JP6204149B2 - 窒化珪素質焼結体および時計用装飾部品 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化珪素質焼結体および時計用装飾部品に関する。
窒化珪素質焼結体は、耐摩耗性や機械的特性などに優れていることから、構造用セラミックスとして様々な用途に用いられている。また、窒化珪素質焼結体は、明度の低い色調により高級感がもたらされることから、腕時計用ケースや腕時計用バンド駒等の時計用装飾部品として用いられている。
そして、窒化珪素質焼結体においては、種々の要求特性に応えるために、焼結助剤の種類や含有量等の検討が為されている。例えば、特許文献1には、YとAlとを焼結助剤として添加してなる窒化珪素質焼結体が提案されている。
特許第2863569号公報
しかしながら、窒化珪素質焼結体は、主結晶である窒化珪素間の粒界相に多くの空隙が生じており、空隙が密集している領域が存在しているときには、この領域が、目視において、全体の色調として明度の低い窒化珪素質焼結体と異なる色調の白色に見えて外観を損なうという問題があった。また、空隙を減らすために、粒界相に結晶を多く存在させると、粒界相における非晶質相が相対的に少なくなりすぎて、窒化珪素の結晶の結合力が弱まり、機械的特性が低下するという問題があった。
本発明は上述した問題を解決するために提案されたものであって、その目的は、良好な外観と優れた機械的特性とを有する窒化珪素質焼結体およびこの窒化珪素質焼結体からなる時計用装飾部品を提供するものである。
本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素の結晶と、該窒化珪素の結晶間である粒界相にYSiAlONの結晶および非晶質相とが存在し、前記窒化珪素の含有量が80質量%以上であり、X線回折チャートにおける2θ=32〜33°の前記YSiAlONの結晶のピーク強度をX、2θ=33.2〜34.2°の前記窒化珪素の結晶のピーク強度をYとしたとき、比率X/Yが0.1以上0.5以下であり、表面において、空隙が密集している部分である白点を有し、円相当径1μm以上5μm以下の前記白点の個数が、0.15mm あたり250
個以上2000個以下であることを特徴とするものである。
本発明の時計用装飾部品は、上記構成の窒化珪素質焼結体からなり、表面が研磨されていることを特徴とするものである。
本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素の結晶と、窒化珪素の結晶間である粒界相にYSiAlONの結晶および非晶質相とが存在し、窒化珪素の含有量が80質量%以上であり、X線回折チャートにおける2θ=32〜33°のYSiAlONの結晶のピーク強度をX、2θ=33.2〜34.2°の窒化珪素の結晶のピーク強度をYとしたとき、比率X/Yが0.1以上0.5以下であることにより、良好な外観と優れた機械的特性とを有することができる。
また、本発明の時計用装飾部品は、上記構成の窒化珪素質焼結体からなり、表面が研磨されていることにより、艶消し効果が得られるため、より良好な外観となり、さらに、機械的特性が優れていることから、長期間にわたって良好な外観を維持できる。
図1は、窒化珪素質焼結体の構造を示す模式図である。 図2は、本実施形態の時計用装飾部品である時計用ケースの一例を示しており、(a)は時計用ケースを表側から見た斜視図であり、(b)は(a)の時計用ケースを裏側から見た斜視図である。
本実施形態の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素の結晶と、窒化珪素の結晶間である粒界相にYSiAlONの結晶および非晶質相とが存在し、窒化珪素の含有量が80質量%以上であり、X線回折チャートにおける2θ=32〜33°のYSiAlONの結晶のピーク強度をX、2θ=33.2〜34.2°の窒化珪素の結晶のピーク強度をYとしたとき、比率X/Yが0.1以上0.5以下である。
本実施形態の窒化珪素質焼結体は、上述した構成を満たしていることにより、良好な外観と優れた機械的特性とを有する。特に、比率X/Yが0.1以上0.5以下であることにより、窒化珪素の結晶を結合する非晶質相を存在させつつ、粒界相におけるYSiAlONの結晶の占有率が高まることで機械的特性が向上し、また、粒界相におけるYSiAlONの結晶の占有率が高まることで、粒界相に生じる空隙が少なくなり、空隙自体の減少によって空隙が密集している領域が目視において白色に見える部分が無くなる。
これに対し、比率X/Yが0.1未満であるときには、空隙が多く、目視で確認される白
色に見える部分の存在によって良好な外観が得られず、YSiAlONの結晶が少なく機械的特性の向上効果が得られない。また、比率X/Yが0.5を超えるときには、非晶
質相が少なすぎて窒化珪素の結晶の結合力が弱まり、機械的特性が低下する。
なお、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、目視において白色に見える部分が無いものであるが、このような窒化珪素質焼結体であっても、窒化珪素質焼結体の表面を拡大して観察すれば、空隙は存在しており、例えば、窒化珪素質焼結体の表面を100倍に拡大して観
察したときには、空隙の集まっている部分は白い点(白点)に見える。しかしながら、この白点の単位面積あたりに存在する白点の大きさと、個数とを制御すれば、目視において白色に見える部分は無くなる。例えば、100倍に拡大して観察したとき、円相当径1μm
以上5μm以下の白点であれば、0.15mmあたりに2200個以下存在する窒化珪素質焼結体は、目視において白色に見える部分は確認されない。
なお、上述した窒化珪素の含有量は、X線回折装置(XRD)により求めることができる。具体的には、XRDにより窒化珪素質焼結体を測定し、得られた結果をリートベルト解析することによって窒化珪素の含有量を求めることができる。また、XRDにより得られたX線回折チャートから比率X/Yを求めることができる。また、窒化珪素の結晶およびYSiAlONの結晶の有無は、XRDまたは透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて同定することにより確認するができる。さらに、非晶質相の存在は、ハローパターンの有無で確認することができる。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体の粒界相には、YSiAlONの結晶以外に、Y(SiN(アパタイト),YSi(ダイシリケート)およびYSiO(モノシリケート)のうち少なくとも1種の結晶が存在していてもよい。
ここで、本実施形態の窒化珪素質焼結体の構造について図1の模式図を用いて説明する。図1に示すように、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、柱状の窒化珪素の結晶1が配向することなく複数存在しており、窒化珪素の結晶1の間に粒界相2が存在している。なお、粒界相2には、図示していないが、YSiAlONの結晶および非晶質相が存在する。そして、粒界相において、YSiAlONの結晶が少ないときには、空隙が生じやすくなり、図1に点線で囲んで示すA部のように、空隙が密集して存在しているときには、例えば、100倍に拡大して観察したとき、白点に見え、窒化珪素質焼結体の表面を目
視したとき、白色に見える。
本実施形態の窒化珪素質焼結体は、表面における円相当径1μm以上5μm以下の白点の個数が、0.15mmあたり250個以上2000個以下であることが好適である。
上述した構成を満たしていることにより、窒化珪素質焼結体の表面の明度を低くすることができるとともに、さらに機械的特性に優れた窒化珪素質焼結体とすることができる。
なお、表面とは、窒化珪素質焼結体の外側を成す面のことであるが、白点の個数の測定にあたって、窒化珪素質焼結体の表面を研磨して得られた鏡面も含むものである。
次に、窒化珪素質焼結体の表面における白点の測定方法を説明する。まず、窒化珪素質焼結体の表面を研磨する。そして、研磨によって得られた鏡面を洗浄した後、光学顕微鏡を用いて100倍の倍率で観察し、面積が0.15mm(横方向の長さが1000μm、縦方向の
長さが150μm)となる範囲を光学顕微鏡付属のCCDカメラを用いて暗視野で撮影し、
画像データを取得する。得られた画像データを用いて、画像解析ソフト「A像くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)による粒子解析を行なうことで、白点の円相当径および個数を求めることができる。なお、粒子解析の設定条件としては、例えば、明度を明に設定し、2値化の方法を手動、小図形除去面積を1μm、画像の明暗を示す指標であるしきい値を、画像内の各点(各ピクセル)が有する明るさを示すヒストグラムのピーク値の1.2倍以下とする。
次に、本実施形態の窒化珪素質焼結体の組成の一例を説明する。本実施形態の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素を80質量%以上含むものであり、窒化珪素以外に含まれる成分としては、例えば、イットリウム(Y),アルミニウム(Al),珪素(Si)がある。そして、これらの成分の含有量としては、YがY換算で7質量%以上14質量%以下,AlがAl換算で2質量%以上5質量%以下,SiがSiO換算で0.5質量%以上
2質量%以下である。
次に、上記の組成の窒化珪素質焼結体における含有量の測定方法の一例を説明する。まず、酸素分析装置(堀場製作所製 EMGA?650FA)を用いた赤外線吸収法により窒化珪素質焼結体中の酸素の含有量を求める。
次に、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析装置(島津製作所製 ICPS?8100)を用いてYおよびAlの定量分析を行なう。そして、定量分析によって得られたYおよびAlの定量値をそれぞれYおよびAlに換算する。これにより、YをYに、AlをAlに換算したときの含有量を求めることができる。次に、この酸化物換算で必要とした酸素量を窒化珪素質焼結体中の酸素の含有量から差し引き、この差し引いた酸素量からSiOに換算し、この値を、SiをSiOに換算したときの含有量とする。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、イットリウム,アルミニウムおよび珪素以外
に、クロム,マンガン,鉄,銅,タングステン,モリブデン等を含むものであってもよく、特には、クロム,マンガン,鉄および銅のいずれか1種を含む珪化物である第1の珪化物を含むことが好適である。
クロム,マンガン,鉄および銅の各珪化物を含むときには、窒化珪素質焼結体をより明度の低い色調にすることができる。クロム,マンガン,鉄および銅の各珪化物としては、例えば、組成式が、CrSi,MnSi,FeSiおよびCuSi等として表される成分である。
なお、クロム,マンガン,鉄または銅の含有量は、窒化珪素質焼結体を構成する全成分100質量%のうち、0.02質量%以上2質量%以下であることが好適である。
さらに、本実施形態の窒化珪素質焼結体において、タングステンまたはモリブデンの珪化物である第2の珪化物を含むことが好適である。第2の珪化物を含有することで、窒化珪素質焼結体をさらに明度の低い色調にすることできる。タングステンまたはモリブデンの珪化物としては、例えば、組成式が、WSi(JCPDS#81−1916)およびMoSi等として表される成分である。
なお、タングステンまたはモリブデンの含有量は、窒化珪素質焼結体の全質量100質量
%のうち、0.02質量%以上2質量%以下であることが好適である。そして、本実施形態の窒化珪素質焼結体が、イットリウム,アルミニウムおよび珪素以外に、クロム,マンガン,鉄,銅,タングステン,モリブデン等を含むものであるとき、窒化珪素質焼結体の表面のCIE1976L色空間における明度指数Lは、例えば、35以上37以下であり、a,bは0(ゼロ)に近い値であると重厚感が得られるため、好適である。なお、明度指数Lは36以下であることがより好適である。
図2は、本実施形態の時計用装飾部品である時計用ケースの一例を示しており、(a)は時計用ケースを表側から見た斜視図であり、(b)は(a)の時計用ケースを裏側から見た斜視図である。
図2(a)および(b)に示す時計用ケース10は、図示しないムーブメント(駆動機構)を収容する凹部11と、腕に時計を装着するための時計用バンド(図示しない)を固定する足部12とを備えており、凹部11は厚みの薄い底部13と厚みの厚い胴部14とからなる。
本実施形態の時計用装飾部品である時計用ケース10は、上記窒化珪素質焼結体からなり、表面が研磨されていることから、艶消し効果が得られるため、より良好な外観となり、さらに、機械的特性が優れていることから、長期間にわたって良好な外観を維持できる。なお、本実施形態の時計用装飾部品には、時計用ケースの他に時計用バンド駒等がある。
また、本実施形態の時計用装飾部品の研磨後の表面粗さは、例えば、算術平均粗さRaが0.4μm以下であればよい。なお、算術平均粗さRaは、JIS B 0601−2013に準
拠して測定すればよい。
次に、本実施形態の窒化珪素質焼結体の製造方法の一例を説明する。
まず、出発原料として、珪素の粉末(平均粒径D50=0.5〜100μm)および窒化珪素の粉末(α化率50%以上、平均粒径D50=0.5〜10μm)と、焼結助剤として、酸化イ
ットリウムの粉末(平均粒径D50=0.5〜10μm)および酸化アルミニウムの粉末(平
均粒径D50=0.5〜10μm)とを準備する。そして、出発原料および焼結助剤の各粉末
を混合して混合粉末を作製する。なお、珪素の粉末と窒化珪素の粉末との質量比率は、80
:20〜90:10とする。
そして、酸化イットリウム,酸化アルミニウムおよび二酸化珪素の各粉末は、混合粉末の合計100質量%のうち、酸化イットリウムの粉末を10.2質量%以上20質量%以下,酸化
アルミニウムの粉末を2.9質量%以上7.3質量%以下となるように秤量する。
また、クロム,マンガン,鉄および銅の少なくともいずれか1種を含む珪化物である第1の珪化物を含む窒化珪素質焼結体を得るには、酸化クロム,酸化マンガン,酸化第二鉄および酸化銅のいずれか1種の粉末を適宜秤量して焼結助剤とともに混合粉末に添加すればよい。添加された酸化クロム,酸化マンガン,酸化第2鉄および酸化銅の粉末は、焼成時に珪素と反応して、酸素を脱離し、熱力学的に安定した珪化物となり、窒化珪素質焼結体を明度の低い色調とすることができる。
また、タングステンまたはモリブデンの珪化物である第2の珪化物を含む窒化珪素質焼結体を得るには、酸化タングステンまたは酸化モリブデンの粉末を適宜秤量して焼結助剤とともに混合粉末に添加すればよい。添加された酸化タングステンまたは酸化モリブデンの粉末は、焼成時に珪素と反応して、酸素を脱離し、珪化物として粒界相に存在する。
そして、混合粉末および焼結助剤等の粉末を、ポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレングリコール(PEG)等の各種バインダとともに、例えば、バレルミル,回転ミル,振動ミル,ビーズミル,サンドミルまたはアジテーターミル等入れて湿式にて混合・粉砕して、スラリーとする。
次に、噴霧乾燥装置を用いてスラリーを噴霧乾燥して顆粒にする。そして、得られた顆粒と熱可塑性樹脂とをニーダに投入し、加熱しながら混練して坏土を得る。次に、得られた坏土をペレタイザーに投入し、インジェクション成形用の原料となるペレットを得る。
なお、ニーダに投入する熱可塑性樹脂は、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体やポリスチレンやアクリル系樹脂等であって、添加量としては、顆粒100質量部に対して10質量
部以上35質量部以下とすればよい。
また、ニーダによる混練の条件として、加熱温度は140℃以上180℃以下に設定すればよく、圧力等のその他の条件は、用いるセラミックスの原料,熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜設定すればよい。
そして、ペレットを用いて所望形状が得られる射出成形機で成形することにより、成形体を得る。なお、射出成形以外に、乾式加圧成形,鋳込み成形,テープ成形などの成形方法で成形体を作製しても構わない。
次に、得られた成形体を、窒素雰囲気中または真空雰囲気中などで、例えば保持時間を15時間以上48時間以下で脱脂して脱脂体を得る。なお、このときの脱脂温度は、添加したバインダの種類によって異なるが、900℃以下がよく、特に400℃以上800℃以下とするこ
とが好適である。
次に、この脱脂体を50kPa〜1.1MPaの窒素分圧で、1000℃〜1400℃の温度で窒化
することにより、窒化体を得る。
そして、この窒化体を50kPa〜300kPaの窒素分圧で、温度を1700℃以上1800℃未
満として10〜15時間保持することによって焼成した後、常温まで冷却することによって、窒化珪素質焼結体の前駆体を得る。
次に、窒化珪素からなる密閉型の焼成容器内に窒化珪素質焼結体の前駆体を載置し、窒素雰囲気中、1750℃〜1900℃の温度で熱処理する。そして、最高温度から800℃までの降
温速度を10℃/分〜11.2℃/分として冷却した後に室温まで放冷することにより、窒化珪素の結晶と、窒化珪素の結晶間である粒界相にYSiAlONの結晶および非晶質相とが存在し、窒化珪素の含有量が80質量%以上であり、X線回折チャートにおける2θ=32〜33°の前記YSiAlONの結晶のピーク強度をX、2θ=33.2〜34.2°の窒化珪素の結晶のピーク強度をYとしたとき、比率X/Yが0.1以上0.5以下である本実施形態の窒化珪素質焼結体を得ることができる。
また、表面における円相当径1μm以上5μm以下の白点の個数が、0.15mmあたり250個以上2000個以下である窒化珪素質焼結体を得るには、上記焼成容器の単位容積に対
する前駆体の質量を0.4g/cm以下となるようにすればよい。
また、本実施形態の時計用装飾部品を得るには、上述した方法により得られた窒化珪素質焼結体にバレル加工を施した後、研磨材を含むマットで研磨すればよい。なお、研磨の有無に関しては、時計用装飾部品の表面を光学顕微鏡等で確認すればよい。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、出発原料として、珪素の粉末(平均粒径D50=10μm)および窒化珪素の粉末(α化率90%、平均粒径D50=1μm)と、焼結助剤として、酸化イットリウムの粉末(平均粒径D50=1μm),酸化アルミニウムの粉末(平均粒径D50=1m)および二酸化珪素の粉末(平均粒径D50=1μm)とを準備し、出発原料および焼結助剤の各
粉末を混合して混合粉末を作製した。なお、珪素の粉末と窒化珪素の粉末との質量比率は84:16とし、酸化イットリウム,酸化アルミニウムおよび二酸化珪素の各粉末は、混合粉末の合計100質量%のうち、酸化イットリウムの粉末を13.8質量%,酸化アルミニウムの
粉末を3.7質量%となるように秤量した。
さらに、混合粉末100質量部に対して、酸化第二鉄の粉末を1.4質量部および酸化タングステンの粉末を0.7質量部秤量して添加した。
そして、それぞれの粉末,PVA,水および窒化珪素からなる粉砕用メディアをバレルミルに入れて湿式にて混合・粉砕して、スラリーとした。
次に、噴霧乾燥装置を用いてスラリーを噴霧乾燥することにより顆粒にした。そして、顆粒と熱可塑性樹脂とをニーダに投入し、150℃に加熱しながら混練して坏土を得た。次
に、得られた坏土をペレタイザーに投入し、インジェクション成形用の原料となるペレットを得た。なお、熱可塑性樹脂は、顆粒100質量部に対し25質量部となるよう投入した。
そして、ペレットを用いて射出成形機で成形することにより、図2に示す例の時計用ケース10の成形体を得た。
次に、600℃の窒素雰囲気中で20時間保持して脱脂し、脱脂体を得た。その後、黒鉛抵
抗発熱体が設置された焼成炉内に脱脂体を配置し、120kPaの窒素分圧で、1300℃の温
度で窒化することにより、窒化体を得た。そして、得られた窒化体を200kPaの窒素分
圧,1750度の焼成温度で10時間保持した後、常温まで冷却することによって、窒化珪素質焼結体の前駆体を得た。
次に、窒化珪素からなる密閉型の焼成容器内に窒化珪素質焼結体の前駆体を載置し、窒素雰囲気中、1750℃の温度で熱処理した後、表1に示す降温速度で800℃まで冷却して、
その後、放冷することにより、窒化珪素質焼結体を得た。なお、焼成容器の容積に対する窒化珪素質焼結体の質量は0.5g/cmとなるようにした。
次に、得られた窒化珪素質焼結体にバレル加工を施し、研磨材を含むマットで研磨することにより、試料No.1〜12を得た。
次に、各試料につき、XRDで測定を行ない、窒化珪素の含有量および結晶の同定を行った。その結果、各試料ともに、窒化珪素の含有量は80質量%以上であり、窒化珪素の結晶と組成式がYSiAlONの結晶とが確認された。また、ハローパターンが見られることから、非晶質相が存在することを確認した。
また、得られた各試料のX線回折チャートから、2θ=32〜33°のYSiAlONの結晶のピーク強度Xと、2θ=33.2〜34.2°の窒化珪素の結晶1のピーク強度Yとの比率X/Yを算出し、その値を表1に示した。
次に、各試料の表面を目視で観察し、白色に見える部分の有無を確認した。結果を表1に示す。
また、各試料の焼結体表面を研磨し、研磨によって得られた鏡面を洗浄した後、光学顕微鏡を用いて100倍の倍率で観察し、面積が0.15mm(横方向の長さが1000μm、縦方
向の長さが150μm)となる範囲をCCDカメラで撮影した暗視野での画像を取り込み、
画像解析ソフト「A像くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)による粒子解析により求められた円相当径1μm以上5μm以下の白点の個数を表1に示した。ここで、粒子解析の設定条件としては、明度を明に設定し、2値化の方法を手動,小図形除去面積を1μm,および画像の明暗を示す指標であるしきい値を、画像内の各点(各ピクセル)が有する明るさを示すヒストグラムのピーク値の1.1倍とした。
次に、各試料作製時と同じ方法により、試験片を作製し、JIS R 1601−2008に準拠して4点曲げ強度を測定し、その結果を表1に示した。
また、色彩色差計(コニカミノルタホールディングス社(製)CM−3700A)を用い、
光源をCIE標準光源D65,視野角を10°,測定範囲を3mm×5mmに設定して、JIS Z 8722−2009に準拠して、各試料の表面の色調を測定し、明度指数L,クロマティクネス指数a,bの測定値を表1に示した。
表1に示すように、比率X/Yが0.1以上0.5以下であることにより、表面の目視における確認において白色に見える部分は無く、優れた機械的特性を有していることがわかった。また、表面における明度指数Lが35以上37以下であり、重厚感のある色調となることがわかった。
以上のことから、窒化珪素の結晶と、窒化珪素の結晶間である粒界相にYSiAlONの結晶および非晶質相とが存在し、窒化珪素の含有量が80質量%以上であり、X線回折チャートにおける2θ=32〜33°のYSiAlONの結晶のピーク強度をX、2θ=33.2〜34.2°の窒化珪素の結晶のピーク強度をYとしたとき、比率X/Yが0.1以上0.5以下であることにより、良好な外観と優れた機械的特性とを有することができることがわかった。
次に、熱処理時に用いる焼成容器の大きさを種々変更し、実施例1と同様に、白点の個数,4点曲げ強度,色調の確認を行なった。まず、実施例1の試料No.3と同じ方法で窒化珪素質焼結体の前駆体を作製した。
そして、窒化珪素からなる焼成容器内に上述した方法で得られた窒化珪素質焼結体の前
駆体を載置し、窒素雰囲気中、1750℃の温度で熱処理した後、降温速度を10.0℃/分として800℃まで冷却して、その後、放冷して試料No.13〜21を得た。焼成容器の容積に対
する窒化珪素質焼結体の質量を表2に示す。なお、試料No.13は、実施例1の試料No.3と同じである。
そして、実施例1と同様の方法により、白点の個数、4点曲げ強度、色調について測定を行ない、結果を表2に示した。
表2に示すように、表面における円相当径1μm以上5μm以下の白点の個数が250個
以上2000個である試料No.14〜20は、表面の明度を低くすることができるとともに、さらに機械的特性に優れていることがわかった。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体が研磨されている時計用装飾部品は、表面が研磨されていることにより、艶消し効果が得られているため、より良好な外観となり、さらに、機械的特性が優れていることから、長期間にわたって良好な外観を維持できることがわかった。さらに、時計用装飾部品は、暗色化成分を含むとき、明度を低くすることができ、重厚感をも有することができることがわかった。
1:窒化珪素の結晶
2:粒界相
10:時計用ケース
11:凹部
12:足部
13:底部
14:胴部

Claims (2)

  1. 窒化珪素の結晶と、該窒化珪素の結晶間である粒界相にYSiAlONの結晶および非晶質相とが存在し、前記窒化珪素の含有量が80質量%以上である窒化珪素質焼結体であって、X線回折チャートにおける2θ=32〜33°の前記YSiAlONの結晶のピーク強度をX、2θ=33.2〜34.2°の前記窒化珪素の結晶のピーク強度をYとしたとき、比率X/Yが0.1以上0.5以下であり、表面において、空隙が密集している部分である白点を有し、円相当径1μm以上5μm以下の前記白点の個数が、0.15mm あたり250個以上2000個以下であることを特徴とする窒化珪素質焼結体。
  2. 請求項1に記載の窒化珪素質焼結体からなり、表面が研磨されていることを特徴とする時計用装飾部品。
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