JP2020049417A - 分離膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、透過性能に優れ、スクラビングに耐えうる分離膜を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、セルロースエステルを主成分とし、空隙の平均孔径Rが、0.001〜1.000μmであり、破断パラメータが、40以上であり、伸度が、10%以上であり、かつ、表面開孔率が、5〜50%である、分離膜を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、分離膜及びその製造方法に関する。
分離膜は、河川や海水、下廃水から濁質やイオンを取り除き、工業用水や飲料水を製造するための水処理用膜、人工腎臓や血漿分離等の医療用膜、果汁濃縮等の食品・飲料工業用膜、又は、炭酸ガス等を分離するガス分離膜等、幅広い分野で使用されている。
大部分の分離膜はポリマーを素材としている。その中でも、セルロース系樹脂はその親水性に起因する透水性能や、塩素系の殺菌剤に強いという耐塩素性能を有することから、水処理用膜をはじめとする分離膜として広く用いられている。
例えば特許文献1及び2並びに非特許文献1では、セルロースエステルと気孔形成剤とからなる樹脂組成物を有機溶媒中に浸漬し、浸漬水からなる凝固液中に吐出して相分離させることで、分離膜を得る技術が開示されている。
特許文献3に記載の技術では、膜厚方向に均一な構造を有する、高い膜強度の分離膜が得られる。
Ind.Eng.Chem.Res.2011,50,3798−3817.
中空糸膜を用いて長時間水をろ過すると、膜面が汚れるため、定期的にスクラビングという洗浄作業が必要となる。スクラビングとは、泡で中空糸膜を揺らすことにより、物理的に膜表面の汚れを落とす洗浄方法である。しかし、従来の膜では、スクラビングの際に糸切れが多く発生するという問題があった。
そこで、本発明は、透過性能に優れ、スクラビングに耐えうる分離膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、伸度又は強度だけでなく、その両方を有することがスクラビング時の膜の破断の抑制に有効であること、及び、表面開孔率を5〜50%の範囲とすることが優れた透過性能の発現に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の分離膜は、セルロースエステルを主成分とし、空隙の平均孔径Rが、0.001〜1.000μmであり、破断パラメータが、40以上であり、伸度が、10%以上であり、かつ、表面開孔率が5〜50%である。
本発明によれば、高い膜強度、高い伸度、及び、優れた透過性能を有する分離膜が提供される。
本形態の分離膜は、セルロースエステルを主成分とし、空隙の平均孔径Rが、0.001〜1.000μmであり、破断パラメータが、40以上であり、伸度が、10%以上であり、かつ、表面開孔率が、5〜50%であることを特徴とする。
(分離膜を構成する樹脂組成物)
本発明の分離膜を構成する樹脂組成物は、以下の(1)のセルロースエステル以外に、以下の(2)〜(5)に示した成分を含むことができる。
本発明の分離膜を構成する樹脂組成物は、以下の(1)のセルロースエステル以外に、以下の(2)〜(5)に示した成分を含むことができる。
(1)セルロースエステル
本発明の分離膜は、セルロースエステルを主成分として含む必要がある。ここでいう主成分とは、分離膜を構成する樹脂組成物の全成分の中で、質量的に最も多く含まれる成分をいう。
本発明の分離膜は、セルロースエステルを主成分として含む必要がある。ここでいう主成分とは、分離膜を構成する樹脂組成物の全成分の中で、質量的に最も多く含まれる成分をいう。
セルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート若しくはセルロースブチレート等のセルロースエステル、又は、セルロースアセテートプロピオネート若しくはセルロースアセテートブチレート等のセルロース混合エステルが挙げられる。中でも、樹脂成形物の加工性、得られる分離膜の膜強度の観点から、セルロースアセテートプロピオネートが好ましい。ここでのセルロースエステルアセテートプロピオネートとは、アセチル基とプロピオニル基との平均置換度が、それぞれ0.1以上のセルロースエステルである。
セルロースエステルの重量平均分子量(Mw)は、5万〜25万であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が5万以上であることで、分離膜製造時に溶融する際のセルロースエステルの熱分解が抑制され、かつ、分離膜の膜強度が実用レベルに到達できる。重量平均分子量(Mw)が25万以下であることで、溶融粘度が高くなり過ぎないので、安定した溶融製膜が可能となる。なお、重量平均分子量(Mw)とは、GPC測定により算出される値である。その算出方法については、実施例にて詳細に説明する。
例示した各セルロース混合エステルは、アセチル基と他のアシル基(プロピオニル基、ブチリル基等)とを有する。分離膜に含有されるセルロース混合エステルにおいて、アセチル基と他のアシル基との平均置換度は、下記式を満たすことが好ましい。
1.0≦(アセチル基の平均置換度+他のアシル基の平均置換度)≦3.0
0.1≦(アセチル基の平均置換度)≦2.6
0.1≦(他のアシル基の平均置換度)≦2.6
上記式が満たされることで、分離膜の透過性能と、分離膜を構成する樹脂組成物を溶融する際の良好な熱流動性とが実現される。なお、平均置換度とは、セルロースのグルコース単位当たりに存在する3つの水酸基の内、アシル基(アセチル基+他のアシル基)が化学的に結合した数をいう。
0.1≦(アセチル基の平均置換度)≦2.6
0.1≦(他のアシル基の平均置換度)≦2.6
上記式が満たされることで、分離膜の透過性能と、分離膜を構成する樹脂組成物を溶融する際の良好な熱流動性とが実現される。なお、平均置換度とは、セルロースのグルコース単位当たりに存在する3つの水酸基の内、アシル基(アセチル基+他のアシル基)が化学的に結合した数をいう。
分離膜は1種類のセルロースエステルのみを含有しても構わないし、2種類以上のセルロースエステルを含有しても構わない。
分離膜中のセルロースエステルの含有量は、分離膜の全成分を100質量%としたときに、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。分離膜のセルロースエステルの含有量が70質量%以上であることで、分離膜の膜強度が十分なものとなる。
また分離膜を製造する原料中のセルロースエステルの含有量は、原料を構成する成分の全体を100質量%としたときに、15〜90質量%が好ましい。含有量が15質量%以上であることで、分離膜の膜強度が良好なものとなる。一方で、含有量が90質量%以下であることで、分離膜の熱可塑性及び透過性能が良好なものとなる。含有量は20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。また、含有量は70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
(2)セルロースエステルの可塑剤
本発明の分離膜を構成する樹脂組成物は、セルロースエステルの可塑剤を含むことができる。
本発明の分離膜を構成する樹脂組成物は、セルロースエステルの可塑剤を含むことができる。
セルロースエステルの可塑剤は、セルロースエステルを熱可塑化する化合物であれば特に限定されない。また、1種類の可塑剤だけでなく、2種類以上の可塑剤が併用されても構わない。
セルロースエステルの可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール若しくはポリエチレングリコール脂肪酸エステル等のポリアルキレングリコール系化合物、グリセリン脂肪酸エステル若しくはジグリセリン脂肪酸エステル等のグリセリン系化合物、クエン酸エステル系化合物、リン酸エステル系化合物若しくはアジピン酸エステル等の脂肪酸エステル系化合物又はカプロラクトン系化合物、あるいは、それらの誘導体等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール系化合物としては、例えば、重量平均分子量(Mw)が400〜4,000である、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリブチレングリコール等が挙げられる。
セルロースエステルの可塑剤は、分離膜を形成した後は、分離膜中に残存してもよいし、分離膜から溶出させてもよい。
また、セルロースエステルの可塑剤は、原料を構成する成分の全体を100質量%としたときに、5〜40質量%含有することが好ましい。
含有量が5質量%以上であることで、セルロースエステルの熱可塑性及び分離膜の透過性能が良好なものとなる。一方で、含有量が40質量%以下であることで、分離膜の膜強度が良好なものとなる。セルロースエステルの可塑剤の含有量は、10〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。
(3)酸化防止剤
本発明の分離膜の原料となる樹脂組成物は、酸化防止剤を含むことが好ましい。樹脂組成物が酸化防止剤を含有することで、分離膜の製造時にポリマーを溶融する際の熱分解が抑制され、その結果として得られる分離膜の膜強度が向上し、分離膜の着色が抑制される。
本発明の分離膜の原料となる樹脂組成物は、酸化防止剤を含むことが好ましい。樹脂組成物が酸化防止剤を含有することで、分離膜の製造時にポリマーを溶融する際の熱分解が抑制され、その結果として得られる分離膜の膜強度が向上し、分離膜の着色が抑制される。
酸化防止剤としては、リン系の酸化防止剤が好ましく、ペンタエリスリトール系化合物がより好ましい。ペンタエリスリトール系化合物としては、例えば、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
酸化防止剤は、樹脂組成物の全成分を100質量%としたときに、0.005〜0.500質量%が好ましい。酸化防止剤の含有量が上記範囲にあることで、調製工程において、均一な樹脂組成物を得ることができる。
(4)構造形成剤
本発明の分離膜を構成する樹脂組成物は、構造形成剤を含むことができる。
本発明の分離膜を構成する樹脂組成物は、構造形成剤を含むことができる。
本発明における構造形成剤は、セルロースエステル、又は、セルロースエステルとその可塑剤との混合物と部分相溶し、かつ、セルロースエステルを溶かさない溶媒により溶出又は分解可能であれば特に限定されない。
部分相溶とは、2種類以上の物質が、ある条件下では完全相溶するが、別の条件下では相分離することをいう。構造形成剤は、後述の浸漬工程において、特定の条件を満たす溶媒と接触することで、セルロースエステルと相分離する物質である。具体的な条件は後述する。
本発明における構造形成剤は、水に溶解するか、又は、水に対する接触角が、分離膜に含有されるセルロースエステルよりも小さい化合物であることが、容易に溶出できる点から好ましい。
構造形成剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン(以下、「PVP」)、PVP/酢酸ビニル共重合体、PVP/メタクリル酸メチル共重合体等のPVPをベースとする共重合体、ポリビニルアルコール、又は、ポリエステル系化合物等があげられる。
PVPは熱架橋が生じると分離膜から溶出させることが困難になるため、分子間架橋が比較的進行しにくく、かつ架橋しても溶出することが可能である観点から、重量平均分子量(Mw)は2万以下であることが好ましい。また、前段落に記載したPVPをベースとする共重合体を用いることも、熱架橋が抑制される点で好ましい。
構造形成剤は、後述する浸漬工程以降の工程において、少なくともその一部を溶出させることで、構造形成剤が抜けた跡が膜中における空隙となりその結果、透過性能が良好となる。
構造形成剤の含有量は、原料を構成する成分の全体を100質量%とした際に、20〜80質量%であることが好ましい。
含有量が20質量%以上であることで、分離膜の透過性能が良好なものとなる。一方で、含有量が80質量%以下ですることで、膜強度が良好なものとなる。構造形成剤の含有量は、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。また構造形成剤の含有量は、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
(5)添加剤
本発明の分離膜を構成する樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(2)〜(4)に記載した以外の添加剤を含有しても構わない。
本発明の分離膜を構成する樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(2)〜(4)に記載した以外の添加剤を含有しても構わない。
添加剤としては、例えば、セルロースエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニル化合物、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスルホン若しくはポリエーテルスルホン等の樹脂、有機滑剤、結晶核剤、有機粒子、無機粒子、末端封鎖剤、鎖延長剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、制電剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、抗酸化剤、イオン交換剤、消泡剤、着色顔料、蛍光増白剤又は染料等が挙げられる。
(分離膜の形状)
本発明の分離膜の形状は特に限定されないが、中空糸形状の分離膜(以下、「中空糸膜」)、又は、平面形状の膜(以下、「平膜」)が好ましく採用される。中でも、中空糸膜は効率良くモジュールに充填することが可能であり、モジュールの単位体積当たりの有効膜面積を大きくとることができるためより好ましい。
本発明の分離膜の形状は特に限定されないが、中空糸形状の分離膜(以下、「中空糸膜」)、又は、平面形状の膜(以下、「平膜」)が好ましく採用される。中でも、中空糸膜は効率良くモジュールに充填することが可能であり、モジュールの単位体積当たりの有効膜面積を大きくとることができるためより好ましい。
分離膜の厚みは、透過性能と膜強度とを両立させる観点から、10〜500μmであることが好ましい。
中空糸膜の場合、モジュールに充填した際の有効膜面積と、膜強度とを両立させる観点から、中空糸膜の外径が50〜2500μmであることが好ましい。中空糸膜の外径は、100μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましく、300μm以上であることが特に好ましい。また、中空糸膜の外径は、2000μm以下であることがより好ましく、1500μm以下であることがさらに好ましく、1000μm以下であることが特に好ましい。
また、中空糸膜の場合、中空部を流れる流体の圧損と、座屈圧との関係から、中空糸の中空率が15〜70%であることが好ましく、20〜65%であることがより好ましく、25〜60%であることがさらに好ましい。
中空糸膜における中空糸の外径や中空率を上記範囲とする方法は特に限定されないが、例えば、中空糸を製造する紡糸口金の吐出孔の形状、又は、巻取速度/吐出速度で算出できるドラフト比を適宜変更することで調整できる。
(分離膜の断面構造)
本発明の分離膜は、均一な多孔構造を有することが好ましい。この均一な多孔構造は、孔径の分布によって、定義される。分離膜の孔径等の具体的な測定方法については、実施例で説明する。
本発明の分離膜は、均一な多孔構造を有することが好ましい。この均一な多孔構造は、孔径の分布によって、定義される。分離膜の孔径等の具体的な測定方法については、実施例で説明する。
均一な多孔構造を有することで、分離膜の除去性能が良好なものとなり、高い膜の強度を発現する。
本発明の分離膜は、空隙の平均孔径Rが0.001〜1.000μmである。分離膜に良好な透過性能と除去性能とを付与するため、空隙の平均孔径Rは、0.700μm以下であることが好ましく、0.500μm以下であることがより好ましく、0.300μm以下であることがさらに好ましい。また、空隙の平均孔径Rは、0.020μm以上であることが好ましく、0.030μm以上であることがより好ましい。
(分離膜の膜強度)
一般的に、膜の空隙率が大きいほど、膜を支える固体部分の比率が少ないため、膜の強度は低くなる。本発明の分離膜では、単に破断強度をもって強度を評価するのではなく、空隙率も考慮した破断パラメータによって評価する。破断パラメータとは、下記式(1)で表される数値をいう。
一般的に、膜の空隙率が大きいほど、膜を支える固体部分の比率が少ないため、膜の強度は低くなる。本発明の分離膜では、単に破断強度をもって強度を評価するのではなく、空隙率も考慮した破断パラメータによって評価する。破断パラメータとは、下記式(1)で表される数値をいう。
破断パラメータ=破断強度(MPa)÷(100−空隙率(%))×100 ・・・・・・(1)
本発明の分離膜は、破断パラメータが40以上である。破断パラメータは45以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましい。空隙率及び破断強度の具体的な測定方法については、実施例で説明する。
本発明の分離膜は、破断パラメータが40以上である。破断パラメータは45以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましい。空隙率及び破断強度の具体的な測定方法については、実施例で説明する。
(分離膜の表面開孔率)
本発明の分離膜は、表面開孔率が5〜50%である。表面開孔率が5%以上であることで良好な透過性能が得られ、表面開孔率が50%以下であることで良好な膜強度が得られる。表面開孔率は10〜45%であることが好ましく、15〜40%であることがより好ましい。開孔率とは分離膜の表面を観察した際に、観察面積に占める空隙の面積の割合である。具体的な測定方法については、実施例で説明する。
本発明の分離膜は、表面開孔率が5〜50%である。表面開孔率が5%以上であることで良好な透過性能が得られ、表面開孔率が50%以下であることで良好な膜強度が得られる。表面開孔率は10〜45%であることが好ましく、15〜40%であることがより好ましい。開孔率とは分離膜の表面を観察した際に、観察面積に占める空隙の面積の割合である。具体的な測定方法については、実施例で説明する。
(分離膜の伸度)
スクラビングの際の糸切れを防ぐために、中空糸膜には、高い膜強度だけでなく、高い伸度が求められる。本発明の分離膜は、伸度が10%以上である。伸度は15%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましい。具体的な測定方法については、実施例で説明する。
スクラビングの際の糸切れを防ぐために、中空糸膜には、高い膜強度だけでなく、高い伸度が求められる。本発明の分離膜は、伸度が10%以上である。伸度は15%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましい。具体的な測定方法については、実施例で説明する。
(分離膜の配向度)
本発明の分離膜は、主配向方向においてセルロースエステルが、1.05〜1.50の配向度を有することが好ましい。配向度が上記の範囲内であることにより、良好な破断強度と伸度とを両立することができる。主配向方向においてセルロースエステルは、1.10〜1.40の配向度を有することがより好ましい。ここでの配向度は、FT−IRを用いて測定される。具体的な測定方法については、実施例で説明する。
本発明の分離膜は、主配向方向においてセルロースエステルが、1.05〜1.50の配向度を有することが好ましい。配向度が上記の範囲内であることにより、良好な破断強度と伸度とを両立することができる。主配向方向においてセルロースエステルは、1.10〜1.40の配向度を有することがより好ましい。ここでの配向度は、FT−IRを用いて測定される。具体的な測定方法については、実施例で説明する。
(分離膜の結晶融解温度、結晶融解熱量)
本発明の分離膜は、結晶融解温度が200℃以上であることが好ましく、210℃以上であることがより好ましい。また、結晶融解熱量が5.0J/g以上であることが好ましい。ここでの結晶融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で昇温した場合の融解ピーク温度である。分離膜の結晶融解熱量は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で昇温した場合の200℃以上の融解熱量である。結晶融解温度と結晶融解熱量とが上記の範囲内であると、分子鎖が凝集した構造を形成し、高い膜強度を発揮できる。結晶融解熱量は、10.0J/g以上であることがより好ましい。また、結晶融解温度は、280℃未満であることがより好ましい。結晶融解温度が280℃以上であると、下記記載の調製工程で均一な樹脂組成物を得ることができず、最終的に得られる分離膜が十分な膜強度を発揮できない。
本発明の分離膜は、結晶融解温度が200℃以上であることが好ましく、210℃以上であることがより好ましい。また、結晶融解熱量が5.0J/g以上であることが好ましい。ここでの結晶融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で昇温した場合の融解ピーク温度である。分離膜の結晶融解熱量は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で昇温した場合の200℃以上の融解熱量である。結晶融解温度と結晶融解熱量とが上記の範囲内であると、分子鎖が凝集した構造を形成し、高い膜強度を発揮できる。結晶融解熱量は、10.0J/g以上であることがより好ましい。また、結晶融解温度は、280℃未満であることがより好ましい。結晶融解温度が280℃以上であると、下記記載の調製工程で均一な樹脂組成物を得ることができず、最終的に得られる分離膜が十分な膜強度を発揮できない。
(分離膜の結晶化度)
本発明の分離膜は、結晶化度が1.5以上であることが好ましい。結晶化度が1.5以上であると、分子鎖の運動性抑制が十分なものとなり、高い膜強度が発揮される。なおここでの結晶化度とは、X線回折測定において、回折角2θが20.5°のX線回折強度ピークに対する、回折角2θが8°の回折ピーク強度の比である。
本発明の分離膜は、結晶化度が1.5以上であることが好ましい。結晶化度が1.5以上であると、分子鎖の運動性抑制が十分なものとなり、高い膜強度が発揮される。なおここでの結晶化度とは、X線回折測定において、回折角2θが20.5°のX線回折強度ピークに対する、回折角2θが8°の回折ピーク強度の比である。
(分離膜の固体NMRの緩和時間)
本発明の分離膜は、固体高分解能核磁気共鳴分光法(NMR)において測定される緩和時間T1Cにおいて、カルボニル炭素の緩和時間τ1と、グルコース環6位の炭素の緩和時間τ2とが、下記式(2)を満たすことが好ましい。
本発明の分離膜は、固体高分解能核磁気共鳴分光法(NMR)において測定される緩和時間T1Cにおいて、カルボニル炭素の緩和時間τ1と、グルコース環6位の炭素の緩和時間τ2とが、下記式(2)を満たすことが好ましい。
2.6≦τ1/τ2 ・・・・・・(2)
(τ1/τ2)が2.6以上であると、分子鎖の運動性抑制が十分なものとなり、高い膜強度が発揮される。
(τ1/τ2)が2.6以上であると、分子鎖の運動性抑制が十分なものとなり、高い膜強度が発揮される。
(分離膜の製造方法)
本発明の分離膜の製造方法は、
(1)10〜90質量%以下のセルロースエステルと、10〜90質量%の構造形成剤と、を含む混合物を溶融混練して、樹脂組成物を得る、調製工程。
(2)上記樹脂組成物を吐出口金から吐出して、樹脂成形物を得る、成形工程。
(3)上記樹脂成形物を熱処理する、熱処理工程。
(4)上記樹脂成形物を、セルロースエステルに対する溶解度パラメータ距離Dが10〜25の範囲の溶媒に浸漬させる、浸漬工程。
を備える。
本発明の分離膜の製造方法は、
(1)10〜90質量%以下のセルロースエステルと、10〜90質量%の構造形成剤と、を含む混合物を溶融混練して、樹脂組成物を得る、調製工程。
(2)上記樹脂組成物を吐出口金から吐出して、樹脂成形物を得る、成形工程。
(3)上記樹脂成形物を熱処理する、熱処理工程。
(4)上記樹脂成形物を、セルロースエステルに対する溶解度パラメータ距離Dが10〜25の範囲の溶媒に浸漬させる、浸漬工程。
を備える。
本発明の分離膜を製造する方法は、(2)の工程以降に、さらに上記樹脂成形物を延伸する、延伸工程を備えていても構わない。
次に、本発明の分離膜の製造方法を、分離膜が中空糸膜の場合を例に具体的に説明するがこれに限定されるものではない。
本発明の分離膜を製造するための樹脂組成物を得る調製工程では、10〜90質量%のセルロースエステルと、10〜90質量%の構造形成剤とを含む混合物が溶融混練される。混合物は、20〜80質量%のセルロースエステルと、20〜80質量%の構造形成剤とを含むことが好ましく、25〜75質量%のセルロースエステルと、25〜75質量%の構造形成剤とを含むことがより好ましい。
混合物の溶融混練に使用する装置については特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、又は、単軸若しくは二軸押出機等の公知の混合機を用いることができる。中でも、構造形成剤や可塑剤の分散性を良好とする観点から、二軸押出機の使用が好ましく、水分や低分子量物等の揮発物を除去できる観点から、ベント孔付きの二軸押出機の使用がより好ましい。
調製工程で得られた樹脂組成物は、一旦ペレット化し、再度溶融させて溶融製膜に用いても構わないし、直接口金に導いて溶融製膜に用いても構わない。一旦ペレット化する際には、ペレットを乾燥して、水分量を200ppm(質量基準)以下とした樹脂組成物を用いることが好ましい。水分量を200ppm(質量基準)以下することで、樹脂の劣化を抑制することができる。
成形工程は、調製工程で得られた樹脂組成物を、吐出口金から吐出することで樹脂成形物を形成する工程である。成形工程は例えば、中央部に気体の流路を配した二重環状ノズルを有する吐出口金から空気中に吐出して、冷却装置により冷却して樹脂成形物を形成する工程であっても構わない。
形成された樹脂成形物は、ポリマーの高配向化により膜強度を向上させるため、延伸工程において延伸することが好ましい。樹脂成形物は、一旦巻き取り、再度巻き出してから延伸工程に供しても構わないし、直接延伸工程に供しても構わない。延伸の方法としては、例えば、延伸前の樹脂成形物を加熱ロール上で搬送しながら延伸する温度まで昇温し、ロール間の周速差を用いて延伸する方法、又は、乾熱オーブン若しくは熱水や溶媒等の加熱液体中を搬送しながら延伸する温度まで昇温し、ロール間の周速差を用いて延伸する方法が挙げられる。また延伸は1段で行っても構わないし、2段以上の多段で行っても構わない。
樹脂成形物を延伸する温度は、40〜180℃が好ましく、60〜160℃がより好ましく、80〜140℃がさらに好ましい。また合計の延伸倍率は、1.2〜5.0倍が好ましく、1.4〜4.5倍がより好ましく、1.6〜4.0倍がさらに好ましい。樹脂成形物を延伸する温度、及び、合計の延伸倍率が上記の範囲内であることで、樹脂成形物中のポリマーの配向を高めることができる。
熱処理工程は、樹脂成形物を熱処理する工程である。熱処理の温度は、100〜220℃が好ましく、120〜200℃がより好ましく、130〜190℃がさらに好ましく、130〜180℃が特に好ましい。熱処理工程を設けることで、最終的に得られる分離膜において良好な表面開孔率が得られる。昇温速度については、10秒以内に目的の温度に到達することが好ましい。このような条件の達成方法としては、例えば、予熱されたオーブンの中に樹脂成形物を投入する方法等が挙げられる。
熱処理の方法としては、例えば、樹脂成形物を加熱ロール上で搬送する方法、又は、空気恒温槽に入れる方法が好ましい。昇温速度は高いことが好ましく、空気恒温槽に入れる方法においては、空気恒温槽を予め予熱しておくことが好ましい。
浸漬工程は、原料であるセルロースエステルに対する溶解度パラメータ距離Dが10〜25の溶媒に、上記樹脂成形物を含浸させる工程である。この際、セルロースエステルと適度な親和性を有する溶媒又は混合溶媒を用いることで、樹脂の極度な膨潤や可塑化を抑制することができる。そのため、樹脂の形状を維持しながら、樹脂組成物に溶媒が浸透する。この際に、樹脂組成物の相分離が起きながら、可塑剤や孔形成剤が溶出していると推定される。溶媒の浸漬時間と温度が長い又は高いほど、空隙率と孔サイズが大きく、膜強度が低くなる傾向がある。本発明において、上記の分離膜を得るうえで、溶媒の選択が、特に重要である。セルロースエステルと親和性をある程度有する溶媒が好ましい。セルロースエステルと溶媒との親和性は、3次元ハンセン溶解度パラメータによって見積もることができる(非特許文献1)。具体的には、下記式(3)の溶解度パラメータ距離D
が小さいほど、セルロースエステルに対して、溶媒の親和性が高い。ただし、δAd、δAp及びδAhは、セルロースエステルの溶解度パラメータの分散項、極性項及び水素結合項であり、δBd、δBp及びδBhは、溶媒又は混合溶媒の溶解度パラメータの分散項、極性項及び水素結合項である。混合溶媒の溶解度パラメータ(δMixture)については、下記式(4)により求めることができる。
ただし、φi、δiは成分iの体積分率と溶解度パラメータであり、分散項、極性項及び水素結合項それぞれに成り立つ。ここで「成分iの体積分率」とは、混合前の全成分の体積の和に対する混合前の成分iの体積の比率をいう。溶媒の3次元ハンセン溶解度パラメータは、非特許文献1中に記載の値を用いた。記載のない溶媒パラメータについては、チャールズハンセンらによって開発されたソフト「Hansen Solubility Parameter in Practice」に収められている値を用いた。上記のソフト中にも記載がない溶媒やポリマーの3次元ハンセン溶解度パラメータは、上記のソフトを用いたハンセン球法により算出することができる。
本発明において、樹脂成形物を浸漬させる溶媒としては、Dは13〜25となるような溶媒が好ましい。このような溶媒としては、Dが4〜12となるような溶媒と、水との混合溶媒が好ましく、例えば、γ−ブチルラクトン、アセトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、酢酸メチル及びテトラヒドロフランからなる群から選択される、少なくとも1種と水との混合溶媒が挙げられる。Dが4〜12となるような溶媒と、水との混合溶媒を用いることで、得られる分離膜の膜強度が良好なものとなる。
得られた分離膜はこのままでも使用できるが、使用する前に例えばアルコール含有水溶液又はアルカリ水溶液等によって膜の表面を親水化させることが好ましい。
こうして、セルロースエステルを主成分とする、本発明の分離膜を製造することができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定をされるものではない。
[測定及び評価方法]
実施例中の各特性値は次の方法で求めたものである。
実施例中の各特性値は次の方法で求めたものである。
(1)セルロース混合エステルの平均置換度
アセチル基及び他のアシル基がセルロースに結合したセルロース混合エステルの平均置換度の算出方法については下記のとおりである。
アセチル基及び他のアシル基がセルロースに結合したセルロース混合エステルの平均置換度の算出方法については下記のとおりである。
80℃で8時間の乾燥したセルロース混合エステル0.9gを秤量し、アセトン35mLとジメチルスルホキシド15mLとを加え溶解した後、さらにアセトン50mLを加えた。撹拌しながら0.5N−水酸化ナトリウム水溶液30mLを加え、2時間ケン化した。熱水50mLを加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5N−硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行った。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、有機酸の組成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる酸組成分析結果とから、下記式(5)〜(7)により置換度を計算した。
TA=(B−A)×F/(1000×W) ・・・・・・(5)
DSace=(162.14×TA)/[{1−(Mwace−(16.00+1.01))×TA}+{1−(Mwacy−(16.00+1.01))×TA}×(Acy/Ace)] ・・・・・・(6)
DSacy=DSace×(Acy/Ace) ・・・・・・(7)
TA:全有機酸量(mL)
A:試料滴定量(mL)
B:空試験滴定量(mL)
F:硫酸の力価
W:試料質量(g)
DSace:アセチル基の平均置換度
DSacy:他のアシル基の平均置換度
Mwace:酢酸の分子量
Mwacy:他の有機酸の分子量
Acy/Ace:酢酸(Ace)と他の有機酸(Acy)とのモル比
162.14:セルロースの繰り返し単位の分子量
16.00:酸素の原子量
1.01:水素の原子量
(2)セルロースエステルの重量平均分子量(Mw)
セルロースエステルの濃度が0.15質量%となるようにテトラヒドロフランに完全に溶解させ、GPC測定用試料とした。この試料を用い、下記の条件でGPC装置(Waters2690)を用いてGPC測定を行い、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)を求めた。
DSace=(162.14×TA)/[{1−(Mwace−(16.00+1.01))×TA}+{1−(Mwacy−(16.00+1.01))×TA}×(Acy/Ace)] ・・・・・・(6)
DSacy=DSace×(Acy/Ace) ・・・・・・(7)
TA:全有機酸量(mL)
A:試料滴定量(mL)
B:空試験滴定量(mL)
F:硫酸の力価
W:試料質量(g)
DSace:アセチル基の平均置換度
DSacy:他のアシル基の平均置換度
Mwace:酢酸の分子量
Mwacy:他の有機酸の分子量
Acy/Ace:酢酸(Ace)と他の有機酸(Acy)とのモル比
162.14:セルロースの繰り返し単位の分子量
16.00:酸素の原子量
1.01:水素の原子量
(2)セルロースエステルの重量平均分子量(Mw)
セルロースエステルの濃度が0.15質量%となるようにテトラヒドロフランに完全に溶解させ、GPC測定用試料とした。この試料を用い、下記の条件でGPC装置(Waters2690)を用いてGPC測定を行い、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)を求めた。
カラム :東ソー製TSK gel GMHHR−Hを2本連結
検出器 :Waters2410 示差屈折計RI
移動層溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :1.0mL/分
注入量 :200μL
(3)分離膜の空隙の平均孔径
分離膜を液体窒素で凍結した後、分離膜の断面が出るように、応力を加えることにより割断した。この際、分離膜の長手方向が不明である場合は、任意の方向に割断するものとした。また、割断する際は、必要に応じて、カミソリ又はミクロトーム等を用いた。次に、得られた膜断面を走査型電子顕微鏡又は原子間力顕微鏡で観察した。この際、膜厚方向の中心を顕微鏡視野の中心として膜断面の観察を行った。分離膜の一方の表面から、分離膜の厚み方向に順に、等間隔に5分割した各領域1〜5を設定する。設定した各領域のそれぞれにおいて、各領域の中心を顕微鏡視野の中心として観察した正方形の顕微鏡画像中に含まれるすべての孔の孔径を算出し、そのn個の値r1〜rnの算術平均を、分離膜の空隙の平均孔径Rとする。顕微鏡画像の一辺は、各領域で孔の数が30個以上となる長さとした。
検出器 :Waters2410 示差屈折計RI
移動層溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :1.0mL/分
注入量 :200μL
(3)分離膜の空隙の平均孔径
分離膜を液体窒素で凍結した後、分離膜の断面が出るように、応力を加えることにより割断した。この際、分離膜の長手方向が不明である場合は、任意の方向に割断するものとした。また、割断する際は、必要に応じて、カミソリ又はミクロトーム等を用いた。次に、得られた膜断面を走査型電子顕微鏡又は原子間力顕微鏡で観察した。この際、膜厚方向の中心を顕微鏡視野の中心として膜断面の観察を行った。分離膜の一方の表面から、分離膜の厚み方向に順に、等間隔に5分割した各領域1〜5を設定する。設定した各領域のそれぞれにおいて、各領域の中心を顕微鏡視野の中心として観察した正方形の顕微鏡画像中に含まれるすべての孔の孔径を算出し、そのn個の値r1〜rnの算術平均を、分離膜の空隙の平均孔径Rとする。顕微鏡画像の一辺は、各領域で孔の数が30個以上となる長さとした。
ここで各孔の孔径rは、孔の面積を画像処理により測定し、同面積の真円の孔を仮定して、下記式(8)より算出した。
r=(4×A/π)0.5 ・・・・・・(8)
A:孔の面積
r1〜rnの中で、下記式(9)を満たすriがn/2より多く存在する構造を、均一な多孔構造とした。
A:孔の面積
r1〜rnの中で、下記式(9)を満たすriがn/2より多く存在する構造を、均一な多孔構造とした。
−0.5<(ri−R)/R<0.5 ・・・・・・(9)
(4)分離膜の厚み(μm)
上記(3)で作成した膜断面を光学顕微鏡により観察して撮影し、分離膜の厚み(μm)を算出した。なお、分離膜の厚みは、無作為に選択した10箇所を観察して算出し、その平均値とした。
(4)分離膜の厚み(μm)
上記(3)で作成した膜断面を光学顕微鏡により観察して撮影し、分離膜の厚み(μm)を算出した。なお、分離膜の厚みは、無作為に選択した10箇所を観察して算出し、その平均値とした。
(5)中空糸膜の外径、内径(μm)
上記(3)で作成した膜断面を光学顕微鏡により観察して撮影し、中空糸膜の外径(μm)及び内径(μm)を算出した。なお、中空糸膜の外径は、無作為に選択した10箇所を観察して算出し、その平均値とした。
上記(3)で作成した膜断面を光学顕微鏡により観察して撮影し、中空糸膜の外径(μm)及び内径(μm)を算出した。なお、中空糸膜の外径は、無作為に選択した10箇所を観察して算出し、その平均値とした。
(6)中空糸膜の空隙率(%)
中空糸膜の糸長L(cm)を測定後、25℃で8時間、真空乾燥させた中空糸膜の質量M(g)を測定した。上記(5)で測定した外径R1cm、内径R2cmを用いて、中空糸膜の密度ρ1は、
ρ1=M/[π×{(R1/2)2−(R2/2)2}×L] ・・・・・・式(10)
となる。空隙率ε(%)は、下記式(11)より算出した。
中空糸膜の糸長L(cm)を測定後、25℃で8時間、真空乾燥させた中空糸膜の質量M(g)を測定した。上記(5)で測定した外径R1cm、内径R2cmを用いて、中空糸膜の密度ρ1は、
ρ1=M/[π×{(R1/2)2−(R2/2)2}×L] ・・・・・・式(10)
となる。空隙率ε(%)は、下記式(11)より算出した。
ε=1−ρ1/ρ2 ・・・・・・式(11)
ただし、ρ2は、紡糸後に可塑剤及び多孔形成剤を水への浸漬で取り除き、真空乾燥したセルロースエステルの密度:1.28(g/cm3)である。
ただし、ρ2は、紡糸後に可塑剤及び多孔形成剤を水への浸漬で取り除き、真空乾燥したセルロースエステルの密度:1.28(g/cm3)である。
(7)分離膜の破断強度(MPa)、伸度(%)
温度20℃、湿度65%の環境下において、引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT−100)を用いて、分離膜の長軸方向の引張強度を測定した。具体的には、試料長100mm、引張速度100mm/分の条件にて測定を行い、引張強さから破断強度(引張強度)(MPa)、伸びから伸度(%)を算出した。なお測定回数は5回とし、その平均値とした。
温度20℃、湿度65%の環境下において、引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT−100)を用いて、分離膜の長軸方向の引張強度を測定した。具体的には、試料長100mm、引張速度100mm/分の条件にて測定を行い、引張強さから破断強度(引張強度)(MPa)、伸びから伸度(%)を算出した。なお測定回数は5回とし、その平均値とした。
(8)分離膜の配向度
反射ATR付属装置を付けたFT−IR(日本分光社製IRT−3000)を用い、25℃、8時間真空乾燥を行った分離膜試料を用い、長手方向(MD)と、長手方向と垂直な方向(幅方向又は径方向)(TD)について、S偏光ATRスペクトル測定を行った。なお、ATR結晶にはGeプリズムを用い、入射角45°、積算回数256回にて実施した。セルロースアセテートプロピオネートを主成分とする分離膜の場合は、1050cm−1付近のバンド(ピラノース環(―C―O―C―))、及び、1164cm−1付近のバンド(エステル基(―C―O―))の強度を、分離膜のMD及びTDでそれぞれ測定した。このときの、MD及びTDにおける1050cm−1付近のバンド強度をそれぞれIP−MD、IP−TDとし、1164cm−1付近のバンド強度をIE−MD、IE−TDとしたとき、配向度DOを、下記式(12)によって算出した。
DO=(IP−MD/IE−MD)/(IP−TD/IE−TD) ・・・・・・式(12)
DOが1以上のとき、長手方向を主配向方向とし、主配向方向における配向度はDOである。DOが1未満であるとき、長手方向と垂直な方向が主配向方向とし、主配向方向における配向度は1/DOとした。
反射ATR付属装置を付けたFT−IR(日本分光社製IRT−3000)を用い、25℃、8時間真空乾燥を行った分離膜試料を用い、長手方向(MD)と、長手方向と垂直な方向(幅方向又は径方向)(TD)について、S偏光ATRスペクトル測定を行った。なお、ATR結晶にはGeプリズムを用い、入射角45°、積算回数256回にて実施した。セルロースアセテートプロピオネートを主成分とする分離膜の場合は、1050cm−1付近のバンド(ピラノース環(―C―O―C―))、及び、1164cm−1付近のバンド(エステル基(―C―O―))の強度を、分離膜のMD及びTDでそれぞれ測定した。このときの、MD及びTDにおける1050cm−1付近のバンド強度をそれぞれIP−MD、IP−TDとし、1164cm−1付近のバンド強度をIE−MD、IE−TDとしたとき、配向度DOを、下記式(12)によって算出した。
DO=(IP−MD/IE−MD)/(IP−TD/IE−TD) ・・・・・・式(12)
DOが1以上のとき、長手方向を主配向方向とし、主配向方向における配向度はDOである。DOが1未満であるとき、長手方向と垂直な方向が主配向方向とし、主配向方向における配向度は1/DOとした。
(9)分離膜の結晶融解温度、結晶融解熱量
分離膜の結晶融解熱量は、高感度示差走査熱量計(セイコーインスツル社製DSC6200)を用いて、50℃、8時間の条件で真空乾燥を行ったセルロースエステル膜を約5mg秤量し、窒素雰囲気下で測定した。結晶融解熱量を計算する際のベースラインは、DSC曲線の融解ピーク温度から±20℃となる2点を結ぶ直線とした。ただし、融解ピークが複数ある場合は、高い方の温度を結晶融解温度とし、DSC曲線の最も融解温度が高いピーク温度+20℃、最も融解温度が低いピーク温度−20℃の点を結ぶ直線とした。
分離膜の結晶融解熱量は、高感度示差走査熱量計(セイコーインスツル社製DSC6200)を用いて、50℃、8時間の条件で真空乾燥を行ったセルロースエステル膜を約5mg秤量し、窒素雰囲気下で測定した。結晶融解熱量を計算する際のベースラインは、DSC曲線の融解ピーク温度から±20℃となる2点を結ぶ直線とした。ただし、融解ピークが複数ある場合は、高い方の温度を結晶融解温度とし、DSC曲線の最も融解温度が高いピーク温度+20℃、最も融解温度が低いピーク温度−20℃の点を結ぶ直線とした。
(10)分離膜の結晶化度
セルロースエステルの結晶化度は、Bruker社製D8ADVANCEを用いて、得られたX線回折パターンより算出した。結晶化度とは、X線回折パターンにおいて、回折角2θが20.5°のX線回折強度ピークに対する回折角2θが8°の回折ピーク強度の比である。回折ピーク強度を計算する際のベースラインは、回折角2θが5°付近の極小点と回折角2θが35°の点を結ぶ直線とした。
セルロースエステルの結晶化度は、Bruker社製D8ADVANCEを用いて、得られたX線回折パターンより算出した。結晶化度とは、X線回折パターンにおいて、回折角2θが20.5°のX線回折強度ピークに対する回折角2θが8°の回折ピーク強度の比である。回折ピーク強度を計算する際のベースラインは、回折角2θが5°付近の極小点と回折角2θが35°の点を結ぶ直線とした。
(11)分離膜の固体NMRの緩和時間(T1C)
固体高分解能核磁気共鳴分光法(NMR)による緩和時間T1Cの測定には、固体高分解能NMRの測定装置(Bruker Biospin製Avance400)を用いた。測定は乾燥空気下、室温22℃、観測周波数75.2MHz、パルス幅90°パルス、4.2μs、コンタクトタイム2msの条件で13C核のT1測定を実施した。172ppm付近のカルボニル炭素由来のピークと64ppm付近のグルコース環6位の炭素由来のピークに対応する緩和時間T1Cを求めた。
固体高分解能核磁気共鳴分光法(NMR)による緩和時間T1Cの測定には、固体高分解能NMRの測定装置(Bruker Biospin製Avance400)を用いた。測定は乾燥空気下、室温22℃、観測周波数75.2MHz、パルス幅90°パルス、4.2μs、コンタクトタイム2msの条件で13C核のT1測定を実施した。172ppm付近のカルボニル炭素由来のピークと64ppm付近のグルコース環6位の炭素由来のピークに対応する緩和時間T1Cを求めた。
(12)分離膜の表面開孔率(%)
白金でスパッタリングを行い分離膜の前処理を実施した後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率5,000〜200,000倍で分離膜表面を観察し、画像を得た。得られた画像を一辺1μmの正方形に切り出し、画像解析ソフトを用いて二値化及び面積計算を行い、空隙の面積を測定した。下記式(13)より表面の開孔率を求めた。
白金でスパッタリングを行い分離膜の前処理を実施した後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率5,000〜200,000倍で分離膜表面を観察し、画像を得た。得られた画像を一辺1μmの正方形に切り出し、画像解析ソフトを用いて二値化及び面積計算を行い、空隙の面積を測定した。下記式(13)より表面の開孔率を求めた。
開孔率=空隙の面積/観察面積×100 ・・・・・・式(13)
(13)中空糸膜の膜透過流束(m3/m2/h)
中空状の形状を有する分離膜、すなわち中空糸膜1本からなる有効長さ100mmの小型モジュールを作製した。この小型モジュールに、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件で、30分間にわたって蒸溜水を送液し、得られた透過水量(m3)を測定し、これを単位時間(h)及び単位膜面積(m2)当たりの数値に換算し、さらに圧力(50kPa)換算して、純水の透過性能(単位=m3/m2/h)とした。
(13)中空糸膜の膜透過流束(m3/m2/h)
中空状の形状を有する分離膜、すなわち中空糸膜1本からなる有効長さ100mmの小型モジュールを作製した。この小型モジュールに、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件で、30分間にわたって蒸溜水を送液し、得られた透過水量(m3)を測定し、これを単位時間(h)及び単位膜面積(m2)当たりの数値に換算し、さらに圧力(50kPa)換算して、純水の透過性能(単位=m3/m2/h)とした。
[セルロースエステル(A)]
セルロースエステル(A1)
セルロース(コットンリンター)100質量部に、酢酸240質量部とプロピオン酸67質量部を加え、50℃で30分間混合した。混合物を室温まで冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸172質量部と無水プロピオン酸168質量部をエステル化剤として、硫酸4質量部をエステル化触媒として加えて、150分間撹拌を行い、エステル化反応を行った。エステル化反応において、40℃を超える時は、水浴で冷却した。
セルロースエステル(A1)
セルロース(コットンリンター)100質量部に、酢酸240質量部とプロピオン酸67質量部を加え、50℃で30分間混合した。混合物を室温まで冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸172質量部と無水プロピオン酸168質量部をエステル化剤として、硫酸4質量部をエステル化触媒として加えて、150分間撹拌を行い、エステル化反応を行った。エステル化反応において、40℃を超える時は、水浴で冷却した。
反応後、反応停止剤として酢酸100質量部と水33質量部の混合溶液を20分間かけて添加して、過剰の無水物を加水分解した。その後、酢酸333質量部と水100質量部を加えて、80℃で1時間加熱撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム6質量部を含む水溶液を加えて、析出したセルロースアセテートプロピオネートを濾別し、続いて水で洗浄した後、60℃で4時間乾燥した。得られたセルロースアセテートプロピオネートのアセチル基及びプロピオニル基の平均置換度は各々1.9、0.7であり、重量平均分子量(Mw)は17.8万であった。
セルロースエステル(A2):セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基の平均置換度:0.2、プロピオニル基の平均置換度:2.5、重量平均分子量(Mw):18.5万)
[セルロースエステルの可塑剤(B)]
可塑剤(B1)
ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)600
[構造形成剤(C)]
構造形成剤(C1):PVP/酢酸ビニル共重合体(Kollidon VA 64 (BASFジャパン株式会社製))
[酸化防止剤(D)]
酸化防止剤(D1)
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
[分離膜の製造]
(実施例1)
セルロースエステル(A1)40質量%と、可塑剤(B1)29.9質量%、構造形成剤(C1)30質量%及び酸化防止剤(D1)0.1質量%を二軸押出機にて220℃で溶融混練し、均質化した後にペレット化して、溶融紡糸用の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を80℃、8時間真空乾燥を行った。
[セルロースエステルの可塑剤(B)]
可塑剤(B1)
ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)600
[構造形成剤(C)]
構造形成剤(C1):PVP/酢酸ビニル共重合体(Kollidon VA 64 (BASFジャパン株式会社製))
[酸化防止剤(D)]
酸化防止剤(D1)
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
[分離膜の製造]
(実施例1)
セルロースエステル(A1)40質量%と、可塑剤(B1)29.9質量%、構造形成剤(C1)30質量%及び酸化防止剤(D1)0.1質量%を二軸押出機にて220℃で溶融混練し、均質化した後にペレット化して、溶融紡糸用の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を80℃、8時間真空乾燥を行った。
乾燥させた樹脂組成物を二軸押出機に供給し220℃で溶融、混練した後に、紡糸温度220℃とした溶融紡糸パックへ導入して、吐出量10g/分の条件で、口金孔(二重円管タイプ、吐出孔径8.3mm、スリット巾1.1mm)を1ホール有する口金の外側環状部より下方に紡出した。この紡出した中空糸を、冷却装置へ導き、25℃、風速1.5m/秒の冷却風によって冷却し、ドラフト比が60となるようにワインダーで巻き取った。この紡出糸を、延伸の温度110℃、延伸倍率1.3倍の条件で延伸した。その後、160℃で予熱した空気恒温槽へ投入することで急速に160℃まで加熱し、5分間保持した。室温で急冷した後、体積分率が40%のγ−ブチルラクトン水溶液に分離膜を1時間浸漬し、さらに、水に1時間以上浸漬して、可塑剤、構造形成剤を溶出させた。得られた分離膜の物性を表1に示した。
(実施例2及び3)
溶融紡糸用樹脂組成物の組成、製造条件をそれぞれ表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜を得た。得られた分離膜の物性を、表1に示した。
溶融紡糸用樹脂組成物の組成、製造条件をそれぞれ表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜を得た。得られた分離膜の物性を、表1に示した。
(実施例4)
セルロースエステル(A1)40質量%と、可塑剤(B1)29.9質量%、構造形成剤(C1)30質量%及び酸化防止剤(D1)0.1質量%を二軸押出機にて220℃で溶融混練し、均質化した後にペレット化して、溶融紡糸用の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を80℃、8時間真空乾燥を行った。
セルロースエステル(A1)40質量%と、可塑剤(B1)29.9質量%、構造形成剤(C1)30質量%及び酸化防止剤(D1)0.1質量%を二軸押出機にて220℃で溶融混練し、均質化した後にペレット化して、溶融紡糸用の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を80℃、8時間真空乾燥を行った。
乾燥させた樹脂組成物を二軸押出機に供給し220℃で溶融、混練した後に、紡糸温度220℃とした溶融紡糸パックへ導入して、吐出量10g/分の条件で、口金孔(二重円管タイプ、吐出孔径8.3mm、スリット巾1.1mm)を1ホール有する口金の外側環状部より下方に紡出した。この紡出した中空糸を、冷却装置へ導き、25℃、風速1.5m/秒の冷却風によって冷却し、ドラフト比が60となるようにワインダーで巻き取った。この紡出糸を、160℃で予熱した空気恒温槽へ投入することで急速に160℃まで加熱し、5分間保持した。室温で急冷した後、体積分率が40%のγ−ブチルラクトン水溶液に分離膜を1時間浸漬し、さらに、水に1時間以上浸漬して、可塑剤、構造形成剤を溶出させた。得られた分離膜の物性を表1に示した。
(実施例5〜11、比較例1及び2)
溶融紡糸用樹脂組成物の組成、製造条件をそれぞれ表1のように変更した以外は、実施例4と同様にして分離膜を得た。得られた分離膜の物性を、表1に示した。
溶融紡糸用樹脂組成物の組成、製造条件をそれぞれ表1のように変更した以外は、実施例4と同様にして分離膜を得た。得られた分離膜の物性を、表1に示した。
実施例1〜11で得られた分離膜は、いずれも破断パラメータが40以上であり、伸度が10%以上であった。熱処理工程を設けなかった比較例1及び2に比べて、熱処理工程を設けた実施例1〜11は表面開孔率が高く、膜透過流束が0.1以上の高い値を示した。また、実施例1、2及び9は、それぞれ実施例4、7及び10よりも分離膜の膜強度が高いことから、延伸工程により、分離膜の膜強度が向上していることがわかる。
本発明の分離膜は、海水、かん水、下水若しくは排水等から工業用水又は飲料水等を製造するための水処理用膜、人工腎臓や血漿分離等のための医療用膜、果汁濃縮等のための食品・飲料工業用膜、排気ガス又は炭酸ガス等を分離するためのガス分離膜、あるいは、燃料電池セパレータ等の電子工業用膜等に用いることができる。
Claims (9)
- セルロースエステルを主成分とし、
空隙の平均孔径Rが、0.001〜1.000μmであり、
破断パラメータが、40以上であり、
伸度が、10%以上であり、かつ、
表面開孔率が、5〜50%である、分離膜。 - 結晶融解熱量が、5.0J/g以上であり、かつ、結晶融解温度が、200℃以上である、請求項1記載の分離膜。
- 結晶化度が、1.5以上である、請求項1又は2記載の分離膜。
- 緩和時間T1Cにおける、カルボニル炭素の緩和時間τ1と、グルコース環6位の炭素の緩和時間τ2とが、下記式(1)を満たす、請求項1〜3のいずれか一項記載の分離膜。
2.6≦τ1/τ2 ・・・(1) - 均一な多孔構造を有する、請求項1〜4のいずれか一項記載の分離膜。
- 前記分離膜の主配向方向において、前記セルロースエステルが1.05〜1.50の配向度を有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の分離膜。
- 前記セルロースエステルとして、セルロースアセテートプロピオネートを含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の分離膜。
- (1)10〜90質量%のセルロースエステルと、10〜90質量%の構造形成剤と、を含む混合物を溶融混練して、樹脂組成物を得る、調製工程と、
(2)前記樹脂組成物を吐出口金から吐出して、樹脂成形物を得る、成形工程と、
(3)前記樹脂成形物を熱処理する、熱処理工程と、
(4)前記樹脂成形物を、セルロースエステルに対する溶解度パラメータ距離Dが10〜25の範囲の溶媒に浸漬させる、浸漬工程と、を備える、分離膜の製造方法。 - さらに前記樹脂成形物を延伸する、延伸工程を備える、請求項8記載の分離膜の製造方法。
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