JP2014129235A - 板状粉体及びそれを含有する化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体を製造するのに、環境に優しく、簡便で低コストな方法にて、粒子径の制御ができ、アスペクト比や形態の制御ができるようにして、疎水性が付与された板状粉体を提供し、これら板状粉体を配合することによって、使用感の優れた化粧料を提供する。
【解決手段】板面が多角形で、平均粒子径が1μm〜30μmの範囲であり、アスペクト比(平均一次粒子径/平均厚み)が2〜50の範囲にある板状ベーマイトを製造するに際して、0.05mol/Lから0.2mol/Lになるように水溶性アルミニウム化合物を水に溶解し、アルミニウムイオンとナトリウムイオンがモル比で1:2〜1:10の範囲内に入るように炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを加え、180℃から300℃での温度条件下で1時間〜30時間水熱反応を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、板状アルミナ系粉体に疎水性の化合物を表面被覆してなる板状粉体及びその板状粉体を含有する化粧料に関するものである。
近年、板状のアルミニウム系粉体が、例えばファンデーションやアイシャドウ、口紅などのメイクアップ化粧料において、肌への付着性や滑り感、カバー力などを付与するために、あるいはファンデーションなどのプレス成型性の調節のために用いられている。また、板状の粒子は、フィラーなどの工業用途としても使用され、剛性の付与や制振効果の付与、表面平滑性の付与などを目的として配合されている。
これら、化粧品やフィラーなどに用いられる板状の粒子としては、粒子の形状及び粒子径が均一であり、高いアスペクト比をもつ粒子が求められている。
しかしながら、現在用いられている板状の粒子は、粒子径の制御が困難であり、粒度分布に幅があるものがほとんどで、形態も不均一である。また、単分散した状態ではなく、板状粒子が複数枚重なり合った凝集体を形成しており、板状粒子の特性を十分に発揮できないという問題点がある。このため、粒子径や形態の制御ができ、アスペクト比の高い板状の粒子を提供することが求められている。
一方、板状のアルミニウム系粉体の製造方法については、従来より各種の方法が知られている。一般的には、焼成法で作製したアルミナをボールミルなどで粉砕して微粒子化する方法が知られている。しかし、この方法で作製された板状のアルミナは粒子形状及びサイズが不均一であるという問題点がある。
また、水熱合成法を利用した板状アルミナの製造方法(特許文献1)が知られているが、この方法では、製造されたアルミナ粒子の粒子径制御が難しく、特に板状粒子の厚みを薄肉化する制御が非常に困難である。
また、特許文献2に開示された板状アルミナ粒子の製造方法では、あらかじめ粒子の揃った水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物に結晶制御剤を加え、350℃以上での条件にて水熱合成する方法が提案されているが、あらかじめ粒子の揃った粒子を選択的に使用しなければならず、また、350℃の高温下での水熱反応が必要になるという問題点がある。
また、特許文献3にて開示された板状アルミナ粒子の製造方法では、一度水酸化アルミニウムを含む沈殿物を作製し、次いで、90℃、40時間反応、更にその沈殿物のpH調整を行った後、180℃、5時間で水熱反応を行い、また更に、600℃、1時間の加熱処理を行う方法が採られているため、操作が非常に困難であるという問題点がある。
さらに、特許文献4に開示された板状ベーマイト粒子の製造方法では、アルカリ金属化合物の存在下で水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を加え、水熱合成する方法が提案されているが、粒子の形状が制御できず、不均一な形状の板状ベーマイトになるという問題点がある。
一方、未処理の粉体をそのまま化粧料に配合した場合には、他の添加物との分散性が悪いことや、親水性の粉体であるために、汗や皮脂などによって化粧崩れし易いという問題点がある。
特公昭37−7750号公報 特開平6−316413号公報 特開2004−51390号公報 特開平6−263437号公報
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、板状アルミナ系粉体を製造するのに、環境に優しく、簡便で低コストな方法にて、粒子径の制御ができ、更にアスペクト比や形態の制御ができるようにして、この板状アルミナ系粉体をポリシロキサン、アルキルシラン化合物、アルキルチタネート化合物、フッ素化合物などの化合物で表面被覆することにより疎水性が付与された板状粉体を提供し、さらに、この板状粉体を配合することによって、使用感の優れた化粧料を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究した結果、板状ベーマイトの製造に際して、水溶性アルミニウム化合物と炭酸水素ナトリウムを用い、水熱反応を行うことにより粒子径が均一で、形態制御が可能なことを見出し、また、こうして得られた板状ベーマイトを400℃から1500℃にて熱処理することにより、α、β、γ−アルミナ単独の結晶構造、又は2種類以上の結晶構造を持つ板状アルミナ系粉体を得ることができることを見出した。
さらに、こうして得られた板状アルミナ系粉体にポリシロキサン、アルキルシラン化合物、アルキルチタネート化合物、フッ素化合物などの化合物で表面被覆することにより、疎水性を有する板状粉体を得ることができ、また、これらの板状粉体を化粧料に配合することによって、使用感の優れた化粧料を提供することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第1発明による板状粉体は、
板面が多角形で、平均粒子径が1μm〜30μmの範囲であり、アスペクト比(平均一次粒子径/平均厚み)が2〜50の範囲にある板状ベーマイトを400℃〜1500℃で焼成することにより、α、β、γ−アルミナ単独の結晶構造、又は2種類以上の結晶構造を持つ板状アルミナ系粉体の表面を、下記一般式(1)で示されるポリシロキサン、下記一般式(2)で示されるアルキルアルコキシシラン化合物、下記一般式(3)で示されるアルキルチタネート化合物、下記一般式(4)及び下記一般式(5)及び下記一般式(6)で示されるフッ素化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物で被覆処理したことを特徴とするものである。
(式中、mは1以上の整数であり、nは0以上の整数である。また、R〜Rは水素、アルキル基、アルコキシル基又はフェニル基であり、同一であっても良い。)
Si(OR ・・・・・(2)
(式中、R及びRは炭素数が1以上の飽和炭化水素基である。)
(RCOO)Ti(OR ・・・・・(3)
(式中、R及びRは炭素数が1以上の飽和炭化水素基である。また、a及びbはそれぞれ1〜3の整数であり、a+b=4の関係を有する。なお、ここで示されるアルキル基は直鎖状あるいは分岐状であって、単一鎖長のものであっても複合鎖長のものであっても良い。)
CF(CFCHCHSi(OR ・・・・・(4)
(式中、Rは炭素数が1以上の飽和炭化水素基であり、nは1以上の整数である。)
(式中、nは4以上の整数、mは1又は2であり、Mは1価の金属イオン、アンモニウム塩又はジエタノールアミン塩である。)
(式中、nは4以上の整数、Mは1価の金属イオン、アンモニウム塩又はジエタノールアミン塩である。)
第2発明による化粧料は、前記第1発明の板状粉体を配合してなることを特徴とするものである。
第1発明においては、0.05mol/Lから0.2mol/Lに調整したアルミニウム化合物溶液に、アルミニウムイオンとナトリウムイオンのモル比が1:2〜1:10になるように、直接炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを添加し、発泡が収まるまで攪拌し、その後、180℃〜300℃での温度条件下で1時間〜30時間反応させることにより、平均粒子径が10μm前後で、形態が制御された六角もしくは四角の多角形であり、アスペクト比が2〜50の板状ベーマイトを得ることができる。こうして得られた板状ベーマイトを400℃〜1500℃にて焼成することにより、α、β、γ−アルミナ単独の結晶構造、又は2種類以上の結晶構造を持つ板状アルミナ系粉体を得ることができる。
また、得られた板状アルミナ系粉体をポリシロキサン、アルキルシラン化合物、アルキルチタネート化合物、フッ素化合物などの疎水性を示す化合物で表面被覆し、この被覆粉体を化粧料に配合することにより、プレス成形性が良く、使用感の良い化粧料を得ることができる。
製造実施例1で得られた板状ベーマイトの走査型電子顕微鏡写真 製造実施例2で得られた板状ベーマイトの走査型電子顕微鏡写真
次に、本発明による板状粉体及びそれを含有する化粧料の具体的な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体の平均一次粒子径は10μm程度であり、平均の厚みは1μm程度である。また、板面の形状は反応の条件によって、六角形及び四角形に制御することができる。
本発明の板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察して、任意の20個の板状の板面の直径を計測し、その平均値を算出することによって測定することができる。厚みについても同様に測定することができる。
板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体のアスペクト比については、2〜50であるのが好ましい。より好ましくは5〜40である。
アスペクト比が前記下限値未満であれば、粒子は板状にならず、板状の粒子である特徴が得られない。他方、前記上限値を超えると得られる板状の粒子が大きくなり、粉砕などの工程により形状が破壊され、均一な形状を維持できない。
前記板状ベーマイトを製造するには、0.05mol/Lから0.2mol/Lになるように水溶性アルミニウム化合物を水に溶解し、そこに、アルミイオンに対してのナトリウムイオンのモル比が7になるように炭酸水素ナトリウムを直接投入する。その後、炭酸ガスによる発泡が収まるまで攪拌し、発泡が収まった後、180℃〜300℃、1時間〜30時間の条件にて反応させ、水洗、ろ過、乾燥、粉砕を行うことにより、板面が六角形及び四角形の板状ベーマイトを製造することができる。
前記水溶性アルミニウム化合物は、無機酸塩、低級脂肪酸塩、アルコキシド及びアルコキシ基の一部を他の官能基で置換された変性アルコキシドからなる群から選ばれた化合物である。前記無機酸塩としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、及び硝酸アルミニウムなどが挙げられ、また、低級脂肪酸塩の代表的なものとしては、酢酸塩が挙げられる。更に、前記アルコキシドとしては、例えば、Al(OCH、Al(OC、Al(OC−n)、Al(OC−i)、Al(OC、Al(OC−i)、Al(OC−sec)、Al(OC−tert)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。本発明の板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体の製造方法では、硝酸アルミニウムを用いた時が最も効率よく安定した板状のベーマイト及び板状アルミナ系粉体の製造ができる。
アルミニウムイオンに対するナトリウムイオンのモル比は、1:2〜1:10の範囲内になるように混合することが好ましいが、最も良い条件としては1:7である。
前記反応での、反応温度は180℃〜300℃で行うのが好ましいが、最も良い条件としては200℃〜250℃の範囲内である。200℃で反応を行った時には、板面が均一な六角形に制御された板状粉体となり、220℃で反応を行った時には、板面が均一な四角形に制御された板状粉体となる。前記反応での温度条件が180℃よりも低い場合には、均一な形状の板状粉体が得られず、繊維状や歪な形状をした板状の粒子が混在した形状となる。また、300℃より高い場合には、環境に負荷を与えたり、操作が困難になる。
また、反応時間については、1時間未満である場合には、形状が繊維状および板状の混合された状態になり、X線回折法により粒子の構造解析を行うと、ナトリウムなどを含んだアモルファスあるいはアルミン酸ナトリウム状態になる。
上記方法にて得られた板状ベーマイトを焼成し、板状アルミナ系粉体を得るための焼成条件としては、400℃〜1500℃の温度範囲で行うのが好ましい。更に好ましくは、1000℃〜1400℃の範囲である。焼成温度が400℃よりも低い場合には、アルミナへの転換が不十分であり、不均一な凹凸のある板状粉体となる。また1500℃よりも高い温度になると、高温での処理となり、環境への負荷が増大する。
次に、本発明に係る疎水性の板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体について説明する。
本発明において、板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体がファンデーションやサンスクリーン剤として利用される場合、皮膚に塗布したあと、耐水性が必要となるため、これら粉体に疎水性を付与する必要がある。粉体に疎水性を付与するには、ポリシロキサン、アルキルシラン化合物、アルキルチタネート化合物、フッ素化合物などの化合物で粉体の表面が被覆される。また、上記の化合物以外にも、従来公知の各種の表面処理を施すことができる。なお、これらの処理は複数組み合わせることも可能である。
具体的な表面被覆有機化合物としては、シリコン系化合物として、メチルハイドロジエンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、アクリルシリコン共重合体が挙げられ、アルキルシラン系として、n−オクチルトリエトキシシランが、アルキルチタネート系として、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートが、フッ素系として、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエトキシシランなどが挙げられる。
また、疎水性化合物を表面被覆する処理方法としては、被覆処理される顔料を適当なミキサー中で撹拌し、表面被覆する化合物を液滴下あるいはスプレー噴霧にて加えた後、一定時間高速強撹拌する。その後、撹拌を続けながら80〜200℃に加熱熟成させることによって、反応表面被覆処理を行う方法が一般的である。又は、表面被覆する化合物をエタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール類、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系有機溶剤、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の極性有機溶剤などに溶解させておき、この溶液に撹拌中に化粧料用顔料を添加撹拌した後、有機溶剤を完全に蒸発除去し、その後、80〜200℃に加熱熟成させることにより、反応表面被覆処理を行う方法等も挙げられる。
また、混合分散方法としては、溶液の濃度や粘度などに応じて適当な方法を選択することができる。好適な例としては、ディスパー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー、ニーダー、V型混合機、ロールミル、ビーズミル、2軸混練機等の混合機よる方法や、水溶液と顔料を加熱空気中に噴霧して水分を一気に除去するスプレードライの方法などを選択することができる。また、粉砕を行う場合においては、ハンマーミル、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等の通常の粉砕機を用いることができる。これらいずれの粉砕機によっても同等の品質のものが得られるため、特に限定されるものではない。
この場合、顔料の表面被覆処理に用いられる化合物である成分の質量比は、被覆処理される顔料に対して0.5〜30質量%である。前記質量比が0.5質量%未満であるとロングラスティング効果と肌への均一な付着性が充分でなく、30質量%を越えると感触が非常に油っぽく湿った感じとなり、化粧料としては適さない。
また、本発明の板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体を配合する化粧料の形態は特に限定されないが、ファンデーション、サンスクリーン、美容液、化粧水、口紅、美容クリーム、洗顔剤、香水、口内清涼剤、口臭予防剤、うがい剤、歯磨き、入浴剤、制汗剤、石鹸、シャンプー、リンス、ボディーソープ、ボディーローション、デオドラント剤、ヘアクリーム剤、色白剤、美肌剤、育毛剤などが挙げられる。
また、本発明の板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体が配合される化粧料においては、その粉体以外に、通常の化粧料に用いられる油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、キレート剤、中和剤、pH調整剤等の成分を同時に配合することができる。ここで、前記粉体としては、例えば、赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロンパウダー(テフロン;登録商標)、シリコンパウダー、セルロースパウダー、シリコンエラストマー等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、窒化ホウ素等の無機粉体、微粒子酸化チタン、微粒子酸化鉄、アルミナ処理微粒子酸化チタン、シリカ処理微粒子酸化チタン、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。これらの粉体の形状、大きさに特に制限はない。また、これらの粉体は従来公知の各種の表面処理が施されていてもいなくても構わない。表面処理の例としては、例えばアクリルシリコン処理、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、オクチルトリエトキシシラン処理、N−アシル化リジン処理、有機チタネート処理、シリカ処理、アルミナ処理、セルロース処理、パーフルオロポリエーテル処理、フッ素化シリコーンレジン処理など親水性、親油性、撥水性の各種の処理を用いることが可能である。前記油剤としては、例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ミリスチン酸ミリスチン、ラウリル酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ、ミンク油、カカオ油、ヤシ油、バーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー等が挙げられる。また、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコンゲル、アクリルシリコン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコンRTVゴム等のシリコン化合物、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フッ素化シリコーンレジン等のフッ素化合物が挙げられる。また、前記界面活性剤としては、例えばアニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤、べタイン型界面活性剤を用いることができる。前記溶媒としては、精製水、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、パーフルオロポリエーテル、代替フロン、揮発性シリコン等が挙げられる。
次に、本発明による板状粉体及びそれを含有する化粧料の具体的な実施例について説明する。なお、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。以下、板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体を調製する実施例を「製造実施例」と称し、この粉体を用いて化粧料を調製する実施例を単に「実施例」と称することとする。
(製造実施例1)
硝酸アルミニウム9水和物3.751gに水を加え、全量が100mlになるように溶解した。その溶液に、炭酸水素ナトリウム5.881gを添加した後、発泡が収まるまで攪拌させ、発泡が収まったのを確認した後、200℃の温度条件にて24時間静止させたまま反応を行い、水洗、ろ過、乾燥を行うことにより、板面が六角形の板状ベーマイトを得た。
製造実施例1で得られた、板状ベーマイトを走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した写真が図1(a)(b)に示されている。図1に示すように、得られた板状ベーマイトは、板面が六角形の板状粉体であった。任意の20個の板状ベーマイトを観察し、平均一次粒子径を測定した結果、11.2μmであり、厚みは0.95μmであった。よってアスペクト比は11.79であることがわかった。
(製造実施例2)
製造実施例1での反応温度を220℃にて行った他は、製造実施例1と同様に行い、板面が四角形の板状ベーマイトを得た。
製造実施例2で得られた、板状ベーマイトを走査型電子顕微鏡にて観察した写真が図2に示されている。図2に示すように、得られた板状ベーマイトは、板面が四角形の板状粉体であった。任意の20個の板状ベーマイトを観察し、平均一次粒子径を測定した結果、12.4μmであり、厚みは0.81μmであった。よってアスペクト比は15.31であることがわかった。
(製造実施例3)
製造実施例1にて得られた板状ベーマイトを1400℃での条件で熱処理を行い、板面が六角形の板状アルミナ系粉体を得た。
(製造実施例4)
製造実施例2にて得られた板状ベーマイトを用いて処理を行った他は、製造実施例3と同様に処理を行い、1400℃での条件で熱処理を行い、板面が四角形の板状アルミナ系粉体を得た。
(製造実施例5)
製造実施例1にて得られた板状ベーマイトに、メチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面被覆処理を施した。
ヘンシェルミキサーに製造実施例1で得られた板状ベーマイト1000質量部を入れ、続いてメチルハイドロジェンポリシロキサン20.4質量部をイソプロピルアルコール125質量部に溶解させた溶液を滴下混合し、板状ベーマイトと良く混合した。その後、ヘンシェルミキサー内を加熱及び減圧し、イソプロピルアルコールを除去した。処理された粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、粉砕して加熱処理を行い、シリコン化合物が2質量%処理された板面が六角形の板状ベーマイトを得た。
(製造実施例6)
製造実施例5にて処理される粉体を製造実施例2で得られた板状ベーマイトを用いて処理した他は全て製造実施例5と同様にして、シリコン化合物が2質量%被覆処理された板面が四角形の板状ベーマイトを得た。
(実施例1)
〔パウダーファンデーションの製造〕
表1の処方と下記製造方法に従いパウダーファンデーションを得た。なお、表中の配合量の単位は質量%である。
製造方法:
成分Aを、ミキサーを用いて良く混合しながら、均一に加熱溶解した成分Bを除々に加えてさらに混合した後、粉砕し、メッシュを通した後、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
(実施例2)
製造実施例5で製造されたシリコン処理板状ベーマイトの代わりに、製造実施例6にて製造されたシリコン処理板状ベーマイトを用いた他は全て実施例1と同様にして製品を得た。
(実施例3)
〔W/O型リキッドファンデーションの製造〕
表2の処方と下記製造方法に従いW/O型リキッドファンデーションを製造した。なお、表中の配合量の単位は質量%である。
製造方法:
成分Bを、ミキサーを用いて良く混合した。一方、成分Aを80℃に加温し、均一になるように良く混合した。ここに成分Bを攪拌下に除々に添加し、50℃まで徐冷した。次いで、成分Cを80℃に加温し、均一に溶解させた後、50℃まで徐冷した。成分Aに成分Cを攪拌下に加え、さらに良く攪拌し、室温まで冷却した。得られた溶液を容器に充填し、製品を得た。
(実施例4)
製造実施例5で製造されたシリコン処理板状ベーマイトの代わりに、製造実施例6で製造されたシリコン処理板状ベーマイトを用いた他は全て実施例2と同様にして製品を得た。
(比較例1)
製造実施例5で製造されたシリコン処理板状ベーマイトの代わりに、シリコン処理されたセリサイトを用いた他は全て実施例1と同様にして製品を得た。
(比較例2)
製造実施例5で製造されたシリコン処理板状ベーマイトの代わりに、シリコン処理されたセリサイトを用いた他は全て実施例2と同様にして製品を得た。
実施例1〜4及び比較例1,2で作製した各化粧料について、女性パネラー10名を使用して、使用感に関する官能評価試験を実施した。試験はアンケート形式で実施し、各項目に0点から5点の間の点数をつけ、0点は評価が悪い、5点は評価が優れるとして数値化し、結果を全パネラーの平均点として表した。従って、点数が高い程評価が優れていることを示す。この評価結果が表3に示されている。
表3の結果より、実施例1〜4共に、比較例1,2よりも、使用感、化粧持ち、肌の透明感全てにおいて優れる結果となった。
本発明によれば、平均粒子径が1〜30μmで、アスペクト比が2〜50の範囲の板状ベーマイト及び板状アルミナ系粉体を製造することが可能であり、また、その板状粉体に疎水性化合物を表面被覆した粉体を配合することにより、肌へ塗布した時の使用感、透明感、化粧持ちが優れた化粧料を提供することが可能であるので、ファンデーション、アイシャドウ、ほほ紅、口紅などのメイクアップ化粧料あるいはサンスクリーン化粧料に用いて好適であり、産業上の利用可能性が大である。

Claims (2)

  1. 板面が多角形で、平均粒子径が1μm〜30μmの範囲であり、アスペクト比(平均一次粒子径/平均厚み)が2〜50の範囲にある板状ベーマイトを400℃〜1500℃で焼成することにより、α、β、γ−アルミナ単独の結晶構造、又は2種類以上の結晶構造を持つ板状アルミナ系粉体の表面を、下記一般式(1)で示されるポリシロキサン、下記一般式(2)で示されるアルキルアルコキシシラン化合物、下記一般式(3)で示されるアルキルチタネート化合物、下記一般式(4)及び下記一般式(5)及び下記一般式(6)で示されるフッ素化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物で被覆処理したことを特徴とする板状粉体。
    (式中、mは1以上の整数であり、nは0以上の整数である。また、R〜Rは水素、アルキル基、アルコキシル基又はフェニル基であり、同一であっても良い。)
    Si(OR ・・・・・(2)
    (式中、R及びRは炭素数が1以上の飽和炭化水素基である。)
    (RCOO)Ti(OR ・・・・・(3)
    (式中、R及びRは炭素数が1以上の飽和炭化水素基である。また、a及びbはそれぞれ1〜3の整数であり、a+b=4の関係を有する。なお、ここで示されるアルキル基は直鎖状あるいは分岐状であって、単一鎖長のものであっても複合鎖長のものであっても良い。)
    CF(CFCHCHSi(OR ・・・・・(4)
    (式中、Rは炭素数が1以上の飽和炭化水素基であり、nは1以上の整数である。)
    (式中、nは4以上の整数、mは1又は2であり、Mは1価の金属イオン、アンモニウム塩又はジエタノールアミン塩である。)
    (式中、nは4以上の整数、Mは1価の金属イオン、アンモニウム塩又はジエタノールアミン塩である。)
  2. 請求項1に記載の板状粉体を配合してなることを特徴とする化粧料。
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