JP2012131475A - 船舶用舵 - Google Patents

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Abstract

【課題】舵板形状を複雑化させることなく且つ複雑な推力制御を要することなく、船舶の旋回性能の向上及び推進効率の向上を可能にする船舶用舵を提供する。
【解決手段】船舶2のスクリュープロペラ6より後方に配置され、舵軸82と舵軸82に取り付けられた舵板部84とを含んでなる船舶用舵8。舵軸82の回動中心82Cは、垂直方向を向いており、且つスクリュープロペラ6の回転中心6Cと交差するように位置している。舵板部84は、スクリュープロペラ6の右舷側旋回領域の後方の領域を通って上方から下方へと延びた右舷側舵板841と、スクリュープロペラ6の左舷側旋回領域の後方の領域を通って上方から下方へと延びた左舷側舵板842とを備えている。舵軸82は船舶2の船体4に対して舵軸回動中心82Cの周りで回動可能なように支持されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、船舶用舵に係るものであり、特にその構造に関するものである。
一般に、船舶用舵は、船尾部にあって、スクリュープロペラにより生ぜしめられる高速水流(プロペラ後流)中に位置するように配置され、垂直方向の舵軸回動中心の周りで舵板を所要角度範囲内で回動させ、高速水流との相互作用により船舶の進行方向を設定するのに使用される。従来の船舶用舵では、1つのスクリュープロペラの後方に1枚の舵板を配置している。
近年、船舶の旋回性能及び推進性能を向上させるため、舵において種々の提案がなされている。例えば、特開平8−108896号公報(特許文献1)には、舵板全体としての横断面形状をS字形状とすることで、プロペラ後流中の旋回成分を効率良く推力に変換するようにした舶用ラダーが開示されている。また、例えば、特開平11−180396号公報(特許文献2)には、プロペラ後流のうちの回転成分が近づいて来る範囲にある舵板の後部をプロペラ後流を迎える方向に湾曲させることで、舵切り力を高め推進性能を向上させるようにした船舶用舵が開示されている。
一方、2つのスクリュープロペラを備えた2軸プロペラ船においては、旋回方向にあるスクリュープロペラの推力を反対方向にあるスクリュープロペラの推力より低くすることで、旋回性能を向上させることができる。
特開平8−108896号公報 特開平11−180396号公報
しかるに、特許文献1及び特許文献2に記載されるような船舶用舵は、舵板を極めて複雑で特殊な形状のものとするので、製造が容易ではないという難点がある。また、これらの船舶用舵による旋回性能の向上には未だ改善の余地がある。
また、2軸プロペラ船における上記のような旋回性能の向上のためには複雑な推力制御が必要であり、このような旋回性能向上手段を特に小型船舶へ適用することは現実的ではない。
そこで、本発明は、以上のような技術的課題に鑑みて、舵板形状を複雑化させることなく且つ複雑な推力制御を要することなく、船舶の旋回性能の向上及び推進効率の向上を可能にする船舶用舵を提供することを目的とする。
本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、
船舶のスクリュープロペラより後方に配置され、舵軸と該舵軸に取り付けられた舵板部とを含んでなる船舶用舵であって、
前記舵軸の回動中心は、垂直方向を向いており、且つ前記スクリュープロペラの回転中心と交差するように位置しており、
前記舵板部は、前記スクリュープロペラの右舷側旋回領域の後方の領域を通って上方から下方へと延びた右舷側舵板と、前記スクリュープロペラの左舷側旋回領域の後方の領域を通って上方から下方へと延びた左舷側舵板とを備えており、
前記舵軸は前記船舶の船体に対して前記回動中心の周りで回動可能なように支持されていることを特徴とする船舶用舵、
が提供される。
本発明の一態様においては、前記右舷側舵板と前記左舷側舵板とは、前記舵軸の回動中心及び前記スクリュープロペラの回転中心の双方を含む平面に関して対称的な位置に配置されている。
本発明の一態様においては、前記右舷側舵板及び前記左舷側舵板は、いずれも垂直方向に延びている。
本発明の一態様においては、前記スクリュープロペラの旋回領域の後方の領域における前記右舷側舵板と前記左舷側舵板との間の距離の最大値は、前記スクリュープロペラの直径より小さい。本発明の一態様においては、前記スクリュープロペラの旋回領域の後方の領域における前記右舷側舵板と前記左舷側舵板との間の距離の最大値は、前記スクリュープロペラの直径の0.5倍以上である。
本発明の一態様においては、前記舵板部は、前記右舷側舵板の上部と前記左舷側舵板の上部とを互いに連結し且つ前記舵軸に接続する上側連結接続部を備えている。本発明の一態様においては、前記舵板部は、更に、前記右舷側舵板の下部と前記左舷側舵板の下部とを互いに連結する下側連結接続部を備えている。本発明の一態様においては、前記舵軸は前記舵板部の上側に位置する上側軸部と前記舵板部の下側に位置する下側軸部とからなり、前記上側軸部が前記舵板部の上側連結接続部に接続されており、前記下側軸部が前記舵板部の下側連結接続部に接続されている。本発明の一態様においては、前記舵板部は、更に、前記スクリュープロペラの旋回領域の後方の領域を横切るように延び且つ前記右舷側舵板と前記左舷側舵板とを互いに連結する中側連結接続部を備えている。
本発明によれば、舵板部の構成を特定のものとすることで、舵板形状を複雑化させることなく且つ複雑な推力制御を要することなく、船舶の旋回性能の向上及び推進効率の向上を可能にする船舶用舵が提供される。
本発明による船舶用舵の第1の実施形態を示す模式的正面図である。 本発明による船舶用舵の第1の実施形態を示す模式的側面図である。 本発明による船舶用舵の第1の実施形態を示す模式的斜視図である。 本発明による船舶用舵の第1の実施形態の船舶用舵の動作説明図である。 本発明による船舶用舵の第2の実施形態を示す模式的正面図である。 本発明による船舶用舵の第2の実施形態を示す模式的側面図である。 本発明による船舶用舵の第2の実施形態を示す模式的斜視図である。 本発明による船舶用舵の第3の実施形態を示す模式的正面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明による船舶用舵の第1の実施形態を示す模式的正面図(船舶の後方から見た図)であり、図2は本実施形態を示す模式的側面図であり、図3は本実施形態を示す模式的斜視図である。
本実施形態において、船舶2は、船体(特に船尾部)4から後方に突出するスクリュープロペラ6及び舵8を備えている。スクリュープロペラ6の回転中心は6Cである。該プロペラ回転中心6Cは、水平方向に延びている。
舵8は、本発明に係るものであり、スクリュープロペラ6より後方に配置されており、舵軸82と該舵軸に取り付けられた舵板部84とを含んでなる。
舵軸82の回動中心は82Cである。該舵軸回動中心82Cは、垂直方向を向いており、且つプロペラ回転中心6Cと交差するように配列されて位置している。
スクリュープロペラ6は、旋回する際に円形の領域を通る。この領域を旋回領域ということにする。該旋回領域は、図1において舵軸回動中心82Cより右側に位置する右舷側旋回領域と、図1において舵軸回動中心82Cより左側に位置する左舷側旋回領域とからなる。
舵板部84は、スクリュープロペラ6の右舷側旋回領域の後方の領域(空間領域)を通って上方から下方へと延びた右舷側舵板841と、スクリュープロペラ6の左舷側旋回領域の後方の領域(空間領域)を通って上方から下方へと延びた左舷側舵板842とを備えている。より具体的には、右舷側舵板841は、スクリュープロペラ6の右舷側旋回領域の後方に位置して垂直方向に延びており、且つスクリュープロペラ6の回転中心6Cに沿った板状をなしている。同様に、左舷側舵板842は、スクリュープロペラ6の左舷側旋回領域の後方に位置して垂直方向に延びており、且つスクリュープロペラ6の回転中心6Cに沿った板状をなしている。右舷側舵板841と左舷側舵板842とは、スクリュープロペラ6の回転中心6Cから等距離に配置されており、従って、右舷側舵板841と左舷側舵板842とは、舵軸82の回動中心82C及びスクリュープロペラ6の回転中心6Cの双方を含む平面に関して対称的な位置に配置されている。
舵板部84は、更に、右舷側舵板841の上部と左舷側舵板842の上部とを互いに連結し且つ舵軸82に接続する連結接続部(上側連結接続部)843を備えている。連結接続部843は、たとえば水平板状をなす。尚、舵板部84は、更に、右舷側舵板841の下部と左舷側舵板842の下部とを互いに連結する連結接続部(下側連結接続部)を備えていてもよい(このような形態については後述する)。
右舷側舵板841と左舷側舵板842との間の距離は、スクリュープロペラ6の直径より小さい。尚、右舷側舵板841及び左舷側舵板842に対するプロペラ後流の作用を高めるには、右舷側舵板841と左舷側舵板842との間の距離は、スクリュープロペラ6の直径の0.5倍以上であることが好ましい。
舵軸82は船体4に対して舵軸回動中心82Cの周りで回動可能なように支持されている。尚、図示はしないが、舵軸82は船体4の内部まで延びており、船体内の公知の駆動手段より、舵軸回動中心82Cの周りで回動せしめられる。
図4に、本実施形態の船舶用舵の動作説明図を示す。図4(A),(B)は、上方から見た図である。
図4(A)では、右舷側舵板841及び左舷側舵板842は、プロペラ回転中心6Cと平行に位置する。これは、船舶2の直進航行時の状態であり、このときの舵軸回動中心82Cの周りでの舵軸82の回動角度が0であるものとする。この状態では、右舷側舵板841及び左舷側舵板842は、プロペラ後流の回転成分を後方へと向けて推進力に寄与させる整流作用を発揮する。この整流作用は一般的な舵の1枚の舵板によるものに比べて大きく、これにより推進性能が向上する。
図4(B)では、右舷側舵板841及び左舷側舵板842は、プロペラ回転中心6Cに対して角度θをなすように位置する。これは、船舶2の右旋回航行時の状態であり、このときの舵軸回動中心82Cの周りでの舵軸82の回動角度はθである。この状態では、右舷側舵板841及び左舷側舵板842は、以上のような整流作用の他に、船体右旋回作用をなす。
この船体旋回作用は、一般的な舵の場合とは異なるものとなる。即ち、舵軸82の回動に伴い、右舷側舵板841が右舷側旋回領域の後方の空間領域においてスクリュープロペラ6に接近し、他方では、左舷側舵板842が左舷側旋回領域の後方の空間領域においてスクリュープロペラ6から遠ざかる。従って、プロペラ後流と右舷側舵板841との相互作用は、プロペラ後流と左舷側舵板842との相互作用とは大きさの異なるものとなる。具体的には、右舷側舵板841に対してプロペラ後流が与える力は、左舷側舵板842に対してプロペラ後流が与える力より大きい。このため、第1の観点からは、右舷側舵板841によりプロペラ後流を側方へと偏向させる作用の大きさは、左舷側舵板842によりプロペラ後流を側方へと偏向させる作用の大きさより大きくなる。また、第2の観点からは、右舷側舵板841によるプロペラ推進力低下作用の程度は、左舷側舵板842によるプロペラ推進力低下作用の程度より大きくなる。かくして、本実施形態においては、右舷側舵板841及び左舷側舵板842によるプロペラ後流の偏向作用の反作用に基づく船体旋回作用に加えて、プロペラ後流の右舷側舵板841及び左舷側舵板842との相互作用の差異に起因するプロペラ推進力の差に基づく船体旋回作用(上記の2軸プロペラ船における一方のスクリュープロペラ推力を他方のスクリュープロペラ推力より低くして旋回性能を得るものと同様の作用)をも発現させることで、旋回性能を向上させることができる。
以上、図4(B)では船体右旋回の場合につき説明したが、船体左旋回の場合には、舵軸回動中心82Cの周りでの舵軸82の回動を船体右旋回の場合とは逆向きにすればよいこと、及び船体右旋回の場合と同様な作用が得られること、は容易に理解できるであろう。
以上のように、右舷側舵板841及び左舷側舵板842を備えた舵板部84の作用に基づき、推進性能及び旋回性能が向上するので、右舷側舵板841及び左舷側舵板842の浸水面積を低減することが可能となり、これにより船体抵抗を低減することができる。浸水面積の低減は、例えば、船首尾方向の右舷側舵板841及び左舷側舵板842の寸法の低減として実現される。
図5は本発明による船舶用舵の第2の実施形態を示す模式的正面図(船舶の後方から見た図)であり、図6は本実施形態を示す模式的側面図であり、図7は本実施形態を示す模式的斜視図である。これらの図において、図1〜図4におけると同様な機能を有する部材または部分には同一の符号が付されている。
本実施形態は、上記図1〜図4を参照して説明した第1の実施形態と、次の点において相違する。
舵板部84は、上側連結接続部843に加えて、右舷側舵板841の下部と左舷側舵板842の下部とを互いに連結する下側連結接続部843’を備えている。下側連結接続部843’は、上側連結接続部843と同様に、たとえば水平板状をなす。
また、舵軸82は舵板部84の上側に位置する上側軸部82aと舵板部84の下側に位置する下側軸部82bとからなる。上側軸部82aが上側連結接続部843に接続されている構成は、上記図1〜図4を参照して説明した実施形態のもと同様である。下側軸部82bは、下側連結接続部843’に接続されており、船体4に対して舵軸回動中心82Cの周りで回動自在なように支持されている。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が得られることに加えて、第1の実施形態に比べて、舵の強度が高められると共に、水平板状の下側連結接続部843’が存在することで整流作用が一層高められる。
図8は本発明による船舶用舵の第3の実施形態を示す模式的正面図(船舶の後方から見た図)である。この図において、図1〜図7におけると同様な機能を有する部材または部分には同一の符号が付されている。
本実施形態は、上記図1〜図4を参照して説明した第1の実施形態と、舵板部84の構成が相違する。即ち、本第3の実施形態においては、舵板部84は、更に、スクリュープロペラ6の旋回領域の後方の空間領域を横切るように延び且つ右舷側舵板841と左舷側舵板842とを互いに連結する中側連結接続部843”を備えている。中側連結接続部843”は、上側連結接続部843と同様に、たとえば水平板状をなす。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が得られることに加えて、第1の実施形態に比べて、舵の強度が高められると共に、スクリュープロペラ6の旋回領域の後方の空間領域を横切るように延びた水平板状の中側連結接続部843”が存在することで整流作用が更に一層高められる。
以上の実施形態では、右舷側舵板841及び左舷側舵板842がそれぞれ1枚であるものとしているが、本発明においては、右舷側舵板841及び左舷側舵板842のそれぞれとして、船首尾方向寸法が同等またはより小さなものを更に含む複数枚からなるものとしてもよい。
2 船舶
4 船体
6 スクリュープロペラ
6C スクリュープロペラの回転中心
8 舵
82 舵軸
82a 舵軸の上側軸部
82b 舵軸の下側軸部
82C 舵軸回動中心
84 舵板部
841 右舷側舵板
842 左舷側舵板
843 連結接続部(上側連結接続部)
843’ 下側連結接続部
843” 中側連結接続部

Claims (8)

  1. 船舶のスクリュープロペラより後方に配置され、舵軸と該舵軸に取り付けられた舵板部とを含んでなる船舶用舵であって、
    前記舵軸の回動中心は、垂直方向を向いており、且つ前記スクリュープロペラの回転中心と交差するように位置しており、
    前記舵板部は、前記スクリュープロペラの右舷側旋回領域の後方の領域を通って上方から下方へと延びた右舷側舵板と、前記スクリュープロペラの左舷側旋回領域の後方の領域を通って上方から下方へと延びた左舷側舵板とを備えており、
    前記舵軸は前記船舶の船体に対して前記回動中心の周りで回動可能なように支持されていることを特徴とする船舶用舵。
  2. 前記右舷側舵板と前記左舷側舵板とは、前記舵軸の回動中心及び前記スクリュープロペラの回転中心の双方を含む平面に関して対称的な位置に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の船舶用舵。
  3. 前記右舷側舵板及び前記左舷側舵板は、いずれも垂直方向に延びていることを特徴とする、請求項1または2に記載の船舶用舵。
  4. 前記スクリュープロペラの旋回領域の後方の領域における前記右舷側舵板と前記左舷側舵板との間の距離の最大値は、前記スクリュープロペラの直径より小さいことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の船舶用舵。
  5. 前記舵板部は、前記右舷側舵板の上部と前記左舷側舵板の上部とを互いに連結し且つ前記舵軸に接続する上側連結接続部を備えていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の船舶用舵。
  6. 前記舵板部は、更に、前記右舷側舵板の下部と前記左舷側舵板の下部とを互いに連結する下側連結接続部を備えていることを特徴とする、請求項5に記載の船舶用舵。
  7. 前記舵軸は前記舵板部の上側に位置する上側軸部と前記舵板部の下側に位置する下側軸部とからなり、前記上側軸部が前記舵板部の上側連結接続部に接続されており、前記下側軸部が前記舵板部の下側連結接続部に接続されていることを特徴とする、請求項6に記載の船舶用舵。
  8. 前記舵板部は、更に、前記スクリュープロペラの旋回領域の後方の領域を横切るように延び且つ前記右舷側舵板と前記左舷側舵板とを互いに連結する中側連結接続部を備えていることを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の船舶用舵。
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