JP6204204B2 - ボイラー燃料投入量決定装置 - Google Patents
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Description
ボイラーの燃焼状態を測定する指標としてボイラー制御における入力要求蒸気量(ボイラーマスタ信号)と要求蒸気量(測定主蒸気圧力と設定主蒸気圧力との差によるフィードバック補正量が加算されたのちの入力要求蒸気量:ボイラーデマンド信号)との比率を利用し、システム内部でこの比率を逐次記憶し、記憶した比率の複数の値から燃料補正係数を求め、求めた燃料補正係数で要求蒸気量を補正することにより、ボイラーの燃焼状態に応じた適正な燃料投入量を決定する。
(1)現在の比率目標が最適であるか否かの評価手法
(2)評価に基づいて比率目標を自動的に変える手法
ここで、前記データ数分布確認/標準偏差評価手段が、前記比率のデータ数が前記比率目標を中心に推移しているかを確認し、該比率のデータ数が該比率目標を中心に推移していない場合に、該比率目標における制御は不良と判定してもよい。
前記データ数分布確認/標準偏差評価手段が、前記比率目標における制御は不良と判定すると、前記比率の所定数のバンドごとの前記燃料投入量または前記主蒸気圧力の標準偏差を算出してもよい。
前記データ数分布確認/標準偏差評価手段が、前記比率のデータ数が所定のデータ数に達しない場合には、前記標準偏差による評価をしなくてもよい。
(1)ボイラー燃料低減システムに設定されている比率目標が最適でない場合に比率目標を自動的に変えることができる。
(2)ボイラー燃料低減システムの燃料低減率の改善、ボイラーの主蒸気圧力変動の軽減、外乱抑制機能の強化、炉内燃焼状態改善による炉内温度安定およびシステム導入時の試運転期間の短縮を図ることができる。
(3)副次効果として、ボイラー本体への熱衝撃の改善および排出CO2の低減を図ることができる。
本発明のボイラー燃料投入量決定装置は、従来のボイラー燃料低減システムの制御状態を既存の制御に影響を及ぼさないように評価するための評価方法として、更新時間毎に入力要求蒸気量と要求蒸気量との比率のデータ数の分布を確認する第1のステップと更新時間毎に燃料投入量または主蒸気圧力を標準偏差により評価する第2のステップとの2つのステップを採用して、評価結果によってボイラー燃料低減システムの比率目標が最適であるかを判定し、比率目標が最適でないと判定すると比率目標を自動的に変えることを特徴とする。
ここで、第1のステップは入力要求蒸気量と要求蒸気量との比率のデータ数が比率目標を中心に推移しているかを確認するステップであり、最適な比率目標でボイラー燃料低減システムが動作していれば比率目標を中心にこの比率のデータ数が分布するため、そうでない場合に比率目標における制御は不良と判定して第2のステップに移行する。
第2のステップでは、プロセスの制御性が現れやすい燃料投入量および主蒸気圧力のいずれかを選択できるようにし、選択した燃料投入量または主蒸気圧力のデータを更新時間毎に集計し、入力要求蒸気量と要求蒸気量との比率の所定数のバンドごとの燃料投入量または主蒸気圧力の標準偏差を算出する。標準偏差は平均値からの離散分布を表しており、標準偏差が小さいほどプロセスの振れ幅が小さく制御性は良いと言える。ただし、入力要求蒸気量と要求蒸気量との比率のデータ数が少ない状態での標準偏差の算出は信憑性に乏しいため、入力要求蒸気量と要求蒸気量との比率のデータ数が所定のデータ数に達しない場合には標準偏差は比較対象としないようにする。
すなわち、本実施例によるボイラー燃料投入量決定装置は、自動ゲイン更新部30、選択部51およびスイッチ52を具備する点で、従来のボイラー燃料投入量決定装置と相違する。
なお、自動ゲイン更新部30を動作させないときには、スイッチ52は定数=1を選択するように切り換えられており、選択部51は除算部13から入力される比率Kiを選択する。
そこで、PID制御部11は、主蒸気圧力Piと設定主蒸気圧力とで圧力差が発生したことを検出すると、加算部12によって燃料過不足によって発生した主蒸気圧力Piの偏差(誤差量)を入力要求蒸気量Aに加算したのち、除算部13によって圧力補正前の入力要求蒸気量A(=MWi)と圧力補正後の要求蒸気量B(=MWii)との比率Ki(係数基準値)を算出する。
Ki=MWii/MWi (1)
ここで、移動平均算出部15は、一次遅れ補正後の比率Kilを内蔵のメモリに逐次記憶し、このメモリに記憶された過去の一次遅れ補正後の比率Kilも含めて移動平均して係数平均値を求める。
なお、プログラム演算部16については、係数のリセットおよび演算開始の設定も可能である(係数リセットトリガおよび演算開始トリガ)。
なお、システム異常(エラー)時およびイニシャライズ(初期設定)時には、スイッチ18を切り換えて、燃料補正係数Kipgεの代わりに定数=1を使用する。
Fuelii=Kipgε×Fueli (2)
なお、算出された燃料補正係数Kipgεの代わりに定数=1を使用する場合には、燃料関数F1および要求蒸気量Bから求められた燃料投入量Fueliが補正後の燃料投入量Fueliiとしてボイラーに出力される。
Fuelii=1×Fueli=Fueli (3)
この求めた補正後の燃料投入量Fueliiだけボイラーに燃料を供給することにより、必要な主蒸気圧力Piを得て発電量を得る。なお、求めた補正後の燃料投入量Fueliiの燃料をボイラーに投入したのちは、ボイラーの主蒸気圧力Piが測定され、測定された主蒸気圧力Piに基づいて上述の手順が繰り返される。
なお、自動ゲイン更新部30を動作させるときには、スイッチ52は修正比率Goiiiを選択するように切り換えられており、選択部51はスイッチ52から入力される修正比率Goiiiを選択する。
なお、以下では、図1に示した一次遅れ補正部14から出力される一次遅れ補正後の比率Kilと区別するために、一次遅れ補正部31から出力される一次遅れ補正後の比率を一次遅れ補正後比率Gi(一次遅れ補正後の係数基準値)と称する。
なお、以下では、比率移動平均値Giiを「比率Gii」と称する。
なお、以下では、第2の移動平均算出部332から出力される燃料投入量移動平均値または主蒸気圧力移動平均値は、標準偏差算出部38における標準偏差を算出するためのデータとなるため、「標準偏差データD」と称する。
たとえば、データ振分け部34は、1.015<比率Gii(第1のバンド内)であるとこの比率Giiを第1の比率データG1に振り分けるとともに第1の指標カウンタ351のカウント数を1つずつ増加させ、1.005<比率Gii≦1.015(第2のバンド内)であるとこの比率Giiを第2の比率データG2に振り分けるとともに第2の指標カウンタ352のカウント数を1つずつ増加させ、0.995<比率Gii≦1.005(第3のバンド内)であるとこの比率Giiを第3の比率データG3に振り分けるとともに第3の指標カウンタ353のカウント数を1つずつ増加させ、0.985<比率Gii≦0.995(第4のバンド内)であるとこの比率Giiを第4の比率データG4に振り分けるとともに第4の指標カウンタ354のカウント数を1つずつ増加させ、比率Gii≦0.985(第5のバンド内)であるとこの比率Giiを第5の比率データG5に振り分けるとともに第5の指標カウンタ355のカウント数を1つずつ増加させる。
なお、以下では、第1乃至第5の標準偏差データ格納部361〜365に格納された標準偏差データDを「第1乃至第5の標準偏差データD1〜D5」と称する。
σi=[{nΣDi 2−(ΣDi)2}/n2]1/2 (4)
ここで、i=1〜5
n=サンプル数(第1乃至第5の標準偏差データD1〜D5の総数)
ここで、第1のバンド設定値BAND1_SETは現在の比率目標に対して比率目標を維持させるためのバンド設定値であり、一般的に標準正規分布では平均値を中心に平均値±1σ(標準偏差)の範囲内に含まれるデータ数は全データ数の68.26%となるため、CNT_DATA3/CNT_TOTAL≧0.65である場合には概ね正規分布以上に中心に第3の比率データG3が密集した分布となっていることから比率目標を中心に制御されていると判定できるので、第1のバンド設定値BAND1_SETとして0.65(=1σ)を設定する。
ここで、第2のバンド設定値BAND2_SETは現在の比率目標に対して比率推移を確認するためのバンド設定値であり、一般的に標準正規分布では平均値を中心に平均値±2σの範囲内に含まれるデータ数は全データ数の95.44%となるため、平均値±1σの範囲外かつ平均値±2σの範囲内に含まれるデータ数は全データ数の27.18%(=95.44%−68.26%)となることから、万が一制御性が悪化して山の頂点がずれた場合であっても平均値±2σの範囲内には35%以上のデータが存在していると考えられ、この場合には両サイドの燃料投入量Fueliまたは主蒸気圧力Piの標準偏差を比較することによってより安定した整定点の算出が可能であるので、第2のバンド設定値BAND2_SETとして0.35(=2σ)を設定する。
一方、ステップS13の判定結果が“YES”である場合には、状態判定部39は、第2の比率データG2(1.005<比率Gii≦1.015である比率Gii)のデータ数=CNT_DATA2および第4の比率データG4(0.985<比率Gii≦0.995である比率Gii)のデータ数=CNT_DATA4が共に第2のデータ数設定値A2以上であるか否かを判定する(ステップS15)。
ここで、第1および第2のデータ数設定値A1,A2は、燃料投入量Fueliおよび主蒸気圧力Piの標準偏差を算出するには一定以上のデータ数がないと信憑性に乏しくなるため、後述するステップS16,S17における標準偏差の比較を行う前段階でデータ数が確保されているかを確認するためのものであるので、たとえばサンプル数=CNT_TOTAL(=n)の10%の値(=0.1×n)とされる。
また、ステップS15の判定結果が“YES”である場合には、状態判定部39は、第2の標準偏差σ2が第4の標準偏差σ4以上であるか否かを判定する(ステップS17)。
一方、ステップS14,S15の判定結果が“NO”である場合には、状態判定部39は、ステップS12に戻って次の更新時間に対して同様の動作を繰り返す。
一方、ステップS16の判定結果が“NO”またはステップS17の判定結果が“YES”である場合には、状態判定部39は、比率修正値Goi=−0.002としたのち(ステップS19)、ステップS12に戻って次の更新時間に対して同様の動作を繰り返す。
ここで、比率修正値Goiは、修正比率Goiiiを小刻みに変えて制御妥当性を確認しながら比率目標を変えるために0.002または−0.002としているが、これ以外の値を用いてもよい。
ここで、自動ゲイン更新部30が動作していない場合には、定数=1がスイッチ41によって選択されている。
なお、前回の修正比率Goii=1とする。
その結果、状態判定部39は、比率目標を中心に制御されていると判定して、ステップS12に戻って次の更新時間に対して同様の動作を繰り返す。
したがって、この場合には修正比率Goiiiは前回の修正比率Goii=1のままとなる。
また、(CNT_DATA2+CNT_DATA4)/CNT_TOTAL=(8280+9000)/36000=1780/36000=0.48≧0.35となるため、図3に示したステップS13における判定結果が“YES”となる。
さらに、CNT_DATA2=8280≧3600(=A2=0.1×36000)となり、かつ、CNT_DATA4=9000≧3600(=A2=0.1×36000)となるため、図3に示したステップS15における判定結果が“YES”となる。
さらに、σ2(=0.02)<σ4(=0.022)となるため、図3に示したステップS17における判定結果が“NO”となる。
その結果、状態判定部39は、比率修正値Goi=0.002とする(図3に示したステップS18参照)。
これにより、前回の修正比率Goii=1であるため、加算部40において修正比率Goiii=Goii+Goi=1+0.002=1.002とされ、比率目標が修正比率Goiii=1.002となるようにボイラー燃料低減システムを動作させることができる。
11 PID制御部
12 加算部
13 除算部
14 一次遅れ補正部
15 移動平均算出部
16 プログラム演算部
17 変化率制限部
18,52 スイッチ
19,51 乗算部
20 燃料投入量演算部
30 自動ゲイン更新部
31 一次遅れ補正部
32,41,51 スイッチ
331,332 第1および第2の移動平均算出部
34 データ振分け部
351〜355 第1乃至第5の指標カウンタ
361〜365 第1乃至第5の標準偏差データ格納部
37 データ波形集計部
38 標準偏差算出部
39 状態判定プログラム部
40 加算器
52 選択部
S11〜S19 ステップ
Claims (4)
- ボイラーに供給する燃料投入量(Fueli)を入力要求蒸気量(A)により求め、該求めた燃料投入量に対応して該ボイラーに燃料を供給し、該ボイラーで発生した主蒸気圧力(Pi)を測定し、該測定した主蒸気圧力と設定主蒸気圧力からフィードバック補正量を求め、該フィードバック補正量で前記燃料投入量を補正するためのボイラー燃料投入量決定装置であって、
前記入力要求蒸気量と前記フィードバック補正量によるフィードバック補正後の前記ボイラーの要求蒸気量(B)との比率(Ki)を求めるための比率算出手段(13)と、
該比率算出手段で求められた前記比率をメモリに逐次記憶し、該メモリに記憶された過去の比率も含めて移動平均して係数平均値を求め、該求めた係数平均値が蒸気圧力偏差の大小に応じて定められた許容範囲内である場合または前記要求蒸気量の安定した時間が所定時間続かない場合には、該メモリ内の既存の係数平均値を更新せず、一方、前記求めた係数平均値が前記許容範囲を逸脱するとともに前記要求蒸気量の安定した時間が所定時間続いた場合には、前記既存の係数平均値に前記求めた係数平均値を乗算することによって該既存の係数平均値を更新しつつ前記メモリに記憶し、該更新した係数平均値を該要求蒸気量で補間することによって現在の要求蒸気量に応じた燃料補正係数(Kipgε)を求めるための燃料補正係数算出手段(15,16)と、
該燃料補正係数算出手段で求められた前記燃料補正係数で前記燃料投入量を補正するための燃料投入量補正手段(19)と、
更新時間毎に前記比率のデータ数の分布を確認するとともに、該更新時間毎に前記燃料投入量または前記主蒸気圧力を標準偏差により評価するためのデータ数分布確認/標準偏差評価手段(34,351〜355,361〜365,37,38)と、
該データ数分布確認/標準偏差評価手段による評価結果によってボイラー燃料低減システムに設定されている比率目標が最適であるかを判定し、該比率目標が最適でないと判定すると、該比率目標を変えるための修正比率(Goiii)を決定し、該決定した修正比率を前記比率の代わりに前記燃料補正係数算出手段に入力するための状態判定手段(39)と、
を具備することを特徴とする、ボイラー燃料投入量決定装置。 - 前記データ数分布確認/標準偏差評価手段が、前記比率のデータ数が前記比率目標を中心に推移しているかを確認し、該比率のデータ数が該比率目標を中心に推移していない場合に、該比率目標における制御は不良と判定することを特徴とする、請求項1記載のボイラー燃料投入量決定装置。
- 前記データ数分布確認/標準偏差評価手段が、前記比率目標における制御は不良と判定すると、前記比率の所定数のバンドごとの前記燃料投入量または前記主蒸気圧力の標準偏差を算出することを特徴とする、請求項2記載のボイラー燃料投入量決定装置。
- 前記データ数分布確認/標準偏差評価手段が、前記比率のデータ数が所定のデータ数に達しない場合には、前記標準偏差による評価をしないことを特徴とする、請求項3記載のボイラー燃料投入量決定装置。
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