JP5211316B2 - エチレンからプロピレンを製造するための触媒 - Google Patents
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Description
Distribution)にしたがって、メタン(C1)〜ワックス分(C30以上)まで広汎な炭化水素を生ずるため、トッピング、分解などの工程等を経て液化石油ガス(LPG)分、揮発油分、灯油留分、軽油留分を得る必要があり、バイオマスガスなど生産規模が多くないものについて適応しにくい面がある。
この担体にアルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種以上含有せしめ、そのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有量が触媒基準で0.1質量%以上0.7質量%以下となし、
更に、この担体にコバルトを含有させた後、290℃以上650℃以下3時間以上24時間以下空気中で焼成し、コバルト成分をCo換算、触媒基準で5質量%以上30質量%以下担持させ、前処理として、水素ガスまたは水素ガスを含有する気体で350℃以上600℃以下で1時間以上還元処理して活性化させてなり、
エチレンからプロピレンを製造するため230℃以上310℃以下で反応させることを特徴とするエチレンからプロピレンを製造するための触媒を見出し、本発明を完成するに至った。
触媒担体成分はシリカとアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種以上を含む。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有量は触媒基準で0.1質量%以上0.7質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.15質量%以上0.3質量%以下が最も好ましい。この範囲未満では触媒寿命、炭素鎖延長能が低く、この範囲を超過するとシリカの物性が損なわれる傾向が見られ好ましくない。
エチレンからプロピレン製造用触媒は上述のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を添加したシリカ担体に活性金属としてコバルトを含有することを特徴とする。コバルト含有量はCo換算、触媒基準で5質量%以上30質量%以下が好ましく、6.5質量%以上28質量%以下がより好ましく、8.5質量%以上22.5質量%以下がさらに好ましく9.5質量%以上21.5質量%以下が最も好ましい。この範囲をはずれると充分な活性、選択性が得にくくなる場合がある。なお、助触媒としてコバルト以外の金属類を添加することは妨げない。
先に述べたように、担体に用いるシリカはSiO2を主成分とする珪藻土系シリカを好ましく使用できる。担体に添加するアルカリ金属原料には、硝酸カリウム、硝酸セシウム、硝酸ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、および炭酸ルビジウムなどを好ましく使用できる。またアルカリ土類金属の原料には水酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、および硝酸カルシウムなどを好ましく使用できる
以下に製造方法1および2によるエチレンからプロピレン製造用触媒の製造方法を開示する。いずれの方法においても、触媒成分の含浸工程に先立ってシリカの焼成を上述の条件で行う。焼成工程を省略してもエチレンからプロピレンを得るための触媒活性は得られるが、触媒の保存状況等により触媒活性が変動する可能性があるため焼成工程が必要となる。
焼成したシリカに、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属塩水溶液を浸積し担持する工程に続き、これを、再び焼成する工程を経て触媒担体を製造する。かくして得られた触媒担体にコバルト化合物を含む水溶液を含浸担持する工程を行い、最後に焼成する工程を経て触媒を製造する方法を好ましく選択できる。焼成したシリカに含浸させる際のアルカリ金属塩水溶液またはアルカリ土類金属塩水溶液の体積は、焼成させたシリカの飽和吸水量または細孔容積に相当する体積の0.8倍以上2倍以下が好ましく、0.9倍以上1.5倍以下がより好ましく、0.9倍以上1.2倍以下が最も好適である。このようにシリカにアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩または両者を含浸せしめた後、290℃以上650℃以下の温度で空気中で焼成する。得られた物質に対し、水溶性コバルト塩水溶液を含浸させる。この際の含浸液の体積は、飽和吸水量または細孔容積に相当する体積の0.8倍以上2倍以下が好ましく、0.9倍以上1.5倍以下がより好ましく、0.9倍以上1.2倍以下が最も好適である。最後に空気中で温度は290℃以上650℃以下で触媒の焼成を行う。本発明では活性成分のコバルト分をドープした後に行う焼成温度を触媒焼成温度と呼ぶ。焼成時間は一概に限定されないが3時間以上24時間以下が望ましい。
なお、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を担持したシリカの細孔容積は正確にはシリカ単独に比べて減少するが、本発明の触媒におけるアルカリ金属量またはアルカリ土類金属量での細孔容積の減少量は少なく、工業的な取扱を考えた場合、シリカ単独での数値を採用することによる不都合はない。
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩に硝酸塩を用いる場合には、焼成したシリカにアルカリ金属硝酸塩およびアルカリ土類金属硝酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の金属硝酸塩と水溶性のコバルト塩との混合水溶液を浸漬する工程に次いで乾燥工程を経た後、空気中290℃以上650℃以下の触媒焼成温度で加熱する工程を経て触媒を調製する方法を好ましく選択できる。焼成時間は触媒製造方法1と同条件で実施すれば良い。
触媒製造方法1および2で記したように、含浸液の量は、飽和吸水量によるか、焼成させたシリカの細孔容積に相当する体積に所定の係数を掛けて求めることができる。飽和吸水量を求める場合には、少量のサンプルでは誤差が生じやすいため、約10g〜50g程度の焼成したシリカを精秤し、これにイオン交換水等をビュレット等から滴下し、吸水が飽和したときの水量から乾燥シリカの重量あたりの飽和吸水量(容積)をもとめるのが好ましい。
本方法では、炭化水素類および炭化水素類と微量の水素との混合気体を前処理後の触媒上に通気することにより、原料ガス(炭化水素類)の炭素鎖を延長できる。特にオレフィンメタセシス反応を抑制し、最近ETP(ethylene to propylene)反応と称されることもあるホモロゲーション反応(homologation reaction)による炭素鎖の延長を選択的に起こすことが出来る。
エチレンからプロピレンを得る反応に先立ち触媒を以下に述べる前処理により活性化する。触媒の前処理は真空排気または不活性ガス雰囲気で350℃以上600℃以下で1時間以上行ったあと、水素ガスまたは水素ガスを含む気体で350℃以上600℃以下で1時間以上還元処理し、この後、真空排気または不活性ガス雰囲気で350℃以上600℃以下で1時間以上処理する。この後反応温度に保持してエチレンからプロピレンを得る反応に供すれば良い。
velocity)は300(vol/vol)h-1以上30000(vol/vol)h-1以下が好ましく、1000(vol/vol)h-1以上27000(vol/vol)h-1以下がより好ましく、1500(vol/vol)h-1以上6000(vol/vol)h-1以下が最も好ましい。
エチレンからプロピレンを得る反応に用いる原料ガスとしてはメタン、エチレン、エタンが好ましくエチレンが最も好ましい。アルカン類では一旦、脱水素されオレフィンを用いたときとほぼ同じ機作で炭素鎖が延長していくものと推定される。原料ガスを触媒上に通気し炭素鎖を延長させる条件として、反応温度は230℃以上310℃以下が好ましく、240℃以上280℃以下がより好ましく、250℃以上265℃以下が最も好適である。
velocity)は300(vol/vol)h-1以上30000(vol/vol)h-1以下が好ましく、1000(vol/vol)h-1以上27000(vol/vol)h-1以下がより好ましく、1500(vol/vol)h-1以上6000(vol/vol)h-1以下が最も好ましい。これ未満では空時収量が少なくなり不経済となり、これを超過すると転化率が頭打ちになり、分離工程が難しくなる可能性がある。
比表面積250m2/g、細孔容積約0.5mL/g、平均細孔径8nmのシリカ(SiO2)を、空気中650℃で3時間焼成し、デシケータ内で室温まで冷却した。この30gに対しイオン交換水をビュレットで滴下した。18.0mL滴下した時点で吸水が飽和したことから、触媒担体の飽和吸水量(0.6mL/g)を決定した。硝酸カリウム(KNO3)0.036gおよび硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO3)2・6H2O)0.074gを秤量し、これらの混合物に水を加えて12mLとしKNO3とMg(NO3)2の混合水溶液を調製した。上述と同様にシリカ粉末を焼成、冷却し、この20gを該混合水溶液に浸漬し、1時間静置しKおよびMg分を添加した。これを丸底フラスコに移し、水流ポンプで減圧しながら55℃に保持し、水分除去した後、空気中500℃で3時間焼成しKおよびMg添加SiO2担体(以下K-Mg-SiO2と略記する)を得た。
反応には図1に示すような登録商標パイレックス硝子製循環式反応装置を用いた。循環部は内径8mmφの硝子管から成り、Quartz製U字形リアクターと電磁石駆動ピストン式循環ポンプ((株)三鈴製)から成る。駆動用の電磁石は0.6mmφのエナメル線を約500g用いて自作し、駆動用パルス電流を与え、ピストンを上下動させることによりガス循環させた。循環ガス量は約200mL/分(標準状態(stp)換算)だった。
→ 2 C3H6)
触媒1の500mgをQuartz製U字形リアクターに充填し、油回転真空ポンプと油拡散ポンプを用いて×10-4mmHg台で減圧しながら600℃まで昇温し、600℃到達後1時間保持した後、触媒床温度を520℃に至らしめ、水素(純度99.5%)を液化窒素トラップに通しながら閉鎖循環系内に導入した。水素圧は13.3KPa(100mmHg)とし、液化窒素トラップに通しながら循環ポンプで触媒に水素を供給した。水素還元時の触媒床温度は520℃に制御した。水素還元は水素圧がこれ以上減少しなくなるまで(この場合で約60分)行った後、さらに395℃で真空排気(×10-4mmHg台)を1時間行い、触媒を活性化した。触媒層を真空排気しながら310℃とし同温度にて30分間保持後、エチレン(純度99.5%)を13.3KPa(100mmHg)導入しエチレンのホモロゲーション反応を行った。反応開始120分時点でのプロピレン分は7.5vol.%を示した。
C3H6 → C2H4 + 2-C4H8)
この実験とは別に、触媒1を用いエチレンの代わりにプロピレン(純度99.5%)を用い、ほかの条件はエチレンのホモロゲーション反応と同一にしてプロピレンのメタセシス反応を行った。反応開始360分のエチレン組成(プロピレンのメタセシス反応で生成する生成物の一つ)は1.2%に留まった。
これは、オレフィンメタセシス反応抑制能を示し、かつ、ホモロゲーション反応を選択的に行うことができ、触媒1の総合評価は適であることを示した例である。
触媒3の最初の真空排気温度を520℃、水素還元温度を385℃、水素還元後の真空排気温度を600℃とし、ホモロゲーション反応の温度を280℃にした以外は実施例1と同様にした。反応開始120分時点でのプロピレン分は9.8vol.%を示した。また、エチレンをプロピレンに代えた以外は同一条件で反応した時のエチレン分は1.8%を示し、選択的にホモロゲーション反応が進行し、触媒3の総合評価は適であった。
触媒4の最初の真空排気温度を395℃、水素還元温度を395℃、水素還元後の真空排気温度を395℃とし、ホモロゲーション反応の温度を265℃にした以外は実施例1と同様にした。反応開始120分時点でのプロピレン分は10.5vol.%を示した。また、エチレンをプロピレンに代えた以外は同一条件で反応した時のエチレン分は2%を示し、選択的にホモロゲーション反応が進行し、触媒4の総合評価は適であった。
触媒5の最初の真空排気温度を475℃、水素還元温度を475℃、水素還元後の真空排気温度を475℃とし、ホモロゲーション反応の温度を260℃にした以外は実施例1と同様にした。反応開始120分時点でのプロピレン分は10vol.%を示した。また、エチレンをプロピレンに代えた以外は同一条件で反応した時のエチレン分は2%を示し、選択的にホモロゲーション反応が進行し、触媒5の総合評価は適であった。
触媒7の最初の真空排気温度を395℃、水素還元温度を520℃、水素還元後の真空排気温度を600℃とし、ホモロゲーション反応の温度を260℃にした以外は実施例1と同様にした。反応開始120分時点でのプロピレン分は11.7vol.%を示した。また、エチレンをプロピレンに代えた以外は同一条件で反応した時のエチレン分は2%を示し、選択的にホモロゲーション反応が進行し、触媒7の総合評価は適であった。
触媒10の最初の真空排気温度を520℃、水素還元温度を600℃、水素還元後の真空排気温度を385℃とし、ホモロゲーション反応の温度を230℃にした以外は実施例1と同様にした。反応開始120分時点でのプロピレン分は16.3vol.%を示した。また、エチレンをプロピレンに代えた以外は同一条件で反応した時のエチレン分は2.7%を示し、選択的にホモロゲーション反応が進行し、触媒10の総合評価は適であった。
次に比較例を示し本発明の特徴を説明する。
・4H2O)12.9gに水を加えて18mLとし、水分除去後の焼成温度を525℃とし酸化モリブデン(MoO3)換算で7質量%のMoO3/SiO2(触媒114)を得た。触媒114の最初の真空排気温度を475℃、水素還元温度を500℃、水素還元後の真空排気の温度を475℃とし、ホモロゲーション反応の温度を260℃とし実施例1と同様にエチレンのホモロゲーション反応およびプロピレンのメタセシス反応を実施した。反応開始120分時点でプロピレン分は10.5%を示しホモロゲーション反応に関しての活性は好適な結果を示した。メタセシス反応に起因すると見られるエチレン分は23.1%に達し、触媒114ではホモロゲーション反応も進行するが、メタセシス反応はそれ以上の速度で進行することが分かる。よって、メタセシス反応への抑制効果が見られなかったことから触媒114の総合評価は否であった。これは、本発明で開示した活性金属以外でホモロゲーション反応を実施した場合、好適な選択性が得られない可能性を示唆する例である。
以上、本発明の実施の形態について詳細な説明および実施例を示して説明してきたが、これらを基に限定的に解釈してはならない。
Claims (1)
- シリカの物性が比表面積250m 2 /g以上400m 2 /g以下、細孔容積0.5mL/g以上1.5mL/g以下、平均細孔径5nm以上60nm以下のシリカであって、このシリカを焼成温度300℃以上650℃以下で焼成して担体となし、
この担体にアルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種以上含有せしめ、そのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有量が触媒基準で0.1質量%以上0.7質量%以下となし、
更に、この担体にコバルトを含有させた後、290℃以上650℃以下3時間以上24時間以下空気中で焼成し、コバルト成分をCo換算、触媒基準で5質量%以上30質量%以下担持させ、前処理として、水素ガスまたは水素ガスを含有する気体で350℃以上600℃以下で1時間以上還元処理して活性化させてなり、
エチレンからプロピレンを製造するため230℃以上310℃以下で反応させることを特徴とするエチレンからプロピレンを製造するための触媒。
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