JP6200267B2 - 5αレダクターゼ阻害剤 - Google Patents

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本発明は、コンブ仮根部またはその抽出物を有効成分として含有する、5αレダクターゼ阻害剤に関する。また、本発明は、コンブ仮根部またはその抽出物を有効成分として含有する、皮膚疾患および/または前立腺疾患を予防および/または治療するための医薬組成物に関する。
近年、食品の分野では男性型脱毛症の改善を目的に、安全性の高い天然素材が注目されている。そして、養殖コンブ仮根部を利用した、育毛、発毛効果を有する経口組成物が報告されている(特許文献1)。しかしながら、コンブ仮根部の育毛、発毛効果のメカニズムは未だ解明されていない。
育毛、発毛効果を促すメカニズムとしては種々報告されており、例えば髪に直接作用して、髪をより太く成長させて全体として密度を増やすこともあれば、毛根の毛母細胞に作用して、血行促進や栄養補給などにより毛母細胞を活性化させることなどが考えられているが、更にそのメカニズムとなると多様であり、またその作用が複雑に絡み合うことも考えられ、その解明は単純ではなかった。特にコンブ仮根部の場合、単一の化合物ではなく、天然素材そのものであり、有効成分が何であるのかも判明しておらず、また抽出操作による活性画分の高濃度抽出物を得ることすらこれまで報告はなく、そのメカニズムの解明には困難が予想された。
特許第4985763号
本発明は、コンブ仮根部の活性画分の高濃度抽出を検討すると共に、その抽出物によるコンブ仮根部が有する育毛、発毛効果のメカニズムを解明し、コンブ仮根部またはその抽出物を有効成分とする、新たな対象疾患の予防および/または治療に有用な治療剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、コンブ仮根部の活性画分の効率的な抽出に成功し、その活性画分の抽出物が5αレダクターゼを阻害することを見出した。さらに、本発明者らは、コンブ仮根部の抽出物の中で、特に有機溶媒抽出物が、5αレダクターゼI型およびII型に対して優れた阻害効果を有するという詳細な知見を見出したことから、5αレダクターゼI型が関与する皮膚疾患(例えば、ニキビ)および/または5αレダクターゼII型が関与する前立腺疾患(例えば、前立腺肥大症)においても、コンブ仮根部またはその抽出物が治療効果を発揮しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]コンブ仮根部またはその抽出物を有効成分として含有する、5αレダクターゼ阻害剤;
[2]5αレダクターゼがI型またはII型である、上記[1]記載の5αレダクターゼ阻害剤;
[3]該抽出物が水抽出物または有機溶媒抽出物である、上記[1]または[2]記載の5αレダクターゼ阻害剤;
[4]有機溶媒に、エタノール、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチルおよび/またはn−ヘキサンが含まれる、上記[3]記載の5αレダクターゼ阻害剤;
[5]コンブ仮根部またはその抽出物を有効成分として含有する、皮膚疾患および/または前立腺疾患を予防および/または治療するための医薬組成物;
[6]該皮膚疾患がニキビである、上記[5]記載の医薬組成物;
[7]該前立腺疾患が前立腺肥大症である、上記[5]記載の医薬組成物;および
[8]コンブ仮根部抽出物の調製方法であって、コンブ仮根部を溶媒を用いて抽出し、濾過し、次いで、濾液を濃縮することを含む、方法
を提供するものである。
また本発明は、
[9]治療が必要な患者に、治療上有効量のコンブ仮根部またはその抽出物を投与することを特徴とする5αレダクターゼの阻害方法;
[10]5αレダクターゼ阻害剤を製造するための、コンブ仮根部またはその抽出物の使用;および
[11]5αレダクターゼの阻害に使用するための、コンブ仮根部またはその抽出物を含有する医薬組成物
を提供するものである。
更に本発明は、5αレダクターゼの作用に起因する疾患の予防および/または治療に関する、コンブ仮根部またはその抽出物を用いた上記[1]〜[11]記載の薬剤、医薬組成物、方法、および使用を提供する。
本発明によれば、コンブ仮根部またはその抽出物が5αレダクターゼを効果的に阻害することにより、ニキビなどの皮膚疾患および/または前立腺肥大症などの前立腺疾患に対しても優れた治療効果を発揮することが期待できる。本発明は天然素材であるコンブ仮根部またはその抽出物を用いることから、副作用の少ない治療効果が期待できる。
また、コンブ仮根部の抽出物を用いることにより、これまでのコンブ仮根部自身による育毛、発毛作用による男性型脱毛症の治療効果を効果的に向上できることが期待できる。
本発明の5αレダクターゼ阻害剤は、コンブ仮根部またはその抽出物を有効成分とするものである。
本明細書において使用する「コンブ仮根部」とは、コンブの仮根部分を主とし、葉柄を含んでいてもよい部分を指し、以前は食用として利用されず廃棄されていた部分である。通常のコンブ製品は葉状体の先端部と下端部を除いた部分から製造され、葉状体の下端部は根昆布と称されて利用されている。本発明において使用するコンブの種類は、天然コンブであっても、養殖コンブであってもよい。このようなコンブとしては、マコンブ、ミツイシコンブ、リシリコンブ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において使用する「コンブ仮根部抽出物」とは、コンブ仮根部を原料として、各種溶媒を用いて抽出して得られたものである。かかる抽出方法としては、熱水抽出法、煮沸抽出法、浸漬抽出法、振とう抽出法、ソックスレー抽出法、水蒸気蒸留法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一つの好ましい態様において、コンブ仮根部抽出物は水抽出物または有機溶媒抽出物である。一つのさらに好ましい態様において、コンブ仮根部抽出物は有機溶媒抽出物である。
抽出溶媒には、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン、クロロホルム等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、水、ならびに、低級アルコール、エステル類および炭化水素類等の有機溶媒であり、特に好ましくは、エタノール、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチルおよび/またはn−ヘキサンである。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いてもよく、有機溶媒には水が含まれていてもよい。
抽出溶媒の使用量は、コンブ仮根部(乾燥質量換算)10gに対して10〜1000mLが好ましく、20〜500mLがより好ましい。
抽出温度は各溶媒によって適宜決定すればよいが、10〜100℃が好ましく、20〜80℃がより好ましい。抽出温度が10℃未満の場合、抽出不良の傾向があり、100℃を超える場合、抽出物が分解する傾向がある。
抽出時間は各溶媒によって適宜決定すればよいが、1分〜96時間が好ましく、5分〜24時間がより好ましい。抽出時間が1分未満の場合、抽出不良の傾向があり、96時間を超える場合、もはやそれ以上の抽出率を望むことができない傾向がある。
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いてもよく、必要に応じて、濃縮、希釈及び濾過処理、活性炭等による脱色、脱臭処理等をして用いてもよい。さらに、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いてもよい。
コンブ仮根部の抽出物の調製方法としては、コンブ仮根部10gに対して10〜1000mL、好ましくは20〜500mLの溶媒を加え、20〜80℃で5分〜24時間抽出し、濾過して、濾液を濃縮する方法が挙げられる。
本発明の5αレダクターゼ阻害剤は、有効成分としてコンブ仮根部またはその抽出物を含有するものであればよく、コンブ仮根部またはその抽出物による5αレダクターゼ阻害効果を妨げない限り、さらに賦形剤等を含むものであってもよい。したがって、本発明の5αレダクターゼ阻害剤中のコンブ仮根部またはその抽出物の割合は特に限定されるものではない。あるいは、本発明の5αレダクターゼ阻害剤は、コンブ仮根部またはその抽出物のみからなるものであってもよい。
5αレダクターゼ(5α−SR)とは、NADPHを補酵素として利用し、テストステロン、プロゲステロン、コルチゾールなどの4−エン−3−オン構造を有するステロイドを5α−体の3−ケトステロイドに還元する酵素である(D.W. Russell, J.D. Wilson, Steroid 5α-reductase: Two genes/two enzymes, Annu. Rev. Biochem. 63, 25 (1994)を参照)。5αレダクターゼには、I型(5α−SR1、至適pHは7.0、K=1−5μM)およびII型(5α−SR2、至適pHは5.5、K=4−50nM)の2種類のアイソザイムが存在しており、通常、肝臓では主に前者が、前立腺では主に後者が発現する。
5αレダクターゼは、テストステロンを還元反応によってアンドロゲン受容体により親和性の高い活性型男性ホルモンである5α−ジヒドロテストステロン(5α−DHT)に代謝する(化1)。5αレダクターゼは、男性ホルモンの作用を調節する酵素として機能することが報告され(R. Ge, D.O. Hardy, J.F. Catterall and M.P. Hardy, Opposing Changes in 3α-Hydroxysteroid Dehydrogenase: Oxidative and reductive activities in rat leydig cells during pubertal development. Biol. Reproduct., 60, 855 (1999))、そして、5α−DHTは、アンドロゲン受容体との結合を介して、精子の形成や性の分化など様々な生理作用を示す一方で、前立腺肥大や前立腺がんなどの前立腺疾患、ニキビおよび男性型脱毛症の憎悪因子として機能することが報告されている(D.W. Russell, J.D. Wilson, Steroid 5α-reductase: Two genes/two enzymes, Annu. Rev. Biochem. 63, 25 (1994); R. Ge, D.O. Hardy, J.F. Catterall and M.P. Hardy, Opposing Changes in 3α-Hydroxysteroid Dehydrogenase: Oxidative and reductive activities in rat leydig cells during pubertal development. Biol. Reproduct., 60, 855 (1999); J.D. Wilson, The pathogenesis of benign prostatic hyperplasia, Am. J. Med., 68, 745 (1980); D.J. Tindall and R.S.Rittmaster, The rationale for inhibiting 5α-reductase isoenzymes in the prevention and treatment of prostate cancer, J. Urology, 179, 1235 (2008); 日本香粧品科学会誌, 21(3), 200-202 (1997))。そのため、5α−DHTの生成に関与する5αレダクターゼは、皮膚疾患および/または前立腺疾患との関連が示唆される物質であり、特に、ニキビおよび前立腺肥大症の発症および/または進行に深く関与するものである。したがって、5αレダクターゼを阻害する作用が見出されたコンブ仮根部およびその抽出物は、皮膚疾患および/または前立腺疾患の予防および/または治療のための、副作用の少ない医薬組成物の有効成分として有用である。
Figure 0006200267
したがって、本発明は、一つの実施態様において、コンブ仮根部またはその抽出物を有効成分として含有する、皮膚疾患および/または前立腺疾患の予防および/または治療のための医薬組成物を提供する。
本明細書において使用する「5αレダクターゼの作用に起因する疾患」とは、例えば皮膚疾患、前立腺疾患などが挙げられる。
本明細書において使用する「皮膚疾患」の例として、ニキビ、増殖性および炎症性皮膚疾患、乾癬、癌、表皮炎、脱毛症、皮膚萎縮、ステロイド誘発性皮膚萎縮、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎、じんま疹、心因性掻痒症、湿疹等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明における皮膚疾患としては、ニキビが好ましい。
本明細書において使用する「前立腺疾患」の例として、前立腺肥大症、前立腺がん等が挙げられる、これらに限定されるものではない。本発明における前立腺疾患としては、前立腺肥大症が好ましい。
本明細書において、皮膚疾患または前立腺疾患の「治療」には、既に皮膚疾患または前立腺疾患に罹患している患者における症状の進行を阻止することも含まれる。
本発明の医薬組成物中に有効成分として含有させるコンブ仮根部またはその抽出物の量は、目的とする剤形等に応じて適宜選択することができるが、全組成に対して1〜98質量%程度であればよく、2〜95質量%程度であることが好ましく、3〜90重量%程度であることがより好ましい。
本発明の剤形は、対象の身体状況、健康状態などに応じて適宜選択することができ、調製することができる。例えば、錠剤(口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠)、カプセル剤、顆粒剤(発泡顆粒剤)、散剤、経口液剤(エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、リモナーデ剤)、シロップ剤(シロップ用剤)、経口ゼリー剤、口腔用錠剤(トローチ剤、舌下錠、バッカル錠、付着錠、ガム剤)、口腔用スプレー剤、口腔用半固形剤、含嗽剤、注射剤(輸液剤、埋め込み注射剤、持続性注射剤)、透析用剤(腹膜透析用剤、血液透析用剤)、吸入剤(吸入粉末剤、吸入液剤、吸入エアゾール剤)、坐剤、直腸用半固形剤、注腸剤、点眼剤、眼軟膏剤、点耳剤、点鼻剤(点鼻粉末剤、点鼻液剤)、膣錠、膣用坐剤、外用固形剤(外用散剤)、外用液剤(リニメント剤、ローション剤)、スプレー剤(外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤)、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤(テープ剤、パップ剤)等が挙げられる。
本発明の投与方法としては、限定されるものではないが、経口、動脈内、静脈内、点滴静注、持続注入、皮下、筋肉内、皮内、関節内、腹腔内、包膜内、気管内、肺腔内、肋膜内、胸腔内、心臓内、子宮内、口腔内、バッカル、舌下、吸入、歯科、脳内、眼内、結膜、鼻内、耳内、直腸内、膣内、通気、局所、全身、膀胱内、尿道内、局所注入、髄膜、髄腔内、クモ膜下、硬膜外、骨髄内、腱鞘内、神経幹内、埋め込み等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、コンブ仮根部またはその抽出物による皮膚疾患および/または前立腺疾患の予防および/または治療効果を妨げない範囲であれば、他の医薬活性成分や添加剤を公知の方法により適宜配合してもよい。
本発明の医薬組成物に配合される添加剤としては、限定されるものではないが、生薬、天然物、安定化剤、界面活性剤、改良剤、可塑剤、滑沢剤、カプセル皮膜、可溶化剤、還元剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、揮発補助剤、吸着剤、矯味剤、共力剤、結合剤、懸濁化剤、抗酸化剤、光沢化剤、効力増強剤、コーティング剤、剤皮、支持体、持続化剤、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼化剤、摂食促進剤、接着剤、増強剤、咀嚼剤、着香剤・香料、着色剤、糖衣剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、燃焼剤、粘着剤、粘着増強剤、粘稠剤、粘稠化剤、発炎抑制剤、発熱剤、発泡剤、pH調節剤、皮膚保護剤、賦形剤、浮遊剤、分散剤、噴射剤、崩壊剤、崩壊補助剤、芳香剤、防錆剤、防湿剤、放出制御膜、防腐剤、保存剤、無痛化剤、誘引剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、離型剤、流動剤等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
コンブ仮根部抽出物の調製
コンブ仮根部粉末(商品名:ガニアシ粉末、カイゲンファーマ株式会社製)100gを、各種溶媒800mlを用いて、25℃、24時間の条件下で抽出した後、ガラス濾過器(G3、株式会社三商社製)にて濾過し、濾液を減圧下で濃縮した後、それぞれ表1に示す量(g)および性状の抽出物を得た。
Figure 0006200267
(実施例2)
5αレダクターゼI型に対する阻害効果の検討
1.ラット肝ミクロソーム画分の調製
10週令のJcl:Wistar雄性ラットをエーテル麻酔下、断頭、放血し、肝臓を摘出した。摘出肝臓を細断し、3倍容の1.15%KClおよび0.1mM EDTA含有3mMトリス−塩酸緩衝液(pH:7.4)を加え、氷冷下、Potter−Elvehjem型ホモジナイザー(アズワン株式会社製)を用いて25%ホモジネートを調製した。次いで、25%ホモジネートを4℃、9,000gで20分遠心し、得られた上清を、さらに4℃、105,000gで60分間遠心分離し、得られた沈殿を10mMリン酸緩衝液(pH:7.4)に懸濁し、5αレダクターゼI型が豊富に存在するミクロソーム画分を調製した。なお、タンパク質濃度は、ビシンコニン酸法(P.K.Smithm et al., Measurement of protein using bicinchoninic acid. Anal.Biochem., 150, 76, 1985)により定量した。
2.インキュベート実験における5αレダクターゼI型に対する阻害効果の測定
コンブ仮根部粉末およびコンブ仮根部の抽出物を用いて、下記の方法でインキュベート実験を行い、5αレダクターゼI型に対する阻害効果を測定した。
テストステロン(138.7μmol/l)を基質に各試料(100μg)を添加し、0.3Mスクロースおよび1mMジチオスレイトール含有40mMリン酸緩衝液(pH:7.0)200μlを加え、NADPHの最終濃度が1mMとなるように添加し、酵素源としてラット肝ミクロソーム画分(100μl、タンパク量40μg未満)を加え、37℃で30分間インキュベートした。インキュベート終了後、氷冷下、内標準物質を添加し、Bond Elut−C18(Agilent Technologies社製)に付し、精製水(5ml)および50%メタノール(5ml)で洗浄し、次いで、90%メタノール(5ml)で溶出した。溶媒を減圧留去した後、ヘプタフルオロブチリックアンハイドライド(50μl)を加えて30℃で10分間加温した。反応液を減圧留去した後、n−ヘキサン/酢酸エチル(3:1、500μl)を加え、シリカゲルカラム(30x8mm)に付し、n−ヘキサン/酢酸エチル(3:1、5ml)で溶出した。溶媒を減圧留去した後、30μlのアセトンに溶かし、その1μlを水素炎イオン化検出器が装着されたガスクロマトグラフ(Agilent Technologies 6890N、Agilent Technologies社製)に注入して測定した。
<ガスクロマトグラフィーの測定条件>
カラムは無極性のジメチルポリシロキサン系キャピラリカラム(DB−1、30mx0.25mm i.d.、Agilent Technologies社製)を用いた。カラム温度は170℃で3分間保持した後、5℃/分の割合で220℃まで温度を上昇し、次いで、3℃/分の割合で300℃になるようにプログラムした。キャリアーガスにはヘリウムを用い、線速度が39cm/秒となるように流量を調節した。
阻害率は、試料を添加しない場合の反応率(対照)を100%(阻害率0%)とし、各試料を添加した際の反応率の減少を算出して、以下の阻害率計算式から求めた。なお、テストステロンは、ジヒドロテストステロンに代謝され、更に代謝されてアンドロスタンジオールを生成することから、5αレダクターゼI型代謝物のピーク面積(量)はアンドロスタンジオールも含むものとする。
阻害率(%)=100−[(a’+b’/c’)×100]/(a+b/c)
a’:ジヒドロテストステロンのピーク面積(試料添加)
b’:アンドロスタンジオールのピーク面積(試料添加)
c’:内標準物質のピーク面積(試料添加)
a:ジヒドロテストステロンのピーク面積(対照)
b:アンドロスタンジオールのピーク面積(対照)
c:内標準物質のピーク面積(対照)
本発明の5αレダクターゼ阻害剤の有効成分であるコンブ仮根部またはその抽出物は、5αレダクターゼI型に対して阻害効果を有することが認められた。結果を表2に示す(データは平均値)。
Figure 0006200267
コンブ仮根部粉末およびその水抽出物の5αレダクターゼI型に対する阻害率は、それぞれ31.6%および37.9%であったが、有機溶媒を用いて抽出することによりその阻害率は顕著に増大した。上記の結果より、コンブ仮根部およびその抽出物は5αレダクターゼI型に対して阻害効果を有する、特にその有機溶媒抽出物は5αレダクターゼI型に対して優れた阻害効果を有すると認められる。
(実施例3)
5αレダクターゼII型に対する阻害効果の検討
1.ラット前立腺ミクロソーム画分の調製
10週令のJcl:Wistar雄性ラットをエーテル麻酔下、断頭、放血し、前立腺を摘出した。摘出前立腺を細断し、3倍容の0.3Mスクロースおよび1mMジチオスレイトール含有40mMリン酸緩衝液(pH:6.5)を加え、氷冷下、Potter−Elvehjem型ホモジナイザー(アズワン株式会社製)を用いて25%ホモジネートを調製した。次いで、ホモジネートを4℃、1,500gで20分遠心し、得られた上清を、さらに4℃、105,000gで60分遠心し、得られた沈殿を0.3Mスクロースおよび1mMジチオスレイトール含有40mMリン酸緩衝液(pH:7.5)に懸濁し、5αレダクターゼII型が豊富に存在するミクロソーム画分を調製した。なお、タンパク質濃度は、ビシンコニン酸法(P.K.Smithm et al., Measurement of protein using bicinchoninic acid. Anal.Biochem., 150, 76, 1985)により定量した。
2.インキュベート実験における5αレダクターゼII型に対する阻害効果の測定
コンブ仮根部粉末およびコンブ仮根部の抽出物を用いて、下記の方法でインキュベート実験を行い、5αレダクターゼII型に対する阻害効果を測定した。
テストステロン(138.7μmol/l)を基質に各試料(100μg)を添加し、0.3Mスクロースおよび1mMジチオスレイトール含有40mMリン酸緩衝液(pH:5.5)200μlを加え、NADPHの最終濃度が1mMとなるように添加し、酵素源としてラット前立腺ミクロソーム画分(100μl、タンパク量1.2mg未満)を加え、37℃で60分間インキュベートした。インキュベート終了後、氷冷下、内標準物質を添加し、Bond Elut−C18(Agilent Technologies社製)に付し、精製水(5ml)及び50%メタノール(5ml)で洗浄し、90%メタノール(5ml)で溶出した。溶媒を減圧留去した後、ヘプタフルオロブチリックアンハイドライド(50μl)を加えて30℃で10分間加温した。反応液を減圧留去した後、n−ヘキサン/酢酸エチル(3:1、500μl)を加え、シリカゲルカラム(30×8mm)に付し、n−ヘキサン/酢酸エチル(3:1、5ml)で溶出した。溶媒を減圧留去した後、30μlのアセトンに溶かし、その1μlをガスクロマトグラフに注入して測定した。ガスクロマトグラフィーの測定条件は、上記<ガスクロマトグラフィーの測定条件>と同様である。
阻害率は、試料を添加しない場合の反応率(対照)を100%(阻害率0%)とし、各試料を添加した際の反応率の減少を算出して、上記の阻害率計算式から求めた。なお、5αレダクターゼII型代謝物のピーク面積(量)はアンドロスタンジオールも含むものとする。
本発明の5αレダクターゼ阻害剤の有効成分であるコンブ仮根部またはその抽出物は、5αレダクターゼII型に対して阻害効果を有することが認められた。結果を表3に示す(データは平均値)。
Figure 0006200267
上記の結果より、コンブ仮根部粉末を試料とした場合、5αレダクターゼII型に対する阻害率は0.1%と阻害効果はほとんど認められないが、その有機溶媒抽出物においては優れた阻害効果が認められる。コンブ仮根部粉末の阻害効果は、本実験の条件下での該粉末に含まれる5αレダクターゼII型の阻害成分以外の成分の作用によってその阻害効果が抑制された可能性があると考えられる。コンブ仮根部粉末の有機溶媒抽出物が優れた阻害効果を有することから、コンブ仮根部粉末に5αレダクターゼII型の阻害成分が含まれていることは明らかである。したがって、コンブ仮根部粉末自身も5αレダクターゼII型に対する阻害効果を有すると認められ、特にその有機溶媒抽出物が5αレダクターゼII型に対して優れた阻害効果を有すると認められる。

Claims (4)

  1. コンブ仮根部有機溶媒抽出物を有効成分として含有する、ニキビおよび前立腺肥大症からなる群から選択される疾患を予防および/または治療するための医薬組成物。
  2. 疾患がニキビである、請求項1記載の医薬組成物。
  3. 疾患が前立腺肥大症である、請求項1記載の医薬組成物。
  4. 有機溶媒が、エタノール、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチルまたはn−ヘキサンから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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