JP6200125B1 - ガラス容器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、気泡の位置および大きさを精度よく制御して、底部内に外部から独立した気泡を有するガラス容器を、歩留まりよく製造することができるガラス容器の製造方法に関する。
また、化粧料や香水等を収容するための容器には、機能性はもとより、需要者の購買意欲を刺激する観点から、優れたデザインに基づく外観の美しさや高級感が要求されている。
そして、そのような優れたデザインや高級感を有するガラス容器の種類の一つとして、底部内に気泡を有するガラス容器が提案されており、独特の意匠効果を有するものとして高く評価されている。
そこで、底部内に気泡を有するガラス容器を自動成形機によって工業的に大量に製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
しかしながら、特許文献2における気泡の形成方法は、ガラス容器の底面に形成した小さいくぼみを起点として空気を吹き込み、くぼみ自体を押し拡げることで気泡とすることを特徴としている。
このため、くぼみの入口部分も押し拡げられて大きく開口してしまうことから、硬化前のガラスの保有熱による流動を利用したとしても、気泡を残しつつくぼみの入口部分を完全に閉塞させることは極めて困難であった。
したがって、特許文献2に記載のガラス容器の製造方法では、外部から独立した気泡を形成することができないという問題が見られた。
そして、所定形状の内部空間であれば、その入口側を、硬化前のガラスの保有熱による流動により安定的に閉塞させて、底部内に外部から独立した気泡を精度よく形成できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、気泡の位置および大きさを精度よく制御して、底部内に外部から独立した気泡を有するガラス容器を、歩留まりよく製造することができるガラス容器の製造方法を提供することにある。
(A)溶融ガラスから気泡未形成のガラス容器を成形する工程
(B)気泡未形成のガラス容器の底部内に、底面側から針状物を挿入した後、抜去し、気泡形成用通路を形成する工程
(C)気泡形成用通路の入口からエアーを注入することにより、気泡未形成のガラス容器の底部内に気泡形成用通路を起点として底部内に拡がる逆涙滴形状の内部空間を形成し、底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器を得る工程
(D)底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器を、硬化前のガラスの保有熱により当該硬化前のガラスを流動させることで、逆涙滴形状の内部空間の入口側を閉塞させ、底部内に外部から独立した気泡を有するガラス容器を得る工程
すなわち、本発明のガラス容器の製造方法であれば、気泡未形成のガラス容器の底部内に、針状物によって所定の気泡形成用通路を形成してエアーを注入していることから、当該底部内に逆涙滴形状の内部空間を形成することができる。
これにより、硬化前のガラス(以下、「未硬化ガラス」と称する場合がある。)の保有熱による再加熱を利用して当該未硬化ガラスを流動させることで、逆涙滴形状の内部空間の入口側のみを安定的に閉塞させて、底部内に外部から独立した気泡を精度よく形成することができる。
したがって、本発明のガラス容器の製造方法であれば、気泡の位置および大きさを精度よく制御して、底部内に外部から独立した気泡を有するガラス容器を、歩留まりよく製造することができる。
このように実施することにより、所定の気泡形成用通路をさらに安定的に形成することができることから、その後の逆涙滴形状の内部空間についてもさらに安定的に形成することができ、ひいては、外部から独立した気泡をさらに安定的に形成し、かつ、気泡の位置および大きさをさらに精度良く制御することができる。
このように実施することにより、所定の気泡形成用通路をさらに安定的に形成することができることから、その後の逆涙滴形状の内部空間についてもさらに安定的に形成することができ、ひいては、外部から独立した気泡をさらに安定的に形成し、かつ、気泡の位置および大きさをさらに精度良く制御することができる。
このように実施することにより、所定の気泡形成用通路をさらに安定的に形成することができることから、その後の逆涙滴形状の内部空間についてもさらに安定的に形成することができ、ひいては、外部から独立した気泡をさらに安定的に形成し、かつ、気泡の位置および大きさをさらに精度良く制御することができる。
このように実施することにより、所定の気泡形成用通路をさらに安定的に形成することができることから、その後の逆涙滴形状の内部空間についてもさらに安定的に形成することができ、ひいては、外部から独立した気泡をさらに安定的に形成し、かつ、気泡の位置および大きさをさらに精度良く制御することができる。
このように実施することにより、所定の気泡形成用通路をさらに安定的に形成することができることから、その後の逆涙滴形状の内部空間についてもさらに安定的に形成することができ、ひいては、外部から独立した気泡をさらに安定的に形成し、かつ、気泡の位置および大きさをさらに精度良く制御することができる。
このように実施することにより、逆涙滴形状の内部空間をさらに安定的に形成することができ、さらに、逆涙滴形状の空間の入口側を、未硬化ガラスの保有熱による再加熱を利用した未硬化ガラスの流動によりさらに安定的に閉塞させることができることから、外部から独立した気泡をさらに安定的に形成し、かつ、気泡の位置および大きさをさらに精度良く制御することができる。
なお、「底部の最大径」とは、ガラス容器の底部を水平方向に切断した場合の断面における最大径を意味する。
このように実施することにより、逆涙滴形状の内部空間をさらに安定的に形成することができ、ひいては、外部から独立した気泡をさらに安定的に形成し、かつ、気泡の位置および大きさをさらに精度良く制御することができる。
このように実施することにより、気泡に基づく独特の意匠効果を有する美的外観に優れたガラス容器をさらに安定的に得ることができる。
(A)溶融ガラスから気泡未形成のガラス容器を成形する工程
(B)気泡未形成のガラス容器の底部内に、底面側から針状物を挿入した後、抜去し、気泡形成用通路を形成する工程
(C)気泡形成用通路の入口からエアーを注入することにより、気泡未形成のガラス容器の底部内に気泡形成用通路を起点として底部内に拡がる逆涙滴形状の内部空間を形成し、底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器を得る工程
(D)底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器を、硬化前のガラスの保有熱により当該硬化前のガラスを流動させることで、逆涙滴形状の内部空間の入口側を閉塞させ、底部内に外部から独立した気泡を有するガラス容器を得る工程
以下、本発明の実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
まず最初に、本発明のガラス容器の製造方法により得られるガラス容器について説明する。
図1(a)〜(c)に示すように、本発明の製造方法により得られるガラス容器200は、口部202と、胴部204と、底部206と、を有するとともに、底部206の内部に、外部から独立した気泡210を有することを特徴とする。
かかる気泡210は、ガラス容器200の外部から隔絶されているとともに、ガラス容器200の収容部208からも隔絶されている。
したがって、気泡210は、底部206を構成するガラスにより封止されてなる、空気で満たされた内部空間である。
なお、図1(a)は、ガラス容器200の正面図であり、図1(b)は、ガラス容器200の平面図であり、図1(c)は、ガラス容器200を垂直方向に切断した場合の断面図である。
また、図1(c)におけるガラス容器200のうち、破線で描かれている部分は、外観として視認されるガラス容器の内部構造を示している。
この理由は、かかるL1が20mm未満の値となると、底部206の重量および熱容量が過度に小さくなって、未硬化ガラスの保有熱による再加熱を利用した未硬化ガラスの流動により、逆涙滴形状の内部空間の入口を安定的に閉塞させることが困難になる場合があるためである。
一方、かかるL1が100mmを超えた値となると、底部206の重量および熱容量が過度に大きくなって、後工程における変形が著しくなり、歩留まりが低下する場合があるためである。
したがって、底部206の縦方向の厚さL1の下限値を22mm以上の値とすることがより好ましく、25mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、底部206の縦方向の厚さL1の上限値を50mm以下の値とすることがより好ましく、30mm以下の値とすることがさらに好ましい。
したがって、底部206の最大径L2の下限値を35mm以上の値とすることがより好ましく、40mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、底部206の最大径L2の上限値を70mm以下の値とすることがより好ましく、50mm以下の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかる最大径L3が2mm未満の値となると、気泡210に由来する意匠効果を十分に得ることが困難になる場合があるためである。一方、かかる最大径L3が30mm以上の値となると、気泡210を安定的に外部から独立させることが困難になったり、気泡210の位置を安定的に制御することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、外部から独立した気泡210の最大径L3の下限値を4mm以上の値とすることがより好ましく、6mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、外部から独立した気泡210の最大径L3の上限値を20mm以下の値とすることがより好ましく、10mm以下の値とすることがさらに好ましい。
また、外部から独立した気泡210の形状としては、特に制限されるものではないが、通常、球状または楕円球状とすることが好ましい。
また、外部から独立した気泡210の数としては、通常、1個とすることが好ましいが、2個以上としてもよい。
なお、図1(a)に示すガラス容器200の正面図と、図1(c)に示すガラス容器200の断面図とでは、それぞれにおける気泡210の大きさおよび形状が異なっているが、これは、図1(a)の正面図における気泡210は、その手前側に存在するガラスのレンズ効果により、気泡210の大きさおよび形状が見た目上変化しているためである。
したがって、気泡210における真の大きさおよび形状は、図1(c)の断面図に基づいて認定される。
この理由は、L1に対するL4の割合が20%未満の値となると、工程(C)において逆涙滴形状の内部空間を安定的に形成することが困難になって、ひいては、外部から独立した気泡210を安定的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、L1に対するL4の割合が80%を超えた値となると、工程(C)において逆涙滴形状の内部空間の上端部と、収容部の底面とが過度に近接してしまい、収容部の底面が変形しやすくなり、収容部側に破裂する恐れがあるためである。
したがって、L1に対するL4の割合の下限値を30%以上の値とすることがより好ましく、40%以上の値とすることがさらに好ましい。
また、L1に対するL4の割合の上限値を70%以下の値とすることがより好ましく、60%以下の値とすることがさらに好ましい。
したがって、底型の形状を適宜調整することにより、くぼみ212を有さないタイプのガラス容器200とすることもできる。
また、ガラス容器200を構成するガラスの種類については、特に制限されるものでなく、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、リン酸塩ガラス、アルミノ珪酸塩ガラス等が挙げられるが、ソーダ石灰ガラスを用いることが好ましい。
また、ガラス容器200を構成するガラスとして、無色透明ガラスを用いることが好ましいが、着色透明ガラスや着色半透明ガラスを用いることも好ましい。
無色透明ガラスを用いた場合には、ガラス容器200の内部に収容する内容物の色を外部から十分に認識できるとともに、底部206に形成された外部から独立した気泡210が明瞭に視認できることから、気泡210による意匠性を効果的に発揮することができる。
一方、着色透明ガラスや着色半透明ガラスを用いた場合には、気泡210の存在を色彩や陰影により強調することができることから、無色透明ガラスを用いた場合とは異なった特有の意匠性を発揮することができる。
本発明のガラス容器の製造方法は、図1(a)〜(c)に示すようなガラス容器200の製造方法であって、所定の工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする。
したがって、まず、それぞれの工程を、図2〜図6を用いて説明した後、ガラス容器の製造装置およびその構成部材について、具体的に説明する。
工程(A)は、溶融ガラスから気泡未形成のガラス容器を成形する工程である。
また、本発明において、溶融ガラスから気泡未形成のガラス容器を成形する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の成形方法を用いることができる。
すなわち、ブローアンドブロー成形方法、プレスアンドブロー成形方法、ワンプレス成形方法およびワンブロー成形方法等の成形方法を用いることが出来るが、以下においては、ブローアンドブロー成形方法を例に挙げて具体的に説明する。
具体的には、まず、図2(a)に示すように、粗型100を設置し、これにファンネル72を介して、ゴブ70を投入する。
次いで、図2(b)に示すように、バッフル60およびファンネル72を介して粗型100の内部にエアーを吹出させ、ファンネル72が嵌合された側の反対側に配置されたプランジャー50にゴブ70を接触させた後、プランジャー50をゴブ70から離隔し、ゴブ70の表面に凹部を形成する。
なお、図2(a)〜(c)は、粗型100やプランジャー50等を含む全体を、粗型100を二分割して開くための二分割断面と直交する面で切断して、切断面を正面から眺めた場合の断面図であり、図2(a)〜(b)における線Dは、粗型100を二分割して開く際の分割線である。
次いで、図3(c)に示すように、ブローヘッド90から、ファイナルブロー用エアー92を、パリソン71の内部に吹き込むことによって、パリソン71を膨張させる。
これにより、パリソン71の外周面が仕上型300の内周面に押し付けられて、ガラス容器の外部形状が成形され、図3(d)に示すように気泡未形成のガラス容器400を得ることができる。
なお、図3(a)〜(d)は、仕上型300やパリソン71等を含む全体を、仕上型300を二分割して開くための二分割断面と直交する面で切断して、切断面を正面から眺めた場合の断面図である。
また、ゴブ70の重量としては、製造するガラス容器によるが、通常、200〜300gの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ゴブ70の重量が200g未満の値となると、工程(B)〜(D)において、未硬化ガラスの流動性が過度に低下してしまい、気泡形成用通路や逆涙滴形状の内部空間を安定的に形成することが困難になったり、逆涙滴形状の内部空間の入口側を安定的に閉塞させることが困難になったりする場合があるためである。一方、ゴブ70の重量が300gを超えた値となると、工程(B)〜(D)において、未硬化ガラスの流動性が過度に増加してしまい、気泡形成用通路や逆涙滴形状の内部空間を安定的に形成することが困難になったり、工程(D)において、逆涙滴形状の内部空間の入口側のみを、未硬化ガラスの保有熱による再加熱を利用した未硬化ガラスの流動により安定的に閉塞させることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、ゴブ70の重量の下限値を230g以上の値とすることがより好ましく、250g以上の値とすることがさらに好ましい。
また、ゴブ70の重量の上限値を280g以下の値とすることがより好ましく、260g以下の値とすることがさらに好ましい。
すなわち、ゴブ70の温度が900℃未満の値となると工程(B)〜(D)において、未硬化ガラスの流動性が過度に低下してしまい、気泡形成用通路や逆涙滴形状の内部空間を安定的に形成することが困難になったり、逆涙滴形状の内部空間の入口側を安定的に閉塞させることが困難になったりする場合があるためである。一方、ゴブ70の温度が1300℃を超えた値となると、工程(B)〜(D)において、未硬化ガラスの流動性が過度に増加してしまい、気泡形成用通路や逆涙滴形状の内部空間を安定的に形成することが困難になったり、逆涙滴形状の内部空間の入口側のみを、未硬化ガラスの保有熱による再加熱を利用した未硬化ガラスの流動により安定的に閉塞させることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、ゴブ70の温度の下限値を1000℃以上の値とすることがより好ましく、1100℃以上の値とすることがさらに好ましい。
また、ゴブ70の温度の上限値を1250℃以下の値とすることがより好ましく、1200℃以下の値とすることがさらに好ましい。
工程(B)は、図4(a)〜(b)に示すように、工程(C)で成形された気泡未形成のガラス容器400の底部内に、底面側から針状物310を挿入した後、抜去し、気泡を形成するためのエアーの通路(気泡形成用通路)410を形成する工程である。
具体的には、図4(a)に示すように、底型302の内部に上下動可能に収容された針状物310を、上方に移動させて気泡未形成のガラス容器400の底部に、底面側から挿入する。
次いで、図4(b)に示すように、針状物310を下方に移動させて抜去することにより、気泡未形成のガラス容器400の底部内に、針状物310の形状に対応した気泡形成用通路410が形成される。
なお、図4(a)〜(b)は、仕上型300や気泡未形成のガラス容器400等を含む全体を、仕上型300を二分割して開くための二分割面と直交する面で切断して、切断面を正面から眺めた場合の断面図である。
この理由は、針状物310の挿入開始までの時間が、工程(A)が完了した直後から0.01秒未満の値となると、過度に厳密となり、制御が困難になる場合があるためである。一方、0.5秒を超えた値となると、未硬化ガラスの保有熱量が過度に減少し、気泡形成用通路や逆涙滴形状の内部空間を安定的に形成することが困難になったり、逆涙滴形状の内部空間の入口側を安定的に閉塞させることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、針状物310の挿入開始までの時間の下限値を、工程(A)が完了した直後から0.05秒以上とすることがより好ましく、0.1秒以上とすることがさらに好ましい。
また、針状物310の挿入開始までの時間の上限値を、工程(A)が完了した直後から0.3秒以下とすることがより好ましく、0.2秒以下とすることがさらに好ましい。
この理由は、針状物310の抜去開始までの時間が、針状物310の挿入が完了した直後から0.05秒未満となると、抜去直後に形成される通路がすぐに埋まってしまい、気泡形成用通路を安定的に形成することが困難となり、ひいては、外部から独立した気泡を安定的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、0.5秒を超えると、針状物310が高温の未硬化ガラスに接触する時間が長くなることから、針状物310が熱的負荷によって変形または変質を起こしやすくなる場合があるためである。
したがって、針状物310の抜去開始までの時間の下限値を、針状物310の挿入が完了した直後から0.05秒以上とすることがより好ましく、0.1秒以上とすることがさらに好ましい。
また、針状物310の抜去開始までの時間の上限値を、針状物310の挿入が完了した直後から0.3秒以下とすることがより好ましく、0.2秒以下とすることがさらに好ましい。
この理由は、L1に対するL5の割合が20%未満の値となると、工程(C)において逆涙滴形状の内部空間を安定的に形成することが困難になって、ひいては、外部から独立した気泡を安定的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、L1に対するL5の割合が80%を超えた値になると、工程(C)において逆涙滴形状の内部空間の上端部と、収容部の底面とが過度に近接してしまい、収容部の底面が変形しやすくなり、収容部側に破裂する恐れがあるためである。
したがって、L1に対するL5の割合の下限値を30%以上の値とすることがより好ましく、40%以上の値とすることがさらに好ましい。
また、L1に値するL5の割合の上限値を70%以下の値とすることがより好ましく、60%以下の値とすることがさらに好ましい。
すなわち、工程(B)〜(C)において、気泡未形成のガラス容器400の底面付近における未硬化ガラスは、底型302により冷却されることから、より上方に位置する未硬化ガラスと比較して、流動性が低下することになる。
このため、工程(B)において、底面付近の比較的流動性が低い未硬化ガラス領域を超えて、その上方にある比較的流動性が高い未硬化ガラス領域に達するまで気泡形成用通路410を延設しておかなければ、次の工程(C)において、逆涙滴形状の内部空間を安定的に形成することが困難になる。
より具体的には、図5(a)〜(b)に示すように、比較的流動性が低い底面付近の未硬化ガラス領域では、エアーを注入しても気泡形成用通路410があまり膨張しない一方、その上方にある未硬化ガラス用域では、比較的流動性が高いことから、エアーの注入により気泡形成用通路410が十分に膨張することから、結果として、安定的に逆涙滴形状の内部空間510が形成されることになる。
つまり、工程(C)において形成される逆涙滴形状の内部空間510は、気泡未形成のガラス容器400の底部における温度分布を、うまく利用することにより形成される内部空間なのである。
この理由は、かかる最大径L6が0.5mm未満の値となると、工程(C)においてエアーを注入する前の段階で、未硬化ガラスの保有熱による流動により、気泡形成用通路410が閉塞してしまう場合があるためである。一方、かかる最大径L6が5mmを超えた値となると、工程(C)において逆涙滴形状の内部空間の入口側が過度に拡がってしまい、工程(D)において未硬化ガラスの保有熱による流動により安定的に閉塞させることが困難になる場合があるためである。
したがって、針状物310を抜去した直後の気泡形成用通路410の最大径L6の下限値を1mm以上の値とすることがより好ましく、1.5mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、針状物310を抜去した直後の気泡形成用通路410の最大径L6の上限値を3mm以下の値とすることがより好ましく、2.5mm以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、図4(c)は、気泡形成用通路410が形成された状態の気泡未形成のガラス容器400における底部部分の垂直方向における断面図である。
また、抜去直後の気泡形成用通路410の形状は、実質的に気泡未形成のガラス容器400の底部に挿入された針状物310の形状に一致することになる。
したがって、図4(c)に示すように、気泡形成用通路410の形状は、通常、通路部412の最大径は一定であり、先端部414では、先端に近づくほど最大径が小さくなるが、本発明における気泡形成用通路410の最大径L6とは、最大径が一定である通路部412の最大径を意味するものとする。
この理由は、これらの形状であれば、工程(C)において、気泡形成用通路410へのエアーの注入によって逆涙滴形状の内部空間をより確実に形成し、かつ、気泡形成用通路410の入口側を、未硬化ガラスの保有熱による再加熱を利用した未硬化ガラスの流動によりさらに安定的に閉塞させることができるためである。
この理由は、鉛直上方とすることにより、気泡形成用通路が鉛直方向に形成されることから、工程(C)におけるエアーの注入によって気泡形成用通路を鉛直方向に対して対称的に変形させることができるためである。
すなわち、逆涙滴形状の内部空間を安定的に形成することができ、ひいては、外部から独立した気泡をさらに安定的に形成し、かつ、気泡の位置および大きさをさらに精度良く制御することができるためである。
工程(C)は、図5(a)〜(b)に示すように、気泡形成用通路410の入口からエアー93を注入することにより、気泡未形成ガラス容器400の底部内に気泡形成用通路410を起点として底部内に拡がる逆涙滴形状の内部空間510を形成し、底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器500を得る工程である。
具体的には、図5(a)に示すように、針状物310を抜去した直後に形成された気泡形成用通路410の内部にエアー93を吹き込むことにより、気泡未形成のガラス容器400の底部における温度分布を利用して、気泡形成用通路410の入口側については膨張を抑制しつつ、気泡形成用通路410の先端部側については十分に膨張させ、図5(b)に示すように、逆涙滴形状の内部空間510を形成する。
より具体的には、エアーの注入により気泡形成用通路410の形成方向を中心に、気泡形成用通路410の先端部414が膨張することで、内部空間が形成されることになる。
一方、収容部の底面付近および金型に接触するガラス容器の表面付近は、比較的温度が低くガラスの流動性が低い。
そのため、エアーの注入によって膨張した内部空間が、収容部の底面付近まで膨張した場合は、底面に近いほどガラスの流動性が低いことから、比較的流動性の高い横方向に膨張することになる。
その結果、図5(c)に示すように、三角フラスコを逆にしたような形状(逆三角フラスコ形状)の内部空間が形成されることになる。
なお、逆三角フラスコ形状は、本発明の必須とする逆涙滴形状の代表的な形状である。
この理由は、最大径L7が2mm未満の値となると、逆涙滴形状の内部空間を安定的に形成することが困難となり、ひいては、外部から独立した気泡の位置を安定的に制御することが困難となるためである。一方、最大径L7が50mmを超えた値となると、後工程において逆涙滴形状の内部空間の表面張力による変形が十分に行われる前にガラスが硬化し、気泡の形状がばらつくおそれがあるためである。
したがって、逆涙滴形状の内部空間510において、水平方向の最大径L7の下限値を5mm以上とすることがより好ましく、8mm以上とすることがさらに好ましい。
また、逆涙滴形状の内部空間510において、水平方向の最大径L7の上限値を30mm以下の値とすることがより好ましく、14mm以下の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、最小径L8が0.5mm未満の値となると、エアーの注入を行うことが困難であって、最大径L7を十分な大きさにすることが困難となることから、その結果、外部から独立した気泡を小さくなるおそれがあるためである。一方、最小径L8が5mmを超えた値となると、工程(D)において、未硬化ガラスの保有熱による流動によって、逆涙滴形状の内部空間510の入口部分を閉塞させることが困難となり、ひいては、外部から独立した気泡の位置を安定的に制御することが困難となるためである。
したがって、逆涙滴形状の内部空間510において、水平方向の最小径L8の下限値を1mm以上とすることがより好ましく、1.5mm以上とすることがさらに好ましい。
また、逆涙滴形状の内部空間510において、水平方向の最小径L8の上限値を3mm以下とすることがより好ましく、2.2mm以下とすることがさらに好ましい。
この理由は、エアーの圧力が0.05MPa未満の値となると、気泡形成用通路410の先端部側を十分に膨張させることが困難になって、逆涙滴形状の内部空間510を安定的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、エアーの圧力が0.5MPaを超えた値となると、気泡形成用通路410の入口側が過度に膨張して、次の工程(D)において、未硬化ガラスの保有熱による再加熱を利用した未硬化ガラスの流動により逆涙滴形状の内部空間510の入口側を安定的に閉塞させることが困難になる場合があるためである。
したがって、気泡形成用通路410に注入するエアーの圧力の下限値を0.1MPa以上の値とすることがより好ましく、0.15MPa以上の値とすることがさらに好ましい。
また、気泡形成用通路410に注入するエアーの圧力の上限値を0.4MPa以下の値とすることがより好ましく、0.3MPa以下の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、1回の注入で使用するエアーの総体積が1ミリリットル未満の値となると、気泡形成用通路410の先端部側を十分に膨張させることが困難になって、逆涙滴形状の内部空間510を安定的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、1回の注入で使用するエアーの総体積が100ミリリットルを超えた値となると、気泡形成用通路410が過度に膨張し、収容部に向かって破裂しやすくなる恐れがあるためである。
また、次の工程(D)において、未硬化ガラスの保有熱による再加熱を利用した未硬化ガラスの流動により逆涙滴形状の内部空間510の入口側を安定的に閉塞させることが困難になる場合があるためである。
したがって、気泡形成用通路410に注入するエアーの体積の下限値を5ミリリットル以上の値とすることがより好ましく、20ミリリットル以上の値とすることがさらに好ましい。
また、気泡形成用通路410に注入するエアーの体積の上限値を50ミリリットル以下の値とすることがより好ましく、30ミリリットル以下の値とすることがさらに好ましい。
工程(D)は、図6(a)〜(c)に示すように、底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器500を、仕上型300から取り出した後、未硬化ガラスの保有熱による流動により逆涙滴形状の内部空間510の入口側を閉塞させ、底部内に外部から独立した気泡を有するガラス容器200を得る工程である。
具体的には、図6(a)〜(c)に示すように、工程(C)において形成された逆涙滴形状の内部空間510の入口側を、未硬化ガラスの保有熱による再加熱を利用した未硬化ガラスの流動現象を利用して閉塞させ、底部内に外部から独立した気泡210を形成する。
また、かかる工程(D)は、工程(C)において底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器500が得られた直後から自動的に始まり、その後の底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器500が仕上型からテイクアウト装置によって取り出され、デッドプレート120に搬出・載置される期間中、独立した気泡が最終的な安定状態になるまで継続されることになる。
したがって、デッドプレート120において工程(D)の進行が阻害されることを防ぐ観点から、図6(a)〜(c)に示すように、デッドプレート120における底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器500の載置箇所には冷却エアー94の吹出孔122を設けず、底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器500の外周面のみを冷却することが好ましい。
なお、図6(a)〜(b)は、デッドプレート120に載置された底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器500の垂直方向における断面図であり、図6(c)は、デッドプレート120に載置された底部内に外部から独立した気泡を有するガラス容器200の垂直方向における断面図である。
また、デッドプレート120とは、ガラス容器500を冷却するための戴置場所に用いられる板状部材である。
より具体的には、冷却エアーの吹出孔等の冷却機構を備えた板状部材であって、耐熱性や放熱性に優れていることから、金属、カーボン等を材料として、厚さ5〜7mmの平板として構成することが、より好ましい。
本発明のガラス容器の製造方法を実施する製造装置としては、図7に示すように、インディビジュアルセクションマシーン(ISマシーン)600を使用することができる。
すなわち、かかるISマシーン600であれば、ブローアンドブロー成形方法、プレスアンドブロー成形方法、ワンプレス成形方法およびワンブロー成形方法等の成形方法を用いてガラス容器を製造することができる。
例えば、ブローアンドブロー成形方法を実施する場合を例に挙げて説明すると、かかるISマシーン600は、所定の粗型100を用いてパリソンを成形後、仕上型300に移送し、仕上形状のガラス容器とするとともに、テイクアウト装置によって、当該ガラス容器を仕上型から搬出し、デッドプレート120上に移送することができる。
したがって、かかるISマシーン600であれば、仕上型300を構成する底型を、上下動可能な針状物を含む所定の底型とすることで、図1(a)〜(c)に示すような底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器200を、安定的に製造することができる。
なお、図7は、ISマシーン600の斜視図である。
以下、ISマシーン600の構成部材について、ブローアンドブロー成形方法を実施する場合を例に挙げて具体的に説明する。
図2(a)〜(c)に示すように、粗型100は、それぞれ二分割する粗型基部10および口型20と、口型20の内部に当該口型20の開閉時に口型20との接触面に対してスライド可能に収容されたガイドリング30と、を含む構成とすることが好ましい。
また、粗型基部10は、パリソン71の外周形状を成形するための型部材である。
かかる粗型基部10は、二分割して開くための分割線Dを有するとともに、パリソン71の外周形状を成形するための内周面からなる成形部12を有している。
また、成形部12の上方には、ゴブ70を投入するための開口部を有しており、また、かかる開口部には、ファンネル72やバッフル60を取り付けるための凹部が設けられている。
また、成形部12の下方にも、口型20の上部を両側から挟み込んで一体化するための開口部を有している。
また、口型20は、ガラス容器の口部の外周形状を成形するための型部材である。
かかる口型20は、二分割して開くための分割線Dを有するとともに、上面の開口部の内壁に、ガラス容器の口部の外周形状を成形するための内周面からなる口部成形部13を有しており、かかる口部成形部13には、口部が蓋部材と螺合する構成である場合には、ネジ山を成形するための溝部が設けられる。
また、ガイドリング30は、口部における上端面を成形するための型部材であるが、同時に、ゴブ70の表面に凹部を形成するためにプランジャー50をゴブ70に対して移動させる際の精度を向上させるとともに、プランジャー50から吹出されたカウンターブロー用エアーがゴブ70の側とは反対側の下方に漏れることを防ぐための部材でもある。
図2(a)〜(c)に示すように、プランジャー50は、その先端部を粗型100の下方から粗型100の内部に挿入し、セッツルブローにより下方に押し込まれたゴブ70の表面に凹部を形成するための部材である。
また、プランジャーは、その吹出孔52からエアーを吹出し、上述した凹部を起点としてゴブの内部にエアーを吹き込む(カウンターブロー)ための部材でもある。
図2(a)〜(b)に示すように、ファンネル72は、粗型基部10における上方の開口部に対して嵌合させて、粗型100の内部に安定的にゴブ70を投入するための部材である。
図2(c)に示すように、バッフル60は、粗型基部10における上方の開口部に対して嵌合されて、当該開口部を塞ぐ部材であり、パリソン71の底面を成形するための型部材である。
図3(a)〜(d)に示すように、仕上型300は、二分割する仕上型基部301と、底型302と、を含む構成とすることが好ましい。
図3(a)〜(d)に示すように、仕上型基部301は、気泡未形成のガラス容器400の外周形状を成形するための型部材である。
かかる仕上型基部301は、二分割して開くための分割線を有するとともに、気泡未形成のガラス容器400の外周形状を成形するための内周面からなる成形部を有している。
また、成形部の上方には、気泡未形成のガラス容器400の口部を外部に露出させるための開口部を有している。
また、成形部の下方にも、底型302の上部を両側から挟み込んで一体化するための開口部を有している。
図3(a)〜(d)に示すように、底型302は、気泡未形成のガラス容器400の底面を成形するための型部材であり、図4(a)〜(b)に示すように、気泡形成用通路410を形成するための部材でもあり、図5(a)〜(b)に示すように、逆涙滴形状の内部空間510を形成するための部材でもある。
また、図4(a)〜(b)に示すように、底型302の内部空間303には、針状物310が収容されており、当該針状物310は開口部305を通って底型302の内部空間303と、底型302の上方空間との間を往復移動できるように構成されている。
また、内部空間303の下方には、針状物310を上下動させるための駆動装置306が収容されており、かかる駆動装置306としては、特に制限されるものではなく、空気圧方式、電気方式、油圧方式等の公知の方式を採用することができるが、具体的にはエアシリンダを用いることが好ましい。
さらに、図5(a)〜(b)に示すように、底型302の内部空間303は、エアー供給路307と連通しており、エアー供給路307を介して底型302に対して供給されたエアーは、内部空間303を経て開口部305から吹出され、針状物310によって形成された気泡形成用通路410の内部に注入される。
以下、本発明の特徴的な構成要件である針状物310について、具体的に説明する。
この理由は、かかるロックウェル硬さが50HRC未満となると、未硬化ガラスに対して挿入される際に、熱の影響や機械的な抵抗力を最も強く受けることになる先端部が、繰り返し使用により疲労して、変形しやすくなる場合があるためである。
したがって、針状物の構成材料におけるロックウェル硬さを55HRC以上の値とすることがより好ましく、60HRC以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、具体的な構成材料としては、高速度工具鋼、超硬合金等が挙げられる。
この理由は、かかる接触角が55°未満の値となると、未硬化ガラスとの親和性が大きくなり、挿入および抜去時の抵抗が増大することで、針状物が変形しやすくなるばかりか、抜去時に未硬化ガラスの一部が付着し、次の挿入時における不具合の原因となる場合があるためである。
したがって、針状物の表面を形成する構成材料の25℃における純水に対する接触角を60°以上の値とすることがより好ましく、65°以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、接触角の測定方法の詳細は実施例に記載する。
この理由は、表面コート層を有することにより、針状物の表面が変質することを抑制できることから、所定の気泡形成用通路をさらに安定的に形成することができ、その後の逆涙滴形状の内部空間についてもさらに安定的に形成することができ、ひいては、外部から独立した気泡をさらに安定的に形成し、かつ、気泡の位置および大きさをさらに精度よく制御することができるためである。
これらの中でも、針状物を構成する材料の酸化を防止し、かつ、ガラスとの摩擦を効果的に低減させることができることから、工業用クロムめっき層が特に好ましい。
また、工業用クロムめっき層は、サージェント浴やフッ化物添加浴による従来公知の方法によって形成することができる。
なお、表面コート層は、単一の構成からなる層でもよいし、複数の層で構成されるものでもよい。
この理由は、表面コート層の厚さが0.01μm未満の値となると、表面コート層が過度に薄くなって、表面コート層に基づく所定の効果を得ることが困難になる場合があるからである。一方、表面コート層の厚さが100μmを超えた値となると、表面コート層が過度に厚くなって、表面コート層が剥離しやくすなり、ガラス容器内に異物として残留しやすくなる場合があるためである。
したがって、表面コート層の厚さの下限値を0.1μm以上の値とすることがより好ましく、1μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、表面コート層の厚さの上限値を50μm以下の値とすることがより好ましく、10μm以下の値とすることがさらに好ましい。
1.ガラス容器の製造
(1)工程(A)
図2(a)〜(c)に示すように、粗型内にソーダ石灰ガラスのゴブ(253g、1150℃)を投入した後、カウンターブローによりパリソンを成形した。
次いで、図3(a)〜(d)に示すように、パリソンを仕上型に移動した後、ブロー成形により、底部の縦方向の厚さが28mm、底部の最大径が42mmである気泡未形成のガラス容器を成形した。
次いで、図4(a)〜(b)に示すように、断面形状が円形である針状物(先端形状:円錐形、先端部長さ:10mm、胴体部長さ:28mm、胴体部最大径:2mm)を、気泡未形成のガラス容器の底部内に、底面側から鉛直上方に、14mm挿入した後、抜去し、気泡形成用通路を形成した。
また、針状物の挿入開始までの時間は、工程(A)が完了した直後から0.15秒とし、針状物の抜去開始までの時間は、針状物の挿入が完了した直後から0.18秒とした。
また、針状物は、基材としてJIS G 4403:2006に規定される高速度工具鋼鋼材(SKH51、ロックウェル硬さ:63HRC)を用い、表面に硬質クロムめっき(膜厚:5μm、25℃における純水の接触角:70°)を施したものを用いた。
また、針状物表面を構成する材料の25℃における純水の接触角は、針状物の基材に用いた高速度工具鋼鋼材で形成された平面板に対し、針状物の表面に形成されたものと同等のめっき層を形成し、かかるめっき層を有する平面板表面に対し、JIS 3257:1999の接触法に準じた測定を行った。
また、針状物の挿入および抜去は、エアシリンダ(CKD社製SMG)を用いて制御した。
また、針状物を抜去した直後は、針状物の直径と同じだけの直径を有する気泡形成用通路が形成された。
次いで、図5(a)〜(c)に示すように、気泡形成用通路の入口から、常温のエアーを、0.2MPaで、総使用量が体積25ミリリットルとなるように注入した。
そして、気泡未形成のガラス容器の底部内に気泡形成用通路を起点として底部内に拡がる最大径11mm、最小径1.8mmの逆涙滴形状の内部空間を形成し、図5(c)に示すような底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器を得た。得られたガラス容器の外観写真と、外観写真に基づいて作成した線図を図8に示す。
なお、図8は仕上型から取り出し、デッドプレート上に載置された直後に撮影されたガラス容器の画像であり、エアー注入直後から表面張力による変形が進行しているものの、逆涙滴形状の内部空間が工程(C)において確実に形成されていることが確認される。
また、図8におけるガラス容器の外観写真の中央部が白く見えているが、実際には、保有熱によりオレンジ色に発光しており、ガラス容器における底部の内部に、流動性の高い未硬化ガラスが存在することが確認される。
次いで、図6(a)〜(c)に示すように、底部の厚肉部に外部と連通した内部空間を有するガラス容器を、仕上型から取り出した後、デッドプレート上に戴置し、未硬化ガラスの保有熱による流動により、逆涙滴形状の内部空間の入口側を閉塞させ、底部内に、最大径8mmの外部から独立した楕円球状の気泡を有するガラス容器を得た。かかるガラス容器の外観写真を図9に示す。
また、工程(A)〜(D)を繰り返して、20,000本のガラス容器を製造した結果、歩留まりは80%であった。
そして、所定形状の内部空間の入口側を、未硬化ガラスの保有熱による再加熱を利用した未硬化ガラスの流動により安定的に閉塞させて、底部内に外部から独立した気泡を精度よく形成できるようになった。
したがって、本発明のガラス容器の製造方法は、化粧品用容器等の意匠性の向上に著しく寄与することが期待される。
Claims (9)
- 口部と、胴部と、底部と、を有するガラス容器の製造方法であって、
下記工程(A)〜(D)を含むことを特徴とするガラス容器の製造方法。
(A)溶融ガラスから気泡未形成のガラス容器を成形する工程
(B)前記気泡未形成のガラス容器の底部内に、底面側から針状物を挿入した後、抜去し、気泡形成用通路を形成する工程
(C)前記気泡形成用通路の入口からエアーを注入することにより、前記気泡未形成のガラス容器の底部内に前記気泡形成用通路を起点として前記底部内に拡がる内部空間を形成し、前記底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器を得る工程
(D)前記底部内に外部と連通した内部空間を有するガラス容器を、硬化前のガラスの保有熱により、前記硬化前のガラスを流動させることで、前記内部空間の入口側を閉塞させ、前記底部内に外部から独立した気泡を有するガラス容器を得る工程 - 前記工程(B)において、前記工程(A)が完了した直後から前記針状物の挿入開始までの時間を0.01〜0.5秒の範囲内の値とし、かつ、前記針状物の挿入が完了した直後から前記針状物の抜去開始までの時間を0.05〜0.5秒の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のガラス容器の製造方法。
- 前記工程(B)において、前記針状物を抜去した直後の前記気泡形成用通路の底面からの深さを、前記底部の縦方向の厚さに対して20〜80%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス容器の製造方法。
- 前記工程(B)において、前記針状物を抜去した直後の前記気泡形成用通路の最大径を0.5〜5mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス容器の製造方法。
- 前記工程(B)において、前記針状物を抜去した直後の前記気泡形成用通路の軸線と直交する面における断面形状が、円形、楕円形および多角形からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス容器の製造方法。
- 前記工程(B)において、前記針状物の挿入方向が鉛直上方であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス容器の製造方法。
- 前記底部の縦方向の厚さを20〜100mmの範囲内の値とし、最大径を30〜80mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス容器の製造方法。
- 前記工程(C)において、前記エアーの圧力を0.05〜0.5MPaの範囲内の値とし、使用するエアーの総体積を1〜100ミリリットルの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス容器の製造方法。
- 前記外部から独立した気泡の最大径を2〜30mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス容器の製造方法。
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