JP2010226034A - ハーフホイスラー熱電材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハーフホイスラー組成(Ti,Zr,Hf)(Ni,Co)(Sn,Sb)をベースに実際に組成を変動させた熱電材料を提供する。
【解決手段】(Ti,Zr,Hf)x(Ni,M)y(Sn,Sb)z、x=1、1.00<y<1.50、0.9<z<1.1、MはMn、Fe、Co、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Ruのうちの少なくとも1種である組成を有し、原子Mの少なくとも一部がフルホイスラーサイトに固溶していることを特徴とするハーフホイスラー熱電材料。
【選択図】図2
【解決手段】(Ti,Zr,Hf)x(Ni,M)y(Sn,Sb)z、x=1、1.00<y<1.50、0.9<z<1.1、MはMn、Fe、Co、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Ruのうちの少なくとも1種である組成を有し、原子Mの少なくとも一部がフルホイスラーサイトに固溶していることを特徴とするハーフホイスラー熱電材料。
【選択図】図2
Description
本発明は、基本的に化学量論組成でのみ安定に存在する金属間化合物であるハーフホイスラー合金をベースにした熱電材料に関する。
熱電材料は、2つの基本的な熱電効果であるゼーベック(Seebeck)効果及びペルチェ(Peltier)効果に基づき、熱エネルギと電気エネルギとの直接変換を行なうエネルギ材料である。
熱電材料を用いた熱電発電デバイスは、従来の発電技術に比べて、構造は簡単で、堅牢かつ耐久性が高く、可動部材は存在せず、マイクロ化が容易であり、メンテナンス不要で信頼性が高く、寿命が長く、騒音は発生せず、汚染も発生せず、低温の廃熱を利用可能であるといった多くの利点がある。
熱電材料を用いた熱電冷却デバイスも、従来の圧縮冷却技術に比べて、フロン不要で汚染は発生せず、小型化は容易で、可動部材は存在せず、騒音も発生しないなどの利点がある。
そのため、特に近年のエネルギ問題や環境問題の重大化に伴い、航空・宇宙、国防建設、地質及び気象観測、医療衛生、マイクロ電子などの領域や石油化工、冶金、電力工業における廃熱利用方面などの広範な用途への実用化が期待されている。
熱電材料の性能を評価する指数として、パワーファクターP=S2σおよび無次元性能指数ZT=(S2σ/κ)Tが用いられている。ここで、S:ゼーベック係数、σ:導電率、κ:熱伝導率、T:絶対温度である。すなわち、良好な熱電特性を得るには、ゼーベック係数Sおよび導電率σが高く、熱伝導率κが低いことが必要である。
ハーフホイスラー合金は優れたパワーファクターを示すことで有望な熱電材料として注目されている。一方で比較的高い熱伝導率を低減することが課題である。
しかし、ハーフホイスラー合金は例えばZrNiSnにように3種類のサイトを占有する3種類の元素からなり、基本的に化学量論組成に限定されている。そのため、各元素の固溶範囲が非常に狭く、元素の添加による熱伝導率κの低減には限界があり、熱電材料としての特性向上に限界があった。
しかし、ハーフホイスラー合金は例えばZrNiSnにように3種類のサイトを占有する3種類の元素からなり、基本的に化学量論組成に限定されている。そのため、各元素の固溶範囲が非常に狭く、元素の添加による熱伝導率κの低減には限界があり、熱電材料としての特性向上に限界があった。
例えば、特許文献1に、(Ti,Zr,Hf)x(Ni,Co)y(Sn,Sb)z、Niサイトの比率y=30〜35mol%(化学量論組成=33mol%)のハーフホイスラー熱電材料が開示されているが、上記の限界があった。文言上、Niサイトの比率は化学量論組成を挟んで広い組成範囲が記載されているが、具体的に実施例として示されているのは化学量論組成である33.3mol%のみである。
特許文献2には、HfxPtySnzのハーフホイスラー組成の単相、略単相、単結晶、略単結晶の合金で、0.8<y<1.2の範囲が示されているが、具体的に実施例として示されているのはy=1のみである。
特許文献3には、HfxPty1My2Snzのハーフホイスラー組成の単相、略単相、単結晶、略単結晶の合金で、0.8<y1+y2<1.2の範囲が示されているが、具体的に実施例として示されているのはy1+y2=1のみである。
特許文献4には、12vol%未満のNbCo2Sn相を含み、残部がNbCoSn単相のハーフホイスラー合金が示されているが、具体的には実施例として示されているように、NbCo1.10Snの配合組成からNbCo2Snフルホイスラー相とNbCoSnハーフホイスラー相との2相混合組織が構成されている。
このように従来は、ハーフホイスラー組成をベースに実際に組成を変動できる熱電材料は知られていなかった。
本発明は、ハーフホイスラー組成(Ti,Zr,Hf)(Ni,Co)(Sn,Sb)をベースに実際に組成を変動させた熱電材料を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明によれば、(Ti,Zr,Hf)x(Ni,M)y(Sn,Sb)z、x=1、1.00<y<1.50、0.9<z<1.1、MはMn、Fe、Co、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Ruのうちの少なくとも1種である組成を有し、原子Mの少なくとも一部がフルホイスラーサイトに固溶していることを特徴とするハーフホイスラー熱電材料が提供される。
本発明の熱電材料は、従来の限界であった固溶範囲を超えてフルホイスラーサイトに添加元素を固溶させることにより、熱伝導を低減した熱電材料が実現できる。
ハーフホイスラー型の規則結晶構造XYZは、ホイスラー型(ここでは区別のためにフルホイスラーと呼ぶ)の規則結晶構造XY2ZのYサイトの半分が空孔サイトになっている。そこで、ここではYサイトと空孔サイトを合わせてフルホイスラーサイトと定義する。
ハーフホイスラー型の規則結晶構造XYZは、ホイスラー型(ここでは区別のためにフルホイスラーと呼ぶ)の規則結晶構造XY2ZのYサイトの半分が空孔サイトになっている。そこで、ここではYサイトと空孔サイトを合わせてフルホイスラーサイトと定義する。
本発明においては、ハーフホイスラー組成(Ti,Zr,Hf)x(Ni,M)y(Sn,Sb)z(x=y=z=1)におけるフルホイスラーサイトすなわち(Ni,M)サイトに、ハーフホイスラーの化学量論組成y=1(33.3mol%)を超える、1.00<y<1.50の(Ni,M)が固溶したことにより、フォノンの散乱因子を増やすことができるので、熱伝導率が低下する。添加した元素がフルホイスラーサイトに固溶していることは、EDX等による組成分析からNiとMを合わせた濃度がハーフホイスラーの化学量論組成である33.3at%に比べて高くなること、すなわちy>1となること、さらにXRD等による分析でNiとMを合わせた濃度に比例して格子定数が増大することで確認できる。
組成の表示は、xを基準1としたときのy、zの相対的な変動範囲を示した。後に実施例にて詳細に示すように、1.00<y<1.50の範囲で熱伝導率の低下が明瞭に認められる。zの変動範囲0.9<z<1.1は、理想的な値z=1に対して現実の材料で不可避的に生じる製造起因のバラツキ範囲である。
表1に示した組成の本発明による熱電材料Zr(NiMα)ySn〔M=CoまたはIr、α:0.1〜0.4(目安値)〕を下記の手順で作製した。
上記組成となるように各原料Zr、Ni、Co、Ir、Snを秤量し、Arフロー下でアーク溶解して棒状の試料を得た。
OFZ(光学式浮遊帯域溶融法)により一方向凝固を行なった。条件は、Arフロー、試料回転数30rpm、凝固速度5〜10mm/hrであった。
参照試料として、ZrNiSnのハーフホイスラー合金も同様の手順で作製した。
得られた試料についてXRD解析を行なった。得られた各試料のXRDチャートを図1に、Co、Irの各濃度と格子定数(Lattice Parameter)との関係を図2にそれぞれ示す。
参照試料として、ZrNiSnのハーフホイスラー合金も同様の手順で作製した。
得られた試料についてXRD解析を行なった。得られた各試料のXRDチャートを図1に、Co、Irの各濃度と格子定数(Lattice Parameter)との関係を図2にそれぞれ示す。
Co、Irの濃度の増加に対応して格子定数が直線的に増加している。特に、Coについては、Niと原子半径が等しい(表2参照)にもかかわらず、NiサイトのCo置換に伴って格子定数が増加している点が注目される。置換したCoがフルホイスラーのサイトに配置して固溶していることによる。IrはNiよりも原子半径が大きい(表2)ため、格子定数の増加の割合がより顕著である。
図3に、Co添加した試料の熱伝導率と温度との関係を示す。測定した300〜1080Kの全温度域において、無添加すなわち化学量論組成ZrNiSnに比べて、Co添加により熱伝導率が顕著に低下していることが分かる。
同じ測定温度範囲について、図4(1)(2)に(1)ゼーベック係数(Seebeck Coefficient)および(2)比抵抗(Electrical Resistivity)を、図5(1)(2)に(1)パワーファクター(Power Factor)および(2)無次元性能指数(Dimensionless Figure of Merit)の測定結果を示す。ゼーベック係数はZrNiSnではn型であったがCo添加によりp型に変化している。Co添加量の増加に伴い、ゼーベック係数は増加、比抵抗は減少、パワーファクターは増加、無次元性能指数は増加している。このように、フルホイスラーサイトのCo固溶量増加により熱電特性は向上している。特に、700K〜800Kの温度域での向上が顕著である。
Ir添加した試料について、同様に図6、図7(1)(2)、図8(1)(2)に、熱伝導率、ゼーベック係数、比抵抗、パワーファクター、無次元性能指数を示す。同様に、フルホイスラーサイトへのIr固溶により熱電特性は向上している。ただし、Irの添加量(目安値)α=0.2〜0.3の範囲のうちα=0.25で熱電特性の向上は最も大きい。熱電特性は温度に対して単調に変化しており、特に向上が顕著な特定の温度域は認められない。
Ir添加試料について、温度1373K、時間48hrでアニールした結果を図9、図10(1)(2)、図11(1)(2)に示す。アニールによって電気抵抗率と熱伝導率を低減でき、熱電特性を改善することができる。その理由として、フルホイスラーサイトにおけるNiと置換元素Mの占有状態を含めた結晶構造の規則度が高くなることが挙げられる。
以上、本発明のハーフホイスラー熱電材料について、フルホイスラーサイトに固溶させて熱電特性を向上させる元素Mとして、Co、Irを用いた場合について具体例を説明したが、元素Mとしてはこれ以外にもMn,Fe,Pt,Cu,Ag,Au,Ruを用いることができる。
本発明によれば、ハーフホイスラー組成(Ti,Zr,Hf)(Ni,Co)(Sn,Sb)をベースに実際に組成を変動させた熱電材料が提供される。
Claims (1)
- (Ti,Zr,Hf)x(Ni,M)y(Sn,Sb)z、x=1、1.00<y<1.50、0.9<z<1.1、MはMn、Fe、Co、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Ruのうちの少なくとも1種である組成を有し、原子Mの少なくとも一部がフルホイスラーサイトに固溶していることを特徴とするハーフホイスラー熱電材料。
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WO2016163262A1 (ja) * | 2015-04-08 | 2016-10-13 | 日立金属株式会社 | 熱電変換材料およびその製造方法 |
WO2016185852A1 (ja) * | 2015-05-15 | 2016-11-24 | 日立金属株式会社 | 熱電変換材料 |
CN111211214A (zh) * | 2020-01-09 | 2020-05-29 | 中国科学院上海硅酸盐研究所 | 一种用于半赫斯勒合金热电材料的界面阻挡层 |
US11302855B2 (en) * | 2018-03-13 | 2022-04-12 | Northwestern University | High-efficiency two-phase heusler thermoelectric materials |
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2009
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WO2016185852A1 (ja) * | 2015-05-15 | 2016-11-24 | 日立金属株式会社 | 熱電変換材料 |
JPWO2016185852A1 (ja) * | 2015-05-15 | 2018-04-05 | 日立金属株式会社 | 熱電変換材料 |
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