JP6206355B2 - 製鋼スラグの改質方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製鋼スラグの改質方法に関し、具体的には、改質材を使用することなく製鋼スラグを改質し、水和膨張を抑制する方法に関するものである。
鉄鋼業では高炉、予備処理プロセス(例:混銑車)、転炉、電気炉等からのスラグが副生される。これらの内、予備処理プロセス、転炉、電気炉から副生されるものを製鋼スラグという。製鋼工程では溶銑中に含まれる燐や珪素などを除去するため、副原料として多量の石灰が投入される。そのため、製鋼スラグ中には未溶解の石灰や冷却時に晶出した石灰が遊離CaO(フリーライムともいう、以下、「f−CaO」と記す)として残留している。
このf−CaOは水和反応によってCa(OH)2となり、約2倍程度に体積膨張する性質を有している。そのため、f−CaOを多量に含むスラグが水と接触するとf−CaOの水和によって膨張崩壊する。非特許文献1に記載されているように製鋼スラグの用途としては路盤材やコンクリート用細骨材などがあるが、これら用途においてスラグ中f−CaOの水和膨張により路盤の隆起やコンクリートに亀裂が生ずるという問題がある。
そこで、従来、膨張崩壊の原因である、製鋼スラグに含まれるf−CaOを低減するための処理が行われており、その方法として主に次の(1)〜(3)の方法が知られている。
(1)エージング処理:
エージング処理とは、スラグに含まれるf−CaOを水和反応によりCa(OH)2に変化させて安定化する方法であり、スラグをヤードに野積みして行う大気エージングと水蒸気を用いて前記反応を促進する蒸気エージングとがある。
(2)風砕:
風砕とは、溶融状態のスラグに高圧の空気を吹き付けて急冷することによりスラグを粒状にする処理である。溶融スラグを風砕して冷却固化させる際に、スラグ中のFeO等が空気で酸化されてFe23となり、これとf−CaOとが反応してダイカルシウムフェライト(2CaO・Fe23)を形成するため、f−CaOを低減できることが知られている。
(3)改質処理:
改質処理とは、非特許文献2に記載されているように溶融状態のスラグにSiO2やAl23を含む改質材を添加し、さらに酸素を吹込むことによって反応させる方法である。この方法によりf−CaOを水和膨張しない安定鉱物相に変化(改質)させることができる。
鐵鋼スラグ協会 「環境資材 鐵鋼スラグ」2010年8月発行、34〜35頁 「製鉄研究」第301号、1980年発行、59〜70頁
上記(1)のうち、大気エージングではスラグ中のf−CaOが安定化するまでに数ヶ月といった長い時間が必要となる。また、蒸気エージングでは大気エージングに比べて処理時間を短縮できるものの、大量の水蒸気を使用するため処理コストが増加するというデメリットがある。さらに、エージング処理は低温で行われるため、完全にf−CaOを無くすことが困難である。
上記(2)の風砕による処理を行った場合には、f−CaOを低減することができるものの、得られるスラグ粒子が球状になってしまう。そのため、得られる粒子の安息角(粒子を積み上げたときに崩れない斜面角度)が極めて小さく、保管や運搬に支障があり、利用が制限されるという問題があった。
上記(3)の改質処理では、f−CaOを十分に改質するために大量の改質材を添加する必要があり、その結果としてスラグの総量が増加してしまうという問題がある。例えば、SiO2を改質材として用いf−CaOを5%から0%に低減する場合、SiO2の添加によりスラグの重量は元の重量から2.7%以上増加する。また、改質材の添加による温度低下を補償し、スラグを溶融状態に保つための熱エネルギーが必要となるが、これをスラグ中のFeOや鉄が酸化する際の反応熱でまかなうため、吹込みガスとして純酸素ガスを用いなければならず、コストが増加することも問題であった。
本発明は、上記事情に鑑み、粒子形状に問題のある風砕処理によらない溶融スラグの改質処理であって、スラグの増加や温度低下の原因となる改質材を用いる必要がなく、また、純酸素以外の吹込みガスも利用可能な製鋼スラグの改質方法を提供することを目的とする。
上述の非特許文献2には、改質材を用いる改質処理の基準として、スラグの風化膨張性とよい相関を示すlime相(f−CaO)の量を近似するパラメータLを用いることが示されている。非特許文献2では、改質材を使用し、かつ改質後スラグのL値を−4以下とすることによって風化膨張を抑制し得る改質処理が達成できるとしている。
これに対し発明者らは、製鋼スラグの改質処理において改質材を使用することなしに改質を実現する方法について鋭意研究を行い、その結果、次の知見を得た。
非特許文献2のように改質材を使用する場合の改質反応として想定されているSiO2やAl23(これらは主に改質材から供給される)によるf−CaOの安定化とは異なり、改質材を使用しない改質処理では、酸素ガス含有気体の吹込みによって鉄分やFeOが酸化されて生成するFe23とf−CaOとの反応によって改質が進行する。
そして、所定組成の製鋼スラグにおいては、改質後のスラグのL値(後述する本発明における式(2)の値)が1以下の組成となるように改質すれば、前記反応に基づいて改質材を用いずとも製鋼スラグ中のf−CaOを十分に低減することが可能である。
以上の知見に基づき、改質前スラグと改質後スラグの組成を非特許文献2とは異なる観点で選択することに想到し、式(1)を導きだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
溶融状態の製鋼スラグに酸素ガス含有気体を吹込むことによって行う製鋼スラグの改質方法において、
改質材を使用せず、
前記製鋼スラグとして下記式(1)で表される値が1以下となるものを用い、
前記改質後のスラグについて下記式(2)で表される値を1以下とすることを特徴とする製鋼スラグの改質方法。

[T−CaO]−(1.87×[SiO2]+1.43×([T−Fe]−1.55)+1.10×[Al23]+1.18×[P25]) ・・・(1)
[T−CaO]−(1.87×[SiO2]+0.70×[Fe23]+1.10×[Al23]+1.18×[P25]) ・・・(2)
ここで、[ ]は該括弧内の化合物又は元素の含有率(質量%)であり、T−CaOは全CaO、T−Feは全Feである。
以上の構成を採ることにより、本発明では改質材を用いることなく製鋼スラグ中のf−CaOを低減することができる。
さらに、本発明では改質後のスラグのFeO含有率を2質量%以上とする。それにより、f−CaOと同様水和膨張の原因となるf−MgOが増加することを抑制し、改質スラグの水和膨張性を低くできる。
さらに、本発明では酸素ガス含有気体の吹込み量を酸素分換算で8〜26Nm3−O2/t−slagとすることが好ましい。それにより、スラグ中のFeOの酸化反応量を適切な範囲に制御することができる。
なお、「Nm3−O2」は0℃、1気圧の標準状態に換算した酸素ガスの体積(ノルマルm3)を、「t−slag]とは処理対象であるスラグの質量(トン)を、それぞれ意味する。
本発明では酸素ガス含有気体として酸素又は空気を使用することが好ましい。従来の改質処理と同様に酸素のみを使用することも可能であるが、空気のように酸素含有率が低い気体を使用することもできる。
また、溶融状態の製鋼スラグの温度を1500〜1650℃とすることが好ましい。これにより、改質反応を効果的に進めることができる。
本発明によれば、改質材を用いずに製鋼スラグ中のf−CaOを低減することが可能となるため、改質材を溶解するための熱源が不要であり、吹込みガスとして酸素ガスだけでなく空気を使用することもできる。また、改質材によるスラグ総量の増加もない。
さらに、スラグを溶融状態に保って行う改質であるため、風砕時に改質を行う場合のように、得られるスラグ粒子の形状に制限を受けることもない。
改質装置の概略図である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。
本発明では溶融スラグに酸素ガス含有気体を吹込むことによって改質を行う。ここで、溶融スラグとは液相が70%以上あるスラグのことである。
改質に使用される装置の例を図1に示す。図中1はスラグ鍋であり、この内部に製鋼スラグを入れ、加熱して溶融状態に維持する。そして、該溶融スラグ2に上方より浸漬した吹込み用ランス3を通じて酸素ガス含有気体4を吹込む。所定量の気体をスラグ内に吹込んだ後、吹込み用ランス3を上方から引き抜き、該スラグ2の入ったスラグ鍋1を傾転して改質された溶融スラグ2を排出する。排出されたスラグは大気中で冷却され、通常のスラグと同様の方法で破砕と飾分けすることによりサイズを選別される。
この際、改質前のスラグとして前記式(1)で表される値が1以下となるものを用い、改質後のスラグの前記式(2)で表される値が1以下となる処理を行うことによって、改質材を用いることなくf−CaOを低減することが可能となる。
本発明の方法における改質は、主に次の2つの反応からなる:(i)吹込まれた気体に含まれる酸素によりスラグ中のFeやFeOが酸化される反応、(ii)スラグ中に含まれるf−CaOが前記酸化反応によって生成したFe23と反応して2CaO・Fe23となることで安定化される反応。非特許文献2に記載されているような従来の改質方法ではSiO2やAl23を含む改質材とf−CaOを反応させてシリケートやアルミネートを生成することで安定化させているが、本発明の方法では改質材を用いる場合とは異なる機構によって改質を実現している。
前記式(1)は、改質後のf−CaOをほぼ0まで低減できるかを改質前のスラグより推定するものであり、式中のT−Fe以外の各係数はCaOを含む鉱物相の化学量論的組成に基づいて決定した。T−Feの係数については、スラグ中のFeのすべてが酸化されるわけではなく、おおよそ2%程度のFeOが残留することよりFeO:2%分に相当するT−Fe1.55%を差し引き、残りの−FeがFe23まで酸化されるという前提で決定した。
また、式(2)は非特許文献2におけるL値を求める式と同様のものであるが、上述のように本発明では非特許文献2における改質とは異なる反応を利用するため、改質後スラグの式(2)値が1以下であれば十分な改質効果が得られる。
前記式(1)の値が1以下となるスラグを用い改質し、(2)の値が1以下という条件を満たさない場合、酸素ガス含有気体を吹込んでスラグ中のFeOをすべてFe23に酸化してもf−CaOを十分に低減することはできない。
製鋼スラグとしては、転炉系スラグや電気炉系スラグがあるが、本発明では前記式(1)に関する条件を満たすものであればいずれも使用できる。
本発明では改質後のスラグのFeO含有率を2質量%以上とすることが好ましい。本発明の改質処理反応は酸素ガス含有気体の吹込みによって進行するが、スラグ中に含まれるFeOの酸化が過度に進行すると、それまでFeOと固溶体を形成して安定化されていたMgOが遊離してf−MgOとなる。このf−MgOはf−CaOと同様に水和膨張性を有している。したがって、改質処理によってf−CaOを低減することに加え、改質後スラグにおけるFeO含有率を2質量%以上に制御することによってf−MgOの生成を抑制すれば、改質スラグの水和膨張性をさらに低くすることができる。
本発明における酸素ガス含有気体としては、純酸素ガスや、酸素ガスと他のガスの混合気体を使用することができる。酸素ガス含有気体の吹込み速度はスラグ1t当り1〜10Nm3/minとすることが好ましい。ガス吹込み速度が上記範囲よりも遅いとランスが閉塞するおそれがあり、一方、上記範囲より速いとスラグの飛散が多くなるからである。また、ガス吹込み時間は、スラグ鍋内の撹拌と温度低下を考慮し、8〜40minとすることが好ましい。
吹込み酸素量(吹込む気体中に含まれる酸素ガスの量)は、f−CaO低減という点では8Nm3−O2/t−slag以上とすることが好ましく、一方、処理時間短縮や気体の吹込み量低減の観点では26Nm3−O2/t−slag以下が好ましい。また、改質後スラグの膨張性の点からは、10〜16Nm3−O2/t−slagとすることがより好ましい。
本発明では改質材を使用しないため、改質材の投入による温度低下を吹込んだ純酸素ガスの反応熱で補っていた従来技術とは異なり、吹込む気体として純酸素以外の酸素含有気体を使用することができる。
吹込む気体の酸素濃度については、吹込み量が多いほどスラグ内が撹拌されるため、低濃度のガスを多量に吹込むことが好ましいが、処理時間短縮や吹込み量低減の観点では高濃度とすることが好ましい。そのため、バランスの面から酸素濃度として好ましい範囲は20〜70体積%である。そのなかでも、コストの面から酸素ガス含有気体として空気を用いることがより好ましい。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。
図1に示した装置を使用して製鋼スラグの改質処理を実施した。溶融スラグ2中に浸漬した吹込み用ランス3から酸素ガス含有気体4を吹込むことにより改質を行い、改質材は使用しなかった。ガス吹込み終了後は、スラグ鍋1を傾転して排滓し、溶融スラグ2を大気中で冷却した。
冷却終了後、得られた改質スラグの水和膨張性を水浸膨張試験(JIS A 5015)によって評価した。膨張量が0.2%以下であったものを優、1.5%以下であったものを良とし、1.5%より膨張したものを不可とした。
改質対象の製鋼スラグとしては、表1に示す組成の転炉スラグを使用した。改質条件と、改質後のスラグに残存するf−CaO量および水和膨張性の評価結果を表2に示す。また、改質後のスラグの組成についても表3に示す。表1および3に示した改質前後のスラグ組成は、蛍光X線分装置により測定した。
Figure 0006206355
Figure 0006206355
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表2に示したように、改質前のスラグについて式(1)の値が1以下、改質後のスラグについて式(2)の値が1以下という本発明の条件を満たす発明例1〜13においては、改質後スラグの水和膨張性の評価が優または良であったのに対し、上記条件を満たさない比較例1〜6の膨張性はすべて不可であった。
例えば、発明例1〜5において使用したスラグ(スラグNo.1)の改質前におけるf−CaO含有量は5質量%であったが、改質後のスラグにおけるf−CaO含有量は0.2〜0.6質量%にまで低減されており、その結果、水和膨張性が改善されたものといえる。
それに対して、同じ改質前スラグを使用した場合であっても、本発明の条件を満たさない比較例1〜3においては、改質後のスラグに残留しているf−CaO含有量が2.6〜3.7質量%と発明例1〜5に比べて高く、その結果、膨張性を十分に低減することができていない。
上記発明例1〜5および比較例1〜3の改質後スラグの組成(表3)をさらに詳細にみると、発明例1〜5ではFe23含有量がいずれも23質量%以上であるのに対して、比較例1〜3のFe23含有量は20質量%以下と低く、反対にFeOの含有量は発明例1〜5の方が比較例1〜3よりも低くなっている。この結果は、発明例においては酸素を含む気体によりスラグ中の鉄分が十分に酸化されていることを表しており、酸化によって生成したFe23とf−CaOとが反応して2CaO・Fe23を形成する結果、f−CaOが減少して水和膨張性が改善される。
実際、発明例1〜5の改質後スラグにおけるf−CaOは0.2〜0.6質量%と極めて低いのに対し、比較例1〜3では2.6〜3.7質量%と高い値を示している。
また、組成の異なるスラグ(スラグNo.2)を用いた場合においても同様に、本発明の条件を満たす場合には膨張性が良好であった(発明例6〜13)。
・ 吹込み酸素量、スラグ温度について
また、発明例1〜7の結果から分かるように、改質の効果はガス吹込み量や吹込みガスの酸素濃度によらず、吹込んだ気体に含まれる酸素量が8〜26Nm3−O2/t−slagの範囲であれば、優れた膨張性改善効果が達成できた。したがって、本発明の改質方法では、純酸素に限らず、空気を始めとする様々な酸素濃度の気体を使用できることが分かる。
また、改質時の溶融スラグ温度が1500〜1650℃である場合には、前記温度範囲外であった場合(発明例11、12)に比べて改質後のf−CaO含有量をより低くすることができた。
・ 改質後スラグのFeO含有量について
発明例8〜10については、表3に示した結果より、改質後スラグにおけるFeO含有率が2質量%未満と、極めて低くなっていることがわかる。先にも述べたように、スラグ中に含まれるFeOの酸化が過度に進行すると、CaOと同様に水和膨張性を有するMgOがFeOと固溶体を形成できなくなってf−MgOとして遊離される。その結果、発明例8〜10では改質後スラグ中におけるf−CaO含有量が0.2〜0.3質量%と低いにもかかわらず、膨張性の評価が良にとどまったものと考えられる。
また、発明例8〜10の改質後スラグにおいては、表2の備考欄に記したように遅れ膨張が観察されたが、改質後のFeO含有量が2質量%以上である他の発明例において遅れ膨張は生じなかった。遅れ膨張とは、スラグを長期間湿潤環境に保持した際に、緩慢になっていた水和膨張の速度が、ある時点から急激に増大して大きな膨張を起こす現象をいい、例えば、水浸膨張試験を規定の10日で終了せずに継続した場合などに観察される。この遅れ膨張は、スラグ粒子に存在するクラックが、当初発生する水和膨張によって徐々に拡大、進展し、スラグ粒子内部に残留している未水和の膨張性物質に到達した時点で急激に膨張を起こすことに起因する。製鋼スラグは、一般的に道路用資材やコンクリート用資材などとして使用されるため、長期間使用した場合にも膨張が起きないことが望ましく、したがって、遅れ膨張が生じないスラグを用いることが好ましい。
この結果より、改質後スラグにおけるFeO含有率を2質量%以上とすることにより、上述のようなMgOの遊離による膨張性の悪化や、遅れ膨張の発生を防止し、優れた特性を有する改質スラグを得られることが分かる。
以上のように、本発明の方法によればスラグの増加や温度低下の原因となる改質材を用いることなく製鋼スラグの改質を行うことができ、純酸素以外の吹込みガスも利用可能となる。
1:スラグ鍋
2:溶融スラグ
3:吹込み用ランス
4:酸素ガス含有気体

Claims (5)

  1. 溶融状態の製鋼スラグに酸素ガス含有気体を吹込むことによって行う製鋼スラグの改質方法において、
    改質材を使用せず、
    改質前の前記製鋼スラグとして、下記式(1)を用いて当該式(1)の値が1以下となる製鋼スラグを選択し、
    前記改質後のスラグについて下記式(2)で表される値を1以下とすることを特徴とする製鋼スラグの改質方法。

    [T−CaO]−(1.87×[SiO2]+1.43×([T−Fe]−1.55)+1.10×[Al23]+1.18×[P25]) ・・・(1)
    [T−CaO]−(1.87×[SiO2]+0.70×[Fe23]+1.10×[Al23]+1.18×[P25]) ・・・(2)
    ここで、[ ]は該括弧内の化合物又は元素の含有率(質量%)であり、T−CaOは全CaO、T−Feは全Feである
  2. 前記改質後のスラグのFeO含有率が2質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の製鋼スラグの改質方法。
  3. 前記酸素ガス含有気体の吹込み量が酸素分換算で8〜26Nm3−O2/t−slagであることを特徴とする請求項1または2記載の製鋼スラグの改質方法。
  4. 前記酸素ガス含有気体が酸素又は空気であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製鋼スラグの改質方法。
  5. 前記溶融状態の製鋼スラグの温度が1500〜1650℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製鋼スラグの改質方法。
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