JP6203349B1 - 船舶用舵 - Google Patents
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Abstract
Description
このうち、マリナー型の舵は、方向舵を支えるラダーホーンを有しており、方向舵の頂部を支持するラダーストックとラダーホーンとをつなぐピントルにより回転する。
そのため、ピントル周辺の方向舵に発生する曲げ応力を低減するために、ピントル周辺の舵厚を大きくすることで剛性を確保する必要があった。
また、ピントルを方向舵に固定するピントルナットを方向舵内に配置するためにも、ピントル周辺の舵厚を大きくする必要があった。
舵中間部が前記ラダーホーンにピントルを介して取り付けられ、前記ピントルの軸心を中心に揺動可能な方向舵と、
プロペラの軸心高さに位置し前記ラダーホーン又は前記方向舵より法線方向に膨らんだ舵バルブと、を備え、
前記舵バルブの少なくとも一部が、前記舵中間部と一体に構成され、
前記舵バルブを除く前記ラダーホーン及び前記方向舵は、前縁から前後方向同一位置において、前記舵バルブの最厚部分より舵厚が薄く、かつ前記舵バルブの外面に滑らかに取合う形状を有する、船舶用舵が提供される。
前記舵バルブは、前記ラダーホーンに設けられた固定バルブと、前記方向舵に設けられた揺動バルブと、からなり、
前記固定バルブは、前記ピントル軸受部を含み、
前記揺動バルブは、前記ピントル固定部又は前記最短コード部を含む。
しかし、本発明の構成によれば、舵バルブの少なくとも一部が、舵中間部と一体に構成されているので、最大曲げモーメント発生箇所へ舵バルブ位置を合せることで、断面剛性の確保が容易となり、発生応力を低減することができる。
図1は、従来の船舶用舵1の全体構成図である。この図において、船舶用舵1は、マリナー型の舵であり、ラダーホーン2、方向舵3(舵板)、及び舵バルブ4を有する。
ラダーホーン2は、船体5の船尾船底から方向舵3のほぼ中央あたりまで配置される。ラダーホーン2は、方向舵3の頂部を支持するラダーストック6と方向舵3のほぼ中央部に設けたピントル7を支持する。
なお、この図で、5aはベースライン、8はプロペラ、8aはプロペラ8の中心線(プロペラ中心線)、9はピントル7を方向舵3に固定するピントルナットである。
この図に示すように、従来の船舶用舵1では、ラダーホーン2の厚さは、その頂部(上端)から底部(下端)まで、ピントル周辺の舵厚とほぼ同一に形成されていた。
また、ラダーホーン2の下端は、方向舵3の中央付近(全高の約1/2の高さ)であり、方向舵3の図心近傍に位置していた。この場合、ラダーホーン2の下端は、プロペラ中心線8aから上方に方向舵3の全高の約1/6〜1/4程度離れた高さに位置する船が多い。
また、従来の船舶用舵1において、舵バルブ4は、通常、プロペラ8の軸心高さにおいて方向舵3に設けられ、方向舵3の外表面から法線方向に膨らんだ形状を有している。
なお、従来の船舶用舵1において、舵バルブ4は、必須ではなく、これを省略する場合も多い。
最大せん断力Qmaxは、単位幅当たり、Qmax=P・L・・・(1)で表すことができる。
また、図3(D)の曲げモーメント図から、梁ABCDに作用する曲げモーメントは、C点において最大曲げモーメントMmaxとなることがわかる。
最大曲げモーメントMmaxは、単位幅当たり、Mmax=0.5P・L2・・・(2)で表すことができる。
そのため、ピントル周辺に発生するせん断応力と曲げ応力を低減するために、図1、図2に示したように、ピントル周辺の舵厚を大きくする必要があった。
また、ピントル7を方向舵3に固定するピントルナット9を方向舵内に配置するためにも、ピントル周辺の舵厚を大きくする必要があった。
その結果、従来の船舶用舵1の舵厚が大きく、船舶の前進時における舵抵抗が大きかった。
この図において、本発明の船舶用舵10は、マリナー型の薄型舵であり、ラダーホーン12、方向舵13、及び舵バルブ14を備える。
この例で、方向舵13は、ラダーホーン12の上部連結部18と下部連結部17に取り付けられている。下部連結部17は、ラダーホーン12の下端部分に位置し後方に突出した部分であり、ピントル軸受部分となる。下部連結部17は、ピントル16の上部を回転自在に支持する。
この例において、ラダーストック15はピントル16の軸心Z−Zを合わせて、船内に設けられた操舵装置まで延び、操舵装置により軸心Z−Zを中心に揺動可能に構成されている。
なお、この図で、19はピントル16を方向舵13に固定するためのピントルナットであり、方向舵13の内部に設けられた空間に位置する。この内部空間は、ピントル16にピントルナット19を取付け・取外しするための作業空間である。
図6において、(A)(B)(C)(D)は、図5のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図である。
図5において、舵中間部20は、ピントル16の下部を方向舵13に固定するピントル固定部21、又は、方向舵13の最短コード部22である。すなわち、舵中間部20は、ピントル固定部21と最短コード部22の一方又は両方である。ピントル固定部21は、ピントルナット19の部分を含むことが好ましい。
この構成により、図3におけるC点からD点までの長さLを、方向舵3の全高の約1/3以下に設定することができ、ピントル周辺に作用する最大せん断力Qmaxと最大曲げモーメントMmaxを大幅に低減することができる。
図3から明らかなように、ラダーストック固定部23(図3のB点に相当する)におけるせん断力と曲げモーメントは、最短コード部22と比較して大幅に小さい。従って、図6(A)における方向舵13の舵厚をピントル固定部21よりも大幅に薄くすることができる。
従って、本発明により、方向舵13が受ける舵力によるピントル周辺に発生する曲げ応力を低減し、かつ前進時における舵抵抗を低減することができる。
この構成により、図3におけるC点からD点までの長さLを、方向舵13の全高の約1/3以下に設定することができ、ピントル周辺に作用する最大せん断力Qmaxと最大曲げモーメントMmaxを第1実施形態よりも低減することができる。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
この例は、舵バルブ14がピントルナット19の部分を含むので、ピントルナット19を方向舵内に収める物理的要求により、最大舵厚が決定する場合に特に適している。
フィン24は、船舶の進行方向成分を有する揚力を発生する。
この図において、横軸はコード長に対する翼厚比率t/c(%)、縦軸は抵抗係数Cd(−)である。また、図中の白丸と破線は翼表面が粗い場合、黒丸と実線は翼表面が滑らかな場合である。
なお、図11は翼型の抵抗係数であり、舵の抵抗をそのまま示すものではない。
船体抵抗に対する舵抵抗は、船種によって異なるが、約1〜7%であることが知られている。
しかし、本発明の構成によれば、舵バルブ14の少なくとも一部が、舵中間部20と一体に構成されているので、最大曲げモーメント発生箇所へ舵バルブ位置を合せることで、断面剛性の確保が容易となり、発生応力を低減することができる。
1 船舶用舵、2 ラダーホーン、3 方向舵(舵板)、4 舵バルブ、
5 船体、5a ベースライン、6 ラダーストック、7 ピントル、
8 プロペラ、8a プロペラ中心線、9 ピントルナット、10 船舶用舵、
12 ラダーホーン、12a ラダーホーンの下端、13 方向舵(舵板)、
14 舵バルブ、14a 固定バルブ、14b 揺動バルブ、15 ラダーストック、
16 ピントル、17 下部連結部、18 上部連結部、19 ピントルナット、
20 舵中間部、21 ピントル固定部、22 最短コード部、
23 ラダーストック固定部、24 フィン
Claims (8)
- 船舶のプロペラ後方に配置されたラダーホーンと、
舵中間部が前記ラダーホーンにピントルを介して取り付けられ、前記ピントルの軸心を中心に揺動可能な方向舵と、
プロペラの軸心高さに位置し前記ラダーホーン又は前記方向舵より法線方向に膨らんだ舵バルブと、を備え、
前記舵バルブの少なくとも一部が、前記舵中間部と一体に構成され、
前記舵バルブを除く前記ラダーホーン及び前記方向舵は、前縁から前後方向同一位置において、前記舵バルブの最厚部分より舵厚が薄く、かつ前記舵バルブの外面に滑らかに取合う形状を有する、船舶用舵。 - 前記舵中間部は、前記ピントルを前記方向舵に固定するピントル固定部、又は、前記方向舵の最短コード部である、請求項1に記載の船舶用舵。
- 前記ラダーホーンは、前記ピントルを回転自在に支持するピントル軸受部を有し、
前記舵バルブは、前記ラダーホーンに設けられた固定バルブと、前記方向舵に設けられた揺動バルブと、からなり、
前記固定バルブは、前記ピントル軸受部を含み、
前記揺動バルブは、前記ピントル固定部又は前記最短コード部を含む、請求項2に記載の船舶用舵。 - 前記ラダーホーンの下端が、前記軸心高さ又はその近傍に位置する、請求項2に記載の船舶用舵。
- 前記最短コード部は、前記軸心高さ又はその近傍に位置する、請求項2に記載の船舶用舵。
- 前記舵バルブは、前記方向舵に設けられており、前記ピントルを前記方向舵に固定するピントルナットが、前記軸心高さ又はその近傍に位置する、請求項2に記載の船舶用舵。
- 前記舵バルブの少なくとも一部が、前記ラダーホーンの下端部分に位置し後方に突出した下部連結部と一体に構成されている、請求項1に記載の船舶用舵。
- 前記舵バルブは、舵表面より船幅方向に水平に延びるフィンを有し、前記フィンは、前記船舶の進行方向成分を有する揚力を発生する、請求項1に記載の船舶用舵。
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