図1は本発明のワイヤハーネス生産システムを示す基本構成図である。また、図2は図1の第一システム構成群を示す基本構成図である。さらに、図3は検尺切断電線を電線保持竿にセットした状態を示す図、図4は図3に対し電線端末を着色した状態を示す図、図5は図4に対し電線端末を皮むきした状態を示す図、図6は後識別電線群を示す図、図7及び図8はサブハーネスを示す図である。
図1において、ワイヤハーネス生産システム1は、ワイヤハーネスを構成するサブハーネスなどの中間生産品を生産するためのシステムであって、図1に示すシステムは、図8に示すサブハーネス2(中間生産品)を生産するまでの構成を示す。以下、図1ないし図8を参照しながら説明をする。
サブハーネス2(図8参照)を生産するまでの構成としては、第一システム構成群3と、第二システム構成群4と、第三システム構成群5と、第一ストック部6と、第二ストック部7と、第三ストック部8とを含む(一例であるものとする。他の例は後述する)。
第一システム構成群3では、図8に示すサブハーネス2を構成するものとして複数の端子付き後識別電線9(後識別電線群10)が得られる。端子付き後識別電線9には、サブハーネス2の生産に有効な後識別の部分として着色部11が形成される。この着色部11は、着色ユニット12を用い、着色材で電線被覆部13を着色することにより形成される。第一システム構成群3としては、上記の着色ユニット12を含む他、電線端末集合部14と、選択電線引出部15と、検尺部16と、電線切断部17と、端末皮むき部18と、端子取付部19と、電線保持竿20と、電線U字状セット部21と、電線保持竿移動部22とを含む。着色ユニット12は電線切断部17と端末皮むき部18との間に配置される。
電線端末集合部14では、リールに巻かれた複数種の電線23の各電線端末24が集められ、この各電線端末24が各々保持される。選択電線引出部15では、一つのサブハーネス2を構成する電線種別に基づき電線23が選択され、選択電線25として電線端末集合部14から引き出される。引き出された選択電線25は、この後に電線切断部17で指示された長さに切断されて検尺切断電線26となる。検尺切断電線26は、電線U字状セット部21により電線保持竿20に略U字状にセットされ、この時、電線保持竿20に対する端末のセット位置が、例えばワイヤハーネス組み立て時における電線同士の絡み合いの防止に配慮されたり、サブハーネス2の生産時における端子金具挿入順に配慮されたりする。
検尺切断電線26は、この端末における電線被覆部13の外表面の一定範囲が拭き取られるとともに、拭き取られた部分に対し着色ユニット12の本体部分により着色がなされれる。着色部11は、着色ユニット12の意匠確認部分で検査される。具体的には、検査として着色状態の可否判断がなされる。
端子取付部19では、端子金具27が取り付けられ、これにより端子付き後識別電線9が得られる。端子付き後識別電線9は、電線保持竿20に複数保持された状態で後識別電線群10となる。
第二システム構成群4では、電線保持竿20において複数保持された端子付き後識別電線9(後識別電線群10)から図7に示すサブハーネス2が部分的に生産される。第二システム構成群4では、ハウジング28のキャビティに対し端子金具27が自動挿入(自動収容)される。
第三システム構成群5では、サブハーネス2が図8に示す如く完成するように生産される。第三システム構成群5では、自動機化が困難な工程が行われる。具体的には、第二システム構成群4において自動挿入することができなかった端子金具27(例えば他と逆向きに挿入する場合など)を手動で挿入する工程が行われる。また、端子付き後識別電線9をツイストする工程や、電線同士をジョイントする工程等が行われる。この他、グロメットなどのような予め組み付けておいた方がよい外装部品を手動で組み付ける工程も行われる。
第一システム構成群3により得られた後識別電線群10は、第一ストック部6にストックされる。また、第二システム構成群4により得られたサブハーネス2は、第二ストック部7にストックされる。また、第三システム構成群5により得られたサブハーネス2は、第三ストック部8にストックされる。尚、図示しないが、第三ストック部8にストックされた後のサブハーネス2は、布線板にセットされてワイヤハーネスとして組み立てられる。
上記システム構成において、電線被覆部13を各々着色して着色部11を形成した後、意匠確認部分により着色部11に対する所定の検査を行うことから、着色不良を発見することができる。
着色ユニット12に関し、これを「着色ユニット及び/又はマーキングユニット」と読み替えてもよいものとする。マーキングユニットは、着色材でマーキングするためのユニットである。
また、サブハーネス2に関し、「サブハーネス」とは、端子金具27(圧着端子など)が全てコネクタハウジングに挿入された状態や、ジョイントされた状態にあるものを指すものとする。別な言い方をすれば、全ての端子金具27が露出してない状態のものを指すものとする。
尚、第三システム構成群5を備えず、端子金具27を全て自動挿入するような構成にしてもよいものとする。また、逆に、第二システム構成群4を備えず、端子金具27を全て手動挿入するような構成にしてもよいものとする。さらに、第二システム構成群4と第三システム構成群5の配置の順を、図示の逆にしてもよいものとする。或いは、第二システム構成群4と第三システム構成群5のどちらか一方又は両方を、二つ並列に並べてもよいものとする。
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図9はワイヤハーネス生産システムを示す構成図である。また、図10はワイヤハーネスの外観を示す斜視図、図11は電線端末と着色部とを示す図である。
図9において、引用符号31はワイヤハーネス生産システムを示す。このワイヤハーネス生産システム31は、サブハーネス生産ライン32と、ワイヤハーネス組み立てライン33とを備えて構成される。尚、サブハーネス生産ライン32を前工程ライン34、ワイヤハーネス組み立てライン33を後工程ライン35と呼んでもよいものとする。
サブハーネス生産ライン32は、本実施例において、二つのラインで構成される。サブハーネス生産ライン32は、第一システム構成群36と、第二システム構成群37と、第一ストック部38(38a、38b)と、第二ストック部39(39a、39b)と、を含む自動機対応が可能なライン、及び、第三システム構成群41と、第三ストック部42(42a、42b)と、を含む手動で対応するライン(作業員による組み立てが行われるライン)からなる。第一システム構成群36には、着色ユニット40が設けられる。
尚、サブハーネス生産ライン32は、本実施例において二つのラインであるが、特にライン数は限定するものでなく、例えば一つのラインであってもよいものとする。
上記自動機対応が可能なラインである第一システム構成群36及び第二システム構成群37は、図示しないコンピュータにより制御されるものとする。また、図示しない制御機構により作動するものとする。コンピュータによる制御部は、システム構成毎に制御することができるように、或いは全体を一括して制御することができるように構成される。制御部は、CPUやRAM、ROM等を有する。サブハーネスの種類に応じたプログラミングにより、生産手順や生産スピード等の変更が可能になるのは勿論のこと、例えば供給部品が数多くあっても、確実に選択等をすることができるものとする。この他、制御部による制御によって、生産途中での良否判定等が可能になるものとする。
ワイヤハーネス組み立てライン33は、サブハーネス生産ライン32よりも下流側に設置される組み立て専用のラインである。このラインでは、図8のサブハーネス2を一又は二以上を布線板上で組み立て、この時にテープ巻き、外装部品の取り付け等をすることによって、図10に示すようなワイヤハーネス43が組み立てられる。図10のワイヤハーネス43の構成や外観形状は一例であるものとする。ここでは、プロテクタやグロメット等の外装部品の図示を省略するものとする。
図10において、ワイヤハーネス43は、電線44の束であって、自動車(移動体)の所定位置に配索されて電力や信号を伝える。自動車において必要な電線本数は、所謂普及車から高級車までを含めて挙げると、数百本から場合によっては千本を超えることもある。このようなワイヤハーネス43は、電線一本一本を加工して生産していくことから、多数の工程を要し、多大な労力と時間が掛かることが分かる。そのため、生産の自動化を図ることが重要である。
ワイヤハーネス43は、自動車に搭載される機器(車載電装品)の配置に応じて生産される。ワイヤハーネス43の種類としては、例えば前側からあげると、エンジンルーム用ワイヤハーネス、カウルサイド用ワイヤハーネス、インストルメントパネル用ワイヤハーネス、ドア用ワイヤハーネス、リアサイド用ワイヤハーネス等がある。
ワイヤハーネス43は、上記の如く電線44の束であって、束の部分の構成としては、幹線45と、この幹線45の所定位置から分岐する複数の枝線46とを有する。幹線45や複数の枝線46の端末には、様々な種類のコネクタ47が設けられる。コネクタ47は、電線44の端末に取り付けられた端子金具と、この端子金具を収容するコネクタハウジングとを有する。
ワイヤハーネス43において、電気的な接続を確実にするためには、電線44の端末の端子金具がコネクタハウジングの所定位置に挿入される必要がある。本発明では、電線44の端末48に、図11に示すような識別のための意匠部分、すなわち着色部49が形成される。尚、上記端末に関し、ここでの説明では引用符号48とするが、電線44を検尺・切断した後は、後述する引用符号66、67で示すものとする。
図11(a)において、先ず電線44の構成について説明をすると、電線44は、電線導体部50(導体)と、電線被覆部51(絶縁体)とを備えて構成される。電線導体部50は、導電性を有する。電線被覆部51は、絶縁性を有する。電線被覆部51は、電線導体部50の外表面に無着色の溶融樹脂材料を押し出すことにより形成される。電線被覆部51は、樹脂材料に白色の着色剤を混入させて白色になる。又は、樹脂材料に着色剤を混入させてないでナチュラルな色になる。尚、本実施例においては白色を原則とするが、ナチュラルやその他の色であってもよいものとする。
次に、着色部49について説明をすると、この着色部49は、白色となる電線被覆部51の外表面に形成される。着色部49は、外表面の所定エリアに、また、全周にわたって形成される。着色部49は、着色材で電線被覆部51の外表面を着色することにより形成される。
図11(b)及び(c)において、引用符号ar1とar2との間が第一エリア、引用符号ar2とar3との間が第二エリア、引用符号ar3とar4との間が第三エリア、引用符号ar5とar6との間が第四エリア、引用符号ar6とar7との間が第五エリア、引用符号ar7とar8との間が第六エリアとすると、図11(b)の着色部49は、第三エリアと、第二エリアの半分に跨って、また、第六エリアと、第五エリアの半分に跨って形成される。一方、図11(c)の着色部49の場合は、第一エリアと第三エリアとにそれぞれ、また、第四エリアと第六エリアとにそれぞれ形成される。尚、ここでの説明に限定されないものとする。識別可能であれば、数や幅などを適宜変更すればよい。また、周方向に線状(帯状)でなく、ドットやマーク等であってもよいものとする。
着色部49の色としては、W/B(ホワイト/ブラック)、B(ブラック)、R(レッド)、L(ブルー)、Lg(ライトグリーン)、G(グリーン)、Y(イエロー)、V(バイオレット)、P(ピンク)、Sb(スカイブルー)、Br(ブラウン)などが挙げられるものとする。着色部49の色に関しては、白色の電線被覆部51に対して識別が可能であれば、また、他色と識別が可能であれば特に問題ないものとする。
着色部49は、図9で示す如く、第一システム構成群36に着色ユニット40が設けられることから、第一システム構成群36において形成される。先ず、第一システム構成群36について説明をする。図12は図9の第一システム構成群36をもう少し詳しく示した構成図である。
図12において、第一システム構成群36は、自動サブセット切断機52と、第一自動サブセット圧着ライン53と、第二自動サブセット圧着ライン54とを備えて構成される。自動サブセット切断機52と、第一自動サブセット圧着ライン53と、第二自動サブセット圧着ライン54は、図12の紙面左から右へと連続するように配設される。第一自動サブセット圧着ライン53と第二自動サブセット圧着ライン54との違いは、主に着色ユニット40の有無であり、着色ユニット40は第一自動サブセット圧着ライン53に組み込まれる。
図13は自動サブセット切断機52を示す拡大構成図である。自動サブセット切断機52は、この装置裏側55に複数種の電線リール56(56a、56b、56c…)を有する。言い換えれば、電線種別の異なる電線リール56が複数設けられる。「電線種別の異なる」とは、例えば電線リール56毎に太さ等が異なる電線44が巻かれるなどを意味するものとする。尚、図中の電線リール56の数(本実施例では五つ図示)は一例であるものとする。少なくともサブハーネス生産に必要な電線種別の分だけあるものとする。
引用符号57は電線端末集合部を示す。この電線端末集合部57は、各電線リール56から引き出された電線44(44a、44b、44c…)の各電線端末48(48a、48b、48c…)を集める部分として設けられる。また、電線端末集合部57は、各電線端末48を各々保持するための部分としても設けられる。電線端末集合部57は、電線44の引き出しが可能な程度の保持力を有する。或いは、電線44の引き出しが必要な時に保持が解除されるような機構を有する。各電線端末48は、この位置が揃えられた状態で電線端末集合部57に保持されるものとする。
自動サブセット切断機52は、このシステム構成として、選択電線引出部58と、検尺部59と、電線切断部60と、電線U字状セット部61と、電線保持竿62と、電線保持竿移動部63とを備える。選択電線引出部58では、一つのサブハーネスを構成する電線種別に基づき電線44が選択され、この選択された電線44が選択電線64として電線端末集合部57から自動で引き出される。選択電線引出部58は、電線保持竿62の移動方向(矢印P参照。生産工程の進行方法と同じ)に対して直交する方向(矢印Q参照)に電線44(選択電線64)を自動で引き出すことができる機構を有する。
選択電線引出部58により引き出された電線44(選択電線64)は、検尺部59によりその引き出し長さが自動で検尺される。尚、引き出し長さは、サブハーネスの内容に応じ予めプログラミングされた数値に基づくものとする。すなわち、配索に必要な長さを確保しなければならないことから、長く引き出すこともあれば逆に短く引き出すこともある。引き出された電線44(選択電線64)は、検尺部59の検尺に基づいて所望の長さで切断される。この切断は電線切断部60により行われ、切断によって検尺切断電線65が得られる。
電線U字状セット部61は、選択電線引出部58による電線44(選択電線64)の引き出しに伴って作動するものとする。電線U字状セット部61の作動により、検尺切断電線65の両端末66、67は、電線保持竿62の所望の位置に各々セットされる。また、検尺切断電線65は、この全体が電線保持竿62に対し略U字状にセットされる。
ここで、電線U字状セット部61についてもう少し詳しく説明をすると、電線U字状セット部61は、矢印Q方向に引き出された選択電線64を略U字状にすることができる機構などを有する。特に図示しないが、具体的には、先ず引き出しのタイミングに合わせて選択電線64の端末66(引き出し先端側の端末)を保持しつつ端末66の向きを180度反転させる第一の機構と、次に矢印Q方向に引き出され電線切断部60により切断された検尺切断電線65の端末67(引き出し後端側の端末)を保持する第二の機構と、上記の如く向きを反転させた端末66を電線保持竿62の所望の位置まで運んでセットする第三の機構と、端末67を電線保持竿62の所望の位置まで運んでセットする第四の機構とを有する。
電線U字状セット部61における上記第一の機構は、先ず選択電線64の端末66の位置に合わせて配置され、端末66を保持したと同時に向きを180度反転させつつ隣りに(矢印P方向に)ずれるような動作をする。第一の機構の向きが180度反転すると、端末66の向きも180度反転の状態、すなわち矢印Qの逆方向の向きになることから、選択電線64はこの端末66の近くに略U字状の反転部分を有するようになる。反転部分は、選択電線64の引き出しに伴って矢印Q方向に移動するようになる(選択電線64の反転部分は、第一の機構から離間するようになる)。
上記の第二の機構は、第一の機構の移動(上記の隣へのずれ)に伴って、引き出し状態にある選択電線64の位置に移動する動作をするとともに、電線切断部60により切断されて得られた検尺切断電線65の端末67を保持する動作をする。
電線保持竿62に対し全体が略U字状にセットされた検尺切断電線65は、この両端末66、67が電線保持竿62から所定の長さで突出するように保持される。また、検尺切断電線65は、この両端末66、67が電線保持竿62の移動方向(矢印P参照)に対し直交するとともに、矢印Qの引き出し方向に対しては反対になる方向(後述するQ′方向と同じ)に突出するように保持される。さらに、検尺切断電線65は、この両端末66、67が着色ユニット40の配置側や、後述する端末皮むき部68及び端子取付部69(図12参照)の配置側に突出するように保持される(別な言い方をすれば、端末66、67は、着色ユニット40や端末皮むき部68を通過する位置に保持される)。
電線保持竿62は、矢印P方向に長尺な竿状の部材であって、矢印Pに対し直交する方向に複数のスリットを有する。この複数のスリットは、電線保持部として形成される。電線保持竿62は、特に図示しないが、自動サブセット切断機52の近傍にストックされ、サブハーネス生産に合わせて電線保持竿移動部63に供給される。
電線保持竿62の構造についてもう少し詳しく説明すると、矢印P方向に並ぶ数多くの電線クリップと、この電線クリップを長尺な竿状の状態にしておくクリップベースとを備えて構成される。電線クリップは、一対の挟持子から構成され、この一対の挟持子の間が上記電線保持部として形成される。一対の挟持子の先端部分には、電線案内用としてテーパが形成される。テーパは、電線保持部に向けて傾斜するように形成される。電線クリップは、全て同じ大きさ及び形状に形成される。電線クリップは、一つの電線保持竿62に数十個存在するように設けられる。
尚、本実施例の場合、電線保持竿62の例えば一端から何番目の電線クリップに、どのような電線種別の検尺切断電線65が保持されるのかが予めサブハーネスの内容に応じてプログラミングされるものとする。
電線保持竿移動部63は、複数の検尺切断電線65が保持された状態の電線保持竿62を、着色ユニット40や後述する端末皮むき部68及び端子取付部69(図12参照)へ向けて搬送することができるような機構を有する。具体的には、電線保持竿62を矢印P方向に案内するレール状の部分と、電線保持竿62を矢印P方向に所定のスピードで移動させる機構とを有する。尚、電線保持竿移動部63は、本実施例において、検尺切断電線65のセット中に電線保持竿62の移動が生じないように制御されるものとする。
上記レール状の部分は、自動サブセット切断機52のみならず、第一自動サブセット圧着ライン53及び第二自動サブセット圧着ライン54にまで跨るように配設される。
以上のようなシステム構成からなる自動サブセット切断機52により、検尺切断電線65をサブハーネス生産に必要な電線種別分及び数分まとめて第一自動サブセット圧着ライン53へ流すことができるようになることが分かる(複数の検尺切断電線65をまとめた状態としては図3も参照)。
図12において、第一自動サブセット圧着ライン53は、着色ユニット40と、端末皮むき部68と、端子取付部69とを備えて構成される。第一自動サブセット圧着ライン53は、着色ユニット40が組み込まれたラインである。
先ず、着色ユニット40について、図14ないし図19を順に参照しながら説明をする。図14は着色ユニットを示す構成図、図15は端末拭き取り部を示す構成図、図16は着色ユニット本体部を示す構成図、図17は着色材の付着状態を示す図、図18は乾燥部を示す構成図、図19は意匠確認部及び確認方法を示す構成図等である。
図14において、着色ユニット40は、電線保持竿62に対し全体が略U字状にセットされた検尺切断電線65の両端末66、67が突出する側に配置される。すなわち、着色ユニット40は、両端末66、67の所望の位置(所望のエリア)に着色材にて着色をすることができるように配置及び構成される。
ここで上記の「着色をする」について説明をすると、この着色をするとは、端末66、67(図11の電線被覆部51参照。以下同様)の外表面を着色材で着色することを示す。着色材とは、色材(工業用有機物質)が水又はその他の溶媒に熔解、分散した液状物質である。有機物質としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることもある。より具体的な例としては、着色材とは、着色液または塗料である。
上記着色液とは、溶媒中に染料が溶けているもの、又は分散しているものを示す。また、上記塗料とは、分散液中に顔料が分散しているものを示す。そのため、着色液で端末66、67(電線被覆部51)の外表面を着色すると、染料が端末66、67(電線被覆部51)内に染み込み、塗料で端末66、67(電線被覆部51)の外表面を着色すると、顔料が端末66、67(電線被覆部51)内に染み込むことなく外表面に接着する。すなわち、ここで言う「着色をする」とは、端末66、67(電線被覆部51)の外表面を染料で染めることと、端末66、67(電線被覆部51)の外表面に顔料を塗ることを示す。
上記溶媒と分散液に関し、端末66、67(電線被覆部51)を形成する合成樹脂材料と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料が端末66、67(電線被覆部51)内に確実に染み込んだり、顔料が端末66、67(電線被覆部51)の外表面に確実に接着することになる。
着色ユニット40は、端末拭き取り部70と、着色ユニット本体部71と、乾燥部72と、意匠確認部73とを備えて構成される。着色ユニット40は、本実施例において、上記構成を一纏めにしてなる装置である(一例であるものとする。上記構成を一つ一つの装置として適宜間隔で並べて着色ユニット40としてもよいものとする)。着色ユニット40は、図示しない制御部にて制御されるものとする。制御部には、検尺切断電線65の電線種別や、電線保持竿62における端末66(67)の配置など、着色ユニット40の作動に必要な情報が予めプログラミングされているものとする。
図15において、端末拭き取り部70は、電線保持竿62に対し全体が略U字状にセットされた検尺切断電線65の端末66(67)の汚れを自動で拭き取るためとして備えられる。本実施例では、端末拭き取り部70を備えることにより、端末66(67)への着色状態を良好にすることをねらう。
尚、図15中の矢印Pは電線保持竿62の移動方向を示す。また、矢印Qは自動サブセット切断機52(図13参照)での選択電線64の引き出し方向を示す。また、矢印Q′は検尺切断電線65の端末66(67)の突出方向(のびる方向)を示す。さらに、矢印R及びR′は上下方向を示す。
端末拭き取り部70は、一対の拭き取り部74と、この一対の拭き取り部74を移動させる第一の移動機構75及び第二の移動機構76と、図示しない電線チャック部とを備えて構成される。一対の拭き取り部74は、端末66(67)を上下から挟み込んで接触した後、外表面全体を擦るように移動することができる部分として形成される。一対の拭き取り部74は、この外周面が拭き取りに使用される。本実施例において、芯材を布で覆った部分として形成される。芯材は、円柱形状、角柱形状等、適宜選定されるものとする。
第一の移動機構75及び第二の移動機構76は、拭き取りに必要な動作として、一対の拭き取り部74を矢印R、R′方向に移動させるとともに、矢印Q、Q′方向に移動させることができるように構成される。
一対の拭き取り部74による拭き取りの最中は、図示しない電線チャック部が検尺切断電線65を保持して端末位置ズレを防止するものとする。
図16において、着色ユニット本体部71は、電線保持竿62に対し全体が略U字状にセットされた検尺切断電線65の端末66(67)に、識別用の意匠部分として着色部49を自動で形成するために備えられる。着色ユニット本体部71は、本実施例において、端末66(67)の外表面における所定エリアに着色材77を吹き付けて着色部49の形成をすることができるように構成される。
着色ユニット本体部71は、着色ヘッド78と、この着色ヘッド78を移動させる第一の移動機構79及び第二の移動機構80と、図示しない電線チャック部と、同じく図示しないノズル洗浄部と、同じく図示しない着色材供給部とを備えて構成される。着色ヘッド78は、着色ヘッド本体81と、この着色ヘッド本体81から端末66(67)の外表面における所定エリアに着色材77を吹き付けるための複数の着色ノズル82とを有する。
着色ノズル82は、本実施例において12色分の吐出が可能な数だけ設けられる。このような複数の着色ノズル82は、矢印Q及びQ′方向に一列に並んで配置される。複数の着色ノズル82は、着色部49の色に応じて使い分けられる。使い分けは、着色ヘッド78を第一の移動機構79により矢印Q及びQ′方向に移動させることにより行われる。
着色ヘッド78は、検尺切断電線65の端末66(67)に対し矢印Q及びQ′方向に移動するものとする。また、端末66(67)の外表面の全周にわたって着色部49を形成するため、スイング(揺動または首振り)するような矢印S及びS′方向にも移動するものとする。
着色ヘッド78は、矢印P方向に移動する検尺切断電線65に対し、また、矢印Q′方向に突出する端末66(67)に対し、自身が移動して着色部49を形成するように構成される。
図17を参照しながら着色材77の付着状態を説明すると、先ず、端末66(67)の外表面に対し着色材77が付着しない位置では、着色材77の噴射が行われないものとする。次に、図17(a)に示す如く、矢印S方向に着色ヘッド78を移動させて着色材77が外表面に付着する位置になると、着色材77の噴射が行われるようになる。尚、着色材77は、加圧により噴射されるものとする(一例であるものとする)。着色材77が外表面に付着し始めると、着色材77は着色ヘッド78から離れる側へ回り込み、図17(b)に示す如くの状態になる。
端末66(67)に対し着色材77が横切った後、図17(c)に示す如く着色ヘッド78を矢印S′方向に移動させると、今度は逆側から着色材77の回り込みが生じ、これにより全周にわたって着色材77の付着が完了するようになる。
尚、より確実に全周に着色材77を付着させようとするのであれば、例えば図16の仮想線で示す如く、着色ユニット本体部71′を着色ユニット本体部71の反対側に追加配置する例が挙げられるものとする。矢印P方向に移動する検尺切断電線65の妨げにならない配置であれば、特に限定されないものとする。
この他、端末66(67)と着色ヘッド78との間にマスク部材を介在させて、ドットやマーク(マーキング)を施せるような構成にしてもよいものとする。
また、着色部49を幅広に形成したり、端末66(67)の全体を着色したりする場合には、着色ヘッド78を矢印S及びS′方向に移動させながら矢印Q′方向にも移動させ、連続的に着色材77の吹きつけを行えばよいものとする。
図18において、乾燥部72は、着色材77(図16参照)の吹き付けにより形成された着色部49を乾かして定着させるために備えられる。乾燥部72は、ヒータ乾燥部83と温風乾燥部84とを有する。ヒータ乾燥部83は、近赤外線ヒータにより着色部49を乾燥をさせることができるように構成される。また、温風乾燥部84は、温風により着色部49を乾燥をさせることができるように構成される。
ヒータ乾燥部83と温風乾燥部84は、矢印P方向に移動する検尺切断電線65の端末66(67)が先ずヒータ乾燥部83を通過し、次に温風乾燥部84を通過するような状態に配置される(この逆でもよいものとする。図18に示す如くの上下の配置は一例であるものとする。例えば、ヒータ乾燥部83と温風乾燥部84とをそれぞれ上側に配置し、下側に反射板を設けてもよいものとする)。
ヒータ乾燥部83と温風乾燥部84は、矢印P方向に移動する検尺切断電線65のスピードに合わせて作動し、実際には一瞬で着色部49の乾燥が完了する。
図19において、意匠確認部73は、着色部49に対する着色状態の検査を行うために備えられる。具体的には、着色部49の形成状態や形成位置を検査するために備えられる。意匠確認部73は、端末撮影部85と画像表示部86とを有する。端末撮影部85は、CCDカメラ等を含んで構成される。端末撮影部85により撮影されて得られた画像データは、図示しない制御部に送られる。制御部では、検査に必要な画像処理が行われる。制御部で処理された画像データは、画像表示部86にて表示される。
尚、着色部49の形成状態や形成位置は、画像表示部86に表示されるが、良否判定は図示しない制御部で行われるものとする。従って、画像表示部86の前に検査員を常に配置しておく必要はないものとする。
図19(b)は、画像表示部86における表示を示すものとする。着色部49は、第三エリアと、第二エリアの半分に跨って、また、第六エリアと、第五エリアの半分に跨って形成される。一例であるが、図中の引用符号87は、はみ出し検査部分を示すものとする。はみ出し検査部分87は、この中に着色部49の端部が入っているか否かを図示しない制御部で判断するために用いられる。もう少し詳しく説明すると、着色部49における電線軸心方向の端部(端末)が、電線軸心方向の一定範囲に収まるかどうかを図示しない制御部で判断するために用いられる。
仮に、着色部49の形成状態や形成位置が悪ければ(着色不良が生じていれば)、アラーム等をならして作業員等に知らせればよい。図示しない制御部では、電線保持竿62の何番目に保持された検尺切断電線65の着色部49が悪いのかを記憶することができるものとし、この記憶情報をもとに第一システム構成群36の最後で手直し等をすればよい(工程を止めずに最後で手直し等をすれば、作業性の低下防止に寄与するのは勿論である)。
意匠確認部73を通過すると、着色部49を有する後識別電線88(検尺切断電線65)が得られる。着色ユニット40を通過して得られた後識別電線88は、この後に図12に示す如く端末皮むき部68と端子取付部69とを順に通過する。尚、着色ユニット40により、図4に示す如くの状態にもなる。
図12に示す端末皮むき部68は、所定の長さで電線被覆部51(絶縁体)を自動で除去するために備えられる。着色部49を有する後識別電線88(検尺切断電線65)の端末66(67)は、端末皮むき部68により所定の長さで電線被覆部51が除去される。電線被覆部51が除去されると、端末66(67)からは電線導体部50が露出する。尚、端末皮むき部68により、図5に示す如くの状態にもなる。
図12に示す端子取付部69は、電線導体部50が露出する端末66(67)に端子金具89を自動で取り付けるために備えられる。端子取付部69は、本実施例において、圧着により端子金具89を取り付けることができるように構成される。また、端子取付部69は、電線種別に対応するように複数種の端子金具89を取り付けることができるように構成される。本実施例の第一自動サブセット圧着ライン53(図12参照)においては、六種類の端子金具89の取り付けが可能である(これ以上の種類の端子金具89の取り付けが必要であれば、本実施例のように第一自動サブセット圧着ライン53と同様な第二自動サブセット圧着ライン54が必要になる)。端子取付部69には、複数種の端子金具89が各々供給される。
尚、複数種の端子金具89の取り付けに関し、端末66(67)の流れてくる順に各種の端子金具89を取り付ける工程や、端子取付部69を移動させて同じ種別の端子金具89毎に取り付ける工程のいずれを採用してもよいものとする。本実施例において、端子金具89は、取り付けの必要がある端末66(67)のみ行われるものとする(この場合、図6に示す如くの状態になる)。
以上、図9ないし図19を参照しながら説明してきたように、第一システム構成群36のシステム構成により、図6に示す如くの、複数の端子付き後識別電線9(後識別電線群10)が得られる。
また、第一システム構成群36では、電線被覆部51を各々着色して着色部49を形成した後、意匠確認部73により着色部49に対する所定の検査を行うことから、着色不良を発見することができるという効果を奏する。着色不良が起きると、端子金具89をハウジング28の対応するキャビティに正確に挿入することができなかったり、車両メンテナンス時における回路情報の確認をすることができなかったりする可能性があることから、これらを未然に防止することができるという効果も奏する。
また、電線検尺・切断の後に電線被覆部51への着色及びその検査を行うことから、所定の検査のために例えば検尺に係る工程を止めたりする必要はなく、結果、作業性の低下を防止することができるという効果を奏する。また、端子金具89の取り付け前に電線被覆部51への着色及びその検査を行うことから、着色不良が起きた場合に、不良としてその電線を除去しても端子金具89が無駄にならないという効果も奏する。以上からも分かるように、着色ユニット40は意匠確認部73を構成に含むことから、着色部48の着色状態の良否(可否)を判断することができる。従って、信頼性の高いサブハーネス2を作業性及び生産性良く生産することができるという効果を奏する。
第二システム構成群37では、サブハーネス2(図7参照)が部分的に生産される。第二システム構成群37における引用符号90は自動端子挿入機(端子挿入部)を示す。
第三システム構成群41では、サブハーネス2(図8参照)が完成するように生産がなされる。第三システム構成群41における引用符号91は電線ツイスト部を示す。また、引用符号92は手動端子挿入部(端子挿入部)を示す。また、引用符号93は電線間ジョイント部を示す。また、引用符号94はサブハーネス導通検査部を示す。
第三システム構成群41では、自動機化が困難な工程が行われる。具体的には、図8に示す如く端子付き後識別電線9をツイストする工程が行われる。また、第二システム構成群37において自動挿入することができなかった端子金具(例えば他と逆向きに挿入する場合など)を手動で挿入する工程が行われる。また、電線同士をジョイントする工程が行われる。この他、グロメットなどのような予め組み付けておいた方がよい外装部品を手動で組み付ける工程が行われる。そして、最後にサブハーネス2(図8参照)の回路が間違いなくできているか否かを検査する工程が行われる。
ワイヤハーネス組み立てライン33は、サブハーネス2(図8参照)からワイヤハーネス43(図10参照)を組み立てることができるように構成される。引用符号95は布線板を示す。布線板95は複数設けられ、コンベアに取り付けられて環状に回るように流れる。この布線板95にセットされたサブハーネス2(図8参照)に対しテープ巻きや外装部品を取り付けた後、ハーネス導通検査部96及び外観検査部97を順に経ると、ワイヤハーネス43(図10参照)までの一連の生産及び組み立てが完了する。
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。