JP6209886B2 - 振動片、振動子、発振器、電子機器および移動体 - Google Patents

振動片、振動子、発振器、電子機器および移動体 Download PDF

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Description

本発明は、振動片、振動子、発振器、電子機器および移動体に関するものである。
振動子としては、いわゆる2脚音叉型の水晶振動子が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような振動子が備える振動片は、例えば、特許文献1に開示されているように、基部と、この基部から互いに平行となるように延出する2つの振動腕とを有し、2つの振動腕を互いに接近と離間を繰り返すように面内方向に屈曲振動させる。
特許文献2に係る振動片は、基部を振動腕が並ぶ方向に沿って切り欠いた切欠き部を備えている。この切り欠き部は、ウェットエッチングによる形成時に、切り欠き部の基部の中央側の先端部分にオーバーエッチングによって、前記先端部分に尖ったくさび状のものが形成されて、応力が集中し易くなってしまうという問題を解決するために、切り欠き部の前記振動腕が並ぶ方向の開口側に傾斜部を設けることにより、切り欠き部の振動腕の延出方向に沿った幅が、前記開口側に行くに従って広くなるような形状としたことにより、オーバーエッチングを抑制し、前記先端部分に尖ったくさび状のものが形成されないようにすることによって、耐衝撃性を高めている。
しかしながら、特許文献2に係る振動片では、図17に示すように、平面視における切欠き部の振動腕側の外縁において、曲線12と直線12aとの接続部が曲率の不連続となる角部Aを有するため、その角部Aに応力が集中しやすく、耐衝撃性を十分に高めることができないという問題があった。
特開2011−223229号公報 特開2011−176665号公報
本発明の目的は、切り欠き部の応力集中を低減することができる振動片を提供すること、また、かかる振動片を備える振動子、発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の振動片は、基部と、
前記基部の一端から第1方向に沿って延出され、かつ、前記第1方向に交差する第2方向に沿って並んでいる1対の振動腕と、
を含み、
前記基部は、
前記振動腕が延出している第1基部と、
前記第1基部に対して前記振動腕側とは反対側に設けられている第2基部と、
前記第1基部と前記第2基部とを連結している連結部と、
前記2方向に沿って設けられ、外側に向うに従って前記第1方向に沿った開口幅が広がっている切り欠き部と、
を含み、
前記切り欠き部の前記第1基部の前記一端側、且つ前記連結部の中央寄りの外縁は、角部を含まない連続的な線であり、
当該外縁の接線と前記第2方向に平行な線分とのなす角をθとしたとき、
°θ≦70°の関係を満たすことを特徴とする。
このような振動片によれば、基部が第1基部、第2基部および連結部を含んでいることにより、基部の第1方向に沿った長さを短くしつつ、振動漏れを小さくことができる。
特に、基部が縮幅部を含んでいることにより、1対の振動腕の互いに同一面内で接近または離間する屈曲振動に伴う第1基部の変形を効果的に抑制することができる。その結果、第1基部の第1方向に沿った長さを短くしても、1対の振動腕の、略面内において互いに接近と離間を交互に繰り返す屈曲振動に伴う第1基部の変形を抑制し、基部から外部への振動漏れを抑制することができる。
しかも、平面視における第1基部および連結部の外縁の形状を最適化することにより、基部に生じる応力を緩和するとともに、熱弾性損失を低減することができる。
このようなことから、本発明の振動片は、耐衝撃性およびQ値を高めることができる。
また、6°≦θ≦70°の関係を満たすことより、基部に生じる応力を緩和するとともに、熱弾性損失をより効果的に低減することができる。
[適用例
本発明の振動片では、前記第1基部の前記第2方向に沿った幅をS1、
前記連結部の前記第2方向に沿った最小幅をS2としたとき、
S2/S1が0.3以上0.6以下であることが好ましい。
これにより、基部の第1方向に沿った長さを短くしつつ、振動漏れを効率的に小さくすることができる。
[適用例
本発明の振動片では、前記振動腕は、
前記基部側に配置されている腕部と、
前記腕部に対して前記基部とは反対側に配置されている錘部と、
を含むことが好ましい。
これにより、振動腕の長さを増大させることなく、振動腕の腕部の幅を大きくし、振動腕の強度を高めるとともに、熱弾性損失を小さくしてQ値を高めることができる。その結果、小型化を図りつつ、耐衝撃性を高めるとともに、CI(クリスタルインピーダンス)値を小さくすることができる。
[適用例
本発明の振動片では、前記錘部は、前記腕部よりも前記第2方向に沿った幅が大きく、
前記腕部の前記第2方向に沿った幅をW1、
前記錘部の前記第2方向に沿った幅をW2としたとき、
W2/W1が1.43以上1.79以下であることが好ましい。
これにより、振動腕の長さを増大させることなく、振動腕の強度およびQ値をより効率的に高めることができる。
[適用例
本発明の振動片では、前記振動腕の互いに表裏の関係にある前記第1の主面および前記第2の主面のうちの少なくとも一方の主面に、前記第1方向に沿って設けられている溝部を含むことが好ましい。
これにより、熱弾性損失を低減することができる。
[適用例
本発明の振動片では、前記腕部の前記第2方向に沿った幅をW1とし、前記溝部が設けられている前記主面における前記溝部を挟む2つの部分のそれぞれの前記第2方向に沿った幅をW3とし、2×W3/W1をηとしたとき、
14.2%<η<100%の関係を満たすことが好ましい。
これにより、振動腕の強度およびQ値を効率的に高めることができる。
[適用例
本発明の振動片では、20%≦η≦50%の関係を満たすことが好ましい。
これにより、振動腕の強度およびQ値をより効率的に高めることができる。
[適用例
本発明の振動片では、25%≦η≦40%の関係を満たすことが好ましい。
これにより、振動腕の強度およびQ値をさらに効率的に高めることができる。
[適用例
本発明の振動片では、前記振動腕に設けられている励振電極を含み、
前記励振電極は、下地層と、前記下地層の前記振動腕とは反対側に積層された被覆層と、を含み、
前記下地層の厚さをTb、
前記被覆層の厚さをTcとしたとき、
Tb/Tc≦4/7の関係を満たすことが好ましい。
これにより、下地層が作動温度範囲の低温側に相転移点を有する場合であっても、作動温度範囲の低温側におけるCI値を小さくすることができる。
[適用例10
本発明の振動片では、前記下地層は、クロムで構成されており、
前記下地層の厚さは、50Å以上700Å以下であることが好ましい。
クロムは、下地層としての機能に優れるものの、比較的低温において相転移点を有する。そこで、クロムで構成された下地層の厚さを50Å以上700Å以下程度に薄くすることにより、下地層としての機能を発揮させつつ、下地層のクロムの低温領域における相転移に起因するCI値上昇を抑制することができる。
[適用例11
本発明の振動子は、本発明の振動片と、
前記振動片が搭載されているパッケージと、を備えていることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する振動子を提供することができる。
[適用例12
本発明の発振器は、本発明の振動片と、
回路と、を備えていることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する発振器を提供することができる。
[適用例13
本発明の電子機器は、本発明の振動片を備えていることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する電子機器を提供することができる。
[適用例14
本発明の移動体は、本発明の振動片を備えていることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する移動体を提供することができる。
本発明の実施形態に係る振動子を示す平面図である。 図1中のA−A線断面図である。 図1に示す振動子が有する振動片の平面図である。 (a)は、図3中のB−B線断面図、(b)は、図3中のC−C線断面図である。 図3に示す振動片の基部を説明するための部分拡大平面図である。 (a)は、図3に示す振動片を模式的に示す平面図(縮幅部を考慮した図)、(b)は、(a)に示す振動片の簡略化モデルを示す平面図である。 図6に示す振動片の振動漏れ抑制の原理を説明する平面図であって、(a)〜(d)は、基部の各部(第1〜4連結部)の作用を説明する図である。 従来の振動片を示す平面図である。 (a)は、従来の振動片の振動腕の断面図(図8中のD−D線断面図)、(b)は、本発明の振動片の振動腕の横断面の一例を示す図である。 腕部の幅に対する土手部の幅の割合とQ値との関係を示すグラフである。 錘部占有率と高性能化指数との関係を示すグラフである。 本発明の発振器の一例を示す断面図である。 本発明の振動片を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。 本発明の振動片を備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の振動片を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 本発明の振動片を備える電子機器を適用した移動体(自動車)の構成を示す斜視図である。 従来の振動片の基部を説明するための図である。
以下、本発明の振動片、振動子、発振器、電子機器および移動体を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.振動子
まず、本発明の振動子(本発明の振動片を備える振動子)について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る振動子を示す平面図、図2は、図1中のA−A線断面図である。また、図3は、図1に示す振動子が有する振動片の平面図、図4(a)は、図3中のB−B線断面図、図4(b)は、図3中のC−C線断面図、図5は、図3に示す振動片の基部を説明するための部分拡大平面図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図1〜図4において、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を図示しており、その図示した各矢印の先端側を「+(プラス)側」、基端側を「−(マイナス)側」とする。また、X軸に平行な方向(第2方向)を「X軸方向」、Y軸に平行な方向(第1方向)を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」といい、また、+Z側(図2中の上側)を「上」、−Z側(図2の下側)を「下」ともいう。また、以下の説明では、説明の便宜上、各図に示すX軸、Y軸およびZ軸は、それぞれ、後述する水晶基板3を構成する水晶のX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)およびZ軸(光学軸)と一致している。
図1および図2に示す振動子1は、振動片2(本発明の振動片)と、振動片2を収納するパッケージ9とを有している。以下、振動片2およびパッケージ9について、順次詳細に説明する。
(振動片)
まず、振動片2の構成を簡単に説明する。
図3および図4に示すように、振動片2は、水晶基板3と、水晶基板3上に形成された第1駆動用電極84および第2駆動用電極85とを有している。なお、図3では、説明の便宜上、第1駆動用電極84および第2駆動用電極85の図示を一部省略している。
水晶基板3は、Zカット水晶板で構成されている。これにより、振動片2は、優れた振動特性を発揮することができる。Zカット水晶板とは、水晶のZ軸(光学軸)を厚さ方向とする水晶基板である。なお、水晶のZ軸は、水晶基板3の厚さ方向と一致しているのが好ましいが、厚さ方向に対して若干(1°未満程度)傾いていてもよい。
図3に示すように、水晶基板3は、基部4と、基部4から延出する一対の振動腕5、6と、を有している。
基部4は、X軸およびY軸に平行な平面であるXY平面に広がり、Z軸方向を厚さ方向とする板状をなしている。
この基部4は、Z軸方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という)で、基部4のY軸方向の途中の部分がくびれた形状をなしている。すなわち、図5に示すように、基部4は、振動腕5、6が延出している第1基部41と、第1基部41に対して振動腕5、6とは反対側に設けられた第2基部42と、第1基部41と第2基部42とを連結する連結部43と、を含んでいる。なお、図5において、第1基部41と連結部43との境界部、および、第2基部42と連結部43との境界部をそれぞれ破線で示している。
ここで、連結部43のX軸方向の外縁は、第1基部41よりもX軸方向に沿った幅が徐々に小さくなるように括れ状の切り欠き部Bになっている。言い換えると、連結部43は、第1基部41側の端部にX軸方向に沿った幅が第2基部42側に向かうに従って連続的に小さくなる縮幅部411を有する。これにより、基部41のY軸方向に沿った長さを小さくしつつ、振動漏れを小さくすることができる。
連結部43のX軸方向の外縁のうち、楕円で囲まれている領域AAの外縁、すなわち、切り欠き部Bの前記第1基部41の前記一端側、且つ前記連結部43の中央寄りの外縁は、角部を含まない連続的な線で構成されている。
従って、従来技術で述べたような曲線と直線との接続部が曲率の不連続となる角部Aを有していないため、応力が集中しやすい部分がなくなり、耐衝撃性を十分に高めることができる。
以下、図6および図7に基づいて、縮幅部411の作用について詳述する。
図6(a)は、図3に示す振動片を模式的に示す平面図(縮幅部を考慮した図)、図6(b)は、図6(a)に示す振動片の簡略化モデルを示す平面図である。また、図7は、図6に示す振動片の振動漏れ抑制の原理を説明する平面図であって、(a)〜(d)は、基部の各部(第1〜4連結部)の作用を説明する図である。
連結部43のX軸方向の外縁のうち、第1基部41側の縮幅部411の外縁は、振動腕の屈曲振動により第1基部41と連結部43の第1基部41側の領域とに生じる変形を低減する効果を有している。
本発明に係る縮幅部411を振動腕5、6の先端方向と反対側に形成した場合を図6(a)に示す。図6(b)に示したように回転軸155を回転の中心とし、所定の半径Rを有する擬似的な剛体の回転体154に弾性棒151が接続されたものと、回転軸157を回転の中心とし、半径Rを有する擬似的な剛体の回転体156に弾性棒152が接続されたものとが、簡略化された基部168によって接続されているものと見做すことができる。
また、簡略化された基部168の代表的な連結部として、回転軸155、157よりも弾性棒151、152側に設けられた第1の連結部158と、回転軸155、157との間に設けられた第2の連結部159と、回転軸155、157よりも弾性棒の在る方向とは反対側に設けられた第3の連結部160と、第3の連結部160よりも弾性棒の先端方向とは反対側に設けられた第4の連結部169と、を考える。
2本の振動腕5、6が互いに離間するように屈曲変形した場合、弾性棒151、152が互いに離間するように屈曲変形したと見做すが、この場合、振動腕5、6の根元周辺から振動腕の先端方向とは反対側の方向の所定の場所に、変位ベクトルの渦が形成される。この渦の中心は、基部4を含む振動腕5、6の根元付近である場合が多いが、振動腕5、6や基部4の領域には属さない、仮想的な空間上に形成される場合もある。
ここでは説明の都合上、この渦の中心は基部4の領域に属するとし、且つ、弾性棒151、152からの距離は等しいとすると共に、この渦の中心を図6(b)における回転軸155、157とした。なお、この回転軸155、157を回転の中心とし、半径Rを有する擬似的な剛体の回転体154、156の外周の接線方向における変位は、弾性棒151、152の先端方向の側で最も大きく、弾性棒151、152の先端方向とは反対側の方向で最も小さい。
図7(a)において、簡略化された基部168の代表的な第1の連結部158は、擬似的な剛体の回転体154、156の回転運動によって強く伸ばされながら弾性棒151、152の先端側の方向に小さく移動する。
図7(b)において、簡略化された基部168の代表的な第2の連結部159も同様に、擬似的な剛体の回転体154、156の回転運動によって伸ばされながら弾性棒151、152の先端側の方向に移動する。
図7(c)において、簡略化された基部168の代表的な第3の連結部160は、擬似的な剛体の回転体154、156の回転運動によって圧縮されながら弾性棒151、152の先端側の方向に移動するが、このとき、第3の連結部160の長さ方向の中央周辺は、弾性棒151、152の先端側の方向、或は弾性棒151、152の先端方向とは反対側の方向のどちらかに変形する潜在力を有している。
図7(d)において、簡略化された基部168の代表的な第4の連結部169の場合は、擬似的な剛体の回転体154、156の回転運動によって圧縮されるが、アーチ形状をしているために変形し難く、更に変形する場合には、第4の連結部169の長さ方向の中央周辺が弾性棒151、152の先端方向とは反対側の方向に変位するように変形する。
従って、弾性棒151、152の離間運動によって、簡略化された基部168の代表的な第1乃至4の連結部158、159、160、169において、回転軸155と157を結ぶ方向へは圧縮や伸張の変形を発生させながら振動変位を相殺させる作用が働く。そして、第1乃至3の連結部158、159、160が弾性棒151、152の先端側の方向に変位するのを、第4の連結部169の変形し難さが妨げると共に、第4の連結部169の長さ方向の中央付近が弾性棒151、152の先端方向とは反対側の方向に変位するように変形することで相殺することができる。
結果として、簡略化された基部168に固定部材を形成した場合、即ち、基部167に固定部材を形成した場合、固定部材を介して外部へ漏洩するエネルギーが減少するので、振動漏れを低減させ、Q値の減少を低減することができる。
振動腕5、6は、X軸方向に並び、かつ、互いに平行となるように、それぞれ、基部4から+Y軸方向に延出している。これら振動腕5、6は、それぞれ、長手形状をなし、その基端が固定端となり、先端が自由端となる。また、振動腕5、6の先端部には、振動腕5、6の基端部よりもX軸方向に沿った幅が広い錘部59、69が設けられている。
図4に示すように、振動腕5は、XY平面で構成された一対の主面51、52と、YZ平面で構成され、一対の主面51、52を接続する一対の側面53、54とを有している。また、振動腕5は、主面51に開放する有底の溝55(溝部)と、主面52に開放する有底の溝56(溝部)とを有している。溝55、56は、それぞれ、Y軸方向に延在している。このような振動腕5は、溝55、56が形成されている部分では、略H型の横断面形状をなしている。
振動腕5と同様に、振動腕6は、XY平面で構成された一対の主面61、62と、YZ平面で構成され、一対の主面61、62を接続する一対の側面63、64とを有している。また、振動腕6は、主面61に開放する有底の溝65(溝部)と、主面62に開放する有底の溝66(溝部)とを有している。溝65、66は、それぞれ、Y軸方向に延在している。このような振動腕6は、溝65、66が形成されている部分では、略H型の横断面形状をなしている。
このような溝55、56は、図4に示すように、横断面において、振動腕5の厚みを二等分する線分に対して対称的(上下対称)に形成されているのが好ましい。同様に、溝65、66は、横断面において、振動腕6の厚みを二等分する線分に対して対称的(上下対称)に形成されているのが好ましい。これにより、振動腕5、6の不要な振動を抑制でき、振動腕5、6を効率的に水晶基板3の面内方向に振動させることができる。
このような振動腕5には、一対の第1駆動用電極84と一対の第2駆動用電極85とが形成されている。具体的には、一方の第1駆動用電極84は、溝55の内面に形成されており、他方の第1駆動用電極84は、溝56の内面に形成されている。また、一方の第2駆動用電極85は、側面53に形成されており、他方の第2駆動用電極85は、側面54に形成されている。
同様に、振動腕6にも、一対の第1駆動用電極84と一対の第2駆動用電極85とが形成されている。具体的には、一方の第1駆動用電極84は、側面63に形成されており、他方の第1駆動用電極84は、側面64に形成されている。また、一方の第2駆動用電極85は、溝65の内面に形成されており、他方の第2駆動用電極85は、溝66の内面に形成されている。
このような第1駆動用電極84と第2駆動用電極85との間に交番電圧を印加すると、振動腕5、6が互いに接近、離間を繰り返すように面内方向(XY平面方向)に所定の周波数で振動する。
第1駆動用電極84および第2駆動用電極85の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電材料により形成することができる。
以上、振動片2の構成を簡単に説明したが、以下、振動片2の特徴的部分について詳述する。
前述したように、基部4が第1基部41、第2基部42および連結部43を含んでいることにより、基部4のY軸方向に沿った長さを短くしつつ、振動漏れを小さくことができる。
ここで、第1基部41のX軸方向に沿った幅をS1とし、連結部43のX軸方向に沿った最小幅をS2としたとき、S2/S1が0.3以上0.6以下であることが好ましい。これにより、基部4のY軸方向に沿った長さを短くしつつ、振動漏れを効率的に小さくことができる。
また、第1基部41は、第1基部41の連結部43側の端部に設けられ、X軸方向に沿った幅が連結部43に向かうに従って連続的または断続的に小さくなっている縮幅部411を含んでいる。これにより、1対の振動腕5、6の互いに同一面内で接近または離間する屈曲振動に伴う第1基部41の変形を効果的に抑制することができる。その結果、第1基部41のY軸方向に沿った長さを短くしても、1対の振動腕5、6の、略面内において互いに接近と離間を交互に繰り返す屈曲振動に伴う第1基部41の変形を抑制し、基部4から外部への振動漏れを抑制することができる。
また、本実施形態では、平面視で、縮幅部411の外縁412と連結部43の外縁431とが角部を含まない連続した曲線となっており、当該曲線の第1基部41側の部分の接線とX軸方向に平行な線分とのなす角をθとしたとき、0°<θ<90°の関係を満たす。これにより、基部4に生じる応力を緩和するとともに、熱弾性損失を低減することができる。
また、6°≦θ≦70°の関係を満たすことが好ましい。これにより、縮幅部411および連結部43による効果を好適に生じさせることができる。すなわち、基部に生じる応力を緩和するとともに、熱弾性損失をより効果的に低減することができる。
また、前述したように、振動片2の共振周波数fが熱緩和周波数f0よりも大きくなるように設定されている場合において、平面視における連結部43の外縁431と1対の振動腕5、6間に形成された股部の外縁413との間の最接近距離である基部屈曲幅をWbとし、振動腕5、6の長手方向と直交する面における振動腕5、6の断面形状を、熱弾性損失が等価となる同一厚さの矩形形状に置換した振動腕の腕幅である実効腕幅をWeとしたときに、Wb>Weの関係を満たしていることが好ましい。これにより、第1基部41の断面で発生する熱弾性損失が振動腕5、6で発生する熱弾性損失よりも小さくなることから、第1基部41の熱弾性損失に起因する振動片2のQ値の劣化が抑制され、Q値の向上を図ることができる。
また、1対の振動腕5、6の全体のX軸方向に沿った幅をWaとし、基部4のX軸方向に沿った幅をSとしたとき、Wa/S(より具体的にはWa/S1)が85%以上115%以下であることが好ましい。これにより、振動片2のX軸方向に沿った幅を小さくしながら、振動腕5、6の強度およびQ値を高めることができる。
また、前述したように、振動腕5には、溝55、56が設けられ、同様に、振動腕6には、溝65、66が設けられている。すなわち、振動腕5は、振動腕5のX軸方向およびY軸方向に沿った2つの主面51、52に形成され、Y軸方向に延びている有底の溝55、56(溝部)を含んでいる。同様に、振動腕6は、振動腕6のX軸方向およびY軸方向に沿った2つの主面61、62に形成され、Y軸方向に延びている有底の溝65、66(溝部)を含んでいる。
このような溝55、56、65、66が形成された振動腕5、6によれば、振動腕5、6の面内屈曲振動に伴って発生する熱が拡散(熱伝導)し難くなり、屈曲振動周波数(機械的屈曲振動周波数)fが熱緩和周波数f0より大きな領域(f>f0)である断熱的領域では、熱弾性損失を抑制することができる。すなわち、f/f0>1なる関係を満たすことにより、振動腕5、6を断熱的領域とすることができ、Q値の低下を低減することができる。
一般に、振動腕の主面に溝を形成すると、振動腕の機械的強度が低下する。振動腕の幅や厚さを大きくすることにより、振動腕の強度を高めたり熱弾性損失を低減したりすることができる。
ここで、音叉型振動片の基本波の共振周波数fは、以下の式を満足することが知られている。
f∝W/L ・・・・・・・式1
なお、Wは腕部の幅、Lは、腕部の長さを示している。
すなわち、基本波の共振周波数を一定とした場合、振動片の腕部の長さLを短くすればするほど、腕部の幅Wも細くなるという関係になっている。
そこで、振動腕の長さを一定とし、基本波の共振周波数を例えば、32.768(kHz)とした場合、単に、Q値を向上させるために、振動腕を第1腕部と、第1腕部よりも幅の広い第2腕部(錘部)とから構成しようとした場合、錘部の錘効果により周波数が32.768(kHz)から低下してしまうため、これを避けて、共振周波数を一定に保つために振動腕の第1腕部の幅を広げる必要がある。一方、第1腕部と、第2腕部(錘部)との接合部に応力が集中してしまう虞があるため、過度な外力が作用した場合などに破損しないように、第1腕部の幅と第2腕部(錘部)の幅との関係において最適化を試み、周波数を32.768(kHz)に保ちつつ、耐衝撃性を向上させる必要がある。
そこで、振動腕5、6は、以下に述べるような構成を有するとともに寸法の最適化が図られている。
前述したように、振動腕5、6の先端部には、振動腕5、6の基端部よりもX軸方向に沿った幅が広い錘部59、69が設けられている。すなわち、振動腕5、6は、基部4から延出している腕部50、60と、腕部50、60に対して基部4とは反対側に設けられ、腕部50、60よりもX軸方向に沿った幅が大きい錘部59、69と、を含んでいる。
このように振動腕5、6の先端側に錘部59、69が設けられていることによりQ値の改善を図り、振動腕5、6の腕部50、60の幅を大きくして、屈曲振動の共振周波数を一定に保つことができる。従って、振動腕5、6の強度を高めるとともに、熱弾性損失を小さくしてQ値を高めることができる。その結果、耐衝撃性を高めるとともに、CI値を小さくすることができる。
特に、腕部50、60のX軸方向に沿った幅(以下、「腕部50、60の幅」または「腕幅」ともいう)をW1とし、振動腕5、6の溝55、56、65、66のそれぞれの両側に位置する部分(以下、「土手部」ともいう)の幅(以下、「土手幅」ともいう)をW3とし、2×W3/W1をηとしたとき、14.2%<η<100%(100%とは、腕部に溝が形成されていない状態を示している)の関係を満たすことが好ましい。
このように振動腕5、6の腕部50、60の幅に対する溝55、56、65、66のX軸方向に沿った幅(以下、単に「溝55等の幅」ともいう)の割合を最適化することにより、振動腕5、6の強度およびQ値を効率的に高めることができる。ここで、振動腕5の土手部の幅W3は、主面51における溝55を挟む2つの部分51a、51bのそれぞれのX軸方向に沿った幅、また、主面52における溝56を挟む2つの部分52a、53bのそれぞれのX軸方向に沿った幅である。なお、振動腕6の土手部の幅W3についても、振動腕5の土手部の幅W3と同様である。
以下、ηについて詳述する。
本発明者は、腕部50、60の幅を広げつつ、腕部50、60の幅に対する土手部の幅の割合ηを変化させた場合のQ値をシミュレーションにより検証を行った。
図8は、従来技術で掲げた特許文献1に記載されている振動片を示す平面図、図9(a)は、従来の特許文献1に記載されている振動片の振動腕の断面図(図8中のD−D線断面図)、図9(b)は、本発明の振動片の振動腕の横断面の一例を示す図である。
本シミュレーションでは、図3に示す平面視形状(錘部あり)の振動片2および図8に示す平面視形状(錘部なし)の振動片2Xを用いている。本シミュレーションで用いる振動片2Xは、共振周波数が32.768kHzとなるように、振動腕5X、6Xの横断面が図9(a)に示すような形状および寸法に設定されている。一方、本シミュレーションで用いる振動片2は、振動片2Xと同じ共振周波数、全長および全幅に設定されているとともに、振動片2の振動腕5、6の横断面が図9(b)に示すような形状および寸法に設定されている。
振動片2の振動腕5、6の各寸法は、以下の範囲で評価を行った。
錘部59、69の幅W2:215(μm)
腕部50、60の幅W1:130〜141(μm)
土手部の幅W3:10〜65(μm)
腕部50、60の厚さt:120(μm)
溝55、56、65、66の深さ:50(μm)
本シミュレーションの結果を表1および図10に示す。
Figure 0006209886
なお、表1に示すQ値は、共振周波数の多少のずれを補正して、共振周波数が32.768kHzとなる場合の値として算出している。
図10は、腕部の幅に対する土手部の幅の割合とQ値との関係を示すグラフである。
図10に示すように、形状「錘部あり」の場合、14.2%<η<100%の範囲において、特許文献1のQ値(31,573)を超えて改善されていることが確認された。
また、図10に示すように、ηが小さくなるほど、Q値が大きくなることが観察できるが、土手部の幅が7(μm)より小さくなると、Q値が下降し始めることがシミュレーションにより確認されている。更に、土手部の幅が7(μm)では、ηの値が、9.9%(=7×2/141)、10.7%(=7×2/130)と割合が小さくなり振動腕の機械的強度の低下、所謂、耐衝撃性の低下が問題となってくる。
更に、腕部50、60の幅W1と土手部の幅W3の範囲を以下のようにしても、Q値が、特許文献1のQ値(31,573)よりも高いことが確認されている。
腕部50、60の幅W1:120〜150(μm)
土手部の幅W3:15〜30(μm)
このときのηは、以下の通りである。
η=2×W3/W1 = 2×15μm/120μm= 25.0%
η=2×W3/W1 = 2×30μm/120μm= 50.0%
η=2×W3/W1 = 2×15μm/150μm= 20.0%
η=2×W3/W1 = 2×30μm/150μm= 40.0%
したがって、ηは以下を満足する。
20.0%≦η≦50.0%
更に、腕部50、60の幅W1に対する錘部59、69の幅W2の割合は以下の通りとなる。
W2/W1=215/120=1.79
W2/W1=215/150=1.43
従って、W2/W1は、以下を満足する。
1.43≦W2/W1≦1.79
W2/W1を上記の関係にすることにより、腕部50、60と、錘部59、69との接合部に応力が集中してしまうことを低減させることができるので、過度な外力が作用した場合であっても、破損せず、耐衝撃性を向上させることが可能である。
以上のようなηとQ値との関係から、14.2%<η<100%の関係を満たすことにより、振動腕5、6の長さを増大させることなく、振動腕5、6の強度およびQ値を効率的に高めることができるが、振動片の耐衝撃性を考慮すれば、その効果をより高めるには、20%≦η≦50%の関係を満たすことが好ましく、25%≦η≦40%の関係を満たすことがさらに好ましい。
また、振動腕5、6のY軸方向に沿った全体の長さ(以下、単に「振動腕5、6の長さ」ともいう)をLとし、錘部59、69のY軸方向に沿った長さ(以下、単に「錘部59、69の長さ」ともいう)をLxとしたとき、Lx/Lが20%以上60%以下であることが好ましい。
このようにLx/Lを最適化することにより、振動腕5、6の長さを増大させることなく、振動腕5、6の強度およびQ値をより効率的に高めることができる。
以下、Lx/LおよびW2/W1について詳述する。
図11は、錘部占有率と高性能化指数との関係を示すグラフである。
図11において、横軸は、振動腕5、6の長さLに対して錘部59、69の長さlが占める割合(Lx/L)である錘部占有率(%)であり、縦軸は、低周波数指数と高Q値化指数とを掛け合わせた値として定義される高性能化指数である。ここで、低周波数化指数は、値が大きくなるほど振動片の低周波数化(言い換えれば振動片の小型化)が効率的に図れることを示す指数である。また、高Q値化指数は、値が大きくなるほど振動片のQ値の低下を効率的に軽減できることを示す指数である。
図11に示すように、錘部占有率が38%であるときに、高性能化指数が最大(1.0)となる。すなわち、Lx/Lが38%であるときに、振動片の低周波数化(小型化)および高Q値化の双方の両立を最も効率的に図れる。
したがって、本発明に係る振動片2において、Lx/Lを約38%を中心とした20%以上60%以下とすることにより、図11に示すように高性能化指数を0.8以上とし、小型化および高Q値化を効率的に図ることができる。
また、Lx/Lは、35%以上41%以下であることが好ましい。これにより、図11に示すように高性能化指数を最大値に近い値とし、小型化および高Q値化をより効率的に図ることができる。
以上のような錘部占有率と高性能化指数との関係から高い高性能化指数を実現するうえで、上述したように錘部59、69のX軸方向に沿った幅(以下、単に「錘部59、69の幅」ともいう)をW2としたとき、W2/W1が1.43以上1.79以下であることが好ましい。
このようにW2/W1を最適化することにより、振動片2のX軸方向に沿った全体の幅の増大を抑制しつつ、錘部59、60を設けることによる効果(錘効果)を生じさせることができる。
また、腕部50、60の幅W1は、120μm以上150μm以下であることが好ましく、130μm以上141μm以下であることがさらに好ましい。これにより、振動片2の周波数を一定に保ちつつ、振動腕5、6の強度を優れたものとするとともに、熱弾性損失を低減することができる。
また、腕部50、60の厚さtは、100μm以上300μm以下であることが好ましく、110μm以上200μm以下であることがより好ましく、115μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。これにより、振動腕5、6の腕部50、60の厚さが比較的厚くなるため、振動腕5、6の強度を高めることができる。また、振動腕5、6の腕部50、60の厚さが比較的厚いことにより、振動腕5、6の電界がかかる面積を大きく確保することができる、すなわち第1駆動用電極84と第2駆動用電極85との間に挟まれている励振部の面積を大きくすることができ電界効率を高めることができるので、CI値を小さくすることができる。
これに対し、腕部50、60の厚さtが小さすぎると、振動腕5、6の強度が著しく低下する傾向を示す。一方、腕部50、60の厚さtが大きすぎると、振動片2の外形をウエットエッチングのみで形成することが難しくなる。
また、腕部50、60のそれぞれの厚さをtとし、溝55、56同士の間の距離および溝65、66同士の間の距離のそれぞれ(すなわち振動腕5、6のそれぞれの幅方向での中央部の厚さ)をt1としたとき、t1/tが10%以上40%以下であることが好ましく、15%以上30%以下であることがより好ましく、15%以上20%以下であることがさらに好ましい。これにより、振動腕5、6の強度を優れたものとしつつ、振動腕5、6の電界がかかる面積を大きく確保することができる。
また、振動腕5、6の土手部の幅W3は、15μm以上30μm以下であることが好ましく、18μm以上25μm以下であることがより好ましい。これにより、振動腕5、6の強度を優れたものとしつつ、CI値を小さくすることができる。
また、図4に示すように、溝55は、第1駆動用電極84(励振電極)が設けられている部分である電極形成領域551と、電極形成領域551に対して基部4とは反対側に位置し、駆動用電極が設けられていない部分である電極未形成領域552と、を有している。同様に、溝56は、電極形成領域561および電極未形成領域562を有し、溝65は、電極形成領域651および電極未形成領域652を有し、溝66は、電極形成領域661および電極未形成領域662を有する。
このような電極未形成領域552、562、652、662(以下、「電極未形成領域552等」ともいう)を形成することにより、高次モードの振動(高調波)の発生を抑制しつつ、等価直列容量C1を小さくしたメインモードの振動(基本波)を発生させることができる。
ここで、基本波CI値とCI値比との関係および基本波CI値と溝部の長さとの関係について説明する。
振動片2は、その振動により基本波の周波数で信号を発振するようになっているが、同時に高調波の周波数でも同様の信号を発振してしまう特性を有している。そして、この高調波の信号を振動子等の機器において基本波の周波数の信号と間違えて拾ってしまうと、機器に異常をもたらすおそれがある。
そこで、このような事態を未然に防ぐ方法として、CI値比を基準に設計する方法がある。このCI値比は、高周波のCI値を基本波のCI値で割ったもの(高周波CI値/基本波CI値)である。すなわち、高周波CI値が基本波CI値より大となり、このCI値比が1.0以上となれば、高周波での信号の発振が発生し難くなり、機器等が誤って高調波の信号を拾うおそれが小さくなり、高性能な振動片となる。
溝55、56、65、66のY軸方向に沿った長さをLdとし、電極形成領域551、561、651、661(以下、「電極形成領域551等」ともいう)のY軸方向に沿った長さ(以下、「電極形成領域551等の長さ」ともいう)をL1としたとき、本実施例においては、
Ld=900(μm)
L1=700(μm)
とした。
溝の長さLdに対する電極形成領域L1の割合は、77.8%となるが、許容されるバラツキとして±5%を考慮して、72.8%以上82.8%以下となることが好ましく、74.8%以上81.8%以下であることがより好ましい。これにより、効率的に、等価直列容量C1を小さくしつつ、CI値を小さくすることができる。
また、電極未形成領域552、562の基部4側の端は、錘部59と振動腕5の高調波振動の節との間に位置していることが好ましい。同様に、電極未形成領域652、662の基部4側の端は、錘部69と振動腕6の高調波振動の節との間に位置していることが好ましい。これにより、高次モードの振動の発生を効率的に抑制することができる。
また、振動腕5、6の基部4とは反対側の端と基部4の振動腕5、6とは反対側の端との間の距離(すなわち振動片2のY軸方向に沿った全長)をLaとし、1対の振動腕5、6および基部4からなる構造体(すなわち水晶基板3)の重心と基部4の振動腕5、6とは反対側の端との間の距離をLgとしたとき、Lg/Laが2/3以下であることが好ましい。これにより、振動片2をパッケージ9に対して接着剤等により固定する際に、その固定が容易となる。
また、駆動用電極84、85は、駆動用電極84、85の導電性および水晶基板3に対する密着性を優れたものとするという観点から、下地層と、その下地層の振動腕5、6とは反対側に積層された被覆層と、を含んでいることが好ましく、この場合、下地層の厚さをTbとし、被覆層の厚さをTcとしたとき、Tb/Tc≦4/7の関係を満たすことが好ましい。これにより、下地層が作動温度範囲の低温側に相転移点を有する場合であっても、作動温度範囲の低温側におけるCI値を小さくすることができる。
被覆層の構成材料としては、駆動用電極84、85の導電性および耐腐蝕性を確保する観点から、導電性および耐腐蝕性に優れた金属、例えば、金を用いることが好ましい。一方、下地層の構成材料としては、被覆層と水晶基板3との密着性を高める観点から、例えば、クロムを用いることが好ましい。
下地層がクロムで構成されている場合、下地層の厚さは、50Å以上700Å以下であることが好ましい。クロムは、下地層としての機能に優れるものの、比較的低温において相転移点を有する。そこで、クロムで構成された下地層の厚さを50Å以上700Å以下程度に薄くすることにより、下地層としての機能を発揮させつつ、下地層のクロムの低温領域における相転移に起因するCI値上昇を抑制することができる。
また、基本波のQ値をQ1とし、高調波のQ値をQ2とし、基本波のクリスタルインピーダンスをR1とし、高調波のクリスタルインピーダンスをR2としたとき、Q1<Q2なる関係を満たし、かつ、R1<R2なる関係を満たしていることが好ましい。これにより、高次モードの振動を効率的に小さくすることができる。
(パッケージ)
図1および図2に示すパッケージ9は、上面に開放する凹部911を有する箱状のベース91と、凹部911の開口を塞ぐようにベース91に接合されている板状のリッド92とを有している。このようなパッケージ9は、凹部911がリッド92にて塞がれることにより形成された収納空間を有しており、この収納空間に振動片2が気密的に収納されている。また、凹部911には、段差部912が設けられており、振動片2は、基部4の第2基部42にて、例えば、エポキシ系、アクリル系の樹脂に導電性フィラーを混合した導電性接着剤11を介して段差部912に固定されている。
なお、収納空間内は、減圧(好ましくは真空)状態となっていてもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。これにより、振動片2の振動特性が向上する。
ベース91の構成材料としては、特に限定されないが、酸化アルミニウム等の各種セラミックスを用いることができる。また、リッド92の構成材料としては、特に限定されないが、ベース91の構成材料と線膨張係数が近似する部材であると良い。例えば、ベース91の構成材料を前述のようなセラミックスとした場合には、コバール等の合金とするのが好ましい。なお、ベース91とリッド92の接合は、特に限定されず、例えば、接着剤を介して接合してもよいし、シーム溶接等により接合してもよい。
また、ベース91の段差部912には、接続端子951、961が形成されている。図示しないが、振動片2の第1駆動用電極84は、基部4の第2基部42まで引き出されており、当該部分にて、導電性接着剤11を接続端子951と電気的に接続されている。同様に、図示しないが、振動片2の第2駆動用電極85は、基部4の第2基部42まで引き出されており、当該部分にて、導電性接着剤11を介して接続端子961と電気的に接続されている。
また、接続端子951は、ベース91を貫通する貫通電極(図示せず)を介してベース91の底面に形成された外部端子(図示せず)に電気的に接続されており、接続端子961は、ベース91を貫通する貫通電極(図示せず)を介してベース91の底面に形成された外部端子(図示せず)に電気的に接続されている。
接続端子951、961、貫通電極および外部端子の構成としては、それぞれ、導電性を有していれば、特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)に、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの各被膜を積層した金属被膜で構成することができる。
以上説明したような振動片2によれば、振動腕5、6の先端部に錘部59、60が設けられているので、振動腕5、6の長さを増大させることなく、振動腕5、6の腕部50、60の幅を大きくし、振動腕5、6の強度を高めるとともに、熱弾性損失を小さくしてQ値を高めることができる。その結果、小型化を図りつつ、耐衝撃性を高めるとともに、CI(クリスタルインピーダンス)値を小さくすることができる。
特に、ηが最適化されているので、振動腕5、6の強度およびQ値を効率的に高めることができる。
このようなことから、振動片2では、小型化を図りつつ、耐衝撃性を高めるとともに、50kΩよりも小さいCI値を実現することができる。
また、このような振動片2を備える振動子1は、優れた信頼性を有する。
2.発振器
次いで、本発明の振動片を適用した発振器(本発明の発振器)について説明する。
図12は、本発明の発振器の一例を示す断面図である。
図12に示す発振器10は、振動片2と、振動片2を駆動するためのICチップ(チップ部品)80とを有している。以下、発振器10について、前述した振動子との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
パッケージ9Aは、凹部911Aを有する箱状のベース91Aと、凹部911Aの開口を塞ぐ板状のリッド92とを有している。
ベース91Aの凹部911Aには、段差部912Aが設けられている。
段差部912Aには、接続端子(図示せず)が形成されている。また、凹部911Aの底面(段差部912Aよりも底側の面)には、ICチップ80が配置されている。ICチップ80は、振動片2の駆動を制御するための駆動回路(発振回路)を有している。ICチップ80によって振動片2を駆動すると、所定の周波数の信号を取り出すことができる。
また、凹部911Aの底面には、ワイヤーを介してICチップ80と電気的に接続された複数の内部端子(図示せず)が形成されている。これら複数の内部端子には、ベース91Aに形成された図示しないビアを介してパッケージ9Aの底面に形成された外部端子(図示せず)に電気的に接続された端子と、図示しないビアやワイヤーを介して接続端子(図示せず)に電気的に接続された端子とが含まれている。
なお、図12の構成では、ICチップ80が収納空間内に配置されている構成について説明したが、ICチップ80の配置は、特に限定されず、例えば、パッケージ9Aの外側(ベースの底面)に配置されていてもよい。
このような発振器10によれば、優れた信頼性を発揮することができる。
3.電子機器
次いで、本発明の振動片を適用した電子機器(本発明の電子機器)について、図13〜図15に基づき、詳細に説明する。
図13は、本発明の振動片を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動子1が内蔵されている。
図14は、本発明の振動片を備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。このような携帯電話機1200には、フィルター、共振器等として機能する振動子1が内蔵されている。
図15は、本発明の振動片を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチルカメラ1300には、フィルター、共振器等として機能する振動子1が内蔵されている。
なお、本発明の振動片を備える電子機器は、図13のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図14の携帯電話機、図15のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
4.移動体
次いで、本発明の振動片を適用した移動体について、図16に基づき、詳細に説明する。
図16は、本発明の振動片を備える電子機器を適用した移動体(自動車)の構成を示す斜視図である。この図において、移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、発振器10(振動片2)が内蔵されている。
このような電子機器によれば、優れた信頼性を発揮することができる。
なお、発明の振動片を備える移動体は、自動車に限定されず、例えば、オートバイ、鉄道等の他の車両、航空機、船舶、宇宙船等にも適用可能である。
以上、本発明の振動片、振動子、発振器、電子機器および移動体について図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、振動片としては、発振器に限定されず、例えば、ジャイロセンサーのようなセンサーにも適用することができる。
1‥‥振動子 2‥‥振動片 2X‥‥振動片 3‥‥水晶基板 4‥‥基部 5‥‥振動腕 5X‥‥振動腕 6‥‥振動腕 6X‥‥振動腕 9‥‥パッケージ 9A‥‥パッケージ 10‥‥発振器 11‥‥導電性接着剤 41‥‥第1基部 42‥‥第2基部 43‥‥連結部 50‥‥腕部 51‥‥主面 51a‥‥部分 52‥‥主面 52a‥‥部分 53‥‥側面 54‥‥側面 55‥‥溝 56‥‥溝 59‥‥錘部 60‥‥腕部 61‥‥主面 62‥‥主面 63‥‥側面 64‥‥側面 65‥‥溝 66‥‥溝 69‥‥錘部 80‥‥ICチップ 84‥‥駆動用電極 85‥‥駆動用電極 91‥‥ベース 91A‥‥ベース 92‥‥リッド 95‥‥接続端子 96‥‥接続端子 100‥‥表示部 411‥‥縮幅部 412‥‥外縁 413‥‥外縁 431‥‥外縁 551‥‥電極形成領域 552‥‥電極未形成領域 561‥‥電極形成領域 562‥‥電極未形成領域 651‥‥電極形成領域 652‥‥電極未形成領域 661‥‥電極形成領域 662‥‥電極未形成領域 911‥‥凹部 911A‥‥凹部 912‥‥段差部 912A‥‥段差部 951‥‥接続端子 961‥‥接続端子 1100‥‥パーソナルコンピューター 1102‥‥キーボード 1104‥‥本体部 1106‥‥表示ユニット 1200‥‥携帯電話機 1202‥‥操作ボタン 1204‥‥受話口 1206‥‥送話口 1300‥‥ディジタルスチルカメラ 1302‥‥ケース 1304‥‥受光ユニット 1306‥‥シャッターボタン 1308‥‥メモリー 1312‥‥ビデオ信号出力端子 1314‥‥入出力端子 1430‥‥テレビモニター 1440‥‥パーソナルコンピューター 1500‥‥移動体 1501‥‥車体 1502‥‥車輪 151、152‥‥弾性棒 154、156‥‥回転体 155、157‥‥回転軸 168‥‥基部 158‥‥第1の連結部 159‥‥第2の連結部 160‥‥第2の連結部 169‥‥第4の連結部 12‥‥曲線 12a‥‥直線

Claims (14)

  1. 基部と、
    前記基部の一端から第1方向に沿って延出され、かつ、前記第1方向に交差する第2方向に沿って並んでいる1対の振動腕と、
    を含み、
    前記基部は、
    前記振動腕が延出している第1基部と、
    前記第1基部に対して前記振動腕側とは反対側に設けられている第2基部と、
    前記第1基部と前記第2基部とを連結している連結部と、
    前記第2方向に沿って設けられ、外側に向うに従って前記第1方向に沿った開口幅が広がっている切り欠き部と、
    を含み、
    前記切り欠き部の前記第1基部の前記一端側、且つ前記連結部の中央寄りの外縁は、角部を含まない連続的な線であり、
    当該外縁の接線と前記第2方向に平行な線分とのなす角をθとしたとき、
    °θ≦70°の関係を満たすことを特徴とする振動片。
  2. 前記第1基部の前記第2方向に沿った幅をS1、
    前記連結部の前記第2方向に沿った最小幅をS2としたとき、
    S2/S1が0.3以上0.6以下である請求項に記載の振動片。
  3. 前記振動腕は、
    前記基部側に配置されている腕部と、
    前記腕部に対して前記基部とは反対側に配置されている錘部と、
    を含む請求項1または2に記載の振動片。
  4. 前記錘部は、前記腕部よりも前記第2方向に沿った幅が大きく、
    前記腕部の前記第2方向に沿った幅をW1、
    前記錘部の前記第2方向に沿った幅をW2としたとき、
    W2/W1が1.43以上1.79以下である請求項に記載の振動片。
  5. 前記振動腕の互いに表裏の関係にある前記第1の主面および前記第2の主面のうちの少なくとも一方の主面に、前記第1方向に沿って設けられている溝部を含む請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動片。
  6. 前記腕部の前記第2方向に沿った幅をW1とし、前記溝部が設けられている前記主面における前記溝部を挟む2つの部分のそれぞれの前記第2方向に沿った幅をW3とし、2×W3/W1をηとしたとき、
    14.2%<η<100%の関係を満たす請求項に記載の振動片。
  7. 20%≦η≦50%の関係を満たす請求項に記載の振動片。
  8. 25%≦η≦40%の関係を満たす請求項に記載の振動片。
  9. 前記振動腕に設けられている励振電極を含み、
    前記励振電極は、下地層と、前記下地層の前記振動腕とは反対側に積層された被覆層と、を含み、
    前記下地層の厚さをTb、
    前記被覆層の厚さをTcとしたとき、
    Tb/Tc≦4/7の関係を満たす請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動片。
  10. 前記下地層は、クロムで構成されており、
    前記下地層の厚さは、50Å以上700Å以下である請求項に記載の振動片。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の振動片と、
    前記振動片が搭載されているパッケージと、を備えていることを特徴とする振動子。
  12. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の振動片と、
    回路と、を備えていることを特徴とする発振器。
  13. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の振動片を備えていることを特徴とする電子機器。
  14. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の振動片を備えていることを特徴とする移動体。
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