JP6204653B2 - 表面処理粉体及びその粉体を配合した化粧料 - Google Patents

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本発明は、ファンデーションなどのメイクアップ化粧料、サンスクリーン化粧料又は乳液などの化粧料に配合して好適な表面処理粉体、及びその粉体を配合した化粧料に関するものである。
従来、ファンデーション、アイシャドー、アイブロー、ほほ紅などのメイクアップ化粧料や、ボディーパウダー、ベビーパウダーなどのボディー化粧料や、乳液、クリームなどの基礎化粧料に配合される粉体は、肌への付着性や、粉体の感触を良くするなどの目的で、顔料粉体の表面に各種の化合物を被覆させた表面処理粉体が用いられている。
顔料粉体の表面処理方法としては多くの方法が知られており、例えば、ハイドロジェンメチルポリシロキサンや、ジメチルポリシロキサンなどのシリコン化合物による表面処理(特許文献1)、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩やフッ素変性シランなどのフッ素化合物による表面処理(特許文献2)や、pH応答性を有するシランカップリング処理(特許文献3)などがある。
特開昭60−163973号公報 特開2001−2524号公報 特開2007−197399号公報
特許文献1に記載のシリコン化合物で処理した粉体は、撥水性が付与されることにより、また特許文献2に記載のフッ素化合物で処理した粉体は、撥水撥油性が付与されることにより、化粧崩れを防止し、化粧持続性を向上させるという点で、これらの処理は大変優れている。しかしながら、これらの粉体では、感触がパサパサした感じでしっとり感に乏しく、生体への親和性が悪いことにより肌への付着性が悪いなどの問題や、撥水効果又は撥水撥油効果が優れているが故に、化粧料を洗い流す際、十分に洗浄されず、化粧料が肌に残ってしまうという問題があった。また、特許文献3に記載のものでは、化粧を洗い流す洗浄性には優れるが、肌への付着性や感触の点で満足のいくものではなかった。
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、化粧料に配合した場合に、洗い流す際の洗浄性に優れるとともに、肌へ塗布した際の感触や肌への付着性に優れた表面処理粉体を提供し、併せてその粉体を配合した化粧料を提供することを目的とするものである。
前記課題を達成するために、本発明者らは鋭意研究努力を重ねた結果、顔料粉体を下記一般式(1)で示されるアニオン性有機化合物(ただし、アンモニウムポリアクリレートおよびポリカルボン酸を除く。)における、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマートリエタノールアミン、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマートリイソプロパノールアミン、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー2−アミノ−2−メチルプロパノールおよびアクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールの中から選ばれるもので表面処理し、この表面処理に用いられるアニオン性有機化合物の質量比を顔料粉体に対して0.1〜50質量%とすることにより、中性領域のpHにおいて、ゼータ電位の値が−10mV〜−50mVの範囲を示す表面処理粉体が得られ、その表面処理粉体を配合した化粧料は、肌へ塗布した時の感触や肌への付着性が良く、洗浄性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明による表面処理粉体は、
顔料粉体を、下記一般式(1)で示されるアニオン性有機化合物(ただし、アンモニウムポリアクリレートおよびポリカルボン酸を除く。)における、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマートリエタノールアミン、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマートリイソプロパノールアミン、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー2−アミノ−2−メチルプロパノールおよびアクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールの中から選ばれるもので表面処理してなり、この表面処理に用いられる前記アニオン性有機化合物の質量比を前記顔料粉体に対して0.1〜50質量%とし、中性領域のpHでのゼータ電位の値が−10mV〜−50mVの範囲であることを特徴とするものである(第1発明)。
Figure 0006204653

(式中、R、R、R、Rは水素又は飽和炭化水素基であり、Xはアルカリ金属又はアミンであり、k、m、nは1以上の整数で、k+m+n<1,000,000である。)
また、第発明による化粧料は、第1発明表面処理粉体を配合したことを特徴とするものである。
本発明によれば、上記一般式(1)で示されるアニオン性有機化合物(ただし、アンモニウムポリアクリレートおよびポリカルボン酸を除く。)における、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマートリエタノールアミン、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマートリイソプロパノールアミン、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー2−アミノ−2−メチルプロパノールおよびアクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールの中から選ばれるもので表面処理され、この表面処理に用いられるアニオン性有機化合物の質量比が顔料粉体に対して0.1〜50質量%とされて、中性領域のpHでのゼータ電位の値が−10mV〜−50mVの範囲とされた表面処理粉体が用いられているので、この表面処理粉体を化粧料に配合することにより、その化粧料を洗い流す時の洗浄性が良く、肌へ塗布した時の感触や肌への付着性に優れた化粧料を得ることができる。
次に、本発明による表面処理粉体及びその粉体を配合した化粧料の具体的な実施の形態について説明する。
本発明において、顔料粉体に表面処理される上記一般式(1)で示されるアニオン性有機化合物としては、特に限定されないが、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマートリエタノールアミン、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマートリイソプロパノールアミン、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー2−アミノ−2−メチルプロパノール、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールであるのがより好ましい。
本発明のアニオン性有機化合物で表面処理した顔料粉体には、シリコン類、アルキルシラン類、アルキルチタネート類、フッ素化合物類、アミノ酸化合物類、脂肪酸化合物類などの化合物を組み合わせて表面処理しても構わない。また、上記の化合物以外にも、従来公知の各種の表面処理を施すことができる。なお、これらの処理は複数組み合わせて用いることも可能である。
本発明により表面処理される顔料粉体としては、化粧料用のものであれば、どれでも対象とすることができ、例えば、酸化チタン、ベンガラ、黄酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウム、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、紺青、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、タルク、カオリン、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、パール顔料、オキシ塩化ビスマスなどの無機顔料や、赤色3号、赤色10号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色205号、黄色401号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号などの有機色素や、クロロフィルやβ−カロチンなどの天然色素や、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの金属石鹸や、ナイロンパウダー、セルロースパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、ポリスチレンパウダー、アクリルパウダー、シリコンパウダー等の有機粉体が挙げられる。
次に、本発明の表面処理粉体の製造方法について説明する。アニオン性有機化合物を表面処理する方法としては、表面処理される顔料粉体と水をあらかじめ分散させた後に、表面処理する化合物を液滴下し、その後、加熱や、pH調整などを行った後、乾燥及び粉砕することにより表面処理する方法や、表面処理される顔料粉体を適当なミキサー中で撹拌し、表面処理する化合物をエタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール類、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系有機溶剤、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の極性有機溶剤などに溶解させておき、この溶液を液滴下又はスプレー噴霧にて加え撹拌した後、有機溶剤を完全に蒸発除去し、その後、粉体を粉砕した後、80〜200℃に加熱熟成させることによって、表面処理を行う方法が一般的である。
また、混合分散方法としては、溶液の濃度や粘度などに応じて適当な方法を選択することができる。好適な例としては、撹拌羽根を有した反応槽や、ディスパー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー、ニーダー、V型混合機、ロールミル、ビーズミル、2軸混練機等の混合機による方法や、水溶液と顔料を加熱空気中に噴霧して水分を一気に除去するスプレードライの方法などを選択することができる。また、粉砕を行う場合においては、ハンマーミル、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等の通常の粉砕機を用いることができる。これらいずれの粉砕機によっても同等の品質のものが得られるため、特に限定されるものではない。
このようにして得られた表面処理粉体において、中性領域のpHのゼータ電位の値は、−1mV〜−60mVであるのが好ましく、さらに好ましくは−10mV〜−60mVである。
また、粉体の表面処理に用いられる化合物である成分の質量比は、処理される顔料に対して0.1〜50質量%とするのが好ましい。前記質量比が0.1質量%未満であると肌への均一な付着性が充分でなく、50質量%を越えると感触が非常に悪くなり、化粧料としては適さない。
次に、本発明に係る化粧料について説明する。本発明の化粧料は、上述したアニオン性有機化合物を表面処理した粉体を配合することによって、肌へ塗布する時の感触が良く、使用感が良い。化粧料の剤型としては、乳液、化粧水等のスキンケア化粧料、ファンデーション、口紅等のメイクアップ化粧料、頭髪化粧料等に用いることができる。配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜70質量%である。
さらに、本発明の化粧料には通常化粧料に用いられる成分、例えば、粉体、界面活性剤、油剤、ゲル化剤、高分子、美容成分、保湿剤、色素、防腐剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
本発明の化粧料の形態としては、パウダー状、乳液状、クリーム状、スティック状、固型状、スプレー、多層分離型などいずれの剤型を用いても構わない。
次に、本発明による表面処理粉体及びその粉体を配合した化粧料の実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ヘンシェルミキサーに酸化チタン1000質量部を入れ、続いてアニオン性有機化合物であるアクリル樹脂アルカノールアミン(商品名:アニセットNF−1000、大阪有機化学工業 (株)製)51質量部をイソプロピルアルコール125質量部に溶解させた溶液を滴下混合し、酸化チタンとよく混合した。その後、ヘンシェルミキサー内を加熱及び減圧し、イソプロピルアルコールを除去した。粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、粉砕して加熱処理を行い、アニオン性有機化合物が2質量%処理された酸化チタンを得た。同様の工程にて、シリカ、セリサイト、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄をそれぞれ同様の表面処理を施し、それぞれのサンプルを得た。
ここで、本実施例に係るアニオン性有機化合物が表面処理された粉体について、中性領域のゼータ電位の測定評価を行った。表1に、未処理品酸化チタン及び実施例1のアニオン性有機化合物処理品酸化チタン並びに未処理品シリカ及びアニオン性有機化合物処理品シリカのゼータ電位の測定結果が示されている。
Figure 0006204653
表1の結果より、ゼータ電位の値は、未処理品の粉体のゼータ電位の値が正の値、負の値に関係なく、アニオン性有機化合物の表面処理を行うことにより、中性領域のゼータ電位の値は、負の値が大きくなっていることがわかる。
更に、未処理品酸化チタン及び実施例1のアニオン性有機化合物処理品酸化チタン並びにシリコン処理品酸化チタンについて、pH=7およびpH=10.5に水を調整し、その水に粉体を加え撹拌させた時の状態が表2に示されている。
Figure 0006204653
未処理品酸化チタンはpH=7及びpH=10.5のいずれにも水に馴染み、一方、シリコン処理品酸化チタンは、pH=7及びpH=10.5のいずれにも撥水した。しかしながら、アニオン性有機化合物処理品酸化チタンは、pH=7では撥水するものの、pH=10.5では、水に馴染むこととなり、pH応答性の特徴を有していた。
(実施例2)
パウダーファンデーションの製造
表3の処方と下記製造方法に従いパウダーファンデーションを製造した。なお、表中の単位は質量%である。
Figure 0006204653
注1:KSP−100(信越化学工業社製)
注2:CELLULOBEADS D−10(大東化成工業社製)
注3:KSG−16(信越化学工業社製)
製造方法:
成分Aを、ミキサーを用いて良く混合しながら、均一に加熱溶解した成分Bを除々に加えてさらに混合した後、粉砕し、メッシュを通した後、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
(比較例1)
実施例2のアニオン性有機化合物処理粉体の代わりに、シリコン処理粉体を用いた他は全て実施例2と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
実施例2及び比較例1で作製した各化粧料について、女性パネラー10名を使用して、使用感に関する官能評価試験を実施した。試験はアンケート形式で実施し、各項目に0点から5点の間の点数をつけ、0点は評価が悪い、5点は評価が優れるとして数値化し、結果を全パネラーの平均点として表した。従って、点数が高い程評価が優れていることを示す。なお、試験は乳液状の化粧下地を使用してから化粧料を塗布する形式で実施した。その評価結果が表4に示されている。
Figure 0006204653
表4の結果より、実施例2のパウダーファンデーションは、アニオン性有機化合物処理粉体を配合していることから、塗布した時の使用感、肌への付着性が良好であり、また、撥水性の特徴を有していることから化粧持続性も良く、更に、pH応答性の特徴を有していることから、化粧料を洗い流す時の洗浄性において優れていた。これに対して、比較例1では、シリコン処理粉体を配合しているため、化粧持続性には優れるものの、塗布した時の使用感、肌への付着性、洗浄性において劣るという結果になった。
本発明の表面処理粉体を配合した化粧料は、その化粧料を洗い流す時の洗浄性が良く、しかも肌へ塗布した時の感触や肌への付着性に優れていることから、メイクアップ化粧料、サンスクリーン化粧料又は乳液などの化粧料に用いて好適であり、産業上の利用効果が大である。

Claims (2)

  1. 顔料粉体を、下記一般式(1)で示されるアニオン性有機化合物(ただし、アンモニウムポリアクリレートおよびポリカルボン酸を除く。)における、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマートリエタノールアミン、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマートリイソプロパノールアミン、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー2−アミノ−2−メチルプロパノールおよびアクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールの中から選ばれるもので表面処理してなり、この表面処理に用いられる前記アニオン性有機化合物の質量比を前記顔料粉体に対して0.1〜50質量%とし、中性領域のpHでのゼータ電位の値が−10mV〜−50mVの範囲であることを特徴とする表面処理粉体。
    Figure 0006204653

    (式中、R、R、R、Rは水素又は飽和炭化水素基であり、Xはアルカリ金属又はアミンであり、k、m、nは1以上の整数で、k+m+n<1,000,000である。)
  2. 請求項1に記載の表面処理粉体を配合したことを特徴とする化粧料。
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