JP6201760B2 - 車両の車体構造 - Google Patents

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Description

この発明は、フロアフレーム、サイドシル、ピラー、ルーフレール、フロアクロスメンバ等の車両用フレームのように車体部材により形成されて閉断面部を有する車両の車体構造に関するものである。
一般に、フロアフレーム、サイドシル、ピラー、ルーフサイドレール、フロアクロスメンバ等の車両用フレームは、1または2以上の部材により形成される閉断面部を有している。
このような閉断面部を有する車体構成部材において、軽量でありながら乗り心地性能を向上させるために、当該車体構成部材に伝達される振動を低減するように構成した諸種の技術が知られている。
例えば、特許文献1には、フレーム部材内に節部材を柔結合部と剛結合部とで取付けることにより、節部材のフランジ部と車体部材との間隙に振動減衰部材を配設し、当該振動減衰部材の変形による歪エネルギを熱エネルギに変換して、振動を抑制することが開示されており、この特許文献1に開示された従来構造によれば、優れた振動低減効果が得られるという利点がある反面で、車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により比較的大きい荷重が車体部材に入力した場合、上述の振動減衰部材が剥がれるという懸念があった。
この点について、図10を参照して詳述する。なお、図10は特許文献1の内容を模式化して原理的に示すものである。
図10において、パネル部材81と断面ハット形状のフレーム部材82とで閉断面部83を有する車体部材80を形成し、上述の閉断面部83の内部に、複数のフランジ部84,85,86,87を有する節部材88を結合するが、複数のフランジ部84〜87のうち少なくとも1つは、振動減衰部材89を介してパネル部材81に接合された柔結合フランジ部84とし、他のフランジ部85,86,87はフレーム部材82に当接した状態でスポット溶接にて結合された剛結合フランジ部としている。
図10の(a)に示す通常時の車両の車体構造において、車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により、図10の(b)に示すようにパネル部材81に矢印方向の荷重が入力されると、同図に示すように、振動減衰部材89が破断したり剥離する懸念があり、減衰性能が発揮できなくなる問題点があるばかりでなく、リペア性(補修性)の観点から不利となる。
また、上記特許文献1には『柔結合フランジ部に剛結合部を設ける構造』と『柔結合フランジ部には剛結合部を設けない構造』とが開示されており、前者においては剛結合部により振動減衰部材89の破断や剥離の懸念はない。
しかしながら、本発明者等が諸種の実験検証を繰返した結果、柔結合フランジ部に剛結合部を設けた場合には、振動減衰部材の変形が過度に抑制されて、充分な振動減衰効果が得られないことが判明した。
特開2013−49376号公報
そこで、この発明は、車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により比較的大きい荷重が入力した際の振動減衰部材の破断や剥離を防止することができる車両の車体構造の提供を目的とする。
この発明による車両の車体構造(請求項1)は、車体部材により形成されて閉断面部を有する車両の車体構造であって、上記閉断面部の内部に結合された節部材を備え、該節部材は、上記車体部材に接合される複数のフランジ部を有し、上記フランジ部のうち少なくとも1つは、振動減衰部材を介して上記車体部材に接合された柔結合フランジ部であり、上記車体部材に設けられた規制部が、上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面に対向すると共に、上記柔結合フランジ部とは所定距離の間隙をもって設けられ、上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面と上記規制部との間隙の少なくとも一部に他の振動減衰部材が配設され、上記車体部材側の振動減衰部材と上記反車体部材側の他の振動減衰部材とは別体であることを特徴とする。
上記構成によれば、柔結合フランジ部の反車体部材側の面と対向する規制部を、車体部材に設け、該規制部と柔結合フランジ部との間に間隙を設けて、規制部を柔結合フランジ部と非接触構造と成したので、振動減衰部材の変形を阻害することなく、しかも、車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により車体に荷重が入力して、車体部材が比較的大きく変形しようとする場合、上記規制部で車体部材の変形を規制し、柔結合フランジ部と車体部材との間の振動減衰部材が破断したり剥離することを防止することができる。
この発明による車両の車体構造(請求項2)は、また、車体部材により形成されて閉断面部を有する車両の車体構造であって、上記閉断面部の内部に結合された節部材を備え、該節部材は、上記車体部材に接合される複数のフランジ部を有し、上記フランジ部のうち少なくとも1つは、振動減衰部材を介して上記車体部材に接合された柔結合フランジ部であり、上記車体部材に設けられた規制部が、上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面に対向すると共に、上記柔結合フランジ部とは所定距離の間隙をもって設けられ、上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面と上記規制部との間隙の少なくとも一部に緩衝部材が配設され、該緩衝部材の剛性を、上記振動減衰部材の剛性より小さく設定したことを特徴とする。
上記構成によれば、柔結合フランジ部の反車体部材側の面と対向する規制部を、車体部材に設け、該規制部と柔結合フランジ部との間に間隙を設けて、規制部を柔結合フランジ部と非接触構造と成したので、振動減衰部材の変形を阻害することなく、しかも、車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により車体に荷重が入力して、車体部材が比較的大きく変形しようとする場合、上記規制部で車体部材の変形を規制し、柔結合フランジ部と車体部材との間の振動減衰部材が破断したり剥離することを防止することができる。
また、上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面と上記規制部との間隙の少なくとも一部に緩衝部材が配設されたものであり、このように、上述の間隙に緩衝部材を配設しているので、車両走行時の振動等により柔結合フランジ部と規制部とが直接当接することを防止し、これら両者の当接により通常走行時に異音が発生することを防止することができる。
さらに、上記緩衝部材の剛性は、上記振動減衰部材の剛性より小さく設定されたものであるから、緩衝部材の剛性を上述の如く設定したので、緩衝部材が振動減衰部材の変形を阻害することがなく、異音発生防止と振動減衰効果との両立を図ることができる。
この発明による車両の車体構造(請求項)は、また、車体部材により形成されて閉断面部を有する車両の車体構造であって、上記閉断面部の内部に結合された節部材を備え、該節部材は、上記車体部材に接合される複数のフランジ部を有し、上記フランジ部のうち少なくとも1つは、振動減衰部材を介して上記車体部材に接合された柔結合フランジ部であり、上記車体部材に設けられた規制部が、上記節部材の柔結合フランジ部の端部に対向すると共に、該端部とは所定距離の間隙をもって設けられ、上記規制部が、車体部材に切起し部を設けることにより形成されたことを特徴とする。
上記構成によれば、節部材の柔結合フランジ部の端部に対向する規制部を、車体部材に設け、該規制部と柔結合フランジ部の端部との間に間隙を設けて、規制部を柔結合フランジ部の端部と非接触構造と成したので、振動減衰部材の変形を阻害することなく、しかも、車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により車体に荷重が入力して、節部材が比較的大きく変形しようとする場合、上記規制部で節部材の変形を規制し、柔結合フランジ部と車体部材との間の振動減衰部材が破断したり剥離することを防止することができる。
この発明の一実施態様(請求項)においては、上記柔結合フランジ部の端部と上記規制部との間隙の少なくとも一部に緩衝部材が配設されたものである。
上記構成によれば、上述の間隙に緩衝部材を配設しているので、車両走行時の振動等により柔結合フランジ部の端部と規制部とが直接当接することを防止し、これら両者の当接により通常走行時に異音が発生することを防止することができる。
この発明の一実施態様(請求項)においては、上記緩衝部材の剛性は、上記振動減衰部材の剛性と同一またはそれ以下に設定されたものである。
上記構成によれば、緩衝部材の剛性を上述の如く設定したので、緩衝部材が振動減衰部材の変形を阻害することがなく、異音発生防止と振動減衰効果との両立を図ることができる。
この発明の一実施態様(請求項)においては、上記緩衝部材が上記振動減衰部材によって構成されたものである。
上記構成によれば、緩衝部材用として別部材を設ける必要がなく、柔結合フランジ部の車体部材側の面と、当該柔結合フランジ部の端部と、の双方で振動減衰部材による減衰能を発揮することができると共に、通常走行時における異音発生の防止をも図ることができる。
この発明によれば、車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により比較的大きい荷重が入力した際の振動減衰部材の破断や剥離を防止することができる効果がある。
本発明の車両の車体構造を示す斜視図 図1からパネル部材を取除いた状態で示す車両の車体構造の斜視図 図1から節部材、振動減衰部材、規制部、緩衝部材のみを抽出して示す斜視図 図1のA―A線矢視断面図 車両の車体構造の他の実施例を示す断面図 車両の車体構造のさらに他の実施例を示す断面図 車両の車体構造のさらに他の実施例を示す断面図 車両の車体構造のさらに他の実施例を示す断面図 車両の車体構造のさらに他の実施例を示す断面図 (a)は従来の車両の車体構造を示す断面図、(b)はその振動減衰部材の破断状態を示す断面図
車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により比較的大きい荷重が入力した際の振動減衰部材の破断や剥離を防止するという目的を、車体部材により形成されて閉断面部を有する車両の車体構造であって、上記閉断面部の内部に結合された節部材を備え、該節部材は、上記車体部材に接合される複数のフランジ部を有し、上記フランジ部のうち少なくとも1つは、振動減衰部材を介して上記車体部材に接合された柔結合フランジ部であり、上記車体部材に設けられた規制部が、上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面に対向すると共に、上記柔結合フランジ部とは所定距離の間隙をもって設けられ、上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面と上記規制部との間隙の少なくとも一部に他の振動減衰部材が配設され、上記車体部材側の振動減衰部材と上記反車体部材側の他の振動減衰部材とは別体であるという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、車両の車体構造を示し、図1はその斜視図、図2は図1からパネル部材を取除いた状態で示す車両の車体構造の斜視図、図3は図1から節部材、振動減衰部材、規制部、緩衝部材のみを抽出して示す斜視図、図4は図1のA−A線矢視断面図である。
図1〜図4において、断面ハット状のフレーム部材1と、平板としてのパネル部材2とで閉断面部3を形成した車体部材4を構成している。
上述のフレーム部材1(骨格部材)は、基壁1Bと、この基壁1Bに連続する一対の側壁1S,1Sと、これら側壁1S,1Sの反基壁側の端部から外方に延びるフランジ部1F,1Fとを一体形成した車体部材である。
また、上述のパネル部材2としては偏平な平板部材を例示したが、これは断面ハット状のフレーム部材1と同様にその断面がハット形状または逆向きハット形状の部材であってもよい。
図1〜図4に示すように、上述の車体部材4は断面ハット状のフレーム部材1のフランジ部1F,1Fとパネル部材2とを接合して形成されたものである。
1または2以上の車体部材、この実施例では2つの部材(フレーム部材1とパネル部材2)により形成され閉断面部3を有する車体部材4の内部には、補強体としての節部材5を結合している。
上述の閉断面部3の幅方向を各図の矢印X方向とし、閉断面部3の深さ方向(または高さ方向)を矢印Y方向とすると、閉断面部3の閉断面方向は、矢印X方向および矢印Y方向を含む面の延在方向(後述する節部材本体50の延在方向)であり、閉断面部3に直交する方向(閉断面方向に直交する方向)は、矢印Z方向であり、この実施例では、矢印Z方向は閉断面部3の長手方向となる。
上述の節部材5は、閉断面方向に延在する節部材本体50と、この節部材本体50の上下左右の各辺に一体かつ略直角方向に折曲げ形成した複数のフランジ部51,52,53,54とを有する。
上述の複数のフランジ部51〜54のうち少なくとも1つ(この実施例では上側の1つ)51は、振動減衰部材6を介してパネル部材2に接合された柔結合フランジ部であり、この柔結合フランジ部51を振動減衰部材6を介して車体部材としてのパネル部材2に接合することで、柔結合部B(図4参照)が形成されている。
残りの他の全てのフランジ部52,53,54は、フレーム部材1の対応する基壁1B、左右の側壁1S,1Sにそれぞれ当接した状態で図3に示すスポット溶接部c,d,eにてスポット溶接された剛結合フランジ部であり、これら剛結合フランジ部52,53,54を直接車体部材としてのフレーム部材1の対応部に接合することで、剛結合部C,D,Eが形成されている。なお、図示実施例では1つの剛結合フランジ部当り2つのスポット溶接箇所を例示したが、各スポット溶接部c,d,eによる溶接箇所の数は、図示実施例の数に限定されるものではない。
ここで、上述の柔結合フランジ部51および下側の剛結合フランジ部52は矢印X方向に延びており、側方の各剛結合フランジ部53,54は矢印Y方向に延びており、また振動減衰部材6は柔結合フランジ部51と同様に矢印X方向に延びている。
さらに、図3に示すように、上述の柔結合フランジ部51は、矢印Z方向前後の端部51a,51bと、矢印X方向左右の端部51c,51dと、を有するものである。
図3,図4に示すようにパネル部材2の閉断面部3側の面には、節部材5の柔結合フランジ部51と近接するように規制部としての規制部材7を設けている。
この規制部材7は矢印X方向に延在するもので、当該規制部材は、パネル部材2に接合固定される取付け座面部7aと、この取付け座面部7aにおける振動減衰部材6に近い側の端部から矢印Y方向に延びる縦面部7bと、この縦面部7bの下端から柔結合フランジ部51の下方に延びる下片部7cとを一体に折曲げ形成したものである。
図3,図4に示すように、規制部材7の取付け座面部7aはパネル部材2に当接した状態でスポット溶接部fにて当該パネル部材2にスポット溶接固定されている。なお、図示実施例では2つのスポット溶接箇所を例示したが、スポット溶接部fによる溶接箇所の数は、図示実施例の数に限定されるものではない。
しかも、上述の規制部材7は、節部材5、特に、その柔結合フランジ部51に対して非接触に構成されている。
すなわち、図4に示すように、規制部材7の縦面部7bと柔結合フランジ部51の端部51a(図3参照)との間には、矢印Z方向の間隙g1が形成されている。
また、規制部材7の下片部7cは、図4に示すように、柔結合フランジ部51の反パネル部材側の面(この実施例では下面)に平行でかつ対向しており、これら両者7c,51間には矢印Y方向の間隙g2が形成されている。つまり、規制部材7の下片部7cが柔結合フランジ部51に対して所定距離の間隙g2をもって設けられたものである。
さらに、柔結合フランジ部51の反パネル部材側の面と、上述の規制部材7の下片部7cとの間隙g2の少なくとも一部(この実施例では両者51,7c間の略全体)には、緩衝部材8を配設しており、この緩衝部材8の剛性を、上述の振動減衰部材6の剛性と同一またはそれ以下に設定している。
上述の振動減衰部材6としては、温度が20℃で、かつ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、損失係数が0.2以上の粘弾性部材を用いることができる。
また、上述の剛結合部C,D,Eとしては、上述のスポット溶接部c,d,eに代えて、ボルト、ナットなどによる締結結合部であってもよく、あるいは、接着剤による接着接合部であってもよい。ここで、剛結合の接着接合に用いる接着剤は、温度が20℃で、かつ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が2000MPa以上で、かつ、損失係数が0.05以下である粘弾性部材を用いることができる。
ところで、図3に示すように、節部材5における節部材本体50の四隅部には切欠き凹部50A,50Aがそれぞれ形成されている。この切欠き凹部50Aは、節部材5を閉断面部3内に配置する際、コーナアール部を有する断面ハット状のフレーム部材1と節部材5との干渉を回避すると共に、車体部材4を電着槽に浸漬して防錆塗装を行なう場合に、節部材5が電着液を堰止めないように成すためのものである。
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用を説明する。
車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により車体に荷重が入力して、パネル部材2が図4の矢印α方向へ比較的大きく変形しようとする場合、パネル部材2に接合固定された規制部材7がパネル部材2の変位に追従し同方向へ移動し、当該規制部材7の下片部7cが緩衝部材8を介して節部材5の柔結合フランジ部51に当接するので、該規制部材7によりパネル部材2の矢印α方向への開き変形を抑制することができ、よって、振動減衰部材6の破断や剥離を防止することができる。
一方、通常走行時においては、パネル部材2と節部材5の柔結合フランジ部51との間に配設した振動減衰部材6の変形による歪エネルギを熱エネルギに変換して、振動を抑制するので、乗り心地性能の向上を図ることができる。
また、上述の間隙g2には緩衝部材8を配設しているので、車両走行時の振動等によって柔結合フランジ部51と規制部材7の下片部7cとが直接当接することを防止して、これら両者51,7cの当接により通常走行時に異音が発生することを防止することができる。
このように、図1〜図4で示した実施例1の車両の車体構造は、車体部材4により形成されて閉断面部3を有する車両の車体構造であって、上記閉断面部3の内部に結合された節部材5を備え、該節部材5は、上記車体部材4に接合される複数のフランジ部51,52,53,54を有し、上記フランジ部51,52,53,54のうち少なくとも1つ51は、振動減衰部材6を介して上記車体部材(パネル部材2参照)に接合された柔結合フランジ部であり、上記車体部材(パネル部材2参照)に設けられた規制部(規制部材7参照)が、上記柔結合フランジ部51の反車体部材側の面(反パネル部材側の面)に対向すると共に、上記柔結合フランジ部51とは所定距離の間隙g2をもって設けられたものである(図2,図4参照)。
この構成によれば、柔結合フランジ部51の反車体部材側の面(反パネル部材側の面)と対向する規制部(規制部材7)を、車体部材4に設け、該規制部(規制部材7)と柔結合フランジ部51との間に間隙g2を設けて、規制部(規制部材7)を柔結合フランジ部51と非接触構造と成したので、振動減衰部材6の変形を阻害することなく、しかも、車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により車体に荷重が入力して、車体部材4が比較的大きく変形しようとする場合、上記規制部(規制部材7)で車体部材(パネル部材2参照)の変形を規制し、柔結合フランジ部51と車体部材(パネル部材2)との間の振動減衰部材6が破断したり剥離することを防止することができる。
このため、振動減衰部材6による減衰能を維持することができて、リペア性(補修性)の観点からも有利となる。
この発明の一実施形態においては、上記柔結合フランジ部51の反車体部材側の面(反パネル部材側の面)と上記規制部(規制部材7参照)との間隙g2の少なくとも一部に緩衝部材8が配設されたものである(図4参照)。
この構成によれば、上述の間隙g2に緩衝部材8を配設しているので、車両走行時の振動等により柔結合フランジ部51と規制部(規制部材7)とが直接当接することを防止し、これら両者7,51の当接により通常走行時に異音が発生することを防止することができる。
この発明の一実施形態においては、上記緩衝部材8の剛性は、上記振動減衰部材6の剛性と同一またはそれ以下に設定されたものである。
この構成によれば、緩衝部材8の剛性を上述の如く設定したので、緩衝部材8が振動減衰部材6による歪エネルギの吸収を阻害することがなく、異音発生防止と振動減衰効果との両立を図ることができる。
図5は車両の車体構造の他の実施例を示し、この実施例2においては、緩衝部材が上述の振動減衰部材6によって構成されたものである。
すなわち、上述の振動減衰部材6は柔結合フランジ部51とパネル部材2との間、上記間隙g1に相当する位置、並びに、柔結合フランジ部51の反パネル部材側の面と規制部材7の下片部7cとの間(間隙g2に相当する位置)に連続して配置されている。
上述の振動減衰部材6は、当該振動減衰部材6を配設する所定部位に、まずペースト状のものを塗布し、車体の電着塗装後に乾燥させる固定において加熱硬化して上記所定部位に介設されるものであるから、上述のような連続配置構造が可能となる。
このように、図5で示した実施例2の車両の車体構造は、上記緩衝部材が上記振動減衰部材6によって構成されたものである(図5参照)。
この構成によれば、緩衝部材用として別部材を設ける必要がなく、柔結合フランジ部51の車体部材側の面(パネル部材2側の面)と反車体部材側の面(反パネル部材側の面)との両側で振動減衰部材6による減衰能を発揮することができると共に、通常走行時における異音発生の防止をも図ることができる。
また、節部材本体50が図5の矢印β1方向(節部材本体50に対して略垂直な方向で、概ね矢印Z方向)へ変形しようとした場合、規制部材7の縦面部7bにより、その変形を阻止することができる。
図5で示した実施例2においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例1とほぼ同様であるから、図5において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図6は車両の車体構造のさらに他の実施例を示し、この実施例3においては、規制部材7の下片部7cを節部材本体50の前方から後方にわたる長さに設定すると共に、当該下片部7cに開口部7dを形成し、上述の柔結合フランジ部51を該開口部7dに挿通させたものである。
なお、この実施例3においては、規制部材7の矢印X方向の長さは、柔結合フランジ部51の矢印X方向の長さ、並びに、その近傍の節部材本体50における左右の切欠き凹部50A,50A間の矢印X方向の長さよりも長く形成する。
このように構成すると、パネル部材2の矢印α方向への変形を規制部材7によって抑制することができると共に、節部材本体50が図6の矢印β2方向(節部材本体50に対して略垂直な方向で、概ね矢印Z方向)へ変形しようとした場合、節部材本体50と開口部7dの口縁7eとが係合し、それ以上の変形を阻止することができる。
つまり、図6に示すこの実施例3においてはパネル部材2の矢印α方向への変形のみならず、節部材本体50の矢印β2方向への変形をも、規制部材7により規制することができるので、上記各方向への変形に起因する振動減衰部材6の破断や剥離を防止することができる。
図6で示したような実施例3においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例1とほぼ同様であるから、図6において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図7は車両の車体構造のさらに他の実施例を示し、この実施例4においては、節部材5の柔結合フランジ部51の矢印Z方向前側の端部51aから矢印Y方向下方に向けて縦面部55を一体に折曲げ形成する一方で、規制部材7の下片部7cの後端から矢印Y方向上方に向けて係止片7fを一体に折曲げ形成している。
上述の係止片7fは、図7に示すように縦面部55に平行で、かつ対向しており、これら両者7f,55間には矢印Z方向の間隙g3が形成されている。
そして、柔結合フランジ部51の下面およびそれ以下の部位における間隙g1,g2,g3に緩衝部材8を配設している。
このように構成すると、パネル部材2の矢印α方向への変形を規制部材7によって抑制することができると共に、節部材本体50が図7の矢印β1,β2方向(節部材本体50に対して略垂直な方向で、概ね矢印Z方向)へ変形しようとした場合、係止片7fが緩衝部材8を介して縦面部55に係合し、それ以上の変形を阻止することができる。
つまり、図7に示すこの実施例4においては、図6で示した実施例3と同様に、パネル部材2の矢印α方向への変形のみならず、節部材本体50の矢印β1,β2方向への変形をも、規制部材7により規制することができるので、上記各方向への変形に起因する振動減衰部材6の破断や剥離を防止することができる。
図7で示した実施例4においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例1とほぼ同様であるから、図7において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図8は車両の車体構造のさらに他の実施例を示し、この実施例5においては、節部材5における柔結合フランジ部51の矢印Z方向前側の端部51aから同方向前方に間隙g1だけ離間した位置と、柔結合フランジ部51の矢印Z方向後側の端部51bから同方向後方に間隙g4だけ離間した位置と、においてパネル部材2にそれぞれ規制部としての規制部材70,70を設けている。
これら各規制部材70,70は取付け座面部70aと、該取付け座面部70aの柔結合フランジ部51に近い側の端部から矢印Y方向に向けて略直角に折曲げ形成した縦面部70bと、を一体形成したもので、一方の規制部材70は、その取付け座面部70aをパネル部材2に当接した状態でスポット溶接部fにて当該パネル部材2にスポット溶接固定されており、他方の規制部材70は、その取付け座面部70aをパネル部材2に当接した状態でスポット溶接部hにて当該パネル部材2にスポット溶接固定されている。
さらに、上述の各規制部材70,70の縦面部70b,70bは、柔結合フランジ部51の対応する端部51a,51bに対向すると共に、縦面部70b,70bと端部51a,51bとの間には所定距離の上記間隙g1,g4が形成されている。
上述の各規制部材70,70の縦面部70b,70bのパネル部材2から矢印Y方向への突出量は、当該縦面部70b,70bが端部51a,51bと対向する位置までで充分であるが、この実施例5においては緩衝部材8の配設を考慮して、縦面部70b,70bが端部51a,51bよりさらに下方まで突出するように形成している。
そして、上述の柔結合フランジ部51の端部51a,51bと規制部材70における縦面部70bとの間隙g1,g4には、緩衝部材8,8を車体部材4の下面に達するように配設し、これら各緩衝部材8,8の剛性を、振動減衰部材6の剛性と同一またはそれ以下に設定している。
このように構成すると、節部材本体50が図8の矢印β1方向(節部材本体50に対して略垂直な方向で、概ね矢印Z方向)へ変形しようとした場合、柔結合フランジ部51の端部51aが、緩衝部材8を介して一方の規制部材70の縦面部70bと係合し、それ以上の変形を阻止することができる。
また、節部材本体50が図8の矢印β2方向(節部材本体50に対して略垂直な方向で、概ね矢印Z方向)へ変形しようとした場合、柔結合フランジ部51の端部51bが、緩衝部材8を介して、他方の規制部材70の縦面部70bと係合し、それ以上の変形を阻止することができる。
よって、節部材5の柔結合フランジ部51の矢印β1,β2方向への変形を、規制部材70,70により規制することができて、振動減衰部材6の破断や剥離を防止することができる。
このように、図8で示した実施例5の車両の車体構造は、車体部材4(フレーム部材1、パネル部材2参照)により形成されて閉断面部3を有する車両の車体構造であって、上記閉断面部3の内部に結合された節部材5を備え、該節部材5は、上記車体部材4に接合される複数のフランジ部51〜54を有し、上記フランジ部51〜54のうち少なくとも1つ51は、振動減衰部材6を介して上記車体部材(パネル部材2参照)に接合された柔結合フランジ部51であり、上記車体部材(パネル部材2参照)に設けられた規制部(規制部材70参照)が、上記節部材5の柔結合フランジ部51の端部(51a,51bのうち少なくとも何れか一方)に対向すると共に、該端部51a,51bとは所定距離の間隙g1,g4をもって設けられたものである(図8参照)。
この構成によれば、節部材5の柔結合フランジ部51の端部51a,51bに対向する規制部(規制部材70)を、車体部材(パネル部材2参照)に設け、該規制部(規制部材70)と柔結合フランジ部51の端部51a,51bとの間に間隙g1,g4を設けて、規制部(規制部材70)を柔結合フランジ部51の端部51a,51bと非接触構造と成したので、振動減衰部材6の変形を阻害することなく、しかも、車両の軽衝突や縁石乗り上げ時の衝撃等により車体に荷重が入力して、節部材5が比較的大きく変形しようとする場合、上記規制部(規制部材70)で節部材5の変形を規制し、柔結合フランジ部51と車体部材(パネル部材2参照)との間の振動減衰部材6が破断したり剥離することを防止することができる。
この発明の一実施形態においては、上記柔結合フランジ部51の端部(51a,51bのうち少なくとも何れか一方)と上記規制部(規制部材70参照)との間隙g1,g4の少なくとも一部に緩衝部材8が配設されたものである(図8参照)。
この構成によれば、上述の間隙g1,g4に緩衝部材8を配設しているので、車両走行時の振動等により柔結合フランジ部51の端部51a,51bと規制部(規制部材70)とが直接当接することを防止し、これら両者の当接により通常走行時に異音が発生することを防止することができる。
この発明の一実施態様においては、上記緩衝部材8の剛性は、上記振動減衰部材6の剛性と同一またはそれ以下に設定されたものである。
この構成によれば、緩衝部材8の剛性を上述の如く設定したので、緩衝部材8が振動減衰部材6による歪エネルギの吸収を阻害することがなく、異音発生防止と振動減衰効果との両立を図ることができる。
図8で示した実施例5においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図8において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略するが、柔結合フランジ部51の矢印X方向左側、右側の端部51c,51d(図3参照)に図8の実施例と同様の規制部材を設ける構造を採用してもよい。
図9は車両の車体構造のさらに他の実施例を示し、この実施例6においては、節部材5における柔結合フランジ部51の矢印Z方向前側の端部51aから同方向前方に間隙g5だけ離間した位置と、柔結合フランジ部51の矢印Z方向後側の端部51bから同方向後方に間隙g6だけ離間した位置と、においてパネル部材2にそれぞれ規制部としての切起し部71,71を設けている。
これらの各切起し部71,71は節部材5の柔結合フランジ部51における端部51a,51bと対向すると共に、切起し部71,71と端部51a,51bとの間には上述の間隙g5,g6が形成されている。
この実施例6においては、各要素71,51a間、71,51b間に配設する緩衝部材を振動減衰部材6によって構成したものである。
すなわち、上述の振動減衰部材6は柔結合フランジ部51とパネル部材2との間、上記間隙g5に相当する位置、並びに、間隙g6に相当する位置に連続して配置されたものである。
このように、図9で示した実施例6においては、上記緩衝部材が上記振動減衰部材6によって構成されたものである(図9参照)。
この構成によれば、緩衝部材用として別部材を設ける必要がなく、柔結合フランジ部51の車体部材側の面(パネル部材2側の面)と、当該柔結合フランジ部51の端部51a,51bと、の双方で振動減衰部材6による減衰能を発揮することができると共に、通常走行時における異音発生の防止をも図ることができる。
また、図9で示したように、切起し部71,71の矢印Y方向の下端部を、柔結合フランジ部51の反パネル部材側の面と同一位置に設定すると、当該切起し部71,71によりパネル部材2に開口形成される切起し開口量を最小限と成すことができる。
図9で示した実施例6においても、その他の構成、作用、効果については、図8で示した実施例5とほぼ同様であるから、図9において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の車体部材は、フレーム部材1とパネル部材2との2部材から成る車体部材4に対応し、
以下同様に、
規制部は、規制部7,70または切起し部71に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記実施例においては、断面ハット状のフレーム部材1とパネル部材2とで車体部材4を構成したが、この車体部材は、断面ハット状部材と断面逆ハット状部材とを組合せて構成してもよい。
さらに、本発明の車両の車体構造は、フロントサイドフレーム、リヤサイドフレーム、フロアクロスメンバ、ダッシュクロスメンバ、トンネルメンバ、サイドシル、フロントピラー、センタピラー、リヤピラー、クオータピラー、ヒンジピラー、ルーフサイドレール、フロアフレームなどの車両の各部位に適用することができる。
以上説明したように、本発明は、車体部材により形成されて閉断面部を有する車両の車体構造について有用である。
3…閉断面部
4…車体部材
5…節部材
6…振動減衰部材
7,70…規制部材(規制部)
8…緩衝部材
51…柔結合フランジ部
52,53,54…フランジ部
51a,51b…端部
71…切起し部(規制部)
g2,g4,g5,g6…間隙

Claims (6)

  1. 車体部材により形成されて閉断面部を有する車両の車体構造であって、
    上記閉断面部の内部に結合された節部材を備え、
    該節部材は、上記車体部材に接合される複数のフランジ部を有し、
    上記フランジ部のうち少なくとも1つは、振動減衰部材を介して上記車体部材に接合された柔結合フランジ部であり、
    上記車体部材に設けられた規制部が、上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面に対向すると共に、上記柔結合フランジ部とは所定距離の間隙をもって設けられ、
    上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面と上記規制部との間隙の少なくとも一部に他の振動減衰部材が配設され、
    上記車体部材側の振動減衰部材と上記反車体部材側の他の振動減衰部材とは別体であることを特徴とする
    車両の車体構造。
  2. 車体部材により形成されて閉断面部を有する車両の車体構造であって、
    上記閉断面部の内部に結合された節部材を備え、
    該節部材は、上記車体部材に接合される複数のフランジ部を有し、
    上記フランジ部のうち少なくとも1つは、振動減衰部材を介して上記車体部材に接合された柔結合フランジ部であり、
    上記車体部材に設けられた規制部が、上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面に対向すると共に、上記柔結合フランジ部とは所定距離の間隙をもって設けられ、
    上記柔結合フランジ部の反車体部材側の面と上記規制部との間隙の少なくとも一部に緩衝部材が配設され、
    該緩衝部材の剛性を、上記振動減衰部材の剛性より小さく設定したことを特徴とする
    車両の車体構造。
  3. 車体部材により形成されて閉断面部を有する車両の車体構造であって、
    上記閉断面部の内部に結合された節部材を備え、
    該節部材は、上記車体部材に接合される複数のフランジ部を有し、
    上記フランジ部のうち少なくとも1つは、振動減衰部材を介して上記車体部材に接合された柔結合フランジ部であり、
    上記車体部材に設けられた規制部が、上記節部材の柔結合フランジ部の端部に対向すると共に、該端部とは所定距離の間隙をもって設けられ、
    上記規制部が、車体部材に切起し部を設けることにより形成されたことを特徴とする
    車両の車体構造。
  4. 上記柔結合フランジ部の端部と上記規制部との間隙の少なくとも一部に緩衝部材が配設された
    請求項に記載の車両の車体構造。
  5. 上記緩衝部材の剛性は、上記振動減衰部材の剛性と同一またはそれ以下に設定された
    請求項4に記載の車両の車体構造。
  6. 上記緩衝部材が上記振動減衰部材によって構成された
    請求項4に記載の車両の車体構造。
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