素由来の活性種の被覆率を向上させる観点から、5秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、20秒以上がさらに好ましく、30秒以上が最も好ましい。また、触媒へ十分に炭化水素が吸着した後に、過剰な時間導入すると、炭化水素は未反応のまま流通し、収率が低下する観点から、5分以下が好ましく、150秒以下がより好ましく、110秒以下がさらに好ましく、90秒以下が最も好ましい。
工程Xにおいて、導入する気体xの総容積流量は、反応系に充填された触媒量1g当たり0.0001〜10000000L/hが好ましく、0.001〜1000000 L/hがより好ましく、0.01〜100000 L/hがさらに好ましい。
<工程Y>
工程Yでは、前記反応系内に二酸化炭素を少なくとも含む気体yを導入する。前記気体yにおける前記二酸化炭素のモル分率が、前記気体xにおける二酸化炭素のモル分率よりも高いことが好ましい。
気体yにおいて、二酸化炭素のモル分率が0.1以上、0.995以下であることが好ましい。
(気体y)
工程Yで反応系に導入する気体yは、二酸化炭素、および二酸化炭素以外の気体によって構成される。
気体yにおいて、二酸化炭素のモル分率が、0.1以上、1以下である。二酸化炭素のモル分率は、分圧を高くするほど、触媒への吸着に有利である観点から、0.4以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましい。また、精製コストの観点から、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.7以下がさらに好ましい。
また、原料導入の非定常操作による、触媒への基質の吸脱着を促進する観点から、気体yにおける二酸化炭素のモル分率は、気体xにおける二酸化炭素のモル分率よりも高いことが好ましい。
二酸化炭素以外の気体とは、例えば、メタンなどの炭化水素、水素、酸素、窒素やアルゴンなどの不活性ガス、等が挙げられる。
気体yにおいて、水蒸気のモル分率は、反応系内に導入する水蒸気量が少なくなると、液体の水から水蒸気とするまでに必要な潜熱を少なくできる観点や、水蒸気を過剰に導入しないことによりCOの分圧低下を少なくでき、原料のCOを効率的に反応に利用できる観点から、0.8以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.36以下がさらに好ましく、0.28以下が最も好ましい。また、触媒上に強く吸着した生成カルボン酸の脱離を促進する観点、COと解離水素との反応によるCOと水の生成反応の逆反応を促進することにより、COからのCOOH基の生成効率を向上させる観点から、水蒸気のモル分率は0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.12以上がさらに好ましく、0.2以上が最も好ましい。
工程の簡便さの観点から、工程Yにおいて、二酸化炭素および水蒸気以外の、他の気体は導入しないことが好ましい。また、原料の二酸化炭素の精製コストの観点から、二酸化炭素に含まれる他の気体は、二酸化炭素のモル分率に対し、0.001以上であり、0.01以上が好ましく、0.05以上が最も好ましい。
前記した、二酸化炭素および水蒸気以外の、他の気体が水素であるとき、導入された炭化水素は、触媒上で脱水素した活性種となっているため、二酸化炭素と同時に水素を導入すると、脱水素した炭化水素活性種と導入水素とが反応することにより不活性化が生じる可能性がある。このため、二酸化炭素のモル分率を1としたとき、水素のモル分率は、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下が最も好ましい。
脱水素した炭化水素活性種が、導入水素と反応することによる不活性化は、この炭化水素活性種が触媒上で被覆率高く生成している際に、より顕著に不活性化が生じることが考えられる。そのため、この工程Yにおいて、二酸化炭素と共に導入する水素の量が少ないことで、工程Xにおいて高圧条件下で触媒上に被覆率高く生成した炭化水素活性種を、効率良く有機酸の生成に利用することに寄与する、と推測される。
導入する水素量が少ないほど、触媒上の活性種および生成有機酸の脱水素を伴う縮合を生じやすくなるため、より高炭素数からなる、または複数のカルボキシル基を有する有機酸の生成に有利になる。より高炭素数、または複数のカルボキシル基を有する有機酸とは、具体的には酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸などが挙げられる。
気体yにおいて、水蒸気と二酸化炭素とのモル分率比(水蒸気/二酸化炭素)は、水蒸気を導入する効果を大きくする観点から、0.005以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましく、0.5以上が最も好ましい。二酸化炭素の分圧を大きくするほど、二酸化炭素の活性化に有利である観点から、モル分率比は、2.5以下が好ましく、2.1以下がより好ましく、1.6以下がさらに好ましく、1.0以下が最も好ましい。
気体yにおいて、二酸化炭素と炭化水素とのモル分率の比(二酸化炭素/炭化水素)は、0.5より大きいことが好ましい。炭化水素を効率的に触媒によって活性化させる観点から、1以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、10以上が最も好ましい。工程Yでは、炭化水素が存在しない条件のもと実施することも可能である。
工程Yにおいて、気体yの導入時間は、3秒以上、10分以下が好ましい。触媒上の炭化水素由来の活性種との反応量を多くする観点から、5秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、25秒以上がさらに好ましく、45秒以上が最も好ましい。また、工程Yの時間経過と共に、触媒上の炭化水素由来の活性種は、二酸化炭素と反応することで減少し、未反応の二酸化炭素が流通する量が多くなることで、収率が減少する観点から、導入時間は5分以下が好ましく、150秒以下がより好ましく、110秒以下がさらに好ましく、90秒以下が最も好ましい。
本実施形態における工程X及び工程Yは、どちらが先でも構わず、製造方法においてそれぞれの工程が2回以上繰り返されても構わない。工程Xと工程Yとの切り換えによる効果を大きくする観点から、工程X及び工程Yの繰り返し回数は2回以上が好ましく、5回以上がより好ましく、10回以上が最も好ましい。本実施形態では、触媒上に生成させた炭化水素由来の活性種に二酸化炭素を反応させることが好ましいために、先に工程Xを行い、その後に工程Yを行うことが好ましい。
さらに本実施形態では、工程Xと工程Y以外に、一つまたは複数の工程を有機酸の製造工程に加えることができ、その順番は制限しない。工程Xと工程Yおよびそれ以外の工程は、有機酸の製造工程にて周期的または周期的ではなく、繰り返すことができる。工程X及び工程Y以外の工程とは、例えば、触媒再生のために行う酸化または還元処理などが挙げられる。
工程Xと工程Yとの切り替えは、反応器の上流から反応器への導入ガスを切り替えることや、原料ガスの濃度分布がある反応器中で触媒を移動させることなどで、実施できる。具体的には、固定床や移動床反応器への導入ガスの切り替えや、原料ガスの濃度分布がある反応器中での流動床や移動床などである。
工程X、工程Y、およびそれ以外の工程間の切り換え操作は、流動床、移動床や、疑似移動床など、触媒が反応系内を移動する反応形態において、反応系内に定常的に気体x、気体yなどの各気体の成分組成となる領域が存在し、触媒が所定の時間その領域に滞留することによって、前記各工程を実施することができる。その際、前記各工程の所要時間は、反応工程におけるその領域での触媒の平均滞留時間を意味する。
また、工程X及び工程Yにおいて、反応系内の温度や圧力、気体の導入時間は同一である必要はなく、本明細書記載の所定の範囲内でそれぞれ異なる条件とすることができる。
工程X、工程Y、およびそれ以外の工程間において、前記温度および/または圧力が異なるとは、流動床、移動床や、疑似移動床など、触媒が反応系内を移動する反応形態において、反応系内に定常的に気体x、気体yなどの各気体の成分組成となり、かつ、温度および/または圧力が異なる領域が存在し、触媒が所定の時間その領域に滞留することによって、前記各工程を実施することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例に示す触媒に含まれる元素量は、以下に示す方法により評価した。
(ゼオライト中のケイ素とアルミとの比率)
ゼオライトに含まれるアルミとケイ素との比率(Al/Si)は、以下に示すように、ゼオライトに含まれるケイ素の量とアルミの量とを評価し、評価したアルミ量からケイ素量を除算することで算出した。ケイ素の量は、波長分散型の検出器を設置した蛍光X線分析装置を用いて評価した。アルミの量は、ゼオライト20mgに対し、塩酸と硫酸とイオン交換水の容量がそれぞれ、HCl:0.6mL、HSO:3mL、HO=95mLで含む溶液を、マイクロウェーブオーブンにて240℃で1時間処理し、処理後の溶液を濾過することで得た溶液をICPにて測定することで、算出した。
(触媒中の第4または第5周期かつ4〜14族元素の量)
ゼオライト触媒中に含まれる第4または第5周期かつ4〜14族元素の量は、触媒20mgに対し、塩酸と硫酸とイオン交換水の容量がそれぞれ、HCl:0.6mL、HSO:3mL、HO=95mLで含む溶液を、マイクロウェーブオーブンにて240℃で1時間処理し、処理後の溶液を濾過することで得た溶液をICPにて測定することで、算出した。
(ICP)
[装置]
SPS3520UV−DD(SII社製)
[測定条件]
キャリアガス:Ar(流量:0.3L/min)
高周波パワー:1.2kW
測光高さ:12mm
以下に示すような条件で合成を行い、有機酸の生成量について評価した。
なお、各成分のモル分率、生成速度及び生成活性は、つぎのようにして測定した。
(液クロマトグラフィー)
[装置]
システムコントローラー:CBM−20A(島津製作所製)
送液ポンプ:LC−20AD(島津製作所製)
電気伝導度検出器:CDD−10Avp(島津製作所製)
[カラム]
Shim−pack SCR−102H(島津製作所製)
[移動相]
5mmol/L p−トルエンスルホン酸
[反応液] 5mmol/L p−トルエンスルホン酸
+ 100μmol/L EDTA + 20mmol/L Bis−Tris
[測定条件]
カラム温度40℃、送液速度0.8mL/min
(モル分率)
本明細書に記載の水素、二酸化炭素、炭化水素、およびその他成分のモル分率は、以下の式で示すものである。
[気体のモル分率総量]=[炭化水素のモル分率]+[二酸化炭素のモル分率]+[水蒸気のモル分率]+[他成分のモル分率]=1
また、モル分率をガスクロマトグラフィーで評価する際は、水蒸気/二酸化炭素比については、アルゴンまたはヘリウムをキャリアガスとし熱伝導度検出器を用い、炭化水素については、ヘリウムをキャリアガスとし熱伝導度検出器または水素炎イオン化検出器のガスクロマトグラフィーを用いた。カラムは、水蒸気/二酸化炭素比については水を強く吸着しすぎないカラム(例えば、CP−Sil5、ジーエルサイエンス社製)を用い、炭化水素については、ジメチルシロキサンのみを充填した無極性型のもの、またはジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンの混合組成などの極性型のものなど、適宜、対象炭化水素を分離できるものを用いた。
(生成量)
本実施例、および比較例において、各有機酸の生成量は、反応器下流に設置した水トラップ液、および、反応管下流を蒸留水で洗浄した洗浄液を、前記液クロマトグラフィーで評価し、水トラップ液中の有機酸と洗浄液中の有機酸との和を生成量とした。
実施例1〜実施例4、比較例1、2では、飽和炭化水素と二酸化炭素とを触媒存在下で反応させて、有機酸を製造し、有機酸の生成量について評価した。
<実施例1>
触媒には、液相イオン交換法によりイオン交換したゼオライトを用いた。Al/Si=24のプロトン型ZSM−5(H−ZSM−5)50gを、0.8Mの硝酸亜鉛水溶液60mLに懸濁させ、20℃で1時間撹拌を行った。この懸濁液を吸引濾過し、300mLの蒸留水で洗浄した。得られた粉末を400℃で6時間焼成を施し、乳鉢で粉砕することで粉末触媒を得た。この粉末中のZn含有量は、20μmol/gであった。この粉末触媒を20MPaの圧力をかけることでペレットとし、これを粉砕後、0.25〜0.50mmに分級した粒状触媒を用いて反応を行った。
一本のSUS管(外径:3/8インチ、肉厚:1.0mm、長さ:56cm)の中央部に、0.5gの触媒を石英ウールにはさみ込むことで充填した。このSUS管を設置した流通系の反応器を用いて有機酸の製造を行った。
反応開始前に、窒素気流下で400℃、1時間加熱する前処理を触媒に施した。触媒反応時には、反応管に導入する気体はマスフローコントローラーにより制御し、CH (気体x)を1分間流通させた(工程X)。その後に、プランジャーポンプにてCOに水を導入し、加熱することで生成した、COと水蒸気との混合気体(気体y)を1分間導入した(工程Y)。工程Xと、それに続く工程Yとの操作を繰り返し、総時間1時間の反応を行った。ガス流量は、CH: 200mL/min、CO:200 mL/min、水蒸気:74mL/minとし、温度は300℃、3.5MPaの加圧条件にて反応を実施した。
1時間反応後の回収液の評価結果を表1に示す。配管洗浄液は、有機酸が検出されなくなるまで回収し、配管中の残留有機酸がなくなったことを確認した後に、次の反応工程に移行した。その結果、それぞれの炭素数が2以上の有機酸の生成量は、酢酸:682nmol、プロピオン酸:36nmol、コハク酸16nmolであった。
<実施例2>
実施例1に記載のイオン交換処理、および焼成処理を3回繰り返した触媒を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。この粉末中のZn含有量は、37μmol/gであった。生成したカルボン酸量を表1に示す。
<実施例3>
実施例1に記載のイオン交換処理において、0.8Mの硝酸亜鉛水溶液を0.8Mの硝酸ニッケル水溶液とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。この粉末中のNi含有量は、4μmol/gであった。生成したカルボン酸量を表1に示す。
<実施例4>
実施例2に記載のイオン交換処理において、0.8Mの硝酸亜鉛水溶液を0.8Mの硝酸ニッケル水溶液とした以外は、実施例2と同様に反応を行った。この粉末中のNi含有量は、10μmol/gであった。生成したカルボン酸量を表1に示す。
<比較例1>
実施例1に記載の粉末触媒において、イオン交換処理を施していない同じH−ZSM−5を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。生成したカルボン酸量を表1に示す。
<比較例2>
実施例1に記載の粉末触媒において、0.8Mの塩化白金酸水溶液を、実施例1と同じH−ZSM−5に、エバポレータ―で50℃で蒸発乾固することで担持した触媒を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。この粉末中のPt含有量は、7500μmol/gであった。生成したカルボン酸量を表1に示す。
Figure 0006247250
表1からわかるように、すべての実施例と比較例において、炭素数2以上のカルボン酸の生成が確認された。しかし、その収量については、金属種の種類および含有量により変化していることがわかる。
金属種元素を含有しない比較例1と、第4または第5周期かつ4〜14族元素としてNiまたはZnを含有する各実施例とを比較すると、比較例1のカルボン酸収量は、実施例のいずれと比較しても低くなった。また、金属種元素として第6周期のPtを含有する比較例2と、各実施例とを比較すると、比較例2ではカルボン酸収量は大きく低下した。
これは、第4または第5周期かつ4〜14族元素を含有することで、該金属種元素が活性点として、カルボン酸生成に寄与していることがわかる。
Niを含有する実施例1と2、または、Znを含有する実施例3と4を比較すると、同じ金属種元素では、その含有量が、本発明の範囲で4μmolまで少ないほど、カルボン酸の収量は向上する傾向にあった。これにより、第4または第5周期かつ4〜14族元素の含有量を、本発明で規定する範囲、特に好ましい範囲とすることで、適切な金属種の活性点量とブレンステッド酸点の活性種量となり、カルボン酸生成活性が向上することがわかる。
以上の結果から、ゼオライト触媒に含まれる金属種元素の選定、および/または、その含有量を適切な条件とすることにより、金属種活性点とブレンステッド活性点との量をカルボン酸生成に適したものとすることができ、カルボン酸生成活性の向上に効果的であることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明によるカルボン酸生成触媒を用いることで、カルボン酸収率を効果的に向上できるものとなり、炭化水素と二酸化炭素を原料としたカルボン酸の合成反応において、広く利用することができる。

Claims (10)

  1. 炭素数が1または2の炭化水素と二酸化炭素とを原料とする、炭素数が3または4のカルボン酸の生成に用いられるカルボン酸生成触媒であって、
    ゼオライトを含んで構成され、
    前記ゼオライトに対する、第4周期かつ10〜12族の元素の含有量が、0.1μmol/g以上、90μmol/g以下である、カルボン酸生成触媒。
  2. 前記元素の含有量が1μmol/g以上35μmol/g以下である、請求項1に記載のカルボン酸生成触媒。
  3. 前記ゼオライトがMFI型のゼオライトである、請求項1または2に記載のカルボン酸生成触媒。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載のカルボン酸生成触媒の存在下で、炭素数が1または2の炭化水素と二酸化炭素とを含む原料を反応させる工程を含む、炭素数が3または4のカルボン酸の製造方法。
  5. 前記炭化水素がメタンである、請求項に記載のカルボン酸の製造方法。
  6. 反応温度が50℃以上、1000℃以下である、請求項4または5に記載のカルボン酸の製造方法。
  7. 反応圧力が、大気圧以上、7.4MPa以下である、請求項4〜6のいずれか一項に記載のカルボン酸の製造方法。
  8. 前記原料が水蒸気を含み、
    原料中の水蒸気のモル分率が0.01以上、0.8以下である、請求項4〜7のいずれか一項に記載のカルボン酸の製造方法。
  9. 前記カルボン酸生成触媒が存在する反応系内に、前記炭化水素を少なくとも含む気体xを導入する工程Xと、
    前記反応系内に、前記二酸化炭素を少なくとも含む気体yを導入する工程Yと、を備え、
    前記気体yにおける前記二酸化炭素のモル分率が、前記気体xにおける二酸化炭素のモル分率よりも高い、請求項4〜8のいずれか一項に記載のカルボン酸の製造方法。
  10. 前記気体yに含まれる、水蒸気と二酸化炭素とのモル分率比が0.005以上、2.5以下である、請求項に記載のカルボン酸の製造方法。
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