JP6207015B2 - 切断用ブレード及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば半導体製品等に用いられる電子半導体材料を切断加工する切断用ブレード、及びその製造方法に関するものである。
従来、半導体製品などに用いられる電子半導体材料(電子材料部品)等の被切断材に、溝加工を施したり、切断することによって個片化したりする加工(本明細書では、これらの加工を総じて切断加工又は単に切断という)には、高精度が要求されており、このような切断加工には、円形板状の切断用ブレード(薄刃砥石)が使用されている。
切断用ブレードは、円形板状をなすブレード本体と、前記ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃と、を備えており、前記ブレード本体は、樹脂相と、前記樹脂相に分散された砥粒と、を備えている。
この種の切断用ブレードによって切断され製造される電子材料部品としては、半導体素子のように半導体ウェハから切断されて分割された後に、リードフレームに実装されて樹脂モールディングされるものの他、例えば下記のようなものが知られている。
(a)QFN(quad flat non-leaded package)と称されるもののように、リードフレーム上に一括して多数の素子を実装し、これらをまとめてモールディングした後に切断することにより個片化されて製造される電子材料部品。
(b)IrDA(赤外線データ通信協会)規格の光伝送モジュール(以下、単にIrDAと省略する)のように、ガラスエポキシ樹脂製の基体に形成されたスルーホールの内周面にNi、Au、Cu等のめっきが施された基板を有し、切断により個片化される電子材料部品。
また近年では、電子材料部品の製品歩留まりの向上を目的として、切断用ブレードを極薄刃に形成することが要求されている。しかしながら、ブレード本体に樹脂相を有するレジンボンド砥石からなる切断用ブレードを、単純に極薄刃に形成した場合には、剛性を確保することが難しくなる。
例えば、下記特許文献1に示される複合砥石においては、砥石体の長手方向に沿って無機質繊維群を配置し、ダイヤモンド砥粒を混入した合成樹脂を該無機質繊維群に含浸させて固化することで、砥石体の剛性を確保するようにしている。
そこで、従来のレジンボンド砥石からなる切断用ブレードの樹脂相に、特許文献1に示される無機質繊維群を配設することで、剛性を向上させることが考えられる。
特開2000−263448号公報
しかしながら、切断用ブレードの剛性を確保するために、特許文献1の構成を用いた場合には、下記の問題が生じる。
すなわち、特許文献1の複合砥石のように、無機質繊維群が砥石体の長手方向に沿うように延びて配向している場合には、砥石体の長手方向に相対移動する被切断材との接触における耐摩耗性と、長手方向に垂直な方向(幅方向、厚さ方向)に相対移動する被切断材との接触における耐摩耗性とに差が生じることから、このように耐摩耗性(摩耗進行の速さ)が方向や箇所により異なる(つまり耐摩耗性に偏りがある)構成を、切断用ブレードに用いることはできなかった。
具体的に切断用ブレードにおいては、円形板状をなすブレード本体の外周縁部に切れ刃が形成されており、ブレード本体がその中心軸回りに回転駆動されつつ、切れ刃が被切断材に切り込むようになっている。従って、例えばブレード本体の外周縁部(切れ刃)の周方向に沿う各部において、上述した耐摩耗性の差が生じると、耐摩耗性が低い部分では早期に切れ刃が摩耗して刃痩せが生じやすくなる。
上記「刃痩せ」とは、ブレード本体の切れ刃が、径方向外側に向かうに従い漸次ブレード幅方向に沿う幅(厚さ)が小さくなる現象であり、このような刃痩せが生じると、切断の加工品位を安定して維持することができなくなる。具体的に、切れ刃に刃痩せが生じると、被切断材の切断面が傾斜状となって精度が確保できなくなったり、切り残し(切断不良)が生じてチッピングの原因になる。
また刃痩せは、切れ刃の周方向に沿う耐摩耗性の高い部分に比べて、耐摩耗性の低い部分で進行しやすいために、切れ刃に周方向に沿う偏摩耗が生じて、剛性が不安定になったり切断の加工品位に影響する。
また、極薄刃を要求される切断用ブレードの製造においては、例えば、樹脂相素材に溶媒及び砥粒を混合してスラリーとしたものを、ドクターブレード法によりシート状に延ばし、円形板状にくり抜いたものをホットプレスにより圧縮・熱処理することが行われている。そのため、スラリーに無機質繊維群を混合したものを、単純にドクターブレード法でシート状に延ばすと、無機質繊維群がシート成形方向(シート体の延在方向)に沿って配向してしまい、上述した問題がまさに生じることになる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ブレード本体の剛性を高めつつ、切れ刃の刃痩せ及び偏摩耗を抑制できる切断用ブレード、及びその製造方法を提供することを目的としている。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、円形板状をなすブレード本体と、前記ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃と、を備える切断用ブレードであって、前記ブレード本体は、樹脂相と、前記樹脂相に分散された砥粒及び繊維状フィラーと、を備え、前記繊維状フィラーには、前記ブレード本体の中心軸に直交する径方向に沿うように、前記中心軸を中心に放射状に延びて配向されたものが含まれており、放射状に配向した前記繊維状フィラーの、すべての前記繊維状フィラーに対する割合が、30〜90%であることを特徴とする。
本発明の切断用ブレードによれば、ブレード本体の樹脂相に、繊維状フィラー(線状フィラー)が分散されていることにより、ブレード本体の剛性が高められている。そして、樹脂相に分散された繊維状フィラーの中には、ブレード本体の径方向に沿うように、該ブレード本体の中心軸を中心に放射状に配向されたもの(以下、放射状に配向した繊維状フィラーと省略する)が含まれており、当該放射状に配向した繊維状フィラーの、樹脂相に含まれるすべての繊維状フィラーに対する割合(比率)が、30%以上とされている。
これにより、ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃は、そのブレード本体の中心軸方向(ブレード幅方向)を向く側面部分における耐摩耗性が、全周にわたり均一に、かつ顕著に高められて、刃痩せ及び偏摩耗が抑制されることになる。
具体的に、ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃のうち、ブレード本体の径方向外側を向く外周面に位置する切れ刃部分では、繊維状フィラーの軸に垂直な横断面(円形状や楕円形状等の断面)が露出して、被切断材に接触させられる。一方、切れ刃のうち、ブレード本体の中心軸方向(ブレード幅方向)を向く側面に位置する切れ刃部分では、繊維状フィラーの軸方向に沿う縦断面(細長い矩形状や帯状等の断面)が露出して、被切断材に接触させられる。
すなわち、切れ刃の側面部分では、被切断材に接触する繊維状フィラーの断面積が大きく確保されて摩耗の進行が遅くなり、切れ刃の外周面部分では、被切断材に接触する繊維状フィラーの断面積が小さく抑えられて摩耗の進行が速められることになる。つまり、切れ刃の外周面部分の摩耗の進行よりも、切れ刃の側面部分の摩耗の進行が遅くなるため、切れ刃の側面部分が切れ刃の外周面部分よりも早期に摩耗することで生じる「刃痩せ」が、顕著に防止されるのである。
ここで、本明細書でいう「ブレード本体の径方向に沿うように、中心軸を中心に放射状に延びて配向された繊維状フィラー」(放射状に配向した繊維状フィラー)とは、ブレード本体の中心軸に垂直な断面視(又はブレード本体をその中心軸方向から見た側面視)で、繊維状フィラー上(詳しくは、例えば繊維状フィラーにおいてブレード径方向の内側に位置する端部)を通る所定のブレード径方向に対して、該繊維状フィラーの軸が傾斜する角度が、±45°以下の所定角度範囲内である繊維状フィラーを指している。
そして、ブレード本体の切れ刃に位置する「放射状に配向した繊維状フィラー」は、その切れ刃の側面部分に露出する断面積よりも、切れ刃の外周面部分に露出する断面積が小さくなることから、上述した作用効果を奏する。
具体的に、樹脂相に分散されたすべての繊維状フィラーのうち、上記「放射状に配向した繊維状フィラー」でないもの、つまり、ブレード本体の中心軸に垂直な断面視で、繊維状フィラー上を通る所定のブレード径方向に対して、該繊維状フィラーの軸が傾斜する角度が、−45°未満及び+45°を超える所定角度範囲外であるものについては、切れ刃に位置する当該繊維状フィラーにおいて、切れ刃の側面部分に露出する断面積と、切れ刃の外周面部分に露出する断面積との差が小さくなる(例えば切れ刃の側面部分に露出する断面積と、切れ刃の外周面部分に露出する断面積とが略同等になる)ため、上述した作用効果は得られ難い。
そして、樹脂相に分散されたすべての繊維状フィラーに対する放射状に配向した繊維状フィラーの割合が、30%以上とされている。これにより、樹脂相に分散されたすべての繊維状フィラーのうち、上記「放射状に配向した繊維状フィラー」の割合が十分に確保されて、上述した作用効果がより安定的に、かつ格別顕著に得られることになるのである。
具体的に、樹脂相に分散されたすべての繊維状フィラーに対する放射状に配向した繊維状フィラーの割合が、30%未満の場合には、ブレード本体の切れ刃の刃痩せを抑制する効果が十分に得られなくなり、また切れ刃の周方向の各部で摩耗の進行具合が異なることとなって、偏摩耗が生じるおそれがある。
以上より、本発明によれば、ブレード本体の剛性を高めつつ、切れ刃の刃痩せ及び偏摩耗を顕著に抑制できるのである。
また、本発明の切断用ブレードにおいて、前記繊維状フィラーが、カーボンファイバーからなることとしてもよい。
この場合、カーボンファイバーからなる繊維状フィラーによって、ブレード本体の剛性及び切れ刃の耐摩耗性が高められつつ、切れ刃に位置する繊維状フィラーがあたかも潤滑剤のごとく作用して、被切断材を切断して生じた切り粉(切屑)がブレード本体の側面(特に切れ刃の側面部分)等に付着しにくくされるとともに、良好に排出されやすくなり、これにより、被切断材を切断する際の切断抵抗が低減されて、被切断材の加工品位が良好に維持される。
また、カーボンファイバーからなる繊維状フィラーは、流通上容易に入手しやすく、取り扱いやすいという利点がある。
また、本発明の切断用ブレードにおいて、前記樹脂相の体積に対する、すべての前記繊維状フィラーの体積の割合が、15%以上60%未満であることとしてもよい。
この場合、樹脂相に分散された繊維状フィラーによる、ブレード本体の剛性を向上させる効果や、切れ刃の刃痩せを抑制する効果(耐摩耗性を向上させる効果)が、より安定して得られることになる。
具体的に、樹脂相の体積に対する繊維状フィラーの体積の割合が、15%未満の場合には、切れ刃の側面部分の摩耗(つまり刃痩せ)を抑制する効果が十分に得られにくくなるおそれがある。また、樹脂相の体積に対する繊維状フィラーの体積の割合が、60%以上の場合には、ブレード本体の靱性が確保できなくなる等により、工具としての要求寿命を満足できなくなるおそれがある。
また本発明は、前述した切断用ブレードを製造する方法であって、樹脂相素材に溶媒、砥粒及び繊維状フィラーを混合し、スラリーを形成するスラリー形成工程と、前記スラリーを、回転体の回転中心に滴下し、遠心力によりシート状に拡げる延展工程と、延展工程により得られたシート体の形状を、円形板状に成形してブレード本体素材とする成形工程と、前記ブレード本体素材をホットプレスする圧縮・熱処理工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の切断用ブレードの製造方法によれば、スラリー形成工程で得られたスラリーを、例えばスピンコーター等からなる回転体の回転中心に滴下することにより、スラリーに含まれる繊維状フィラーが、遠心力によって、スラリーとともに回転体上をその回転中心から径方向外側へと流れていくことで、径方向(後工程におけるブレード径方向)に沿うように配向させられる。
この延展工程の後、成形工程、圧縮・熱処理工程を経て製造された切断用ブレードにおいては、樹脂相に分散されたすべての繊維状フィラーの中に、上記「放射状に配向した繊維状フィラー」が含まれる割合が、安定して30%以上となり、上述した作用効果が確実に奏されることになる。
以上より、本発明の切断用ブレードの製造方法によれば、ブレード本体の樹脂相に、放射状に配向した繊維状フィラーを設けることが容易であり、またこれにより、ブレード本体の剛性を高めつつ、切れ刃の刃痩せ及び偏摩耗を抑制できるという上述した効果を奏する切断用ブレードを、簡単にかつ安定して製造できる。
本発明の切断用ブレードによれば、ブレード本体の剛性を高めつつ、切れ刃の刃痩せ及び偏摩耗を抑制できる。
また、本発明の切断用ブレードの製造方法によれば、このような優れた効果を奏する切断用ブレードを、簡単にかつ安定して製造できる。
本発明の一実施形態に係る切断用ブレードを示す側面図である。 図1のA−A断面を示す図である。 図2のB部の拡大図である。 樹脂相に分散された繊維状フィラーのうち、ブレード本体の径方向に沿うように、中心軸を中心に放射状に延びて配向されたものを説明する図である。 切断用ブレードで溝入れ加工を施したワークにおける、溝の断面形状(刃痩せ)を説明する拡大図である。
以下、本発明の一実施形態に係る切断用ブレード10及びその製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態の切断用ブレード10は、例えば上述したQFNやIrDAのような、樹脂中に銅やNi−Pd系などの金属材を有する複合材である電子材料部品(被切断材)の精密切断加工に使用される。
図1及び図2に示されるように、切断用ブレード10は、円形板状をなすブレード本体1と、ブレード本体1の外周縁部に形成された切れ刃1Aと、を備えている。特に図示しないが、切断用ブレード10は、そのブレード本体1がフランジを介して切断装置の主軸に取り付けられ、該ブレード本体1の中心軸O回りに回転されつつ該中心軸Oに垂直な方向に送り出されることにより、このブレード本体1においてフランジより径方向外側に突出された外周縁部(切れ刃1A)で被切断材を切断する。
ここで、本明細書においては、ブレード本体1の中心軸O方向に沿う方向を幅方向(ブレード幅方向)といい、中心軸Oに直交する方向を径方向(ブレード径方向)といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向(ブレード周方向)ということがある。
ブレード本体1の厚さ(幅方向の長さ)は、例えば0.05〜0.5mmであり、従ってブレード本体1は円形薄板状をなしている。尚、図2においては説明のため、ブレード本体1の厚さが実際より厚く示されている。また、ブレード本体1の径方向の中央部(中心軸O上)には、中心軸Oを中心とした円形孔状をなし、該ブレード本体1を幅方向に貫通する取付孔4が形成されており、このためブレード本体1は具体的には円環板状をなしている。すなわち、本明細書でいう「円形板状をなすブレード本体1」には、円環板状をなすブレード本体1が含まれる。
図3に示されるように、ブレード本体1の切れ刃1Aは、該ブレード本体1の厚さと等しい極小さな幅とされたブレード本体1の外周面と、該ブレード本体1の幅方向を向く両側面1Bの外周縁部と、これら側面1Bの外周縁部と前記外周面との交差稜線をなすエッジ部と、によって形成されている。
ブレード本体1は、樹脂相2と、樹脂相2に分散され、樹脂相2よりも硬質の材料からなる砥粒3と、樹脂相2に分散され、砥粒3よりも軟質の材料からなる繊維状フィラー(線状フィラー)5と、を有している。
樹脂相2は、例えば、フェノール樹脂やポリイミド樹脂等の合成樹脂を主成分とした樹脂結合剤相(レジンボンドのマトリックス材)となっている。
砥粒3は、ダイヤモンド及びcBNのいずれかからなる。ただし、砥粒3として、上記ダイヤモンド、cBN以外の硬質材料(樹脂相2よりも硬質の材料)を用いてもよい。また、砥粒3の平均粒径は、例えば20〜200μmとされている。また、樹脂相2の体積に対する砥粒3の体積の割合は、例えば、6.25〜37.5%である。
本実施形態の繊維状フィラー5は、カーボンファイバーからなる。また、繊維状フィラー5は、例えば、その平均長さが30〜500μmであり、その平均外径が3〜50μmであり、アスペクト比(長さ/外径で表される比)の平均(値)が10〜100の範囲である。
繊維状フィラー5の軸に垂直な断面(横断面)は、円形状をなしているが、それ以外の楕円形状、多角形状、円環形状等であってもよい。尚、横断面が円環形状をなす繊維状フィラー5としては、例えばカーボンナノチューブ等が挙げられる。ただし、本発明による後述の作用効果をより確実に得るためには、繊維状フィラー5における横断面の断面積と縦断面の断面積との差が大きいことが好ましく、よって繊維状フィラー5は中実体であることが望ましい。
また、樹脂相2に分散された繊維状フィラー5には、ブレード本体1の径方向に沿うように、中心軸Oを中心に放射状に延びて配向されたもの(以下、放射状に配向した繊維状フィラー5と省略することがある)が含まれている。すなわち、樹脂相2に分散されたすべての繊維状フィラー5の中には、ブレード本体1の径方向に沿うように延びて配向されたものが複数含まれており、これらが互いに周方向に間隔を開けて配置されていることで、樹脂相2において中心軸Oを中心に放射状に配向する繊維状フィラー5が設けられている。
ここで、本明細書でいう「ブレード本体1の径方向に沿うように、中心軸Oを中心に放射状に延びて配向された繊維状フィラー5」(放射状に配向した繊維状フィラー5)とは、図4に示されるブレード本体1の中心軸Oに垂直な断面視(又はブレード本体1をその中心軸O方向から見た側面視)で、繊維状フィラー5上(詳しくは、図示するように例えば繊維状フィラー5においてブレード径方向の内側に位置する端部)を通る所定のブレード径方向Dに対して、該繊維状フィラー5の軸Cが傾斜する角度θが、±45°以下の所定角度範囲内である繊維状フィラー5を指している。
そして、樹脂相2に分散されたすべての繊維状フィラー5に対する、ブレード本体1の径方向に沿うように、中心軸Oを中心に放射状に延びて配向された繊維状フィラー5(放射状に配向した繊維状フィラー5)の割合(比率)が、30%以上(30〜100%)である。
尚、本発明により得られる後述する作用効果のうち、切れ刃1Aの刃痩せを抑制できるという観点からは、樹脂相2に分散されたすべての繊維状フィラー5に対する、上記放射状に配向した繊維状フィラー5の割合が、50%以上(50〜100%)であることが好ましく、70%以上(70〜100%)であることがより望ましい。
また、ブレード本体1の剛性を安定して高められる(ブレード寿命を延長できる)という観点からは、樹脂相2に分散されるすべての繊維状フィラー5の中に、上記放射状に配向した繊維状フィラー5以外に、周方向に沿うように延びる(ブレード周方向に配向した)繊維状フィラー5が含まれていることが好ましく、これによりブレード周方向に沿う強度も向上する。このような観点からは、樹脂相2に分散されたすべての繊維状フィラー5に対する、上記放射状に配向した繊維状フィラー5の割合が、50〜90%であることが好ましく、50〜70%であることがより望ましい。
また、樹脂相2の体積に対する、すべての繊維状フィラー5の体積の割合が、15%以上60%未満である。
より好ましくは、樹脂相2の体積に対する、すべての繊維状フィラー5の体積の割合は、20〜50%であり、望ましくは30〜40%である。
次に、上述した切断用ブレード10の製造方法について説明する。
この切断用ブレード10の製造方法は、樹脂相2素材に溶媒、砥粒3及び繊維状フィラー5を混合し、スラリーを形成するスラリー形成工程と、前記スラリーを、回転体の回転中心に滴下し、遠心力によりシート状に拡げる延展工程と、延展工程により得られたシート体の形状を、円形板状に成形してブレード本体1素材とする成形工程と、前記ブレード本体1素材をホットプレスする圧縮・熱処理工程と、前記圧縮・熱処理工程を経たブレード本体1素材を仕上げ加工する仕上げ工程と、を備えている。
[スラリー形成工程]
例えばフェノール樹脂(樹脂相2)素材を所定量秤量し、IPA溶媒を適量加えてフェノール樹脂素材を溶解させる。次に、溶解させた樹脂溶液に、上述した砥粒3、及びカーボンファイバーからなる繊維状フィラー5を添加して混ぜ合わせることにより、スラリーを形成する。尚、上記繊維状フィラー5としては、例えば、製品名:ダイアリード(登録商標)(三菱樹脂株式会社製)を用いることができる。
また、上記樹脂溶液に、シランカップリング剤を混合してもよい。
[延展工程]
次いで、上記スラリーを、例えば円板状をなすスピンコーター等の回転体上における回転中心位置に滴下するとともに、回転の遠心力により放射状に延展させることで、シート状に形成する。尚、このようなスピンコーティング法を用いて形成されるシート体の厚さは、例えば、0.1〜1mmである。
[成形工程]
次いで、上記シート体を乾燥させた後、該シート体の形状を円形板状にくり抜いて(整えて)、ブレード本体1素材を形成する。
[圧縮・熱処理工程]
次いで、上記ブレード本体1素材を、ホットプレスにて圧縮成型及び熱処理する。尚、上記ブレード本体1素材を、厚さ方向に複数積層した状態で、圧縮・熱処理してもよい。圧縮・熱処理の条件は、例えば、熱板200℃、180℃雰囲気で30分間、圧力10tonである。
[仕上げ工程]
次いで、圧縮・熱処理工程を経たブレード本体1素材を、所定の外形、内形サイズとなるように、外周部と内周部を切断或いは研削して、仕上げ加工する。
これにより、所期の形状の切断用ブレード10を得ることができる。尚、上述した各工程における材料の種類や名称、寸法、処理条件等は、本実施形態で説明したものに限定されない。
以上説明した本実施形態の切断用ブレード10によれば、ブレード本体1の樹脂相2に、繊維状フィラー(線状フィラー)5が分散されていることにより、ブレード本体1の剛性が高められている。そして、樹脂相2に分散された繊維状フィラー5の中には、ブレード本体1の径方向に沿うように、該ブレード本体1の中心軸Oを中心に放射状に配向されたもの(放射状に配向した繊維状フィラー5)が含まれており、当該放射状に配向した繊維状フィラー5の、樹脂相2に含まれるすべての繊維状フィラー5に対する割合(比率)が、30%以上とされている。
これにより、ブレード本体1の外周縁部に形成された切れ刃1Aは、そのブレード本体1の中心軸O方向(ブレード幅方向)を向く側面1B部分における耐摩耗性が、全周にわたり均一に、かつ顕著に高められて、刃痩せ及び偏摩耗が抑制されることになる。
具体的に、ブレード本体1の外周縁部に形成された切れ刃1Aのうち、ブレード本体1の径方向外側を向く外周面に位置する切れ刃1A部分では、繊維状フィラー5の軸Cに垂直な横断面(円形状や楕円形状等の断面)が露出して、被切断材に接触させられる。一方、切れ刃1Aのうち、ブレード本体1の中心軸O方向(ブレード幅方向)を向く側面1Bに位置する切れ刃1A部分では、繊維状フィラー5の軸C方向に沿う縦断面(細長い矩形状や帯状等の断面)が露出して、被切断材に接触させられる。
すなわち、切れ刃1Aの側面1B部分では、被切断材に接触する繊維状フィラー5の断面積が大きく確保されて摩耗の進行が遅くなり、切れ刃1Aの外周面部分では、被切断材に接触する繊維状フィラー5の断面積が小さく抑えられて摩耗の進行が速められることになる。つまり、切れ刃1Aの外周面部分の摩耗の進行よりも、切れ刃1Aの側面1B部分の摩耗の進行が遅くなるため、切れ刃1Aの側面1B部分が切れ刃1Aの外周面部分よりも早期に摩耗することで生じる「刃痩せ」が、顕著に防止されるのである。
そして、ブレード本体1の切れ刃1Aに位置する「放射状に配向した繊維状フィラー5」は、その切れ刃1Aの側面1B部分に露出する断面積よりも、切れ刃1Aの外周面部分に露出する断面積が小さくなることから、上述した作用効果を奏する。
具体的に、樹脂相2に分散されたすべての繊維状フィラー5のうち、上記「放射状に配向した繊維状フィラー5」でないもの、つまり、ブレード本体1の中心軸Oに垂直な断面視で、繊維状フィラー5上を通る所定のブレード径方向Dに対して、該繊維状フィラー5の軸Cが傾斜する角度θが、−45°未満及び+45°を超える所定角度範囲外であるものについては、切れ刃1Aに位置する当該繊維状フィラー5において、切れ刃1Aの側面1B部分に露出する断面積と、切れ刃1Aの外周面部分に露出する断面積との差が小さくなる(例えば切れ刃1Aの側面1B部分に露出する断面積と、切れ刃1Aの外周面部分に露出する断面積とが略同等になる)ため、上述した作用効果は得られ難い。
そして、樹脂相2に分散されたすべての繊維状フィラー5に対する放射状に配向した繊維状フィラー5の割合が、30%以上とされている。これにより、樹脂相2に分散されたすべての繊維状フィラー5のうち、上記「放射状に配向した繊維状フィラー5」の割合が十分に確保されて、上述した作用効果がより安定的に、かつ格別顕著に得られることになるのである。
具体的に、樹脂相2に分散されたすべての繊維状フィラー5に対する放射状に配向した繊維状フィラー5の割合が、30%未満の場合には、ブレード本体1の切れ刃1Aの刃痩せを抑制する効果が十分に得られなくなり、また切れ刃1Aの周方向の各部で摩耗の進行具合が異なることとなって、偏摩耗が生じるおそれがある。
以上より、本実施形態によれば、ブレード本体1の剛性を高めつつ、切れ刃1Aの刃痩せ及び偏摩耗を顕著に抑制できるのである。
また本実施形態では、繊維状フィラー5がカーボンファイバーからなるので、下記の効果を奏する。
すなわちこの場合、カーボンファイバーからなる繊維状フィラー5によって、ブレード本体1の剛性及び切れ刃1Aの耐摩耗性が高められつつ、切れ刃1Aに位置する繊維状フィラー5があたかも潤滑剤のごとく作用して、被切断材を切断して生じた切り粉(切屑)がブレード本体1の側面1B(特に切れ刃1Aの側面1B部分)等に付着しにくくされるとともに、良好に排出されやすくなり、これにより、被切断材を切断する際の切断抵抗が低減されて、被切断材の加工品位が良好に維持される。
また、カーボンファイバーからなる繊維状フィラー5は、流通上容易に入手しやすく、取り扱いやすいという利点がある。
また本実施形態では、樹脂相2の体積に対する、すべての繊維状フィラー5の体積の割合が、15%以上60%未満であるので、下記の効果を奏する。
すなわちこの場合、樹脂相2に分散された繊維状フィラー5による、ブレード本体1の剛性を向上させる効果や、切れ刃1Aの刃痩せを抑制する効果(耐摩耗性を向上させる効果)が、より安定して得られることになる。
具体的に、樹脂相2の体積に対する繊維状フィラー5の体積の割合が、15%未満の場合には、切れ刃1Aの側面1B部分の摩耗(つまり刃痩せ)を抑制する効果が十分に得られにくくなるおそれがある。また、樹脂相2の体積に対する繊維状フィラー5の体積の割合が、60%以上の場合には、ブレード本体1の靱性が確保できなくなる等により、工具としての要求寿命を満足できなくなるおそれがある。
また、本実施形態で説明した切断用ブレード10の製造方法によれば、スラリー形成工程で得られたスラリーを、例えばスピンコーター等からなる回転体の回転中心に滴下することにより、スラリーに含まれる繊維状フィラー5が、遠心力によって、スラリーとともに回転体上をその回転中心から径方向外側へと流れていくことで、径方向(後工程におけるブレード径方向)に沿うように配向させられる。
この延展工程の後、成形工程、圧縮・熱処理工程を経て製造された切断用ブレード10においては、樹脂相2に分散されたすべての繊維状フィラー5の中に、上記「放射状に配向した繊維状フィラー5」が含まれる割合が、安定して30%以上となり、上述した作用効果が確実に奏されることになる。
以上より、本実施形態の切断用ブレード10の製造方法によれば、ブレード本体1の樹脂相2に、放射状に配向した繊維状フィラー5を設けることが容易であり、またこれにより、ブレード本体1の剛性を高めつつ、切れ刃1Aの刃痩せ及び偏摩耗を抑制できるという上述した効果を奏する切断用ブレード10を、簡単にかつ安定して製造できる。
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、樹脂相2に繊維状フィラー5が分散されているとしたが、樹脂相2には、繊維状フィラー5以外の他のフィラー(例えばWCからなるフィラーなど)が、該繊維状フィラー5とともに分散されていても構わない。すなわち、樹脂相2に分散される複数種類のフィラーの中に、少なくとも繊維状フィラー5が含まれており、かつ、樹脂相2に含まれるすべての繊維状フィラー5に対する、ブレード径方向に配向する繊維状フィラー5の割合が、30%以上であればよい。
また、前述の実施形態では、繊維状フィラー5がカーボンファイバーからなるとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、繊維状フィラー5は、例えば、ガラスファイバー、セラミックスファイバー、金属繊維、シリコンナノチューブ、セラミックスナノチューブ、金属ナノチューブ等であってもよい。
また、前述の実施形態では、図3に示されるように、砥粒3及び繊維状フィラー5が分散された樹脂相2が1層設けられてブレード本体1が形成されているが、このような樹脂相2が複数積層して形成されたブレード本体1であってもよい。
また、前述の実施形態では、樹脂相2としてフェノール樹脂よりなる樹脂結合剤相を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、フェノール樹脂以外の樹脂材料を主成分とする樹脂結合剤相であってもよい。
また、前述の実施形態では、ダイヤモンド及びcBNのいずれかからなる砥粒3が樹脂相2に分散されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、砥粒3として、ダイヤモンド及びcBN以外の硬質材料が砥粒3として樹脂相2に分散されていてもよい。
また、前述の実施形態では、切断用ブレード10が、被切断材として例えばQFNやIrDAのような、樹脂中に金属材を有する複合材である電子材料部品の切断に使用されると説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、切断用ブレード10は、半導体デバイス(電子材料部品)に用いられる例えばガラス、セラミックス、石英等の脆性材料(硬脆材料)からなる被切断材を精密切断加工してもよい。
また、前述の実施形態では、切断用ブレード10の製造において、スピンコーター等の回転体を用いるとともにその遠心力によって、樹脂相2に、ブレード径方向に配向しかつ放射状に配向した繊維状フィラー5を設けることとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば従来のドクターブレード法を用い、スラリーをシート状に成形して得られた複数のシート体を、互いに繊維状フィラー5の配向する向きが異なるように、ブレード本体1素材の中心軸O回りに所定角度ずつずらした状態で積層することで、樹脂相2に、ブレード径方向に配向しかつ放射状に配向した繊維状フィラー5を設けることとしてもよい。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及び尚書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[切断試験A]
この試験では、ブレード本体1において樹脂相2に分散されるすべての繊維状フィラー5に対する、放射状に配向した繊維状フィラー5の割合を、30%以上としたものを本発明の実施例とし、30%未満のものを比較例として、側面刃痩せ量、突発バリ発生の有無及び最大バリの大きさ、ブレード寿命について確認を行った。
具体的には、樹脂相2となる樹脂材料として、フェノール樹脂(昭和高分子株式会社製:BRP5417)を用い、粒度#230(平均粒径62μm)のダイヤモンドからなる砥粒3、及び、平均長さ200μm、平均外径11μmのカーボンファイバーからなる繊維状フィラー5(三菱樹脂株式会社製:ダイアリード(登録商標))が樹脂相2に分散された切断用ブレードを複数作製し、これら切断用ブレードにおいて、樹脂相2に含まれるすべての繊維状フィラー5に対する、放射状に配向した繊維状フィラー5の割合を、26〜100%の間で種々に設定した。
尚、これら切断用ブレードのうち、前記割合が26%のものについては、スラリーをドクターブレード法によりシート体としたものを、繊維状フィラーの配向が互いに異なるように複数積層してホットプレスし、それ以外のものについては、スラリーをスピンコーティング法によりシート体としたものをホットプレスした。
また、樹脂相2の体積に対する、すべての繊維状フィラー5の体積の割合(繊維状フィラー5の体積比率)は、すべて35%とした。
また切断条件については、使用切断機:A−WD−100A(株式会社東京精密製)、使用ワーク(被切断材):QFNダミーワーク、スピンドル(主軸)回転数:21000min−1、送り速度:40mm/s、冷却水:ノズル、シャワーともに1.2L/mとした。
そして、ワークを500m切断加工した後の切断用ブレードの切れ刃1Aにおける側面1Bの刃痩せ量(側面刃痩せ量)、刃痩せによる切り残しで突発的に生じたと推測されるバリの有無(突発バリ発生の有無)及び切断時に発生したバリの最大値(最大バリの大きさ)、ブレードの工具寿命までの切断長さ(ブレード寿命)について、それぞれ測定した。
尚、上記「側面刃痩せ量」については、切断用ブレードによるワーク切断長が500mに達した時点において、図5に示されるように、この切断用ブレードでカーボン素材に溝入れ加工を行い、形成された溝Sの断面形状を観察して、溝Sの底部における切れ刃1Aの側面1B部分に対応する箇所に傾斜状に形成された部分の幅寸法Hを測定した。
また、評価「OK」とした最大バリの大きさの許容値は75μmであり、ブレード寿命の許容値は2000mである。
結果を表1に示す。
Figure 0006207015
[評価]
表1に示されるように、実施例1〜5では、比較例1、2とは異なり突発バリの発生が見受けられなかった。また実施例1〜5は比較例1、2に比べて、側面刃痩せ量が十分に小さく抑えられており、最大バリの大きさも小さくなって、切断の加工品位が高められていた。
尚、実施例1〜5のうち、放射状に配向した繊維状フィラー5の割合が50%以上(50〜100%)とされた実施例2〜5については、側面刃痩せ量が8μm以下にまで抑えられ、さらに前記割合が70%以上(70〜100%)とされた実施例3〜5については、側面刃痩せ量が7μm以下にまで抑えられて、刃痩せ抑制に格別顕著な効果を奏することが確認された。
また、実施例1〜5のうち、放射状に配向した繊維状フィラー5の割合が50〜90%である実施例2〜4については、ブレード寿命が2700m以上にまで延長され、さらに前記割合が50〜70%である実施例2、3については、ブレード寿命が2800mにまで延長されて、工具の長寿命化に格別顕著な効果を奏することが確認された。
[切断試験B]
この試験では、ブレード本体1において樹脂相2に分散されるすべての繊維状フィラー5に対する、放射状に配向した繊維状フィラー5の割合を50%とし(つまりすべての切断用ブレードが本発明の実施例である)、樹脂相2の体積に対する繊維状フィラー5の体積の割合を、14〜60%の間で種々に設定した。
尚、この試験用に準備した切断用ブレードは、すべてスピンコーティング法を用いて作製した。それ以外の条件は、上述した切断試験Aと同様とした。
結果を表2に示す。
Figure 0006207015
[評価]
表2に示されるように、実施例6〜14では、突発バリの発生が見受けられず、側面刃痩せ量が20μm以下に小さく抑えられており、最大バリの大きさも許容範囲内(75μm以下)であった。
尚、ブレード寿命については、実施例6〜13が許容範囲内(2000m以上)であり、実施例14については僅かに許容値に至らなかったものの、切断の加工品位は十分に確保されていた。
また、実施例6〜14のうち、繊維状フィラー5の体積の、樹脂相2の体積に対する割合が、20〜50%である実施例8〜12については、最大バリの大きさが61μm以下にまで抑えられ、かつブレード寿命が2300m以上にまで長寿命化した。さらに、前記割合が30〜40%である実施例9〜11については、最大バリの大きさが53μm以下にまで抑えられ、かつブレード寿命が2500m以上にまで延長されて、より格別顕著な効果を奏することが確認された。
1 ブレード本体
1A 切れ刃
2 樹脂相
3 砥粒
5 繊維状フィラー
10 切断用ブレード
O ブレード本体の中心軸

Claims (4)

  1. 円形板状をなすブレード本体と、前記ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃と、を備える切断用ブレードであって、
    前記ブレード本体は、
    樹脂相と、
    前記樹脂相に分散された砥粒及び繊維状フィラーと、を備え、
    前記繊維状フィラーには、前記ブレード本体の中心軸に直交する径方向に沿うように、前記中心軸を中心に放射状に延びて配向されたものが含まれており、
    放射状に配向した前記繊維状フィラーの、すべての前記繊維状フィラーに対する割合が、30〜90%であることを特徴とする切断用ブレード。
  2. 請求項1に記載の切断用ブレードであって、
    前記繊維状フィラーが、カーボンファイバーからなることを特徴とする切断用ブレード。
  3. 請求項1又は2に記載の切断用ブレードであって、
    前記樹脂相の体積に対する、すべての前記繊維状フィラーの体積の割合が、15%以上60%未満であることを特徴とする切断用ブレード。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の切断用ブレードを製造する方法であって、
    樹脂相素材に溶媒、砥粒及び繊維状フィラーを混合し、スラリーを形成するスラリー形成工程と、
    前記スラリーを、回転体の回転中心に滴下し、遠心力によりシート状に拡げる延展工程と、
    延展工程により得られたシート体の形状を、円形板状に成形してブレード本体素材とする成形工程と、
    前記ブレード本体素材をホットプレスする圧縮・熱処理工程と、を備えることを特徴とする切断用ブレードの製造方法。
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