JP6207898B2 - 液体柔軟剤組成物 - Google Patents

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本発明は液体柔軟剤組成物に関する。
一般的に、繊維製品に柔軟性を付与する柔軟剤は、長鎖のアルキルを2つ有する4級アンモニウム塩を主柔軟基剤として含有し、更に非イオン性界面活性剤などの相安定化剤、シリコーンなどの柔軟助剤、香料、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどの溶剤などの成分、及び水を含有する組成物であり、水を分散媒として水中に主成分である長鎖ジアルキル基を有する4級アンモニウム塩を分散させた分散溶液である。
最近の柔軟剤に関して、環境に対する関心の高まりから、輸送に優位なコンパクト化のために少量の使用で十分な柔軟性を有する高濃度柔軟剤の開発が求められている。しかしながら高濃度柔軟剤を製造するにあたり、主成分である長鎖ジアルキル基を有する4級アンモニウム塩の配合量が増加すると、水との相構造を形成し易くなることから、柔軟剤が非常に高粘度化する傾向がある。長鎖ジアルキル基を有する4級アンモニウム塩の配合量を増加させた系では、減粘のために相安定化剤などを用いて流動可能な組成物を調製した場合でも、長期貯蔵や温度変化により増粘や分離が生じる。この解決策として、非イオン性界面活性剤を配合することや、長鎖モノアルキル基を有する4級アンモニウム塩を併用する方法が知られている。また特許文献1には、油相の微粒子化を促進させることにより、低粘度で経時安定性が良好な柔軟剤組成物を連続的に製造が開示されている。また組成物の観点から、特許文献2には長期貯蔵後や凍結回復後に安定な柔軟剤組成物が開示されている。
特開2005−248406号公報 特開2003−183981号公報
配合直後から貯蔵にかけて、及び凍結回復時に過度の増粘を示さず、粘度を良好に保つには不十分であり、従来以上にこれら課題を解決できる液体柔軟剤組成物が求められている。
本発明は、高濃度で柔軟基剤を含有し、より少ない構成成分で、調製直後、貯蔵後、凍結回復後の各粘度の増加を抑制することができる液体柔軟剤組成物を提供する。
水中への陽イオン性界面活性剤の分散として、従来の組成物では非イオン性界面活性剤が用いられることがあるが、本発明者らは、陽イオン性界面活性剤を高濃度で含有する組成物の場合、初期粘度や凍結回復後の増粘に水溶性の非イオン性界面活性剤が影響を与えていることを見出した。更に本発明者らは、トリアルカノールアミンの脂肪酸エステルから製造される陽イオン性界面活性剤に関し、限定的な脂肪酸分布と、“モノ体、ジ体及びトリ体の限定的な比率”で構成された陽イオン性界面活性剤を用いること、そして塩化カルシウムのような水溶性無機塩化物を特定範囲内で比較的多く含有することで、従来、陽イオン性界面活性剤の分散剤として使用されていた非イオン性界面活性剤を実質的に含まない組成で、初期粘度や凍結回復後の粘度の増加を抑制することが出来ること、またDLVO理論などで言われるような電荷の遮蔽による柔軟剤成分の凝集もなく、低粘度且つハンドリングが容易な状態を保つことを見出し、本発明に至った。
本発明は、下記(A)成分を17質量%以上、30質量%以下、下記(B)成分を無水換算で0.8質量%以上、2.0質量%以下、及び水を含有する液体柔軟剤組成物であって、
(A)成分を構成する(a−i)、(a−ii)及び(a−iii)において、
(a−i)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]の質量比が、0.25以上、0.35以下であり、
(a−ii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]の質量比が、0.55以上、0.60以下であり、
(a−iii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]の質量比が、0.11以上、0.15以下である、
液体柔軟剤組成物に関する。
<(A)成分>
(a−i)下記一般式(i)で表される化合物〔(a−i)成分という〕、(a−ii)下記一般式(ii)で表される化合物〔(a−ii)成分という〕、及び(a−iii)下記一般式(iii)で表される化合物〔(a−iii)成分という〕
Figure 0006207898
Figure 0006207898
Figure 0006207898
[式中、
1は、それぞれ独立に、炭素数11以上、21以下の直鎖アルキル基又はアルケニル基を示す。R2、R3、R4は、それぞれ独立に、炭素数1以上、3以下のアルキレン基を示す。R5は、それぞれ独立に、炭素数1以上、3以下のアルキル基を示す。
(A)成分のR1COO部分は、
1の炭素数が11以上、15以下であるR1COOの割合が、(A)成分の全R1COOに対して、25質量%以上、40質量%以下であり、
1の炭素数が15であるR1COOの割合が、(A)成分の全R1COOに対して、20質量%以上、35質量%以下であり、
1の炭素数が17であるR1COOの割合が、(A)成分の全R1COOに対して、40質量%以上、70質量%以下であり、
1がアルケニル基であるR1COOの割合が、(A)成分の全R1COOに対して、20質量%以上、60質量%以下である。]
<(B)成分>
水溶性無機塩化物
本発明によれば、高濃度で陽イオン性界面活性剤を含む液体柔軟剤組成物に関し、調製直後、貯蔵後、凍結回復後の各粘度の増加を抑制することができる。本発明の液体柔軟剤組成物は、調製直後の粘度が低く、且つ貯蔵後や凍結回復後も作業性や取り扱い性に支障がない程度の粘度を維持できる。
<(A)成分>
本発明の液体柔軟剤組成物は(A)成分として、(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分の3つの柔軟基剤を含有する。更に本発明の液体柔軟剤組成物に用いられる(A)成分は、(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分が特定比率で構成されている。
組成物の調製にあたっては、(A)成分として、(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分を本発明の条件で含有する混合物を用いることが好ましい。例えば、炭素数1以上、3以下、更に炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基を有するトリアルカノールアミン、好ましくはトリエタノールアミンと、脂肪酸との脱水エステル化反応又は前記アミンと脂肪酸低級アルコールエステルとのエステル交換反応により、エステルアミンを製造し、続いてアルキル化剤により4級化反応を行うことで調製される反応生成物を(A)成分を含む成分として使用することができる。その際、脂肪酸として炭素数の異なる脂肪酸の混合物〔R1COOH(R1は前記の通り。)の混合物〕又は脂肪酸低級アルコールエステルとして脂肪酸部分の炭素数の異なる脂肪酸低級アルコールエステルの混合物〔R1COOR’(R1は前記の通り。R’は好ましくはメチル基又はエチル基である。)の混合物〕を用いることで、(A)成分の条件を満たす反応生成物を製造することができる。
本発明では、(A)成分についてのR1の規定は、合成時に用いる脂肪酸又は脂肪酸エステルの脂肪酸部分のアルキル基及びアルケニル基の炭素数分布に基づくものであってもよい。前記トリアルカノールアミンと脂肪酸又は脂肪酸低級アルコールエステルとを用いる製法では、反応生成物中の(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分の組成は、前記トリアルカノールアミンと脂肪酸又は脂肪酸低級アルコールエステルとの反応比率や反応温度及び反応時間により調整することができる。本発明では、(A)成分を含有する反応生成物を、トリエタノールアミンと脂肪酸とで脱水エステル化反応を行い、続いてジメチル硫酸又はジエチル硫酸により4級化する方法で製造することが好ましい。
前記トリアルカノールアミンと脂肪酸とのエステル化反応は公知の方法を用いることができる。前記トリアルカノールアミン、好ましくはトリエタノールアミンと脂肪酸とを、(脂肪酸の全モル数)/(トリアルカノールアミンのモル数)の比率(以下、アシル化度という)が、1.55以上、更に1.60以上、そして、1.70以下、更に1.65以下となるように反応させることが好ましい。このような制限された比率で反応させることで、(A)成分における(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分の質量比を満たす反応生成物が得やすくなる。この時に用いる脂肪酸混合物が(A)成分のR1の炭素数を決定する。すなわち本発明のR1の条件を満たすために、反応に用いる脂肪酸のカルボニル基を除いたアルキル基またはアルケニル基は、直鎖であり、またカルボニル炭素を除いた炭素数(R1の炭素数に相当)が11以上、15以下の脂肪酸の割合が、反応に用いる全脂肪酸の25質量%以上、好ましくは30質量%以上、そして、40質量%以下、好ましくは35質量%以下を占め、また同様にカルボニル炭素を除いた炭素数が15の脂肪酸の割合が、反応に用いる全脂肪酸の20質量%以上、好ましくは25質量%以上、そして、35質量%以下、好ましくは30質量%以下を占め、R1相当部分の炭素数が17である脂肪酸の割合が全脂肪酸に対して40質量%以上、好ましくは50質量%以上、そして、70質量%以下、好ましくは60質量%以下であって、R1相当部分がアルケニル基である脂肪酸の割合が全脂肪酸に対して20質量%以上、好ましくは25質量%以上、そして、60質量%以下、好ましくは50質量%以下である。
(A)成分は、R1COO部分が、R1の炭素数が17であるR1COOの割合が、(A)成分の全R1COOに対して、40質量%以上、70質量%以下であり、R1が炭素数17のアルケニル基であるR1COOの割合が、(A)成分の全R1COOに対して、全脂肪酸の25質量%以上、42質量%以下であることが好ましい。すなわち、前記の方法に用いる脂肪酸は、R1相当部分の炭素数が17の飽和脂肪酸の割合が、全脂肪酸に対して、40質量%以上、70質量%以下であり、R1相当部分が炭素数17のアルケニル基である脂肪酸の割合が、全脂肪酸に対して、25質量%以上、42質量%以下を占めることが好ましい。
脂肪酸のカルボニルを除いた炭素数の割合は、ガスクロマトグラフィーを用いて各脂肪酸に相当するピーク面積を算出することで測定することができる。具体的測定方法としては、脂肪酸原料をジアゾメタンやトリメチルシリル化剤を用いてメチルエステル化した後、ガスクロマトグラフィーにて分析する。得られた各脂肪酸由来のピーク面積から各脂肪酸質量を算出し脂肪酸組成を求めることができる。
このようにして得られた脂肪酸残基を有する3級アミン化合物は、モノエステル体、ジエステル体及びトリエステル体の混合物となり、このエステル化度が好ましくは1.55以上、1.65以下である。反応の進行はJIS K0070−1992に記載の方法で酸価(AV)及び鹸化価(SV)を測定することで確認を行い、好適にはAVが10mgKOH/g以下、好ましくは6mgKOH/g以下となった時、エステル化反応を終了する。得られるエステル化合物は、SVが120mgKOH/g以上、更に127mgKOH/g以上、そして、140mgKOH/g以下、更に136mgKOH/g以下であることが好ましい。調製後は、未反応のトリアルカノールアミンの他に、未反応の脂肪酸、トリエタノールアミン、その他微量の副生成物が含有される。
得られたトリエタノールアミンの脂肪酸エステル混合物は、4級化剤によって4級化される。4級化剤としてはジメチル硫酸やジエチル硫酸が挙げられ、本発明では特にジメチル硫酸が好ましい。4級化の際の反応比率は、モル比として、トリアルカノールアミン脂肪酸エステル、好ましくはトリエタノールアミン脂肪酸エステルに対する4級化剤の割合、即ち4級化剤/トリアルカノールアミン脂肪酸エステルとして、0.85以上、更に0.95以上、そして、1.1以下、更に0.99が好ましい。4級化は公知の方法で行うことができ、溶媒を使用する際はイソプロピルアルコールやエタノールを用いることが好ましい。4級化率を高めるために反応時に溶媒を用いずに反応することもできる。4級化率、すなわちアルカノールアミン脂肪酸エステルの4級化物に対するアルカノールアミン脂肪酸エステルの3級アミンの割合である、(アルカノールアミン脂肪酸エステルの4級化物)/(仕込みのアルカノールアミン脂肪酸エステルの3級アミン)が、0.8以上であり、本効果を得る上で、0.8〜0.95の範囲であればよく、従って本発明の柔軟剤組成物には3級アミンの脂肪酸エステルが前記4級化率の程度で共存してもよい。
(A)成分は、エタノール又はイソプロピルアルコール中に分散したものであることが好ましく、トリエタノールアミンの脂肪酸エステル混合物を4級化した後に、エタノール又はイソプロピルアルコールを加えることで分散物を得ることができる。その場合は、製造後のものをそのまま使用することができ或いは溶媒で希釈してもよい。反応時の副生成物や前記した未反応化合物は、本効果に影響がない程度で含有されていてもよい。分散媒はエタノールやイソプロピルアルコール(IPAという場合もある)により構成されており、なるべく水を含まないものが好ましい。(A)成分に対する分散媒濃度は10質量%以上、12質量%以下の範囲である、すなわち、(A)成分の濃度が88質量%以上、90質量%以下の分散物であることが好ましい。(A)成分は固体であってもよく、オレイン酸などの不飽和脂肪酸を多く含む場合は、液状であるが、製造時に加熱などして製造上都合のよい流動可能な粘度範囲にできるものとして調製される。本発明の(A)成分は、エタノール及びイソプロピルアルコールから選ばれる溶媒を前記濃度範囲で、及び未反応の3級アミンの脂肪酸エステル混合物を前記範囲で含む混合物として配合することができる。
本発明において(A)成分の製造に用いる脂肪酸は、半硬化の牛脂、パーム油、豚脂、大豆油又はオリーブ油由来の組成を持つ脂肪酸が好ましい。(A)成分は、R1として、炭素数11以上、21以下の直鎖アルキル基及び炭素数11以上、21以下の直鎖アルケニル基から選ばれる複数の基を有するが、その製造に用いる脂肪酸又は脂肪酸混合物の不飽和率はヨウ素価より求めることができる。
(A)成分の製造に用いる脂肪酸又は脂肪酸混合物の酸価は、組成物の液性の点で、180mgKOH/g以上、更に200mgKOH/g以上が好ましく、そして、240mgKOH/g以下、更に210以下が好ましい。また、(A)成分の製造に用いる脂肪酸又は脂肪酸混合物のよう素価は、組成物の液性の点で、30Ig/100g以上、更に40Ig/100g以上が好ましく、そして、70Ig/100g以下、更に60Ig/100g以下であることが好ましい。なお、脂肪酸又は脂肪酸混合物の酸価及びヨウ素価は「岩波理化学辞典」 第4版 岩波書店に記載された方法により測定される値である。
本発明の液体柔軟剤組成物中の(A)成分の含有量は、17質量%以上、好ましくは17.4質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、30質量%以下、好ましくは25質量%以下である。
<(B)成分>
(B)成分の水溶性無機塩化物としては、アルカリ金属塩化物及びアルカリ土類塩化物から選ばれる化合物が挙げられる。好ましくは、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムから選ばれる化合物であり、より好ましくは、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムから選ばれる化合物である。ここで、(B)成分の無機塩化物について、水溶性であるとは、20℃の脱イオン水100gに10g以上溶解するものを指す。
本発明の液体柔軟剤組成物中の(B)成分の含有量は、本発明の効果を達成する上で、0.8質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.1質量%以上であり、2.0質量%以下、好ましくは1.8質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。(B)成分のうち、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムから選ばれる水溶性無機塩化物については、無水換算で、1.2質量%以上1.3質量%以下、組成物中に含有することが好ましい。以下、(B)成分が関係する質量%は、無水換算の質量%である。
<水>
本発明の液体柔軟剤組成物は、水を含有する。組成物の残部が水である。水は脱イオン水を次亜塩素酸で除菌処理を施したものを用いることが好ましい。
<液体柔軟剤組成物の組成等>
本発明の液体柔軟剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び水を組み合わせることで所定の効果が発現する。そのため、組成物構成を非常に単純化することが可能となる。本発明では、(A)成分、(B)成分及び水の合計量は、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。本発明によると、このような構成においても、調製後ないし貯蔵後及び凍結回復後の粘度を、使用上影響を与えない範囲に保つことができる。このような効果を損なわない範囲で、本発明の液体柔軟剤組成物は、他の成分を含有することができる。以下、(A)成分、(B)成分及び水以外の成分について説明する。
<(C)成分>
本発明の液体柔軟剤組成物は、(C)成分として、非イオン性界面活性剤を含有することができる。
一般に液体柔軟剤組成物の安定化のために非イオン性界面活性剤を配合することが多いが、本発明では配合しなくても優れた貯蔵安定性と凍結回復性を得ることができる。これは、本発明の(A)成分という限定された化合物の組み合わせを採用したことで発現する特有の効果である。本発明の液体柔軟剤組成物は、本効果を得る上で、非イオン性界面活性剤のうち水溶性の非イオン性界面活性剤を含有しないか、含有しても非常に少量であることが好ましい。ここで、(C)成分の非イオン性界面活性剤について、水溶性であるとは、25℃の脱イオン水100gに1g以上溶解するものを指す。
水溶性の非イオン性界面活性剤としては、アルキル基の炭素数12以上、18以下のアルキル基を有しエチレンオキシドの平均付加モル数が20以上、60以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを配合することが知られている。本発明では、アルキル基の炭素数12以上、18以下のアルキル基を有しエチレンオキシドの平均付加モル数が8以上、60以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを、水溶性の非イオン性界面活性剤としてその含有量を制限することができる。
水溶性ではない非イオン性界面活性剤としては、多価アルコールと炭素数12以上、好ましくは炭素数12以上、22以下の脂肪酸とのエステル化物等が挙げられ、好ましくは、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を挙げることができる。
本発明の液体柔軟剤組成物は、(C)成分である非イオン性界面活性剤の含有量が、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1.5質量%以下、更により好ましくは1質量%以下である。
また、本発明の液体柔軟剤組成物は、水溶性の非イオン性界面活性剤の含有量が、好ましくは1質量%未満であり、より好ましくは0.5質量%未満、更に好ましくは0.3質量%未満、更により好ましくは0.1質量%未満である。水溶性の非イオン性界面活性剤を含有しなくてもよい。
<(D)成分>
本発明の液体柔軟剤組成物は、(D)成分として、金属イオン封鎖剤を含有することができる。(D)成分は、香料の安定性並びに水溶性染料の褪色防止の点から好ましい。(D)成分は、染料の褪色防止効果の点から、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン4酢酸、メチルグリシン2酢酸、クエン酸、コハク酸、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、L−グルタミン酸−N,N−2酢酸、N−2−ヒドロキシエチルイミノ2酢酸、及びそれらの塩から選ばれる1種以上が好適である。エチレンジアミン4酢酸、メチルグリシン2酢酸、クエン酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上がより好適である。
本発明の液体柔軟剤組成物における(D)成分の含有量は、0質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、0.1質量%以下が好ましい。また、0質量%であってもよい。
<(E)成分>
本発明の液体柔軟剤組成物は、(E)成分として、水溶性有機溶剤を含有してもよい。具体的には、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上が好ましく、エタノール、イソプロパノール及びエチレングリコールから選ばれる1種以上がより好ましい。
本発明の液体柔軟剤組成物における(E)成分の含有量は、0質量%以上、更に1.0質量%以上、そして、5.0質量%以下、更に3.0質量%以下が好ましい。また、エタノールを含有する場合の含有量は、組成物中、1.0質量%以上、そして、2.5質量%以下、更に2.0質量%以下であることが好ましい。なお、エタノール、イソプロパノール等、(A)成分の製造過程での分散媒等として用いた成分は、(E)成分であるとして、その含有量は前記含有量に取り込むものとする。
<(F)成分>
本発明の液体柔軟剤組成物は、(F)成分として、酸化防止剤を含有することが、(A)成分の安定性ならびに、本発明における課題を解決する上で好ましい。(F)成分は、(A)成分の酸化防止の点から、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ジブチルヒドロキシアニソール)などが好ましい。本発明の液体柔軟剤組成物における(F)成分の含有量は、0質量%以上、0.3質量%以下が好ましい。酸化防止剤もまた(A)成分や香料成分の安定化剤等として混入する場合があるが、それらは(F)成分として取り扱うものとする。
<(G)成分>
本発明の液体柔軟剤組成物は、(G)成分として、香料を含有することができる。香料は柔軟剤自体の匂い付けの他に、柔軟処理後に繊維製品を賦香させるために用いられる。
(G)成分の香料は、例えば「香料と調香の基礎知識、中島基貴 編著、産業図書株式会社発行、2005年4月20日 第4刷」に記載の香料、特表平10−507793号公報記載の香料を使用することができる。また残香性のためにWO2009/158549パンフレットなどに記載のアルコール系香料のケイ酸エステル化合物や、メラミン樹脂、尿素樹脂などで香料を包含したマイクロカプセル化合物を併用してもよい。
本発明の液体柔軟剤組成物における(G)成分の含有量は、0質量%以上、更に0.4質量%以上、そして、1.0質量%以下、更に0.8質量%以下が好ましい。
<その他の成分>
柔軟剤組成物の使用時の起泡を抑制する上で、本発明の液体柔軟剤組成物はシリコーン化合物を含有すること事が好ましい。シリコーン化合物としては、一般的なジメチルポリシロキサンや公知の変性シリコーンを挙げることができる。シリコーン化合物はシリカ微粒子と併用することで柔軟剤組成物の抑泡力が向上する。シリカ入りのシリコーンとしては、市販のシリコーン溶液を使用することができる。シリコーン化合物の含有量は、本発明の液体柔軟剤組成物中、0質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、2.0質量%以下、更に1.5質量%以下が好ましい。
本発明の柔軟剤組成物には、その他の成分として、必要に応じてpH調整剤、BHT等の酸化防止剤、色素、及び陰イオン性界面活性剤等の(A)成分及び(C)成分以外の界面活性剤を、本効果を損なうことの無い範囲で含有することができる。但し、(A)成分及び(C)成分以外の界面活性剤を含有する場合は、本発明の液体柔軟剤組成物における含有量は、1質量%以下、更に0.5質量%以下、更に0.2質量%以下であることが好ましい。
また本発明の液体柔軟剤組成物は、任意として1種以上の着色剤(例えば、酸性赤色106号、酸性黄色3号、酸性青色1号など)及び抗菌・抗カビ剤(例えば、プロキセル(商標)BDNとして市販)を含有してもよく、更に、(A)成分の製造の際に混在することが知られている脂肪酸及び3級アミン化合物を含有してもよい。
本発明の液体柔軟剤組成物は、衣料、寝具、タオルなどの繊維製品用として好適である。
本発明の柔軟剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び水という極めて簡素化された構成により、(A)成分が高濃度でも安定で増粘を抑制できるという、本発明の効果をより顕著に享受できることから、(C)〜(G)成分の含有量を下記の範囲とすることができる。
(C)成分:非イオン性界面活性剤 2質量%未満
(D)成分:金属イオン封鎖剤 0質量%以上、0.1質量%以下
(E)成分:水溶性有機溶剤 0質量%以上、5質量%以下
(F)成分:酸化防止剤 0質量%以上、0.3質量%以下
(G)成分:香料 0質量%以上、1質量%以下
本発明の液体柔軟剤組成物の30℃での粘度は、使用勝手の点で、5mPa・s以上、更に10mPa・s以上が好ましく、そして、200mPa・s以下、更に150mPa・s以下が好ましい。また、凍結回復後の粘度、高温貯蔵後の粘度、及び常温貯蔵後の粘度が、それぞれ、30℃で、200mPa・s以下であることが好ましい。ここで、高温貯蔵は、40℃での20日間の貯蔵であり、常温貯蔵は、20℃での20日間の貯蔵である。粘度は、いずれも、B型粘度計を用いて、測定範囲の粘度に適合するNo.1〜No.3ローターの何れかのローターを用い、液体柔軟剤組成物を30±1℃に調温し、60r/minで、測定開始から1分後の指示値を確認することにより測定されたものである。
組成物の粘度は、B型粘度計を用いて、測定範囲の粘度に適合するNo.1〜No.3ローターの何れかのローターを用い、60r/minで、測定開始から1分後の指示値である。液体柔軟剤組成物は30±1℃に調温して測定する。より具体的には実施例に記載の測定方法で測定された値である。
本発明の液体柔軟剤組成物の30℃でのpHは、(A)成分の加水分解に対する安定性の点から、2以上、更に2.5以上、そして、7以下、更に5以下、更に3.8以下が好ましい。pHは、JIS K 3362;2008の項目8.3に従って30℃において測定する。
本発明の好適な液体柔軟剤組成物の例を示す。
(A)成分を17質量%以上、30質量%以下、(B)成分を無水換算で0.8質量%以上、2.0質量%以上、及び水を含有する液体柔軟剤組成物であって、
(A)成分を構成する(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分において、
(a−i)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]の質量比が、0.25以上、0.35以下であり、
(a−ii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]の質量比が、0.55以上、0.60以下であり、
(a−iii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]の質量比が、0.11以上、0.15以下であり、
下記(C)〜(G)成分の含有量が下記の範囲である、
液体柔軟剤組成物〔以下、組成物(I)という〕。
(C)成分:非イオン性界面活性剤 2質量%未満
(D)成分:金属イオン封鎖剤 0質量%以上、0.1質量%以下
(E)成分:水溶性有機溶剤 0質量%以上、5質量%以下
(F)成分:酸化防止剤 0質量%以上、0.3質量%以下
(G)成分:香料 0質量%以上、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下
この組成物(I)では、(A)成分、(B)成分及び水の合計量が、85質量%以上、更に90質量%以上であることが好ましい。
また、この組成物(I)は、30℃でのpHが、2以上、更に2.5以上、そして、7以下、更に5以下、更に3.8以下であることが好ましい。
また、この組成物(I)は、30℃での粘度が、5mPa・s以上、更に10mPa・s以上が好ましく、そして、200mPa・s以下、更に150mPa・s以下であることが好ましい。
また、この組成物(I)では、(B)成分の含有量は、無水換算で、1質量%以上1.5質量%以下が好ましい。また、この組成物では、(B)成分として、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムから選ばれる水溶性無機塩化物を無水換算で1.2質量%以上、1.3質量%以下含有することが好ましい。
また、この組成物(I)では、(C)成分のうち、水溶性の非イオン性界面活性剤の含有量が1質量%未満であることが好ましい。
また、この組成物(I)では、(D)成分が、エチレンジアミン4酢酸、メチルグリシン2酢酸、クエン酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上であることが好ましい。
また、この組成物(I)では、(E)成分の水溶性有機溶剤が、エタノール、イソプロパノール及びエチレングリコールから選ばれる1種以上であることが好ましく、且つ組成物(I)中の(E)成分の含有量が3.0質量%以下であることが好ましい。また、エタノールの含有量は、組成物(I)中、1.0質量%以上、そして、2.5質量%以下、更に2.0質量%以下であることが好ましい。
また、この組成物(I)では、(F)成分はBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)であることが好ましい。
また、この組成物(I)では、シリコーン化合物を0質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、2.0質量%以下、更に1.5質量%以下含有することが好ましい。
本発明の液体柔軟剤組成物の製造方法は特に問わないが、(A)成分の他に(B)成分〜(G)成分を含有する組成物を製造する場合、60℃以上、70℃以下に昇温したイオン交換水中に溶融した(C)成分を添加し、溶融させた(A)成分を添加し、所定時間(例えば5分間以上、30分間以下)攪拌後、(B)成分を添加しさらに所定時間(例えば5分間以上、30分間以下)攪拌後、0℃以上、10℃以下のウォーターバスで20℃以上、30℃以下まで冷却し、(G)成分を添加することにより調製することが好ましい。(D)成分、(E)成分、(F)成分は、(C)成分添加前の時期で添加することができる。
実施例、及び比較例で用いた各成分を以下にまとめて示す。
・柔軟基剤(a−1)
獣脂油由来脂肪酸584.7g(酸価205、よう素価40)、およびBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)1.0gを2L4つ口フラスコに仕込み、60℃に加熱し攪拌混合する。トリエタノールアミン196.9g(分子量149.2、1.32モル)を加え、170℃まで昇温し、生成する水を除去しながら170℃で6時間かけて反応を行った。なお、この反応でのアシル化度は1.65であった。次に得られたエステル化合物全量、およびBHT1.0gを2L4つ口フラスコに入れ50℃に加熱した。反応容器内温度65℃以下を保ちながらジメチル硫酸157.5g(分子量126、1.25モル)を2時間かけて加え、その後さらに2時間熟成した。エタノール100gを30分かけて加え、その後冷却し、柔軟基剤(a−1)を得た。溶媒(エタノール)を除いた(a−1)の含有成分は90質量%であった。なお、ここでいう含有成分とは、主に(A)成分、未反応の脂肪酸、4級化されていないアミン化合物であり、その他に微量の未反応アルカノールアミンやその4級化物及び副生成物を指す(以下、柔軟基剤について同様)。
(a−1)は、(A)成分を78.6質量%含み、残りは10質量%の溶媒と前記した(A)成分以外の含有成分であり、(A)成分の各成分の質量比が、
(a−i)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.29、
(a−ii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.59、
(a−iii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.12
であった。
また、脂肪酸組成は以下の通りであった。
脂肪酸組成
炭素数14脂肪酸 2.3質量%
炭素数16脂肪酸 30.1質量%
炭素数18飽和脂肪酸 30.6質量%
炭素数18不飽和脂肪酸 37.0質量%(一般式(i)、(ii)、(iii)中のR1部分がアルケニル基である脂肪酸)
よって、(a−1)の(A)成分のR1COO部分は、
1の炭素数が11以上、15以下であるR1COOの割合が、(A)成分の全R1COOに対して、32.4質量%であり、
1の炭素数が15であるR1COOの割合が、(A)成分の全R1COOに対して、30.1質量%であり、
1の炭素数が17であるR1COOの割合が、(A)成分の全R1COOに対して、67.6質量%であり、
1がアルケニル基であるR1COOの割合が、(A)成分の全R1COOに対して、37.0質量%であった。
・柔軟基剤(a’−1)
獣脂油由来脂肪酸700.1g(酸価205、よう素価40)、及びBHT1.0gを2L4つ口フラスコに仕込み、60℃に加熱し攪拌混合する。トリエタノールアミン197.5g(分子量149.2、1.32モル)を加え、170℃まで昇温し、生成する水を除去しながら170℃で6時間かけて反応を行った。なお、この反応でのアシル化度は2.0であった。次に得られたエステル化合物全量、およびBHT1.0gを2L4つ口フラスコに入れ50℃に加熱した。反応容器内温度65℃以下を保ちながらジメチル硫酸157.5g(分子量126、1.25モル)を1〜2時間かけて加え、その後さらに2時間熟成した。イソプロパノール100gを30分かけて加え、その後冷却し、柔軟基剤(a’−1)を得た。溶媒(イソプロパノール)を除いた(a’−1)の含有成分は90質量%であった。
(a’−1)は、(A)成分を74.3質量%含み、残りは10質量%の溶媒と前記した(A)成分以外の含有成分であり、(A)成分の各成分の質量比が、
(a−i)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.20、
(a−ii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.57、
(a−iii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.23
であった。
また、脂肪酸組成は以下の通りであった。R1の分布は(a−1)と同じであった。
脂肪酸組成
炭素数14脂肪酸 2.3質量%
炭素数16脂肪酸 30.1質量%
炭素数18飽和脂肪酸 30.6質量%
炭素数18不飽和脂肪酸 37.0質量%(一般式(i)、(ii)、(iii)中のR1部分がアルケニル基である脂肪酸)
・柔軟基剤(a’−2)
獣脂油由来脂肪酸484.7g(酸価205、よう素価40)、及びBHT1.0gを2L4つ口フラスコに仕込み、60℃に加熱し攪拌混合する。トリエタノールアミン197.5g(分子量149.2、1.32モル)を加え、170℃まで昇温し、生成する水を除去しながら170℃で6時間かけて反応を行った。なお、この反応でのアシル化度は1.35であった。次に得られたエステル化合物全量、およびBHT1.0gを2L4つ口フラスコに入れ50℃に加熱した。反応容器内温度65℃以下を保ちながらジメチル硫酸(分子量126、1.25モル)を2時間かけて加え、その後さらに2時間熟成した。イソプロパノール100gを30分かけて加え、その後冷却し、柔軟基剤(a’−2)を得た。溶媒(イソプロパノール)を除いた(a’−2)の含有成分は90質量%であった。
(a’−2)は、(A)成分を76.5質量%含み、残りは10質量%の溶媒と前記した(A)成分以外の含有成分であり、(A)成分の各成分の質量比が、
(a−i)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.41、
(a−ii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.51、
(a−iii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.09
であった。
また、脂肪酸組成は以下の通りであった。R1の分布は(a−1)と同じであった。
脂肪酸組成
炭素数14脂肪酸 2.3質量%
炭素数16脂肪酸 30.1質量%
炭素数18飽和脂肪酸 30.6質量%
炭素数18不飽和脂肪酸 37.0質量%(一般式(i)、(ii)、(iii)中のR1部分がアルケニル基である脂肪酸)
・柔軟基剤(a’−3)
獣脂油由来脂肪酸538.6g(酸価205、よう素価40)、及びBHT1.0gを2L4つ口フラスコに仕込み、60℃に加熱し攪拌混合する。トリエタノールアミン197.5g(分子量149.2、1.32モル)を加え、170℃まで昇温し、生成する水を除去しながら170℃で6時間かけて反応を行った。なお、この反応でのアシル化度は1.50であった。次に得られたエステル化合物全量を2L4つ口フラスコに入れ50℃に加熱した。反応容器内温度65℃以下を保ちながらジメチル硫酸(分子量126、1.25モル)を2時間かけて加え、その後さらに2時間熟成した。イソプロパノール100gを30分かけて加え、その後冷却し、柔軟基剤(a’−3)を得た。溶媒(イソプロパノール)を除いた(a’−3)の含有成分は90質量%であった。
(a’−3)は、(A)成分を80.0質量%含み、残りは10質量%の溶媒と前記した(A)成分以外の含有成分であり、(A)成分の各成分の質量比が、
(a−i)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.36、
(a−ii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.54、
(a−iii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]=0.10
であった。
また、脂肪酸組成は以下の通りであった。R1の分布は(a−1)と同じであった。
脂肪酸組成
炭素数14脂肪酸 2.3質量%
炭素数16脂肪酸 30.1質量%
炭素数18飽和脂肪酸 30.6質量%
炭素数18不飽和脂肪酸 37.0質量%(一般式(i)、(ii)、(iii)中のR1部分がアルケニル基である脂肪酸)
<(A)成分>
(a−1):柔軟基剤(a−1)(但し、表中濃度は(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分の合計量であり、( )内の数値は含有成分としての濃度である。)
<(A’)成分:(A)成分の比較化合物>
(a’−1):柔軟基剤(a’−1)(但し、表中濃度は(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分の合計量であり、( )内の数値は含有成分としての濃度である。)
(a’−2):柔軟基剤(a’−2)(但し、表中濃度は(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分の合計量であり、( )内の数値は含有成分としての濃度である。)
(a’−3):柔軟基剤(a’−3)(但し、表中濃度は(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分の合計量であり、( )内の数値は含有成分としての濃度である。)
<(B)成分>
(b−1):塩化カルシウム(脱イオン水(20℃)100gに対する溶解量74.5g)
(b−2):塩化ナトリウム(脱イオン水(20℃)100gに対する溶解量35.9g)
(b−3):塩化マグネシウム(脱イオン水(20℃)100gに対する溶解量54.3g)
<(C)成分>
(c−1):ポリオキシエチレン(平均付加モル数21モル)ラウリルエーテル(水溶性の非イオン性界面活性剤、脱イオン水(25℃)100gに対する溶解量5g以上)
(c−2):ポリオキシエチレン(平均付加モル数35モル)分岐鎖アルキルエーテル(分岐鎖アルキル基は、1級アルコール由来、炭素数11〜13、水溶性の非イオン性界面活性剤、脱イオン水(25℃)100gに対する溶解量5g以上)
(c−3):ソフタノール500(日本触媒(株)製)(炭素数12〜14の2級アルコールエチレンオキシドを平均50モル付加させることで得られた、水溶性の非イオン性界面活性剤、脱イオン水(25℃)100gに対する溶解量5g以上)
(c−4):ステアリン酸モノグリセリド、水不溶性の非イオン性界面活性剤(脱イオン水(25℃)100gに対する溶解量5g未満)
<その他の成分>
・シリコーン:ジメチルポリシロキサン
実施例1〜11及び比較例1〜11
下記方法により表1に示す組成の衣料用柔軟剤組成物を調製し、以下の方法により初期粘度及び各貯蔵安定性評価を行った。結果を表1に示す。
なお表中の(a−1)、(a’−1)、(a’−2)及び(a’−3)の質量%は、(a−i)成分、(a−ii)成分及び(a−iii)成分の合計量としての質量%である。
また、組成物が含有する成分には、(a−1)、(a’−1)、(a’−2)及び(a’−3)の調製時に添加した溶媒や未反応成分など、微量の成分の量も含む。このうち(a−1)、(a’−1)、(a’−2)及び(a’−3)に由来する(E)成分に相当する溶剤、(F)成分に相当するBHTの含有量を表に記入した。その他の含有成分は、便宜的にイオン交換水の「残部」に含めて示した。
<衣料用柔軟剤組成物の調製方法>
300mLのガラスビーカーに、タービン型羽が3枚ついた攪拌羽を設置(攪拌羽底部がビーカー底面より1cm上部になるように設置)し、衣料用液体柔軟剤組成物の出来上がり質量が200gになるのに必要な量のイオン交換水(つまり組成物の残部に相当するイオン交換水)のうち、95%相当量のイオン交換水を入れ、ウォーターバスで65℃まで昇温した。500rpmで攪拌しながら、溶融した(C)成分、及びシリコーン(配合する場合)を添加した。次いで、65℃で溶融させた(A)成分又は(A’)成分を添加した。5分攪拌後、(B)成分を添加しさらに5分間攪拌後、5℃のウォーターバスで30℃まで冷却し、衣料用液体柔軟剤組成物を得た。
<衣料用柔軟剤組成物の粘度測定方法>
衣料用液体柔軟剤組成物の30℃での粘度を、初期粘度、凍結回復後、貯蔵後について測定した。ここで、初期粘度は、調製直後の組成物の粘度である。また、凍結回復後の粘度は、一旦、凍結させた後、解凍して液状に戻した組成物についての粘度である。また、貯蔵後の粘度は、20℃で20日貯蔵後の組成物についての粘度である。結果を表1に示す。粘度の測定は、何れも、B型粘度計(東機産業:VISCOMETER TVB-10)を用いて、30℃恒温槽中でサンプル瓶を水に浸した状態で、60rpmで1分間せん断をかけて測定を行った。なお、表1中、粘度の欄の「−」は、層分離を生じたため測定しなかったことを意味する。
Figure 0006207898

Claims (4)

  1. 下記(A)成分を17質量%以上、30質量%以下、下記(B)成分を無水換算で0.8質量%以上、2.0質量%以下、及び水を含有する液体柔軟剤組成物であって、水溶性の非イオン性界面活性剤の含有量が1質量%未満であり、
    (A)成分を構成する(a−i)、(a−ii)及び(a−iii)において、
    (a−i)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]の質量比が、0.25以上、0.35以下であり、
    (a−ii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]の質量比が、0.55以上、0.60以下であり、
    (a−iii)/[(a−i)+(a−ii)+(a−iii)]の質量比が、0.11以上、0.15以下である、
    液体柔軟剤組成物。
    <(A)成分>
    (a−i)下記一般式(i)で表される化合物、(a−ii)下記一般式(ii)で表される化合物、及び(a−iii)下記一般式(iii)で表される化合物
    Figure 0006207898

    Figure 0006207898

    Figure 0006207898

    [式中、
    は、それぞれ独立に、炭素数11以上、21以下の直鎖アルキル基又はアルケニル基を示す。R、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1以上、3以下のアルキレン基を示す。Rは、それぞれ独立に、炭素数1以上、3以下のアルキル基を示す。
    (A)成分のRCOO部分は、
    の炭素数が11以上、15以下であるRCOOの割合が、(A)成分の全RCOOに対して、25質量%以上、40質量%以下であり、
    の炭素数が15であるRCOOの割合が、(A)成分の全RCOOに対して、20質量%以上、35質量%以下であり、
    の炭素数が17であるRCOOの割合が、(A)成分の全RCOOに対して、40質量%以上、70質量%以下であり、
    がアルケニル基であるRCOOの割合が、(A)成分の全RCOOに対して、20質量%以上、60質量%以下であり、
    が炭素数17のアルケニル基であるR COOの割合が、(A)成分の全R COOに対して、全脂肪酸の25質量%以上、42質量%以下である。
    <(B)成分>
    水溶性無機塩化物
  2. (A)成分、(B)成分及び水の合計量が、85質量%以上である、請求項1に記載の液体柔軟剤組成物。
  3. 下記(C)〜(G)成分の含有量が下記の範囲である、請求項1〜の何れか1項記載の液体柔軟剤組成物。
    (C)成分:非イオン性界面活性剤 2質量%未満
    (D)成分:金属イオン封鎖剤 0質量%以上、0.1質量%以下
    (E)成分:水溶性有機溶剤 0質量%以上、5質量%以下
    (F)成分:酸化防止剤 0質量%以上、0.3質量%以下
    (G)成分:香料 0質量%以上、1質量%以下
  4. 30℃でのpHが2以上、7以下であり、30℃での粘度が5mPa・s以上、200mPa・s以下である、請求項1〜の何れか1項記載の液体柔軟剤組成物。
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