JP6641591B2 - 切断用ブレードの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば半導体製品などに用いられる電子材料部品等の被切断材を切断加工する切断用ブレードの製造方法に関するものである。
半導体製品などに用いられる電子材料部品等の被切断材に溝加工を施したり、切断することによって個片化したりする加工(以下、切断加工と省略する)には、高精度が要求される。このような切断加工には、円板状の切断用ブレード(薄刃砥石)が使用されている。
切断用ブレードは、円板状をなすブレード本体と、ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃と、を備えている。ブレード本体は、樹脂相(樹脂の固相)や金属相(金属の固相)等の結合相(結合剤)に、ダイヤモンドやcBN等の砥粒、及びフィラーが分散されて形成されている。ブレード本体が樹脂相で形成された切断用ブレードは、レジンボンドブレード(レジンボンド砥石)と呼ばれる。
この種の切断用ブレードを製造するにあたり、従来、下記の方法が用いられている。
図7(a)〜(c)に示す従来製法では、まず、図7(a)において、樹脂相の原料である樹脂粉体、砥粒及びフィラーを混合した混合粉MPを、金型に充填する。次に、図7(b)において、金型に充填した混合粉MPの表面を、手作業や機械等により平坦化する。次に、図7(c)において、混合粉MPをホットプレスして焼結する。また、特に図示していないが、ホットプレス後には、外周・内周加工、及び場合によってはラップ処理(ブレード表面(両側面)の平坦化加工)が行われて、ブレード本体の形状が整えられ、製品となる切断用ブレードが形成される。
また、下記特許文献1、2の切断用ブレードの製造方法では、結合剤のスラリーを作製し、このスラリーをドクターブレード法により板状に成形し、型抜きし、脱脂(スラリーを作製時に添加したバインダーの除去)及び焼結を行っている。なお、レジンボンドブレードの場合はバインダーは使用せず、結合剤である樹脂に対する溶媒として使用したアルコール等を揮発させることで、板状の成形品を得る。
特開平10−193267号公報 特開平10−193268号公報
しかしながら、従来の切断用ブレードの製造方法では、下記の問題があった。
図7(a)〜(c)に示す従来製法では、図7(b)において金型内の混合粉MPの表面を慣らし、見かけ上平坦化しても、混合粉MPの充填密度にはばらつきが生じている。このため、焼結して得られるブレード本体に、反りが生じたり、所期する平面度が得られなかったりしていた。
また、特許文献1、2のようなドクターブレード法を用いてレジンボンドブレードを製造する場合、溶媒を除去する際に、ブレード本体の内部が多孔質状に形成される。このように、ブレード本体が多孔質状に形成されると、微視的には(ミクロで見た場合には)結合剤の密度にばらつきが生じているため、焼結時に結合剤の流動が安定せず、製品精度に影響する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ブレード本体の反り及び平面度が小さく抑えられ、これにより切断精度が高められた切断用ブレードを、簡単に製造することが可能な切断用ブレードの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様の切断用ブレードの製造方法は、樹脂粉体及び砥粒を含む混合粉に、前記樹脂粉体の貧溶媒を加える混合工程と、前記貧溶媒を加えた前記混合粉を、成形型内でコールドプレスして、ブレード本体の原板を形成する圧縮工程と、前記原板をホットプレスして焼結する焼結工程と、を備え、前記混合工程は、樹脂粉体及び砥粒を含む混合粉を、成形型に充填する工程と、前記混合粉の表面を平坦化する工程と、前記混合粉に貧溶媒を滴下する工程と、を備え、前記圧縮工程では、コールドプレスの際に、前記混合粉の粉末同士の隙間に前記貧溶媒が入り込み、液体流動を利用した粉体流動を促すことを特徴とする。
本発明の切断用ブレードの製造方法では、樹脂粉体及び砥粒を含む混合粉に、樹脂粉体を溶かさない貧溶媒を加えたものを、金型等の成形型内でコールドプレスする。従って、このコールドプレスの際に、混合粉の粉末同士の隙間に貧溶媒が入り込み、液体流動を利用した粉体流動を促すことができる。
なお、本発明でいう「貧溶媒」とは、温度25℃における樹脂粉体の溶解度が、1%以下であることを指す。また具体的に、樹脂粉体としては、例えばフェノール樹脂やエポキシ樹脂等を用いることができ、貧溶媒としては、例えばフッ素系不活性液体などの代替フロン等を用いることができる。
つまり、混合粉に貧溶媒を混ぜたものに、成形型内にて圧力をかけることで、貧溶媒が潤滑剤のごとく作用して、樹脂粉体及び砥粒が均一に成形型内に拡散する。このため、作製されるブレード本体の原板の密度ばらつきが、顕著に小さく抑えられる。なお、この圧縮工程の際には、コールドプレス(冷間にて圧縮)していることから、樹脂粉体の重合反応が進行することはなく、樹脂粉体の流動性は安定して確保される。また使用した貧溶媒の大部分は、コールドプレス時にブレード本体の原板より流出し、除去される。
そして、このブレード本体の原板をホットプレスして焼結する。上述のように、原板の密度ばらつきは小さく抑えられているため、焼結時にブレード本体に引け等が生じるようなことが抑えられ、その結果、反りや平面度が小さく抑えられたブレード本体を作製することができる。
なお、コールドプレス後にブレード本体の原板に残留した貧溶媒については、例えば焼結工程のホットプレス前に揮発させて、ブレード本体から除去することができる。この際、貧溶媒は粉体同士の僅かな隙間に存在しているため、貧溶媒の揮発によりブレード本体が多孔質状に形成されるようなことは防止される。またこの場合、焼結工程を経て作製されたブレード本体に貧溶媒が残されることがないので、ブレード本体の性能が貧溶媒による影響を受けることもない。
より詳しくは、焼結工程において貧溶媒が揮発させられるタイミングは、ホットプレスにより樹脂粉体が重合反応を開始する以前であることが好ましい。つまり、ホットプレスの実施以前に、貧溶媒がすべて揮発させられていることが好ましい。これにより、粉体同士の間において貧溶媒が存在していたスペースが樹脂相により塞がれて(置換されて)、焼結後のブレード本体に貧溶媒の痕跡が残されなくなる。従って、ブレード本体の性能に関して、貧溶媒及びその痕跡が影響するようなことがなくなる。
具体的に、本発明により製造された切断用ブレードにおいては、ブレード本体を、該ブレード本体の中心軸回りに互いに等しい角度で複数の領域(例えば中心軸回りに8等分した8つの領域)に区画し、各領域において測定した密度の平均値を平均密度として、この平均密度に対して、各領域において測定した密度が90〜110%にまで抑えられる。つまり、ブレード本体の全域において密度差(密度ばらつき)が小さく抑えられている。これは上述したように、コールドプレスによる圧縮工程を経たブレード本体の原板において、すでに密度差が小さく抑えられているためである。従って、作製されたブレード本体は、反りや平面度が小さく抑えられることになる。
より詳しくは、本発明により製造された切断用ブレードにおいては、例えば、ブレード本体の反り量を200μm以下に抑えることができる。また、ブレード本体の平面度を10μm以下に抑えることができる。
なお、ブレード本体の反り量とは、図5(a)、(b)に示すように、切断用ブレード10を定盤S上に置き、定盤Sを回転させながら、切断用ブレード10に対してレーザ干渉計のレーザ光Lを照射して、切断用ブレード10の全周の高さ(定盤Sからの高さ)を測定し、測定値のうち最高値(定盤Sから最も離れた位置の高さ)から、ブレード厚さを差し引いた値である。なお、この測定はブレード本体の両面(厚さ方向を向く両側面)に対して行い、数値の大きい方を採用する。
また、ブレード本体の平面度とは、ブレード本体を、該ブレード本体の中心軸回りに互いに等しい角度で複数の領域(例えば中心軸回りに8等分した8つの領域)に区画し、各領域においてブレード本体の厚さをマイクロメータ等により測定したときの、測定値のばらつきの最大差(最大厚さと最小厚さとの差)である。
このように、ブレード本体の反りや平面度が小さく抑えられることにより、この切断用ブレードで被切断材を切断したときに、下記の作用効果が得られる。
すなわち、切断用ブレードの厚さ方向への振れが抑えられるため、切断幅が小さく抑えられて、被切断材の製品歩留まりを向上させることができる。また、切断用ブレードから被切断材に対して、切断幅方向への力が作用しにくくなる。このため、切断用ブレードが被切断材にスムーズに切り込んで、切断面のバリやチッピング等の発生が防止される。従って、被切断材を個片化してなる電子材料部品(製品)等の品質が、安定して高められることになる。
また、切断用ブレードが被切断材を切断する際に受ける反力が、従来のように反り量の大きい箇所に対して偏って作用するようなことが防止される。つまり本発明によれば、上記反力が、切断用ブレードの周方向全周にわたって均等に作用しやすくなるとともに、所定箇所に対して大きな負荷がかかるようなことが防止されるので、切断用ブレードの工具寿命が延長する。
そして、このように切断精度が顕著に高められた切断用ブレードを製造するにあたり、従来製法に比べて、本発明では特別に複雑な製造工程を用いているわけではない。具体的に本発明では、貧溶媒を加えた混合粉を成形型内でコールドプレスするという簡単な工程を経ることにより、ブレード本体(原板)の密度ばらつきを抑えられることから、切断用ブレードの製造が容易である。
以上より、本発明の切断用ブレードの製造方法によれば、ブレード本体の反り及び平面度が小さく抑えられ、これにより切断精度が高められた切断用ブレードを、簡単に製造することができる
また、前記混合工程は、樹脂粉体及び砥粒を含む混合粉を、成形型に充填する工程と、前記混合粉の表面を平坦化する工程と、前記混合粉に貧溶媒を滴下する工程と、を備える。
この場合、混合工程が、成形型に充填された混合粉の表面を平坦化する工程を備えているので、この混合工程の後工程の圧縮工程において、混合粉が成形型内で均等に拡散するまでの流動量を小さく抑えることができる。このため、上述したブレード本体の原板の密度ばらつきを小さく抑えられるという効果が、より安定して奏功される。
また、混合工程が、表面を平坦化した混合粉に、貧溶媒を滴下する工程を備えているので、混合粉に対して貧溶媒が均等に混ざりやすくなる。つまり、混合粉全体に貧溶媒が行き渡り馴染みやすくなるので、この混合工程の後工程の圧縮工程において、貧溶媒の液体流動を利用した混合粉の粉体流動が、成形型内の全体にわたって均等に行われる。従って、上述したブレード本体の原板の密度ばらつきを小さく抑えられるという効果が、より安定して奏功される。
本発明の切断用ブレードの製造方法によれば、ブレード本体の反り及び平面度が小さく抑えられ、これにより切断精度が高められた切断用ブレードを、簡単に製造することができる
本発明の一実施形態に係る切断用ブレードを示す側面図(平面図)である。 図1のA−A断面を示す図である。 図2のB部を拡大して示す図である。 ブレード本体の密度差(密度ばらつき)及び平面度を説明するための図である。 ブレード本体の反り量の測定方法を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る切断用ブレードの製造方法を説明する図である。 従来の切断用ブレードの製造方法を説明する図である。
以下、本発明の一実施形態に係る切断用ブレード10及びその製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態の切断用ブレード10によって切断され製造される電子材料部品としては、半導体素子のように半導体ウェハから切断されて分割された後に、リードフレームに実装されて樹脂モールディングされるものの他、例えば下記のようなものが挙げられる。
(a)QFN(quad flat non-leaded package)と称されるもののように、リードフレーム上に一括して多数の素子を実装し、これらをまとめてモールディングした後に切断することにより個片化されて製造される電子材料部品。
(b)IrDA(赤外線データ通信協会)規格の光伝送モジュール(以下、単にIrDAと省略する)のように、ガラスエポキシ樹脂製の基体に形成されたスルーホールの内周面にNi、Au、Cu等のめっきが施された基板を有し、切断により個片化される電子材料部品。
本実施形態の切断用ブレード10は、このような電子材料部品等の被切断材を、精密に切断加工するために用いられる。
図1及び図2に示すように、切断用ブレード10は、円板状をなすブレード本体1と、ブレード本体1の外周縁部に形成された切れ刃1Aと、を備えている。
特に図示しないが、切断用ブレード10は、そのブレード本体1がフランジを介して切断装置の主軸に取り付けられ、該ブレード本体1の中心軸O回りに回転されつつ該中心軸Oに垂直な方向に送り出されることにより、このブレード本体1においてフランジより径方向外側に突出された外周縁部(切れ刃1A)で被切断材を切断加工する。
本実施形態においては、ブレード本体1の中心軸Oに沿う方向(中心軸Oが延在する方向)を、ブレード本体1の厚さ方向又は単に中心軸O方向という。また、この厚さ方向を、切断用ブレード10の切断幅方向(切断加工により被切断材に形成される切断ラインの幅方向に相当)ということがある。
また、中心軸Oに直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向という。
ブレード本体1の厚さ方向に沿う大きさ(つまり厚さ)は、例えば0.1mm以上であり、1.1mm以下である。従って、ブレード本体1は極薄の円板状をなしている。なお、図2においては切断用ブレード10の形状をわかりやすくするため、ブレード本体1の厚さが実際の厚さよりも厚く表示されている。
また、ブレード本体1の径方向の中央部(中心軸O上)には、中心軸Oを中心とした円形孔状をなし、該ブレード本体1を厚さ方向に貫通する取付孔4が形成されている。このためブレード本体1は、具体的には円環板状をなしている。本実施形態でいう「円板状をなすブレード本体1」には、円環板状をなすブレード本体1が含まれている。
図3に示すように、ブレード本体1の切れ刃1Aは、該ブレード本体1の厚さと等しい極小さな幅とされたブレード本体1の外周面と、該ブレード本体1の厚さ方向を向く両側面1B、1Bにおける各外周縁部と、これらの外周縁部と前記外周面との交差稜線をなす一対のエッジ部と、によって形成されている。
ブレード本体1は、樹脂相2と、樹脂相2に分散され、樹脂相2よりも硬質の材料からなる砥粒3と、樹脂相2に分散され、砥粒3よりも軟質の材料からなるフィラー5と、を有している。
樹脂相2は、例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の合成樹脂を主成分とした樹脂結合剤相(レジンボンドのマトリックス材)である。
砥粒3は、ダイヤモンド砥粒及びcBN砥粒のいずれかを含む。本実施形態では、砥粒3として、ダイヤモンド砥粒が用いられている。
フィラー5は、砥粒3よりも小さく、例えば炭化ケイ素、炭化タングステン、酸化亜鉛等からなる。
砥粒3及びフィラー5は、いずれも樹脂相2より硬質の材料からなる。砥粒3は、主として加工性向上に寄与し、フィラー5は、主としてブレード本体1の剛性向上に寄与する。なお、砥粒3及びフィラー5の材質は、本実施形態で説明したものに限定されない。
図3において、砥粒3は、ブレード本体1の厚さ方向を向く両側面1B、1Bから突出させられていない。また、フィラー5も、ブレード本体1の厚さ方向を向く両側面1B、1Bから突出させられていない。つまり、砥粒3及びフィラー5は、その粒子全体がブレード本体1の側面1Bよりも厚さ方向の内側に配置されている。
なお、ブレード本体1の径方向外側の端縁(外周端縁)については、切れ刃1Aの目立て処理等が施されることにより、砥粒3及びフィラー5のいずれかが、側面1Bのうち外周端縁以外の部位に対して厚さ方向の外側に突出しない範囲で、樹脂相2から突出させられていてもよい。
図3に示す例では、ブレード本体1の径方向外側を向く外周面から、砥粒3及びフィラー5のいずれかが突出させられている。
そして、本実施形態の切断用ブレード10は、ブレード本体1を、該ブレード本体1の中心軸O回りに互いに等しい角度で複数の領域に区画し、各領域において測定した密度の平均値を平均密度として、この平均密度に対して、各領域において測定した密度が90〜110%とされている。
具体的には図4に示すように、ブレード本体1を、該ブレード本体1の中心軸O回りに8等分して、8つの領域に区画する。そして、8つの領域においてそれぞれ測定した密度の平均値を、平均密度とする。この平均密度に対して、8つの領域において測定した各密度が、すべて90〜110%の範囲内(平均密度を100%として、±10%以内)に含まれる。
より詳しくは、本実施形態の切断用ブレード10は、上記平均密度に対して、各領域において測定した密度が、95〜105%の範囲内(平均密度を100%として、±5%以内)に含まれる。
本実施形態の切断用ブレード10は、ブレード本体1の上記平均密度が、例えば4.755g/cmである。
なお、本実施形態では、ブレード本体1を、該ブレード本体1の中心軸O回りに8等分して8つの領域に区画し、各領域において密度を測定するとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、ブレード本体1を、該ブレード本体1の中心軸O回りに互いに等しい角度で複数の領域に区画し、各領域において密度を測定すればよいことから、等分する領域の数は8つに限定されない。ただし、測定精度を確保する上では、等分する領域の数は、少なくとも4つ以上であることが好ましい。
また、切断用ブレード10は、ブレード本体1の反り量が、200μm以下である。本実施形態において、例えばブレード本体1の厚さが0.3mmより大きい場合には、ブレード本体1の反り量は、100μm以下とされる。なお、ブレード本体1の反り量は、次のようにして求められる。
図5(a)、(b)に示すように、切断用ブレード10を定盤S上に置き、定盤Sを中心軸回りに回転させながら、切断用ブレード10に対してレーザ干渉計のレーザ光Lを照射することで、切断用ブレード10の全周の高さ(定盤Sからの高さ)を測定する。そして、測定により得られた値のうち最高値(定盤Sから最も離れた位置の高さ)から、ブレード本体1の厚さを差し引いた値を、反り量とする。なお、この測定はブレード本体1の両面(厚さ方向を向く両側面1B、1B)に対して行い、数値の大きい方を採用する。
また、切断用ブレード10は、ブレード本体1の平面度が、10μm以下である。本実施形態では、ブレード本体1の平面度が、5μm以下とされている。なお、ブレード本体1の平面度は、次のようにして求められる。
図4に示すように、ブレード本体1を、該ブレード本体1の中心軸O回りに互いに等しい角度で複数の領域(図示の例では中心軸O回りに8等分した8つの領域)に区画する。そして、各領域においてブレード本体1の厚さをマイクロメータ等により測定したときの、測定値のばらつきの最大差(厚さの最大値と最小値との差)を、平面度とする。
なお、本実施形態では、ブレード本体1を、該ブレード本体1の中心軸O回りに8等分して8つの領域に区画し、各領域においてブレード本体1の厚さを測定するとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、ブレード本体1を、該ブレード本体1の中心軸O回りに互いに等しい角度で複数の領域に区画し、各領域において厚さを測定すればよいことから、等分する領域の数は8つに限定されない。ただし、測定精度を確保する上では、等分する領域の数は、少なくとも4つ以上であることが好ましい。
次に、上述した切断用ブレード10の製造方法について、図6を参照して説明する。
本実施形態の切断用ブレード10の製造方法は、樹脂粉体及び砥粒3を含む混合粉MPに、前記樹脂粉体の貧溶媒PS(樹脂粉体に対する貧溶媒PS)を加える混合工程と、貧溶媒PSを加えた混合粉MPを、成形型内でコールドプレスして、ブレード本体1の原板11を形成する圧縮工程と、原板11をホットプレスして焼結する焼結工程と、原板11を焼結して得られたブレード本体1の外周及び内周の形状を整える仕上げ工程と、を備えている。
上記混合工程は、図6(a)に示すように、樹脂粉体及び砥粒3を含む混合粉MPを、成形型に充填する工程と、図6(b)に示すように、成形型に充填した混合粉MPの表面を平坦化する工程と、図6(c)に示すように、表面を平坦化した混合粉MPに貧溶媒PSを滴下する工程と、を含んでいる。
混合粉MPの表面を平坦化する工程では、手作業や機械等により、混合粉MPの表面(上面)全体が均一な高さとなるように、平らにならす。また、混合粉MPに貧溶媒PSを滴下する工程では、混合粉MPの表面全体に対して、貧溶媒PSを均等に滴下する。
なお、本実施形態でいう「貧溶媒PS」とは、樹脂相2の原料である樹脂粉体を溶かすことのない所定の液体であり、具体的には、温度25℃における樹脂粉体に対する溶解度が、1%以下である液体を指す。本実施形態では、この貧溶媒として、例えばフッ素系不活性液体などの代替フロン等を用いている。
また、混合粉MPは、上記混合工程よりも前工程の予混合工程において、樹脂粉体及び砥粒3を予め混合し作製されている。また本実施形態では、この混合粉MPに、樹脂粉体及び砥粒3以外に、フィラー5が含まれている。つまり予混合工程においては、樹脂粉体、砥粒3及びフィラー5が予め混合されて、混合粉MPとされており、この混合粉MPに対して、後工程の混合工程において貧溶媒PSが混合される。
上記圧縮工程では、図6(d)に示すように、上記混合工程を経て貧溶媒PSが加えられた混合粉MPを、成形型内で冷間にて圧縮加工(コールドプレス)する。
なお、本実施形態でいう「コールドプレス」とは、例えば常温での圧縮加工であり、より詳しくは、樹脂粉体の重合反応が生じる温度未満の温度における圧縮加工を指す。このコールドプレスにより、混合粉MPに含まれる貧溶媒PSの大部分が、該混合粉MPから外部へ流出させられる。
また、本実施形態では、成形型として金型を用いている。ただし、少なくとも圧縮工程以前の工程においては、成形型として金属材料以外の材料からなる型を用いてもよい。
上記焼結工程では、成形型内において、ブレード本体1の原板11を加熱しつつ圧縮加工(ホットプレス)する。
なお、本実施形態でいう「ホットプレス」とは、樹脂粉体の重合反応が行われる温度範囲での圧縮加工を指す。具体的には、例えば、成形型の熱板200℃、金型温度180℃以上で30分間、圧力10tonの条件にて、原板11をホットプレスする。
また、ホットプレス後、180〜220℃の加熱炉中で8時間以上熱処理を施し、ブレード本体1の焼結を完了させることが好ましい。
上記仕上げ工程では、上記焼結工程により原板11が熱硬化して得られたブレード本体1を、所定の外径、内径サイズとなるように、外周と内周を切断又は研削して、仕上げ加工する。また、この仕上げ工程において、ブレード本体1の外周端縁に対して、切れ刃1Aの目立て処理を施してもよい。
これにより、本実施形態の切断用ブレード10が得られる。
以上説明した本実施形態の切断用ブレード10の製造方法では、樹脂粉体及び砥粒3を含む混合粉MPに、樹脂粉体を溶かさない貧溶媒PSを加えたものを、金型等の成形型内でコールドプレスする。従って、このコールドプレスの際に、混合粉MPの粉末同士の隙間に貧溶媒PSが入り込み、液体流動を利用した粉体流動を促すことができる。
つまり、混合粉MPに貧溶媒PSを混ぜたものに、成形型内にて圧力をかけることで、貧溶媒PSが潤滑剤のごとく作用して、樹脂粉体及び砥粒3が均一に成形型内に拡散する。このため、作製されるブレード本体1の原板11の密度ばらつきが、顕著に小さく抑えられる。なお、この圧縮工程の際には、コールドプレス(冷間にて圧縮)していることから、樹脂粉体の重合反応が進行することはなく、樹脂粉体の流動性は安定して確保される。また使用した貧溶媒PSの大部分は、コールドプレス時にブレード本体1の原板11より流出し、除去される。
そして、このブレード本体1の原板11をホットプレスして焼結する。上述のように、原板11の密度ばらつきは小さく抑えられているため、焼結時にブレード本体1に引け等が生じるようなことが抑えられ、その結果、反りや平面度が小さく抑えられたブレード本体1を作製することができる。
なお、コールドプレス後にブレード本体1の原板11に残留した貧溶媒PSについては、例えば焼結工程のホットプレス前に揮発させて、ブレード本体1から除去することができる。この際、貧溶媒PSは粉体同士の僅かな隙間に存在しているため、貧溶媒PSの揮発によりブレード本体1が多孔質状に形成されるようなことは防止される。またこの場合、焼結工程を経て作製されたブレード本体1に貧溶媒PSが残されることがないので、ブレード本体1の性能が貧溶媒PSによる影響を受けることもない。
より詳しくは、焼結工程において貧溶媒PSが揮発させられるタイミングは、ホットプレスにより樹脂粉体が重合反応を開始する以前であることが好ましい。つまり、ホットプレスの実施以前に、貧溶媒PSがすべて揮発させられていることが好ましい。これにより、粉体同士の間において貧溶媒PSが存在していたスペースが樹脂相2により塞がれて(置換されて)、焼結後のブレード本体1に貧溶媒PSの痕跡が残されなくなる。従って、ブレード本体1の性能に関して、貧溶媒PS及びその痕跡が影響するようなことがなくなる。
具体的に、本実施形態により製造された切断用ブレード10においては、ブレード本体1を、該ブレード本体1の中心軸O回りに互いに等しい角度で複数の領域(本実施形態の例では、中心軸O回りに8等分した8つの領域)に区画し、各領域において測定した密度の平均値を平均密度として、この平均密度に対して、各領域において測定した密度が90〜110%にまで抑えられる。つまり、ブレード本体1の全域において密度差(密度ばらつき)が小さく抑えられている。これは上述したように、コールドプレスによる圧縮工程を経たブレード本体1の原板11において、すでに密度差が小さく抑えられているためである。従って、作製されたブレード本体1は、反りや平面度が小さく抑えられることになる。
より詳しくは、本実施形態により製造された切断用ブレード10においては、ブレード本体1の反り量を200μm以下に抑えることができる。また、ブレード本体1の平面度を10μm以下に抑えることができる。
このように、ブレード本体1の反りや平面度が小さく抑えられることにより、この切断用ブレード10で被切断材を切断したときに、下記の作用効果が得られる。
すなわち、切断用ブレード10の厚さ方向への振れが抑えられるため、切断幅が小さく抑えられて、被切断材の製品歩留まりを向上させることができる。また、切断用ブレード10から被切断材に対して、切断幅方向への力が作用しにくくなる。このため、切断用ブレード10が被切断材にスムーズに切り込んで、切断面のバリやチッピング等の発生が防止される。従って、被切断材を個片化してなる電子材料部品(製品)等の品質が、安定して高められることになる。
また、切断用ブレード10が被切断材を切断する際に受ける反力が、従来のように反り量の大きい箇所に対して偏って作用するようなことが防止される。つまり本実施形態によれば、上記反力が、切断用ブレード10の周方向全周にわたって均等に作用しやすくなるとともに、所定箇所に対して大きな負荷がかかるようなことが防止されるので、切断用ブレード10の工具寿命が延長する。
そして、このように切断精度が顕著に高められた切断用ブレード10を製造するにあたり、図7(a)〜(c)に示す従来製法に比べて、本実施形態では特別に複雑な製造工程を用いているわけではない。具体的に本実施形態では、貧溶媒PSを加えた混合粉MPを成形型内でコールドプレスするという簡単な工程を経ることにより、ブレード本体1(原板11)の密度ばらつきを抑えられることから、切断用ブレード10の製造が容易である。
以上より、本実施形態の切断用ブレード10の製造方法によれば、ブレード本体1の反り及び平面度が小さく抑えられ、これにより切断精度が高められた切断用ブレード10を、簡単に製造することができる。
また、本実施形態の切断用ブレード10によれば、ブレード本体1の反り及び平面度が小さく抑えられることから、切断精度が顕著に向上する。
また、本実施形態の切断用ブレード10の製造方法では、混合工程が、樹脂粉体及び砥粒3を含む混合粉MPを、成形型に充填する工程と、前記混合粉MPの表面を平坦化する工程と、前記混合粉MPに貧溶媒PSを滴下する工程と、を備えているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、混合工程が、成形型に充填された混合粉MPの表面を平坦化する工程を備えているので、この混合工程の後工程の圧縮工程において、混合粉MPが成形型内で均等に拡散するまでの流動量を小さく抑えることができる。このため、上述したブレード本体1の原板11の密度ばらつきを小さく抑えられるという効果が、より安定して奏功される。
また、混合工程が、表面を平坦化した混合粉MPに、貧溶媒PSを滴下する工程を備えているので、混合粉MPに対して貧溶媒PSが均等に混ざりやすくなる。つまり、混合粉MP全体に貧溶媒PSが行き渡り馴染みやすくなるので、この混合工程の後工程の圧縮工程において、貧溶媒PSの液体流動を利用した混合粉MPの粉体流動が、成形型内の全体にわたって均等に行われる。従って、上述したブレード本体1の原板11の密度ばらつきを小さく抑えられるという効果が、より安定して奏功される。
また、本実施形態の切断用ブレード10は、ブレード本体1を、該ブレード本体1の中心軸O回りに互いに等しい角度で複数の領域に区画し、各領域において測定した密度の平均値を平均密度として、前記平均密度に対して、各領域において測定した密度が90〜110%である。
また、ブレード本体1の反り量が、200μm以下であり、ブレード本体1の平面度が、10μm以下である。
この切断用ブレード10は、前記平均密度に対して、各領域において測定した密度が90〜110%(平均密度を100%として±10%以内)であり、ブレード本体1の密度ばらつきが小さく抑えられているため、ブレード本体1の反り量を200μm以下にまで小さく抑えることができる。また、ブレード本体1の平面度を10μm以下にまで小さく抑えることができる。このため、切断用ブレード10の製造時において、ブレード表面(両側面1B、1B)を平坦化するためのラップ処理等を削減することが可能である。
従って、切断用ブレード10の製造容易性を向上しつつ、この切断用ブレード10による切断精度を顕著に高めることができる。
詳しくは、従来の切断用ブレードでは、図7(a)〜(c)を用いて説明したように、ブレード製造時において成形型内の混合粉内部の充填密度にばらつきが生じやすいため、焼結後に得られるブレード本体の側面の平面度が、100μm前後と大きくなっていた。このため、特に切断精度が求められる使用分野においては、ブレード本体の両側面をラップ処理して平坦化を図っていた。しかしながら、ラップ処理により樹脂相が除去されても、硬度が高い砥粒は側面から突き出した状態のまま残留しやすく、所期する平面度を満足することが困難であった。
一方、本実施形態の切断用ブレード10によれば、成形型内の混合粉MP内部において充填密度のばらつきが小さく抑えられるため、焼結後に得られるブレード本体1の側面1Bの平面度が10μm以下にまで小さく抑えられる。このため、特に切断精度が求められる使用分野においても、ブレード本体1の両側面1B、1Bをラップ処理により平坦化することなく、所期する平面度を満足することができる。
さらに、ブレード表面にラップ処理を施す必要がないことから、このラップ処理によって砥粒3が樹脂相2から突き出してしまうようなことがない。つまり、焼結工程を経て得られたブレード本体1の側面1Bにおいては、厚さ方向に突き出す砥粒3が存在しないため、上述の平面度を小さく抑えることができるという効果と相俟って、切断精度を格別顕著に高めることができるのである。
また、本実施形態の切断用ブレード10は、ブレード本体1の厚さが、1.1mm以下である。
この切断用ブレード10は、上述のようにブレード本体1の全域において密度差が小さく抑えられているので、ブレード本体1の剛性のばらつきについても小さく抑えられている。従って、ブレード本体1の剛性を確保しつつ、該ブレード本体1を厚さ1.1mm以下に薄肉化することが容易である。
従って、切断精度を良好に維持しつつ、被切断材の切断幅を小さく抑えて製品歩留まりを向上できるという効果が、より格別顕著なものとなる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態の切断用ブレード10は、砥粒3及びフィラー5が分散された樹脂相2が1層設けられてブレード本体1が形成されているが、このような樹脂相2が厚さ方向に複数積層してブレード本体1が形成されていてもよい。この場合、圧縮工程を経て得られたブレード本体1の原板11を、焼結工程において厚さ方向に複数積層してホットプレスし焼結する。
また、前述の実施形態では、切断用ブレード10の製造方法の混合工程が、樹脂粉体及び砥粒3を含む混合粉MPを成形型に充填する工程と、混合粉MPの表面を平坦化する工程と、混合粉MPに貧溶媒PSを滴下する工程と、を備えているとしたが、本発明の参考例ではこれに限定されるものではない。すなわち、参考例の混合工程では、例えば混合粉MPの表面を平坦化せずに貧溶媒PSを滴下したり、混合粉MPに貧溶媒PSを滴下してから成形型に充填したりしてもよい。ただし、前述の実施形態で説明したように、混合工程が上記3つの工程を備えている場合には、この混合工程より後工程の圧縮工程を経たブレード本体1の原板11において、密度ばらつきが小さく抑えられるという効果がより顕著なものとなることから、好ましい。
また、前述の実施形態では、ダイヤモンド及びcBNのいずれかからなる砥粒3が樹脂相2に分散されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、砥粒3として、ダイヤモンド及びcBN以外の硬質材料からなる粒子が、砥粒3として樹脂相2に分散されていてもよい。
また、ブレード本体1の樹脂相2に、砥粒3及びフィラー5が分散されているとしたが、フィラー5は樹脂相2に分散されていなくてもよい(つまりフィラー5は用いなくてもよい)。
また、前述の実施形態では、ブレード本体1の平均密度が、例えば4.755g/cmであるとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、ブレード本体1の平均密度は、樹脂相2の材質やプレス条件等に応じて変化するため、上記数値に限定されるわけではない。なお、平均密度が変化しても、この平均密度に対して、中心軸O回りに等分した複数の領域において測定した各密度が、すべて90〜110%の範囲内に含まれる点に変わりはない。
また、前述の実施形態では、貧溶媒PSとして、例えばフッ素系不活性液体などの代替フロン等を用いることとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、樹脂相2の原料である樹脂粉体に対する貧溶媒PSであればよいことから、貧溶媒PSは、フッ素系不活性液体以外の代替フロンや、代替フロン以外の液体であってもよい。
また、前述の実施形態では、切断用ブレード10が、被切断材として例えばQFNやIrDAのような、樹脂中に金属材を有する複合材である電子材料部品の切断に使用されると説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、切断用ブレード10は、半導体デバイス(電子材料部品)に用いられる例えばガラス、セラミックス、石英等の脆性材料(硬脆材料)からなる被切断材を精密切断加工してもよい。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<密度ばらつきの測定>
前述の実施形態で説明した切断用ブレード10の製造方法により製造した切断用ブレード10を実施例1とし、図7(a)〜(c)に示す従来製法により製造した切断用ブレードを比較例1とし、従来のドクターブレード法を用いて製造した切断用ブレードを比較例2として、これら3種類の切断用ブレードを100枚ずつ用意した。
なお、各切断用ブレードは、ブレード本体が樹脂相により形成されており、樹脂相の原料である樹脂粉体には互いに同一の材料(素材)を用いた。また、樹脂相に分散される砥粒及びフィラーについても同一の材料を用い、ブレード本体中の砥粒及びフィラーの含有率についても、各切断用ブレード同士において互いに同等に設定した。
そして、各切断用ブレードにおいて、図4に示すようにブレード本体を、該ブレード本体の中心軸O回りに8等分した8つの領域に区画し、各領域において密度を測定した。よって各切断用ブレードの測定点の合計は、3種類ともにそれぞれ計800点である。
測定結果を、下記表1に示す。
Figure 0006641591
表1の結果より、実施例1においては、測定した800点のすべてが、密度:4.51〜5g/cmの範囲内に収まっていた。具体的に、実施例1の切断用ブレード10においては、ブレード本体1の平均密度(上記8つの領域で測定した各密度の平均値)である4.755g/cmに対して、測定したすべての密度が90〜110%の範囲内に含まれていた。より詳しくは、上記平均密度に対して、測定したすべての密度が95〜105%の範囲内であった。このように実施例1については、ブレード本体1の密度ばらつきが小さく抑制されていることが確認された。
一方、比較例1においては、測定した密度が4〜6g/cmの広範囲に分布しており、密度ばらつきが大きかった。また、比較例2についても、比較例1ほどではないものの、測定した密度が4〜5.5g/cmの広範囲に分布しており、密度ばらつきが大きかった。
<反り量及び平面度の測定>
前述の実施形態で説明した切断用ブレード10の製造方法により製造した切断用ブレード10を実施例2とし、図7(a)〜(c)に示す従来製法により製造した切断用ブレードを比較例3とし、従来のドクターブレード法を用いて製造した切断用ブレードを比較例4として、これら3種類の切断用ブレードを100枚ずつ用意した。
なお、すべての切断用ブレードにおいて、表面加工(ブレード表面のラップ処理)は行わないこととした。
各切断用ブレードのブレード本体の寸法及び組成は、下記の通りとした。
・外径:φ58mm
・内径:φ40mm
・厚さ:1.1mm
・組成:樹脂48.75%、ダイヤモンド砥粒25%、フィラー26.25%
(なお、上記組成は体積%を表す)
そして、3種類の切断用ブレードすべて(各100枚)において、反り量(ブレード反り量)及び平面度(ブレード平面度)をそれぞれ測定した。なお、反り量及び平面度の測定方法は、前述の実施形態で説明した通りである。
測定結果を、下記表2及び表3に示す。
なお、表中の数値は、反り量及び平面度の各数値範囲に該当する切断用ブレードの枚数を表しており、反り量については、301μm以上で製品として使用できず、平面度については、21μm以上で製品として使用できないものとした。
Figure 0006641591
Figure 0006641591
また、ブレード本体の厚さを1.0mmとした以外は、上述の実施例2と同様に製造した切断用ブレード10を実施例3とした。また、ブレード本体の厚さを1.0mmとした以外は、上述の比較例3と同様に製造した切断用ブレードを比較例5とした。また、ブレード本体の厚さを1.0mmとした以外は、上述の比較例4と同様に製造した切断用ブレードを比較例6とした。
そして、3種類の切断用ブレードすべて(各100枚)において、反り量及び平面度をそれぞれ測定した。
測定結果を、下記表4及び表5に示す。
Figure 0006641591
Figure 0006641591
また、ブレード本体の厚さを0.3mmとした以外は、上述の実施例2と同様に製造した切断用ブレード10を実施例4とした。また、ブレード本体の厚さを0.3mmとした以外は、上述の比較例3と同様に製造した切断用ブレードを比較例7とした。また、ブレード本体の厚さを0.3mmとした以外は、上述の比較例4と同様に製造した切断用ブレードを比較例8とした。
そして、3種類の切断用ブレードすべて(各100枚)において、反り量及び平面度をそれぞれ測定した。
測定結果を、下記表6及び表7に示す。
Figure 0006641591
Figure 0006641591
また、ブレード本体の厚さを0.1mmとした以外は、上述の実施例2と同様に製造した切断用ブレード10を実施例5とした。また、ブレード本体の厚さを0.1mmとした以外は、上述の比較例3と同様に製造した切断用ブレードを比較例9とした。また、ブレード本体の厚さを0.1mmとした以外は、上述の比較例4と同様に製造した切断用ブレードを比較例10とした。
そして、3種類の切断用ブレードすべて(各100枚)において、反り量及び平面度をそれぞれ測定した。
測定結果を、下記表8及び表9に示す。
Figure 0006641591
Figure 0006641591
表2〜表9の結果より、実施例2〜5においては、ブレード本体1の反り量が全数200μm以下に抑えられ、ブレード本体1の平面度が全数10μm以下に抑えられていた。その中でも、ブレード本体1の厚さが1.1mmとされた実施例2、及びブレード本体1の厚さが1.0mmとされた実施例3については、ブレード本体1の反り量が全数100μm以下に抑えられ、ブレード本体1の平面度が全数5μm以下に抑えられていた。
一方、比較例3〜10においては、ブレード本体1の反り量が200μmを超えるものが多数見受けられ、ブレード本体1の平面度が10μmを超えるものが多数見受けられた。
1 ブレード本体
1A 切れ刃
2 樹脂相
3 砥粒
10 切断用ブレード
11 ブレード本体の原板
MP 混合粉
O ブレード本体の中心軸
PS 貧溶媒

Claims (1)

  1. 樹脂粉体及び砥粒を含む混合粉に、前記樹脂粉体の貧溶媒を加える混合工程と、
    前記貧溶媒を加えた前記混合粉を、成形型内でコールドプレスして、ブレード本体の原板を形成する圧縮工程と、
    前記原板をホットプレスして焼結する焼結工程と、を備え、
    前記混合工程は、
    樹脂粉体及び砥粒を含む混合粉を、成形型に充填する工程と、
    前記混合粉の表面を平坦化する工程と、
    前記混合粉に貧溶媒を滴下する工程と、を備え、
    前記圧縮工程では、コールドプレスの際に、前記混合粉の粉末同士の隙間に前記貧溶媒が入り込み、液体流動を利用した粉体流動を促すことを特徴とする切断用ブレードの製造方法。
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