JP6206488B2 - 無機イオン吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性及び耐放射線性を有するとともに、特にCr、Mn、Co及びNiイオンなどの重金属イオンを吸着する特性に優れた無機イオン吸着剤並びにその製造方法に関するものである。
無機イオン交換体は、イオン交換樹脂に比べ、耐熱性や耐放射線性に優れているため、古くから高温水中におけるイオン交換処理、強放射線物質の分離、濃縮及び精製等への応用が期待されている。その中でも五酸化アンチモン[Sb25・kH2O(但し、kは4以下の正数である。)]、アンチモン酸スズ[SnO2・bSb25・lH2O(但し、bは正数であり、lは0又は正の数である。)]、アンチモン酸チタン[TiO2・cSb25・mH2O(但し、cは0.6以下の正数であり、mは0又は正の数である。)]などが有望視されており、様々な検討がされている(例えば、特許文献1、2、3及び4)。
特公昭47−020465号公報 特開平03−050117号公報 特開平05−100083号公報 特開平07−185322号公報
"福島第一原子力発電所に関する疑問点と解説"、2011年4月26日、北海道大学 大学院工学研究院 量子理工学部門、[平成25年3月29日検索]、インターネット<URL:http://www2.qe.eng.hokudai.ac.jp/nuclear−accident/reactor/pdf/Q_and_A−14−detail.pdf>
しかしながら、特許文献1〜4に記載された無機イオン交換体は、主にCsやSrなどのアルカリ金属イオンの分離に用いられるものであり、特に重金属イオンの分離に適した無機イオン交換体は開示されていない。また、近年、原子力発電所の鉄材から発生するCo−60、Mn−54、Cr−51、Ni−63などの2価及び3価の重金属の放射性核種(非特許文献1)を効率的に分離できる無機イオン交換体が要望されている。
本発明の目的は、従来のアンチモン化合物よりも、特にCr、Mn、Co及びNiイオンなどの重金属イオンを吸着する特性に優れた無機イオン吸着剤並びにその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、正方晶酸化スズの結晶構造を有し、かつ、立方晶五酸化アンチモン構造が少ない特定のアンチモン酸スズ(アンチモン酸とスズ酸の混合体)が、Cr、Mn、Co及びNiイオンなどの重金属イオンを吸着する特性に優れていることを見出した。また、スズとアンチモンが特定比率の混合溶液を、特定の濃度になるように水と混合した後、加熱熟成することにより、一般式(1)で表されるアンチモン酸スズが安定な状態で得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る無機イオン吸着剤は次のとおりである。
1.CuKα線を用いた粉末X線回折測定において、正方晶酸化スズの回折強度が、五酸化アンチモン(Sb25・2H2O)の回折強度に対して3%以上であり、かつ、立方晶五酸化アンチモンの回折強度が、五酸化アンチモン(Sb25・2H2O)の回折強度に対して40%以下であることを特徴とする下記一般式(1)で表される無機イオン吸着剤。
SnO2・aSb25・nH2O (1)
[式中、aは0.2≦a≦4を満たす数である。また、nは水和の数を示し、0又は正数である。]
2.BET法で測定した比表面積が、100m2/g以上である上記1に記載の無機イオン吸着剤。
3.四価のスズ塩及び五価のアンチモン塩を含む水溶液と、水とを混合して沈殿を生じさせる沈殿工程と、加熱により熟成する熟成工程とを備え、前記スズ塩のSnとアンチモン塩のSbのモル比(Sn/Sb)が、0.1〜5であり、かつ、前記沈殿工程において、SnとSbの合計モル数に対して、100倍モル以上の水を混合することを特徴とする上記1又は2に記載の無機イオン吸着剤の製造方法。
4.上記熟成工程の温度が、50℃以上である上記3に記載の無機イオン吸着剤の製造方法。
新たに見出した無機イオン吸着剤は、耐熱性及び耐放射線性を有するとともに、特にCr、Mn、Co及びNiイオンなどの重金属イオンを吸着する特性に優れている。本発明に係る無機イオン吸着剤は、強酸性領域でも前記重金属イオンを吸着することができるため、例えば、原子力発電所や核燃料再処理工場等の原子力施設より排出される廃液等の放射性核種含有物を処理することができる。また、本発明の無機イオン吸着剤の製造方法によれば、比表面積が高い特定のアンチモン酸スズを安定な状態で得ることができる。
実施例1で作製した無機イオン吸着剤のX線回折図形である。 実施例2で作製した無機イオン吸着剤のX線回折図形である。 実施例4で作製した無機イオン吸着剤のX線回折図形である。 実施例7で作製した無機イオン吸着剤のX線回折図形である。 実施例8で作製した無機イオン吸着剤のX線回折図形である。 参考例の五酸化アンチモン(Sb25・2H2O)のX線回折図形である。 比較例1で作製した無機イオン吸着剤のX線回折図形である。 比較例3で作製した無機イオン吸着剤のX線回折図形である。 比較例7で作製した無機イオン吸着剤のX線回折図形である。
本発明の一実施形態について説明すると以下のとおりであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.無機イオン吸着剤
本発明に係る無機イオン吸着剤は、CuKα線を用いた粉末X線回折測定において、正方晶酸化スズの回折強度が、五酸化アンチモン(Sb25・2H2O)の回折強度に対して3%以上であり、かつ、立方晶五酸化アンチモンの回折強度が、五酸化アンチモン(Sb25・2H2O)の回折強度に対して40%以下である下記一般式(1)で表されるものである。
SnO2・aSb25・nH2O (1)
上記式において、aは0.2≦a≦4を満たす数である。aは、0.3≦a≦3.8であることが好ましく、0.4≦a≦3.5であることがより好ましい。aが0.2に満たない場合や、aが4を超える場合は、イオン吸着性が大幅に低下する。また、nは水和の数を示し、0又は正数である。]
本発明の無機イオン吸着剤が上記の構造であることは、粉末X線回折分析によって確認することができる。粉末X線回折分析は、例えばJIS K0131(X線回折分析通則、1996年制定)の規定に従って行うことができる。当該JISの規定にはX線管球の印加電圧の定めはないが、Cuターゲットを用いたX線管球への印加電圧40kv、電流値40mAで、発生するCuKα線を用いてX線回折測定を行うのが標準的な測定方法である。試料に結晶質の物質が含まれていた場合は、X線回折図に鋭角の形状を有する回折ピークが表れるので、得られた粉末X線回折図から、回折ピークの回折角2θを決定し、λ=2dsinθの関係に基づいて結晶の面間隔dを算出し、結晶系の同定をすることができる。なお、CuKα線のλは1.5406オングストロームである。
試料が非晶質の場合、X線回折図形に鋭角のピークが表れないので、結晶質の成分が含まれていないことがわかる。非晶質のものであっても、X線回折図形の回折角2θ=20°〜40°の間にブロードなピークが表れることはよくあるが、これは結晶が存在することを意味するものではない。
本発明の無機イオン吸着剤は、CuKα線を用いた粉末X線回折測定において、正方晶酸化スズの回折強度が、五酸化アンチモン(Sb25・2H2O)の回折強度に対して3%以上である。この相対回折強度が3%に満たないと、重金属イオンに対する吸着性能が低下するので、好ましくない。前記回折強度は、5%以上であることが好ましい。また、正方晶酸化スズの好ましい含有量は多いほど良く、後述する測定条件において回折強度が100counts(回折角2θ=26.7°)を超えるものが好ましい。前記回折強度は130counts以上であることがより好ましく、更に好ましくは150counts以上であり、特に好ましくは200counts以上である。
本発明に係る無機イオン吸着剤の立方晶五酸化アンチモンの回折強度は、五酸化アンチモン(Sb25・2H2O)の回折強度に対して、40%以下であり、35%以下であることが好ましい。この相対回折強度が40%を超えると、重金属イオンの捕捉率が低下する傾向にある。また、本発明における無機イオン吸着剤に含まれる立方晶五酸化アンチモン相は、後述する測定条件において立方晶五酸化アンチモンの回折強度が1500counts以下(回折角2θ=14.8°)であることが好ましい。回折強度は1000counts以下であることがより好ましく、更に好ましくは500counts以下である。前記回折強度が1500countsを超えると、重金属イオンの捕捉率が低下する傾向にある。
本発明の無機イオン吸着剤の比表面積は、BET法などの公知の方法で測定することができ、窒素吸着によるBET法で測定する場合の好ましい比表面積は100m2/g以上であり、より好ましくは150m2/g以上である。比表面積が100m2/g未満であると、効率的に重金属イオンを捕捉することができない。比表面積の上限は、通常300m2/g以下である。比表面積が300m2/gを超えると、凝集し易くなりイオン交換速度が落ちたり、耐熱性が低くなったりする場合がある。
本発明の無機イオン吸着剤のイオン交換容量は、硝酸コバルト(II)六水和物水溶液を用いて測定することができる。具体的な測定方法は後述する。
本発明の無機イオン吸着剤のコバルトイオン交換容量は、0.5meq/g以上であることが好ましく、0.7meq/g以上がより好ましく、更に好ましくは1.0meq/g以上である。この範囲が好ましい理由は、少量の添加量で充分な効果が得られるからである。
本発明の無機イオン吸着剤のイオン捕捉率は、低濃度の各種イオンを短時間に捕捉できるかどうかを確認するために行う。具体的な測定方法は後述する。
イオン捕捉率は高い方が好ましく、無機イオン吸着剤の使用量や処理効率を考慮すると、全てのイオンの捕捉率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上、更に好ましくは95%以上である。イオン捕捉率が90%以上であれば、実用上十分な性能を有する。
本発明の無機イオン吸着剤の各種イオンに対する分配係数(Kd)は、上記イオン捕捉率の試験結果より、以下の式で求めることができる。
Kd=(C0 − C)×V /(C × m)
[式中、C0は初期のイオン濃度であり、Cは吸着試験後のイオン濃度である。また、Vは試験溶液体積であり、mはイオン吸着剤重量である。分配係数Kdの単位はml/gである。]
分配係数は高い方が好ましく、全てのイオンに対する分配係数は1.0×103ml/g以上であることが好ましく、1.5×103ml/g以上であることがより好ましく、更に好ましくは2.0×103ml/g以上である。分配係数が1.0×103ml/g以上であれば、少量で重金属イオンを捕捉することができる。
2.無機イオン吸着剤の製造方法
本発明に係る無機イオン吸着剤は、四価のスズ塩及び五価のアンチモン塩を含む水溶液と、水とを混合して沈殿を生じさせた後、加熱により熟成することにより製造することができる。この時、前記スズ塩のSnとアンチモン塩のSbのモル比(Sn/Sb)は、0.1〜5であり、かつ、前記沈殿工程において、SnとSbの合計モル数に対して、100倍モル以上の水を混合する。
本発明の無機イオン吸着剤を得るための原料は、水溶液中の反応によって酸化スズや酸化アンチモンを得るための原料として、従来用いられてきたものを使用することができる。具体的には、スズの原料としては四価のスズ塩であり、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(IV)、等であり、この中でも工業的に入手しやすいことから、塩化スズ(IV)が好ましい。また、アンチモンの原料には五塩化アンチモン等を用いる。
前記スズ塩のSnとアンチモン塩のSbのモル比(Sn/Sb)は、0.1〜5である。好ましくは0.15〜3であり、より好ましくは0.2〜2.5である。このモル比が0.1未満であると、立方晶五酸化アンチモンが生成し易くなり、イオン捕捉能力が低下する場合がある。一方、モル比が5を超えると、イオン交換容量が低下してイオン捕捉能力が下がる場合がある。
前記沈殿工程で使用する水の量は、SnとSbの合計モル数に対して、100倍モル以上が必要である。好ましくは150倍モル以上であり、更に好ましくは250倍モル以上である。沈殿工程の水量が100倍モル未満であると、十分な収量が得られなかったり、沈殿工程において立方晶五酸化アンチモンが生成し易くなり、イオン吸着性能が低下したりする場合がある。
沈殿工程の水温は特に限定はないが、好ましくは10〜90℃であり、より好ましくは20℃〜80℃であり、更に好ましくは30℃〜70℃である。前記温度の範囲内であれば、十分な収量が得られる。
前記沈殿工程に続き、熟成工程を行って本発明の無機イオン吸着剤を製造する。熟成工程の温度は50℃以上であることが好ましい。より好ましくは55℃以上であり、更に好ましくは60℃以上である。50℃未満では結晶化し難く、熟成に長時間を要する場合がある。一方、熟成工程の温度の上限は、通常200℃以下であり、160℃以下であることが好ましい。温度が高くなりすぎると、製造コストの面で不利になるだけでなく、イオン捕捉能が低下する場合がある。
前記熟成工程後、脱イオン水により沈殿を洗浄し、乾燥することにより、本発明の無機イオン吸着剤が得られる。洗浄は、ろ液の電導度が400μS/cm以下又はpH3以上になるまで沈殿を洗浄する工程が含まれることが好ましい。洗浄は、ろ液の電気伝導度が200μS/cm以下になるまで行うことが好ましく、より好ましくは150μS/cm以下である。この理由は、生成した沈殿を含むスラリーは多くの塩酸を含むため、洗浄が不十分であると乾燥時に塩酸が濃縮され、立方晶五酸化アンチモンが生成し易くなるためである。洗浄に用いる脱イオン水の温度は、0℃より高く40℃以下であることが好ましい。より好ましくは0℃より高く25℃以下であり、更に好ましくは0℃より高く15℃以下である。前記温度の範囲内であれば、効率的に塩酸を除去することができる。
洗浄を終えた沈殿は、更に乾燥して水分を除く。乾燥は、室温で行っても、乾燥炉内で加熱して行っても良い。すなわち、沈殿物から余分な水分が除ければどのような処理を行っても良い。乾燥温度としては、40〜250℃が好ましく、100〜230℃がより好ましい。乾燥方法は特に限定されないが、乾燥は沈殿全体に含まれる水分量が5%以下になるまで行うのが好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
上記のようにして得られた本発明の無機イオン吸着剤は、目的に応じて粉砕処理を行って、希望する2次粒子径にすることができる。
本発明の無機イオン吸着剤の2次粒子径は例えば脱イオン水に超音波分散したものをレーザー回折式粒度分布計で測定し、体積基準のメジアン径を2次粒子径の代表値として採用することができる。好ましい2次粒子径としては0.1〜50μmであり、より好ましくは0.2〜30μmである。2次粒子径が0.1μm未満であると目的のイオン吸着後の固液分離がし難くなる場合がある。一方、50μmを超えると、吸着速度が遅くなる場合がある。
3.無機イオン吸着剤の使用方法
本発明の無機イオン吸着剤を用いて、重金属イオンを含有する液体の処理等を行うには、本発明の無機イオン吸着剤を、重金属イオンを含有する液体と接触させればよい。本発明の無機イオン吸着剤と液体を接触させる方法に特に限定はなく、バッチ式又は連続式のいずれであっても良い。本発明の無機イオン吸着剤と液体を接触させる方法の具体例としては、本発明の無機イオン吸着剤を、液体に添加し撹拌することにより、液体と接触させた後、本発明の無機イオン吸着剤を分離する方法、又はカラム等に本発明の無機イオン吸着剤を充填し、液体を通液する方法がある。
本発明の無機イオン吸着剤と液体とを接触させる時間は、処理すべき対象により一概には決められないが、数分から数時間、場合によっては数日である。また、両者を接触させるときの温度は、イオン交換速度を高めるために50℃以上が好ましい。
液体と、これに接触させる本発明の無機イオン吸着剤の使用割合は、重金属イオンの1meq当り、無機イオン吸着剤を1. 0g以上とすることが好ましく、重金属イオンを吸着する条件、例えば本発明の無機イオン吸着剤と液体との接触時間、接触方法及び接触温度、並びに液体のpH及び重金属イオンの濃度等によって適宜調整すれば良い。
また、本発明の無機イオン吸着剤は、重金属イオンを含有する液体の処理等を行った後も、吸着した重金属イオンを酸処理等でプロトンに置換することにより、再利用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.評価方法
(1)無機イオン吸着剤の組成
a)蛍光X線装置でスズとアンチモンの含有率を測定した。
b)無機イオン吸着剤を150℃で24時間乾燥し、デシケーターの中で30分以上冷却した。この試料について、500℃までの熱重量分析を行い、水和量を計算した。
上記a)及びb)の測定結果から、無機イオン吸着剤の組成を決定した。
(2)粉末X線回折
粉末X線回折(以下「XRD」と略す)測定は、BRUKER社製「D8 ADVANCE」を使用した。Cu封入型X線源を用い、印加電圧40kv,電流値40mAで発生するCuKαを用いてX線回折図を得た。詳細な測定条件を表1に記載した。
Figure 0006206488
XRD測定の結果、正方晶酸化スズは回折角2θが26.7°、33.9°、38.1°及び52.2°付近に回折強度が存在する。また、立方晶五酸化アンチモンは回折角2θが14.8°、28.5°及び29.8°付近に強い回折強度が存在する。結晶性の標準試料として、五酸化アンチモン(Sb25・2H2O、東亞合成社製 商品名「IXE−300」)を同様の条件で測定した。
(3)比表面積
得られた無機イオン吸着剤0.5gをマルバーン社製「AUTOSORB−1」によりBET比表面積を測定した。この結果を表3に示す。
(4)2次粒子径
得られた無機イオン吸着剤0.1gを10mlの脱イオン水に分散させ、70wの超音波で30秒間分散させた。そのスラリーを、マルバーン社製「マスターサイザー2000」により粒度分布を測定した。この測定値の体積基準のメジアン径を2次粒子径とした。この結果を表3に示す。
(5)イオン交換容量
硝酸コバルト(II)六水和物15.55gを1Lの純水に溶解した。この水溶液50mLと、合成した無機イオン吸着剤1.0gを100mlのポリエチレン製の瓶に入れ、40℃で24時間振とうした後、0.2μmのメンブレンフィルターで無機イオン吸着剤をろ別した。次に、ろ液中のコバルトイオン濃度をプラズマ発光分析装置で測定した。無機イオン吸着剤を入れないで同様の操作を行ってコバルトイオン濃度を測定したものをブランク値として、その差から吸着剤1gあたりのイオン交換容量を求めた。結果を表4に示す。
(6)イオン捕捉率、分配係数
硝酸コバルト(II)六水和物0.0494g、硫酸マンガン(II)五水和物0.0439g、塩化クロム(III)六水和物0.0513g及び硫酸ニッケル(II)六水和物0.0448gを0.01規定の硝酸水溶液1Lに溶解させた試験液を調製した。この試験液30mlと無機イオン吸着剤0.30gを100mlのポリエチレン製容器に入れて密栓した後、10往復振って混合し、40℃の恒温器中に2時間静置した。その後、無機イオン吸着剤を0.2μmのメンブレンフィルターでろ別し、ろ液中のCo、Mn、Cr及びNiイオン濃度をプラズマ発光分析装置(セイコーエプソン社製「SPS770」)を用いて測定した。この値と吸着前のそれぞれのイオン濃度から、イオン捕捉率及び分配係数Kdを算出した。その結果を表4及び5に示した。なお、分配係数Kdの単位はml/gである。
2.無機イオン吸着剤の製造及び評価
<実施例1>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液52.10gを入れ、撹拌しながら五塩化アンチモン44.85g(Sn/Sbモル比=0.67)をゆっくりと投入し混合した。この水溶液を70℃の温水1512gに添加したところ、沈殿が生じた(SnとSbの合計モル数に対し、水量は340倍モル)。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.75Sb25・1.0H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤1を得た。得られた吸着剤について、XRDにより正方晶SnO2及び立方晶Sb25の回折強度を測定した(図1)。図1のピークは正方晶酸化スズのものであり、回折角2θ=26.7°付近の回折強度は225countsであった。なお、図1〜9の縦軸はX線回折強度(単位[counts])を示し、横軸は回折角2θ(単位[°])を示す。
また、得られた無機イオン吸着剤1の比表面積、2次粒子径、イオン交換容量、イオン捕捉率及び分配係数を評価した(表3〜5)。
<実施例2>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液52.10gを入れ、撹拌しながら五塩化アンチモン44.85g(Sn/Sbモル比=0.67)をゆっくりと投入して混合した。この水溶液を70℃の温水1512gに添加したところ、沈殿が生じた(SnとSbの合計モル数に対し、水量は340倍モル)。その後、30分撹拌し、このスラリー70mL程度を100mLのテフロン(登録商標)製圧力容器に分けて移し、120℃で20時間熟成した。熟成後、冷却し、ろ過により母液を除去した。次いで、残さをイオン交換水で洗浄した後(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.75Sb25・1.0H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤2を得た。
この無機イオン吸着剤2のXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものであり、回折角2θ=26.7°付近の回折強度は290countsであった(図2)。また、得られた無機イオン吸着剤2の比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<実施例3>
熟成を150℃で20時間行った以外は、実施例2と同じ操作を行い、SnO2・0.75Sb25・1.0H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤3を得た。
この無機イオン吸着剤3のXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものであり、回折角2θ=26.7°付近の回折強度は320countsであった。また、得られた無機イオン吸着剤3の比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<実施例4>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液52.10gを入れ、撹拌しながら五塩化アンチモン44.85g(Sn/Sbモル比=0.67)をゆっくりと投入して混合した。この水溶液を70℃の温水756gに添加したところ、沈殿が生じた(SnとSbの合計モル数に対し、水量は170倍モル)。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.75Sb25・1.0H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤4を得た。
この無機イオン吸着剤4のXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものと立方晶五酸化アンチモンが混在するものであり、酸化スズに起因する回折角2θ=26.7°付近の回折強度は135countsであり、立方晶五酸化アンチモンに起因する回折角2θ=14.8°付近の回折強度は1200であった(図3)。また、得られた無機イオン吸着剤4の比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<実施例5>
200mlビーカーに無水四塩化スズ35.50gを入れ、撹拌しながら純水17.8gをゆっくりと添加して溶解させた後、五塩化アンチモン40.75g(Sn/Sbモル比=1)をゆっくりと投入して混合した。この水溶液を70℃の温水1691gに添加したところ、沈殿が生じた(SnとSbの合計モル数に対し、水量は340倍モル)。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、濾過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.5Sb25・0.8H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤5を得た。
この無機イオン吸着剤5のXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものであり、回折角2θ=26.7°付近の回折強度は220countsであった。また、得られた無機イオン吸着剤5の比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<実施例6>
200mlビーカーに無水四塩化スズ47.30gを入れ、撹拌しながら純水17.8gをゆっくりと添加して溶解させた後、五塩化アンチモン27.14g(Sn/Sbモル比=2)をゆっくりと投入して混合した。この水溶液を70℃の温水1691gに添加したところ、沈殿が生じた(SnとSbの合計モル数に対し、水量は340倍モル)。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.25Sb25・0.3H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤6を得た。
この無機イオン吸着剤6のXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものであり、回折角2θ=26.7°付近の回折強度は190countsであった。また、得られた無機イオン吸着剤6の比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<実施例7>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液22.18gを入れ、純水8.38gを添加し、更に撹拌しながら五塩化アンチモン38.19g(Sn/Sbモル比=0.33)をゆっくりと投入して混合した。この水溶液を70℃の温水1543gに添加したところ、沈殿が生じた(SnとSbの合計モル数に対し、水量は400倍モル)。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・1.5Sb25・1.3H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤7を得た。
この無機イオン吸着剤7のXRD測定を行ったところ、得られたピークはほとんどが正方晶酸化スズのものであり、酸化スズに起因する回折角2θ=26.7°付近の回折強度は220counts、立方晶五酸化アンチモンに起因する回折角2θ=14.8°付近の回折強度は110countsであった(図4)。また、得られた無機イオン吸着剤7の比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<実施例8>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液15.23gを入れ、純水14.91gを添加し、更に撹拌しながら五塩化アンチモン51.81g(Sn/Sbモル比=0.17)をゆっくりと投入して混合した。この水溶液を70℃の温水1593gに添加したところ、沈殿が生じた(SnとSbの合計モル数に対し、水量は440倍モル)。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・3.1Sb25・1.6H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤8を得た。
この無機イオン吸着剤8のXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものと立方晶五酸化アンチモンが混在するものであり、酸化スズに起因する回折角2θ=26.7°付近の回折強度は185counts、立方晶五酸化アンチモンに起因する回折角2θ=14.8°付近の回折強度は312countsであった(図5)。また、得られた無機イオン吸着剤8の比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<参考例>
標準試料として、立方晶五酸化アンチモン(Sb25・2H2O、東亞合成社製商品名「IXE−300」)のXRD測定を行ったところ、得られたピークは立方晶五酸化アンチモンのものであり、立方晶五酸化アンチモンに起因する回折角2θ=14.8°付近の回折強度は3600countsであった(図6)。また、この試料の比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<比較例1>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液52.10gを入れ、撹拌しながら五塩化アンチモン44.85g(Sn/Sbモル比=0.67)をゆっくりと投入し、混合した。この水溶液を70℃の温水756g(SnとSbの合計モル数に対し、水量は170倍モル)に添加したところ、沈殿が生じた。その後、30分撹拌し、このスラリー70mL程度を100mLのテフロン(登録商標)製圧力容器に分けて移し、120℃で20時間熟成した。熟成後、冷却し、ろ過により母液を除去した。次いで、残さをイオン交換水で洗浄した後(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.75Sb25・1.0H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤Aを得た。
この無機イオン吸着剤AのXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものと立方晶五酸化アンチモンが混在するものであり、酸化スズに起因する回折角2θ=26.7°付近の回折強度は125counts、立方晶五酸化アンチモンに起因する回折角2θ=14.8°付近の回折強度は1750countsであった(図7)。また、得られた無機イオン吸着剤Aの比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<比較例2>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液52.10gを入れ、撹拌しながら五塩化アンチモン44.85g(Sn/Sbモル比=0.67)をゆっくりと投入し、混合した。この水溶液を70℃の温水378g(SnとSbの合計モル数に対し、水量は85倍モル)に添加したところ、沈殿が生じた。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.75Sb25・1.0H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤Bを得た。
この無機イオン吸着剤BのXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものと立方晶五酸化アンチモンが混在するものであり、酸化スズに起因する回折角2θ=26.7°付近の回折強度は60counts、立方晶五酸化アンチモンに起因する回折角14.8°付近の回折強度は1800countsであった。また、得られた無機イオン吸着剤Bの比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<比較例3>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液52.10gを入れ、撹拌しながら五塩化アンチモン44.85g(Sn/Sbモル比=0.67)をゆっくりと投入し、混合した。この水溶液を70℃の温水378g(SnとSbの合計モル数に対し、水量は85倍モル)に添加したところ、沈殿が生じた。その後、30分撹拌し、このスラリー70mL程度を100mLのテフロン(登録商標)製圧力容器に分けて移し、120℃で20時間熟成した。熟成後、冷却し、ろ過により母液を除去した。次いで、残さをイオン交換水で洗浄した後(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.75Sb25・1.0H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤Cを得た。
この無機イオン吸着剤CのXRD)測定を行ったところ、得られたピークは立方晶五酸化アンチモンのものであり、立方晶五酸化アンチモンに起因する回折角2θ=14.8°付近の回折強度は2200countsであった(図8)。また、得られた無機イオン吸着剤Cの比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<比較例4>
200mlビーカーに無水四塩化スズ52.0gを入れ、撹拌しながら純水7.8gをゆっくりと添加して溶解させた。更に撹拌しながら五塩化アンチモン17.94g(Sn/Sbモル比=3.3)をゆっくりと投入した。この水溶液を70℃の温水1691g(SnとSbの合計モル数に対し、水量は360倍モル)に添加したところ、沈殿が生じた。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.15Sb25・0.2H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤Dを得た。
この無機イオン吸着剤DのXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものであり、回折角2θ=26.7°付近の回折強度は160countsであった。また、得られた無機イオン吸着剤Dの比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<比較例5>
200mlビーカーに無水四塩化スズ52.0gを入れ、撹拌しながら純水を5.2gゆっくりと添加して溶解させた。さらに撹拌しながら五塩化アンチモン11.96g(Sn/Sbモル比=5)をゆっくりと投入し混合した。この水溶液を70℃の温水1691g(SnとSbの合計モル数に対し、水量は390倍モル)に添加したところ、沈殿が生じた。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.1Sb25・0.1H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤Eを得た。
この無機イオン吸着剤EのXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものであり、回折角2θ=26.7°付近の回折強度は120countsであった。また、得られた無機イオン吸着剤Eの比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<比較例6>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液15.23gを入れ、純水14.91gを添加し、更に撹拌しながら五塩化アンチモン51.81g(Sn/Sbモル比=0.17)をゆっくりと投入し、混合した。この水溶液を70℃の温水796g(SnとSbの合計モル数に対し、水量は200倍モル)に添加したところ、沈殿が生じた。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・3.1Sb25・1.6H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤Fを得た。
この無機イオン吸着剤FのXRD測定を行ったところ、得られたピークは正方晶酸化スズのものと立方晶五酸化アンチモンが混在するものであり、酸化スズに起因する回折角2θ=26.7°付近の回折強度は110counts、立方晶五酸化アンチモンに起因する回折角2θ=14.8°付近の回折強度は1600countsであった。また、得られた無機イオン吸着剤Fの比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<比較例7>
36%塩酸608gに純水を加え1Lとし、6N塩酸1Lを調製した。また、無水塩化スズ6.51gに6N塩酸を加え250mLとし、0.1M塩化スズ液を調製した。続いて五塩化アンチモン7.48gに6N塩酸を加え250mLとし、0.1M塩化アンチモン溶液を調製した。調製した塩化スズ溶液と塩化アンチモン溶液を1L三口フラスコに入れ、撹拌混合した。更に、撹拌しながら、25%アンモニア水をpH2になるまでゆっくりと滴下した(約220mLであった)。滴下終了後30分撹拌して、pHを確認したところ、pHは2.1で安定していた。合成されたものを、ろ過により母液を除去した。次いで、残さをイオン交換水で洗浄した後、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・0.25Sb25・0.3H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤Gを得た。
この無機イオン吸着剤GのXRD測定を行ったところ、得られたピークはなく、非晶質の化合物と推定された(図9)。また、得られた無機イオン吸着剤Gの比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<比較例8>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液10.0gを入れ、純水24.0gを添加し、更に撹拌しながら五塩化アンチモン56.0g(Sn/Sbモル比=0.1)をゆっくりと投入し、混合した。この水溶液を70℃の温水1350g(SnとSbの合計モル数に対し、水量は440倍モル)に添加したところ、沈殿が生じた。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・4.9Sb25・4.5H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤Hを得た。
この無機イオン吸着剤HのXRD測定を行ったところ、得られたピークは立方晶五酸化アンチモンのものであり、立方晶五酸化アンチモンに起因する回折角2θ=14.8°付近の回折 強度は2900countsであった。また、得られた無機イオン吸着剤Hの比表面積等を実施例1と同様に評価した。
<比較例9>
200mlビーカーに四塩化スズの50質量%水溶液7.0gを入れ、純水24.0gを添加し、更にさらに撹拌しながら五塩化アンチモン56.0g(Sn/Sbモル比=0.07)をゆっくりと投入し、混合した。この水溶液を70℃の温水1350g(SnとSbの合計モル数に対し、水量は450倍モル)に添加したところ、沈殿が生じた。次に、この混合物を70℃で20時間撹拌しながら熟成した後、冷却し、ろ過により母液を除去した。その後、残さをイオン交換水で洗浄し(ろ液の電気伝導度:150μS/cm)、乾燥機を用いて110℃で24時間乾燥させた。更に、粉砕機(フリッチェジャパン社製「ロータースピードミル」、12,000rpm、振い目80μm)を用いて粉砕することにより、SnO2・7.0Sb25・5.8H2Oの組成式で表される無機イオン吸着剤Iを得た。
この無機イオン吸着剤IのXRD測定を行ったところ、得られたピークは立方晶五酸化アンチモンのものであり、立方晶五酸化アンチモンに起因する回折角2θ=14.8°付近の回折 強度は3200countsであった。また、得られた無機イオン吸着剤Iの比表面積等を実施例1と同様に評価した。
Figure 0006206488
Figure 0006206488
Figure 0006206488
Figure 0006206488
表3〜5から明らかなように、本発明の無機イオン吸着剤は、Co、Mn、Cr及びNiなどの重金属イオンの捕捉率が90%以上と高く、吸着性に優れている。
本発明は、耐熱性及び耐放射線性を有するとともに、特にCr、Mn、Co及びNiイオンなどの重金属イオンを吸着する特性に優れた吸着剤であり、例えば、メッキ工場、産業廃棄物処理施設などから生じる廃液処理に有用である。また、原子力発電所や核燃料再処理工場等の原子力施設より排出される廃液等の放射性核種含有物の処理にも有用である。

Claims (4)

  1. CuKα線を用いた粉末X線回折測定において、正方晶酸化スズの回折強度が、五酸化アンチモン(Sb25・2H2O)の回折強度に対して3%以上であり、かつ、立方晶五酸化アンチモンの回折強度が、五酸化アンチモン(Sb25・2H2O)の回折強度に対して40%以下であることを特徴とする下記一般式(1)で表される無機イオン吸着剤。
    SnO2・aSb25・nH2O (1)
    [式中、aは0.2 ≦a≦4を満たす数である。また、nは水和の数を示し、0又は正数である。]
  2. BET法で測定した比表面積が、100m2/g以上である請求項1に記載の無機イオン吸着剤。
  3. 四価のスズ塩及び五価のアンチモン塩を含む水溶液と、水とを混合して沈殿を生じさせる沈殿工程と、加熱により熟成する熟成工程とを備え、
    前記スズ塩のSnとアンチモン塩のSbのモル比(Sn/Sb)が、0.1〜5であり、かつ、前記沈殿工程において、SnとSbの合計モル数に対して、100倍モル以上の水を混合することを特徴とする請求項1又は2に記載の無機イオン吸着剤の製造方法。
  4. 上記熟成工程の温度が、50℃以上である請求項3に記載の無機イオン吸着剤の製造方法。
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