JP5528064B2 - 切断用ブレード - Google Patents

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本発明は、半導体装置等の各種電子材料部品の切断などに用いられる切断用ブレードに関する。
切断用ブレードによって切断されて製造される電子材料部品として、半導体素子のように半導体ウェハから切断されて分割された後にリードフレームに実装されて樹脂モールディングされるもののほかに、例えばQFN(quad flat non−leaded package)と称されるもののように、リードフレーム上に一括して多数の素子を実装してこれらをまとめてモールディングした後に切断することにより個片化されて製造される電子材料部品や、あるいはIrDA(赤外線データ通信協会)規格の光伝送モジュール(以下、単にIrDAと略称する。)のように、ガラスエポキシ樹脂製の基体に形成されたスルーホールの内周面にNi、Au、Cu等のめっきが施された基板を有してやはり切断により個片化される電子材料部品などが知られている。
このような電子材料部品の切断においては、例えばQFNではモールディング樹脂中に間隔をあけて配置されたCu等の延性の高い金属リードフレームを切断することとなるため、切断の際の薄刃砥石の送り方向や回転方向にこのリードフレーム等の金属バリが生じ易いという問題がある。
金属バリの発生を抑制する切断用ブレードとして、下記特許文献1には硬化樹脂中にウィスカーを添加したもの、あるいは、特許文献2には硬化樹脂中にWC粉末を所定量添加したものがそれぞれ提案されている。
特開平1―115574号公報 特開2006−62009号公報
ところで、前記した硬化樹脂中にウィスカーを添加した切断用ブレードやWC粉末を添加した切断用ブレードにあっては、硬化樹脂中に添加したウィスカー等が方向性をもって配列されるため、ある方向に対しては比較的強い耐摩耗性を有するものの、他の方向に対しては強い耐摩耗性が得られず、全体として良好な耐摩耗性が得られないという欠点があった。
特に、ドクターブレード法を用いて成型される切断用ブレードにあっては、硬化樹脂中のウィスカー等の配列方向が一方向に定まってしまい、異方性が顕著に現れる。
加えて、前述した切断用ブレードにあっては、成型後に特定方向へ樹脂の収縮率が大きくなることに起因して、製品としての寸法精度が低下し、所望の切断性能が得られないという欠点があった。
本発明は、このような背景の下になされたもので、ボンド部中に添加されるフィラーの異方性を緩和し、耐摩耗性並びに切断性能の向上が図れ、加えて金属バリの発生も抑えることができる切断用ブレードを提供することを目的としている。
前記の課題を解決するために、本発明は、以下の手段を提案している。
すなわち、本発明に係る切断用ブレードは、円環形の板状をなし、その外周縁部によって切断を行い、少なくとも1層以上からなり、ボンド部中に分散配置されるフィラーとして、四面体の中心から各頂点に向かって針状部が四方に伸びた3次元結晶構造のフィラーを有し、前記3次元結晶構造のフィラーは、前記針状部の長さが0.1μm〜100μmの範囲とされ、金属酸化物の結晶構造体からなっていることを特徴とする。
前記のように構成された切断用ブレードによれば、四面体の中心から各頂点に向かって針状部が四方に伸びた、いわゆるテトラポットに近似した3次元結晶構造のフィラーを有しており、この構造のフィラーは、方向性がなくどの方向から見ても全体の長さや幅は変わらない。
このため、このようなフィラーが添加されたボンド部は、異方性が緩和されることとなり、どの方向に対しても略同一の耐摩耗性を確保でき、結果的に耐摩耗性に優れるものとなる。また、成型後のンド部においては、特定方向への収縮率が高くなるといった事態を回避でき、製品としての寸法精度の向上が図れる。これに伴い、切断性能が向上するとともに、バリの発生を抑制できる。
また、前記3次元結晶構造のフィラーは、前記針状部の長さが0.1μm〜100μmの範囲とされている。仮に、針状部の長さが0.1μ未満であると、フィラーとしての大きさを確保することができず、該フィラーを添加する際の効果である、機械的強度を補うことができにくくなる。また、針状部の長さが100μmを越えると、針状部自体が損傷し易くなり、例えばボンド部に添加する際あるいはその後の成型時において、針状部が折れたりあるいは曲がったりするおそれがあり、3次元結晶構造の利点が得にくくなる。
また、前記3次元結晶構造のフィラーは、金属酸化物の結晶構造体からなっている。金属酸化物の結晶構造体であると、前述した3次元結晶構造のものを容易に得ることができる。たとえば、亜鉛を所定雰囲気中で酸化熱処理を行うことで、四面体の中心から各頂点に向かって針状部が四方に伸びた3次元結晶構造のものを容易に得ることができる。
前記金属酸化物の結晶構造体のフィラーは、前記3次元結晶構造のフィラーのほか他の形状のフィラーを備え、それら金属酸化物の結晶構造体からなる3次元結晶構造のフィラーと金属酸化物の結晶構造体からなる他の形状のフィラーとの体積比が10:90〜90:10の範囲であることが好ましい。
金属酸化物の結晶構造体のフィラーは、損傷され易いものが多く、例え針状部が折れる等してその形状が変わる場合であっても、3次元結晶構造のフィラーと金属酸化物の結晶構造体からなる他の形状のフィラーとの体積比が10:90〜90:10の範囲であれば、3次元結晶構造のフィラーの特徴である異方性を緩和する機能を充分発揮できる。
超砥粒抜きの前記ボンド部における、前記金属酸化物の結晶構造体のフィラーの体積パーセントが1〜40%に設定されていることが好ましい。
この場合、金属酸化物の結晶構造体のフィラーの体積パーセントが1〜40%に設定されていれば、金属酸化物の結晶構造体のうち3次元結晶構造のものもつ機能、つまり、異方性を緩和する機能を充分発揮することができ、もって、耐摩耗性並びに切断性能の向上が図れるとともに金属バリの発生も抑えることができる。
より好ましくは、前記体積パーセントは20〜30%に設定される。
また、切断用ブレードの厚さが、0.05〜0.5mmであることとしてもよい。
本発明に係る切断用ブレードによれば、ボンド部中に添加されるフィラーの異方性を緩和し、耐摩耗性並びに切断性能の向上が図れ、加えて金属バリの発生も抑えることができる。
本発明の一実施形態を示す切断用ブレードの側面図である。 図1に示す実施形態の切断用ブレードにおける薄刃砥粒層の外周縁部の拡大断面図である。 図1に示す実施形態の切断用ブレードで用いられた酸化亜鉛の結晶構造体の各種を示す斜視図である。 本発明の実施例および比較例1〜3によって切断したQFNの断面図である。 本発明の実施例および比較例1〜3によって切断したIrDA基板の断面図である。
図1〜図3は、本発明の一実施形態を示すものであり、図1は切断用ブレードの側面図、図2は図1に示す切断用ブレードにおける薄刃砥粒層の外周縁部の拡大断面図、図3は図1に示す実施形態の切断用ブレードで用いられた酸化亜鉛の結晶構造体の各種を示す斜視図である。
本実施形態の切断用ブレードは図1に示すように軸線Oを中心とした円環形で厚さ0.05〜0.5mm程度の薄肉板状をなし、それ自体が図2に示すような薄刃砥粒層1によって形成されていて、その内径部が切断装置の主軸に取り付けられて上記軸線O回りに回転されつつ該軸線Oに垂直な方向に送り出されることにより、この薄刃砥粒層1の外周縁部、すなわち上記厚さと等しい極小さな幅の外周面1Aと、両側面1Bの外周側、およびこれら外周面1Aと両側面1Bとが交差する円周状の両エッジ部1Cとによって、上述したQFNやIrDAのような樹脂中に金属材を有する電子部品材料の切断に使用される。
そして、この薄刃砥粒層1は、フェノール樹脂やポリイミド樹脂等の耐熱樹脂よりなる樹脂結合剤相(ボンド部)2に、ダイヤモンドやcBN等の超砥粒3と酸化亜鉛の結晶構造体からなるフィラー4とがそれぞれ略均一に分散されて保持された構成とされている。
ここで、酸化亜鉛の結晶構造体からなるフィラー4としては図3(a)〜(b)に示すように、種々の形状のものがある。図3(a)には正四面体あるいは単なる四面体の中心から各頂点に向かって針状部4aaが四方に伸びた3次元結晶構造のフィラー4aを示す。図3(b)には前記3次元結晶構造のフィラー4aにおいて、4本ある針状部4aaのうちの1本が根元から折れた形状のフィラー4bを示す。図3(c)には前記3次元結晶構造のフィラー4aにおいて、4本ある針状部4aaのうちの2本が根元から折れた形状のフィラー4cを示す。図3(d)には板状に形成されたフィラー4dを示す。
その他、前記3次元結晶構造のフィラー4aにおける針状部4aaの先端部分が折れてなる、単なる針状部形状のフィラーもある。
前記正四面体あるいは単なる四面体の中心から各頂点に向かって針状部が四方に伸びた3次元結晶構造のフィラー4aは、亜鉛を所定雰囲気中で酸化熱処理を行うことで得られる単結晶体である。また、このフィラー4aは、針状部4aaの平均繊維長が10μm、比重が5.78、かさ比重が0.1、融点が2000℃、昇華点が1720℃、熱膨張係数が3.18×10-6℃の性質をもつ。
ここで、前記3次元結晶構造のフィラー4aは、針状部4aaの長さが0.1μm〜100μmの範囲とされている。
また、前記酸化亜鉛の結晶構造体からなるフィラー4のうち、前記3次元結晶構造のフィラー4aと酸化亜鉛の結晶構造体からなる他の形状のフィラー(4b、4c、4d)との体積比は、10:90〜90:10の範囲に設定されている。
また、前記切断用ブレードにおいて、超砥粒3抜きの樹脂結合剤相2における、前記金属酸化物の結晶構造体のフィラー4の体積パーセントは、1〜40%に設定されており、より好ましくは20〜30%に設定されている。
上記構成の切断用ブレードは以下のようにして作られる。
まず、例えばフェノール樹脂を所定量秤量し、IPA溶媒を10ml加えてフェノール樹脂を溶解させる。次に、溶解させた樹脂溶液と酸化亜鉛の結晶構造体からなるフィラー4や必要に応じてWC等の他のフィラーを添加し、ドクターブレード法により、例えば、厚さ0.3mmのシートを成型する。
次いで、このシートを乾燥させた後、該シートから直径70mmの円板状ブレードをくり抜き、この円板状ブレードをホットプレスにて圧縮成型する。成型条件は、熱板200℃、180℃×30分間、圧力10トンである。
こうして得られる円板状ブレードを所定サイズとなるよう、外周部と内周部を切断あるいは研削加工することで所望形状の切断用ブレードを得ることができる。
このように構成された切断用ブレードにおいては、四面体の中心から各頂点に向かって針状部が四方に伸びた、いわゆるテトラポットに近似した3次元結晶構造のフィラー4aを有しており、このような構造のフィラー4aは、方向性がなくどの方向から見ても全体の長さや幅は変わらない。
このため、このようなフィラー4aが添加された樹脂結合剤相2は、異方性が緩和されることとなり、どの方向に対しても略同一の耐摩耗性を確保でき、結果的に耐摩耗性に優れるものとなる。また、成型後の樹脂結合剤相2においては、ある方向への収縮率が高くなるといった事態が回避でき、製品としての寸法精度の向上が図れる。これに伴い、切断性能が向上するとともに、バリの発生を抑制できる。
ここで、前記3次元結晶構造のフィラー4aは、前記針状部4aaの長さが0.1μm〜100μmの範囲とされている。これにより、このフィラーの特有の効果である異方性を緩和する効果を充分発揮することができる。仮に、針状部4aaの長さが0.1μ未満であると、フィラーとしての大きさを確保することができず、該フィラーを添加する際の効果である、機械的強度を補う点が得られなくなる。また、針状部4aaの長さが100μmを越えると、針状部4aa自体が損傷し易くなり、例えば樹脂結合剤相2に添加する際あるいは成型時において、針状部4aaが折れたりあるいは曲がったりするおそれがあり、3次元結晶構造の利点が得られなくなる。
また、前記3次元結晶構造のフィラー4aは、金属酸化物の結晶構造体からなっている。金属酸化物の結晶構造体であると、前記3次元結晶構造のものを容易に得ることができる。たとえば、前述したように、亜鉛を所定雰囲気中で酸化熱処理を行うことで、四面体の中心から各頂点に向かって針状部が四方に伸びた3次元結晶構造のものを容易に得ることができる。
ここで、金属酸化物の結晶構造体のフィラー4は、損傷され易いものが多く、例え針状部が折れる等してその全体形状が変わる場合がある。しかしながら、ここでは、3次元結晶構造のフィラー4aと金属酸化物の結晶構造体からなる他の形状のフィラーとの体積比が10:90〜90:10の範囲に設定されており、この範囲内であれば、3次元結晶構造のフィラー4aの特徴である異方性を緩和する機能を充分発揮できる。
また、この実施形態では、超砥粒抜きの前記樹脂結合剤相2における、前記金属酸化物の結晶構造体のフィラー4の体積パーセントが1〜40%に設定されている。このように金属酸化物の結晶構造体のフィラー4の体積パーセントが1〜40%に設定されていれば、金属酸化物の結晶構造体のうち3次元結晶構造のものもつ機能、つまり、異方性を緩和する機能を充分発揮することができ、もって、耐摩耗性並びに切断性能の向上が図れるとともに金属バリの発生も抑えることができる。
なお、本発明は前記した実施形態に限定されることなく、必要に応じて適宜設計変更可能である。
例えば、図1に示す切断用ブレードでは、薄刃砥粒層1が一つであるが、これに限られることなく、このような薄刃砥粒層1が複数あるものにも本発明は適用可能である。
また、前記実施形態は、ボンド部として耐熱樹脂よりなる樹脂結合剤相2を例に挙げて説明したが、これに限られることなく、セラミックス質の結合剤相を用いるビトリファイドボンドであっても本発明は適用可能である。
また、前記実施形態では、樹脂結合剤相2に添加されるフィラーとしては、必ずしも、酸化亜鉛の結晶構造体からなるフィラー4に限られることなく、他の金属酸化物の結晶構造体であってもよく、さらに金属酸化物の他にWC粉末やSiCウィスカーあるいはグラスファイバ等を加えてもよい。
以下、より具体的な実施例を挙げて本発明の効果について説明する。
〈第1実施例〉
本実施例では、フィラーとしてWC粉末の含有量を一定とし(25%)、酸化亜鉛の結晶構造体4の添加割合を種々変えた8種の本発明に係わる切断用ブレードを用意した。この切断用ブレードは、外径58mm、内径40mm、厚さ0.3mmである。また、樹脂結合剤相2はフェノール樹脂、超砥粒3は粒度♯230のダイヤモンド砥粒であって集中度は75である。この切断用ブレードにより、ドレッサープレートを切断し、摩耗試験を行った。
また、上記実施例1〜8と同じ形状であって、酸化亜鉛の結晶構造体4の添加する代わりに、SiCウィスカーやグラスファイバをそれぞれ10体積%添加したものを比較例1,2とし、これら比較例1,2の切断用ブレードを用いて実施例1〜8と同様の摩耗試験を行った。
このときの、実施例1〜8、比較例1、2の切断用ブレードの組成を下記の表1に示す。
Figure 0005528064
試験条件は以下のとおりである。
使用サイダー東京精密製/A―WD−10A
使用ドレスプレートWA ♯200
スピンドル回転数15000min−1
送り速度100mm/s
冷却水:周方向1.2L/min、両側面0.8L/min
また、1セットごとに30本の溝入れ加工を施し、これを5セット行い、合計150本の溝入れ加工を行った。摩耗試験結果を下記の表、表に示す。
Figure 0005528064
Figure 0005528064
表2は5セット行った結果の平均摩耗を、また表3には5セット行ったときの累計摩耗をそれぞれ表している。
また、これら摩耗量を下記の表4、表5ではそれぞれグラフに表した。
Figure 0005528064
Figure 0005528064
これらの表から明らかなように、酸化亜鉛の結晶構造体のフィラーを添加した実施例1〜8の切断用ブレードでは摩擦量が少なく、特に、前記フィラーを20体積%あるいは30体積%の範囲で添加した実施例2,3の切断用ブレードの摩耗量が少なかった。
これは、酸化亜鉛の結晶構造体のフィラーのうち、3次元結晶構造のフィラーの異方性緩和機能が充分発揮されたものと推測される。なお、酸化亜鉛の結晶構造体のフィラーの添加割合が40体積%以上になると、フェノール樹脂の結合力が弱まり、逆に摩耗量が増えることがわかった。
また、酸化亜鉛の結晶構造体のフィラーを有さず、代わりにSiCウィスカーやグラスファイバのフィラーを添加した比較例1,2の切断用ブレードでは、摩耗量が大きいことがわかった。
また、ドクターブレード法を採用して成型したシートから直径70mmの円板状ブレードをくり抜き、この円板状ブレードをホットプレスにて圧縮成型して焼結させ、この焼結体の反りを測定した。
その結果を下記の表6に示す。
Figure 0005528064
この結果から明らかなように、実施例1〜6では、101μm〜150μmあるいは151μm〜200μm程度の反り量がもっとも多いのに対し、比較例1,2では300μm以上の反り量が最も多いことがわかった。この理由は、比較例1,2のように酸化亜鉛の結晶構造体のフィラーを有しない切断用ブレードは、3次元結晶構造のフィラーの異方性緩和機能を有さないためと推測される。
〈第2実施例〉
本実施例では、第1実施例で説明した、それぞれフィラーの組成が異なる実施例1〜8並びに比較例1,2の切断用ブレードを用いて、まず図4に示すようにモールディング樹脂11中にCuリードフレーム12が間隔をあけて配置されたQFNの切断を行い、その切断初期と500m切断時とで、切断抵抗と10m切断中の薄刃砥粒層の摩耗量とを計測するとともに、切断面を観察してCuリードフレーム12から延びるバリの大きさ(図4に示すように、横方向(送り方向)に延びるバリの大きさをX、上方向に延びるバリの大きさをYとする。)を測定した。これらの結果を切断初期については表7に、500m切断時については表8にそれぞれ示す。なお、切断抵抗は、この切断用ブレードを取り付けた切断装置の主軸を回転させるモーターの負荷電流(A)として計測しており、無負荷時には2.6Aであった。
試験条件は以下のとおりである。
使用サイダー東京精密製/A―WD−10A
使用ドレスプレートWA ♯200
スピンドル回転数21000min−1
送り速度80mm/s
冷却水:周方向1.2L/min、両側面0.8L/min
なお、上記Cuリードフレーム12の外径dは0.3mm、隣接するCuリードフレーム12間のピッチPは0.35mmであった。
これらの結果を、切断初期については表7に、500m切断時については表8にそれぞれ示す。
Figure 0005528064
Figure 0005528064
次に、実施例1〜8および比較例1,2と同形状、同寸法、同樹脂結合剤の切断用ブレードにより、図5に示すようにガラスエポキシ樹脂よりなる基材13に間隔をあけて形成されたスルーホールの内周面に、両端にフランジ状部14Aを有するようにしてNi−Cr−Auの金属めっき14が施されたIrDA基板の切断を行い、上記QFN切断の場合と同様に切断初期と500m切断時とで、切断抵抗と摩耗量、および上記金属めっき14から延びるバリの大きさ(図5に示すようにスルーホール内に横方向(送り方向)に延びるバリの大きさをX、基板底部から下方向に延びるバリの大きさをYとする。)を測定した。これらの結果を、切断初期については表9に、500m切断時については表10にそれぞれ示す。
ただし、これら実施例1〜8および比較例1,2の切断用ブレードを用いた試験条件は、前述したとおりである。
また、スルーホールの長さLは0.18mm、スルーホールの内径Aは0.17mm、スルーホール内周面に施された金属めっき14の内径Bは0.04mm、フランジ状部14Aの外径Cは0.7mm、隣接するスルーホール間のピッチPは2.0mmであった。
Figure 0005528064
Figure 0005528064
これら表7〜10の結果より、QFNおよびIrDA基板の切断のいずれにおいても、まず樹脂結合剤相に酸化亜鉛の結晶構造体のフィラーを添加していない比較例1、2の切断用ブレードでは、酸化亜鉛の結晶構造体のフィラーを添加した実施例1〜8の切断用ブレードに比べ、切断抵抗、バリ、および摩耗量のすべてが切断初期から大きく、その傾向は500m切断時で一層顕著となる。これに対して、樹脂結合剤相に酸化亜鉛の結晶構造体のフィラーを分散した実施例1〜8の切断用ブレード、特に酸化亜鉛の結晶構造体のフィラーを20体積%、30体積%の範囲で添加した実施例2、3の切断用ブレードでは、切断初期から切断抵抗、バリ、および摩耗量はともに低く抑えられている。そして、さらに500m切断時においては、実施例8では摩耗量が大きくなって、特にIrDA基板の切断ではバリの大きさも増加する傾向となっているのに対し、本発明に係わる他の実施例1〜7の切断用ブレードでは、切断抵抗には変化がなく、また摩耗量や、そしてバリの大きさも十分に小さい範囲に抑えられているのが分かる。また、実施例1〜8のうちでも酸化亜鉛の結晶構造体のフィラーの含有量を20体積%、30体積%とした実施例2,3では特に摩耗量が小さく抑えられているのが分かる。
1 薄刃砥粒
2 樹脂結合剤相(ボンド部)
3 超砥粒
4 酸化亜鉛(金属酸化物)の結晶構造体

Claims (5)

  1. 円環形の板状をなし、その外周縁部によって切断を行い、
    少なくとも1層以上からなり、ボンド部中に分散配置されるフィラーとして、四面体の中心から各頂点に向かって針状部が四方に伸びた3次元結晶構造のフィラーを有し、
    前記3次元結晶構造のフィラーは、前記針状部の長さが0.1μm〜100μmの範囲とされ、金属酸化物の結晶構造体からなっていることを特徴とする切断用ブレード。
  2. 請求項に記載の切断用ブレードにおいて、
    前記金属酸化物の結晶構造体のフィラーは、前記3次元結晶構造のフィラーのほか他の形状のフィラーを備え、それら金属酸化物の結晶構造体からなる3次元結晶構造のフィラーと金属酸化物の結晶構造体からなる他の形状のフィラーとの体積比が10:90〜90:10の範囲であることを特徴とする切断用ブレード。
  3. 請求項に記載の切断用ブレードにおいて、
    超砥粒抜きの前記ボンド部における、前記金属酸化物の結晶構造体のフィラーの体積パーセントが1〜40%に設定されていることを特徴とする切断用ブレード。
  4. 請求項3に記載の切断用ブレードにおいて、
    超砥粒抜きの前記ボンド部における、前記金属酸化物の結晶構造体のフィラーの体積パーセントが20〜30%に設定されていることを特徴とする切断用ブレード。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の切断用ブレードにおいて、
    当該切断用ブレードの厚さが、0.05〜0.5mmであることを特徴とする切断用ブレード。
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