JP6209484B2 - 容器詰飲料の製造方法及び容器詰飲料の呈味及び/又は香味劣化抑制方法 - Google Patents
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Description
容器詰飲料は、密封・殺菌がなされていることから、長期間の保存に適しているものの、製造工程の中で加えられる熱や、飲用液中に残存する溶存酸素が容器詰飲料の呈味、香味、及び外観品質の経時劣化要因となり得る。
従って、これらを制御して商品の経時劣化を抑制することは容器詰飲料の製造にあたって極めて重要な事項である。
このような要望に基づき、容器詰飲料に使用されるPETボトル容器についても、近年薄型軽量化が進められている。
これらの容器は、柔らかくて潰し易く、廃棄時の体積量を削減できるだけでなく、同じ量の原料で、より多くの容器を製造することが可能であることから、資源の削減、並びに容器の原料コストの削減にも貢献することができる。
これを実現する為には、製造工程における飲用液の加熱時間を短縮すると共に、飲用液の温度や品質を常に均質化しておくことが重要である。
このためには、酸化等の劣化要因となる、飲用液中の溶存酸素量が低濃度となるように制御すると共に、製造工程における飲用液の濃度ムラや温度ムラをできるだけ抑制し、飲用液全体で常に一定の成分組成、温度が保持されるように調整する必要がある。
このような経時劣化は、例えば、緑茶飲料や中国茶飲料等の茶系飲料のように、微妙な香味バランスの上に成立している清涼飲料の場合、より深刻であり、製造時における飲用液には、上述のような容器の薄型軽量化にも耐え得る高い品質が要求される。
しかしながら、前記特許文献に係る発明にあっては、飲料の充填工程等における新たな酸素の溶解は抑制し得るものの、充填された飲用液中に元々存在している溶存酸素を減少させるものではない。
しかしながら、本方法にあっては、減圧環境下で飲用液を直接強制脱気(脱酸素)することから、飲用液中に存在している様々な香味成分も酸素と共に飲用液から除去されてしまう。
このため、香味バランスが極めて重要な品質指標である茶系飲料に対しては好ましい方法ではない。
このため、例えば容器詰飲料が茶系飲料である場合には、加熱殺菌工程において、カテキン、カフェイン等の苦渋味成分、アミノ酸等の旨味成分、及び香味成分等のバランスが崩れ、また、高温で長時間に亘り加熱されることで焦げ臭等の発生要因ともなり得る。
更に、冷温状態の飲用液を直接加熱した場合、加熱された飲用液に温度ムラができ易く、飲用液全体を殺菌温度へ加熱するのに必要な熱エネルギーも増大し、エネルギーコストの面において好ましくない。
また、温度ムラを抑制するために、飲用液を激しく攪拌した場合、溶存酸素が増大する等、別途のダメージ要因ともなり得る。
しかしながら、中空糸膜を用いる場合は、別途の製造設備費用が必要となると共に、この方法を茶飲料の製造方法に適用した場合、カテキンやカフェイン等の成分も合わせて減少してしまうことから、やはり飲用液の香味バランスを崩す要因となり得る。
また、飲用液に直接触れる部分に脱酸素剤を配置することは商品の安全上、好ましいものではない。
(1)
植物体の抽出物を含有する容器詰飲料の製造方法であって、
前記植物体の抽出物を含有する1又は2種以上の原料液に、前記原料液よりも高温の水を混合することによって前記原料液を加熱すると共に、前記原料液と水との混合液中における溶存酸素量を調整する一次加熱・脱酸素工程と、前記一次加熱・脱酸素工程の後に、前記混合液を殺菌温度まで加熱して一定時間ホールドする二次加熱・殺菌工程と備え、
前記一次加熱・脱酸素工程において前記混合液中の溶存酸素量が0.1ppm〜3.0ppmの範囲となるように調整されることを特徴とする容器詰飲料の製造方法。
(2)
前記植物体は、乾燥重量比で10.0wt%〜30.0wt%のタンパク質を含有することを特徴とする1の容器詰飲料の製造方法。
(3)
前記植物体の抽出物には、茶葉抽出物が含まれることを特徴とする1または2の容器詰飲料の製造方法。
(4)
前記一次加熱・脱酸素工程において、前記混合液の温度が45℃〜95℃の範囲となるように調整されることを特徴とする1〜3いずれか1の容器詰飲料の製造方法。
(5)
前記一次加熱・脱酸素工程において、前記混合液の密度(g/cm3)が0.97〜1.00となるように調製されることを特徴とする1〜4いずれか1の容器詰飲料の製造方法。
(6)
前記殺菌温度が120〜140℃の範囲であることを特徴とする1〜5いずれか1の容器詰飲料の製造方法。
(7)
前記一次加熱・脱酸素工程において、前記水と前記原料液が一定の質量比となるように混合されることを特徴とする1〜6いずれか1の容器詰飲料の製造方法。
(8)
前記水の一部又は全部が、予め溶存酸素を除去した脱気水であることを特徴とする1〜7いずれか1の容器詰飲料の製造方法。
(9)
前記容器詰飲料は緑茶飲料であることを特徴とする1〜8いずれか1の容器詰飲料の製造方法。
(10)
前記二次加熱・殺菌工程後に、前記混合液を所定の容器に充填する容器充填工程を更に備え、前記容器充填工程は、無菌環境下において行われることを特徴とする1〜9いずれか1の容器詰飲料製造方法。
(11)
前記容器充填工程は、常温環境下において行われることを特徴とする10の容器詰飲料の製造方法。
(12)
製造工程の全部又は一部を不活性ガス雰囲気下において行うことを特徴とする1〜11いずれか1の容器詰飲料の製造方法。
(13)
植物体の抽出物を含有する容器詰飲料の呈味及び/又は香味劣化抑制方法であって、
前記植物体の抽出物を含有する1又は2種以上の原料液に、前記原料液よりも高温の水を混合することによって前記原料液を加熱すると共に、前記原料液と水との混合液中における溶存酸素量を調整する一次加熱・脱酸素工程と、前記一次加熱・脱酸素工程の後に、前記混合液を殺菌温度まで加熱して一定時間ホールドする二次加熱・殺菌工程と備え、
前記植物体は、乾燥重量比で10.0wt%〜30.0wt%のタンパク質を含有すると共に、前記一次加熱・脱酸素工程において前記混合液中の溶存酸素量が0.1ppm〜3.0ppmの範囲となるように調整されることを特徴とする容器詰飲料の呈味及び/又は香味劣化抑制方法。
従って、二次加熱・殺菌工程における加熱ムラが発生することなく、スムーズに加熱されるため、製造工程における加熱時間を短縮することができ、茶系飲料のように、微妙な香味バランスの上に成立する飲料についても好適に適用することができる。
本実施形態において植物体とは、茶葉の他、麦、黒豆、米、あわ、ひえ等、所謂五穀類を好適に選択でき、更に抽出溶媒に浸漬等することにより、含有成分を抽出しうるものであれば適宜選択することができる。
また葉、茎、根、種子、花弁等、植物体における構成部位は特に問わない。
また、抽出方法については、単に抽出溶媒に浸漬する方法の他、公知の手法を選択可能であり、抽出溶媒としては熱水、冷水の他、所定の有機溶媒を選択することもできるが、飲料に用いることから、抽出溶媒は水が好ましい。
また、抽出時においては、必要に応じ圧搾、ろ過、及び遠心分離等の処理を行うこともできる。
また、本実施形態において植物体の抽出物とは、前記抽出溶媒に植物体の含有成分が抽出された状態のもの、若しくは必要に応じこれを濃縮、又は乾燥して抽出成分を取り出した固形物であっても良い。
また、前記植物体は必要に応じて裁断、加熱、乾燥等の工程を経て加工された植物体加工物の形態であってもよい。
また、抽出対象物である前記植物体は、乾燥重量比でタンパク質を10.0〜30.0wt%含有することが好ましく、含有タンパク質は12.0〜30.0wt%であることがより好ましく、15.0〜30.0wt%であることが更に好ましい。
タンパク質量が10.0wt%以下の場合、抽出液において、飲料の香味形成や旨味形成が不足し、30.0%を超えると、本発明に係る方法を用いても、劣化臭や澱の発生等経時劣化を十分に抑制しきれず、十分な品質を保持することが困難となる。
植物体として茶葉が選択される場合、本願に示す容器詰飲料の製造方法が適用可能であればその品種は特に限定されないが、例えばチャノキ(カメリア シネンシス:Camellia sinensis)であれば好適に選択できる。
また、植物体が茶葉である場合、茶葉は生の茶葉であっても良いが、植物体加工物として用いる場合には、生葉を蒸し、炒り等によって加熱する処理、揉捻処理等、所謂荒茶加工工程を経ることで加工された荒茶、若しくは前記荒茶を更に仕上げ加工して得られる煎茶、玉露等の製茶(仕上げ茶)、その他、烏龍茶等の半発酵茶、及び紅茶等の発酵茶等を用いることも可能である。
また、植物体が麦の場合は、焙煎麦の状態であっても良い、またこれら2種類以上をブレンドして用いることもできる。この他、前述の生茶葉を加熱せずに粉砕、切断加工したものを用いてもよい。
本実施形態において原料液には、前記抽出物が液体である場合、抽出物をそのまま用いることができる。
また、これら抽出物を濃縮した形態、若しくは乾燥させた固形物を再度水等の溶媒に所定濃度で溶解させたものを用いても良い。
また、原料液は必要に応じて1種又は2種以上のものを用いることができる。
なお、原料液には前記植物体の抽出物の他、後述する所定の添加物を含有させることができる。
(溶存酸素量、及び混合液の温度調整方法)
本実施形態において、原料液の希釈と一次加熱に用いる水は、予め脱気処理が施され、溶存酸素を除去した脱気水を含むことが好ましい。水の脱気方法としては、加熱に伴う脱気の他、デアレータ等の公知の手段を用いることができる。
水に脱気水を用いた場合、原料液と混合することで、一次加熱・脱酸素工程後の混合液の溶存酸素量を減少させることができる。
なお、混合液の溶存酸素量の調整は、原料液に混合する水を、脱気処理していない純水に置換することで行うことができ、温度の調整は脱気水の一部を別途加熱した加熱水とすることで調整することができる。
前記純水は特段の脱気処理を行っていないことから、純水の割合を増加させることによって、原料液と水の混合質量比を変化させることなく溶存酸素量を調整することができる。
また、脱気水の一部を加熱した加熱水を所定割合混合することによって、一次加熱・脱酸素工程後の混合液の温度を調整することができる。
(水の温度)
本実施形態にあっては、一次加熱・脱酸素工程に用いる水として、純水、脱気水、加熱水(脱気済)を用いた。純水は25℃、溶存酸素7.0ppmに調整され、脱気水は温度25℃、溶存酸素0ppmに調整され、加熱水は、95℃、溶存酸素0ppmに調整したものを夫々使用した。
本実施形態において、混合液とは、一次加熱・脱酸素工程を経て、前記原料液と水が所定の質量比で混合された状態のものをいう。
本実施形態にあっては、前記混合液の温度は45℃〜95℃に調整されていることが好ましく、45℃〜90℃がより好ましく、45℃〜80℃であることが更に好ましい。
また、前記混合液中における溶存酸素量は、0.1ppm〜3.0ppmとなるように調整されている。
溶存酸素量は0.1ppm〜2.0ppmであることがより好ましく、0.1ppm〜1.5ppmであることが更に好ましい。
一次加熱・脱酸素工程においては、原料液と水との混合によって、原料液は希釈されつつ、加熱水の熱によって加熱される、また同時に脱気水が混合されるため、混合液中の溶存酸素量の調整も同時に行われる。
混合過程においては、加えられる水によって、混合液は内部で攪拌されることから、混合液全体が均一な濃度となり、且つ均一に加熱される。
このため、二次加熱・殺菌工程において、殺菌温度に至るまでの加熱時間を短縮することが可能となると共に、混合液の濃度ムラや加熱ムラも生じ難くなる。
なお、混合液中の溶存酸素量を0.1ppm未満とするためには、前記に加えてデアレータ等での強制脱気処理が必要となり、溶存酸素と共に植物体由来の香味成分も失われてしまう為、香味バランスが重要である茶飲料等の場合、本願の要件を超えた過度な脱気は返って品質に悪影響を与える。
また、茶飲料等の場合、前記微量の酸素が残存していることにより、二次加熱・殺菌工程における加熱によって、香り立ちを際立てる旨の知見が得られていることから、混合液中の溶存酸素は本願に示す範囲に調整される必要がある。
(糖類)
前記原料液には、必要に応じてショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖等の糖質系甘味料、及びステビア等の天然非糖質甘味料、スクラロース、アスパルテーム等の人工甘味料から選択される1又は2種以上の糖類を含有することもできる。
但し、原料液が煎茶等の緑茶抽出液の場合は、特に必要が無い限りにおいて抽出対象物由来以外の糖類は添加しないことが好ましい。
(その他)
前記原料液には、本製造方法が適用可能な範囲において、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、アラニン等のアミノ酸、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類、及びカテキン、クロロゲン酸等のポリフェノールから選択される1又は2種以上を含有することができる。
なお、前記各成分は別途製剤等により添加することも可能であるが、抽出対象物である植物体由来の成分であることが好ましい。
混合液のpHは、製造する飲料の種類によって適宜調整可能であるが、例えば、容器詰飲料が緑茶飲料である場合、pH3.8〜6.5であることが好ましく、5.0〜6.4であることがより好ましく、6.0〜6.3であることがさらに好ましい。
pHの調整にあっては、炭酸水素ナトリウム、クエン酸等を適宜用いることができる。
本実施形態にあって飲料を充填するための容器は、特に限定されないが、例えばプラスチック製ボトル(所謂ペットボトル)、スチール、アルミ等の金属缶、ビン、紙容器等を用いることができ、特に、ペットボトル等の透明容器等を好適に採用することができる。
本発明に係る容器詰飲料の製造方法を実施するための装置については、特にその構成が限
定されるわけではないが、例えば、図1に示すような機器構成を採用することができる。
なお、図1に記載した機器装置以外にも、製造装置の規模、設置場所、製造する飲料の種類、原料液の種類等に応じて、ポンプ類、タンク類、管路、バルブ(弁)、各種測定機器等を適宜追加することができ、装置全体として適宜構成変更が可能である。
図1に示す製造装置10において、原料液、及び水(純水、脱気水、及び加熱水(脱気済))は、加圧タンク11、11・・11に貯蔵されている。原料液は一種類、若しくは2種以上あってもよく、原料液の種類が増えるに従い、加圧タンク11を増設することで対応が可能である。
前記加圧タンク11、11・・11には、窒素等の不活性ガスを所定の圧力を付与して前記加圧タンク11内に送出する加圧手段12、12・・・12が接続されている。
前記加圧タンク11、11・・・11内において前記原料液、及び水(純水、脱気水、及び加熱水(脱気済))には、前記不活性ガスにより所定の圧力が付加されている。
前記圧力によって、前記原料液と水(純水、脱気水、及び加熱水(脱気済))は管路13内を介して、混合タンク(一次加熱・脱酸素工程)14に注入され混合されると共に、前記原料液は加熱水による熱で加熱される。
この際、混合タンク(一次加熱・脱酸素工程)14に注入される前記原料液及び水(純水、脱気水、及び加熱水(脱気済))の混合比率が質量換算で常に一定に保持されるように、前記原料液と水の管路13の所定位置に、夫々の質量流量を測定する質量流量計15が配設されることが好ましい。
なお前記質量流量計15の具体的な配置場所については、製造装置10の機器構成、設置場所等により適宜決定することができる。
また、質量流量計15には、例えば、コリオリの力を利用したコリオリ式質量流量計が一般的であるが、その他の公知の測定手段を採用することもできる。
質量流量計15で測定された結果に基づき、例えば管路13中に配置されたバルブ装置(図示せず)によって質量流量を一定に保つように流量が補正されることから、各液体の流速や、加圧タンク11、11・・・11の圧力や温度、及び湿度が時間経過によって変化しても、前記混合タンク(一次加熱・脱酸素工程)14においては前記原料液及び水(純水、脱気水、及び加熱水(脱気済))が常に同じ質量比率で混合され、この結果、温度や湿度等の外部要因に左右されず混合液を均一の品質に保持することが可能となる。
また、前記原料液と水(純水、脱気水、及び加熱水(脱気済))が前記混合タンク14内で混合される過程において、加熱水の熱エネルギーによって原料液が一次加熱され、脱気水が所定割合で混合されることで脱気(脱酸素)される。
一次加熱・脱酸素工程(混合タンク)14の後、二次加熱・殺菌手段16によって、混合液は殺菌温度まで追加加熱され、一定時間保持された後、充填手段17を介して、所定の容器(図示せず)に充填される。なお、本実施形態にあっては、二次加熱・殺菌工程における加熱温度は120℃〜140℃が好ましい。
また装置の全部若しくは一部を無菌環境下及び不活性ガス雰囲気下とするために、所定の機器を密閉空間で覆う構造とすることもできる。
本実施例においては、抽出元として、「煎茶」、「玉露」、「混合茶(緑茶+焙煎米)、(緑茶+焙煎大麦)、(緑茶+焙煎黒豆)」、「烏龍茶」、「焙煎大麦」、「焙煎黒豆」、「焙煎ソバの実」、「焙煎胡麻」、「焙煎大豆」、「精白ひえ」を使用した。
夫々の抽出条件を以下に示す。
(1)原料液1
静岡産深蒸一番茶100gを90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液1を得た。
(2)原料液2
静岡産深蒸二番茶100gを90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液2を得た。
(3)原料液3
静岡産深蒸三番茶100gを90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液3を得た。
(4)原料液4
京都府産玉露100gを90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液4を得た。
(5)原料液5
緑茶50g、焙煎米50gを混合し、を90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液5を得た。
(6)原料液6
緑茶50g、焙煎大麦50gを混合し、90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液6を得た。
(7)原料液7
緑茶50g、焙煎黒豆50gを混合し、90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液7を得た。
(8)原料液8
烏龍茶100gを90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液8を得た。
(9)原料液9
焙煎大麦15gを沸騰した熱水1Lに加え、10分間煮出し、抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液9を得た。
(10)原料液10
焙煎黒豆50gを沸騰した熱水1Lに加え、10分間煮出し、抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液10を得た。
(11)原料液11
焙煎そば茶100gを90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液11を得た。
(12)原料液12
焙煎胡麻100gを90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液12を得た。
(13)原料液13
精白ひえ100gを90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液13を得た。
(14)原料液14
焙煎大豆100gを90℃の熱湯4000mlで5分間抽出した。
抽出液を濾過後、ビタミンC0.4g、重曹0.3gを添加し、Brix値35となるように濃縮し原料液14を得た。
<本願発明に係る製造方法の評価>
(1)実施例試料、及び比較例試料の調製
前記原料液1乃至14を使用し、表1、表2に示す条件で実施例試料1乃至17及び比較例試料1乃至4を調製した。
なお、表1、2中において、原料液1乃至4の抽出元である各茶葉のタンパク質含有率(wt%)は、ケルダール法にて茶葉中の抽出元である植物体の全窒素量を測定し、測定結果からカフェイン由来の窒素量を差し引いた上で、窒素係数6.25を乗じて算出した。その他の抽出元のタンパク質含有率及び、遊離アミノ酸合計量(mg%)については、文部科学省「五訂増補日本食品標準成分表」掲載の値から算出した。
遊離アミノ酸合計量(mg%)については、公益社団法人日本栄養・食糧学会のデータベース「食品の遊離アミノ酸量」掲載の値から算出した。
表1、表2の条件で調整した実施例試料1乃至17及び、比較例試料1乃至4について、以下の評価項目について、記載の温度条件にて官能評価試験を実施した。
官能評価試験は、7人のパネラーに委託して行い、各項目を以下に示す基準で評価したものである。
(評価項目)
(香ばしい香り:5℃)
非常に良好 :◎
良好 :○
やや不良 :△
不良 :×
(滋味:5℃)
非常に良好 :◎
良好 :○
やや不良 :△
不良 :×
(新鮮香:30℃)
非常に良好 :◎
良好 :○
やや不良 :△
不良(劣化臭) :×
(後味:30℃)
非常に良好 :◎
良好 :○
やや悪い :△
悪い :×
表3、4の記載から明らかな通り、抽出元である植物体のタンパク質含有率が本願発明の要件に合致する場合、本願発明の一次加熱・脱酸素工程を経て所定の溶存酸素量に調製された混合液は、良好な官能評価結果を得られることが明らかとなった。
<混合液の密度による評価>
(1)原料液の調製
前記原料液1を用いて、表5に示す条件で実施例試料18乃至29及び比較例試料5乃至8を調製した。
表5の条件で調整した実施例試料18乃至29及び、比較例試料5乃至8について、37℃で一週間保存した後に、以下の評価項目について官能評価試験を実施した。
官能評価結果を表6に示す。なお、官能評価試験方法については実施例1と同様とした。
(香味バランス)
非常に良好 :◎
良好 :○
やや不良 :△
不良 :×
(濃度感)
非常に適度 :◎
適度 :○
やや重い・物足りない:△
重い・物足りない :×
(外観)
色調変化/澱なし :◎
やや変化あるが問題無し:○
色調劣化/澱発生 :△
飲料として適さない :×
表5の記載から明らかな通り、一次加熱・脱酸素工程における混合液の密度(g/cm3)が、本願発明の要件である0.97〜1.00の範囲にある場合、香味バランス、濃度感、色調の三要素の官能項目夫々で良好な結果が得られた。
このことから、混合液密度がこれらの官能評価に対して相関関係があることが明らかとなった。
<二次加熱・殺菌工程における殺菌ホールディング温度の評価>
(1)原料液の調製
実施例試料1において、表7に示す条件で、二次加熱・殺菌工程のホールディング温度を変化させて実施例試料30、31及び比較例試料9、10を調製し、以下の評価項目について官能評価試験を行った。
官能評価結果を表8に示す。なお、官能評価試験方法については実施例1と同様とした。
(評価項目)
(香り立ちの強さ)
非常に香り立ちを感じる:◎
香り立ちを感じる :○
やや香り立ち不良 :△
香り立ち不良 :×
(濃度感)
良好 :◎
普通 :○
やや物足りない :△
物足りない :×
表8に示したとおり、二次加熱・殺菌処理におけるホールディング温度が、120〜140℃の範囲にある場合、香り立ちや味の広がりの観点において良好な官能評価結果が得られることが判明した。
実施例1〜実施例3の通り、本願発明に係る容器詰飲料の製造方法に拠れば、色調や香味・呈味に優れ、且つこれらの品質が経時によっても劣化し難い、優れた品質の容器詰緑茶飲料が得られた。
なお、溶存酸素が微量ながらも残存していることによって、二次加熱・殺菌工程における加熱で、飲用液中のアミノ酸が香味形成や旨味形成に寄与し、香味、旨味の向上につながる旨の裏づけも得られた。
なお、緑茶以外の飲料であっても、植物体の抽出を含有する場合は、溶存酸素による劣化が品質劣化の主要因であると考えられることから、本願発明の要件を満たすことによって同様の効果を得ることが可能であると考えられる。
11.加圧タンク
12.加圧手段
13.管路
14.混合タンク(一次加熱・脱酸素工程)
15.質量流量計
16.二次加熱・殺菌手段
17.充填手段
Claims (10)
- 植物体の抽出物を含有する容器詰飲料の製造方法であって、
前記植物体の抽出物を含有する1又は2種以上の原料液に、前記原料液よりも高温の水を混合することによって前記原料液を加熱すると共に、前記原料液と水との混合液中における溶存酸素量を調整する一次加熱・脱酸素工程と、前記一次加熱・脱酸素工程の前に、前記原料液および前記水が、混合タンク内で常に一定の質量比で混合されるように、前記混合タンクへの前記原料液および前記水の質量流量を測定し調整する質量流量調整工程と、前記一次加熱・脱酸素工程の後に、前記混合液を殺菌温度まで加熱して一定時間ホールドする二次加熱・殺菌工程と、前記二次加熱・殺菌工程の後に、前記混合液を所定の容器に充填する容器充填工程とを備え、
前記一次加熱・脱酸素工程において、前記混合液中の溶存酸素量が0.1ppm〜3.0ppmの範囲であって、且つ前記混合液の温度が45℃〜95℃の範囲となるように調整され、前記容器充填工程は、常温環境下において行われることを特徴とする容器詰飲料の製造方法。 - 前記植物体は、乾燥重量比で10.0wt%〜30.0wt%のタンパク質を含有することを特徴とする請求項1に記載の容器詰め飲料の製造方法。
- 前記植物体の抽出物には、茶葉抽出物が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の容器詰飲料の製造方法。
- 前記一次加熱・脱酸素工程において、前記混合液の密度(g/cm3)が0.97〜1.00となるように調製されることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の容器詰飲料の製造方法。
- 前記殺菌温度が120〜140℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の容器詰飲料の製造方法。
- 前記水の一部又は全部が、予め溶存酸素を除去した脱気水であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の容器詰飲料の製造方法。
- 前記容器詰飲料は緑茶飲料であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の容器詰飲料の製造方法。
- 前記容器充填工程は、無菌環境下において行われることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の容器詰飲料製造方法。
- 製造工程の全部又は一部を不活性ガス雰囲気下において行うことを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の容器詰飲料の製造方法。
- 植物体の抽出物を含有する容器詰飲料の呈味及び/又は香味劣化抑制方法であって、
前記植物体の抽出物を含有する1又は2種以上の原料液に、前記原料液よりも高温の水を混合することによって前記原料液を加熱すると共に、前記原料液と水との混合液中における溶存酸素量を調整する一次加熱・脱酸素工程と、前記一次加熱・脱酸素工程の前に、前記原料液および前記水が、混合タンク内で常に一定の質量比で混合されるように、前記混合タンクへの前記原料液および前記水の質量流量を測定し調整する質量流量調整工程と、前記一次加熱・脱酸素工程の後に、前記混合液を殺菌温度まで加熱して一定時間ホールドする二次加熱・殺菌工程と、前記二次加熱・殺菌工程の後に、前記混合液を所定の容器に充填する容器充填工程とを備え、
前記植物体は、乾燥重量比で10.0wt%〜30.0wt%のタンパク質を含有すると共に、前記一次加熱・脱酸素工程において、前記混合液中の溶存酸素量が0.1ppm〜3.0ppmの範囲であって、且つ前記混合液の温度が45℃〜95℃の範囲となるように調整され、前記容器充填工程は、常温環境下において行われることを特徴とする容器詰飲料の呈味及び/又は香味劣化抑制方法。
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