JP6202231B2 - 分離膜、セルロース系樹脂組成物および分離膜の製造方法 - Google Patents

分離膜、セルロース系樹脂組成物および分離膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高い透過性能を有する、主にセルロース系樹脂からなるセルロース系樹脂組成物、分離膜、およびその製造方法に関する。
近年、多孔性分離膜は、浄水処理、排水処理などの水処理分野、血液浄化などの医療用途、食品工業分野、電池用セパレータ、荷電膜、燃料電池用電解質膜等様々な方面で利用されている。
セルロース系樹脂はその親水性に起因する透過性能や、塩素系の殺菌剤に強いという耐塩素性能を有することから水処理用膜をはじめとする多孔性分離膜として広く用いられている。
例えば、特許文献1には、セルローストリアセテートと溶媒、非溶媒からなる製膜原液を、溶媒、非溶媒、水からなる凝固液中に吐出して相分離させることで、中空糸膜を得る技術が開示されている。
また特許文献2には、中空糸膜にヒドロキシアルキルセルロースが微粒子の状態で固着されており、前記中空糸膜の最表面から深さ1μmの範囲におけるヒドロキシアルキルセルロースの微粒子のサイズが5〜100nmであることを特徴とする限外ろ過用中空糸膜が開示されている。
日本国特開2011−235204号公報 日本国特開2015−157278号公報
前述の特許文献1および特許文献2に記載の技術で得られる中空糸膜は非対称膜であり、分離機能を担う孔径の小さい分離層を有しているが、高い透水性能を得るために層を薄くしており、欠点が発生し易いという課題があった。一方で、欠点発生を抑制するために分離層を厚くすると、透水性能が低下するという課題があった。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、高い透水性を有する分離膜等を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、セルロースエステルを含有し、該セルロースエステルを含有する相と空隙とからなる共連続構造を備えることにより、上記空隙の幅が1nm以上200nm以下の微小孔径領域において高い均一性を備える、分離膜を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の分離膜は、以下の通りである。
1.セルロースエステルを含有する分離膜であって、
前記セルロースエステルを含有する相と空隙とからなる共連続構造を備え、
前記空隙の幅が1nm以上200nm以下である、
分離膜。
2.前記分離膜の空隙の幅の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形の視野で撮影された顕微鏡画像をフーリエ変換して得られる、横軸が波数、縦軸が強度からなるグラフの曲線において、ピーク半値幅(a)、ピークの極大波数(b)とするとき、0<(a)/(b)≦1.5となる領域を含む、前記1に記載の分離膜。
3.50kPa、25℃における膜透過流束が0.05m/m/h以上20m/m/h以下である、前記1又は2に記載の分離膜。
4.前記分離膜の厚みが1μm以上1000μm以下である前記1〜3のいずれか1に記載の分離膜。
5.前記分離膜が中空糸形状である、前記1〜4のいずれか1に記載の分離膜。
6.前記中空糸の外径が100μm以上5000μm以下である、前記1〜5のいずれか1に記載の分離膜。
7.前記セルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、前記1〜6のいずれか1に記載の分離膜。
8.セルロースエステルを含有する第1相、及び、前記第1相と部分相溶する第2相からなる共連続構造を備え、第2相の幅が1nm以上1000nm以下である、樹脂組成物。
9.第2相の幅の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形の視野で撮影された顕微鏡画像をフーリエ変換して得られる、横軸が波数、縦軸が強度からなるグラフの曲線において、ピーク半値幅(a)、ピークの極大波数(b)とするとき、0<(a)/(b)≦1.5となる領域を備える、前記8に記載の樹脂組成物。
10.前記樹脂組成物の厚みが1μm以上1000μm以下である、前記8又は9に記載の樹脂組成物。
11.前記樹脂組成物が中空糸形状である、前記8〜10のいずれか1に記載の樹脂組成物。
12.前記樹脂組成物からなる中空糸の外径が100μm以上5000μm以下である、前記8〜11のいずれか1に記載の樹脂組成物。
13.前記セルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、前記8〜12のいずれか1に記載の樹脂組成物。
14.20重量%以上90重量%以下のセルロースエステルと、10重量%以上60重量%以下の構造形成剤とを溶融および混練することで溶融樹脂を調製する樹脂溶融工程と、
前記溶融樹脂を吐出口金から吐出することで膜状の成形体を得る成形工程と、
前記溶融樹脂又は成形体において、熱誘起相分離によって、セルロースエステルを含有する第1相と前記第1相と部分相溶する第2相とからなる共連続構造を形成する共連続構造形成工程と、
前記共連続構造形成工程および成形工程後に、前記成形体から前記第2相を溶出することで空隙を形成する空隙形成工程と、
を有する分離膜の製造方法。
15.前記成形工程において、前記吐出口金として紡糸口金を用いることで、中空糸を形成する、前記14に記載の分離膜の製造方法。
本発明の分離膜は、セルロースエステルを含有する相と空隙とからなる共連続構造を備える。共連続構造では空隙の幅の変動が小さい。空隙は水の流路となるので、共連続構造では流路の幅の変動が小さいといえる。このように流路の幅の変動が小さいことで、水が流れやすくなり、高い透水性が得られる。
図1は、本発明の分離膜の共連続構造を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の樹脂組成物の共連続構造を模式的に示す断面図である。
本発明者らは、上記課題、つまり均一性の高い空隙を有し、セルロースエステルを含有する分離膜について鋭意検討した結果、上記セルロースエステルを含有する相と空隙とからなる共連続構造を備え、上記空隙の幅が1nm以上200nm以下である膜により、かかる課題の解決に成功したものである。
すなわち本発明は、セルロースエステルを含有し、上記セルロースエステルを含有する相と空隙とからなる共連続構造を備え、上記空隙が特定の幅を有することを特徴とする、分離膜、である。
以下、本発明の分離膜および樹脂組成物について説明する。
1.分離膜
(1−1)分離膜の構成概要
本発明の分離膜は、セルロースエステルを含有する。また、分離膜は、セルロースエステルを含有する相と空隙とからなる共連続構造を備える。
本発明の分離膜は、セルロースエステル(A)を主成分として含有することが好ましい。すなわち、分離膜においてセルロースエステル(A)の占める割合は、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。また、分離膜は実質的にセルロースエステルのみで構成されていてもよい。
分離膜は、セルロースエステル(A)以外に、可塑剤(B)、構造形成剤(C)等を含んでもよい。
なお、分離膜は、形状を保持するために水等の液体をその中に含んでいてもよい。ただし、以下の説明では、形状を保持するためのこれらの液体は分離膜の構成要素として考慮しない。
(1−2)組成
<セルロースエステル(A)>
本発明におけるセルロースエステル(A)の具体例としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、及びセルロースのグルコースユニットに存在する3つの水酸基が2種類以上のアシル基により封鎖されたセルロース混合エステル等が挙げられる。セルロース混合エステルの具体例としては、例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートラウレート、セルロースアセテートオレート、及びセルロースアセテートステアレート等が挙げられる。
例示した各セルロース混合エステルは、アセチル基と他のアシル基(例えば、プロピオニル基、ブチリル基、ラウリル基、オレイル基、及びステアリル基等)とを有する。セルロース混合エステルにおけるアセチル基及び他のアシル基との平均置換度は、下記式を満たすことが好ましい。なお、平均置換度とは、セルロースのグルコース単位あたりに存在する3つの水酸基のうちアシル基が化学的に結合した数を指す。
1.0≦(アセチル基の平均置換度+他のアシル基の平均置換度)≦3.0
0.1≦(アセチル基の平均置換度)≦2.6
0.1≦(他のアシル基の平均置換度)≦2.6
上記式が満たされることで、分離性能と透過性能とを両立する膜が実現される。さらに、上記式が満たされることで、分離膜の製造において、溶融紡糸時に、樹脂組成物の良好な熱流動性が実現される。
本発明の分離膜は、セルロースエステル(A)として1種類の化合物を含有してもよいし、2種類以上の化合物を含有してもよい。つまり、分離膜は、例えば、本明細書に挙げたセルロースエステルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する。
また、本発明の分離膜は、具体例として上記したセルロースエステルのうち、特に、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。これらのセルロースエステルを含有することで、後述するセルロースエステルを含有する相と空隙とからなる共連続構造が実現されやすい。
本発明におけるセルロースエステル(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、5.0万以上25.0万以下である。Mwを5.0万以上とすることで、溶融紡糸時の熱分解を抑制できる点、また分離膜の膜強度が実用レベルに到達できる点で好ましい。Mwを25.0万以下とすることで、溶融粘度が高くなりすぎることを抑制でき安定した溶融紡糸が行える点で好ましい。
Mwは6.0万以上22.0万以下であることがより好ましく、8.0万以上20.0万以下であることがさらに好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)とは、GPC測定により算出した値をいい、実施例にて詳細に説明する。
<可塑剤(B)>
本発明の分離膜は、可塑剤(B)を含有することができる。可塑剤(B)が製造時に製膜に用いられる樹脂組成物中に含まれる場合、膜の製造においてにセルロースエステル(A)を熱可塑化した後は、可塑剤(B)は分離膜の中に残存してもよいし、少なくとも一部の可塑剤(B)が分離膜の中から溶出してもよい。
分離膜における可塑剤(B)の含有量は、特に限定されないが、例えば40重量%以下である。可塑剤(B)の含有量は、より好ましくは5重量%以上35重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上30重量%である。
可塑剤(B)の詳細は後述する。
<構造形成剤(C)>
本発明の分離膜は、構造形成剤(C)を含有することができる。
分離膜における構造形成剤(C)の含有量は、5重量%以上60重量%以下であることが好ましい。構造形成剤(C)の含有量は、より好ましくは50重量%以下である。
構造形成剤(C)の詳細については後述する。
<酸化防止剤(D)>
本発明の分離膜は酸化防止剤(D)を含有することができる。酸化防止剤(D)としては、特にリン系酸化防止剤を含有することが好ましく、特にペンタエリスリトール系化合物が好ましい。ペンタエリスリトール系化合物として具体的には、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
リン系酸化防止剤を含有している場合、溶融紡糸時の熱分解が抑制され、その結果、膜強度の向上、膜への着色防止が可能となる。酸化防止剤(D)の含有量は、溶融紡糸する組成物に対して0.500重量%以下であることが好ましい。
(1−3)分離膜の形状
本発明の分離膜の形状は特に限定されないが、中空糸形状の分離膜(以下、中空糸膜ともいう)又は、平面形状の膜(以下、平膜ともいう)が好ましく採用される。このなかでも、中空糸膜は効率良くモジュールに充填することが可能であり、モジュールの単位体積当たりの有効膜面積を大きくとることができるためより好ましい。中空糸膜とは中空を有する糸状の膜である。
分離膜の厚みは、透過性能を向上させる観点から、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、1μm以上500μm以下であることがより好ましく、2μm以上400μm以下であることがさらに好ましく、20μm以上200μm以下であることが特に好ましく、50μm以上150μm以下であることが最も好ましい。
中空糸膜の場合、モジュールに充填した際の有効膜面積と、膜強度を両立させる観点から、中空糸の外径が100μm以上5000μm以下であることが好ましく、200μm以上5000μm以下であることがより好ましく、300μm以上4000μm以下であることがさらに好ましく、400μm以上700μm以下であることが特に好ましい。
また、中空糸膜の場合、中空部を流れる流体の圧損と、座屈圧との関係から、中空糸の中空率が15%以上70%以下であることが好ましく、20%以上65%以下であることがより好ましく、25%以上60%以下であることがさらに好ましい。
中空糸膜における中空糸の外径や中空率を上記範囲とする方法は特に限定されないが、例えば中空糸を製造する紡糸口金の吐出孔の形状、または巻取速度/吐出速度で算出できるドラフト比、を適宜変更することで調整できる。
(1−4)共連続構造
本発明の分離膜は、セルロースエステル(A)を含有する相と空隙とが共連続構造を有する。
セルロースエステルを含有する相の組成については、分離膜の組成についての説明が適用される。
ここで共連続構造とは、膜断面を透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した時、セルロースエステル(A)を含有する相と空隙とが、それぞれ連続し、かつ互いに三次元的に入り組んでいる状態である(図1参照)。
共連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)にも記載されている。
空隙の幅とは、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で観察した画像をフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にプロットしたグラフの極大ピークの波数から算出される周期のことを指す。
空隙の幅が1nm以上であることで、良好な透過性能を発揮できる。空隙の幅は2nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。また、空隙の幅が200nm以下であることで分離膜として良好な分離性能を発揮できる。空隙の幅は100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。本明細書では、空隙の幅のことを単に孔径と呼ぶことがある。
一般的に、共連続構造を有する多孔体は、粒子の集合体からなる多孔体よりも、孔径の均一性が高い。
孔径の均一性は横軸に孔径、縦軸にその孔径を有する細孔の数をプロットした曲線のピーク半値幅で判断できる。すなわち、孔径が均一な膜の場合、曲線はシャープなピークを形成し、半値幅は狭くなる。一方、孔径が不均一な場合は、曲線はブロードなピークを形成し、半値幅は広くなる。この、横軸に孔径、縦軸に細孔数をプロットしたグラフのピーク半値幅による孔径均一性評価は、横軸である孔径の逆数、すなわち波数としても同様の評価が可能であることから、上記電子顕微鏡画像をフーリエ変換したグラフを用いて評価する。
上記顕微鏡画像は、空隙の幅の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形の視野で撮影されたものとする。また、フーリエ変換したグラフの横軸を波数、縦軸を強度とし、プロットしたグラフのピークの半値幅とピークの極大波数を求める。
ピークの半値幅はピークの極大波数の増加に伴い増大する傾向にあるので、ピークの半値幅(a)、ピークの極大波数(b)とから計算される(a)/(b)の値を孔径の均一性評価の指標とした。
優れた分離特性を発現するためには、孔径均一性は高い方が好ましく、前記(a)/(b)の値においては1.5以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましい。また、分離性能の観点から、細孔構造は均一である程好ましいので、(a)/(b)の下限値は特に限定されないが、0よりも大きい値をとる。
なお、孔径の測定方法の詳細は実施例にて記載する。
<開孔率>
本発明の分離膜は、表面の開孔率(以下、単に開孔率と呼ぶことがある。)が10%以上70%以下であることが好ましい。10%以上であることで良好な透過流束が得られ、70%以下であることで良好な膜強度が得られる。15%以上60%以下であることがより好ましく、20%以上40%以下であることがさらに好ましく、25%以上35%以下であることが特に好ましい。
開孔率とは表面を観察した際に、観察面積に占める空隙の面積の割合であり、開孔率(%)=表面の空隙の面積/観察面積×100で表される。
<膜透過流束>
本発明の分離膜は、50kPa、25℃における膜透過流束が0.05m/m/hr以上20m/m/hr以下であることが好ましい。膜透過流束は0.1m/m/hr以上15m/m/hr以下であることがより好ましく、0.2m/m/hr以上10m/m/hr以下であることがさらに好ましい。膜透過流束の測定条件は実施例にて詳細に説明する。
<添加剤>
本発明の分離膜は、本発明の効果を損なわない範囲で上述した物質以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、有機滑剤、結晶核剤、有機粒子、無機粒子、末端封鎖剤、鎖延長剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、制電剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、抗酸化剤、イオン交換剤、消泡剤、着色顔料、蛍光増白剤、及び染料等が使用できる。
<分離膜の用途>
本発明の分離膜は、特に水処理に利用可能な膜である。水処理用膜としては、具体的には、精密濾過膜及び限外濾過膜等が挙げられる。本発明の分離膜は特に、限外濾過膜に好ましく適用される。
<モジュール>
本発明の分離膜は、使用時には分離膜モジュールに組み込まれてもよい。分離膜モジュールは、例えば、複数本の中空糸膜で構成された膜束と、この膜束を収容する筐体とを備える。
また、平膜であれば、支持体に固定されるか、膜同士が貼り合わせられることで封筒状膜を形成し、さらに必要に応じて集水管等に装着されることでモジュール化される。
2.樹脂組成物
本発明は、以下の樹脂組成物を提供する。すなわち、本発明の樹脂組成物は、セルロースエステルを含有する第1相、及び、第1相と部分相溶する第2相からなる共連続構造を備える(図2参照)。
(2−1)組成
<樹脂組成物全体>
樹脂組成物は、セルロースエステル(A)および構造形成剤(C)以外にも、可塑剤(B)、酸化防止剤(D)、および添加剤等の他の成分を含むことができる。樹脂組成物の成分およびその含有率については、後述の樹脂溶融工程における溶融樹脂の原料についての記載が適用される。
<第1相>
第1相は、好ましくはセルロースエステルを主成分とする。すなわち、第1相においてセルロースエステル(A)が占める割合は、50重量%以上であり、60重量%以上または70重量%以上であることが好ましい。また、第1相はセルロースエステル(A)のみで構成されていてもよい。
第1相は、可塑剤(B)を含有する。また、第1相は酸化防止剤等の他の成分をさらに含有してもよい。
第1相中には可塑剤が0.1重量%以上含まれる。
<第2相>
第2相が「第1相と部分相溶する」とは、具体的には、第2相が、第1相と部分相溶する物質である構造形成剤(C)を主成分とすることを意味する。つまり、第2相は、セルロースエステルと可塑剤との混合物と部分相溶する物質を主成分とする。部分相溶については後述する。第2相において構造形成剤(C)が占める割合は、50重量%以上であり、60重量%以上または70重量%以上であることが好ましい。また、第2相は、構造形成剤(C)のみで構成されてもよいし、可塑剤(B)等の他の成分をさらに含有してもよい。
<樹脂組成物の形状>
樹脂組成物は、共連続構造を備えればよく、その形状は特に限定されない。樹脂組成物は、中空糸であっても、平膜であってもよい。中空糸とは中空を有する糸状の樹脂組成物である。分離膜と区別するために、これらの形状をそれぞれ、「中空糸」、「フィルム」と呼ぶ。
中空糸およびフィルムから得られる分離膜は、効率良くモジュールに充填することが可能であり、モジュールの単位体積当たりの有効膜面積を大きくとることができるためより好ましい。
成形された樹脂組成物の厚みは、分離膜としたときに良好な透過性能を得る観点から、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、1μm以上500μm以下であることがより好ましく、2μm以上500μm以下であることがさらに好ましく、3μm以上300μm以下であることがよりさらに好ましく、4μm以上200μm以下であることが特に好ましい。
中空糸は、モジュールに充填した際の有効糸面積と、糸強度を両立させる観点から、中空糸の外径が100μm以上5000μm以下であることが好ましく、200μm以上5000μm以下であることがより好ましく、300μm以上4000μm以下であることがさらに好ましく、400μm以上2000μm以下であることが特に好ましい。
また、中空糸は、中空部を流れる流体の圧損と、座屈圧との関係から、中空糸の中空率が15%以上70%以下であることが好ましく、20%以上65%以下であることがより好ましく、25%以上60%以下であることがさらに好ましい。
中空糸における外径や中空率を上記範囲とする方法は特に限定されないが、例えば中空糸を製造する紡糸口金の吐出孔の形状、または巻取速度/吐出速度で算出できるドラフト比、を適宜変更することで調整できる。
(2−2)共連続構造
樹脂組成物における共連続構造の定義および観察方法は、分離膜についての記載とほぼ同様であるので、説明を省略する。ただし、樹脂組成物において共連続構造を形成するのは、第1相および第2相であるので、「セルロースを含有する相」を「第1相」に、「空隙」を「第2相」に読み替えればよい。
樹脂組成物において、第2相の幅が1nm以上であることで、この樹脂組成物からを有する分離膜を得ることができる。第2相の幅は2nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがさらに好ましい。また、第2相の幅を1000nm以下とすることで、樹脂組成物から適度な強度を有する分離膜を得ることができる。第2相の幅は200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、80nm以下であることがさらに好ましい。
均一な幅を有する空隙を含む分離膜を得るために、第2相の幅は均一であることが好ましい。均一性については、分離膜の共連続構造と同様にして評価できるが、顕微鏡画像は、第2相の幅の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形の視野で撮影されたものとする。
3.製造方法
次に、本発明の樹脂組成物および分離膜を製造する方法について、樹脂組成物、および分離膜が、それぞれ中空糸、および中空糸膜の場合を例に具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物および分離膜の製造方法としては、溶融紡糸法が好ましく適用される。
溶融紡糸法とは、原料を加熱により溶融および混練することで溶融樹脂を調製する工程(樹脂溶融工程)と、次にこの溶融樹脂を吐出口金であるスリット状の紡糸口金から吐出し、冷却により固化する工程(成形工程)とを含む、樹脂組成および膜の形成方法である。溶融紡糸法は、中空糸および中空糸膜のいずれの製造にも適用可能である。
樹脂組成物および分離膜の原料としては、上述のセルロースエステル(A)、可塑剤(B)、構造形成剤(C)、酸化防止剤(D)が挙げられる。それぞれの具体例については上述したとおりである。上記原料を各原料の融点以上の温度となるように加熱、溶融し、単軸押し出し機や二軸押し出し機などを用いて溶融混練し樹脂組成物を調製する。
特に本発明は、セルロースエステルと構造形成剤とを溶融および混練することで溶融樹脂を調製する樹脂溶融工程と、上記溶融樹脂を吐出口金から吐出することで膜状の成形体を得る成形工程と、溶融樹脂又は成形体において熱誘起相分離により共連続構造を形成する共連続構造形成工程と、上記樹脂組成物から構造形成剤を溶出することで空隙を形成する空隙形成工程と、を有する分離膜の製造方法を提供するものである。
<樹脂溶融工程>
樹脂溶融工程は、溶融製膜に用いられる溶融樹脂を調整する工程である。溶融製膜には、平膜の形成および中空糸膜の形成が含まれる。中空糸膜の形成は特に溶融紡糸と呼ばれる。
[原料]
溶融樹脂の原料(つまり樹脂溶融工程に用いられる材料)は、少なくともセルロースエステル(A)及び構造形成剤(C)を含み、可塑剤(B)及び酸化防止剤(D)をさらに含んでもよい。
セルロースエステル(A)の例については上述したとおりである。
原料の総量におけるセルロースエステル(A)の含有量は、20重量%以上90重量%以下である。セルロースエステル(A)の含有量を20重量%以上とすることで、高い強度を有する膜を実現することができる。セルロースエステル(A)の含有量を90重量%以下とすることで、可塑剤などの添加による溶融成形が可能になり、良好な曳糸性を付与することができる。セルロースエステル(A)の含有量は、より好ましくは30%以上85重量%以下、さらに好ましくは40%以上80重量%以下である。
可塑剤(B)としては、セルロースエステル(A)を熱可塑化する、つまり溶融可能にする化合物であれば特に限定されない。また、可塑剤(B)は単独又は2種以上を併用して使用することができる。本発明における可塑剤(B)としては、多価アルコール系化合物が好ましい。多価アルコール系化合物として具体的には、例えば、ポリアルキレングリコール、グリセリン系化合物、及びカプロラクトン系化合物、ないしそれらの誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、セルロースエステル(A)との良好な相溶性に起因して、少量の添加でも熱可塑性を発現するため、可塑剤による膜強度の低下を抑制する点から、ポリアルキレングリコールが好ましい。
ポリアルキレングリコールの具体的な例としては、例えば、重量平均分子量が200以上2,000以下である、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコール等が挙げられる。
溶融樹脂の原料の総量における可塑剤(B)の含有量は、3重量%以上50重量%以下であることが好ましい。可塑剤(B)の含有量を3重量%以上とすることで、セルロースエステル(A)の熱可塑性が良好なものとなる。可塑剤(B)の含有量を50重量%以下とすることで、紡糸性が良好なものとなる。可塑剤(B)の含有量は、より好ましくは5重量%以上40重量%以下、さらに好ましくは7重量%以上30重量%以下である。
構造形成剤(C)は、セルロースエステルとその可塑剤との混合物と部分相溶し、かつセルロースエステルを溶かさない溶媒で溶出または分解可能であればよい。
部分相溶とは、2種類以上の物質が、ある条件下では完全相溶するが、別の条件下では相分離することである。構造形成剤は、後述の共連続構造形成工程において、特定の温度条件下に置かれることで、セルロースエステルと相分離する物質である。具体的な条件は後述する。
構造形成剤(C)の具体的な例としては、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVP/酢酸ビニル共重合体及びPVP/メタクリル酸メチル共重合体等のPVPを含む共重合体、ポリビニルアルコール、ないしポリエステル系化合物等があげられる。これらは、単独もしくは併用して使用することができる。PVPは熱架橋が生じると後述の構造形成剤(C)の除去が困難になるため、分子間架橋が比較的進行しにくく、かつ架橋しても溶出することが可能な分子量2万以下の比較的分子量の小さいものが好ましく用いられる。ビニルピロリドンと酢酸ビニル等の共重合体を用いることも熱架橋が抑制される点で好ましい。
溶融樹脂の原料の総量における溶融紡糸時の構造形成剤(C)の含有量は、10重量%以上60重量%以下であることが好ましい。構造形成剤(C)の含有量を10重量%以上とすることで、後述の共連続構造形成工程において、セルロースエステル相と構造形成剤相とが、1以上1000nm以下の周期構造を有する共連続構造を形成し易くなる。構造形成剤(C)の含有量を60重量%以下とすることで、樹脂組成物中の構造形成剤の相の幅の過度の増大を抑制できる。
溶融樹脂の原料の総量において、可塑剤(B)および構造形成剤(C)の合計量の割合は、13重量%以上80重量%以下であることが好ましい。可塑剤(B)および構造形成剤(C)の合計量を13重量%以上とすることで、良好な曳糸性及び共連続構造が得られる。可塑剤(B)および構造形成剤(C)の合計量を80重量%以下とすることで、良好な強度の樹脂組成物及び分離膜が得られる。可塑剤(B)および構造形成剤(C)の合計量は、より好ましくは20重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上60重量%以下である。
樹脂組成物中の構造形成剤を有する相の厚みの過度の増大を抑制することは、分離膜の空隙の幅の過度の増大を抑制する効果も有し、分離性能が良好なものとなる。構造形成剤(C)の含有量は、より好ましくは15重量%以上55重量%以下、さらに好ましくは20重量%以上50重量%以下である。
分離膜の原料の総量における酸化防止剤(D)の含有量は、溶融紡糸する組成物に対して0.005重量%以上0.500重量%以下であることが好ましい。
溶融樹脂は、溶媒を含まないか、溶媒の含有率が20重量%以下であることで、後述の成形工程後も全体としての組成変動がないため、後述の共連続構造形成工程において、熱処理による孔造形成が容易となる。
(成形工程)
成形工程は、溶融樹脂を中空糸状または平膜状などの所望の形状に成形する工程である。成形工程を経た溶融樹脂を、「成形体」と称する。
上記で調整した、セルロースエステル(A)を主成分とする溶融樹脂を溶融紡糸法により中空糸化する場合は、紡糸温度(紡糸パックの温度)は、(Tm+5℃)〜(Tm+50℃)とすることが好ましい。Tmは、この溶融樹脂の示差走査熱量計(DSC)の昇温測定における結晶融解温度である。DSCの測定条件は実施例にて詳細に説明する。
紡糸温度は(Tm+5℃)〜(Tm+40℃)がより好ましく、(Tm+5℃)〜(Tm+30℃)がさらに好ましい。この紡糸温度を通常より低く抑えることで、樹脂組成物および分離膜の強度がより高くなる。
中空糸状の成形体の調製には、吐出口金として紡糸口金を使用することができる。具体的には、C型スリットの紡糸口金、弧状(アーク状)のスリット部が複数個(2〜5個)配置されて1個の吐出孔を形成する紡糸口金、チューブインオリフィス型の紡糸口金等が用いられる。
溶融樹脂は、紡糸パックの下部に取り付けられた紡糸口金の吐出孔より下方に押し出される。ここで紡糸口金の下面から冷却装置(チムニー)上端までの距離Hは0〜500mmであることが好ましく、0〜400mmであることがより好ましく、0〜300mmであることがさらに好ましい。
紡糸口金より吐出した中空糸を冷却する際、冷却装置(チムニー)の冷却風の温度は5〜80℃が好ましい。また、冷却風の風速は0.1〜2.0m/秒であることが好ましく、0.3〜2.0m/秒であることがより好ましく、0.5〜2.0m/秒であることがさらに好ましい。
冷却装置により冷却された中空糸は巻取装置により巻き取られる。巻取速度/吐出速度で算出できるドラフト比は1〜1,000であることが好ましく、20〜900であることがより好ましく、30〜800であることがさらに好ましい。
(共連続構造形成工程)
共連続構造形成工程は、樹脂溶融工程の後に行われる。ただし、共連続構造形成工程は、成形工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。つまり、共連続構造形成工程は、溶融樹脂および成形体のいずれであっても処理の対象とすることができる。
共連続構造、すなわち、セルロースエステルを含有する第1相および第1相と部分相溶する相が、それぞれ連続し、かつ互いに入り組んだ構造を形成するためには、相分離を利用することができる。相分離は、セルロースエステルと構造形成剤とが相溶した組成物の温度が特定範囲内になることで、誘起される。このように特定範囲内の温度条件で誘起される相分離を熱誘起相分離という。特定範囲内の温度としてはスピノーダル線以下、かつ、ガラス転移温度以上の温度にすることが好ましい。
すなわち、共連続構造形成工程は、溶融樹脂または成形体の温度を特定の範囲とすることによって実施される。温度範囲は、好ましくは40℃以上220℃以下であり、より好ましくは50℃以上200℃以下であり、さらに好ましくは60℃以上180℃以下である。
共連続構造を得るためには、特にスピノーダル分解による相分離が好ましく用いられる。共連続構造を得るにあたってはセルロースエステルと構造形成剤とが、相分離前には一旦相溶し、スピノーダル分解による相分離を経て構造を形成することが好ましい。こうして、第2相が均一な幅を有する樹脂組成物が得られる。
共連続構造形成工程は、冷却処理または加熱処理のいずれを含んでもよい。また、冷却処理は、対象物を徐冷(徐々に冷却すること)することであってもよい。例えば、相分離温度になるように、溶融樹脂または成形体を徐々に冷却してもよいし、相分離温度を下回るまで一旦急冷してから、相分離温度まで昇温してもよい。
徐冷は、例えば、紡糸口金より吐出された溶融樹脂に対して行われる。徐冷の方法としては、上述の紡糸口金の下面から冷却装置(チムニー)上端までの距離Hを大きく設定すること、冷却装置(チムニー)の冷却風の温度を高く設定すること、冷却風の速度を低く設定すること、ドラフト比を低く設定することなどが挙げられ、これらの方法を任意に組み合わせることもできる。
加熱処理の方法は特に限定されないが、例えば、中空糸を加熱ロール上で搬送することや、空気恒温槽や液浴に入れることにより高温処理することができる。
本工程で得られ、共連続構造を有する溶融樹脂または成形体は、上述の「樹脂組成物」に該当する。
(空隙形成工程)
空隙形成工程は、上記共連続構造形成工程および成形工程を経て得られた成形体(この成形体は共連続構造を有するので樹脂組成物でもある)から第2相の少なくとも一部を除去(溶出)することで、空隙を形成することができる。
第2相の除去は、例えば、セルロースエステル(A)を溶解または分解せず、構造形成剤を溶解または分解可能な溶媒に成形体を浸漬することにより行われる。このような処理を溶出工程とよぶ。
溶出工程における溶媒としては、例えば、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、水、アルコール、及びアルコール水溶液等が例示される。
中空糸膜を使用する前に、例えばアルコール含有水溶液、及びアルカリ性水溶液等によって膜の表面を親水化させることが好ましい。
こうして、セルロースエステルを含有する相と所定の幅を有する空隙とを有する共連続構造からなる、本発明の分離膜を製造することができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定および評価方法]
実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
(1)セルロースエステル(A)の平均置換度
セルロースにアセチル基およびアシル基が結合したセルロースエステル(A)の平均置換度の算出方法については下記の通りである。
80℃で8時間乾燥したセルロースエステル0.9gを秤量し、アセトン35mlとジメチルスルホキシド15mlを加え溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。撹拌しながら0.5N−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間ケン化した。熱水50mlを加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5N−硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行った。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、有機酸の組成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる酸組成分析結果から、下記式により置換度を計算した。
TA=(B−A)×F/(1000×W)
DSace=(162.14×TA)/[{1−(Mwace−(16.00+1.01))×TA}+{1−(Mwacy−(16.00+1.01))×TA}×(Acy/Ace)]
DSacy=DSace×(Acy/Ace)
TA:全有機酸量(ml)
A:試料滴定量(ml)
B:空試験滴定量(ml)
F:硫酸の力価
W:試料重量(g)
DSace:アセチル基の平均置換度
DSacy:アシル基の平均置換度
Mwace:酢酸の分子量
Mwacy:他の有機酸の分子量
Acy/Ace:酢酸(Ace)と他の有機酸(Acy)とのモル比
162.14:セルロースの繰り返し単位の分子量
16.00:酸素の原子量
1.01:水素の原子量
(2)セルロースエステル(A)の重量平均分子量(Mw)
セルロースエステル(A)の濃度が0.15重量%となるようにテトラヒドロフランに完全に溶解させ、GPC測定用試料とした。この試料を用い、以下の条件のもと、Waters2690でGPC測定を行い、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)を求めた。
カラム :東ソー製TSK gel GMHHR−Hを2本連結
検出器 :Waters2410 示差屈折計RI
移動層溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :1.0ml/分
注入量 :200μl
(3)中空糸および中空糸膜の外径(μm)
中空糸または中空糸膜の長手方向と垂直な方向(繊維径方向)と、膜の厚み方向の断面を光学顕微鏡により観察、撮影し、中空糸または中空糸膜の外径(μm)を算出した。なお、中空糸または中空糸膜の外径は、中空糸または中空糸膜10本を用いて算出し、その平均値とした。
なお、中空糸は、成形体でありかつ樹脂組成物でもあるので、以下では中空糸を「樹脂組成物」と呼ぶことがある。
(4)中空糸および中空糸膜の厚み
中空糸または中空糸膜の繊維径方向の断面を光学顕微鏡により観察、撮影し、中空糸または中空糸膜1本につき6箇所の厚みを測定した。この測定を中空糸または中空糸膜10本に対して行い、平均値をとることで中空糸または中空糸膜の厚みとした。
(5)中空糸および中空糸膜の中空率(%)
中空糸または中空糸膜の繊維径方向の断面を光学顕微鏡により観察、撮影し、断面の全面積Saと中空部の面積Sbを測定し、下式を用いて算出した。なお、中空率は中空糸または中空糸膜10本を用いて算出し、その平均値とした。
中空率(%)=(Sb/Sa)×100
(6)樹脂組成物中の第2相の幅、および分離膜中の空隙の幅(nm)
[樹脂組成物中の第2相の幅]
前処理(TEM):第2相を染色した後、樹脂組成物の長手方向に垂直な方向に超薄切片を切り出した
前処理(SEM):樹脂組成物を液体窒素で凍結した後、樹脂組成物の長手方向に垂直な方向の断面が出るように、応力を加えることにより割断した後、第2相を染色した。
観察:透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率10,000〜100,000で樹脂組成物の長手方向に垂直な方向の断面を観察し、1視野の画像を得た。なお、第2相がSEMで観察できない微小な幅を有する場合にTEMにより観察を行った。得られた画像から正方形の画像を切り出し、フーリエ変換した後、波数を横軸に強度を縦軸にグラフをプロットした。極大ピークの波数から周期を算出し、この周期をその視野の第2相の幅とした。極大ピークが得られなかった場合は観察倍率を適宜調節して再度観察し、第2相の幅の算出を行った。得られた第2相の幅と、上記正方形の画像の一辺が式(1)の関係を満たさなかった場合は、上記正方形の大きさを変えて第2相の幅を算出し、式(1)の関係を満たすよう調節した。なお、観察箇所は両表面の近傍を含み、膜厚方向に等間隔となるよう10箇所として、各観察箇所で第2相の幅を算出した。このうち最も第2相の幅が小さくなった観察箇所の数値を第2相の幅として採用した。
第2相の幅×10≦正方形の一辺≦第2相の幅×100・・・式(1)
[分離膜中の空隙の幅]
前処理(TEM):分離膜の長手方向に垂直な方向に超薄切片を切り出した。
前処理(SEM):空隙形成工程を実施して得られた分離膜を液体窒素で凍結した後、分離膜の長手方向に垂直な方向の断面が出るように、応力を加えることにより割断し、白金でスパッタリングを行った。
観察:透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率10,000〜100,000で分離膜の長手方向に垂直な方向の断面を観察し、1視野の画像を得た。なお、空隙がSEMで観察できない微小な幅を有する場合にTEMにより観察を行った。得られた画像から正方形の画像を切り出し、フーリエ変換した後、波数を横軸に強度を縦軸にグラフをプロットした。極大ピークの波数から周期を算出し、この周期をその視野の空隙の幅とした。極大ピークが得られなかった場合は観察倍率を適宜調節して再度観察し、空隙の幅の算出を行った。得られた空隙の幅と、上記正方形の画像の一辺が式(2)の関係を満たさなかった場合は、上記正方形の大きさを変えて空隙の幅を算出し、式(2)の関係を満たすよう調節した。なお、観察箇所は両表面の近傍を含み、膜厚方向に等間隔となるよう10箇所として各観察箇所で空隙の幅を算出した。このうち最も空隙の幅が小さくなった観察箇所の数値を空隙の幅として採用した。
空隙の幅×10≦正方形の一辺≦空隙の幅×100・・・式(2)
(7)透過性能(膜透過流束(m/m/h))
温度25℃、ろ過差圧50kPaの条件で、30分間にわたって蒸溜水を送液し得られた透過水量(m)を測定し、単位時間(h)および単位膜面積(m)当たりの数値に換算し、純水の透過性能(単位=m/m/h)とした。なお、実施例では中空糸膜4本からなる有効長さ200mmの小型モジュールを作製して膜ろ過処理を行った。よって単位膜面積は平均外径と中空糸膜の有効長から算出した。
(8)ピーク半値幅(a)/ピークの極大波数(b)の算出
透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、樹脂組成物または分離膜の長手方向に垂直な方向の断面を倍率10,000〜200,000倍で観察して画像を得た。得られた画像を正方形の一辺が、樹脂組成物の第2相の幅または分離膜の空隙の幅の10〜100倍になるよう適宜範囲を選択してフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にグラフをプロットした。グラフのピーク波数と半値幅から平均孔径と均一性の指標である(a)/(b)を求めた。
(9)溶融樹脂の結晶融解温度(℃)
上記溶融樹脂を急冷、固化させたものを試料とし、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量計DSC−6200を用い、25℃、8時間真空乾燥を行った試料約5mgをアルミニウム製受皿にセットし、−50℃から昇温速度20℃/分で350℃まで昇温後、350℃のまま5分間溶融保持した際に観測される結晶融解ピークを結晶融解温度(℃)とした。なお、結晶融解ピークが複数現れる場合は、最も高温側に現れる結晶融解ピークを採用した。
(10)開孔率(%)
白金でスパッタリングを行い分離膜の前処理を実施した後、走査型電子顕微鏡を用いて倍率10,000〜200,000倍で分離膜表面を観察し、画像を得た。得られた画像を一辺1μmの正方形に切り出し、画像解析ソフトを用いて二値化及び面積計算を行い、空隙の面積を測定した。式(3)より表面の開孔率を求めた。
開孔率=空隙の面積/観察面積×100・・・式(3)
[セルロースエステル(A)]
セルロースエステル(A1):セルロースアセテートプロピオネート
セルロース(コットンリンター)100重量部に、酢酸240重量部とプロピオン酸67重量部を加え、50℃で30分間混合した。混合物を室温まで冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸172重量部と無水プロピオン酸168重量部をエステル化剤として、硫酸4重量部をエステル化触媒として加えて、150分間撹拌を行い、エステル化反応を行った。エステル化反応において、40℃を越える時は、水浴で冷却した。反応後、反応停止剤として酢酸100重量部と水33重量部の混合溶液を20分間かけて添加して、過剰の無水物を加水分解した。その後、酢酸333重量部と水100重量部を加えて、80℃で1時間加熱撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム6重量部を含む水溶液を加えて、析出したセルロースアセテートプロピオネートを濾別し、続いて水で洗浄した後、60℃で4時間乾燥し、セルロースエステル(A1)(セルロースアセテートプロピオネート)を得た。得られたセルロースアセテートプロピオネートのアセチル基およびプロピオニル基の平均置換度は各々1.9、0.7であり、重量平均分子量(Mw)は17.8万であった。
可塑剤(B)
可塑剤(B1):ポリエチレングリコール、重量平均分子量600
構造形成剤(C)
構造形成剤(C1):ポリビニルピロリドン(PVP K17)
構造形成剤(C2):PVP/酢酸ビニル共重合(Kollidon VA 64 (BASFジャパン株式会社))
酸化防止剤(D)
酸化防止剤(D1):ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
[樹脂組成物および分離膜の製造]
(実施例1)
セルロースエステル(A1)57.3重量%と、可塑剤(B)として重量平均分子量600のポリエチレングリコール(B1)(三洋化成工業株式会社)12.6重量%、PVP(K17)(C1)(BASFジャパン株式会社)30.0重量%および酸化防止剤(D)としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(D1)0.1重量%を二軸押出機にて240℃で溶融混練し、均質化した後にペレット化して、溶融紡糸用の樹脂を得た。この樹脂を80℃、8時間真空乾燥を行った。
乾燥させた樹脂を二軸押出機に供給し230℃で溶融、混練して溶融樹脂とした(樹脂溶融工程)。溶融樹脂を紡糸温度200℃とした溶融紡糸パックへ導入して、吐出量10g/分の条件で、口金孔(二重円管タイプ、吐出孔半径4.6mm、スリット巾0.43mm)を4ホール有した口金の外側環状部より下方に紡出した(成形工程)。この紡出した中空糸を、口金の下面から冷却装置(チムニー)上端までの距離Hが150mmとなるように冷却装置へ導き、25℃、風速0.1m/秒の冷却風によって冷却しながら、ドラフト比が20となるようにワインダーで巻き取った(共連続構造形成工程)。こうして得られた中空糸(樹脂組成物)の物性を表1に示した。
50%エタノール水溶液に得られた樹脂組成物を12時間浸漬することで、構造形成剤を溶出して空隙を形成するとともに親水化を施した。エタノール処理を経た中空糸を「分離膜」として、物性を測定した。結果を表1に示した。
(実施例2〜11、比較例1〜2)
溶融紡糸用樹脂組成物の組成、製造条件をそれぞれ表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして中空糸(樹脂組成物)および分離膜を得た。得られた中空糸および分離膜の物性を表1に示した。
(実施例12)
セルロースエステル(A1)41.1重量%と、可塑剤(B)として重量平均分子量600のポリエチレングリコール(B1)(三洋化成工業株式会社)8.8重量%、PVP(K17)(C1)(BASFジャパン株式会社)50.0重量%および酸化防止剤(D)としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(D1)0.1重量%を二軸押出機にて240℃で溶融混練し、均質化した後にペレット化して、溶融紡糸用の樹脂を得た。この樹脂を80℃、8時間真空乾燥を行った。
乾燥させた樹脂を二軸押出機に供給し230℃で溶融、混練して溶融樹脂とした(樹脂溶融工程)。溶融樹脂を紡糸温度230℃とした溶融紡糸パックへ導入して、吐出量10g/分の条件で、口金孔(二重円管タイプ、吐出孔半径4.6mm、スリット巾0.43mm)を4ホール有した口金の外側環状部より下方に紡出した(成形工程)。この紡出した中空糸を、口金の下面から冷却装置(チムニー)上端までの距離Hが150mmとなるように冷却装置へ導き、25℃、風速1.0m/秒の冷却風によって冷却しながら、ドラフト比が200となるようにワインダーで巻き取った後、中空糸を180℃の熱風オーブンにて10分間加熱した共連続構造形成工程)。こうして得られた中空糸(樹脂組成物)の物性を表1に示した。
50%エタノール水溶液に得られた樹脂組成物を12時間浸漬することで、構造形成剤を溶出して空隙を形成するとともに親水化を施した。エタノール処理を経た中空糸を「分離膜」として、物性を測定した。結果を表1に示した。
(実施例13)
溶融紡糸用樹脂組成物の組成、製造条件をそれぞれ表1のように変更した以外は、実施例12と同様にして中空糸および分離膜を得た。得られた中空糸(樹脂組成物)および分離膜の物性を表1に示した。
Figure 0006202231
実施例1〜13の樹脂組成物および膜は、いずれも共連続構造を有していた。さらに、表1の結果より、実施例1〜13の樹脂組成物は、いずれも(a)/(b)(中空糸)が1.50以下であり、第2相の幅は均一であった。実施例1〜13の分離膜についても(a)/(b)(中空糸膜)が1.50以下であり、空隙の幅は均一であった。
一方、比較例1、2の樹脂組成物および分離膜においては、共連続構造は確認されなかった。なお、比較例1の分離膜は十分な空隙が形成されず透過性能を確認できず、比較例2の分離膜は透過性能測定中に膜つぶれが生じ、膜透過流束を測定できなかった。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2015年9月30日付で出願された日本特許出願(特願2015−194098)に基づいており、その全体が引用により援用される。
本発明は、分離性能と透過性能に優れる、主にセルロース系樹脂からなる分離膜である。本発明の分離膜は、海水、かん水、下水、排水などから工業用水、飲料水などを製造するための水処理用膜、人工腎臓や血漿分離などの医療用膜、果汁濃縮などの食品・飲料工業用膜、排気ガス、炭酸ガスなどを分離するガス分離膜、燃料電池セパレータなどの電子工業用膜などに用いることができる。上記水処理用膜の種類としては、精密濾過膜、限外濾過膜などに好ましく用いることができる。

Claims (7)

  1. セルロースエステルを含有する分離膜であって、
    前記セルロースエステルを含有する相と空隙とからなる共連続構造を備え、
    前記空隙の幅が1nm以上200nm以下である、
    分離膜。
  2. 前記分離膜の空隙の幅の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形の視野で撮影された顕微鏡画像をフーリエ変換して得られる、横軸が波数、縦軸が強度からなるグラフの曲線において、ピーク半値幅(a)、ピークの極大波数(b)とするとき、0<(a)/(b)≦1.5となる領域を含む、請求項1に記載の分離膜。
  3. 50kPa、25℃における膜透過流束が0.05m/m/h以上20m/m/h以下である、請求項1又は2に記載の分離膜。
  4. 前記分離膜の厚みが1μm以上1000μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離膜。
  5. 前記分離膜が中空糸形状である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分離膜。
  6. 前記中空糸の外径が100μm以上5000μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分離膜。
  7. 前記セルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分離膜。
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