JP6211248B2 - MgAlB14系の熱電材料 - Google Patents

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Description

本発明は、多ホウ化物系の熱電材料のうち、MgAlB14系のn−型熱電材料に関する。
熱電材料は、熱を電気に変換することができる材料であり、重金属を含み、常温から600℃程度以上の温度領域において熱電効果を示すもの、特許文献1に記載されているように、希土類元素を含み、600℃程度の温度領域においてn−型の熱電特性を示すもの、ケイ化物や酸化物からなり300℃から800℃程度の温度領域において熱電効果を示すものが一般的な熱電材料として用いられている。特に、昨今、工場廃熱や自動車廃熱などの廃熱を有効利用することが検討されており、廃熱発電の国内市場規模の拡大も確実視されている。工場廃熱や自動車廃熱などは高温であるため、高温領域においても優れた熱電効果を示す熱電材料に注目が集まってる。
高温領域においても優れた熱電効果を示す材料として、多ホウ化物系の熱電材料があげられる。多ホウ化物系の熱電材料は、温度上昇に伴って電気伝導率が増加し、ゼーベック係数については、変化しないあるいは増加するという熱電特性を示すことが報告されている。この報告に示されている特異な性質は、多ホウ化物を形成する正20面体クラスター固体が持つ性質が要因であると考えられている。
また、実際に、熱電材料を熱電ユニットとする際には、n−型とp−型の熱電材料が直列に接続されて構成され、n−型とp−型の熱電材料の熱膨張率が極めて近似していることが好ましいとされている。一般的に、組成成分が同じ材料においては、近い熱膨張率の値を示しやすいことが知られており、同一の組成成分のn−型とp−型の熱電材料を用いることによって、熱膨張率の違いによる発電ユニットの破損を防ぎ、耐久性に優れた熱電ユニットを得ることができる。
本発明者等は、非特許文献1に記載のように、多ホウ化物系の熱電材料のうち、Mg、AlおよびBを主成分とするMgAlB14系の熱電材料についての研究を行い、電気伝導率が高く、優れた熱電特性を有するp−型のMgAlB14系の熱電材料の作製に成功している。
一方で、MgAlB14系のn−型の熱電材料においては、Werheit等によって、単相のMgAlB14の試料において、n−型の熱電特性を示すことが報告されている(非特許文献2を参照)。しかしながら、非特許文献3に記載の武田等の報告および非特許文献4に記載のGolikova等の報告において、MgAlB14の単相の試料がp−型の熱電特性を示すとういう相反する報告がなされている。
なお、非特許文献5のにおいて、MgAlB14の単位格子はa=5.848×10−1nm,b=8.112×10−1nm,c=10.312×10−1nmの斜方晶であることが報告されており、この報告に基づいて、MgAlB14の格子体積は、489.1×10−3nmであることが明らかとなっている。また、この時のMgAlB14の組成が化学量論比のMg0.78Al0.7514であることが開示されている。
特開2007−53259号公報
粉体および粉末冶金Vol.58(2011),No.2、pp.105−109 Journal of Alloys and Compounds,202(1993),pp.269−281 JOURNAL OF SOLID STATE CHEMISTRY、177(2004),pp.471−475 JJAP Serise 10 PROCEEDING OF THE 11th INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON BORON,BORIDES AND RELATED COMPOUNDS TUKUBA(JAPAN)1993,pp.52−53 Jurnal of the Less Common Metals 92(2),pp.239−246
まず、単相のMgAlB14の熱電特性については、上記のように様々な研究者により検討がなされた結果、p−型の熱電特性を有するという結論が推奨されており、非特許文献2の報告については、保証されていないのが現状である。
さらに、非特許文献2の報告においては、MgAlB14の単相の試料の具体的な作製方法の記載がなく、どのようにして当該試料が得られるのかについては明確とされていない。
また、単相でのMgAlB14系の熱電材料の実用化は、製造コストの面から現実的ではない。
そこで、本発明においては、再現性よく安定的に製造可能であり、生産性に優れたMgAlB14系のn−型熱電材料を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するべく、鋭意研究を行い、化学量論組成のMgAlB14の格子体積より大きな格子体積を有するMgAlB14系の焼結体がn−型熱電材料となると予測し、実験により検証して本発明を完成させた。格子体積を大きくする手法としては、MgAlB14の化学量論組成よりMgおよびAlの組成比を増加させたり、MgAlB14の結晶格子中に組み込まれる特性を有する他の異なる元素を添加することを採用した。
本発明の第1のMgAlB14系の熱電材料は、Mg,AlおよびBを主成分とするMgAlB14系の熱電材料であって、MgAl14(x=1.00〜1.25)またはMgAly−0.0114(y=1.04〜 1.08)の組成の出発原料粉の焼結体からなり、X線回折測定で求められるMgAlB14の格子体積が489.1×10−3nmより大きく、50℃から800℃の温度範囲における、所定の温度領域において、ゼーベック係数の値が負の値を示すことを特徴とする。
本発明の第2のMgAlB14系の熱電材料は、MgAl14(x=1.25)またはMgAly−0.0114(y=1.06)の組成の出発原料粉の焼結体からなり、50℃から800℃の温度範囲において、ゼーベック係数の値が常に負の値を示すことを特徴とする。
本発明の第3のMgAlB14系の熱電材料は、前記MgAly−0.0114(y=1.06)の組成の出発原料粉の焼結体からなる熱電材料中に、C,Cu,Ni,SiまたはTeが添加されていることを特徴とする。
本発明の第4のMgAlB14系の熱電材料は、前記MgAly−0.0114(y=1.06)の組成の出発原料粉の焼結体からなる熱電材料中には、Siが0.1〜0.5at%の割合で含まれており、50℃から800℃の温度範囲において、ゼーベック係数の値が常に負の値を示すことを特徴とする。
本発明の第のMgAlB14の熱電材料は、第1乃至第のいずれか1つの態様において、酸化物相を含むことを特徴とする。
本発明の第のMgAlB14の熱電材料は、第の態様において、前記酸化物相が、少なくともMgAlからなることを特徴とする。



このような、本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料によれば、再現性よく安定して製造可能であり、生産性に優れた熱電材料を提供することを可能とする。
さらに詳しくは、50℃から800℃という温度範囲において、優れたn−型の熱電特性を示すMgAlB14系n−型熱電材料を提供することを可能とする。
本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例1のX線回折パターンを示したグラフ 本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例1の反射電子組成像 本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例1のゼーベック係数の測定結果を示すグラフ 本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例1の電気伝導率の測定結果を示すグラフ 本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例1のMgAlB14の格子体積の算出結果を示すグラフ 本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例2のX線回折パターンを示したグラフであり、(a)は、Cを添加元素とした場合の測定結果を示し、(b)は、Cuを添加元素とした場合の測定結果を示し、(c)は、Niを添加元素とした場合の測定結果を示し、(d)は、Siを添加元素とした場合の測定結果を示し、(e)は、Teを添加元素とした場合の測定結果を示す。 本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例2の組成画像であり、Siを添加元素として0.2mass%添加したサンプルの反射電子組成像を示す。 本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例2のゼーベック係数の測定結果を示すグラフであり、(a)は、Cを添加元素とした場合の測定結果を示し、(b)は、Cuを添加元素とした場合の測定結果を示し、(c)は、Niを添加元素とした場合の測定結果を示し、(d)は、Siを添加元素とした場合の測定結果を示し、(e)は、Teを添加元素とした場合の測定結果を示す。 本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例2の電気伝導率の測定結果を示すグラフであり、(a)は、Cを添加元素とした場合の測定結果を示し、(b)は、Cuを添加元素とした場合の測定結果を示し、(c)は、Niを添加元素とした場合の測定結果を示し、(d)は、Siを添加元素とした場合の測定結果を示し、(e)は、Teを添加元素とした場合の測定結果を示す。 本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例2のMgAlB14の格子体積の算出結果を示すグラフ
本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料は、Mg、AlおよびBを主成分とし、原料粉を放電プラズマ焼結装置(SPS)により焼結した焼結体において、X線回折測定で求められるMgAlB14の格子体積が、化学量論組成のMgAlB14の格子体積である489.1×10−3nmより大きくなるようにされている。
また、本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料は、MgAlB14の格子体積が491.1×10−3nm以上とされており、Mg,AlおよびBまたはMg,Al,BおよびSiの元素から構成される場合において、50℃から800℃の温度範囲において、常にn−型の熱電特性を示すようにされている。
さらに、本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料は、MgAlB14の格子体積が489.8×10−3nm以上とされており、Mg,AlおよびB、Mg,Al,BおよびC、Mg,Al,BおよびCu、Mg,Al,BおよびNi、Mg,Al,BおよびSiまたはMg,Al,BおよびTeの元素から構成されている場合において、50℃から800℃の温度範囲内における、所定の温度領域においてn−型の熱電特性を示すようにされている。
本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料は、組織内に酸化物相を含み、当該酸化物相が、少なくともMgAlからなるようにされている。
以下に、本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の具体的な実施例について図1乃至図10を用いて詳しく説明する。
<実施例1>
本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例1の作製方法について説明する。
出発原料粉として、純度99.9mass%、粒径180μmのMg(高純度化学研究所製)、純度99.9mass%、粒径10μmのAl(高純度化学研究所製)および純度95.6mass%、粒径0.8μmのB−amorphous(H.C.Starck製)を用い、一般式が、MgAl14(x=1.00〜1.25)またはMgAly−0.0114(y=1.04〜1.06)の範囲内となるように秤量した。秤量した粉末を、V型混合機を用いて30分間混合し、放電プラズマ焼結装置(SPS−511S、SPSシンテックス株式会社)(以降、SPSと称する。)を用いて、アルゴン雰囲気中において、1400℃、30MPaの条件下で10分間加圧焼結を行い焼結体のサンプルを作製した。
作製したサンプルをX線回折装置(NewD8ADVANCE、ブルカー・エイエックスエス株式会社)(以降、XRDと称する。)により相同定を行った。なお、測定においては、CuKα線をX線源として用い、測定角度15〜55°の範囲で行った。また、電子プローブマイクロアナライザ(JXA−8200、日本電子株式会社)によりサンプルの組織観察を行った。さらに、熱電性能評価装置(ZEM−1、アルバック理工株式会社)を用いて、50℃から800℃の温度範囲において熱電特性を測定し、サンプルのゼーベック係数および電気伝導率の評価を行った。
サンプルから得られた回折パターンを図1に示す。すべてのサンプルにおいてMgAlB14、MgAlおよびBOの回折パターンが確認された。
MgAlB14、MgAlおよびBOの回折パターンが認められたy=1.06の反射電子組成像を図2に示す。暗色部は、MgAlB14を含む多ホウ化物相を示し、明色部は、MgAlなどの酸化物相を示している。多ホウ化物相の組織内に微細な粒子状の酸化物相が分散している様子が確認できる。このような酸化物相は、原料粉末に含まれていた酸素や、サンプルの作製時において原料粉末が大気に露出したことによって付着した酸素などが原料粉末と反応して生成されたものであると考えられる。
各サンプルのゼーベック係数の温度依存性を図3に示す。ここで、ゼーベック係数が正の値を示す場合をp−型の熱電特性を示すといい、負の値を示す場合をn−型の熱電特性を示すという。
x=1.00〜1.13、y=1.04および1.08のサンプルについては、符号Aで示した470℃〜550℃の温度範囲においてゼーベック係数の符号が反転し、当該温度範囲よりも高い温度、すなわち550℃〜800℃の温度領域においてはp−型の熱電特性を示し、当該温度範囲よりも低い温度、すなわち50℃〜470℃の温度領域においてはn−型の熱電特性を示した(以降、このように特定の温度領域においてn−型の熱電特性を示す場合は、np−型の熱電特性と称する)。また、y=1.06およびx=1.25のサンプルについては、50℃〜800℃の温度領域において常に負の値を示し、n−型の熱電特性を示した。特に、y=1.06については、50℃〜800℃の温度領域において、ゼーベック係数が−500〜−600μV/Kと高い値を示した。
各サンプルの電気伝導率の温度依存性を図4に示す。Mg、Alの割合が高いサンプルほど大きな電気伝導率を示すことがわかる。さらに、温度上昇に伴って電気伝導率が向上することが確認された。
また、サンプルのX線回折結果をポーリー法で分析し、得られたサンプルの各格子定数から算出したMgAlB14の格子体積の結果を図5に示す。なお、MgAlB14の結晶構造は、斜方晶として分析を行った。
図5に示すように、いずれのサンプルについても、化学量論組成のMgAlB14の格子体積である489.1×10−3nmよりも大きな格子体積を有していた。
詳しくは、n−型の熱電特性を示したy=1.06およびx=1.25のサンプルは、共にMgAlB14の格子体積が491.1×10−3nm以上であり、極めて近似した格子体積を有していた。np−型の熱電特性を示したサンプルは、490.6〜491.4×10−3nmの格子体積を有していた。
このような、本発明の実施例1の結果から、化学量論組成のMgAlB14の格子体積である489.1×10−3nmよりも大きい格子体積とすることにより、50℃〜800℃の温度範囲において、再現性よく安定してMgAlB14系のn−型の熱電材料の製造が可能であり、優れたn−型の熱電特性を示すMgAlB14系の熱電材料を得られることがわかった。特に、n−型の熱電特性を示したサンプルの格子体積は、np−型の熱電特性を示したサンプルの格子体積と比較して、平均的に大きな格子体積を有することがわかった。
また、y=1.06およびx=1.25のサンプルからわかるように、MgAlB14格子体積が489.1×10−3nmより大きく、特に、491.1×10−3nm以上とされることにより、50°〜800°の温度範囲において、温度変化に関係なく常にn−型の熱電特性を有するMgAlB14系のn−型の熱電材料を得ることができる。y=1.06およびx=1.25の2つのサンプルについては、図3に示すように、ゼーベック係数の値にほとんど温度依存性がないことから、800℃以上の温度領域においても、優れたn−型の熱電特性を示すと考えられる。
さらに、x=1.00、X=1.07、x=1.13、y=1.04およびy=1.08とすることにより、MgAlB14の格子体積が489.1×10−3nmより大きく、特に、490.6×10−3nm以上とされ、所定の温度領域、すなわち、50℃〜470℃の温度領域において、n−型の熱電特性を得ることができる。
また、本発明の実施例1の結果から、多ホウ化物相の組織内に酸化物相を含んだ状態においても優れたn−型の熱電特性を示していることがわかる。このような、本発明のMgAlB14系のn−型の熱電材料の実施例1によれば、得られた熱電材料の組織内から酸化物相を除去する必要性が無く、生産性に優れたMgAlB14系のn−型の熱電材料を得ることができる。
<実施例2>
また、本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料の実施例2の作製方法について説明する。
MgAlB14の出発原料粉として、純度99.9mass%、粒径180μmのMg(高純度化学研究所製)、純度99.9mass%、粒径10μmのAl(高純度化学研究所製)、純度95.6mass%、粒径0.8μmのB−amorphous(H.C.Starck製)を用いた。また、添加元素の原料粉として、純度99.9mass%、粒径14.2〜20μmのC(TIMCAL Graphite&Carbon製)、純度99.7mass%、粒径325μm以下のCu(山石金属株式会社製)、純度99.8mass%、粒径3.0〜7.0μmのNi(Vale Inco Ltd.製)、純度99.9mass%、粒径45μmのSi(株式会社高純度化学研究所製)および純度99.999mass%、粒径150μmのTe(株式会社高純度化学研究所製)を用いた。
Mg,Al,Bおよび添加元素の出発原料粉を表1の割合となるようにそれぞれ秤量する。秤量した粉末を、V型混合機を用いて30分間混合し、SPSを用いて、アルゴン雰囲気中において、1500℃、30MPaの条件下で25分間加圧焼結を行い焼結体のサンプルを作製した。
作製したサンプルについてXRDにより相同定を行った。なお、測定においては、CuKα線をX線源として用い、測定角度15〜55°の範囲で行った。また、電子プローブマイクロアナライザによりサンプルの組織観察を行った。さらに、熱電性能評価装置を用いて、50℃〜800℃の温度範囲において熱電特性を測定し、サンプルのゼーベック係数および電気伝導率の評価を行った。
サンプルから得られた回折パターンを図6に示す。なお、(a)は添加元素としてCを添加した場合の測定結果を示し、(b)は添加元素としてCuを添加した場合の測定結果を示し、(c)は、添加元素としてNiを添加した場合の測定結果を示し、(d)は添加元素としてSiを添加した場合の測定結果を示し、(e)は添加元素としてTeを添加した場合の測定結果を示す。
すべてのサンプルからMgAlB14、MgAlおよびBOの回折パターンが確認された。Cuを添加したサンプルについては、AlCuおよびAlCuが確認された。Siを添加したサンプルについては、Siの回折パターンが確認された。Teを添加したサンプルについては、TeおよびMgTeが確認された。
サンプルsi0.2の反射電子組成像を図7に示す。暗色部は、MgAlB14を含む多ホウ化物相を示し、明色部は、MgAlおよびBOなどの酸化物相を示す。
多ホウ化物相の組織内に微細な粒子状の酸化物相が分散している様子が確認できる。このような酸化物相は、実施例1の場合と同様に、原料粉末に含まれていた酸素や、サンプル作製時において原料粉末を大気に露出したことによって付着した酸素などが、原料粉末と反応して生成されたと考えられる。
各サンプルのゼーベック係数の温度依存性を図8に示す。なお、(a)は、Cを添加元素とした場合の測定結果を示し、(b)は、Cuを添加元素とした場合の測定結果を示し、(c)は、Niを添加元素とした場合の測定結果を示し、(d)は、Siを添加元素とした場合の測定結果を示し、(e)は、Teを添加元素とした場合の測定結果を示す。
いずれの種類の添加元素を添加した場合においても、所定の温度領域においてゼーベック係数の符号が反転して熱電特性の性質が変化するnp−型が確認された。Cを添加元素としたサンプルについては、480℃および570℃付近においてゼーベック係数の符号が反転した。Cuを添加元素としたサンプルについては、370℃〜480℃の温度領域においてゼーベック係数の符号が反転した。Niを添加元素としたサンプルについては、440℃付近においてゼーベック係数の符号が反転した。Siを添加元素として1.0mass%添加したサンプルについては、500℃付近においてゼーベック係数の符号が反転した。Teを添加元素としたサンプルについては、350℃〜650℃の温度領域においてゼーベック係数の符号が反転した。
また、Siを添加元素とするサンプルsi0.1,si0.2,si0.3およびsi0.5については、50℃〜800℃の温度領域において、ゼーベック係数の符号が常に負の値を示し、n−型の熱電特性を示した。特に、サンプルsi0.2においては、50℃〜800℃の温度領域においてゼーベック係数が−480〜−700μV/Kと安定した値を示した。
各サンプルの電気伝導率の温度依存性を図9に示す。すべてのサンプルにおいて、温度依存性が認められ、温度の上昇に伴う電気伝導率の上昇が確認された。
また、サンプルのX線回折結果をポーリー法で分析し、得られたサンプルの各格子定数から算出したMgAlB14の格子体積の結果を図10に示す。なお、MgAlB14の結晶構造は、斜方晶として分析を行った。
図10に示すように、すべてのサンプルにおいて、化学量論組成のMgAlB14の格子体積である489.1×10−3nmより大きい格子体積を有していることがわかる。
詳しくは、n−型の熱電特性を示したサンプルsi0.3,si0.5,si0.2およびsi0.1は、491.4〜491.9×10−3nmと比較的大きな格子体積を有していることがわかる。また、np−型を示したサンプルについては、サンプルc0.5が489.8×10−3nmと最も小さい格子体積を有し、サンプルcu0.5が491.5×10−3nmと最も大きい格子体積を有していた。
このような、本発明の実施例2の結果から、化学量論組成のMgAlB14の格子体積である489.1×10−3nmよりも大きい格子体積とすることにより、50℃〜800℃の所定の温度範囲において、再現性よく安定してMgAlB14系のn−型熱電材料の製造が可能であり、優れたn−型の熱電特性を示すMgAlB14系の熱電材料を得られることがわかった。特に、n−型の熱電特性を示したサンプルの格子体積は、np−型の熱電特性を示したサンプルの格子体積と比較して、平均的に大きな格子体積を有することがわかった。
また、以下に、np−型の熱電特性を示したサンプルについて、図8および図10に基づいて、添加元素の種類ごとに詳しく効果を述べる。
添加元素としてCを添加することにより、489.1×10−3nmより大きく、特に、489.8×10−3nm以上のMgAlB14の格子体積を有し、所定の温度領域、すなわち、50℃〜570℃の温度領域においてn−型の熱電特性を示すMgAlB14系の熱電材料を得ることができる。
添加元素としてCuを添加することにより、489.1×10−3nmより大きく、特に、491.3×10−3nm以上のMgAlB14の格子体積を有し、所定の温度領域、すなわち、50℃〜480℃の温度領域においてn−型の熱電特性を示すMgAlB14系の熱電材料を得ることができる。
添加元素としてNiを添加することにより、489.1×10−3nmより大きく、特に、490.7×10−3nmのMgAlB14の格子体積を有し、所定の温度領域、すなわち、50℃〜450℃の温度領域においてn−型の熱電特性を示すMgAlB14系の熱電材料をえることができる。
添加元素としてSiを添加することにより、489.1×10−3nmより大きく、特に、490.2×10−3nmのMgAlB14の格子体積を有し、所定の温度領域、すなわち、50℃〜500℃の温度領域においてn−型の熱電特性を示すMgAlB14系の熱電材料を得ることができる。
添加元素としてTeを添加することにより、489.1×10−3nmより大きく、特に、490.0×10−3nm以上のMgAlB14の格子体積を有し、所定の温度領域、すなわち、50℃〜650℃の温度領域においてn−型の熱電特性を示すMgAlB14系の熱電材料を得ることができる。
また、本発明の実施例2の結果から、多ホウ化物相の組織内に酸化物相を含んだ状態においても優れたn−型の熱電特性を示していることがわかる。このような、本発明のMgAlB14系のn−型の熱電材料の実施例2によれば、得られた熱電材料の組織内から酸化物相を除去する必要性が無く、生産性に優れたMgAlB14系のn−型の熱電材料とすることができる。
また、本実施例においては、1種類の添加元素を添加することにより、化学量論組成のMgAlB14の格子体積よりも大きな格子体積とする方法を採用しているが、添加金属として2種類以上の元素を選択し、MgAlB14系の熱電材料を作製した場合においても同様にn−型の熱電特性を有するMgAlB14系のn−型熱電材料を提供することができる。
本発明のMgAlB14系のn−型熱電材料は、実施例1および実施例2に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。

Claims (6)

  1. Mg,AlおよびBを主成分とするMgAlB14系の熱電材料であって、
    MgAl14(x=1.00〜1.25)またはMgAly−0.0114(y=1.04〜1.08)の組成の出発原料粉の焼結体からなり、
    X線回折測定で求められるMgAlB14の格子体積が489.1×10−3nmより大きく、
    50℃から800℃の温度範囲における、所定の温度領域において、ゼーベック係数の値が負の値を示すことを特徴とするMgAlB14系の熱電材料。
  2. MgAl14(x=1.25)またはMgAly−0.0114(y=1.06)の組成の出発原料粉の焼結体からなり、
    50℃から800℃の温度範囲において、ゼーベック係数の値が常に負の値を示すことを特徴とする請求項1に記載のMgAlB14系の熱電材料。
  3. 前記MgAly−0.0114(y=1.06)の組成の出発原料粉の焼結体からなる熱電材料中に、C,Cu,Ni,SiまたはTeが添加されていることを特徴とする請求項1に記載のMgAlB14系の熱電材料。
  4. 前記MgAly−0.0114(y=1.06)の組成の出発原料粉の焼結体からなる熱電材料中には、Siが0.1〜0.5at%の割合で含まれており、
    50℃から800℃の温度範囲において、ゼーベック係数の値が常に負の値を示すことを特徴とする請求項3に記載のMgAlB14系の熱電材料。
  5. 酸化物相を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のMgAlB14系の熱電材料。
  6. 前記酸化物相が、少なくともMgAlからなることを特徴とする請求項5に記載のMgAlB14系の熱電材料。
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